JP2002364807A - 給水加熱器の設置工法 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 低圧タービンの復水器内に給水加熱器を短時
間で効率よく設置する工法の提供。 【構成】 予め下部胴４の上部に受台１１を設けてお
き、クレーンで吊上げた給水加熱器６を傾斜した状態で
上方からタービン開口部７を通過させる。次いで位置合
わせをしながら給水加熱器６を受台１１上に設置してボ
ルト等の固定具で固定する。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、低圧タービンの復
水器内に給水加熱器が配置される場合において、該給水
加熱器を効率よく設置する工法に関する。

【０００２】

【従来の技術】火力発電所や原子力発電所等において
は、タービン発電機により電力を発生させるが、通常、
タービンは高圧タービン、中圧タービンおよび低圧ター
ビンを直結して構成される。ボイラや蒸気発生器（以
下、単に蒸気発生器という）からの高圧蒸気は先ず高圧
タービンに導入され、その排気が中圧タービンおよび低
圧タービンに順に供給され、最後の低圧タービンの排気
は復水器で冷却されて復水し、再び蒸気発生用の給水と
して利用される。

【０００３】復水器は本体胴とその内部に設けた熱交換
部を備え、低圧タービンの排気は本体胴の上部に設けた
タービン開口部から導入され、熱交換部で冷却水と熱交
換されて復水する。熱効率をより高めるために、復水器
内に蒸気発生用の給水を加熱する給水加熱器を設けてい
る。そのような復水器は熱交換部を設けた下部胴と給水
加熱器を設置する上部胴を備え、上部胴の上方に設けた
タービン開口部から低圧タービンの排気が導入され、排
気は先ず給水加熱器を加熱して冷却し、次いで熱交換部
でさらに冷却されて復水する。

【０００４】従来、このような給水加熱器を備えた復水
器を現場施工するには、通常熱交換部を有する下部胴と
上部胴を順に施工するが、その際、下部胴が施工された
後にその上部に受台を設け、その受台に給水加熱器を設
置している。給水加熱器を前記受台に設置するには、予
め上部胴の躯体壁に仮開口を設けるとともに、仮開口か
ら水平に仮設の搬入路を布設する。そして現場付近に搬
入された給水加熱器をジブクレーンなどで吊上げて搬入
路上に降ろし、次いで搬入路から横移動して仮開口より
上部胴内に搬入し、位置合わせをしながら受台上に設置
する。

【０００５】図３は従来の給水加熱器の設置工法を説明
する図である。建屋１内に施工される復水器２は上部胴
３と下部胴４を備え、下部胴４に復水器２の主要部であ
る熱交換部が設けられる。下部胴４の上方に複数の受台
１１が設置され、上部胴３の躯体壁に仮開口２１が設け
られ、さらに仮開口２１から水平に仮設の搬入路２２が
布設される。なお、搬入路２２は床スラブ２３上にレー
ル等を設けて構成される。

【０００６】給水加熱器６の設置手順を説明すると、先
ず現場に搬入された給水加熱器６をジブクレーン２０に
より矢印のように上方に吊上げて搬入路２２上に載置す
る。次に、その給水加熱器６を図示しない送り装置で搬
入路２２上を矢印のように徐々に水平移動させて仮開口
２１から上部胴３内に搬入する。次に給水加熱器６を位
置合わせしながら受台１１上に設置してボルト等の固定
具で固定する。そして複数の給水加熱器６を同様にして
次々と設置し、最後に搬入路２２を撤去し仮開口２１を
閉鎖する。

【０００７】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来の
給水加熱器の設置工法では躯体壁に仮開口を設け、さら
に搬入路を布設しなければならないので、工期が長くな
るとともに他の工事との調整も複雑化するという問題が
あった。また、仮開口の閉鎖や搬入路の布設および撤去
に手間がかかり、多くの仮設用資材を必要とし、設置コ
ストが高くなるという問題もあった。そこで本発明は、
これらの問題を解決することを課題とし、そのための新
しい給水加熱器の設置工法を提供することを目的とす
る。

【０００８】

【課題を解決するための手段】上記課題を達成するため
の本発明は、熱交換部が配置される下部胴と、給水加熱
器が配置される上部胴を有し、上部胴の上方に設けたタ
ービン開口部から低圧タービンの排気を導入するように
構成された復水器における前記給水加熱器の設置工法で
ある。そしてこの工法は、前記下部胴の上方に給水加熱
器の受台を設置し、給水加熱器をタービン開口部より上
部胴内に吊り下げて搬入し前記受台上に設置することを
特徴とする。

【０００９】上記工法によれば、給水加熱器をクレーン
等の吊上げ装置で吊上げ、上部胴の上方に設けたタービ
ン開口部から内部に降ろして受台上に設置するので、短
時間で効率よく給水加熱器を設置することができる。ま
た、従来工法のような仮開口の設置とその閉鎖、搬入路
の布設とその撤去などの工程が不要になるので、それら
に必要な仮資材が節約でき、低コストで設置できる。ま
た、工期が短かくなるので他の工事との調整も簡単にな
る。

【００１０】

【発明の実施の形態】次に本発明の実施の形態を図面に
より説明する。図１は本発明に係る給水加熱器の設置工
法を適用する復水器の１例を示す縦断面図である。１は
建屋、２は復水器、３は上部胴、４は下部胴、５は熱交
換部、６は給水加熱器、７はタービン開口部、８は低圧
タービン、９は吊上げ装置としてのクレーン、１０は冷
却水ポンプである。

【００１１】建屋１の床スラブに復水器２の下部胴４、
その上に上部胴３がそれぞれコンクリート打設により施
工される。下部胴４内には熱交換部５が設置され、その
外部に熱交換部５への冷却水を供給する冷却水ポンプ１
０が配置される。さらに上部胴３内には細長い円筒状の
複数（通常２〜６本程度）の給水加熱器６が設置され
る。上部胴３の上方にはタービン開口部７が設けられ、
そこに低圧タービン８の排気部が開口している。なお建
屋１の上方に設置されたクレーン９は各タービンや発電
機、その他機器類の搬入、搬出等を行うものである。

【００１２】低圧タービン８からの排気はタービン開口
部７より上部胴３の内部に導入され、先ず各給水加熱器
６を加熱して冷却され、さらに下降して熱交換部で冷却
水ポンプ１０から供給される冷却水との熱交換により冷
却されて復水する。なお復水は図示しない配管から外部
に排出され、蒸気発生部の給水等に再利用される。

【００１３】図２は本発明の工法により給水加熱器を設
置している状態を説明する図である。図２における設置
手順を説明すると、下部胴４が施工された状態におい
て、その下部胴４の上方に給水加熱器６の基礎部となる
複数の受台１１を設置する。次に現場に搬入された給水
加熱器６をクレーン（図示せず）で吊上げ、タービン開
口部７の上方まで移動する。吊上げに際しては、給水加
熱器６の長手方向の２箇所に所定間隔でクレーンの吊上
げ部を掛合させ、それぞれ独立して昇降調整できるよう
にする。

【００１４】次に２つの吊上げ部を調整し、給水加熱器
６の姿勢を図示のように傾斜させる。すなわち、通常給
水加熱器６はタービン開口部７の幅より長いので、ター
ビン開口部７をスムーズに通過できる角度に給水加熱器
６を傾斜させる。次いでクレーンを操作して給水加熱器
６を徐々に下降し、タービン開口部７を通過させて受台
１１上に位置調整しながら載置してボルト等の固定具で
固定する。このような手順で複数の給水加熱器６を図示
のように次々と設置する。全ての給水加熱器６の設置が
完了したら、次に低圧タービン８をタービン開口部７上
に設置する。

【００１５】

【発明の効果】以上のように本発明の給水加熱器の設置
工法によれば、給水加熱器をクレーン等の吊上げ装置で
吊上げ、上部胴の上方に設けたタービン開口部から内部
に降ろして受台上に設置するので、短時間で効率よく給
水加熱器を設置することができる。さらに、従来工法の
ような仮開口の設置とその閉鎖、搬入路の布設とその撤
去などが不要になるので、それらに必要な仮資材が節約
でき、低コストで設置できる。また工期が短くなるので
他の工事との調整も簡単になる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明に係る給水加熱器の設置工法を適用する
復水器の１例を示す縦断面図。

【図２】本発明の工法により給水加熱器を設置している
状態を説明する図。

【図３】従来の給水加熱器の設置工法を説明する図。

【符号の説明】

１ 建屋 ２ 復水器 ３ 上部胴 ４ 下部胴 ５ 熱交換部 ６ 給水加熱器 ７ タービン開口部 ８ 低圧タービン ９ クレーン １０ 冷却水ポンプ １１ 受台 ２０ ジブクレーン ２１ 仮開口 ２２ 搬入路 ２３ 床スラブ

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 熱交換部(5) が配置される下部胴(4)
   と、給水加熱器(6) が配置される上部胴(3) を有し、上
   部胴(3) の上方に設けたタービン開口部(7) から低圧タ
   ービン(8) の排気を導入するように構成された復水器
   (2) における前記給水加熱器(6) の設置工法において、 前記下部胴(4) の上方に給水加熱器(6) の受台(11)を設
   置し、給水加熱器(6)をタービン開口部(7) より上部胴
   (3) 内に吊り下げて搬入し前記受台(11)上に設置するこ
   とを特徴とする給水加熱器の設置工法。