JP2002370349A - 印刷装置,印刷方法およびこれに用いるインクカートリッジ - Google Patents

印刷装置,印刷方法およびこれに用いるインクカートリッジ

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JP2002370349A JP2002096836A JP2002096836A JP2002370349A JP 2002370349 A JP2002370349 A JP 2002370349A JP 2002096836 A JP2002096836 A JP 2002096836A JP 2002096836 A JP2002096836 A JP 2002096836A JP 2002370349 A JP2002370349 A JP 2002370349A
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和充 嶋田
Shigeaki Sumiya
繁明 角谷
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 混在することにより所定範囲の色相を表現可
能な3種類以上のインクの吐出量を低減しつつ、粒状感
の発生を抑制する。 【解決手段】 入力した各色の階調データから、テーブ
ルTC,TM,TYを参照して、各色インクの記録率を
求め、この記録率に応じてドットを形成する。イエロイ
ンクの染料濃度は、色バランスのとれた濃度より高めて
あるので、シアンC,マゼンタMの記録率に対して、イ
エロYの記録率は低く押さえられている。イエロYは、
明度が高く、階調データが低い領域に対応してまばらに
ドットが形成されても粒状感は目立たない。イエロイン
クYの濃度が高められていることから、印刷に必要な濃
度に対してヘッドから吐出されるインク量は低減され
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、混在することによ
り所定範囲の色相を表現可能な3種類以上のインクを記
録可能なヘッドを備え、このヘッドにより被印刷物に記
録されるインクにより多階調の画像を記録可能な印刷装
置,印刷方法およびこれに用いるインクカートリッジに
関する。
【0002】
【従来の技術】近年、コンピュータの出力装置として、
数色のインクをヘッドにより被印刷物に記録するタイプ
のカラープリンタが広く普及し、コンピュータ等が処理
した画像を多色多階調で印刷するのに広く用いられてい
る。被印刷物にインクを記録する方法としては、インク
リボン上のインクを溶融して用紙に転写する熱転写方
式、カラーインクの溶液を用紙に向けて吐出するインク
ジェット方式、レーザにより感光体上に潜像を形成しカ
ラートナーを転写する電子写真方式など、様々な手法が
知られている。いずれの場合にも、数種類の色のインク
を混在されることにより所定の色相の範囲の色を再現す
るものであり、フルカラーの印刷を行なう場合には、通
常シアン,マゼンタ,イエロー(CMY)の三色のイン
クを用いる。
【0003】こうした複数種類のインクにより多色の画
像を印刷する場合、多階調の画像を形成しようとするに
はいくつかの方法が考えられる。一つは、従来のプリン
タで採用されている手法であり、一度に吐出するインク
により用紙上に形成されるドットの大きさを一定とし
て、印刷される画像の階調を、ドットの密度(単位面積
当たりの出現頻度)により表現するものである。もう一
つの方法は、用紙上に形成するドット径を調整して、単
位面積当たりの濃度を可変するものである。最近では、
インク粒子を形成するヘッドの微細加工が進み、所定長
さ当たりに形成できるドットの密度やドット径の可変範
囲などは、年々向上している。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、プリン
タの場合には、印字密度(解像度)で300dpiない
し720dpi程度、粒径で数十ミクロンに留まってお
り、銀塩写真の表現力(フィルム上では解像度で数千d
piと言われる)との間の隔たりは未だ大きい。特に、
画像濃度の低い領域、即ち印刷されるドット密度の低い
領域では、ドットがまばらに形成され(いわゆる粒状
化)、これが目に付いてしまう。また、液状のインクを
用紙に吐出するタイプの印刷装置では、単位面積当たり
に吐出されるインクの総量は、用紙上で可能なインク吸
収量(いわゆるインクデューティ)により制限される。
カラー印刷のために複数種類のインクを用いる印刷装置
では、インクデューティの低い用紙では、この制限をク
リアすることも課題であった。このインクデューティの
問題は、特に、各色インクについて濃淡2種類のインク
を用意し、階調の低い領域では濃度の低いインクを用い
て印刷を行ない、粒状化を目立たないようにしようとし
た場合、顕在化する。淡インクを用いて所定の階調を表
現しようとすると、吐出するインクの総量が増加してし
まうからである。
【0005】本発明は、混在することにより所定範囲の
色相を表現可能な3種類以上のインクを吐出可能なヘッ
ドを備えた印刷装置において、特定のインクの濃度を調
整し、記録される画像の品位を低下することなく、イン
クデューティなどの制限を緩和することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段およびその作用・効果】か
かる目的を達成するため、本願発明は、以下の構成を採
用した。まず、本発明の第1の印刷装置は、混在するこ
とにより所定範囲の色相を表現可能な3種類以上のイン
クを被印刷物に記録可能なヘッドを備えた印刷装置にお
いて、前記各色インクのうち、同じ記録率当たりの明度
が最も高いインクと他のインクとの濃度比を、これらの
インクの単位面積当たりの記録率を等しくしたときの色
バランスが該明度が最も高いインクの側に偏るよう該各
色インクを備え、該偏りを是正する比率まで、該明度が
最も高いインクの記録量を補正する補正手段を有するこ
とを要旨としている。
【0007】また、本発明の第1の印刷方法は、混在す
ることにより所定範囲の色相を表現可能な3種類以上の
インクを被印刷物に記録可能なヘッドを備え、印刷しよ
うとする画像の階調信号に基づいて該3種類以上のイン
クのドットの分布を制御して多階調の画像を印刷する方
法であって、前記各色インクのうち、同じ記録率当たり
の明度が最も高いインクと他のインクとの濃度比を、こ
れらのインクの単位面積当たりの記録率を等しくしたと
きの色バランスが該明度が最も高いインクの側に偏るよ
う設定し、該偏りを是正する比率まで、該明度が最も高
いインクの記録量を補正することを要旨としている。
【0008】この印刷装置および印刷方法は、混在する
ことにより所定範囲の色相を表現可能な3種類以上のイ
ンクを記録可能なヘッドを備えており、これらのインク
によるドットを所定の割合で形成することにより、様々
な色相、明度(濃度)の画像を形成する。その際、本発
明の印刷装置では、各色インクの単位面積当たりの記録
率を等しくしたときの色バランスをわざと崩し、同じ記
録率当たりの明度が最も高いインクの側に色バランスが
偏るようにしている。従って、単位面積当たりの記録率
を同じにすると、色バランスは、明度が最も高いインク
の側に偏るから、補正手段により、この偏りを是正する
比率まで、明度が最も高いインクの記録量を補正する。
この結果、色バランスは正常になり、かつ明度が最も高
く、低濃度での粒状化の影響の少ないインクの記録量が
低減されるので、形成される画像の品質を損なうことな
く、記録される全インクの総量を低減することができ
る。
【0009】また、本発明の第2の印刷装置は、混在す
ることにより所定範囲の色相を表現可能な3種類以上の
インクを被印刷物に記録可能なヘッドを備えた印刷装置
において、前記各色インクのうち、同じ記録率とした場
合の粒状化の視認性が最も低いインクと他のインクとの
濃度比を、これらのインクの単位面積当たりの記録率を
等しくしたときの色バランスが該粒状化の視認性が最も
低いインクの側に偏るよう該各色インクを備え、該偏り
を是正する比率まで、該粒状化の視認性が最も低いイン
クの記録量を補正する補正手段を有することを要旨とし
ている。
【0010】また、本発明の第2の印刷方法は、混在す
ることにより所定範囲の色相を表現可能な3種類以上の
インクを被印刷物に記録可能なヘッドを備え、印刷しよ
うとする画像の階調信号に基づいて該3種類以上のイン
クのドットの分布を制御して多階調の画像を印刷する方
法であって、前記各色インクのうち、同じ記録率とした
場合の粒状化の視認性が最も低いインクと他のインクと
の濃度比を、これらのインクの単位面積当たりの記録率
を等しくしたときの色バランスが該粒状化の視認性が最
も低いインクの側に偏るよう設定し、該偏りを是正する
比率まで、該粒状化の視認性が最も低いインクの記録量
を補正することを要旨としている。
【0011】この印刷装置および印刷方法では、第1の
印刷装置および第1の印刷方法同様、混在することによ
り所定範囲の色相を表現可能な3種類以上のインクを記
録可能なヘッドを備えており、これらのインクによるド
ットを所定の割合で形成することにより、様々な色相、
明度(濃度)の画像を形成する。その際、第2発明の印
刷装置では、各色インクの単位面積当たりの記録率を等
しくしたときの色バランスをわざと崩し、同じ記録率と
した場合の粒状化の視認性が最も低いインクの側に色バ
ランスが偏るようにしている。従って、単位面積当たり
の記録率を同じにすると、色バランスは、粒状化の視認
性が最も低いインクの側に偏るから、補正手段により、
この偏りを是正する比率まで、粒状化の視認性が最も低
いインクの記録量を補正する。この結果、色バランスは
正常になり、かつ粒状化の視認性が低いインクの記録量
が低減されるので、形成される画像の品質を損なうこと
なく、記録される全インクの総量を低減することができ
る。
【0012】こうした印刷装置における3種類以上のイ
ンクとしては、いわゆる三原色としてのイエロ,マゼン
タ,シアンのインクを採用することが実用的であり、こ
のうち明度が最も高いインクまたは粒状化の視認性が最
も低いインクとしてはイエロを選択することが実用的で
ある。もとより、他の色の組み合わせの場合には、それ
らの色の中で、最も明度の高いインクまたは最も粒状化
の視認性の低いインクを選択すればよい。
【0013】各色インクの組み合わせの色バランスを偏
らせる手法は、様々なアプローチが考えられるが、その
一つとしては、明度が最も高いインクまたは粒状化の視
認性が最も低いインクの染料濃度を、3種類以上のイン
クの単位面積当たりの記録率が等しい場合にバランスす
る濃度より1.1ないし4倍の範囲で高くすることであ
る。濃度が1.1倍未満では、濃度を高めたことによる
効果が期待できず、4倍より高くすると、粒状性が感じ
られてしまう。染料濃度の調整は容易なので、簡単に色
バランスを所望の偏りにすることができる。
【0014】この場合には、明度が最も高いインクまた
は粒状化の視認性が最も低いインクの記録量の補正は、
該インクによるドットの形成の割合を低減することによ
り達成することができる。他の補正の手法としては、こ
のインクによるドットの径を低減することが考えられ
る。
【0015】なお、予め各色インクの組み合わせの色バ
ランスを偏らせる手法の一つとして、明度が最も高いイ
ンクまたは粒状化の視認性が最も低いインクのドット径
を、他のインクのドット径よりあらかじめ大きくしてお
くことも考えられる。この場合の補正手段は、ドット形
成の割合を低減することにより補正を行なうことができ
る。
【0016】3種類以上のインクを被印刷物に記録する
方式としては、従来から知られた各方式が適用可能であ
り、例えば、3種類以上の各インクを、染料または顔料
を溶剤に溶融または分散した溶液として提供するものと
し、ヘッドを、この染料または顔料を含有する溶液を、
該被印刷物に吐出するヘッドとし、補正手段を、インク
の吐出量の補正を行なう手段とすることができる。溶液
状のインクを吐出する手法は、微細なドットを比較的高
速に形成することができ、好適である。
【0017】こうした溶液状のインクを用いる印刷装置
において、3種類以上のインクのうち、吐出量の補正が
なされるインク以外のインクについては、濃淡2種類以
上の濃度のインクを備えるものとし、前記ヘッドを、該
濃淡2種類以上の濃度のインクと共に、前記前記明度が
最も高いインクまたは粒状化の視認性が最も低いインク
を吐出可能とすることもできる。すなわち、粒状化の視
認性がある程度高いインクについては、濃度の低い淡イ
ンクを用意し、濃度の低い領域の粒状化を防止するので
ある。
【0018】かかる濃淡インクとしては、色の組み合わ
せが、イエロ,マゼンタおよびシアンである場合、マゼ
ンタ,シアンについて濃淡2種類以上のインクを備え、
各色の低濃度インクの染料濃度を、高濃度インクの染料
濃度の略1/4とすることも、濃淡インクの混在箇所の
濃度変化の自然さなどの点から好適である。
【0019】各色のドットの形成の手法は、様々な手法
が許容されるが、たとえばディザ法により前記各色イン
クによるドットの有無を決定するものとすることができ
る。こうしたディザ法を採用する場合には、ドットのオ
ン・オフを定める閾値マトリックスは分散型の閾値マト
リックスとすることができる。分散型の閾値マトリック
スを使用すると、ドット分布が分散され、粒状化を感じ
させ難いドット形成という点から有利である。
【0020】こうした印刷装置におけるドット形成のメ
カニズムは、様々なものが知られているが、例えば、イ
ンク通路に設けられた電歪素子への電圧の印加によりイ
ンクに付与される圧力によってインク粒子を吐出する機
構をヘッドに備えるものとすることができる。あるい
は、インク通路に設けられた発熱体への通電により発生
する気泡により該インク通路のインクに付与される圧力
によってインク粒子を吐出する機構を備えた構成をとる
こともできる。
【0021】また、本発明のインクカートリッジは、上
述した印刷装置に装着して用いられるもの、または上述
した印刷方法に用いられるものであって、混在すること
により所定範囲の色相を表現可能な3種類以上のインク
を収納し、該3種類以上のインクのうち、前記明度が最
も高いインクまたは粒状化の視認性が最も低いインクに
ついては、その染料濃度を、他のインクと比べて、単位
面積当たりの記録率が等しい場合にバランスする濃度よ
り高く設定すると共に、その収容量を、他のインクの収
容量と同等または少ない容量としたことを要旨としてい
る。
【0022】上述した印刷装置および印刷方法では、同
じ記録率当たりの明度が最も高いインクまたは粒状化の
視認性が最も低いインクの濃度が高められており、その
体積的な使用量は低減される。したがって、同じ記録率
当たりの明度が最も高いインクまたは粒状化の視認性が
最も低いインクの収容量を、他のインクと同等または少
ない容量とすることにより、各色インクを使い切るまで
の期間を同程度にすることができる。
【0023】また、明度が最も高いインクまたは粒状化
の視認性が最も低いインク以外のインクを、濃淡2種類
以上用意する場合には、濃淡各インク自体の使用量は少
なくなるので、明度が最も高いインクまたは粒状化の視
認性が最も低いインクの容量を、これらの濃淡各色のイ
ンク容量より多くしたインクカートリッジも有用であ
る。
【0024】
【発明の他の態様】この発明は、以下のような他の態様
も含んでいる。第1の態様は、印刷装置のいくつかの手
段を、印刷装置の筐体内部ではなく、印刷しようとする
画像を出力する装置の側に置く構成である。補正手段等
は、ディスクリートな回路によっても実現可能である
が、CPUを中心とした算術論理演算回路におけるソフ
トウェアによっても実現可能である。後者の場合には、
印刷しようとする画像を出力する側、例えばコンピュー
タ側にドットの生成に関する処理まで行なわせ、印刷装
置の筐体内には、生成されたドットを、ヘッドからのイ
ンクの吐出を制御して、用紙上などに形成する機構のみ
を収納する形態も考えることができる。
【0025】本発明の第2の態様は、コンピュータシス
テムにロードされて実行されるソフトウェアを記録した
携帯型記憶媒体としての形態であり、上記の補正手段な
ど処理を行なう手段の少なくとも一部を、CPUを中心
とした算術論理演算回路(ハードウェア)とその上で実
行されるソフトウェアプログラムとにより実現するもの
とし、そのソフトウェアプログラムの少なくとも一部
を、この携帯型記憶媒体に格納したものである。
【0026】第3の形態は、上記のソフトウェアプログ
ラムを通信回線を介して供給する供給装置としての形態
である。
【0027】更に、第4の形態として、上述した印刷装
置に用いられるインクカートリッジの発明がある。例え
ば、本発明の印刷装置が、複数の色インクを用いてカラ
ー印刷を行なう場合、3種類以上のカラーインクを、黒
色インクとは別体の容器に収納してなるインクカートリ
ッジを考えることができる。このインクカートリッジ
は、黒色のインクとは別の容器に収納されていることか
ら、その交換の時期が、通常の文字を中心とした印刷に
用いられる黒色インク堪能の消尽とその交換時期に影響
されることがない。
【0028】
【発明の実施の形態】次に、本発明の実施の形態を実施
例に基づき説明する。図1は、この発明の一実施例であ
るプリンタ20の概略構成図である。図示するように、
このプリンタ20は、紙送りモータ22によって用紙P
を搬送する機構と、キャリッジモータ24によってキャ
リッジ30をプラテン26の軸方向に往復動させる機構
と、キャリッジ30に搭載された印字ヘッド28を駆動
してインクの吐出およびドット形成を制御する機構と、
これらの紙送りモータ22,キャリッジモータ24,印
字ヘッド28および操作パネル32との信号のやり取り
を司る制御回路40とから構成されている。
【0029】用紙Pを搬送する機構は、紙送りモータ2
2の回転をプラテン26のみならず、図示しない用紙搬
送ローラに伝達するギヤトレインを備える(図示省
略)。また、キャリッジ30を往復動させる機構は、プ
ラテン26の軸と並行に架設されキャリッジ30を摺動
可能に保持する摺動軸34と、キャリッジモータ24と
の間に無端の駆動ベルト36を張設するプーリ38と、
キャリッジ30の原点位置を検出する位置検出センサ3
9等から構成されている。
【0030】制御回路40を中心にこのプリンタ20の
構成を示したのが、図2である。図示するように、この
制御回路40は、周知のCPU41,プログラムなどを
記憶したP−ROM43,RAM44,文字のドットマ
トリクスを記憶したキャラクタジェネレータ(CG)4
5などを中心とする算術論理演算回路として構成されて
おり、この他、外部のモータ等とのインタフェースを専
用に行なうI/F専用回路50、このI/F専用回路5
0に接続されヘッド28を駆動するヘッド駆動回路5
2、同じく紙送りモータ22およびキャリッジモータ2
4を駆動するモータ駆動回路54を備える。また、I/
F専用回路50は、パラレルインタフェース回路を内蔵
しており、コネクタ56を介してコンピュータに接続さ
れて、コンピュータが出力する印刷用の信号を受け取る
ことができる。コンピュータからの画像信号の出力につ
いては後述する。
【0031】次にキャリッジ30の具体的な構成と、キ
ャリッジ30に搭載された印字ヘッド28によるインク
の吐出原理について説明する。図3は、キャリッジ30
の形状を示す斜視図である。また、図4は、キャリッジ
30の下部に配列された印字ヘッド28における各色イ
ンクを吐出するノズル部分を示す平面図である。図3に
示すように、キャリッジ30は、略L字形状をしてお
り、図示しない黒インク用カートリッジとカラーインク
用カートリッジ70(図5参照)とを搭載可能であっ
て、両カートリッジを装着可能に仕切る仕切板31を備
える。キャリッジ30の下部の印字ヘッド28には計6
個のインク吐出用ヘッド61ないし66が形成されてお
り、キャリッジ30の底部には、この各色用ヘッドにイ
ンクタンクからのインクを導く導入管71ないし76が
立設されている。キャリッジ30に黒インク用のカート
リッジおよびカラーインク用カートリッジ70を上方か
ら装着すると、各カートリッジに設けられた接続孔に導
入管71ないし76が挿入される。
【0032】インクが吐出される機構を簡単に説明す
る。図6に示すように、インク用カートリッジ70がキ
ャリッジ30に装着されると、毛細管現象を利用してイ
ンク用カートリッジ内のインクが導入管71ないし76
を介して吸い出され、キャリッジ30下部に設けられた
印字ヘッド28の各色ヘッド61ないし66に導かれ
る。なお、初めてインクカートリッジが装着されたとき
には、専用のポンプによりインクを各色ヘッド61ない
し66に吸引する動作が行なわれるが、本実施例では吸
引のためのポンプ、吸引時に印字ヘッド28を覆うキャ
ップ等の構成については図示および説明を省略する。
【0033】各色ヘッド61ないし66には、図4およ
び図6に示したように、各色毎に32個のノズルnが設
けられており、各ノズル毎に電歪素子の一つであって応
答性に優れたピエゾ素子PEが配置されている。ピエゾ
素子PEとノズルnとの構造を詳細に示したのが、図7
である。図示するように、ピエゾ素子PEは、ノズルn
までインクを導くインク通路80に接する位置に設置さ
れている。ピエゾ素子PEは、周知のように、電圧の印
加により結晶構造が歪み、極めて高速に電気−機械エネ
ルギの変換を行なう素子である。本実施例では、ピエゾ
素子PEの両端に設けられた電極間に所定時間幅の電圧
を印加することにより、図7下段に示すように、ピエゾ
素子PEが電圧の印加時間だけ伸張し、インク通路80
の一側壁を変形させる。この結果、インク通路80の体
積は、ピエゾ素子PEの伸張に応じて収縮し、この収縮
分に相当するインクが、粒子Ipとなって、ノズルnの
先端から高速に吐出される。このインク粒子Ipがプラ
テン26に装着された用紙Pに染み込むことにより、印
刷が行なわれることになる。
【0034】印字ヘッド28における各色ヘッド61な
いし66の配列は、上述したピエゾ素子PEを配置する
関係上、図4に示したように、2つのヘッドを一組とし
て、3組に分けて配設されている。黒インク用カートリ
ッジに近接した側の端に黒インク用のヘッド61が配設
されており、その隣がシアン用のインクヘッド62であ
る。また、この組に隣接するのが、シアン用インクヘッ
ド62に供給されるシアンインクより濃度の低いインク
(以下、ライトシアンインクと呼ぶ)用のヘッド63と
マゼンタ用のインクヘッド64である。更にその隣の組
には、通常のマゼンタインクより濃度の低いインク(以
下、ライトマゼンタインクと呼ぶ)用のヘッド65と、
イエロ用のヘッド66とが配置されている。各インクの
組成および濃度については後述する。
【0035】以上説明したハードウェア構成を有する本
実施例のプリンタ20は、紙送りモータ22によりプラ
テン26その他のローラを回転して用紙Pを搬送しつ
つ、キャリッジ30をキャリッジモータ24により往復
動させ、同時に印字ヘッド28の各色ヘッド61ないし
66のピエゾ素子PEを駆動して、各色インクの吐出を
行ない、用紙P上に多色の画像を形成する。なお、プリ
ンタ20は、図8に示すように、コンピュータ90など
の画像形成装置からコネクタ56を介して受け取った信
号に基づいて、多色の画像を形成する。この例では、コ
ンピュータ90内部で動作しているアプリケーションプ
ログラムは、画像の処理を行ないつつビデオドライバ9
1を介してCRTディスプレイ93に画像を表示してい
る。このアプリケーションプログラム95が、印刷命令
を発行すると、コンピュータ90のプリンタドライバ9
6が、画像情報をアプリケーションプログラムから受け
取り、これをプリンタ20が印字可能な信号に変換して
いる。図8に示した例では、プリンタドライバ96の内
部には、アプリケーションプログラム95が扱っている
画像情報をドット単位の色情報に変換するラスタライザ
97、ドット単位の色情報に変換された画像情報(階調
データ)に対して画像出力装置(ここではプリンタ2
0)の発色の特性に応じた色補正を行なう色補正モジュ
ール98、色補正された後の画像情報からドット単位で
のインクの有無によりある面積での濃度を表現するいわ
ゆるハーフトーンの画像情報を生成するハーフトーンモ
ジュール99が備えられている。これらの各モジュール
の動作は、周知のものなので、説明は原則として省略
し、ハーフトーンモジュール99の内容については、後
述する。
【0036】以上説明したように、本実施例のプリンタ
20は、その印字ヘッド28に、各色インクを吐出可能
なヘッドを備える。このヘッドにより吐出されるイエロ
インクYとブラックインクKは、図9にその成分を示し
たように、染料としてダイレクトイエロ86とフードブ
ラック2とを用い、染料の割合を、それぞれ2.7重量
パーセント、4.8重量パーセントとしたものである。
また、印字ヘッド28には、このイエロおよびブラック
を含むいわゆるCMYKの4色のインク以外に、ライト
シアンインクとライトマゼンタインク用のヘッド63,
65が設けられている。これらのライトシアンインクお
よびライトマゼンタインクは、図9に示したように、通
常のシアンインクおよびマゼンタインクの染料濃度を低
くしたものである。
【0037】図示するように、通常濃度のシアンインク
(図9中C1で示す)は、染料であるダイレクトブルー
99を3.6重量パーセント、ジエチレングリコール3
0重量パーセント、サーフィノール465を1重量パー
セント、水65.4重量パーセントとしたものであるの
に対して、ライトシアンインク(図9中C2で示す)、
染料であるダイレクトブルー99を、シアンインクC1
の1/4である0.9重量パーセントとし、粘度調整の
ためにジエチレングリコールを35重量パーセント、水
を63.1重量パーセントに変更したものである。ま
た、通常濃度のマゼンタインク(図9中M1で示す)
は、染料であるアシッドレッド289を2.8重量パー
セント、ジエチレングリコール20重量パーセント、サ
ーフィノール465を1重量パーセント、水79重量パ
ーセントとしたものであるのに対して、ライトマゼンタ
インク(図9中M2で示す)は、染料であるアシッドレ
ッドを、マゼンタインクM1の1/4である0.7重量
パーセント、ジエチレングリコール25重量パーセン
ト、水74重量パーセントに変更したものである。いず
れのインクも、粘度がおよそ3[mPa・s]程度に調
整されている。本実施例では、各色インクの粘度の他、
表面張力も同一に調整しているので、各色ヘッド毎のピ
エゾ素子PEの制御を、ドットを形成するインクに拠ら
ず同一にすることができる。
【0038】これらのインクのうち、ブラックを除くカ
ラーインクC1,C2,M1,M2,Yは、図5に示し
たインクカートリッジ70内に収納されており、その容
量は、本実施例では、イエロインクが他のインク(C
1,C2,M1,M2)より多いものとしてある。シア
ンとマゼンタについては、濃淡2種類のインクが収容さ
れているので、濃淡の両者を加えた量よりはイエロイン
クの容量は、相対的には少ない容量とされている。な
お、イエロの容量は、他の色のインクの総量と等しい容
量としても良いし、また濃淡の各インクと等しい容量と
しても良い。
【0039】これらの各色インクの明度を測定したもの
を図10に示した。図10の横軸はプリンタの記録解像
度に対する記録率であり、ノズルnから吐出したインク
粒子Ipにより白色の用紙Pにドットを記録した割合を
示している。即ち、記録率100とは、用紙Pの全面が
インク粒子Ipにより覆われた状態を示している。本実
施例では、従来のイエロインクY1に対して、染料濃度
が高いイエロインクY2を採用しているので、まずこの
点について説明する。図10に示したように、イエロイ
ンクYは、三原色CMYの中では、最も明度が高く、記
録率を100パーセントにしても、明度L*は、80パ
ーセントを超えている。なお、ここで言う明度L*と
は、CIE1976L*a*b*色空間(CIELAB
空間)における明度である。
【0040】図10において、「●」で示したのが、通
常の濃度のイエロインク(○)に対して、染料濃度を
1.5倍としたイエロインクY2の記録率と明度との関
係である。図示するように、染料濃度を1.5倍にした
ことにより、明度もこれに比例して低下しており、通常
濃度のイエロインクY1の記録率100パーセントの明
度と等しくなるのが、記録率約67パーセントの点であ
る。
【0041】以上、本実施例で採用した各色インクにつ
いて、その記録率と明度L*との関係について説明した
が、次に記録率と色相および彩度との関係について説明
する。図11は、紙に、本実施例のイエロ,マゼンタ,
シアンの三色のインクで印刷を行なった場合であって、
各色の記録率を可変した場合の色相と彩度を、CIE1
976L*a*b*色空間(CIELAB空間)のうち
a*b*について表わしたものである。CIELAB空
間では、一般に、(0,0)を原点として、横軸からの
角度が色相を、原点からの距離が彩度を表わしていると
みなすことができる。図11では、通常濃度のCMY
(各々「◇」「□」「○」により表わす)インクひとつ
ひとつについて、その記録率を10パーセントずつ高く
してゆく場合の色相と彩度の変化を読みとることができ
る。
【0042】これに対して、染料の濃度を従来のインク
より1.5倍に調整された本実施例のイエロインク(図
11では「●」で示す)は、濃度を10パーセントずつ
高めると、彩度(鮮やかさ)の変化が従来の濃度のイン
クより大きく、記録率66パーセントで従来のインクの
記録率100パーセントと一致してしまうことが分か
る。当然ドット数の制御範囲は、狭くなる。仮に10×
10のマトリックスを考えるとすると、従来の濃度のイ
ンクでは0から100個までのドットを制御できるのに
対して、濃度1.5倍のイエロインクでは、0から66
個までのドットを制御することになる。
【0043】通常の濃度の三色インクを各々等しい記録
率で記録した場合には、グレーに感じられることになる
が、本実施例のイエロインクY2を用いた場合には、そ
の記録率をシアンやマゼンタインクの記録率と等しくす
ると、色相はグレーからイエロの側に偏っていることに
なる。
【0044】なお、本実施例では、シアンインクCとマ
ゼンタインクMについては、濃淡2種類のインクを採用
しているが、これらのインクの明度は次の関係にある。
シアンインクC1に対してライトシアンインクC2は、
染料の濃度が重量パーセントで約1/4としており、こ
のときの両インクの明度は、ライトシアンインクC2の
記録率が100パーセントの場合の明度が、シアンイン
クC1の記録率が約35パーセントの場合の明度と等し
くなっている。この関係は、マゼンタインクM1,ライ
トマゼンタインクM2においても同様である。濃度の異
なるインクが同一明度となる記録率の割合は、両インク
を混在して印刷した場合の混色の美しさの点から定めた
ものであるが、実用上は、20ないし50パーセントの
範囲に調整することが望ましい。この関係を、両インク
における染料の重量パーセントの割合で表現すると、濃
度の高いインク(シアンインクC1およびマゼンタイン
クM1)における染料の重量パーセントに対して、濃度
の低いインク(ライトシアンインクC2およびライトマ
ゼンタインクM2)における染料の重量パーセントの関
係を、後者が前者の約1/5ないし1/3程度に調整す
ることとほぼ等価である。
【0045】次に、プリンタドライバ96のハーフトー
ンモジュール99内の処理に沿って、本実施例のプリン
タ20における各色インクのドット形成の様子を説明す
る。本実施例のプリンタ20では、濃淡インクを用いて
印刷を行なっており、シアンとマゼンタインクについて
は、濃度の高いインクによるドット(濃ドット)形成と
濃度の低いインクによるドット(淡ドット)形成の処理
が必要になるが、まず以下では、濃度の高いイエロイン
ク、通常濃度のシアンインクおよびマゼンタインクの各
色によるドット形成について説明し、付加的に濃淡イン
クによるドット形成について説明する。図12は、CM
Yの各色についてのハーフトーンモジュール99の処理
の概要を示すフローチャートである。図示するように、
このハーフトーン処理では、基本的に、同じ処理がCM
Yの各色について繰り返される。
【0046】まず、図8に示した色補正モジュール98
によりCYMの各色の階調データに変換されたデータの
うち、シアンインクCについての階調データを入力する
処理を行なう(ステップS100)。階調データは、8
ビットにより表現されているので、0ないし255の値
を取る。次に、この階調データに基づいて、記録率を決
定するテーブルTCを参照し、シアンインクのドットに
ついてのオンオフを決定する処理を行なう(ステップS
110)。各色インクについてのテーブルの一例を、図
13に示す。ある色のインクについてのドットのオン・
オフの決定は、様々な手法、例えば誤差拡散の手法や組
織的ディザ法を採用することができる。本実施例では、
誤差拡散の考え方を採用した。したがって、着目してい
る画素のシアン濃度に基づいてドットのオン・オフを決
定した後、誤差計算と誤差拡散の処理を行なう(ステッ
プS120)。すなわち、その画素についての本当の濃
度とドットをオンまたはオフにしたことにより表現され
た濃度との誤差を計算し、これを着目している画素の周
辺の画素に、所定の重みを付けて分配する処理を行な
う。誤差拡散で印刷を行なう場合、処理済みの画素につ
いて生じた濃淡の誤差を予めその画素の周りの画素に所
定の重みを付けて予め配分しておくので、該当する誤差
分を読み出し、これを今から印刷しようとする画素に反
映させるのである。着目している画素PPに対して、周
辺のどの画素にどの程度の重み付けで、この誤差を配分
するかを、図14に例示した。着目している画素PPに
対して、キャリッジ30の走査方向で数画素、および用
紙Pの搬送方向後ろ側の隣接する数画素に対して、濃度
誤差が所定の重み(1/4,1/8、1/16)を付け
て配分される。
【0047】なお、シアンインクCとマゼンタインクに
ついては、本実施例では、濃淡2種類のインクを用意し
ており、濃淡のドットを形成しているが、イエロインク
Yの濃度を高くした点に特徴を有する本発明の理解の便
を図って、図12に基づく以下の説明では、シアンおよ
びマゼンタについては、通常の濃度のインク(濃インク
C1,M1に相当)だけでドット形成を行なうものとし
た。
【0048】シアンインクについての以上の処理の後、
次に同様の処理をマゼンタインクおよびイエロインクに
ついて繰り返す。即ち、マゼンタについての階調データ
を入力し(ステップS130)、テーブルTMを参照し
てマゼンタのドットのオン・オフを決定し(ステップS
140)、マゼンタについての誤差計算および誤差拡散
の処理を行なう(ステップS150)。また、イエロに
ついての階調データを入力し(ステップS160)、テ
ーブルTYを参照してイエロのドットのオン・オフを決
定し(ステップS170)、イエロについての誤差計算
および誤差拡散の処理を行なう(ステップS180)。
この際、シアン,マゼンタについての記録率と比べ、イ
エロインクによるドット形成の記録率は、図13に示し
たテーブルの相違により、約2/3に低減される。
【0049】イエロについてのドットの記録率が、マゼ
ンタなどのインクのドットの記録率に対して2/3程度
に押さえられている結果、イエロのドットは、階調デー
タが最大の場合でも印刷領域を完全に埋め尽くしてしま
うことがない。図15は、マゼンタとイエロの階調が最
大(階調データで255)の場合のドット形成の様子を
示す説明図である。この例では、分散型ディザ法により
3×3のマトリックスを単位として、ドットのオン・オ
フを決定している。図15(a)は、通常濃度のイエロ
インクY1を用いた場合、階調データが最大の場合に
は、記録率が100[%]になっていることを示す。こ
れに対して、本実施例で用いた高濃度のイエロインクY
2によりドットを形成する場合には、図15(b)に示
すように、階調データが最大(255)の場合でも、イ
エロインクY2のドットは、6個しか形成されない。こ
れに対してマゼンタインクMのドットは、図15(c)
に示したように、3×3の9個形成されることになる。
この結果、両方のインクのドットが形成されると、図1
5(d)に示すように、3個のドットについては、マゼ
ンタインクMのみが用紙に吐出されることになる。
【0050】上述した結果は、イエロインクの染料濃度
を通常のイエロインクに対して1.5倍としたことによ
り生じたものである。イエロインクにより形成されたド
ットは、表現可能な階調数は通常の2/3となっている
が、元々イエロインクは明度が高いため、原画像の低濃
度の領域に対応してまばらにドットが形成されても粒状
化はほとんど感じられない。この結果、粒状化による画
質の低下という問題を引き起こすことなく、単位面積当
たりに形成されるドットの総数、即ち単位面積当たりに
吐出されるインク量を低減することができるという利点
が得られる。単位面積当たりに吐出可能なインクの総量
には、用紙毎に上限(デューティ制限)が存在するた
め、イエロインクの濃度を高くすることにより、必要な
インク量が低減できるメリットは大きい。例えば、コン
ポジットブラックを、シアンインク100[%]+マゼ
ンタインク100[%]+イエロインク60[%]で実
現できるのであれば、通常の濃度のイエロインク(最大
記録率100[%])を用いた場合のデューティ(30
0[%])と比べて、用紙のデューティ制限に対して約
40[%]の余裕が生まれることになる。また、デュー
ティ制限が190[%]の用紙上にダークレッドを出力
する例では、従来はシアン10[%]、マゼンタ100
[%]、イエロ100[%]で印刷すると、その合計は
210[%]となってデューティ制限を越えてしまうた
め、10パーセント分をブラックインクに置き換え、マ
ゼンタ90[%]、イエロ90[%]、ブラック10
[%]で印刷する必要があった。しかし、このようなブ
ラックインクに置き換えて印刷すると、レッド中に最も
高濃度で目立ちやすいブラックのドットがまばらに形成
され、粒状性が悪化し、画質が低下していた。本実施例
では、ブラックインクを用いなくても、シアン10
[%]、マゼンタ100[%]、イエロ67[%]でデ
ューティ制限内に納め、粒状性が良く、高画質な出力を
得ることができる。即ち、本実施例のようにイエロ濃度
を上げれば、それによって得られるデューティ制限の余
裕を利用して、各色インク量を最適化し、更なる高画質
化を図ることが可能となる。
【0051】さらに、本実施例では、イエロインクの染
料濃度を高め、必要なドット数を低減していることか
ら、各色インクの重ね打ちに対して、低減されたドット
数だけ余裕が生じるという利点も得られる。インクの重
なりについては、様々な工夫がなされているが、イエロ
インクについてドット形成されない箇所が1/3程度存
在することは、こうした複数色の重ね打ちにおけるドッ
ト配置の自由度を高めることができるというメリットと
なる。また、イエロインクによるドットの形成数が少な
いと言うことは、所定の面積を印字する際のイエロイン
クの平均的な消費量も少ないと言うことである。この結
果、インクカートリッジ70に搭載すべきイエロインク
の量も低減することができる。インク量を低減すれば、
カートリッジ70の重みが低減でき、カートリッジ70
を搬送する機構も簡略化することができる。また、イエ
ロインクの容量を低減した分、他のインク量を増やすこ
ともできる。本実施例のように、濃淡2種類のインクを
用いる場合には、濃淡インクの量を増やすことができる
ので、そのメリットは大きい。
【0052】以上、本発明の実施例について説明した
が、このプリンタ20では、濃淡2種類のインクを用い
ているので、マゼンタとシアンについての濃淡2種類の
インクの使い分けについて簡単に説明する。テーブルT
Cを参照してシアンCインクのドットのオンオフについ
て決定する処理(ステップS110)および同様にマゼ
ンタについて決定する処理(ステップS140)は、詳
しくは濃淡2種類のインクについてドットを形成するか
否かの判断を行なっている。
【0053】両ステップでは、まず入力した階調データ
DSに基づき、濃ドットのオン・オフを決定する処理を
行なう。この濃ドットのオン・オフを決定する処理の詳
細を、図17の濃ドット形成判断処理ルーチンに示し
た。この処理ルーチンでは、まず、階調データDSに基
づいて図18のテーブルを参照して、濃レベルデータD
thを生成する処理を行なう(ステップS222)。図
18は、元の画像の階調データに対して、淡インクと濃
インクの記録率をどの程度にするかを設定するテーブル
を示す。階調データは、各色について0〜255までの
値をとるものしているから(各色8ビット)、以下階調
データの大きさを16/256等のように表現する。図
18のテーブルは、最終的に得られる印刷物における濃
インクと淡インクの割合を示すものであり、ある階調デ
ータが与えられたとき、一意に濃インクの記録率と淡イ
ンクの記録率を与えて、着目している画素の濃インクま
たは淡インクによるドットのオン・オフを定めるもので
はない。この関係を簡単に説明すると、本実施例では、
まずこのテーブルを利用して濃ドットのオン・オフを判
定し、その結果を参照して淡ドットのオン・オフを判定
する。従って、淡ドットの記録率が図18に示したテー
ブルに一致するのは、次の理由による。
【0054】単位面積当たりの画像の濃度は、そこに形
成される濃ドットと淡ドットの数により表すことができ
る。図18に従って、単位面積当たりに形成された濃ド
ットの数を、濃度が最大の場合を値255としてこれに
対する割合として考え、これをKsとする。同様に淡ド
ットの数をUsとする。このとき、形成される画像の濃
度を入力した画像の階調データDSに等しくしようとす
れば、 DS=Ks×(濃ドットの評価値)/255+Us×
(淡ドットの評価値)/255 となる。濃ドットの評価値(形成されたドットの濃さ)
は255と見なすことができるので、濃ドットのテーブ
ルと淡ドットの評価値をいくつにとるかにより、図18
に示した淡ドットのテーブルが決まることになる。図1
8に示した例では、たとえば淡ドットの記録率が最大と
なる点(階調データが95、濃ドットデータが18、淡
ドットデータが122)のデータを上式に入力すると、
淡ドット評価値をZとして 95=18×255/255+122×Z/255 となり、淡ドット評価値は、160となる。なお、この
濃ドット評価値、淡ドット評価値は、後述する濃ドッ
ト、淡ドットのオン・オフの決定手法のフローチャート
で結果値RVとして扱われているものと同じものであ
る。
【0055】入力した階調データDSに基づいて、図1
8のテーブルを参照することにより、予め定めた濃イン
クの記録率に対応した濃レベルデータDthを得る(図
18右側縦軸)。例えば、入力したシアンの階調データ
が50/256のベタの領域を印刷する場合には、濃イ
ンクであるシアンインクC1の記録率は0パーセントで
あり、濃レベルデータも値0となる。階調データが95
/256のベタの領域を印刷する場合には、濃インクで
あるシアンインクC1の記録率は7パーセントであり、
濃レベルデータDthは値18となる。更に、階調デー
タが191/256のベタ領域を印刷する場合にはシア
ンインクC1の記録率は75パーセントであって、濃レ
ベルデータは値191となる。これらの場合に、後述す
る手法で淡ドットのオン・オフを判断すると、それぞ
れ、淡インクであるライトシアンインクC2の記録率は
36パーセント、58パーセント、0パーセントとな
る。
【0056】次に、こうして得られた濃レベルデータD
thが閾値Dref1より大きいか否かの判断を行なう(ス
テップS224)。この閾値Dref1は、着目した画素に
濃インクによるドットを形成するか否かの判定値であっ
て、単純に濃レベルデータDthの最大値の1/2程度
に固定することもできる。本実施例では、この閾値の設
定に分散型ディザの閾値マトリックスを採用し、特に6
4×64程度の大域的マトリックス(ブルーノイズマト
リックス)を利用し、組織的ディザ法を適用し、閾値と
して分散型のマトリックスを採用した。従って、濃ドッ
トのオンオフを定める閾値Dref1は、着目する画素毎に
異なった値となる。分散型の閾値マトリックスとは、そ
の閾値マトリックスにより決定されるドットの空間周波
数が高いものであり、ドットが領域内でバラバラに発生
するタイプを言う。具体的には、Beyer型の閾値マ
トリックスなどが知られている。分散型のディザを採用
すると、濃ドットの発生がバラバラに行なわれるので、
濃淡ドットの分布が偏らず、画質が向上する。
【0057】濃ドットデータDthが閾値Dref1より大
きい場合には、その画素の濃ドットをオンにするものと
判断し、更に結果値RVを演算する処理を行なう(ステ
ップS226)。結果値RVは、その画素の濃度に相当
する値(濃ドット評価値)であり、濃ドットがオン、即
ちその画素に濃度の高いインクによるドットを形成する
と判断した場合には、その画素の濃度の対応した値(例
えば値255)が設定される。この結果値RVは、固定
値でも良いが、濃レベルデータDthの関数として設定
しても良い。
【0058】他方、濃レベルデータDthが閾値Dref1
以下の場合には、濃ドットをオフ、即ち形成しないと判
断し、更に結果値RVに値0を代入する処理を行なう
(ステップS228)。濃度の高いインクによるドット
が形成されない箇所は、用紙の白地が残ることから、結
果値RVを値0とするのである。
【0059】こうして濃ドットのオン・オフを決定し、
結果値RVを演算する処理を行なった後、次に図17に
示すように、まず、着目している画素の階調データDS
に近傍の処理済みの画素からの拡散誤差ΔDuを加えた
補正データDCを求める処理を行なう(ステップS24
0)。これは、誤差拡散の処理を行なうためである。そ
の後、濃ドットをオン(シアンインクC1によるドット
形成)としたか否かを判断し(ステップS242)、濃
ドットを形成していない場合には、濃度の低いドット、
即ちライトシアンインクC2によるドット(以下、淡ド
ットと呼ぶ)のオン・オフを決定する処理を行なう(ス
テップS244以下の処理)。
【0060】ライトシアンインクC2によるドットの形
成は、実施例では、この誤差拡散法を適用し、誤差拡散
の考え方で補正した階調データDCが淡ドット用の閾値
Dref2より大きいか否かの判断を行なう(ステップS2
44)。この閾値Dref2は、着目した画素に濃度の低い
淡インクによるドットを形成するか否かの判定値であっ
て、本実施例では、補正済みのデータDCに応じて可変
される値として設定した。
【0061】補正データDCが閾値Dref2より大きけれ
ば淡ドットをオンすると判断し、結果値RV(淡ドット
評価値)を演算する(ステップS246)。結果値RV
は、本実施例では、値122を基準値とし、補正データ
DCにより補正される値とした。他方、補正データDC
が閾値Dref2以下と判断された場合には、淡ドットをオ
フにすると判断し、結果値RVに値0を算入する処理を
行なう(ステップS248)。
【0062】こうして淡ドットと濃ドットによる記録が
行なわれることになるが、この様子をシアンインクC1
とライトシアンインクC2とについて模式的に示したの
が、図19である。入力された階調データが低い領域
(実施例では、階調データが0/256〜63/256
の領域)では、図19(a),(b)に示すように、ラ
イトシアンインクC2によるドットだけが形成され、か
つ階調データが高くなるにつれて、所定の領域内に存在
する淡ドットの割合は増加し(図19(c)ないし
(e))、階調データが更に高くなると、淡ドットの形
成は行なわれなくなり濃ドットだけが形成される(図1
9(f),(g))。階調データが最大となれば、図1
9(h)に示すように、濃ドットによる記録率が100
パーセントとなる。
【0063】以上説明した本実施例のプリンタ20で
は、通常より染料濃度の高いイエロインクを採用する一
方で、濃淡2種類のシアンインクおよびマゼンタインク
を有するインクカートリッジ70をキャリッジ30に搭
載し、入力画像の階調が低い領域では、染料濃度の低い
ライトシアンインクおよびライトマゼンタインクを用い
て印字を行なうので、階調が低い領域での粒状感が目立
たず、印字品質が極めて高いという利点が得られる。イ
エロインクの濃度は、イエロインクのドットについての
粒状感が目立たない範囲で高くすることができるから、
染料濃度で4倍程度までは可能である。このとき、イエ
ロインクの平均的な吐出量を、大幅に低減することがで
きる。
【0064】上記実施例では、イエロインクの濃度を高
くしたが、イエロインクに限定されるものではなく、印
刷に利用されるインクの色の組み合わせの中で、最も明
度の高いインクあるいは最も粒状化の視認性が低いイン
クの濃度を高めればよい。また、本実施例では、イエロ
インクの染料濃度を高めたことによる色バランスの偏り
の是正は、イエロインクのドット形成の割合を低くする
ことにより行なったが、イエロインクにより形成される
ドットの径を低減することによっても、この偏りを是正
することができる。用紙P上に形成されるドットの大き
さは、インク吐出用のノズルの直径やピエゾ素子PEに
印可する電圧パルスの強さ(電圧及び継続時間)等を調
整することにより制御することができる。例えば、上記
実施例のイエロインク用のノズル66を小径ドット用の
ノズルとして形成し、シアンインクC用のノズル62,
63とマゼンタインクM用のノズル64,ロゴを大径ド
ット用のノズルとして形成すればよい。
【0065】上記本実施例では、各色ドットの形成を制
御するプログラムは、プリンタ20側ではなくコンピュ
ータ90のプリンタドライバ96側に用意したが、プリ
ンタ20内に用意することも可能である。例えば、コン
ピュータ90からは、ポストスクリプトなどの言語によ
り印刷する画像情報が送られてくる場合には、プリンタ
20側にハーフトーンモジュール99などを持つことに
なる。また、これらの機能を実現するソフトウェアプロ
グラムは、本実施例では、コンピュータ90内のハード
ディスク等に記憶されており、コンピュータ90が起動
する際にプリンタドライバの形態でオペレーティングシ
ステムに組み込まれるが、フロッピディスクやCD−R
OM等の携帯型記憶媒体(可搬型記憶媒体)に格納さ
れ、携帯型記憶媒体からコンピュータシステムのメイン
メモリまたは外部記憶装置に転送されるものとすること
も可能である。また、コンピュータ90からプリンタ2
0の内部に転送して利用する形態とすることも可能であ
る。なお、通信回線を介して、これのソフトウェアプロ
グラムを提供する装置を設け、上記ハーフトーンモジュ
ールの処理内容を、通信回線を介して、このコンピュー
タやプリンタ20に転送して利用する形態とすることも
できる。
【0066】また、上述した実施例では、濃淡いずれの
インクの吐出も、ピエゾ素子PEを用い、ピエゾ素子P
Eに所定時間幅の電圧を印可することにより行なってい
るが、この他のインク吐出方式を採用することも容易で
ある。実用化されているインク吐出方式としては、大ま
かに分けると、連続したインク噴流からインク粒子を分
離して吐出する方式と、上述した実施例でも採用された
方式であるオンデマンド方式に大別される。前者には、
荷電変調によりインクの噴流から液滴を分裂させる荷電
変調方式、インクの噴流から大径粒子が分裂する際に生
じる微少なサテライト粒子を印字に利用するマイクロド
ット方式などが知られている。これらの方式も、複数種
類の濃度のインクを利用した本発明の印刷装置に適用可
能である。
【0067】また、オンデマンド方式は、ドット単位で
インク粒子が必要となったとき、インク粒子を生成する
ものであり、上述した実施例で採用したピエゾ素子を用
いた方式の他、図20(A)〜(E)に示すように、イ
ンクのノズルNZ近傍に発熱体HTを設け、インクを加
熱することでバブルBUを発生させ、その圧力によりイ
ンク粒子IQを吐出する方式などが知られている。これ
らのオンデマンド方式のインク吐出方式も、複数種類の
濃度のインクあるいは径の異なる複数のドットを利用す
る本発明の印刷装置に適用可能である。なお、明度の最
も高いインクまたは粒状化の視認性が最も低いインクの
濃度を高くすると言う考え方は、このほか、熱転写方式
のカラープリンタやレーザなどの電子写真方式のカラー
プリンタにも適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例のプリンタ20の概略構成図である。
【図2】プリンタ20における制御回路40の構成を示
すブロック図である。
【図3】キャリッジ30の構成を示す斜視図である。
【図4】印字ヘッド28における各色ヘッド61ないし
66の配置を示す説明図である。
【図5】カラーインク用カートリッジ70の形状を示す
斜視図である。
【図6】各色ヘッド61ないし66におけるインク吐出
のための構成を示す説明図である。
【図7】ピエゾ素子PEの伸張によりインク粒子Ipが
吐出される様子を示す説明図である。
【図8】コンピュータ90が扱う画像情報から印刷が行
なわれるまでの処理の様子を例示するブロック図であ
る。
【図9】各色インクの成分を示す説明図である。
【図10】各色インクの記録率と明度との関係を例示す
るグラフである。
【図11】CIELAB空間での各色インクの色相と彩
度の関係を示す説明図である。
【図12】ハーフトーンモジュール99における処理を
例示するフローチャートである。
【図13】シアン,マゼンタ,イエロインクにおける入
力データと記録率との関係を示すテーブルを示す説明図
である。
【図14】誤差拡散における周辺ドットへの誤差の配分
の様子を例示する説明図である。
【図15】イエロとマゼンタインクによるドットの形成
の様子を示す説明図である。
【図16】濃ドット形成判断処理ルーチンを示すフロー
チャートである。
【図17】淡ドット形成判断処理ルーチンを示すフロー
チャートである。
【図18】本実施例における淡インクと濃インクとによ
る記録率と階調データとの関係を例示するグラフであ
る。
【図19】濃淡インクによるドット形成の過程を例示し
た説明図である。
【図20】インク粒子の吐出機構の他の構成例を示す説
明図である。
【符号の説明】
20…プリンタ 22…紙送りモータ 24…キャリッジモータ 26…プラテン 28…印字ヘッド 30…キャリッジ 31…仕切板 32…操作パネル 34…摺動軸 36…駆動ベルト 38…プーリ 39…位置検出センサ 40…制御回路 41…CPU 43…ROM 44…RAM 50…I/F専用回路 52…ヘッド駆動回路 54…モータ駆動回路 56…コネクタ 61〜66…インク吐出用ヘッド 70…カラーインク用カートリッジ 71…導入管 80…インク通路 90…コンピュータ 91…ビデオドライバ 93…CRTディスプレイ 95…アプリケーションプログラム 96…プリンタドライバ 97…ラスタライザ 98…色補正モジュール 99…ハーフトーンモジュール P…用紙 PE…ピエゾ素子 n…ノズル
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 2C056 EA04 ED05 ED07 EE03 EE09 FA02 KC01 5B057 AA11 CA01 CA08 CA12 CA16 CB01 CB08 CB12 CB16 CC01 CE11 CE17 CH07 CH08 5C077 LL17 MP08 NN08 PP33 PP37 PP68 PQ12 PQ20 PQ23 SS02 TT05 5C079 HB02 KA15 LA12 LB01 LC04 MA04 MA11 NA25 PA03

Claims (18)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 混在することにより所定範囲の色相を表
    現可能な3種類以上のインクを被印刷物に記録可能なヘ
    ッドを備えた印刷装置であって、 前記各色インクのうち、同じ記録率当たりの明度が最も
    高いインクと他のインクとの濃度比を、これらのインク
    の単位面積当たりの記録率を等しくしたときの色バラン
    スが該明度が最も高いインクの側に偏るよう該各色イン
    クを備え、 該偏りを是正する比率まで、該明度が最も高いインクの
    記録量を補正する補正手段を有する印刷装置。
  2. 【請求項2】 混在することにより所定範囲の色相を表
    現可能な3種類以上のインクを被印刷物に記録可能なヘ
    ッドを備えた印刷装置であって、 前記各色インクのうち、同じ記録率とした場合の粒状化
    の視認性が最も低いインクと他のインクとの濃度比を、
    これらのインクの単位面積当たりの記録率を等しくした
    ときの色バランスが該粒状化の視認性が最も低いインク
    の側に偏るよう該各色インクを備え、 該偏りを是正する比率まで、該粒状化の視認性が最も低
    いインクの記録量を補正する補正手段を有する印刷装
    置。
  3. 【請求項3】 前記3種類以上のインクが、イエロ,マ
    ゼンタ,シアンであり、前記明度が最も高いインクまた
    は粒状化の視認性が最も低いインクがイエロである請求
    項1または請求項2記載の印刷装置。
  4. 【請求項4】 前記明度が最も高いインクまたは粒状化
    の視認性が最も低いインクの染料濃度が、前記3種類以
    上のインクの単位面積当たりの記録率が等しい場合にバ
    ランスする濃度より1.1ないし4倍の範囲で高くされ
    た請求項1または請求項2記載の印刷装置。
  5. 【請求項5】 前記明度が最も高いインクまたは粒状化
    の視認性が最も低いインクの記録量の補正が、該インク
    によるドットの形成の割合を低減するものである請求項
    1または請求項2記載の印刷装置。
  6. 【請求項6】 前記明度が最も高いインクまたは粒状化
    の視認性が最も低いインクの記録量の補正が、該インク
    によるドットの径を低減するものである請求項1または
    請求項2記載の印刷装置。
  7. 【請求項7】 請求項1または請求項2記載の印刷装置
    であって、 前記被印刷物に記録される前記3種類以上の各インク
    が、染料または顔料を溶剤に溶融または分散した溶液と
    して提供され、 前記ヘッドは、該染料または顔料を含有する溶液を、該
    被印刷物に吐出するヘッドであり、 前記補正手段は、インクの吐出量の補正を行なう手段で
    ある印刷装置。
  8. 【請求項8】 請求項7記載の印刷装置であって、 前記溶液として提供される3種類以上のインクのうち、
    吐出量の補正がなされるインク以外のインクについて
    は、濃淡2種類以上の濃度のインクを備え、 前記ヘッドは、該濃淡2種類以上の濃度のインクと共
    に、前記前記明度が最も高いインクまたは粒状化の視認
    性が最も低いインクを吐出可能である印刷装置。
  9. 【請求項9】 前記濃淡インクはマゼンタおよびシアン
    の各色インクについて備えられ、各色の低濃度インクの
    染料濃度は、高濃度インクの染料濃度の略1/4である
    請求項8記載の印刷装置。
  10. 【請求項10】 前記ヘッドは、インク通路に設けられ
    た電歪素子への電圧の印加によりインクに付与される圧
    力によってインク粒子を吐出する機構を備えた請求項7
    記載の印刷装置。
  11. 【請求項11】 前記ヘッドは、インク通路に設けられ
    た発熱体への通電により発生する気泡により該インク通
    路のインクに付与される圧力によってインク粒子を吐出
    する機構を備えた請求項7記載の印刷装置。
  12. 【請求項12】 ディザ法により前記各色インクによる
    ドットの有無を決定する手段を備えた請求項1または請
    求項2記載の印刷装置。
  13. 【請求項13】 前記ディザ法の閾値マトリックスが分
    散型の閾値マトリックスである請求項12記載の印刷装
    置。
  14. 【請求項14】 混在することにより所定範囲の色相を
    表現可能な3種類以上のインクを記録可能なヘッドを備
    え、印刷しようとする画像の階調信号に基づいて該3種
    類以上のインクのドットの分布を制御して多階調の画像
    を印刷する方法であって、 前記各色インクのうち、同じ記録率当たりの明度が最も
    高いインクと他のインクとの濃度比を、これらのインク
    の単位面積当たりの記録率を等しくしたときの色バラン
    スが該明度が最も高いインクの側に偏るよう設定し、 該偏りを是正する比率まで、該明度が最も高いインクの
    記録量を補正する印刷方法。
  15. 【請求項15】 混在することにより所定範囲の色相を
    表現可能な3種類以上のインクを記録可能なヘッドを備
    え、印刷しようとする画像の階調信号に基づいて該3種
    類以上のインクのドットの分布を制御して多階調の画像
    を印刷する方法であって、 前記各色インクのうち、同じ記録率とした場合の粒状化
    の視認性が最も低いインクと他のインクとの濃度比を、
    これらのインクの単位面積当たりの記録率を等しくした
    ときの色バランスが該粒状化の視認性が最も低いインク
    の側に偏るよう設定し、 該偏りを是正する比率まで、該粒状化の視認性が最も低
    いインクの記録量を補正する印刷方法。
  16. 【請求項16】 請求項1または請求項2記載の印刷装
    置に装着して用いられるインクカートリッジであって、 混在することにより所定範囲の色相を表現可能な3種類
    以上のインクを収納し、 該3種類以上のインクのうち、前記明度が最も高いイン
    クまたは粒状化の視認性が最も低いインクについては、
    その染料濃度を、他のインクと比べて、単位面積当たり
    の記録率が等しい場合にバランスする濃度より高く設定
    すると共に、その収容量を、他のインクの収容量と同等
    または少ない容量としたインクカートリッジ。
  17. 【請求項17】 請求項8記載の印刷装置に装着して用
    いられるインクカートリッジであって、 前記明度が最も高いインクまたは粒状化の視認性が最も
    低いインクの容量を、前記濃淡2種類以上用意されたイ
    ンクの各収容量と同等もしくは多い容量としたインクカ
    ートリッジ。
  18. 【請求項18】 請求項14または請求項15記載の印
    刷方法に用いられるインクカートリッジであって、 混在することにより所定範囲の色相を表現可能な3種類
    以上のインクを収納し、 該3種類以上のインクのうち、前記明度が最も高いイン
    クまたは粒状化の視認性が最も低いインクについては、
    その染料濃度を、他のインクと比べて、単位面積当たり
    の記録率が等しい場合にバランスする濃度より高く設定
    すると共に、その収容量を、他のインクの収容量と同等
    または少ない容量としたインクカートリッジ。
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