JP2002365294A - 核酸試料検出用具及び電気化学的検出方法 - Google Patents

核酸試料検出用具及び電気化学的検出方法

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JP2002365294A
JP2002365294A JP2001174877A JP2001174877A JP2002365294A JP 2002365294 A JP2002365294 A JP 2002365294A JP 2001174877 A JP2001174877 A JP 2001174877A JP 2001174877 A JP2001174877 A JP 2001174877A JP 2002365294 A JP2002365294 A JP 2002365294A
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electrode
carbon atoms
acid sample
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Yoshihiko Makino
快彦 牧野
Yoshihiko Abe
義彦 阿部
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Fuji Photo Film Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 電極表面に、核酸断片が結合固定されてな
る、検出の再現性の良い特定の塩基配列部分を有するD
NA断片などで代表される核酸断片試料の検出用具を提
供する。 【解決手段】 電極表面に共有結合によって核酸断片
(プローブ分子)を固定する。この共有結合による核酸
断片の固定は、核酸断片に導入された活性水素含有基と
電極表面に導入されたビニルスルホニル基もしくはその
反応性前駆体基を含む反応性基との反応により形成する
か、電極に導入された活性水素含有基と核酸断片に導入
されたビニルスルホニル基もしくはその反応性前駆体基
を含む反応性基との反応により形成することが望まし
い。また、この共有結合によるプローブ分子の固定に際
して、スペーサ分子を利用して、各プローブ分子を適当
な間隔で隔離することが特に有利である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、生体高分子物質の
構造の解析に有用な検出用具に関し、特に遺伝子の発
現、変異、多型等の効率的な解析に有用な、電気化学的
検出方法に有利に利用される核酸試料の検出用具に関す
る。本発明は特に、核酸試料の塩基配列の解析に有用
な、該核酸試料に相補性を有する化合物を電極表面に高
密度に整列固定させた高密度アレイ型検出用具、そして
該高密度アレイ型検出用具を用いた電気化学的検出方法
に関する。
【0002】
【従来の技術】多彩な生物の遺伝子機能を効率的に解析
するための技術開発が進んでおり、それらのDNAもし
くはDNA断片の塩基配列の解析のために、DNAチッ
プとよばれる、多数のDNA断片あるいは合成オリゴヌ
クレオチドなどのヌクレオチド誘導体を固相担体の表面
に固定した検出用具が用いられている。このような固相
担体の表面に結合固定されたヌクレオチド誘導体など
の、DNAもしくはその断片あるいは合成オリゴヌクレ
オチドのような検出用分子はプローブ分子とも呼ばれ
る。代表的なDNAチップは、スライドガラス等の固相
担体に多数のプローブ分子を整列固定させたマイクロア
レイである。このDNAチップの製造、そしてその使用
に関するDNAチップ関連技術は、DNA以外の生体分
子の検出にも利用可能であると考えられ、従って、創薬
研究、疾病の診断や予防法の開発等に新しい手段を提供
するものとして期待されている。
【0003】DNAチップ関連技術が具体化してきたの
は、DNAの塩基配列をオリゴヌクレオチドとのハイブ
リダイゼーションによって決定する方法が考案されたこ
とに始まる。この方法は、ゲル電気泳動を用いる塩基配
列決定法の限界を克服できる方法ではあったが、当初は
実用化には至らなかった。
【0004】その後、上記の構成のDNAチップと、そ
の作製技術が開発され、遺伝子の発現、変異、多型等を
短時間で効率よく調べることが可能となった。すなわ
ち、作製されたDNAチップ上のDNA断片もしくはオ
リゴヌクレオチドに相補性を示すDNA断片試料(標的
DNA断片ともいわれる)は、一般的には、DNAチッ
プ上のDNA断片もしくはオリゴヌクレオチドと、標識
したDNA断片試料とのハイブリダイゼーションを利用
して検出される。
【0005】DNAチップ作製技術を実用化するために
は、多数のDNA断片やオリゴヌクレオチドを固相担体
表面に高密度に、かつ安定に整列させるための技術が必
要とされる。
【0006】DNAチップの作製方法としては、固相担
体表面で直接オリゴヌクレオチドを合成する方法(「オ
ン・チップ法」という。)と、予め調製用意したDNA
断片あるいはオリゴヌクレオチドを固相担体表面に結合
固定する方法とが知られている。オン・チップ法として
は、光照射で選択的に除去される保護基の使用と、半導
体製造に利用されるフォトリソグラフィー技術および固
相合成技術とを組み合わせ、所定の微少なマトリックス
領域でのオリゴヌクレオチドの選択的な合成を行なう方
法(「マスキング技術」という)が代表的である。
【0007】予め調製用意したDNA断片やオリゴヌク
レオチドを固相担体表面に結合固定する方法としては、
DNA断片の種類や固相担体の種類に応じて下記の方法
が知られている。
【0008】(1)固定するDNA断片がcDNA(m
RNAを鋳型にして合成した相補的DNA)やPCR産
物(cDNAをPCR法によって増幅させたDNA断
片)である場合には、cDNAあるいはPCR産物を、
DNAチップ作製装置に備えられたスポッタ装置によ
り、ポリ陽イオン化合物(ポリリシン、ポリエチレンイ
ミン等)で表面処理した固相担体の表面に点着し、DN
A断片の持つ電荷を利用して固相担体に静電結合させ
る。なお、固相担体表面の処理方法としては、アミノ
基、アルデヒド基、あるいはエポキシ基等を有するシラ
ンカップリング剤を用いる方法も利用されている。この
シランカップリング剤を用いた表面処理では、アミノ
基、アルデヒド基等は、共有結合により固相担体表面に
固定されるため、ポリ陽イオン化合物による表面処理の
場合と比較して、安定に固相担体表面に固定される。
【0009】上記のDNA断片の電荷を利用する方法の
変法として、アミノ基で修飾したPCR産物をSSC
(標準食塩−クエン酸緩衝液)に懸濁させ、これをシリ
ル化したスライドガラス表面に点着し、インキュベート
した後、水素化ホウ素ナトリウムによる処理および加熱
処理を順に行なう方法が報告されている。しかし、この
固定方法では必ずしも充分なDNA断片の固定安定度が
得られ難いという問題がある。DNAチップ技術では、
検出限界が重要となる。すなわち、固相担体表面に充分
な量で(すなわち、高密度に)、かつ安定にDNA断片
が結合固定することは、DNA断片プローブと標識した
試料核酸断片とのハイブリダイゼーションの検出限界の
向上に直接影響する。
【0010】(2)固定するオリゴヌクレオチド(プロ
ーブ分子あるいはプローブ)が合成オリゴヌクレオチド
である場合には、まず反応性基を導入したオリゴヌクレ
オチドを合成し、予め反応性基を形成させるように表面
処理した固相担体に該オリゴヌクレオチドを点着して、
該オリゴヌクレオチドを固相担体表面に共有結合により
結合固定させる方法も知られている。例えば、表面にア
ミノ基を導入したスライドガラスに、PDC(p−フェ
ニレンジイソチオシアネート)の存在下、アミノ基導入
オリゴヌクレオチドを反応させる方法、および該スライ
ドガラスに、アルデヒド基導入オリゴヌクレオチドを反
応させる方法が知られている。これらの二つの方法は、
前記(1)のDNA断片の電荷を利用した静電結合によ
る固定方法と比べると、オリゴヌクレオチドが固相担体
表面に安定に結合固定されるという利点がある。しか
し、PDCを存在させる方法は、PDCとアミノ基導入
オリゴヌクレオチドとの反応が遅く、またアルデヒド基
導入オリゴヌクレオチドを用いる方法では、反応生成物
であるシッフ塩基の安定性が低い(従って、加水分解が
起こり易い)という問題点がある。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、検出の再現
性の良い核酸断片をプローブ分子として固定した核酸試
料検出用具を提供することを、その課題とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明は、電極、そして
該電極表面に共有結合により固定された一群の核酸断片
からなる核酸試料検出用具にある。
【0013】本発明における核酸断片と電極との共有結
合は、核酸断片に導入された活性水素含有基と電極表面
に導入されたビニルスルホニル基もしくはその反応性前
駆体基を含む反応性基との反応により形成されているこ
とが望ましい。このような、反応性基が導入された電極
を、以下、反応性電極という。あるいは、核酸断片と電
極との共有結合を、電極に導入された活性水素含有基と
核酸断片に導入されたビニルスルホニル基もしくはその
反応性前駆体基を含む反応性基との反応により形成する
こともできる。
【0014】本発明の核酸試料検出用具はまた、電極、
該電極表面に共有結合により固定された一群の核酸断
片、そして該一群の核酸断片のそれぞれを互いに電極表
面と平行な平面に沿って空間的に分離する配置にて電極
表面に固定された一群のスペーサ基からなる構成を有し
ていていもよい。
【0015】スペーサ基は、電荷を有していないことが
好ましく、またスペーサ基の電極に固定されている側と
は反対側の末端が疎水性基であることが好ましい。そし
て、電極表面に固定された一群の核酸断片と一群のスペ
ーサ基とのモル比が1:1乃至1:200の範囲にある
ことが望ましく、特に1:2乃至1:100、さらには
1:5乃至1:50の範囲に有ることが望ましい。
【0016】本発明はまた、導電性基を有する縫い込み
型インターカレータ及び水性媒体の存在下、検出対象の
核酸試料を上記の核酸断片が固定された核酸試料検出用
具に接触させることにより、該インターカレータが挿入
された核酸試料と核酸断片とのハイブリッド複合体を形
成させ、次いで、核酸試料検出用具の電極に電位を印加
し、該検出用具の電極と外部電極との間をインターカレ
ータの導電性基を介して流れる電流を測定することを特
徴とする核酸断片に相補性を有する核酸試料の検出方法
にもある。
【0017】上記の検出方法において、基質およびその
基質との反応によって還元型に変化する酸化酵素をハイ
ブリッド複合体生成の反応系に存在させることによっ
て、核酸断片固定電極と導電性基との間を流れる電流
を、還元型に変化した酸化酵素と電極との間の電子移動
によって増幅させて測定することもできる。以下、この
測定法を増感型測定法という。
【0018】本発明において好ましく用いられるビニル
スルホニル基もしくはその反応性前駆体基は、下記の式
(1)により表わされるものであることが望ましい。
【0019】
【化3】−L−SO2−X …(1)
【0020】[上記の式において、Xは、−CR1=C
23または−CHR1−CR23Yを表わし;R1、R
2及びR3は、互いに独立に、水素原子、炭素原子数が1
乃至6のアルキル基、炭素原子数が6乃至20のアリー
ル基、及び炭素原子数が1乃至6のアルキル鎖を有する
合計炭素原子数が7乃至26のアラルキル基からなる群
より選ばれる原子もしくは基を表わし;Yは、ハロゲン
原子、−OSO211、−OCOR12、−OSO3M、及
び四級ピリジニウム基からなる群より選ばれる原子もし
くは基を表わし;R11は、炭素原子数が1乃至6のアル
キル基、炭素原子数が6乃至20のアリール基、及び炭
素原子数が1乃至6のアルキル鎖を有する合計炭素原子
数が7乃至26のアラルキル基からなる群より選ばれる
基を表わし;R12は、炭素原子数が1乃至6のアルキル
基および炭素原子数が1乃至6のハロゲン化アルキル基
からなる群より選ばれる基を表わし;Mは、水素原子、
アルカリ金属原子およびアンモニウム基からなる群より
選ばれる原子もしくは基を表わし;そして、Lは連結基
を表わす]。
【0021】上記式(1)において、Xは、−CH=C
2で表わされるビニル基であることが望ましい。そし
てLは、−NH−、−S−、および−O−からなる群か
ら選ばれる連結部位を有する連結基であることが望まし
く、特に−(L1n−NHCH2CH2−[但し、L1
連結基を表わし、そしてnは0もしくは1である]で表
わされる連結基であることが望ましい。
【0022】本発明の核酸試料検出用具の製造に用いる
反応性電極は、表面に反応性基が導入された電極に、下
記式(2):
【0023】
【化4】X1−SO2−L2−SO2−X2 …(2)
【0024】[上記の式において、X1およびX2は互い
に独立に、−CR1=CR23、または−CHR1−CR
23Yを表わし;R1、R2及びR3は、互いに独立に、
水素原子、炭素原子数が1乃至6のアルキル基、炭素原
子数が6乃至20のアリール基、及び炭素原子数が1乃
至6のアルキル鎖を有する合計炭素原子数が7乃至26
のアラルキル基からなる群より選ばれる原子もしくは基
を表わし;Yは、ハロゲン原子、−OSO211、−O
COR12、−OSO3M、及び四級ピリジニウム基から
なる群より選ばれる原子もしくは基を表わし;R11は、
炭素原子数が1乃至6のアルキル基、炭素原子数が6乃
至20のアリール基、及び炭素原子数が1乃至6のアル
キル鎖を有する合計炭素原子数が7乃至26のアラルキ
ル基からなる群より選ばれる基を表わし;R12は、炭素
原子数が1乃至6のアルキル基および炭素原子数が1乃
至6のハロゲン化アルキル基からなる群より選ばれる基
を表わし;Mは、水素原子、アルカリ金属原子およびア
ンモニウム基からなる群より選ばれる原子もしくは基を
表わし;そして、L2は連結基を表わす]で表わされる
ジスルホン化合物を接触させることにより有利に製造す
ることができる。
【0025】また、スペーサ基付きの反応性電極は、電
極表面にビニルスルホニル基もしくはその反応性前駆体
基と反応する基を導入する際に、一方の端部に電極表面
に反応する基を備え、他方の端部にビニルスルホニル基
もしくはその反応性前駆体基と反応しない(或は、反応
しにくい)基を備えたスペーサ化合物(例、1−ヘキサ
ンチオール、6−ヒドロキシ−1−ヘキサンチオール)
を存在させることによって製造することができる。そし
て、このようにして製造したスペーサ基付きの反応性電
極に、一端に反応性基を備えた核酸断片を接触させるこ
とによって、電極表面にスペーサ基により互いに空間的
に隔離された状態で核酸断片が共有結合により固定され
た核酸断片固定電極を得ることができる。
【0026】あるいは、スペーサ基付きの反応性電極
は、電極表面に多数の反応性基を導入し、次いで、この
表面に反応性基を持つ電極に、一方の端部に該反応性基
と反応する基を備え、他方の端部には核酸断片の反応性
基と反応する基を備えた、ジビニルスルホン化合物など
のジスルホン化合物、そして、一方の端部に電極の反応
性基と反応する基を備え、他方の端部に核酸断片の反応
性基と反応しない(あるいは、反応しにくい)基を備え
たスペーサ化合物を同時に接触させることによっても作
成することができる。そして、このようにして製造した
スペーサ基付きの反応性電極に、一端に反応性基を備え
た核酸断片を接触させることにより、電極表面にスペー
サ基により互いに空間的に隔離された状態で核酸断片が
共有結合により固定された核酸断片固定電極を得ること
ができる。
【0027】上記のようにして作製されたスペーサ基を
介して複数個の核酸断片が互いに隔離された状態で電極
表面に固定された核酸試料検出用電極は、特に優れた感
度を示す。
【0028】前記の式(2)で表わされるジスルホン化
合物の代表的な例としては、1,2−ビス(ビニルスル
ホニルアセトアミド)エタンを挙げることができる。
【0029】上記の電極表面に導入される反応性基は、
アミノ基、メルカプト基もしくはヒドロキシル基である
ことが望ましい。
【0030】
【発明の実施の形態】本発明の検出用具の製造に好まし
く用いられる反応性電極は、電極の表面に、一群のビニ
ルスルホニル基もしくはその反応性前駆体基が、所望に
より連結基を介して共有結合により結合固定された構成
を有している。このような電極は、予め表面に反応性基
を導入した電極を用意し、この電極と、この電極表面に
備えられた反応性基と反応して共有結合を形成する反応
性基を一方の端部もしくは端部附近に有し、かつ他方の
端部もしくは端部附近にビニルスルホニル基もしくはビ
ニルスルホニル基の反応性前駆体基を有する化合物とを
接触させることにより製造することができる。
【0031】[電極]本発明の検出用具に用いる電極と
しては、従来より電気化学的検出方法に利用されるDN
A断片検出用電極の製造に一般的に用いられている金電
極、あるいはDNA断片検出用電極の製造用として提案
されている各種の電極が好ましく利用することができ
る。
【0032】電極は通常、外部に出力する端子を備えて
いるものを用いる。電極の材料としては、金以外にも、
グラファイト、グラシーカーボン等の炭素電極、白金、
パラジウム、ロジウム等の貴金属電極、酸化チタン、酸
化スズ、酸化マンガン、酸化鉛等の酸化物電極、Si、
Ge、ZnO、CdS等の半導体電極、チタンなどの電
子伝導体を挙げることができるが、金もしくはグラシー
カーボンを用いることが特に好ましい。これらの電子伝
導体は、導電性高分子によって被覆されていても、単分
子膜によって被覆されていてもよい。電極は、例えば、
電極がグラシーカーボンである場合には、電極を過マン
ガン酸カリウムで処理するなどの方法で表面処理してお
くことが好ましい。電極が導電性を持たない基板上に配
置された複数の電極である場合には、電極表面のそれぞ
れに、互いに異なる種類の核酸断片を固定することが好
ましい。
【0033】本発明で用いられる電極は、導電性を持た
ない基板上に複数の電極が配置されたものであることが
好ましい。その場合、電極は、導電性を持たない基板上
に、互いに接しないように、かつ規則的に配置されてい
ることが好ましい。
【0034】導電性を持たない基板としては、電気絶縁
性の疎水性担体、あるいは電気絶縁性の低親水性の担体
であることが好ましい。また、その表面が凹凸を有する
平面性の低いものであっても好ましく用いることができ
る。基板の材質としては、ガラス、セメント、陶磁器等
のセラミックスもしくはニューセラミックス、ポリエチ
レンテレフタレート、酢酸セルロース、ビスフェノール
Aのポリカーボネート、ポリスチレン、ポリメチルメタ
クリレート等のポリマー、シリコン、活性炭、多孔質ガ
ラス、多孔質セラミックス、多孔質シリコン、多孔質活
性炭、織編物、不織布、濾紙、短繊維、メンブレンフィ
ルター等の多孔質物質などを挙げることができるが、各
種ポリマー、ガラスもしくはシリコンであることが特に
好ましい。これは、表面処理の容易さや電気化学的方法
による解析の容易さによるものである。基板の厚さは、
特に限定されないが、板状である場合には、100乃至
10000μmの範囲にあることが好ましい。
【0035】導電性を持たない基板上に複数の電極が配
置されたものとしては、導電性を持たない基板の表面を
上記の電子伝導体で処理したものを用いることが好まし
く、金を蒸着したものを用いることが特に好ましい。基
板は、電子伝導体で表面処理をする前に、基板上に電荷
を有する親水性の高分子物質からなる層や架橋剤からな
る層を設けてもよい。このような層を設けることによっ
て基板の凹凸を軽減することができる。また、基板によ
っては、その基板中に電荷を有する親水性の高分子物質
を含ませることも可能であり、このような処理を施した
基板も好ましく用いることができる。
【0036】導電性を持たない基板上に複数の電極が配
置されたものとしては、文献(Sosnowski,R.G. et al.,
Proc.Natl.Acad.Sci.USA, 94, 1119-1123(1997))に記
載の、核酸が未固定のシリコンチップも好ましく用いる
ことができる。また、プリント配線基板のように、が基
板上に印刷されてなるものであってもよい。
【0037】電極の表面には、予め区画あるいは想定さ
れた多数の領域が設定されており、各領域毎に、ジビニ
ルスルホン化合物などの二官能性反応性化合物と反応す
ることができる反応性基、例、アミノ基(−NH2)、
メルカプト基(−SH)、あるいはヒドロキシル基(−
OH)、を導入する。
【0038】反応性基を備えた電極は、ジビニルスルホ
ン化合物などの二官能性反応性化合物と接触することに
よって、その反応性基と二官能性反応性化合物とが反応
し、共有結合が形成され、電極の反応性基部分が延長さ
れ、その先端もしくは先端附近にビニルスルホニル基も
しくはその反応性前駆体基を持つ反応性鎖が形成され
て、本発明の反応性電極が生成する。
【0039】反応性電極において、電極表面に導入され
るビニルスルホニル基もしくはその反応性前駆体基と連
結基との連結体は、下記の式(1)により表わされるも
のであることが望ましい。
【0040】
【化5】−L−SO2−X −−− (1)
【0041】上記の式(1)において、Xは、−CR1
=CR23または−CHR1−CR23Y(反応性前駆
体基)を表わす。R1、R2およびR3は、それぞれ互い
に独立に、水素原子、炭素原子数が1乃至6のアルキル
基、炭素原子数が6乃至20のアリール基、あるいは炭
素原子数が1乃至6のアルキル鎖を有する合計炭素原子
が7乃至26のアラルキル基を表わす。炭素原子数が1
乃至6のアルキル基の例としては、メチル基、エチル
基、n−プロピル基、n−ブチル基、及びn−ヘキシル
基を挙げることができ、メチル基であることが特に好ま
しい。アリール基としては、フェニル基及びナフチル基
を挙げることができる。R1、R2及びR3は共に水素原
子であることが好ましい。
【0042】Yは、−OH、−OR0、−SH、NH3
NH20(但し、R0は、水素原子を除く、アルキル基
などの基である)などの求核試薬によって置換される
基、あるいは塩基によって「HY」として脱離する基を
表わし、その例としては、ハロゲン原子、−OSO2
11、−OCOR12、−OSO3M、あるいは四級ピリジ
ニウム基を表わす(R11は、炭素原子数が1乃至6のア
ルキル基、炭素原子数が6乃至20のアリール基、ある
いは炭素原子数が1乃至6のアルキル鎖を有する合計炭
素原子数が7乃至26のアラルキル基を表わし;R
12は、炭素原子数が1乃至6のアルキル基あるいは炭素
原子数が1乃至6のハロゲン化アルキル基を表わし;M
は、水素原子、アルカリ金属原子あるいはアンモニウム
基を表わす)を挙げることができる。
【0043】Lは、電極もしくは電極に結合している連
結基と、上記−SO2−X基とを連結している二価もし
くはそれ以上の連結基を表わす。ただし、Lは単結合で
あってもよい。二価の連結基としては、炭素原子数が1
乃至6のアルキレン基、炭素原子数が3乃至16の脂肪
族環基、炭素原子数が6乃至20のアリーレン基、N、
SおよびPからなる群より選ばれるヘテロ原子を1乃至
3個含む炭素原子数が2乃至20の複素環基、−O−、
−S−、−SO−、−SO2−、−SO3−、−NR
11−、−CO−およびこれらの組み合わせから群より選
ばれる基を一つあるいは複数個組み合わせてなる基であ
ることが好ましい。R11は、水素原子、炭素原子数が1
乃至15のアルキル基、炭素原子数が6乃至20のアリ
ール基、あるいは炭素原子数が1乃至6のアルキル基を
有する炭素原子が7乃至21のアラルキル基であること
が好ましく、水素原子もしくは炭素原子数が1乃至6の
アルキル基であることがさらに好ましく、水素原子、メ
チル基もしくはエチル基であることが特に好ましい。
【0044】Lが−NR11−、−SONR11−、−CO
NR11−、−NR11COO−、および−NR11CONR
11−からなる群より選ばれる基を二個以上組み合わせて
なる基である場合には、それらのR11同士が結合して環
を形成していてもよい。
【0045】R11のアルキル基、R11のアリール基、お
よびR11のアラルキル基は、置換基を持っていてもよ
い。このような置換基としては、水酸基、炭素原子数が
1乃至6のアルコキシ基、炭素原子数が1乃至6のアル
ケニル基、炭素原子数が2乃至7のカルバモイル基、炭
素原子数が1乃至6のアルキル基、炭素原子数が2乃至
7のアラルキル基、炭素原子数が6乃至20のアリール
基、スルファモイル基(もしくはそのNa塩、K塩
等)、スルホ基(もしくはそのNa塩、K塩等)、カル
ボン酸基(もしくはそのNa塩、K塩等)、ハロゲン原
子、炭素原子数が1乃至6のアルケニレン基、炭素原子
数が6乃至20のアリーレン基、スルホニル基、および
これらの組み合わせからなる群より選ばれる原子もしく
は基を挙げることができる。
【0046】上記「−X」基の好ましい具体例を以下に
示す。また、「−L−SO2−X」として使用できる基
の例についても、その後に示す。
【0047】
【化6】
【0048】
【化7】
【0049】「−X」は、上記具体例中、(X1)、
(X2)、(X3)、(X4)、(X7)、(X8)、
(X13)、あるいは(X14)であることが好まし
く、(X1)あるいは(X2)であることがさらに好ま
しい。特に好ましいのは(X1)で表わされるビニル基
である。
【0050】Lの好ましい具体例を以下に示す。但し、
aは、1乃至6の整数であり、1もしくは2であること
が好ましく、1であることが特に好ましい。bは、0乃
至6の整数であり、2もしくは3であることが好まし
い。
【0051】
【化8】
【0052】Lとしては、上記記載の二価の連結基の他
に、上記式のアルキレン基の水素原子が−SO2CH=
CH2基によって置換されてなる基も好ましい。
【0053】前記の式(1)で表わされるビニルスルホ
ニル基もしくは反応性前駆体基が共有結合により固定さ
れた電極を得るために利用される二官能反応性化合物と
しては、下記の式(2)で表わされるジスルホン化合物
が有利に利用できる。
【0054】
【化9】X1−SO2−L2−SO2−X2 −−− (2)
【0055】[上記の式において、X1およびX2は互い
に独立に、−CR1=CR23、または−CHR1−CR
23Y(反応性前駆体基)を表わし;R1、R2及びR3
は、互いに独立に、水素原子、炭素原子数が1乃至6の
アルキル基、炭素原子数が6乃至20のアリール基、及
び炭素原子数が1乃至6のアルキル鎖を有する合計炭素
原子数が7乃至26のアラルキル基からなる群より選ば
れる原子もしくは基を表わし;Yは、ハロゲン原子、−
OSO211、−OCOR12、−OSO3M、及び四級ピ
リジニウム基からなる群より選ばれる原子もしくは基を
表わし;R11は、炭素原子数が1乃至6のアルキル基、
炭素原子数が6乃至20のアリール基、及び炭素原子数
が1乃至6のアルキル鎖を有する合計炭素原子数が7乃
至26のアラルキル基からなる群より選ばれる基を表わ
し;R12は、炭素原子数が1乃至6のアルキル基および
炭素原子数が1乃至6のハロゲン化アルキル基からなる
群より選ばれる基を表わし;Mは、水素原子、アルカリ
金属原子およびアンモニウム基からなる群より選ばれる
原子もしくは基を表わし;そして、L2は連結基を表わ
す]。
【0056】すなわち、上記の式(2)で表わされるジ
スルホン化合物を、前記の反応性基を備えた電極と、例
えば水性雰囲気にて接触させることによって、反応性電
極を容易に製造することができる。
【0057】本発明で好ましく用いるジスルホン化合物
の代表例を下記に示す。なお、ジスルホン化合物は、二
種類以上を混合して用いてもよい。
【0058】
【化10】
【0059】
【化11】
【0060】上記の式(2)で表わされるジスルホン化
合物の代表的な例としては、1,2−ビス(ビニルスル
ホニルアセトアミド)エタン[上記のS1に相当する]
を挙げることができる。
【0061】本発明で好ましく用いられるジスルホン化
合物の合成法については、たとえば、特公昭47−24
29号、同50−35807号、特開昭49−2443
5号、同53−41551号、同59−18944号等
の各種公報に詳細が記載されている。
【0062】上記のようにして得られた反応性電極を利
用して、DNA、RNA、DNA断片、あるいはRNA
断片などの天然起源のポリヌクレオチドあるいはオリゴ
ヌクレオチドなどの核酸試料の検出のための本発明の核
酸断片固定検出具を作製するためには、上記の反応性電
極を、その担体表面上のビニルスルホニル基もしくはそ
の反応性前駆体基と反応して共有結合を形成するアミノ
基などの反応性基を備えた核酸断片と接触させる方法が
利用される。そして、このようにして所望の核酸断片か
らなるプローブ分子を備えた検出具を作製することがで
きる。
【0063】本発明の電極表面にビニルスルホニル基も
しくはその反応性前駆体基は、加水分解に対して高い抵
抗性を有しているため、容易に安定に保存することがで
き、また、アミノ基を予め備えているか、あるいはアミ
ノ基などの反応性基が導入されているか核酸断片の反応
性基と迅速に反応して、安定な共有結合を形成すること
ができる。
【0064】核酸断片の電極表面への固定は通常、核酸
断片を含む水性液を、前記の反応性電極上に点着して行
なう。具体的には、反応性基を備えた核酸断片を水性媒
体に溶解あるいは分散して水性液としたのち、その水性
液を、96穴もしくは384穴プラスチックプレートに
分注し、分注した水性液をスポッター装置等を用いて電
極表面上に滴下して行なうことが好ましい。
【0065】点着後、所定の温度でそのまま数時間放置
すると、電極表面にて共有結合反応が進行し、核酸断片
の一端が電極表面にて固定される。点着の条件は、使用
する電極の種類、電極の大きさなどによって異なる。点
着は、マニュアル操作によっても行うことができるが、
汎用されているDNAチップ作製装置に装備されたスポ
ッタを用いて行うことも好ましい。点着後は、インキュ
ベーションを行うことも好ましい。インキュベート後、
固定されていない核酸断片を洗浄して除去することが好
ましい。
【0066】点着後の核酸断片の乾燥を防ぐために、核
酸断片が溶解あるいは分散してなる水性液中に、高沸点
の物質を添加してもよい。高沸点の物質としては、点着
後の核酸断片が溶解あるいは分散してなる水性液に溶解
し得るものであって、検出対象の核酸断片試料(標的核
酸断片)などの試料とのハイブリダイゼーションを妨げ
ることがなく、かつ粘性があまり大きくない物質である
ことが好ましい。このような物質としては、グリセリ
ン、エチレングリコール、ジメチルスルホキシドおよび
低分子の親水性ポリマーを挙げることができる。親水性
ポリマーとしては、ポリアクリルアミド、ポリエチレン
グリコール、そしてポリアクリル酸ナトリウム等を挙げ
ることができる。このポリマーの分子量は、103乃至
106の範囲にあることが好ましい。高沸点の物質とし
ては、グリセリンあるいはエチレングリコールを用いる
ことがさらに好ましく、グリセリンを用いることが特に
好ましい。高沸点の物質の濃度は、核酸断片の水性液
中、0.1乃至2容量%の範囲にあることが好ましく、
0.5乃至1容量%の範囲にあることが特に好ましい。
【0067】また、同じ目的のために、核酸断片を点着
した後の電極を、90%以上の湿度および25乃至50
℃の温度範囲の環境に置くことも好ましい。
【0068】反応性基を有する核酸断片を点着後、紫外
線、水素化ホウ素ナトリウムあるいはシッフ試薬による
後処理を施してもよい。これらの後処理は、複数の種類
を組み合わせて行ってもよく、特に加熱処理と紫外線処
理を組み合わせて行うことが好ましい。点着後は、イン
キュベーションを行うことも好ましい。インキュベート
後は、未反応の核酸断片を洗浄して除去することが好ま
しい。
【0069】核酸断片の固定量(数)は、電極表面に対
して、102乃至105種類/cm2の範囲にあることが
好ましい。核酸断片の量は、1乃至10-15モルの範囲
にあり、重量としては数ng以下であることが好まし
い。点着によって、核酸断片の水性液は、電極表面にド
ットの形状で固定される。ドットの形状は、ほとんど円
形である。形状に変動がないことは、遺伝子発現の定量
的解析や一塩基変異を解析するために重要である。それ
ぞれのドット間の距離は、0乃至1.5mmの範囲にあ
ることが好ましく、100乃至300μmの範囲にある
ことが特に好ましい。一つのドットの大きさは、直径が
50乃至300μmの範囲にあることが好ましい。電極
表面に点着する核酸断片の量は、100pL乃至1μL
の範囲にあることが好ましく、1乃至100nLの範囲
にあることが特に好ましい。
【0070】図1、図2、そして図3に、反応性電極の
製造方法、および本発明の代表的な核酸断片固定電極の
製造方法と構成を模式的に示す。
【0071】図1は、アミノ基が表面に導入された電極
に、1,2−ビス(ビニルスルホニルアセトアミド)エ
タンに代表される、両端部のそれぞれにビニルスルホニ
ル基を備えた反応性化合物(CH2=CH−SO2−L−
SO2−CH=CH2)を接触させて、先端に反応性のL
−SO2−CH=CH2を備えた反応性電極を製造したの
ち、次いでこの反応性電極にアミノ基を備えた核酸断片
を接触させて、核酸断片を共有結合により電極に固定さ
せる工程を示している。
【0072】図2は、電極表面に、複数個の核酸断片の
それぞれを複数個のスペーサ基により隔離して固定する
ための工程を模式的に示している。すなわち、予め表面
に反応性基(X)を備えた電極に、一方の端部に反応性
基Xと反応する反応性基Yを有し、他方の端部に該反応
性基と反応しない(或は、反応しにくい)不活性基Zと
を備えたスペーサ導入化合物(Y−L−Z)と、両方の
端部に反応性基Yを備えた化合物(Y−L−Y)とを一
緒に接触させることにより、表面に不活性基Zと反応性
基Yの双方が固定された反応性電極を得て、次いでこれ
に一方の端部に反応性基Xを備えた核酸断片(X−DN
A)を接触させることによって、スペーサ基を介して互
いに隔離された状態で電極表面に固定された核酸断片固
定電極を得ることができる。
【0073】図3は、電極表面に、複数個の核酸断片の
それぞれを複数個のスペーサ基により隔離して固定する
ための別の方法の工程を模式的に示している。すなわ
ち、予め表面に反応性基(X)と非反応性のスペーサ基
(Z)とを導入した電極に、両方の端部に反応性基Yを
備えた化合物(Y−L−Y)を接触させることにより、
表面にスペーサ基Zと反応性基Yの双方が固定された反
応性電極を得て、次いでこれに一方の端部に反応性基X
を備えた核酸断片を接触させることによって、スペーサ
基を介して互いに隔離された状態で電極表面に固定され
た核酸断片固定電極を得ることができる。
【0074】本発明の検出用電極の検出対象となる核酸
試料としては、通常、その配列や機能が未知であるDN
A断片試料あるいはRNA断片試料などの核酸試料が用
いられる。
【0075】核酸試料は、遺伝子発現を調べる目的で
は、真核生物の細胞や組織サンプルから単離することが
好ましい。試料がゲノムならば、赤血球を除く任意の組
織サンプルから単離することが好ましい。赤血球を除く
任意の組織は、抹消血液リンパ球、皮膚、毛髪、精液等
であることが好ましい。試料がmRNAならば、mRN
Aが発現される組織サンプルから抽出することが好まし
い。mRNAは、逆転写反応によりdNTP(「dNT
P」は、塩基がアデニン(A)、シトシン(C)、グア
ニン(G)もしくはチミン(T)であるデオキシリボヌ
クレオチドを意味する。)を取り込ませてcDNAとす
ることが好ましい。一回のハイブリダイゼーションに必
要なmRNA量は、点着する液量や標識方法によって異
なるが、数μg以下である。なお、核酸断片固定電極上
の核酸断片が低分子のものである場合には、核酸断片試
料は低分子化しておくことが望ましい。
【0076】核酸試料は、遺伝子の変異や多型を調べる
目的では、目的領域のPCRを行なって得ることが好ま
しい。
【0077】ハイブリダイゼーションは、96穴もしく
は384穴プラスチックプレートに分注しておいた、核
酸試料が溶解あるいは分散してなる水性液を、本発明の
核酸断片固定電極に接触させることによって実施するこ
とが好ましい。ハイブリダイゼーションは、室温乃至7
0℃の温度範囲で、そして6乃至20時間の範囲で実施
することが好ましい。ハイブリダイゼーションの終了後
に、界面活性剤と緩衝液との混合溶液を用いて洗浄を行
い、未反応の核酸断片試料を除去することが好ましい。
界面活性剤としては、ドデシル硫酸ナトリウム(SD
S)を用いることが好ましい。緩衝液としては、クエン
酸緩衝液、リン酸緩衝液、ホウ酸緩衝液、トリス緩衝
液、グッド緩衝液等を用いることができるが、クエン酸
緩衝液を用いることが特に好ましい。
【0078】[導電性基で標識された縫い込み型インタ
ーカレータ]ハイブリダイゼーション操作の実施に際し
て用いられる、導電性基を有する縫い込み型インターカ
レータとしては、特開平9−288080号公報および
文献(J.Chem.Soc.Commun.,1111(1998))に記載のイン
ターカレータを用いることが特に好ましい。
【0079】さらに、該インターカレータとしては、下
記式(5)で表されるものも好ましく用いることができ
る。下記の式(5)で表されるインターカレータは、印
加電圧が400乃至600mVの範囲にピーク電流値を
有する特徴を持つ。
【0080】
【化12】 (5)
【0081】上記の式(5)において、N−置換−イミ
ノ基は、縫い込み型インターカレータに可溶性を付与す
る基であり、RおよびR1は、互いに独立に、水素原
子、そして、置換基を有していてもよい炭素原子数が1
乃至3のアルキル基、炭素原子数が2乃至4のアシル
基、炭素原子数が6乃至20のアリール基および炭素原
子数が1乃至3のアルキル基を有する炭素原子数が7乃
至23のアラルキル基からなる群より選ばれる原子もし
くは基を表す。炭素原子数が1乃至3のアルキル基とし
ては、メチル基もしくはエチル基であることが好まし
く、メチル基であることが特に好ましい。炭素原子数が
2乃至4のアシル基としては、アセチル基であることが
好ましい。炭素原子数が6乃至20のアリール基として
は、フェニル基もしくはナフチル基であることが好まし
く、フェニル基であることが特に好ましい。炭素原子数
が1乃至3のアルキル基を有する炭素原子数が7乃至2
3のアラルキル基としては、ベンジル基であることが好
ましい。RおよびR1は、同一の原子もしくは基である
ことが好ましく、メチル基であることが特に好ましい。
【0082】置換基としては、ヒドロキシル基、ハロゲ
ン原子(F、Cl、Br等)、カルボキシル基、炭素原
子数が1乃至6のアルキル基、炭素原子数が1乃至6の
アルキルアミノ基、炭素原子数が1乃至6のハロゲン化
アルキル基、炭素原子数が6乃至12のアリール基、お
よび炭素原子数が1乃至6のアルコキシ基からなる群よ
り選ばれる原子もしくは基を挙げることができる。置換
基の数は、炭素原子数が1乃至6のアルキル基、炭素原
子数が1乃至6のアルキルアミノ基、炭素原子数が1乃
至6のハロゲン化アルキル基、あるいは炭素原子数が1
乃至6のアルコキシ基については、1乃至12個である
ことが好ましく、1乃至3個であることさらに好まし
く、1個であることが特に好ましい。炭素原子数が6乃
至12のアリール基については、その数は1乃至7個で
あることが好ましく、1乃至3個であることがさらに好
ましく、1個であることが特に好ましい。
【0083】YおよびY1は、互いに独立に、−NH−
CO−基もしくは−CO−NH−基を表し、−NH−C
O−基であることが好ましい。これらの基のカルボニル
基もしくはイミノ基が、それぞれ、EおよびE1と結合
する。
【0084】EおよびE1は、互いに独立に、一つの結
合手を有するフェロセンを表す。当該フェロセンは、置
換基を有していても有していなくてもよい。置換基を有
している場合には、同一であることが好ましい。以下
に、置換基を有するフェロセンの具体例を示す。置換基
の位置は、シクロペンタジエニル基の何れの位置であっ
てもよい。
【0085】
【化13】
【0086】XおよびZは、互いに独立に、水素原子、
ハロゲン原子、あるいは炭素原子数1乃至6のアルキル
基を表すが、水素原子であることが好ましい。炭素原子
数1乃至6のアルキル基の好ましい例としては、前記記
載のR(もしくはR1)と同様である。
【0087】m、n、kおよびpは、縫い込み型インタ
ーカレータのリンカー部分の長さを決定するものであ
り、各々、1乃至6の整数を表す。但し、mとnとの
和、およびkとpとの和は、各々、4乃至8である。m
とk、およびnとpとは、それぞれ、同一の数であるこ
とが好ましく、m、n、kおよびpは、何れも3である
ことが特に好ましい。
【0088】上述の導電性基で標識された縫い込み型イ
ンターカレータは、例えば、特開平9−288080号
公報に記載の方法によって簡便に収率良く製造すること
ができる。
【0089】本発明の核酸断片固定電極を用いる核酸試
料の検出に際しては、下記式(6)で表わされる導電性
基で標識された縫い込み型インターカレータを用いるこ
とが特に好ましい。下記の式(6)で表されるインター
カレータは、印加電圧100乃至400mVの範囲にピ
ーク電流値を有する性質を持つ。
【0090】
【化14】Ea−La−X−Lb−Eb −− (6)
【0091】[ただし、EaおよびEbは、互いに独立
に、酸化還元活性を示し、かつ共役系を含む基を表わ
し、Xは二価の環状基を表わし、そしてLaおよびL
bは、互いに独立に、それぞれがEaおよびEbの共役系
が延長される共役系を形成することのない連結基であっ
て、少なくとも一方の連結基が、本化合物に水溶性を付
与する部位を有する連結基もしくは水溶性を付与する部
位に変換し得る部位を有する連結基である。]
【0092】上記式(6)において、EaとEb、そして
aとLbとが、それぞれ、互いに同一の基であることが
好ましい。また、La−X−Lbで表わされる連結部の主
鎖の最短の結合路を構成する原子の数が10乃至100
の間、なかでも15乃至70の間、特に20乃至50の
間にあることが好ましい。なお、この連結部の主鎖の最
短の結合路を構成する原子の数の計算を、前記のフェロ
センカルボン酸N−ヒドロキシスクシンイミドエステル
に適用すると、その原子の数は32となる。
【0093】また、EaおよびEbは、互いに独立に、そ
れぞれ置換基を有していてもよい、一もしくは二以上の
結合手を持つメタロセン、2,2’−ビピリジン錯体、
シクロブタジエン錯体、シクロペンタジエニル錯体、
1,10−フェナントロリン錯体、トリフェニルホスフ
ィン錯体、カテコールアミンおよびビオローゲンからな
る群より選ばれる酸化還元活性基であることが好まし
い。
【0094】上記式(6)の化合物は、特に下記式
(7)で表わされる化合物であることが好ましい。
【0095】
【化15】 Ea−L1a−L2a−X−L2b−L1b−Eb −− (7)
【0096】[但し、EaおよびEbは、互いに独立に、
酸化還元活性を有し、かつ共役系を含む基を表わし、L
1aおよびL1bは、互いに独立に、それぞれがEaおよび
bの共役系が延長される共役系を形成しない基を表わ
し、L2aおよびL2bは、互いに独立に、水溶性を付与す
る部位を有する連結基もしくは水溶性を付与する部位に
変換し得る部位を有する連結基を表わし、そしてXは二
価の環状基を表わす。]
【0097】L1aおよびL1bは、互いに独立に、置換基
を有していてもよい炭化水素基、特に、置換基を有して
いてもよい炭素原子数が1乃至6のアルキレン基あるい
は置換基を有していてもよい炭素原子数が1乃至6のア
ルケニレン基であることが好ましい。
【0098】L2aおよびL2bは、互いに独立に、炭素元
素以外の元素(例、N、O、もしくはS)を含む連結基
であることが好ましく、特に、置換基を有していてもよ
い、アミド結合基、エステル結合基、エーテル結合基、
チオエーテル結合基、ジイミド結合基、チオジイミド結
合基、チオアミド結合基、イミノ結合基、カルボニル結
合基、チオカルボニル結合基および1,4−ピペラジニ
ル基からなる群より選ばれる基を含む連結基であること
が好ましい。最も好ましいのは、−NHCO−基、もし
くは−CONH−基である。なお、EaとEb、L1aとL
1b、そしてL2aとL2bとが、それぞれ、互いに同一の基
であることが有利である。
【0099】上記式(6)および(7)の縫い込み型イ
ンターカレータを用いると、核酸断片の検出操作におい
て電極基板付与する電位として、100乃至400mV
の範囲内の相対的に低い電位が利用できる。
【0100】式(6)および式(7)において、Xは、
置換基を有していてもよい二価の環状基を表す。二価の
環状基としては、平面性を有する環状基であることが好
ましく、二つの窒素原子に結合手を有するナフタレンジ
イミド基、2位と6位、もしくは1位と5位(好ましく
は2位と6位)とに結合手を有するアントラセン基、ア
ントラセン基と同じ位置に結合手を有するアントラキノ
ン基、2位と6位とに結合手を有するフルオレン基、2
位と6位とに結合手を有するビフェニレン基、2位と7
位とに結合手を有するフェナントレン基、および2位と
7位とに結合手を有するピレン基からなる群より選ばれ
る環状基であることが好ましく、二つの窒素原子に結合
手を有するナフタレンジイミド基であることが特に好ま
しい。置換基としては、水素原子、ハロゲン原子(F、
Cl、Br等)、あるいは炭素原子数1乃至6のアルキ
ル基であることが好ましいが、水素原子であることが好
ましい。炭素原子数1乃至6のアルキル基としては、メ
チル基、エチル基、もしくはn−プロピル基であること
が好ましい。
【0101】前記式(6)において、LaおよびLbは、
互いに独立に、それぞれがEaおよびEbの共役系が延長
される共役系を形成することのない連結基であって、少
なくとも一方の連結基が、本化合物に水溶性を付与する
部位を有する連結基もしくは水溶性を付与する部位に変
換し得る部位を有する連結基である。ここで、「水溶性
を付与する部位に変換し得る部位」とは、たとえば、メ
チル基を置換基として有するイミノ基のように、硫酸な
どの酸と接触した場合に、硫酸塩部位に変換され、水溶
性を示すように変化する部位を有する。勿論、「本化合
物に水溶性を付与する部位」に塩部分のような荷電部分
を持っていてもよい。
【0102】LaおよびLbは、互いに独立に、Eaおよ
びEbに隣接する側に、置換基を有していてもよい炭化
水素基(前記式(7)のL1aとL1bに相当する基)を有
し、一方、Xに隣接する側に炭素元素以外の元素を含む
連結基(前記式(7)のL2aとL2bに相当する基)とか
らなる連結基であることが好ましい。従って、Laおよ
びLbは、それぞれ、前記式(7)の−L1a−L2a−、
そして−L2b−L1b−に該当する連結基であることが望
ましい。ここで、L1aとL1bは、互いに独立に、置換基
を有していてもよい炭素原子数が1乃至6のアルキレン
基あるいは置換基を有していてもよい炭素原子数が2乃
至6のアルケニレン基であることが好ましく、一方、L
2aとL2bとは、互いに独立に、N、O、もしくはSを含
む連結基であることが望ましい。
【0103】L1aおよびL1bの置換基としては、ヒドロ
キシル基、ハロゲン原子、カルボキシル基、アミノ基、
シアノ基、ニトロ基、ホルミル基、ホルミルアミノ基、
炭素原子数が1乃至6のアルキル基、炭素原子数が1乃
至6のアルキルアミノ基、炭素原子数が1乃至6のハロ
ゲン化アルキル基、炭素原子数が5乃至7のシクロアル
キルアミノ基、炭素原子数が2乃至12のジアルキルア
ミノ基、炭素原子数が6乃至12のアリール基、炭素原
子数が1乃至6のアルキル基を有する炭素原子数が7乃
至18のアラルキル基、1乃至6のアルキル基を有する
炭素原子数が7乃至18のアラルキルアミノ基、炭素原
子数が2乃至7のアルカノイル基、炭素原子数が2乃至
7のアルカノイルアミノ基、炭素原子数が3乃至10の
N−アルカノイル−N−アルキルアミノ基、アミノカル
ボニル基、炭素原子数が2乃至7のアルコキシカルボニ
ル基、S、NおよびOからなる群より選ばれるヘテロ原
子を1乃至4個含む炭素原子数2乃至10の複素環基、
並びに置換基として炭素原子数1乃至6のアルキル基、
炭素原子数1乃至6のアルコキシ基、もしくはハロゲン
原子を1乃至5個有していてもよい環構成炭素原子数の
数が6乃至12のアリール基からなる群より選ばれる原
子もしくは基である。置換基の数は、炭素原子数が1乃
至6のアルキレン基では、1乃至12個であることが好
ましく、1乃至3個であることが特に好ましい。炭素原
子数が1乃至6のアルケニレン基については、その数は
1乃至10個であることが好ましく、1乃至3個である
ことが特に好ましい。
【0104】L2aとL2bとは、互いに独立に、それぞ
れ、置換基を有していてもよい、アミド結合基、エステ
ル結合基、エーテル結合基、チオエーテル結合基、ジイ
ミド結合基、チオジイミド結合基、チオアミド結合基、
イミノ結合基、カルボニル結合基、チオカルボニル結合
基および1,4−ピペラジニル基からなる群より選ばれ
る基を一個もしくは複数個含む連結基であることが好ま
しく、特に好ましいのはアミド基(−NHCO−基、も
しくは−CONH−基)である。
【0105】L2aとL2bの置換基の例としては、炭素原
子数が1乃至3のアルキル基、炭素原子数が2乃至4の
アシル基、炭素原子数が6乃至20のアリール基および
炭素原子数が1乃至3のアルキル基を有する炭素原子数
が7乃至23のアラルキル基からなる群より選ばれる基
で置換されていてもよい。炭素原子数が1乃至3のアル
キル基としては、メチル基もしくはエチル基であること
が好ましく、メチル基であることが特に好ましい。炭素
原子数が2乃至4のアシル基としては、アセチル基であ
ることが好ましい。炭素原子数が6乃至20のアリール
基としては、フェニル基もしくはナフチル基であること
が好ましく、フェニル基であることが特に好ましい。炭
素原子数が1乃至3のアルキル基を有する炭素原子数が
7乃至23のアラルキル基としては、ベンジル基である
ことが好ましい。
【0106】L2aとL2bがイミノ結合基である場合、そ
の置換基としては、メチル基であることが特に好まし
い。従って、L2aとL2bは、それぞれ独立に、N−メチ
ル−ジ(n−プロピレニル)イミノ基、1,4−ジ(n
−プロピレニル)−ピペラジニル基であることがさらに
好ましく、N−メチル−ジ(n−プロピレニル)イミノ
基であることが特に好ましい。
【0107】EaおよびEbは、酸化還元活性を有し、こ
れによって導電性を付与する基であり、互いに独立に、
置換基を有していてもよい、一つ以上の結合手を持つメ
タロセン、2,2’−ビピリジン錯体、シクロブタジエ
ン錯体、シクロペンタジエニル錯体、1,10−フェナ
ントロリン錯体、トリフェニルホスフィン錯体、カテコ
ールアミン、あるいはビオローゲンなどであることが好
ましい。置換基を有していてもよい一つの結合手を持つ
フェロセンであることが特に好ましい。EaおよびEb
互いに同一の基であることが好ましい。次に、置換基を
有するフェロセンの具体例を示す。置換基の位置は、シ
クロペンタジエニル基の何れの位置であってもよい。
【0108】
【化16】
【0109】上記の式(6)および(7)の縫い込み型
インターカレータとして有利に用いることのできる化合
物は、例えば、公知のジアミン化合物を原料として、公
知の方法(特開平9−288080号公報)に準じる製
造方法によって簡便に製造することができる。
【0110】また式(6)および(7)の化合物は、公
知のジアミン化合物を出発物質とする下記の式で代表さ
れる合成ルートによっても安価に、かつ収率良く製造す
ることができる。
【0111】
【化17】
【0112】[酸化酵素および基質]本発明の増感型測
定法において酸化酵素として用いる酵素は、酸素から過
酸化水素を生じる二電子還元を行なう酵素であれば特に
制限されない。グルコースオキシダーゼ、コレステロー
ルオキシダーゼ、ウリカーゼ、アミンオキシダーゼ等を
好ましく使用することができる。グルコースオキシダー
ゼによって過酸化水素を発生する基質としては、グルコ
ースを使用する。コレステロールオキシダーゼの場合に
は、基質としてコレステロールを使用する。
【0113】グルコースオキシダーゼは、Asperg
illus nigerもしくはPenicilliu
m notatum由来のものを用いることが好まし
い。コレステロールオキシダーゼは、Nocardia
erythroporis、Brevibacter
ium、Pseudomonas、Mycobacte
rium、スエヒロタケ等から得られたものを用いるこ
とが好ましい
【0114】[標識量の検出]電流量の測定は、電極上
の核酸断片と試料核酸との二本鎖が固定された電極と導
電性基との間を流れる電流量が測定できる方法であれば
如何なる方法であってもよい。サイクリックボルタモグ
ラフィー(CV)、デファレンシャルパルスボルタモグ
ラフィー(DPV)、リニアスィープボルタモグラフィ
ー、ポテンショスタット等を用いることが好ましい。カ
ウンター電極と二本鎖固定電極とを電解質溶液に浸漬
し、一対の電解系を形成させ、デファレンシャルパルス
ボルタモグラフィーを測定することが特に好ましい。
【0115】
【実施例】[実施例1] (1)DNA断片(プローブ)固定電極の作製 6−アミノ−1−ヘキサンチオールの付与により表面に
一群のメルカプト基が導入された金電極(面積:2.2
5mm2)の表面に、1,2−ビス(ビニルスルホニル
アセトアミド)エタンのリン酸緩衝液(pH8.5)を
滴下した後、室温で2時間放置して、一方の端部のビニ
ルスルホニル基が遊離な状態にある反応性金電極を製造
した。この反応性金電極に対して、5’末端にアミノヘ
キシル基を有するアデニンの20量体(H2N−DNA
−A20)(10-10モル/1μL)の水溶液(2μL)
を滴下し、室温で1時間放置した後、超純水で洗浄し
て、DNA断片固定金電極を作製した。
【0116】(2)バックグラウンドの測定、相補性D
NA断片試料の検出 <バックグラウンドの測定>下記式で表されるフェロセ
ン修飾電気化学活性縫込み型インターカレータ(50μ
M)を含む0.1M塩化カリウム−0.1M酢酸緩衝液
(pH5.6)溶液に、20℃にて、上記(1)で作製
したDNA断片(プローブ)固定金電極を浸漬し、印加
電圧100乃至700mVの範囲で、デファレンシャル
・パルス・ボルタンメトリー(DPV)測定を行なっ
た。次いで、印加電圧260mVでの応答電流値(バッ
クグラウンド値)を求めたところ、−2.0μAであっ
た。DPV測定は、パルス振幅50mV、パルス幅50
mSおよびスキャン速度100mV/秒にて行なった。
【0117】
【化18】
【0118】<相補性DNA断片試料の検出> (1)で作製したプローブ固定金電極の上に、DNA断
片試料として、チミン20量体(DNA−T20)(70
ピコモル)を含む10mMトリス緩衝液(pH7.5)
溶液2μLを滴下し、25℃にて30分インキュベート
した。次いで、インキュベート後のプローブ固定金電極
の表面を0.1Mリン酸二水素ナトリウム−リン酸水素
二ナトリウム水溶液(pH7.0)にて洗浄し、未反応
のDNA−T20を除去した。そして、上記のバックグラ
ウンド値の測定と同様の操作を行なって、複合体(プロ
ーブ固定金電極表面上のプローブとDNA断片試料がハ
イブリダイゼーションした複合体)での応答電流値を測
定したところ、−3.6μAであった。そして、バック
グラウンド値に対する応答電流値の変化の割合は、80
%であった。
【0119】(3)測定再現性の評価 10個の金電極のそれぞれに対して、上記の操作(1)
プローブ固定金電極の作製、そして(2)バックグラウ
ンド値の測定、相補性DNA断片試料の検出操作をそれ
ぞれ行ない、10個のぷろーぶ固定金電極における測定
の再現性(N=10)を、算出したバックグラウンド値
に対する複合体での応答電流値の変化の割合の変動係数
CV(%)として求めたところ、CV=11.5%であ
った。
【0120】[比較例1] (1)DNA断片(プローブ)固定金電極作製(従来法
による) 面積が2.25mm2 の金電極表面に、5’末端にメル
カプトヘキシル基を有するアデニンの20量体(HS−
DNA−A20)(10-10モル/1μL)の水溶液(2
μL)を滴下し、室温で1時間放置した後、超純水で洗
浄し、乾燥することにより、比較用DNA断片(プロー
ブ)固定金電極を得た。
【0121】(2)バックグラウンドの測定、相補性D
NA断片の検出 上記(1)で得た比較用プローブ固定電極を使用する以
外は、実施例1と同様にしてバックグラウンド値、複合
体での応答電流値、およびバックグラウンド値に対する
複合体での応答電流値の変化の割合を求めたところ、そ
れぞれ、−2.1μA、−3.0μA、および43%で
あった。
【0122】(3)測定再現性の評価 10個の金電極のそれぞれに対して、上記(1)の比較
用プローブ固定電極作製操作を行なって得た10個のプ
ローブ固定電極について、実施例1と同様にして測定の
再現性(N=10)を求めたところ、CV=21.5%
であった。
【0123】実施例1と比較例1との結果を比較するこ
とにより、本発明の1,2−ビス(ビニルスルホニルア
セトアミド)エタンを介してDNA断片が固定されたプ
ローブ固定金電極を用いることにより、従来の方法でD
NA断片を固定しプローブ固定金電極を用いる場合に比
べて、相補性DNA断片の検出が感度と再現性の両方に
おいて優れていることがわかる。
【0124】[実施例2] (1)DNA断片(プローブ)固定電極の作製 金電極(面積:2.25mm2)の表面に、6−アミノ
−1−ヘキサンチオール(0.014mM)とn−ヘキ
サンチオール(1mM)との混合水溶液(2μL)を滴
下し、混合水溶液が乾燥しないように、45℃で2時間
放置して得られた金電極に、3%の1,2−ビス(ビニ
ルスルホニルアセトアミド)エタンのリン酸緩衝液(p
H8.5)を滴下した後、室温で2時間放置して、一方
の端部のビニルスルホニル基が遊離な状態にある反応性
金電極を製造した。この反応性金電極に対して、5’末
端にアミノヘキシル基を有するアデニンの20量体(H
2N−DNA−A20)(10-10モル/1μL)の水溶液
(2μL)を滴下し、室温で1時間放置した後、超純水
で洗浄して、次いで乾燥することにより、スペーサ基を
介してDNA断片が固定されたプローブ固定金電極を作
製した。
【0125】(2)バックグラウンドの測定、相補性D
NA断片試料の検出 上記(1)で得たプローブ固定金電極を使用する以外
は、実施例1と同様にしてバックグラウンド値、複合体
での応答電流値、およびバックグラウンド値に対する複
合体での応答電流値の変化の割合を求めたところ、それ
ぞれ、−1.8μA、−4.1μA、および128%で
あった。
【0126】(3)測定再現性の評価 10個の金電極のそれぞれに対して、上記(1)のプロ
ーブ固定電極作製操作を行なって得た10個のプローブ
固定電極について、実施例1と同様にして測定の再現性
(N=10)を求めたところ、CV=5.8%であっ
た。
【0127】実施例1の結果と実施例2の結果とを比較
すると、スペーサ基を介してDNA断片が固定されたプ
ローブ固定金電極(実施例2)は、スペーサ基を用いな
いでDNA断片を固定したプローブ固定電極(実施例
1)に比べて、相補性DNA断片試料の検出に際して感
度が良く、かつ再現性もよいことがわかる。
【0128】
【発明の効果】本発明の、ジビニルスルホン化合物など
を利用した共有結合によって核酸断片(プローブ)が電
極表面に固定されたプローブ固定電極は、従来の静電結
合を介して核酸断片が固定されたプローブ固定電極に比
べて、相補性DNA断片の検出に際しての感度が高く、
かつ検出操作の再現性も高い。また、本発明の共有結合
による核酸断片(プローブ)の電極表面への固定に際し
て、スペーサ(スペーサ分子)を用いることにより、プ
ローブ分子が適当な間隔で互いに離れて固定して作製し
たプローブ固定電極は、相補性DNA断片の検出に際し
て更に感度が向上し、また検出操作の再現性も向上す
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】反応性電極の製造方法および本発明の代表的な
核酸断片固定電極の製造方法と構成を模式的に示す。
【図2】スペーサ基が固定された反応性電極の製造方
法、及び該スペーサ基で互いに隔離された状態で核酸断
片(DNAと表記)が固定された電極の製造方法と構成
の例を模式的に示す。
【図3】スペーサ基が固定された反応性電極の別の製造
方法、及び該スペーサ基で互いに隔離された状態で核酸
断片(DNAと表記)が固定された電極の製造方法と構
成の例模式的に示す。
フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) G01N 27/416 G01N 27/30 351 37/00 102 C12N 15/00 F Fターム(参考) 4B024 AA11 AA19 CA01 CA09 HA12 4B029 AA07 AA23 BB20 CC03 FA15 4B063 QA01 QQ42 QR56 QR82 QS25 QS34 QS39 QX02

Claims (17)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 電極、そして該電極表面に共有結合によ
    り固定された一群の核酸断片からなる核酸試料検出用
    具。
  2. 【請求項2】 核酸断片と電極との共有結合が、核酸断
    片に導入された活性水素含有基と電極表面に導入された
    ビニルスルホニル基もしくはその反応性前駆体基を含む
    反応性基との反応により形成されている、請求項1に記
    載の核酸試料検出用具。
  3. 【請求項3】 電極表面に導入された反応性基が、下記
    の式により表わされるものである、請求項2に記載の核
    酸試料検出用具: 【化1】−L−SO2−X [上記の式において、Xは、−CR1=CR23または
    −CHR1−CR23Yを表わし;R1、R2及びR3は、
    互いに独立に、水素原子、炭素原子数が1乃至6のアル
    キル基、炭素原子数が6乃至20のアリール基、及び炭
    素原子数が1乃至6のアルキル鎖を有する合計炭素原子
    数が7乃至26のアラルキル基からなる群より選ばれる
    原子もしくは基を表わし;Yは、ハロゲン原子、−OS
    211、−OCOR12、−OSO3M、及び四級ピリジ
    ニウム基からなる群より選ばれる原子もしくは基を表わ
    し;R11は、炭素原子数が1乃至6のアルキル基、炭素
    原子数が6乃至20のアリール基、及び炭素原子数が1
    乃至6のアルキル鎖を有する合計炭素原子数が7乃至2
    6のアラルキル基からなる群より選ばれる基を表わし;
    12は、炭素原子数が1乃至6のアルキル基および炭素
    原子数が1乃至6のハロゲン化アルキル基からなる群よ
    り選ばれる基を表わし;Mは、水素原子、アルカリ金属
    原子およびアンモニウム基からなる群より選ばれる原子
    もしくは基を表わし;そして、Lは連結基を表わす]。
  4. 【請求項4】 Xが、−CH=CH2で表わされるビニ
    ル基である、請求項3に記載の核酸試料検出用具。
  5. 【請求項5】 Lが、−NH−、−S−、および−O−
    からなる群から選ばれる連結部位を有する連結基であ
    る、請求項3に記載の核酸試料検出用具。
  6. 【請求項6】 Lが、−(L1n−NHCH2CH2
    [但し、L1は連結基を表わし、そしてnは0もしくは
    1である]で表わされる連結基である、請求項3に記載
    の核酸試料検出用具。
  7. 【請求項7】 電極が金から形成されている、請求項1
    に記載の核酸試料検出用具。
  8. 【請求項8】 核酸断片と電極との共有結合が、核酸断
    片に導入されたビニルスルホニル基もしくはその反応性
    前駆体基を含む反応性基と電極表面に導入された活性水
    素含有基との反応により形成されている、請求項1に記
    載の核酸試料検出用具。
  9. 【請求項9】 導電性基を有する縫い込み型インターカ
    レータ及び水性媒体の存在下、核酸試料を請求項1に記
    載の核酸断片が固定された核酸試料検出用具に接触させ
    ることにより、該インターカレータが挿入された核酸試
    料と核酸断片とのハイブリッド複合体を形成させ、次い
    で、核酸試料検出用具の電極に電位を印加し、該検出用
    具の電極と外部電極との間をインターカレータの導電性
    基を介して流れる電流を測定することを特徴とする核酸
    断片に相補性を有する核酸試料の検出方法。
  10. 【請求項10】 電極、該電極表面に共有結合により固
    定された一群の核酸断片、そして該一群の核酸断片のそ
    れぞれを互いに電極表面と平行な平面に沿って空間的に
    分離する配置にて電極表面に固定された一群のスペーサ
    基からなる核酸試料検出用具。
  11. 【請求項11】 核酸断片と電極との共有結合が、核酸
    断片に導入された活性水素含有基と電極表面に導入され
    たビニルスルホニル基もしくはその反応性前駆体基を含
    む反応性基との反応により形成されている、請求項10
    に記載の核酸試料検出用具。
  12. 【請求項12】 電極表面に導入された反応性基が、下
    記の式により表わされるものである、請求項11に記載
    の核酸試料検出用具: 【化2】−L−SO2−X [上記の式において、Xは、−CR1=CR23または
    −CHR1−CR23Yを表わし;R1、R2及びR3は、
    互いに独立に、水素原子、炭素原子数が1乃至6のアル
    キル基、炭素原子数が6乃至20のアリール基、及び炭
    素原子数が1乃至6のアルキル鎖を有する合計炭素原子
    数が7乃至26のアラルキル基からなる群より選ばれる
    原子もしくは基を表わし;Yは、ハロゲン原子、−OS
    211、−OCOR12、−OSO3M、及び四級ピリジ
    ニウム基からなる群より選ばれる原子もしくは基を表わ
    し;R11は、炭素原子数が1乃至6のアルキル基、炭素
    原子数が6乃至20のアリール基、及び炭素原子数が1
    乃至6のアルキル鎖を有する合計炭素原子数が7乃至2
    6のアラルキル基からなる群より選ばれる基を表わし;
    12は、炭素原子数が1乃至6のアルキル基および炭素
    原子数が1乃至6のハロゲン化アルキル基からなる群よ
    り選ばれる基を表わし;Mは、水素原子、アルカリ金属
    原子およびアンモニウム基からなる群より選ばれる原子
    もしくは基を表わし;そして、Lは連結基を表わす]。
  13. 【請求項13】 Xが、−CH=CH2で表わされるビ
    ニル基である、請求項13に記載の核酸試料検出用具。
  14. 【請求項14】 スペーサ基が電荷を有していない、請
    求項10に記載の核酸試料検出用具。
  15. 【請求項15】 スペーサ基の電極に固定されている側
    とは反対側の末端が疎水性基である、請求項10に記載
    の核酸試料検出用具。
  16. 【請求項16】 電極表面に固定された一群の核酸断片
    と一群のスペーサ基とのモル比が1:1乃至1:200
    の範囲にある、請求項10に記載の核酸試料検出用具。
  17. 【請求項17】 導電性基を有する縫い込み型インター
    カレータ及び水性媒体の存在下、核酸試料を請求項10
    に記載の核酸断片が固定された核酸試料検出用具に接触
    させることにより、該インターカレータが挿入された核
    酸試料と核酸断片とのハイブリッド複合体を形成させ、
    次いで、核酸試料検出用具の電極に電位を印加し、該検
    出用具の電極と外部電極との間をインターカレータの導
    電性基を介して流れる電流を測定することを特徴とする
    核酸断片に相補性を有する核酸試料の検出方法。
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