JP2002361864A

JP2002361864A - インクジェットヘッド及びインクジェット式記録装置

Info

Publication number: JP2002361864A
Application number: JP2001175689A
Authority: JP
Inventors: Masaki Denda; 正樹伝田
Original assignee: SII Printek Inc
Current assignee: SII Printek Inc
Priority date: 2001-06-11
Filing date: 2001-06-11
Publication date: 2002-12-18

Abstract

(57)【要約】【課題】低消費電力、低エネルギーで駆動でき且つ高
粘度のインクを吐出できると共にインク吐出特性を向上
したインクジェットヘッド及びインクジェット式記録装
置を提供する。【解決手段】圧電セラミックプレートに形成された溝
の側壁に設けられた電極に駆動電圧を印加することによ
って当該溝内の容積を変化させてその内部に充填された
インクをノズル開口から吐出するヘットチップと、該ヘ
ッドチップにインクを供給するインク供給路の途中に設
けられて前記ヘッドチップ内に負圧を発生させるエアー
ダンパ６０とを有するインクジェットヘッドにおいて、
前記エアーダンパ６０内のインクを保持するインク貯留
部６１内に配設されると共に当該エアーダンパ６０外ま
で延設された熱伝導部材からなるダンパプレート８１
と、該ダンパプレート８１の前記エアーダンパ６０外ま
で延設された部分８３を加熱する加熱装置９０とからな
る加熱手段８０を有し、該加熱手段８０によって前記イ
ンク貯留部６１内のインクを加熱する。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、例えば、プリン
タ、ファックスなどに適用されるインクジェットヘッド
及びインクジェット式記録装置に関する。

【０００２】

【従来の技術】従来より、複数のノズルからインクを吐
出するインクジェットヘッドを用いて被記録媒体に文字
や画像を記録するインクジェット式記録装置が知られて
いる。このインクジェット式記録装置は、インクジェッ
トヘッドが搭載されたキャリッジを被記録媒体に対して
主走査方向に移動させながらインクジェットヘッドのノ
ズルからインクを吐出して所定領域にドットのパターン
を印刷し、一回の主走査が終わると被記録媒体を複走査
方向に所定量移動させ、これらの動作を繰り返すことに
よって所望の全ての領域の印刷を行うものである。

【０００３】従来のこのようなインクジェット式記録装
置では、低消費電力、低エネルギーによるインク吐出を
常に追求している。このためインク粘度を低めに設定す
ることが望ましく、通常は常温において略１０ｍＰａ・
ｓの粘度での吐出を狙っている。

【０００４】しかしながら、吐出されるインクの物性
（特にインク粘度）は、環境温度によって大きく変化す
るため、吐出性能が常温に対して悪化した場合は吐出不
能となっていた。

【０００５】このため、従来ではヘッド駆動電圧を環境
温度に応じて可変し、狙いのインク滴吐出速度やインク
ボリュームなどの吐出性能となるように制御していた。

【０００６】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、環境温
度に応じてヘッドの駆動電圧を制御する場合、インク粘
度が低温下において大幅に上がるため制御電圧は高めの
設定となり、どうしても電源可変範囲が広くなって過剰
な能力が必要であるという問題がある。

【０００７】また、常温におけるインク粘度自体の値が
高いと、常温での初期制御電圧が高め設定となるため低
消費電力、低エネルギーを実現できないという問題があ
る。

【０００８】さらに、このようなインクジェットヘッド
では、吐出可能なインク粘度は３ｍＰａ・ｓ〜１０ｍＰ
ａ・ｓの範囲であり、例えば、放射線硬化型インク等の
高粘度（１０ｍＰａ・ｓ〜５０ｍＰａ・ｓ）のインクを
吐出させるには、高電圧及び長い電圧印加時間で駆動し
なくてはならず、インクジェットヘッドが破壊したり耐
久性が劣化してしまうという問題がある。

【０００９】本発明は、このような事情に鑑み、低消費
電力、低エネルギーで駆動でき且つ高粘度のインクを吐
出できると共にインク吐出特性を向上したインクジェッ
トヘッド及びインクジェット式記録装置を提供すること
を課題とする。

【００１０】

【課題を解決するための手段】上記課題を解決する本発
明の第１の態様は、圧電セラミックプレートに形成され
た溝の側壁に設けられた電極に駆動電圧を印加すること
によって当該溝内の容積を変化させてその内部に充填さ
れたインクをノズル開口から吐出するヘットチップと、
該ヘッドチップにインクを供給するインク供給路の途中
に設けられて前記ヘッドチップ内に負圧を発生させるエ
アーダンパとを有するインクジェットヘッドにおいて、
前記エアーダンパ内のインクを保持するインク貯留部内
に配設されると共に当該エアーダンパ外まで延設された
熱伝導部材からなるダンパプレートと、該ダンパプレー
トの前記エアーダンパ外まで延設された部分を加熱する
加熱装置とからなる加熱手段を有し、該加熱手段によっ
て前記インク貯留部内のインクを加熱することを特徴と
するインクジェットヘッドにある。

【００１１】本発明の第２の態様は、第１の態様におい
て、前記ダンパプレートの前記エアーダンパ外まで延設
された部分又は前記インク貯留部内の少なくとも一方に
前記インク貯留部内のインク温度を検出する検出手段を
有することを特徴とするインクジェットヘッドにある。

【００１２】本発明の第３の態様は、第１又は２の態様
において、前記エアーダンパの厚さ方向一方面が弾性部
材からなるフィルム状体からなり、前記ダンパプレート
は前記フィルム状体が他方面に当接するのを規制して、
前記インク貯留部に所定量のインクを保持させることを
特徴とするインクジェットヘッドにある。

【００１３】本発明の第４の態様は、第１〜３の何れか
の態様において、前記ダンパプレートが金属板からなる
ことを特徴とするインクジェットヘッドにある。

【００１４】本発明の第５の態様は、第１〜４の何れか
の態様において、前記加熱装置が前記ダンパプレートの
前記エアーダンパ外まで延設された部分に貼付された面
状ヒータであることを特徴とするインクジェットヘッド
にある。

【００１５】本発明の第６の態様は、第１〜５の何れか
の態様において、前記インクが放射線硬化型インクであ
ることを特徴とするインクジェットヘッドにある。

【００１６】本発明の第７の態様は、第１〜６の何れか
の態様のインクジェットヘッドを具備することを特徴と
するインクジェット式記録装置にある。

【００１７】かかる本発明では、エアーダンパ内のイン
クを加熱手段により加熱することで、環境温度に関わら
ず、所望のインク粘度のインクを吐出させることがで
き、インク吐出特性を向上することができる。

【００１８】

【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態に基づ
いて本発明を詳細に説明する。

【００１９】（実施形態１）図１は、実施形態１に係る
インクジェットヘッドの斜視図であり、図２は、インク
ジェットヘッドの要部断面図であり、図３は、ヘッドチ
ップの分解斜視図及び斜視断面図である。

【００２０】図示するように、本実施形態のインクジェ
ットヘッド１０は、ヘッドチップ２０と、この一方面側
に設けられる流路基板３０と、ヘッドチップ２０を駆動
するための駆動回路等が搭載された配線基板４０とを有
し、これらの各部材は、それぞれベースプレート５０に
固定されている。

【００２１】ヘッドチップ２０を構成する圧電セラミッ
クプレート２１には、ノズル開口に連通する複数の溝２
２が並設され、各溝２２は、側壁２３で隔離されてい
る。各溝２２の長手方向の一端部は圧電セラミックプレ
ート２１の一端面まで延設されており、他端部は、他端
面まで延びておらず、深さが徐々に浅くなっている。ま
た、各溝２２の幅方向両側の側壁２３には、溝２２の開
口側に長手方向に亘って駆動電界印加用の電極２４が形
成されている。

【００２２】圧電セラミックプレート２１に形成される
各溝２２は、例えば、円盤状のダイスカッターにより形
成され、深さが徐々に浅くなった部分は、ダイスカッタ
ーの形状により形成されてしまう。また、各溝２２内に
形成される電極２４は、例えば、公知の斜め方向からの
蒸着により形成される。

【００２３】また、圧電セラミックプレート２１の溝２
２の開口側には、インク室プレート２５が接合されてい
る。インク室プレート２５には、貫通して形成された共
通インク室２６が並設された溝２２全体に亘って設けら
れている。

【００２４】なお、インク室プレート２５は、セラミッ
クプレート、金属プレートなどで形成することができる
が、圧電セラミックプレート２１との接合後の変形を考
えると、熱膨張率の近似したセラミックプレートを用い
ることが好ましい。

【００２５】また、圧電セラミックプレート２１とイン
ク室プレート２５との接合体の溝２２が開口している端
面には、ノズルプレート２７が接合されており、ノズル
プレート２７の各溝２２に対向する位置にはノズル開口
２８が形成されている。

【００２６】本実施形態では、ノズルプレート２７は、
圧電セラミックプレート２１とインク室プレート２５と
の接合体の溝２２が開口している端面の面積よりも大き
くなっている。このノズルプレート２７は、ポリイミド
フィルムなどに、例えば、エキシマレーザ装置を用いて
ノズル開口２８を形成したものである。また、図示しな
いが、ノズルプレート２７の被印刷物に対向する面に
は、インクの付着等を防止するための撥水性を有する撥
水膜が設けられている。

【００２７】なお、本実施形態では、圧電セラミックプ
レート２１とインク室プレート２５との接合体の溝２２
が開口している端面の周囲には、ノズル支持プレート２
９が配置されている。このノズル支持プレート２９は、
ノズルプレート２７の接合体の端面の外側と接合され
て、ノズルプレート２７の外側面及び圧電セラミックプ
レート２１とインク室プレート２５との接合体にノズル
支持プレート２９を嵌合接着することにより形成され
る。

【００２８】また、インク室プレート２５の一方面に
は、図２に示すような流路基板３０が接合され、共通イ
ンク室２６の一方面は、この流路基板３０によって封止
されている。具体的には、この流路基板３０は、例え
ば、Ｏリング等を介してインク室プレート２５の一方面
に当接され、図示しないねじ部材等によってベースプレ
ート５０に固定されている。

【００２９】また、流路基板３０の上面には、ステンレ
ス管等で形成されたインク連通管１００が接続される連
結部３１が形成されている。この連結部３１に一端が接
続されたインク連通管１００の他端側には、インクカー
トリッジ等のインクタンクにインク供給管１０１を介し
て接続されて所定量のインクを一時的に貯留するエアー
ダンパ６０が設けられている。

【００３０】このエアーダンパ６０は、ヘッドチップ２
０の共通インク室２６及び溝２２内のインクの圧力調整
を行うものである。詳しくは、インクジェットヘッド１
０が主走査方向に移動した際に、ヘッドチップ２０内の
圧力が変化し、ノズル開口２８にインクの表面張力によ
って形成されたメニスカスが破壊されてしまう虞があ
り、このヘッドチップ２０内の圧力変化をエアーダンパ
６０によって調整することで、安定したメニスカスを保
持してインクを吐出できるようにするものである。ま
た、エアーダンパ６０は、その内部に所定量のインクを
貯留することで、インク供給管１０１内の気泡がヘッド
チップ２０に混入するのを防止する気泡貯留にも寄与し
ている。

【００３１】このようなエアーダンパ６０について詳細
に説明する。なお、図４は、エアーダンパの平面図であ
り、図５は、図４のＡ−Ａ′断面図、及びＢ−Ｂ′断面
図である。

【００３２】図示するように、エアーダンパ６０は、イ
ンクを保持する凹部からなるインク貯留部６１を有する
ダンパ本体６２と、ダンパ本体６２の一方面に設けられ
てインク貯留部６１を封止するフィルム部材７０と、イ
ンク貯留部６１内のインクを加熱する加熱手段８０とを
有する。

【００３３】ダンパ本体６２は、インクタンクからのイ
ンクが供給されてインク貯留部６１にインクを充填する
充填路６３と、インク貯留部６１からヘッドチップ２０
にインクを供給する供給路６４とを有する。

【００３４】この充填路６３には、一端がインクタンク
に接続されたゴムやプラスチック等のフレキシブルチュ
ーブからなるインク供給管１０１の他端がジョイント部
材６５を介して接続されている。

【００３５】すなわち、インクタンクからのインクは、
インク供給管１０１、ジョイント部材６５及び充填路６
３を介してインク貯留部６１内に充填されるようになっ
ている。

【００３６】また、供給路６４のエアーダンパ６０内に
設けられた一端にはフィルタ６６が設けられており、こ
のフィルタ６６によって、微少なゴミや気泡等が除去さ
れて、他端に接続されたインク連通管１００を介して共
通インク室２６にインクが供給されるようになってい
る。

【００３７】このようなダンパ本体６２の一方面には、
インク貯留部６１を封止するフィルム部材７０が接着さ
れている。

【００３８】このフィルム部材７０は、弾性変形可能な
薄膜部材、例えば、ポリエチレンやナイロンあるいはＰ
ＥＴ系樹脂等を用いることができる。

【００３９】また、フィルム部材７０は、ダンパ本体６
２のインク貯留部６１が開口する縁部に隙間無く接着さ
れており、内部の空気及びインクが漏れないようになっ
ている。このフィルム部材７０をダンパ本体６２に接着
する方法は、特に限定されないが、本実施形態では、熱
溶着により接着している。

【００４０】このようなエアーダンパ６０のインク貯留
部６１には、ヘッドチップ２０内のインクの初期充填動
作によって、インク貯留部６１の略半分のインクが充填
される。そして、詳しくは後述するが、インクジェット
ヘッド１０が主走査方向の移動を行うと、ヘッドチップ
２０内のインクに圧力変化が起こる。このとき、圧力の
変化に伴ってフィルム部材７０が弾性変形、すなわち、
インク貯留部６１の容積を変化させることにより、ヘッ
ドチップ２０内のインクに略一定の負圧を印加すること
ができる。

【００４１】このようなエアーダンパ６０は、保持部材
６８によりベースプレート５０に保持されている。ま
た、保持部材６８には、インク供給管１０１を保持して
インク供給管１０１がジョイント部６５から外れるのを
防止するアーム部６８ａを有する。

【００４２】また、エアーダンパ６０には、インク貯留
部６１内のインクを加熱して所定温度とする加熱手段８
０が設けられている。

【００４３】加熱手段８０は、インク貯留部６１内に設
けられると共にインク貯留部６１外まで延設されたダン
パプレート８１と、ダンパプレート８１のインク貯留部
６１外まで延設された領域を加熱する加熱装置９０とを
具備する。

【００４４】ダンパプレート８１は、熱伝導性の良い部
材、例えば、ステンレス鋼等で形成された板状部材から
なり、インク貯留部６１内に保持される放熱部８２と、
インク貯留部６１外に設けられて加熱装置９０に加熱さ
れる加熱部８３とを有する。

【００４５】ダンパプレート８１の放熱部８２は、イン
ク貯留部６１内のインクに浸漬されて、インクを所定温
度まで加熱するものであり、表面積を大きく取ると共に
インクの流れを妨げない形状、すなわち、ダンパ本体の
上下方向に突出して設けられた突起部８４ａ、８４ｂを
有し、下方向に突出する突起部８４ｂのみが広面積とな
っている。これは、エアーダンパ６０のインク貯留部６
１には、ヘッドチップ２０内に負圧を発生させるために
インク貯留部６１の略半分しかインクが保持されないた
め、インクに浸漬する部分、すなわち下方に突出する突
起部８４ｂのみを広面積で形成している。

【００４６】また、このようなダンパプレート８１の放
熱部８２は、インク貯留部６１のインクを加熱すると共
にインク貯留部６１内のインクが所定量保持されるよう
に、フィルム部材７０の底面への当接を規制する役割も
有する。

【００４７】詳しくは、インク貯留部６１内へのインク
の充填は、ヘッドチップ２０のノズル開口２８からイン
クを吸引することにより行われる。このとき、インク貯
留部６１内の空気が吸引されて、フィルム部材７０がダ
ンパ本体６２の底面に張り付いてしまうと、インク貯留
部６１内にインクが隙間無く充填されてしまいヘッドチ
ップ２０内のインクに負圧を与えることができない。こ
のため、ダンパプレート８１をインク貯留部６１に所定
の空間を形成する位置に配置することによってフィルム
部材７０のダンパ本体６２の底面への当接を規制してイ
ンク貯留部６１にインクが所定量充填されるようになっ
ている。

【００４８】このようなダンパプレート８１の所定位置
への配置は、ダンパプレート８１の放熱部８２の先端及
び放熱部８２と加熱部８３とを接続する首部８５を、ダ
ンパ本体６２のインク貯留部６１が開口する開口縁部に
設けられた凹部６７に係合し、ダンパ本体６２の開口縁
部にフィルム部材７０を熱溶着することで規定される。
これにより、ダンパプレート８１はダンパ本体６２とフ
ィルム部材７０とに隙間無く挟持され、インク貯留部６
１に所定の空間を形成することができる。

【００４９】また、エアーダンパ６０に保持されたダン
パプレート８１の加熱部８３は、加熱装置９０により加
熱される。

【００５０】ここで、加熱装置９０は、ダンパプレート
８１の加熱部８３を加熱できれば、特に限定されない
が、本実施形態では、加熱装置９０に例えば、ポリイミ
ドヒータ、セラミックヒータ、マイカヒータ及びアルミ
ヒータ等の面状ヒータを用いて加熱部８３に貼り付ける
ようにした。

【００５１】この加熱装置９０を、例えば、外部電源に
よって駆動することで、熱伝導性の良いダンパプレート
８１を介してインク貯留部６１内のインクを加熱し、所
定の温度とすることができる。

【００５２】なお、エアーダンパ６０又はインク貯留部
６１外に延設されたダンパプレート８１の少なくとも一
方には、インク貯留部６１内のインク温度を検出する温
度センサ９１が設けられている。本実施形態では、検出
センサ９１をエアーダンパ６０のインク貯留部６１内に
設けた。詳しくは、検出センサ９１は、インク貯留部６
１内のインクに常に浸漬するようにダンパ本体６２の下
面に設けるようにした。これにより、検出センサ９１は
インク貯留部６１内のインク温度を正確に検出すること
ができる。

【００５３】このような加熱手段８０では、検出センサ
９１がインク貯留部６１のインク温度を検出し、検出結
果に基づいて、例えば、印刷動作等を制御する制御手段
によって加熱装置９０を制御することで、インク貯留部
内のインクの温度を所望の温度として、ヘッドチップ２
０に供給することができる。

【００５４】また、このような加熱手段８０を有するイ
ンクジェットヘッド１０では、インクの温度を制御して
インク粘度を略一定とすることができるため、インク吐
出電圧を低めに設定でき、且つ環境温度に応じて電圧を
可変制御する必要がない。このため、低電力及び低エネ
ルギーで駆動することができる。また、駆動電源として
低容量電源を搭載することができるため、低コストで製
造することができる。さらに、インク粘度を略一定とす
ることで、インク吐出特性を向上して印刷品質及び印刷
信頼性を向上することができる。

【００５５】また、本実施形態のインクジェットヘッド
１０では、エアーダンパ６０に加熱手段８０を設けるこ
とによって、インク温度を制御することができるため、
例えば、放射線硬化型インク等の高粘度のインクを使用
することができる。

【００５６】ここで、高粘度のインクとして２０℃で４
５ｍＰａ・ｓの紫外線硬化型インクのインク粘度と温度
の関係を図６に示す。なお、図中点線は、本実施形態の
インクジェットヘッド１０から吐出可能な粘度範囲（略
３０ｍＰａ・ｓ以下）を示す。

【００５７】図示するように、２０℃で４５ｍＰａ・ｓ
の紫外線硬化型インクは、インク温度を略５０℃に加熱
することでインク粘度を３０ｍＰａ・ｓ以下の吐出可能
な粘度まで低下させることができる。

【００５８】このように、高粘度のインクであっても、
インクジェットヘッド１０のエアーダンパ６０に加熱手
段８０を設けて、エアーダンパ６０内のインクの温度を
制御することによって、インク貯留部６１内のインク粘
度を低くして、高粘度のインクを吐出させることができ
る。

【００５９】このため、従来ではスクリーン印刷で行っ
ていたＣＤやＤＶＤといった被印刷物に、紫外線硬化型
インク等の放射線硬化型インクを用いたインクジェット
ヘッド１０により低コストで印刷を実行することができ
る。

【００６０】また、このような加熱装置８０の設けられ
たエアーダンパ６０を有するインクジェットヘッド１０
は、例えば、インクジェット式記録装置のキャリッジに
搭載されて使用される。

【００６１】ここでインクジェット式記録装置について
説明する。なお、図７は、インクジェットヘッドを搭載
したキャリッジの斜視図であり、図８は、インクジェッ
ト式記録装置の概略斜視図である。

【００６２】図示するように、色毎に設けられた複数の
インクジェットヘッド１０と、このインクジェットヘッ
ド１０が主走査方向に複数並設されて搭載されたキャリ
ッジ１１０と、フレキシブルチューブからなるインク供
給管１０１を介してインクを供給するインクカートリッ
ジ１１１とを具備し、キャリッジ１１０は、一対のガイ
ドレール１１２ａ、１１２ｂ上に軸方向に移動自在に搭
載されている。また、ガイドレール１１２ａ、１１２ｂ
の一端側には駆動モータ１１３が設けられており、この
駆動モータ１１３による駆動力が、当該駆動モータ１１
３に連結されたプーリ１１４ａと、ガイドレール１１２
ａ、１１２ｂの他端側に設けられたプーリ１１４ｂとの
間に掛け渡されたタイミングベルト１１５に沿って移動
されるようになっている。

【００６３】また、キャリッジ１１０の搬送方向と直交
する方向の両端部側には、ガイドレール１１２ａ、１１
２ｂに沿ってそれぞれ一対の搬送ローラ１１６、１１７
が設けられている。これらの搬送ローラ１１６、１１７
は、キャリッジ１１０の下方に当該キャリッジ１１０の
搬送方向とは直交する方向に被記録媒体Ｓを搬送するも
のである。

【００６４】そして、これら搬送ローラ１１６、１１７
によって被記録媒体Ｓを送りつつキャリッジ１１０をそ
の送り方向とは直交方向に走査することにより、インク
ジェットヘッド１０によって被記録媒体Ｓ上に文字及び
画像等が記録される。

【００６５】このキャリッジ１１０の移動によりインク
ジェットヘッド１０のヘッドチップ２０内のインクの圧
力が変動するが、インクジェットヘッド１０にエアーダ
ンパ６０を設けることによって圧力調整を容易に行うこ
とができ、良好なインクの吐出を実行することができ
る。

【００６６】なお、本実施形態のインクジェットヘッド
１０は、単色のインクを吐出するものであり、本実施形
態では、黒色（Ｂ）、イエロー（Ｙ）、マゼンダ
（Ｍ）、シアン（Ｃ）の４色に対応して４つ並設されて
キャリッジ１１０に搭載されている。

【００６７】また、インクカートリッジ１１１は、各イ
ンクジェットヘッド１０に対応して各色毎に４つ設けら
れている。このようなインクカートリッジ１１１は、キ
ャリッジ１１０の主走査方向の移動や、被記録媒体Ｓの
移動の邪魔にならない位置で、且つインクジェットヘッ
ド１０内に負圧を与えるように、インクジェットヘッド
１０のノズル開口よりも所定量低い位置に設けられてい
る。

【００６８】（他の実施形態）以上、本発明の実施形態
１について説明したが、本発明のインクジェットヘッド
及びインクジェット式記録装置はこのような構成に限定
されるものではない。

【００６９】例えば、上述した実施形態１では、ザール
方式のインクジェットヘッド１０を例示したが、これに
限定されず、例えば、バブルジェット（登録商標）式の
インクジェットヘッド等、インクジェットヘッドが走査
されるシリアル型のインクジェット式記録装置に応用す
ることができることはいうまでもない。

【００７０】また、上述した実施形態１では、加熱装置
９０として面状ヒータを用いてダンパプレート８１の加
熱部８３に貼付するようにしたが、加熱装置は、ダンパ
プレート８１の加熱部８３を加熱できれば特に限定され
ず、例えば、外部ヒータ等からなる加熱装置として加熱
部８３を加熱するようにしてもよい。

【００７１】さらに、例えば、エアーダンパ６０内のイ
ンクの温度が駆動熱等により所定以上の温度となった場
合、エアーダンパ６０内のインクの温度を低下させる冷
却手段を設けるようにしてもよい。

【００７２】

【発明の効果】以上説明したように、本発明では、エア
ーダンパ内からエアーダンパ外まで設けられたダンパプ
レートと、このダンパプレートのエアーダンパ外に設け
られた領域を加熱する加熱装置とからなる加熱手段を設
けることによって、エアーダンパ内のインクの温度を制
御して、インク粘度を調整することができる。このた
め、低消費電力、低エネルギーで駆動でき且つ高粘度の
インクを吐出できると共にインク吐出特性を向上するこ
とができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の実施形態１に係るインクジェットヘッ
ドの斜視図である。

【図２】本発明の実施形態１に係るインクジェットヘッ
ドの要部断面図である。

【図３】本発明の実施形態１に係るヘッドチップの分解
斜視図及び斜視断面図である。

【図４】本発明の実施形態１に係るエアーダンパの平面
図である。

【図５】本発明の実施形態１に係るエアーダンパの断面
図であり、（ａ）は図４のＡ−Ａ′断面図であり、
（ｂ）は図４のＢ−Ｂ′断面図である。

【図６】本発明の実施形態１に係る紫外線硬化型インク
の温度と粘度の関係を表す図である。

【図７】本発明の実施形態１に係るキャリッジの斜視図
である。

【図８】本発明の実施形態１に係るインクジェット式記
録装置の概略斜視図である。

【符号の説明】

１０インクジェットヘッド２０ヘッドチップ３０流路基板４０配線基板５０ベースプレート６０エアーダンパ６１インク貯留部６２ダンパ本体７０フィルム部材８０加熱手段８１ダンパプレート８２放熱部８３加熱部９０加熱装置９１検出センサ１００インク連通管１０１インク供給管１１０キャリッジ１１１インクカートリッジ

Claims

【特許請求の範囲】

【請求項１】圧電セラミックプレートに形成された溝
の側壁に設けられた電極に駆動電圧を印加することによ
って当該溝内の容積を変化させてその内部に充填された
インクをノズル開口から吐出するヘットチップと、該ヘ
ッドチップにインクを供給するインク供給路の途中に設
けられて前記ヘッドチップ内に負圧を発生させるエアー
ダンパとを有するインクジェットヘッドにおいて、前記エアーダンパ内のインクを保持するインク貯留部内
に配設されると共に当該エアーダンパ外まで延設された
熱伝導部材からなるダンパプレートと、該ダンパプレー
トの前記エアーダンパ外まで延設された部分を加熱する
加熱装置とからなる加熱手段を有し、該加熱手段によっ
て前記インク貯留部内のインクを加熱することを特徴と
するインクジェットヘッド。
【請求項２】前記ダンパプレートの前記エアーダンパ
外まで延設された部分又は前記インク貯留部内の少なく
とも一方に前記インク貯留部内のインク温度を検出する
検出手段を有することを特徴とする請求項１に記載のイ
ンクジェットヘッド。
【請求項３】前記エアーダンパの厚さ方向一方面が弾
性部材からなるフィルム状体からなり、前記ダンパプレ
ートは前記フィルム状体が他方面に当接するのを規制し
て、前記インク貯留部に所定量のインクを保持させるこ
とを特徴とする請求項１又は２に記載のインクジェット
ヘッド。
【請求項４】前記ダンパプレートが金属板からなるこ
とを特徴とする請求項１〜３の何れかに記載のインクジ
ェットヘッド。
【請求項５】前記加熱装置が前記ダンパプレートの前
記エアーダンパ外まで延設された部分に貼付された面状
ヒータであることを特徴とする請求項１〜４の何れかに
記載のインクジェットヘッド。
【請求項６】前記インクが放射線硬化型インクである
ことを特徴とする請求項１〜５の何れかに記載のインク
ジェットヘッド。
【請求項７】請求項１〜６の何れかのインクジェット
ヘッドを具備することを特徴とするインクジェット式記
録装置。