JP2002363637A - 液体金属による金属材料の焼き入れ方法およびその装置 - Google Patents

液体金属による金属材料の焼き入れ方法およびその装置

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JP2002363637A
JP2002363637A JP2001178360A JP2001178360A JP2002363637A JP 2002363637 A JP2002363637 A JP 2002363637A JP 2001178360 A JP2001178360 A JP 2001178360A JP 2001178360 A JP2001178360 A JP 2001178360A JP 2002363637 A JP2002363637 A JP 2002363637A
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liquid metal
tank
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coolant
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Nozomi Sato
藤 望 佐
Masahiko Osaki
崎 正 彦 大
Susumu Ninomiya
宮 進 二
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 液体金属中の不純物を効果的に除去し得るよ
うにした液体金属による焼き入れ方法及びその装置を得
ること。 【解決手段】 液体金属を冷却剤として金属材料を冷却
焼き入れする液体金属による金属材料部品の焼き入れ方
法において、冷却タンク内の液体金属を上記冷却タンク
の上部からオーバーフローさせることによって冷却剤表
面に浮遊する不純物をオーバーフローさせ、冷却剤の不
純物を除去する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、金属材料の焼き入
れに際し冷却剤として液体金属ナトリウム若しくは液体
金属ナトリウム−カリウムの如き液体金属を使用する焼
き入れ方法、及びその装置に関する。
【0002】
【従来の技術】一般に、金属材料の焼き入れには水や
油、ポリマー等の冷却剤が使用されている。ところが、
高温に加熱された金属材料を水や油、ポリマー等の冷却
剤の中に挿入したり、また吹付けたりすると、沸騰して
その蒸気膜が発生し、その蒸気膜が発生した部分の熱除
去が悪くなる為に、焼き入れ中の金属材料の表面に大き
な温度差が発生する。
【0003】具体的には図8に示すように、800℃に
加熱した金属材料を水や油、ポリマーの如き冷却剤に入
れて焼き入れをすると、550℃以上では蒸気膜が形成
され、冷却速度が遅くなり、低温になって蒸気膜が消え
ると冷却速度が速くなる事が実験的にも確かめられてい
る。また形成された蒸気膜は金属材料の端部から徐々に
消滅するので、完全に消滅するまでの間は、その表面で
蒸気膜が有る部分と無い部分が存在し、その間で200
℃〜300℃程度の温度差が発生する事も実験的に確か
められている。
【0004】この温度差により金属の熱収縮割合が変化
し、金属材料に変形や割れ、曲がり、歪みなどが発生す
る。特に水焼き入れの場合では、この傾向が著しい。こ
の水焼き入れの欠点を少しでもカバーする為に、ガスや
油やポリマーが使用されているが、ガス冷却では冷却速
度が小さく、焼き入れ硬さが低いと言う欠点が有る。油
やポリマーでは変形や割れ、曲がり、歪みが水に比べ少
し改善されるが、十分ではなく、図8に示すように冷却
速度が水よりも遅くなる為、焼き入れ硬さが低下する欠
点が有る。また油やポリマー冷却では焼き入れた部品の
表面の圧縮残留応力が水に比べ大きく低下したり、時に
よっては引っ張りの残留応力となり、疲労強度が大きく
低下する欠点が有る。
【0005】溶融塩は蒸気膜の発生は無いが、使用温度
条件が高く一般的には焼きが入りにくい欠点と公害発生
防止の観点からその液の管理に大きな負担が掛かる欠点
が有る。また金属の錫や鉛も蒸気膜の発生は無いが、使
用温度が金属の融点以上に限られるので、一般的には焼
きが入り難いのと、コストが高く、かつ重金属公害発生
の心配も有る。
【0006】そこで、焼き入れ冷却剤として液体金属ナ
トリウム若しくは液体金属ナトリウム−カリウムの如き
液体金属を使うことも提案されている。このように冷却
剤として液体金属を使用する場合には、700℃以上に
加熱した金属材料を焼き入れする際にも沸騰して蒸気膜
を発生させる事が無く、しかも除熱性能に大きく影響す
る熱伝導率が水の約100倍も有る為に、急速冷却と金
属材料表面に温度差を発生させない均一冷却が可能とな
り、金属材料の焼き入れ時の変形や割れ、曲がり、歪み
を防ぎ、しかも耐久性、耐摩耗性や耐食性に優れるとと
もに、公害防止及び費用の低減も図ることができる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、液体金
属ナトリウムの如き液体金属を冷却剤として使用した場
合には、焼き入れの際に材料に付着した錆、油及び雰囲
気中の酸素、水分等の多量の不純物が冷却剤に混入す
る。その不純物のうち錆等のスラッジは沈降し、油から
発生するカーボン、過飽和となったナトリウム酸化物等
はナトリウム表面に浮遊する。
【0008】そこで、これらの不純物を除去しないとナ
トリウムの融点(98℃)の上昇、浮遊不純物の材料付
着等により、ナトリウム浴としての性能が低下すると共
に配管部等での閉塞等が発生する。
【0009】本発明は、このような点に鑑み、これらの
不純物を効率良く除去することができるようにした液体
金属による金属材料の焼き入れ方法及びその装置を得る
ことを目的とする
【0010】
【課題を解決するための手段】請求項1に係る発明は、
液体金属を冷却剤として金属材料を焼き入れする液体金
属による金属材料の焼き入れ方法において、金属材料を
焼き入れするための冷却タンク内の液体金属を上記冷却
タンクの上部からオーバーフローさせることによって冷
却剤表面に浮遊する不純物を除去することを特徴とす
る。
【0011】請求項2に係る発明は、請求項1に係る発
明において、冷却剤中に沈降する不純物を、上記冷却タ
ンク内の下部から除去することを特徴とする。
【0012】請求項3に係る発明は、請求項1に係る発
明において、冷却剤中に懸濁した不純物を、上記冷却タ
ンクに接続されたフイルターにより除去することを特徴
とする。
【0013】請求項4に係る発明は、請求項1に係る発
明において、冷却剤中に溶解している不純物を、上記冷
却タンク外に於いて冷却剤を冷却することによって除去
することを特徴とする。
【0014】請求項5に係る発明は、請求項2に係る発
明において、上記冷却タンク内の下部に沈降した不純物
を、沈降不純物タンクに排出することによって冷却剤か
ら除去することを特徴とする。
【0015】請求項6に係る発明は、請求項1に係る発
明において、複数の冷却タンクを設け、これら冷却タン
クに付設された浮遊不純物除去装置のいずれかの性能が
低下した場合には、当該冷却タンクの冷却剤をドレンし
て再生を行なうとともに、他の冷却タンクで焼き入れを
行うことを特徴とする。
【0016】請求項7に係る発明は、液体金属を冷却剤
として金属材料を焼き入れする液体金属による金属材料
の焼き入れ装置において、金属材料を焼き入れする冷却
タンクの上部には、冷却タンク内の冷却剤とともに冷却
剤表面に浮遊する不純物を除去するオーバーフローライ
ンが開口されていることを特徴とする。
【0017】請求項8に係る発明は、請求項7に係る発
明において、前記オーバーフローラインは、上記冷却タ
ンクとその冷却タンクを収容し温度制御装置を備えた外
槽との間の環状間隙を含むことを特徴とする。
【0018】請求項9に係る発明は、請求項7に係る発
明において、前記オーバーフローラインは、上記冷却タ
ンク内に設けられたパイプを含むことを特徴とする。
【0019】請求項10に係る発明は、請求項7に係る
発明において、前記オーバーフローラインには浮遊不純
物除去装置が設けられていることを特徴とする。
【0020】請求項11に係る発明は、請求項7に係る
発明において、前記オーバーフローラインは、フイルタ
ー、溶解不純物除去タンク及び冷却剤供給タンクを有す
る循環ラインを介して冷却タンクに接続されていること
を特徴とする。
【0021】請求項12に係る発明は、請求項7に係る
発明において、上記オーバーフローラインには、冷却剤
の凝固による配管閉鎖を防止するための加熱器が設けら
れていることを特徴とする。
【0022】請求項13に係る発明は、請求項11に係
る発明において、前記溶解不純物除去タンクには、不純
物を付着させ除去する冷却管が設けられていることを特
徴とする。
【0023】請求項14に係る発明は、請求項11に係
る発明において、前記溶解不純物除去タンクにはスラッ
ジ分離隔壁が設けられ、このスラッジ分離隔壁を経た冷
却剤が前記冷却剤供給タンクに供給されるようにしてあ
ることを特徴とする。
【0024】請求項15に係る発明は、請求項7に係る
発明において、前記冷却タンクの下部には、沈降不純物
タンクに連通するドレンラインが接続されていることを
特徴とする。
【0025】
【発明の実施の形態】以下、添付図面を参照して本発明
の実施の形態を説明する。なお、図中の同一構成要素に
は同一符号を付し、重複する説明を省略する。
【0026】図1は、本発明における冷却剤として液体
金属ナトリウムを使用した場合の金属材料の焼き入れ方
法の手順を示す図であって、700℃以上で所定の時間
加熱された金属材料は液体金属ナトリウムで100℃近
くまで急速冷却される。この時に液体金属ナトリウム中
に多量の不純物が混入するので、この不純物を連続的お
よび間欠的に除去する。次に付着したナトリウムの化学
的な活性を押さえる為に不活性ガス中で常温まで冷却
し、その後蒸気や水などで表面に付着したナトリウムを
取り除く。
【0027】図2は、本発明の第1実施形態の焼き入れ
装置の概略構成を示す図であって、入口エアロック1、
加熱炉2、金属材料投入部3、焼き戻し及びNa除去部
4、及び出口側エアロック5が水平方向にこの順で配設
されている。上記入口エアロック1、加熱炉2、金属材
料投入部3、焼き戻し及びNa除去部4、及び出口側エア
ロック5には、それぞれ温度調整用のヒータ1a、2a、
3a、4a、5aが設けられるとともに、不活性ガス注入
ライン6が接続されており、入口エアロック1には入口
ハッチ7が設けられ、出口側エアロック5には出口ハッ
チ8が設けられている。そして、上記金属材料投入部3
の下方に、温度調整用ヒータを備えた外槽9が設けら
れ、その外槽9内に金属材料11を焼き入れする冷却タ
ンク10が収容配設されている。
【0028】しかして、金属材料11の焼き入れに際し
ては、まず焼き入れを行うための金属材料11がッチ7
を介して入口側エアロック1に収納され、不活性ガス注
入ライン6から窒素やアルゴンなどの不活性ガスが注入
された後、加熱炉2に搬入されて所定の温度まで加熱さ
れる。加熱された前記金属材料11は不活性カバーガス
で覆われた液体金属ナトリウムが入っている冷却タンク
10内に搬入され、そこで液体金属ナトリウムで焼き入
れされる。上記冷却タンク10で焼き入れされた金属材
料11は、その後焼き戻し及びNa除去部4に搬入さ
れ、焼き戻し及びNa除去が行なわれる。次に金属材料
11は出口側エアロック5に搬入され常温まで冷却され
る。この出口側エアロック5には不活性ガス注入ライン
6から窒素やアルゴンなどの不活性ガスが充填されてお
り、大気に触れる事無く冷却できる。
【0029】上記冷却タンク10には、温度制御装置1
2を有するNa注入ライン13が接続されている。そして
そのNa注入ライン13の端部がNa供給タンク14に接続
されており、上記Na注入ライン13に設けられたNaポン
プ15aによってNa供給タンク14から液体金属ナトリ
ウムが冷却タンク10に供給されようにしてある。ま
た、図3に示すように、前記外槽9と冷却タンク10と
の間には環状通路16が形成されており、その環状通路
16にはNa戻りライン17が接続され、その環状通路1
6とNa戻りライン17によりオーバーフローライン18
が構成されている。上記環状通路16とともにオーバー
フローライン18を構成するNa戻りライン17には、温
度制御装置19、フィルター20、及びNaポンプ15b
が接続され、そのNa戻りライン17の他端が熔解不純物
除去タンク21に接続されている。この熔解不純物除去
タンク21にはNaポンプ15cを有するNa再生ライン2
3の一端が接続され、そのNa再生ライン23の他端が前
記Na供給タンク14に連結されている。
【0030】ところで、上記環状通路16(図3)には
金網のような浮遊不純物除去装置24が設けられてお
り、また、熔解不純物除去タンク21内にはスラッジ分
離隔壁25で区画されており、そのスラッジ分離隔壁2
5で区画された部分内に不純物を付着させ不純物を除去
するフイン付冷却管26が設けられている。一方、冷却
タンク10の下部にはバルブ27を介して沈降不純物タ
ンク28に連通するドレンライン29が接続されてい
る。
【0031】しかして、前述のように所定温度に加熱さ
れた金属材料11がクレーン等により冷却タンク10に
搬入され、そこで焼き入れが行なわれる。このとき上記
冷却タンク10にはNa注入ライン13から液体金属ナト
リウムが供給されているので、その液体金属ナトリウム
とともに液体金属ナトリウムの表面に浮遊している浮遊
不純物が冷却タンク10の上縁からオーバーフローし、
浮遊不純物が冷却タンク10から除去される。そしてこ
のようにして冷却タンク10からオーバーフローした浮
遊不純物は環状通路16に設けられた浮遊不純物除去装
置24で捕集除去される。
【0032】この浮遊不純物除去装置24を経た液体金
属ナトリウムはNaポンプ15bによりNa戻りライン17
を通り熔解不純物除去タンク21に流入される。この場
合、温度制御装置19により加熱され、液体金属ナトリ
ウムの凝固が防止されるとともに不純物の溶解が行わ
れ、液体金属ナトリウム中に懸濁している懸濁不純物は
フイルタ20で除去される。このようにして浮遊不純物
及び懸濁不純物が除去された液体金属ナトリウムが熔解
不純物除去タンク21に導入され、そこで熔解不純物の
除去が行われる。
【0033】すなわち、熔解不純物除去タンク21に導
入されスラッジ分離隔壁25でスラッジが分離された液
体金属ナトリウムはフイン付冷却管26で冷却され、液
体金属ナトリウム中に溶解していた不純物が上記冷却管
26に付着して除去される。
【0034】このようにして熔解不純物が除去された液
体金属ナトリウムはスラッジ分離隔壁25を経た後Naポ
ンプ15cによりNa供給タンク14に返流され、その後
Naポンプ15aによりNa再生ライン13を通って冷却タ
ンク10に環流される。また、冷却タンク10の下部に
沈降した不純物は、バルブ27を定期的に解放すること
により沈降不純物タンク28にドレンされる。
【0035】このようにして冷却タンク10の液体金属
ナトリウム中の不純物が効率よく除去され、金属材料部
品への不純物の付着が防止されるとともに、不純物によ
る配管等での閉塞が防止される。
【0036】また、高温の金属材料11を前記冷却タン
ク10に挿入する際に発生するナトリウムベーパーは冷
却タンク10の上部に設けた循環ポンプ30及びベーパ
トラップ31を有するベーパ除去ライン32により除去
される。
【0037】なお、金属材料11の入口側エアロック1
から出口側エアロック5まで搬送する搬送装置、各部の
ドアの開閉、ナトリウム浴への出し入れはコンピュータ
に予めプログラムされ、自動的に搬送、焼き入れ、Na
除去(焼き戻し)、及び冷却が行われるようにしてあ
る。
【0038】図4は本発明の第2の実施の形態を示す図
であり、図3と同様に構成された冷却タンク10の上方
に加熱炉等の各機器が縦方向に配列されている。すなわ
ち、冷却タンク10の上方に加熱炉35が配設されてお
り、その加熱炉35の上方に不活性ガス供給系36を有
する不活性ガスタンク部37が配設され、加熱炉35と
その下方に設けられた冷却タンク10との間に加熱不活
性ガス供給系38を有する加熱不活性ガスパージ部39
が配設されている。上記不活性ガスタンク部37の上方
には断熱材40を介して開閉蓋41が設けられており、
上記不活性ガスタンク部37と加熱炉35の間には断熱
材42を介してゲートバルブ43が設けられ、また加熱
炉35と加熱不活性ガスパージ部39との間には断熱材
44が介装されている。さらに加熱不活性ガスパージ部
39と冷却タンク10との間にはゲートバルブ45が設
けられている。また冷却タンク10の上方部には、ベー
パートラップ46及び循環ポンプ47を有し不活性ガス
を供給循環させるベーパー除去装置48が配設されてい
る。
【0039】しかして、焼き入れする金属材料11をク
レーン50で焼き入れ装置の上に移動する。この時、ゲ
ートバルブ43、45が閉まっていること及び装置内が
不活性ガス雰囲気であることを確認し、開閉蓋41を開
ける。そして上記金属材料11を不活性ガスタンク部3
7に下ろし、開閉蓋41を閉める。開閉蓋41は、材料
を吊っているクレーン50のワイヤー部分から多少のリ
ークはあるものの密閉できる構造となっている。
【0040】開閉蓋41を閉めた後、不活性ガス供給系
36より金属材料11が位置する開閉蓋41とゲートバ
ルブ43の間へ不活性ガスを注入し、より高い不活性ガ
ス雰囲気とする。
【0041】そこでゲートバルブ43を開き、金属材料
11を加熱炉35の位置まで下ろし、ゲートバルブ45
を閉める。加熱炉35により金属材料11を所定の昇温
速度で所定の温度に昇温し、所定の時間保持する。この
時の昇温速度・昇温温度および保持時間は材料の材質お
よび量によって異なる。
【0042】その後、不活性ガス供給系36から不活性
ガスが供給され、不活性ガス排出系から供給されている
流量と同じ流量で排出されていることを確認し、温度の
保持が終了した時点でゲートバルブ45を開き、金属材
料11を液体金属ナトリウムが収容されている冷却タン
ク10中に速やかに挿入する。この時、加熱炉35は、
焼き戻し温度に調整する。焼き戻し温度は、金属材料1
1の材質および目的の硬さによって異なる。冷却タンク
10中に挿入した金属材料11は、所定時間後に加熱不
活性ガスパージ部39まで引き揚げ、ゲートバルブ45
を閉める。この時、冷却タンク10中に挿入している時
間は、熱伝達率が大きいほど短く小さいほど長い、ま
た、質量が大きいほど長く小さいほど短い。
【0043】加熱不活性ガスパージ部39まで引き揚げ
た金属材料11に、焼き戻し温度と同温度の不活性ガス
を加熱不活性ガス供給系38より勢いよく吹き付け、金
属材料11に付着している液体金属ナトリウムを吹き飛
ばし除去する。
【0044】付着したナトリウムを除去した材料を加熱
炉35の位置まで引き上げ、焼き戻し温度に昇温する。
この時の冷却方法が炉内冷却であればその位置で冷却を
開始し、空冷であれば不活性タンク部37の位置に引き
上げ、不活性ガスにより冷却する。
【0045】また本発明における駆動部・供給系・排出
系およびヒータ・電気炉をコンピューター制御とし、本
発明内雰囲気の不活性ガス化の行程・昇温速度・昇温温
度・保持時間・液体金属ナトリウム中への昇給時間およ
び焼き戻し温度・焼き戻し方法等をコンピューターに予
め入力しておき、コンピューターによる制御により行程
を実施する。
【0046】このように冷却タンク10、加熱炉35等
を縦方向に配設することにより装置の設置スペースを狭
くすることができる。
【0047】ところで、上記実施の形態においては冷却
タンク10と外槽9との環状通路16とそれに接続され
たNa戻りライン17によりオーバーフローライン16を
構成したものを示したが、冷却タンク10内に複数のオ
ーバーフローパイプを設けてもよい。また、金属材料1
1をクレーンで搬入、搬送等を行うようにしたものを示
したが、クレーン以外の昇降装置等を使用するようにし
てもよい。さらに、上記両実施の形態においては、1個
の冷却タンクが配設された装置について説明したが、冷
却タンクを複数設けそのいずれかの冷却タンクに付設さ
れた浮遊不純物除去装置の性能が低下した場合には、そ
の冷却タンクの冷却剤をドレンして再生を行うととも
に、他の冷却タンクで焼き入れを行うことにより、連続
運転を行うことができる。
【0048】図5は、本発明の第3実施の形態を示す図
であり、Naポンプ51の前後にバルブ51a、51bを設
け、バルブ51a、51bの外側に配管取り外し用ジョイ
ント52a、52bを備えた配管53で、不純物を除去す
る機構を持たない二つの冷却タンク54a、54bをつな
いだ構造を有している。
【0049】しかして、金属材料11の焼き入れを行な
い冷却タンク54bのナトリウムに不純物が蓄積された
と判断した場合、Naポンプ51を冷却タンク54bか
ら冷却タンク54aへナトリウムが流れるように起動す
る。そしてバルブ51bを開け次いでバルブ51aを開け
ることでナトリウムを冷却タンク54bから冷却タンク
54aへ移動させ、バルブ51a、51bを閉める。する
と、冷却タンク54bの内壁および底部に不純物が残留
する。
【0050】したがって、配管取り外しジョイン52b
により配管を取り外し、冷却タンク54bの内壁に付着
した不純物を除去するための治具を冷却タンク54bに
取り付ける。この治具は、図6に示すように、先端に滑
り止めのゴム55を備え油圧により伸縮するアームによ
り冷却タンク54b内に治具を固定する油圧式伸縮固定
アーム56と、アクリル製のへらや銅製のブラシのよう
な不純物より十分に硬く冷却タンク(SUS製)より柔
らかい材質で作られた不純物掻き取り部57が先端に取
り付けられ、その不純物掻き取り部57を冷却タンク5
4bの内壁に押し付けるための空気圧式伸縮アーム58
と、その空気圧式伸縮アーム58を回転させるモータ5
9から構成さている。
【0051】しかして、油圧式伸縮固定アーム56によ
り不純物除去治具を冷却タンク54b内に固定し、空気
圧式伸縮回転アーム58を回転させながら空気圧により
アームを伸ばす。空気圧式伸縮回転アーム56は、不純
物を除去しながら冷却タンクの内径をリミットとする位
置まで伸ばす。空気圧式伸縮回転アーム58が冷却タン
ク54bの内径で1回転以上すると、その部分の不純物の
除去を終了したとして、次の位置に移動し固定して不純
物の除去を行う。
【0052】上記の操作で冷却タンク54b内壁の不純
物を全て除去できたら、不純物除去治具を冷却タンク5
4bから一旦外し、油圧式伸縮固定アーム56から空気
圧式伸縮回転アーム58を外し、図7に示すような冷却
タンク底部不純物掻き取り具60を油圧式伸縮固定アー
ム56に取り付け、冷却タンク54bに再度取り付け、
回転させて冷却タンク54bの底部の不純物を除去す
る。
【0053】冷却タンク54a内に不純物が蓄積した場
合には、液体金属ナトリウムを冷却タンク54bに移
し、冷却タンク54aで同様の操作を行う。この方法に
より、複雑な不純物除去機構を備えること無しに液体金
属ナトリウムによる焼入れを行うことができる。
【0054】
【発明の効果】以上述べたように本発明による焼き入れ
方法及び装置によれば、液体金属による焼き入れの際に
混入した不純物の除去を容易にし、焼き入れの性能低下
および配管部等での閉塞等を防止しすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による材料の焼き入れ方法とその手順を
示した図。
【図2】本発明による焼き入れ装置の第1の実施に形態
の概略構成を示す図。
【図3】冷却タンク部の拡大断面図。
【図4】本発明による焼き入れ装置の第2の実施の形態
の概略構成を示す図。
【図5】本発明による焼き入れ装置の第3の実施の形態
の概略構成を示す図。
【図6】第3の実施の形態における不純物除去方法を示
す説明図。
【図7】冷却タンク底部不純物掻き取り具を示す図。
【図8】焼き入れ冷却剤の違いによる冷却速度の違いを
説明する図。
【符号の説明】
1 入口側エアロック 2 加熱炉 3 金属材料部品投入部 4 焼き戻し及びNa除去部 5 出口側エアロック 6 不活性ガス注入ライン 9 外槽 10 冷却タンク 11 金属材料部品 13 Na注入ライン 14 Na供給タンク 16 環状通路 17 Na戻りライン 18 オーバーフローライン 20 フィルター 21 熔解不純物除去タンク 23 Na再生ライン 24 浮遊不純物除去装置 26 冷却管 28 沈降不純物タンク 29 ドレンライン 32 ベーパー除去ライン 35 加熱炉 36 不活性ガス供給系 37 不活性ガスタンク部 38 加熱不活性ガス供給系 39 加熱不活性ガスパージ部 41 開閉蓋 43、45 ゲートバルブ 48 ベーパー除去装置 50 クレーン 51 Naポンプ 51a、51b バルブ 54a、54b 冷却タンク 56 油圧式伸縮固定アーム 57 不純物掻き取り部 58 空気圧式伸縮アーム
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 二 宮 進 神奈川県横浜市磯子区新杉田町8番地 株 式会社東芝横浜事業所内 Fターム(参考) 4K034 AA02 AA06 FA04 FB11 FB12

Claims (15)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】液体金属を冷却剤として金属材料を焼き入
    れする液体金属による金属材料の焼き入れ方法におい
    て、金属材料を焼き入れするための冷却タンク内の液体
    金属を上記冷却タンクの上部からオーバーフローさせる
    ことによって冷却剤表面に浮遊する不純物を除去するこ
    とを特徴とする液体金属による金属材料の焼き入れ方
    法。
  2. 【請求項2】冷却剤中に沈降する不純物を、上記冷却タ
    ンク内の下部から除去することを特徴とする、請求項1
    記載の液体金属による金属材料の焼き入れ方法。
  3. 【請求項3】冷却剤中に懸濁した不純物を、上記冷却タ
    ンクに接続されたフイルターにより除去することを特徴
    とする、請求項1記載の液体金属による金属材料の焼き
    入れ方法。
  4. 【請求項4】冷却剤中に溶解している不純物を、上記冷
    却タンク外に於いて冷却剤を冷却することによって除去
    することを特徴とする、請求項1記載の液体金属による
    金属材料の焼き入れ方法。
  5. 【請求項5】上記冷却タンク内の下部に沈降した不純物
    を、沈降不純物タンクに排出することによって冷却剤か
    ら除去することを特徴とする、請求項2記載の液体金属
    による金属材料の焼き入れ方法。
  6. 【請求項6】複数の冷却タンクを設け、これら冷却タン
    クに付設された浮遊不純物除去装置のいずれかの性能が
    低下した場合には、当該冷却タンクの冷却剤をドレンし
    て再生を行うとともに、他の冷却タンクで焼き入れを行
    うことを特徴とする、請求項1記載の液体金属による金
    属材料の焼き入れ方法。
  7. 【請求項7】液体金属を冷却剤として金属材料を焼き入
    れする液体金属による金属材料の焼き入れ装置におい
    て、金属材料を焼き入れする冷却タンクの上部には、冷
    却タンク内の冷却剤とともに冷却剤表面に浮遊する不純
    物を除去するオーバーフローラインが開口されているこ
    とを特徴とする、液体金属による金属材料の焼き入れ装
    置。
  8. 【請求項8】前記オーバーフローラインは、上記冷却タ
    ンクとその冷却タンクを収容し温度制御装置を備えた外
    槽との間の環状間隙を含むことを特徴とする、請求項7
    記載の液体金属による金属材料の焼き入れ装置。
  9. 【請求項9】前記オーバーフローラインは、上記冷却タ
    ンク内に設けられたパイプを含むことを特徴とする、請
    求項7記載の液体金属による金属材料の焼き入れ装置。
  10. 【請求項10】前記オーバーフローラインには浮遊不純
    物除去装置が設けられていることを特徴とする、請求項
    7記載の液体金属による金属材料の焼き入れ装置。
  11. 【請求項11】前記オーバーフローラインは、フイルタ
    ー、溶解不純物除去タンク及び冷却剤供給タンクを有す
    る循環ラインを介して冷却タンクに接続されていること
    を特徴とする、請求項7記載の液体金属による金属材料
    の焼き入れ装置。
  12. 【請求項12】上記オーバーフローラインには、冷却剤
    の凝固による配管閉鎖を防止するための加熱器が設けら
    れていることを特徴とする、請求項7記載の液体金属に
    よる金属材料の焼き入れ装置。
  13. 【請求項13】前記溶解不純物除去タンクには、不純物
    を付着させ除去する冷却管が設けられていることを特徴
    とする、請求項11記載の液体金属による金属材料の焼
    き入れ装置。
  14. 【請求項14】前記溶解不純物除去タンクにはスラッジ
    分離隔壁が設けられ、このスラッジ分離隔壁を経た冷却
    剤が前記冷却剤供給タンクに供給されるようにしてある
    ことを特徴とする、請求項11記載の液体金属による金
    属材料の焼き入れ装置。
  15. 【請求項15】前記冷却タンクの下部には、沈降不純物
    タンクに連通するドレンラインが接続されていることを
    特徴とする、請求項7記載の液体金属による金属材料の
    焼き入れ装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN112941283A (zh) * 2021-01-27 2021-06-11 李静 一种淬火渣防沉式淬火装置
CN113215367A (zh) * 2021-05-08 2021-08-06 蒙春成 一种环保型钢材热处理装置及其处理方法

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