JP2002364041A - 消音型脚部ベンド接続構造及び消音型伸縮継ぎ手管 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 最近、多層階建物等で採用される排水システ
ムでは、最下部の脚部ベンドで発生する排水騒音が問題
視されるようになってきている。 【解決手段】 立て主管５と脚部ベンド７との上下間に
伸縮継ぎ手管６を接続して、脚部ベンド７内での振動
を、伸縮継ぎ手管６による管軸方向の伸縮作用によって
吸収乃至減衰させるものとした。結果、躯体伝播音（排
水騒音）は抑制乃至解消される。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、躯体伝播音と呼ば
れる排水時の騒音を防止することができる消音型脚部ベ
ンド接続構造及び消音型伸縮継ぎ手管に関するものであ
る。

【０００２】

【従来の技術】集合住宅等の多層階建物で採用される排
水管システム等において、床スラブを貫通して設置され
る排水管に対しては、排水騒音が床スラブに伝搬して室
内へ放射される、いわゆる躯体伝播音を防止する対策と
して、種々のものが提案されている。例えば、排水管の
まわりに板金製被覆材を設けるものとして、この被覆材
の内面に、リング状をした耐火性弾性材と防振性弾性材
とを管軸方向に沿って交互に配置し、これら各弾性材の
内周面を管外面に当接させ、また被覆材の外面と床スラ
ブに設けた貫通孔の内周面との周間にモルタルを充填す
るというものがある（特開平１０−２３８６６３号公報
等参照）。

【０００３】上記被覆材は、排水管よりも一回り径大な
中空円錐台形を縦方向に半割りしたような形状の二部材
を、互いに向き合わせて（排水管をその両側から抱き合
わせるようにして）結合させる構造になっている。この
他にも、排水管の外周面と貫通孔の内周面との周間にロ
ックウール等の耐火性振動吸収材を詰め込むというもの
や、テープ状に形成された耐火性振動吸収材を排水管ま
わりに巻回被着させ、この振動吸収材の外面と貫通孔の
内周面との周間にモルタルを充填するというものがあっ
た。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】ところで、上記多層階
建物用の排水管システム等では、その最も下部側にはＬ
型に曲げられた脚部ベンドが使用されるが、この脚部ベ
ンドに対しては、それ自体に躯体伝播音の発生を防止す
るための対策を施したものはなかった。しかし、脚部ベ
ンドは、排水や固形落下物等が落下して内部衝突すると
ころであって、躯体伝播音の防止対策が特に希求されて
いるところである。そこで、この脚部ベンドの直上とな
る立て主管が床スラブを貫通する部分で、上記したよう
な躯体伝播音の防止対策を施すことをもって、これで脚
部ベンドに対する躯体伝播音の防止対策をも兼用させて
いた。

【０００５】このようなことから、脚部ベンド自体は、
どうしても十分な躯体伝播音の防止が図られてはいなか
った。これは、脚部ベンドが、建物の中で非居住区とな
る最下層部に設けられるのが普通であり、騒音としての
影響が少ないと考えられていたからである。ところが最
近では、建物の様式も多種多様となり、例えば半地下室
や地下室を設けることがあったり、脚部ベンドもその設
置数が増えて比較的高位で使用されることがあったりし
て、脚部ベンドでの躯体伝播音の防止対策も無視できな
くなってきているということがあった。

【０００６】なお、上記した従来の躯体伝播音の防止対
策のうち、テープ状に形成された耐火性振動吸収材を排
水管まわりに巻回被着させるという手法を脚部ベンドに
そのまま採用するには、その施工が非常に面倒になると
いうことがあった。本発明は、上記事情に鑑みてなされ
たものであって、躯体伝播音を防止することができるよ
うにすると共に、容易に施工できるようにした消音型脚
部ベンド接続構造を提供することを目的とし、且つまた
これに使用する消音型伸縮継ぎ手管を提供することを目
的とする。

【０００７】

【課題を解決するための手段】前記目的を達成するため
に、本発明は次の手段を講じた。即ち、本発明に係る消
音型脚部ベンド接続構造は、建物躯体内を縦方向に設け
られる立て主管と、この立て主管の下部に連結される伸
縮継ぎ手管と、この伸縮継ぎ手管の下部に接続される脚
部ベンドとを有している。このようにすることで、脚部
ベンド内で騒音の発生原因となる振動が発生しようとし
ても、この振動は伸縮継ぎ手管による管軸方向の伸縮作
用によって吸収乃至減衰され、結果、立て主管側へと戻
されることが抑制乃至解消されることになる。

【０００８】ところで、脚部ベンドの直上に位置付けら
れる立て主管部分（立て主管のうち脚部ベンドに対して
近い距離にある部分）が、床スラブに設けられた貫通孔
を貫通して設けられている場合では、立て主管の外周面
と貫通孔の内周面との周間に、耐火、防炎用にモルタル
等を充填してもよいし、また加えて、ロックウール等の
振動絶縁体を充填してもよい。これらの詰め物をしたと
しても、上記したように、脚部ベンド内で発生した騒音
は立て主管側へと戻されることが抑制乃至解消されるの
で、結果として床スラブ側への伝搬も抑制乃至解消され
るものである。

【０００９】ただ、この場合には、脚部ベンドの横向き
管端には一般に横管が接続されることになるので、この
横管を、床スラブに対して防振吊具によって吊り下げ支
持させるのが好適となる。すなわち、これによって横管
から床スラブ側への騒音伝搬も抑制乃至解消されるもの
である。なお、上記した消音型伸縮継ぎ手管は、両端部
に管接続部を有すると共に、これら両側の管接続部相互
間に管軸方向に沿って伸縮自在な伸縮筒部が設けられた
ものとなっている。

【００１０】

【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を、図
面に基づき説明する。図１は、本発明に係る消音型脚部
ベンド接続構造の一実施形態を示している。この消音型
脚部ベンド接続構造は、集合住宅等の多層階建物躯体内
にあって、例えば最下階層の床スラブ２に設けられた貫
通孔３を縦方向に貫通して配管設置される。なお、この
場合の床スラブ２とは、建物躯体の最下階層のものだけ
に限らないものであり、また、このような床スラブ２を
貫通していない場合や貫通していても、その貫通部分が
遠い位置にあるような場合をも含むものとする。

【００１１】この消音型脚部ベンド接続構造は、床スラ
ブ２の上方からこの床スラブ２の貫通孔３を貫通して下
方へ突出状に設けられる立て主管５と、床スラブ２の下
方にあってこの立て主管５の下端部に接続される本発明
に係る消音型伸縮自在継ぎ手管６と、この伸縮継ぎ手管
６の下端部に接続される脚部ベンド７と、この脚部ベン
ド７の横向き管端８に接続される横管９と、この横管９
を床スラブ２の下部で吊り下げ保持する防振吊具１０と
を有したものとなっている。立て主管５の外周面と貫通
孔３の内周面との周間には、耐火、防炎用にモルタル１
２が充填されている。また図示は省略するが、立て主管
５の外周面とモルタル１２との周間に、更にロックウー
ル等の多孔質吸音材料によって形成された振動絶縁体を
充填してもよい。

【００１２】伸縮継ぎ手管６は、その管軸方向に沿って
伸縮自在になされたもので、両端部に管接続部１４，１
５を有しており、これら両管接続部１４，１５の相互間
に伸縮筒部１６が設けられたものである。本実施形態の
伸縮継ぎ手管６において、伸縮筒部１６を伸縮自在とさ
せるための具体的構造としては、その管壁を管軸方向で
蛇腹構造に形成して伸縮代を確保させ、また所定範囲で
の伸張に対しては元の長さへ弾性復帰するようにさせた
ものである。

【００１３】形成素材としては、板金素材をはじめ、耐
火性乃至難燃性を有する樹脂やゴムなどを用いることが
できる。また、この伸縮継ぎ手管６の上部側の管接続部
１４はワンタッチジョイント式（ソケット式）とし、下
部側の管接続部１５はフランジ継ぎ手式として図示して
いるが、これらを含め、この伸縮継ぎ手管６の細部構造
は何ら限定されるものではない。例えば、上部の管接続
部１４側を径大管とし、下部の管接続部１５側を径小管
としてこれらを上下動自在に連結し、且つ動態下での止
水処理を施したメカニカル的な構造とすることもでき
る。

【００１４】一方、図例の脚部ベンド７は、その上下双
方に径大化された継ぎ手部１７，１８が設けられたもの
としているが、いずれか一方がストレート管状に形成さ
れているものでもよい。防振吊具１０は、床スラブ２と
横管９との間を吊り下げている部分の一部又は全部が例
えばバネ材やゴムベルト等によって形成されたものであ
る。このような構成の消音型脚部ベンド接続構造であれ
ば、脚部ベンド７内で排水や固形落下物等が内部衝突し
ても、このときの振動は伸縮継ぎ手管６による管軸方向
の伸縮作用により、この脚部ベンド７自体で吸収乃至減
衰される。すなわち、そもそも大きな騒音は発生しない
のである。

【００１５】従って当然に、このような振動が立て主管
５側へと戻されることも抑制乃至解消されることにな
る。また、脚部ベンド７から横管９側へいくらかの残留
騒音が伝わることがあったとしても、防振吊具１０によ
る伸縮作用によって横管９から床スラブ２側へ騒音が伝
搬するようなことも抑制乃至解消されるものとなる。と
ころで、本発明は、上記した実施形態に限定されるもの
ではなく、実施の形態に応じて適宜変更可能である。

【００１６】

【発明の効果】以上の説明から明らかなように、本発明
に係る消音型脚部ベンド接続構造では、立て主管と脚部
ベンドとの上下間に伸縮継ぎ手管を接続しているので、
脚部ベンド内での振動は伸縮継ぎ手管による管軸方向の
伸縮作用によって吸収乃至減衰され、結果、躯体伝播音
（排水騒音）は抑制乃至解消される。また施工も容易で
ある。本発明に係る消音型伸縮継ぎ手管によって、本発
明に係る消音型脚部ベンド接続構造の施工が簡単に行え
る。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明に係る消音型脚部ベンド接続構造の一実
施形態を示した側面図である。

【符号の説明】

２ 床スラブ ３ 貫通孔 ５ 立て主管 ６ 伸縮継ぎ手管 ７ 脚部ベンド ８ 横向き管端 ９ 横管 １０ 伸縮吊具 １４ 管接続部 １５ 管接続部 １６ 伸縮筒部

Claims (3)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 建物躯体内を縦方向に設けられる立て主
   管（５）と、該立て主管（５）の下部に連結される伸縮
   継ぎ手管（６）と、該伸縮継ぎ手管（６）の下部に接続
   される脚部ベンド（７）とを有していることを特徴とす
   る消音型脚部ベンド接続構造。
2. 【請求項２】 前記脚部ベンド（７）の直上の立て主管
   部分が床スラブ（２）に設けられた貫通孔（３）を貫通
   して設けられ、上記脚部ベンド（７）の横向き管端
   （８）に横管（９）が接続される状態で、該横管（９）
   が床スラブ（２）に対して伸縮吊具（１０）によって吊
   り下げ支持されていることを特徴とする請求項１記載の
   消音型脚部ベンド接続構造。
3. 【請求項３】 両端部に管接続部（１４，１５）を有す
   ると共に、これら両側の管接続部（１４，１５）相互間
   に管軸方向に沿って伸縮自在な伸縮筒部（１６）が設け
   られており、請求項１又は請求項２記載の消音型脚部ベ
   ンド接続構造において使用されることを特徴とする消音
   型伸縮継ぎ手管。