JP2002367628A - 固体高分子型燃料電池用電極構造体 - Google Patents
固体高分子型燃料電池用電極構造体Info
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Abstract
で、優れた発電性能を備える固体高分子型燃料電池用電
極構造体を提供する。 【解決手段】触媒としての白金粒子を担持させた炭素粒
子を含む一対の電極触媒層と、両電極触媒層に挟持され
た高分子電解質膜とを備える。高分子電解質膜は一般式
1で表される第1の繰返し単位と、一般式2で表される
第2の繰返し単位との共重合体のスルホン化物を溶媒に
溶解した溶液から成膜、乾燥してなり、乾燥後に前記溶
媒を3〜12重量%の範囲で含む。前記共重合体は、前
記第1の繰返し単位10〜80モル%と、前記第2の繰
返し単位90〜20モル%とからなる。前記共重合体
は、スルホン酸基を0.5〜3.0ミリグラム当量/g
の範囲で含む。 (式中、Aは電子吸引性基、Bは電子供与性基、nは0
または1、Yは−C(CF3)2−又は−SO2−であ
り、ベンゼン環はその誘導体を含む)
Description
電池に用いられる電極構造体に関するものである。
消費による地球温暖化等の環境問題が深刻化しており、
二酸化炭素の発生を伴わないクリーンな電動機用電力源
として燃料電池が注目されて広範に開発されると共に、
一部では実用化され始めている。前記燃料電池を自動車
等に搭載する場合には、高電圧と大電流とが得やすいこ
とから、高分子電解質膜を用いる固体高分子型燃料電池
が好適に用いられる。
造体として、白金等の触媒がカーボンブラック等の触媒
担体に担持されイオン導伝性高分子バインダーにより一
体化されることにより形成されている一対の電極触媒層
を備え、両電極触媒層の間にイオン導伝可能な高分子電
解質膜を挟持すると共に、各電極触媒層の上に、拡散層
を積層したものが知られている。前記電極構造体は、さ
らに各電極触媒層の上に、ガス通路を兼ねたセパレータ
を積層することにより、固体高分子型燃料電池を構成す
る。
極触媒層を燃料極として前記拡散層を介して水素、メタ
ノール等の還元性ガスを導入すると共に、他方の電極触
媒層を酸素極として前記拡散層を介して空気、酸素等の
酸化性ガスを導入する。このようにすると、燃料極側で
は、前記電極触媒層に含まれる触媒の作用により、前記
還元性ガスからプロトンが生成し、前記プロトンは前記
高分子電解質膜を介して、前記酸素極側の電極触媒層に
移動する。そして、前記プロトンは、前記酸素極側の電
極触媒層で、前記電極触媒層に含まれる触媒の作用によ
り、該酸素極に導入される前記酸化性ガスと反応して水
を生成する。従って、前記燃料極と酸素極とを導線によ
り接続することにより電流を取り出すことができる。
解質膜としてパーフルオロアルキレンスルホン酸高分子
化合物(例えば、デュポン社製ナフィオン(商品名))
が広く利用されている。前記パーフルオロアルキレンス
ルホン酸高分子化合物は、スルホン化されていることに
より優れたプロトン導伝性を備えると共に、フッ素樹脂
としての耐薬品性とを併せ備えているが、非常に高価で
あるとの問題がある。
酸高分子化合物に代わる廉価なイオン導伝性材料を用い
て、固体高分子型燃料電池用電極構造体を構成すること
が検討されている。
ば、ポリエーテルケトンやポリベンゾイミダゾールをス
ルホン化したものがある。しかし、前記イオン導伝性材
料はいずれもイオン導電性、機械的強度に劣るという問
題がある。
には、前記廉価なイオン導伝性材料として、剛直ポリフ
ェニレンをスルホン化したものが提案されている。前記
明細書記載の剛直ポリフェニレンのスルホン化物は、フ
ェニレン連鎖を備える芳香族化合物を重合して得られる
ポリマーを主成分として、該ポリマーをスルホン化した
ものであり、イオン導電性に優れている。
スルホン化物は靱性が低く、該剛直ポリフェニレンのス
ルホン化物を高分子電解質膜として電極構造体を構成し
たときに該高分子電解質膜が割れやすくなるという不都
合がある。
合を解消して、靱性に優れた高分子電解質膜を備え製造
容易であると共に、優れた発電性能を備える固体高分子
型燃料電池用電極構造体を提供することを目的とする。
めに、本発明者らは種々検討を重ねた結果、特定の分子
構造を備える共重合体のスルホン化物により前記高分子
電解質膜を構成すると共に、該スルホン化物を溶媒に溶
解した溶液から成膜して乾燥する際に、乾燥後に所定の
範囲の溶媒を残存させることにより、優れた靱性を備え
る高分子電解質膜が得られることを見出し、本発明を完
成した。
電極構造体は、一対の電極触媒層と、両電極触媒層に挟
持された高分子電解質膜とを備える固体高分子型燃料電
池用電極構造体において、前記高分子電解質膜は一般式
(1)で表される第1の繰返し単位と、一般式(2)で
表される第2の繰返し単位との共重合体のスルホン化物
を溶媒に溶解した溶液から成膜、乾燥してなり、乾燥後
に前記溶媒を3〜12重量%の範囲で含むことを特徴と
する。
物は、一般式(1)で表される第1の繰返し単位と、一
般式(2)で表される第2の繰返し単位との共重合体を
スルホン化して得られる。尚、本明細書において、前記
電子吸引性基とは、−CO−、−CONH−、−(CF
2)p−(pは1〜10の整数)、−C(CF3)2−、−
COO−、−SO−、−SO2−等のハメット置換基常
数がフェニル基のメタ位では0.06以上、フェニル基
のパラ位では0.01以上の値となる2価の基をいう。
また、本明細書において、前記電子供与性基とは、−O
−、−S−、−CH=CH−、−C≡C−等の2価の基
をいう。
が結合していないベンゼン環、換言すれば電子供与性基
のみが結合しているベンゼン環に対して起きる。従っ
て、一般式(1)で表される第1の繰返し単位と、一般
式(2)で表される第2の繰返し単位との共重合体をス
ルホン化すると、第1の繰返し単位の主鎖となるベンゼ
ン環と、第2の繰返し単位の各ベンゼン環とにはスルホ
ン酸基が導入されず、第1の繰返し単位の側鎖のベンゼ
ン環にスルホン酸基が導入されることになる。そこで、
前記共重合体では、第1の繰返し単位と第2の繰返し単
位とのモル比を調整することにより、導入されるスルホ
ン酸基の量を制御して、イオン導伝性と靱性とに優れた
高分子電解質膜を得ることができる。
して、具体的には、次式(3)で示される2,5−ジク
ロロ−4’−(4−フェノキシフェノキシ)ベンゾフェ
ノン等を挙げることができる。
マーとして、具体的には、次式(4)で示される2,2
−ビス〔4−{4−(4−クロロベンゾイル)フェノキ
シ}フェニル〕−1,1,1,3,3,3−ヘキサフル
オロプロパン、次式(5)で示される2,2−ビス〔4
−{4−(4−クロロベンゾイル)フェノキシ}フェニ
ル〕スルホン等を挙げることができる。
ルホン化物を溶媒に溶解した溶液からキャスト法等によ
り成膜し、乾燥することにより作成される。このとき、
前記高分子電解質膜は、乾燥後に前記溶媒を3〜15重
量%の範囲で含むことにより特に優れた靱性を得ること
ができる。
の含有量が3重量%未満であるときには十分な靱性が得
られず、15重量%を超えると十分な発電性能が得られ
ない。
構造体を得るために、N−メチルピロリドンが適してい
る。
電解質膜を構成する共重合体は、導入されるスルホン酸
基の量を制御して、イオン導伝性と靱性とを好ましい範
囲とするために、前記第1の繰返し単位10〜80モル
%と、前記第2の繰返し単位90〜20モル%とからな
ることが好ましい。前記第1の繰返し単位が10モル%
未満で、前記第2の繰返し単位が90モル%を超える
と、前記共重合体に導入されるスルホン酸基の量が少な
く、十分なイオン導伝性が得られないことがある。ま
た、前記第1の繰返し単位が80モル%を超え、前記第
2の繰返し単位が20モル%未満であると、前記共重合
体に導入されるスルホン酸基の量が多くなり、十分な靱
性が得られないことがある。
高分子電解質膜を構成する共重合体は、イオン導伝性と
靱性とを好ましい範囲とするために、スルホン酸基を
0.5〜3.0ミリグラム当量/gの範囲で含有するこ
とが好ましい。前記共重合体が含有するスルホン酸基の
量が0.5ミリグラム当量/g未満では十分なイオン導
伝性が得られないことがあり、3.0ミリグラム当量/
gを超えると十分な靱性が得られないことがある。
ガスを供給すると共に、他方の面に還元性ガスを供給す
ることにより発電する固体高分子型燃料電池を構成する
ことができる。
本発明の実施の形態についてさらに詳しく説明する。図
1は本実施形態の電極構造体の構成を示す説明的断面図
であり、図2は本実施形態の電極構造体に用いる高分子
電解質膜の初期イオン導伝率と該高分子電解質膜が含有
する溶媒の量との関係を示すグラフ、図3は本実施形態
の電極構造体に用いる高分子電解質膜のイオン導伝率保
持率と該高分子電解質膜が含有する溶媒の量との関係を
示すグラフ、図4は本実施形態の電極構造体に用いる高
分子電解質膜の靱性と該高分子電解質膜が含有する溶媒
の量との関係を示すグラフである。
に、一対の電極触媒層1,1と、両電極触媒層1,1に
挟持された高分子電解質膜2と、各電極触媒層1,1の
上に積層された拡散層3,3とからなる。
ることができる。
ロロ−4’−(4−フェノキシフェノキシ)ベンゾフェ
ノンと、次式(4)で示される2,2−ビス〔4−{4
−(4−クロロベンゾイル)フェノキシ}フェニル〕−
1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパンと
を、50:50の重合比で重合させて次式(6)の共重
合体を得る。
チレン換算重量平均分子量で、1万〜100万の範囲に
あることが好ましい。前記ポリマー分子量が1万未満で
は高分子電解質膜として好適な機械的強度が得られない
ことがあり、100万を超えると後述のように成膜のた
めに溶媒に溶解する際に溶解性が低くなったり、溶液の
粘度が高くなり、取り扱いが難しくなる。
ホン化し、例えば、イオン交換容量が2.3meq/g
のスルホン化物を得る。次に、前記共重合体のスルホン
化物を、N−メチルピロリドンに溶解して高分子電解質
溶液とし、該高分子電解質溶液からキャスト法により成
膜し、オーブンにて乾燥することにより、例えば、乾燥
膜厚50μmの高分子電解質膜2を作成する。
ック)に白金粒子を所定の重量比(例えば、カーボンブ
ラック:白金=1:1)で担持させ、触媒粒子を作成す
る。次に、イオン導伝性バインダー溶液(例えば、パー
フルオロアルキレンスルホン酸高分子化合物(デュポン
社製ナフィオン(商品名))に、前記触媒粒子を所定の
重量比(例えば、イオン導伝性バインダー:触媒粒子=
8:5)で均一に分散させ、触媒ペーストを調製する。
オロエチレン(PTFE)粒子とを所定の重量比(例え
ば、カーボンブラック:PTFE粒子=4:6)で混合
し、得られた混合物をエチレングリコール等の溶媒に均
一に分散させたスラリーをカーボンペーパーの片面に塗
布、乾燥させて下地層とし、該下地層とカーボンペーパ
ーとからなる拡散層3を2つ作成する。
を、白金含有量が所定の量(例えば、0.5mg/cm
2)となるようにスクリーン印刷し、乾燥させることに
より電極触媒層1とし、電極触媒層1と拡散層3とから
なる一対の電極を作成する。前記乾燥は、例えば60℃
で10分間の乾燥を行い、次いで120℃で60分間の
減圧乾燥を行う。
触媒層1側で挟持し、ホットプレスを行って図1示の電
極構造体を得た。前記ホットプレスは、例えば80℃、
5MPaで2分間の一次ホットプレスを行い、次いで1
60℃、4MPaで1分間の二次ホットプレスを行う。
3の上にさらにガス通路を兼ねるセパレータを積層する
ことにより、固体高分子型燃料電池を構成することがで
きる。
媒の含有量を0〜30重量%の範囲で変量して、9種の
高分子電解質膜2(乾燥膜厚50μm)を作成し、各高
分子電解質膜2の初期イオン導伝率、イオン導伝率の保
持率、靱性を測定した。
質膜2を2枚の白金電極で挟持し、温度85℃、相対湿
度90%の条件下、交流2端子法(周波数10kHz)
で測定した。結果を図2に示す。
期イオン導伝率測定後、60日間放置した前記高分子電
解質膜2について、前記初期イオン導伝率と同一の方法
によりイオン導伝率を測定し、該イオン導伝率の前記初
期イオン導伝率に対する百分率として算出した。結果を
図3に示す。
をJIS7号ダンベルに加工し、チャック間距離20m
m、クロスヘッドスピード50ミリ/分、温度25℃、
相対湿度50%の条件下、引張り破断伸びとして測定し
た。結果を図4に示す。
は、乾燥後の溶媒の含有量が15重量%を超えると、初
期イオン導伝率、イオン導伝率保持率が急激に低下する
ことが明らかであり、乾燥後の溶媒の含有量が3%未満
では十分な引張り破断伸びが得られず、靱性が低いこと
が明らかである。
高分子電解質膜2の乾燥後の溶媒の含有量を3〜15重
量%の範囲とすることにより、前記イオン導伝率を備え
る高分子電解質膜2のために優れた発電性能が得られる
ことが明らかであり、前記引張り破断伸び(靱性)を備
える高分子電解質膜2のために容易に製造できることが
明らかである。
ホン化物を、N−メチルピロリドンに替えてジメチルア
セトアミドに溶解して高分子電解質溶液とし、該高分子
電解質溶液からキャスト法により成膜した以外は、前記
実施形態と全く同一にして、乾燥膜厚50μm、乾燥後
の溶媒の含有量が5重量%である高分子電解質膜を作成
した。前記高分子電解質膜(比較例)について、前記実
施形態と全く同一の方法により、初期イオン導伝率、イ
オン導伝率保持率、靱性を測定した。結果を、前記実施
形態における乾燥後の溶媒の含有量が5重量%である高
分子電解質膜2(実施例)と共に、表1に示す。
スルホン化物をN−メチルピロリドンに溶解した高分子
電解質溶液から成膜した前記高分子電解質膜(実施例)
は、前記共重合体のスルホン化物をジメチルアセトアミ
ドに溶解した高分子電解質溶液から成膜した前記高分子
電解質膜(比較例)に対して、初期イオン導伝率と、引
張り破断伸び(靱性)とはほぼ同等であるが、イオン導
伝率保持率が格段に優れている。従って、前記実施例の
高分子電解質膜を用いることにより、優れた発電性能を
備える電極構造体を得ることができることが明らかであ
る。
図。
初期イオン導伝率該高分子電解質膜が含有する溶媒の量
との関係を示すグラフ。
イオン導伝率保持率と該高分子電解質膜が含有する溶媒
の量との関係を示すグラフ。
靱性と該高分子電解質膜が含有する溶媒の量との関係を
示すグラフ。
Claims (5)
- 【請求項1】一対の電極触媒層と、両電極触媒層に挟持
された高分子電解質膜とを備える固体高分子型燃料電池
用電極構造体において、 前記高分子電解質膜は一般式(1)で表される第1の繰
返し単位と、一般式(2)で表される第2の繰返し単位
との共重合体のスルホン化物を溶媒に溶解した溶液から
成膜、乾燥してなり、乾燥後に前記溶媒を3〜15重量
%の範囲で含むことを特徴とする固体高分子型燃料電池
用電極構造体。 【化1】 - 【請求項2】前記溶媒は、N−メチルピロリドンである
ことを特徴とする請求項1記載の固体高分子型燃料電池
用電極構造体。 - 【請求項3】前記共重合体は、前記第1の繰返し単位1
0〜80モル%と、前記第2の繰返し単位90〜20モ
ル%とからなることを特徴とする請求項1記載の固体高
分子型燃料電池用電極構造体。 - 【請求項4】前記共重合体は、スルホン酸基を0.5〜
3.0ミリグラム当量/gの範囲で含有することを特徴
とする請求項1または請求項2記載の固体高分子型燃料
電池用電極構造体。 - 【請求項5】一対の電極触媒層と、両電極触媒層に挟持
された高分子電解質膜とを備え、前記高分子電解質膜は
一般式(1)で表される第1の繰返し単位と、一般式
(2)で表される第2の繰返し単位との共重合体のスル
ホン化物を溶媒に溶解した溶液から成膜、乾燥してな
り、乾燥後に前記溶媒を3〜15重量%の範囲で含む電
極構造体を備え、一方の面に酸化性ガスを供給すると共
に、他方の面に還元性ガスを供給することにより発電す
ることを特徴とする固体高分子型燃料電池。 【化2】
Priority Applications (6)
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CA2450346A CA2450346C (en) | 2001-06-11 | 2002-06-10 | Electrode structure for solid polymer fuel cell, its production method, and solid polymer fuel cell |
CA2686279A CA2686279C (en) | 2001-06-11 | 2002-06-10 | Production method for an electrode structure for a solid polymer fuel cell |
DE10296922T DE10296922T5 (de) | 2001-06-11 | 2002-06-10 | Elektrodenstruktur für Polymerelektrolytbrennstoffzellen, Verfahren zum Herstellen derselben und Polymerelektrolytbrennstoffzelle |
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2005268145A (ja) * | 2004-03-22 | 2005-09-29 | Toyobo Co Ltd | 電解質膜及びその製造方法 |
US20230015931A1 (en) * | 2021-07-09 | 2023-01-19 | Lg Energy Solution, Ltd. | Manufacturing Method for Electrode Assembly and Electrode Assembly Manufacturing Equipment |
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2001
- 2001-06-12 JP JP2001176695A patent/JP3563372B2/ja not_active Expired - Fee Related
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