JP2002361393A - ダイカスト製造方法 - Google Patents

ダイカスト製造方法

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JP2002361393A JP2001174560A JP2001174560A JP2002361393A JP 2002361393 A JP2002361393 A JP 2002361393A JP 2001174560 A JP2001174560 A JP 2001174560A JP 2001174560 A JP2001174560 A JP 2001174560A JP 2002361393 A JP2002361393 A JP 2002361393A
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Hiroyuki Nomura
宏之 野村
Koichi Asai
光一 浅井
Shoji Tanigawa
庄司 谷川
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NAKANIHON DIECAST KOGYO KK
Japan Science and Technology Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 ダイカストの製造におけるダイカストマシン
に求められる制御条件を緩和するとともに、ダイカスト
マシンにかかる負荷を軽減するダイカスト製造方法を提
供することを課題とする。 【解決手段】 ダイカスト製造方法1は、キャビティに
高温で溶解した金属の溶湯を射出し、充填する充填工程
S2と、キャビティに充填された溶湯を設定された鋳造
圧力まで加圧する加圧工程S6と、溶湯を冷却し、凝固
させる凝固工程S7とを具備し、溶湯を鋳造圧力まで到
達させる鋳造圧力到達時間が、溶湯がキャビティに充填
が完了してから、第一領域または第二領域の前期に相当
する時間に設定される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ダイカスト製造方
法に関するものであり、特に、溶湯を設定された鋳造圧
力まで到達させる時間を所定時間遅延させるダイカスト
製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来から、アルミニウムまたは亜鉛など
の低融点金属の合金を原料として、ホットチャンバ型あ
るいはコールドチャンバ型などのダイカストマシンを用
いてダイカストを鋳造することが行なわれている。ダイ
カストは、他の鋳物と比べて寸法精度が非常に高く、ま
た、鋳はだが平滑であるという優れた特性を有してい
る。そのため、自動車用部品、電気機器、通信機器、光
学機械、精密機械、産業機械、及び日用品など種々の分
野で利用される材料の一つである。
【0003】ダイカストの鋳造工程の一例を示すと、ダ
イプレートに取付けられた金型を型締めする型締工程、
アルミニウム合金などを高温で溶解させた溶湯をダイカ
ストマシンに給湯し、高圧で金型の空間(キャビティ)
に射出し、充填する充填工程、溶湯を冷却して凝固させ
る凝固工程、金型を開く型開工程、金型から押出す押出
工程などの各工程を有しており、ダイカストが製品とし
て製造されている。
【0004】この時、高品質のダイカストを製造するた
めに、溶湯の射出速度、射出流量、溶湯が通過するゲー
トのゲート厚などのパラメータを最適な値に設定するこ
とが行なわれていた。ダイカストマシンの中には、溶湯
をキャビティに充填完了すると同時に溶湯を設定された
鋳造圧力まで増圧する増圧式の射出方式を採用するもの
があり、その増圧のタイミングを100分の1秒単位の
高精度で制御することが行なわれている。
【0005】図6に、増圧方式を採用したダイカストマ
シンにおける溶湯圧力MPの経時的変化の一例を示す。
これによると、射出装置などによって溶湯がキャビティ
に射出され、キャビティの容積と充填された溶湯の体積
がほぼ同一となると(すなわち、充填が完了した状態:
時間=0)、キャビティに圧力がかかり、ほぼ一瞬で溶
湯圧力MPは最大値(≒鋳造圧力DP)に到達する。こ
こで、鋳造圧力DPとは、ダイカストマシンによって溶
湯に加えられる圧力を、射出装置の油圧力などから算出
したものであり、予め所定の圧力値に設定されているも
のである。
【0006】この鋳造圧力DPは、溶湯が凝固するまで
継続して与えられる。ここで、充填完了直後は、溶湯は
液相状態にあるため、溶湯に加わった鋳造圧力は全てキ
ャビティにかかる。したがって、溶湯が液相状態に有る
場合は、ほぼ溶湯圧力MPと鋳造圧力DPは同じ値をと
り、溶湯圧力MPはほぼ一定の値を示す。その後、溶湯
の凝固、すなわち液相から固相への相転移が開始される
と溶湯圧力MPの値が減少し始める。やがて、凝固が完
了し、溶湯が固相状態になると溶湯圧力MPの変化率が
小さくなりほぼ一定の値を示し始める。つまり、キャビ
ティにかかる溶湯圧力MPの経時変化は、溶湯の相の状
態に大きく依存していることがこれにより示される。
【0007】さらに、図6について詳細に説明すると、
キャビティにかかる溶湯圧力MPの経時変化は、大きく
分けて次に示す三つの領域に分類することができる。す
なわち、充填完了直後の溶湯が液相に支配され、鋳造圧
力DPの値と溶湯圧力MPの値がほぼ同一を示す領域
(I:第一領域)、溶湯の凝固が始まり、液相から固相
へ相転移が行なわれ、溶湯圧力MPの値が急激に低下す
るのが観測される領域(II:第二領域)、及び溶湯圧力
MPの変化率が緩やかになり、固相への相転移がほぼ完
了し、固体熱収縮が発生する領域(III:第三領域)に
分類することができる。
【0008】従来のダイカスト製造方法においては、溶
湯の充填完了から溶湯圧力MPを鋳造圧力DPまででき
るだけ速く到達させることが、高品質のダイカストを製
造するために必要な条件とされていた。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、高品質
のダイカストを製造するため、溶湯の射出速度や射出量
などの各パラメーターを高精度で制御し、管理すること
が、ダイカストマシンに求められていた。そのため、ダ
イカストマシン自体の価格も高価になっていた。さら
に、これらの厳しい条件を満たすために、ダイカストマ
シンの調整や保守のためにかかるメンテナンスコストが
従来の鋳造装置に比べて多く必要となる場合があった。
また、充填完了と同時に設定された鋳造圧力まで溶湯を
加圧する必要があるため、ダイカストマシンの各部分及
び金型に必要以上の負荷をかけることになり、ダイカス
トマシンの各部品及び金型の消耗が激しくなり、耐久性
に問題が発生する場合などがあった。同様に、成型後の
ダイカストにバリなどが多く発生し、品質に影響が出る
場合があった。
【0010】そこで本発明は、上記実情に鑑み、ダイカ
ストの製造におけるダイカストマシンに求められる制御
条件を緩和するとともに、ダイカストマシン及び金型に
かかる負荷を軽減するダイカスト製造方法の提供を課題
とするものである。
【0011】
【課題を解決するための手段】上記の課題を解決するた
め、請求項1の発明にかかるダイカスト製造方法は、キ
ャビティに高温で溶解した金属の溶湯を射出し、充填す
る充填工程と、前記キャビティに充填された前記溶湯を
設定された鋳造圧力まで加圧する加圧工程と、前記溶湯
を冷却し、凝固させる凝固工程とを具備するダイカスト
製造方法において、前記溶湯を前記鋳造圧力まで到達さ
せる鋳造圧力到達時間を、前記溶湯が前記キャビティに
充填が完了してから、所定時間遅延させるものである。
【0012】ここで、溶湯とはアルミニウムや亜鉛など
の低融点金属の合金を高温で溶融させたものである。ま
た、充填工程とは、一般のダイカストマシンに設置され
た射出プランジャなどの射出装置のピストンを稼動させ
て、溶湯を金型のキャビティに送り、溶湯を充填する工
程である。
【0013】また、加圧工程とは、キャビティに充填さ
れた溶湯を設定された鋳造圧力まで加圧する工程であ
る。このとき、次に行なわれる凝固工程の間も溶湯に対
して継続して圧力が加えられている。なお、凝固工程と
は、溶湯をキャビティ内で冷却し、液相から固相に相転
移させるものである。
【0014】ここで、鋳造圧力到達時間を所定時間遅延
させるとは、鋳造圧力までの到達時間をキャビティへの
充填完了と同時ではなく、予め設定した時間(例えば、
0.5秒)遅らせるものである。なお、この所定時間
は、キャビティの容積やダイカストマシンの性能などに
よって適宜最適な値が決定され、用いられるものであ
る。ここで、鋳造圧力まで到達する時間の遅延のさせ方
としては、例えば、所定時間まで一次圧(充填完了後に
溶湯に継続して加えられる圧力)を保持し、その後所定
時間経過後に一気に鋳造圧力まで到達させる方法や、充
填完了後から緩やかな加圧を継続し、所定時間をかけて
鋳造圧力まで到達させる方法や、あるいは所定時間の範
囲内で加圧及び圧力の保持を多段階的に繰返し行なう方
法などが挙げられる。
【0015】したがって、請求項1の発明のダイカスト
製造方法によれば、充填工程によりキャビティに溶湯が
充填される。そして、充填の完了した溶湯に対してダイ
カストマシンにより設定された鋳造圧力まで圧力が加え
られる。このとき、鋳造圧力まで到達させる時間を、充
填完了後から所定時間だけ遅らせて溶湯を加圧する。
【0016】請求項2の発明にかかるダイカスト製造方
法は、請求項1に記載のダイカスト製造方法において、
前記加圧工程における前記キャビティにかかる前記溶湯
の溶湯圧力は前記溶湯の相状態によって経時的に変化
し、前記溶湯が液相状態にある第一領域、前記溶湯が液
相から固相へと相転移する第二領域、及び前記溶湯の相
転移が完了し、固相状態となる第三領域に分類されるも
のであって、前記鋳造圧力到達時間は、前記第一領域ま
たは前記第二領域の前期に相当する時間に設定されるも
のである。
【0017】ここで、溶湯圧力の変化を検出する方法と
しては、金型の各部位に圧力センサーを設置し、各部の
圧力変化を検出し、モニターすることなどが挙げられ
る。なお、第二領域の前期とは、図6で示したように、
溶湯が液相から固相への相転移を開始した直後のことで
あり、まだ溶湯の大部分が液相に支配されている状態に
あるものを言う。また第一領域及び第三領域について
は、既に詳細な説明がされているためここでは省略す
る。
【0018】したがって、請求項2の発明のダイカスト
製造方法によれば、請求項1の発明のダイカスト製造方
法の作用に加え、充填完了から設定された鋳造圧力まで
到達させる鋳造圧力到達時間が、第一領域または第二領
域の前期に相当する時間に設定されている。すなわち、
これらの領域において溶湯は、略液相状態にあるため、
加圧によって圧力が溶湯に伝達され、鋳造圧力まで到達
させることが可能となる。
【0019】
【発明の実施の形態】以下、本発明の一実施形態である
ダイカスト製造方法について図1乃至図5に基づいて説
明する。図1は本実施形態のダイカスト製造方法に用い
られる金型及びダイカストマシンの構成の要部を模式的
に示す模式図であり、図2は本実施形態のダイカスト製
造方法の流れを示すフローチャートであり、図3及び図
4は、本実施形態のダイカスト製造方法における加圧開
始時間と、溶湯圧力(以下、圧力と略す)の変化を示す
グラフであり、図5はダイカストの密度と加圧開始時間
の依存性を示すグラフである。
【0020】本実施形態のダイカスト製造方法1に使用
されるダイカストマシンの要部は、図1に示すように、
移動不能に設けられた固定型3、水平方向に往復可動に
設けられ、かつ、その往復運動により固定型3に接近及
び離間する可動型2から構成され、固定型3及び可動型
2によって形成されるキャビティ4を有する金型5と、
金型5に連通し、溶湯Mを充填するための湯道であるラ
ンナー6と、ランナー6に接続し溶湯Mを一時的に貯留
するメタルスリーブ7と、メタルスリーブ7内の溶湯M
をランナー6を通してキャビティ4に射出し、充填する
ためのピストン8を備える射出装置9とから構成されて
いる。ダイカストマシンは、射出装置9に接続し、溶湯
Mの射出速度や射出量などを制御するための射出制御手
段10、キャビティ5内に溶湯Mの充填が完了後に、射
出装置9によって溶湯Mに圧力を加える加圧手段11、
溶湯Mへ二次圧を加える加圧開始時間STを検出する時
間検出手段12、及び可動型2を可動させ、金型の型締
及び型開動作を制御する型締・型開制御手段13を含む
主制御装置14をさらに具備している。なお、メタルス
リーブ7内には、給湯手段(図示しない)によって、高
温で溶解させた溶湯Mが供給されている。ここで、加圧
開始時間STが検出されると、ほぼ一瞬で鋳造圧力DP
まで到達するために、加圧開始時間STが、本発明にお
ける鋳造圧力到達時間に相当する。
【0021】次に、本実施形態のダイカスト製造方法1
について、図2のフローチャートに基づいて説明する。
金型5を構成する固定型3及び可動型2の型締めをする
(ステップS1:型締工程)。そして、射出制御手段1
0により射出装置9のピストン8の射出動作を開始し、
メタルスリーブ7内の溶湯Mを、ランナー6を通して金
型5のキャビティ4に射出し、充填する(ステップS
2:充填工程)。ここで、溶湯Mの射出速度、射出量、
及びゲート厚などの各パラメータは、キャビティ4の形
状や容積に合わせて最適な条件に設定してある。そし
て、キャビティ4の容積と射出した溶湯Mの体積とがほ
ぼ等しい(すなわち、充填が完了した)状態になると
(ステップS3においてYES)、キャビティ4におい
て溶湯Mの圧力が検出される。このとき、溶湯Mに加え
る圧力を一次圧に保持する(ステップS4)。その後、
時間検出手段12によって加圧開始時間ST(例えば、
0.5秒)の経過が検出されると(ステップS5におい
てYES)、加圧手段11によって(具体的には、ピス
トン8によって溶湯Mを増圧する)、加圧を再開し、鋳
造圧力DPまでの加圧(二次圧)を開始する(ステップ
S6:加圧工程)。そして、鋳造圧力DPに到達した溶
湯Mに対して加圧を継続した状態で、溶湯Mを冷却によ
り凝固させる(ステップS7:凝固工程)。その後、可
動型2を固定型3から離間させて、型開操作を行ない、
製造されたダイカストを金型5から押出して抜取る(ス
テップS8:型開工程)。これにより、ダイカストを製
造することができる。なお、実際のダイカスト製造工程
においては、前述した工程の流れを1ショットとして、
これを複数回、繰返して行なうことによって同じ金型5
から形成されたダイカストを大量に製造することができ
る。また、金型5の清掃及び製造したダイカストの金型
5からの離型性を高めるための離型剤の塗布などの工程
が行なわれることもある。
【0022】以上述べたように、本実施形態のダイカス
ト製造方法1は、溶湯Mの加圧開始時間STを充填完了
から、予め設定した時間遅延させることによってダイカ
ストを製造することができる。したがって、従来のダイ
カストマシンに要求されている射出条件及び加圧条件
を、ある程度緩和することができる。そのため、ダイカ
ストを製造する上での工程管理が容易となる。さらに、
ダイカストマシン及び金型に要求される条件も緩和され
るため、ダイカストマシン及び金型を安価に製造するこ
とも可能となる。
【0023】次に、上述したダイカスト製造方法1によ
る効果を確認するために、キャビティ4の内壁の各ポイ
ントA,B,Cに圧力センサー(図示しない)をそれぞ
れ設置し、本実施形態におけるダイカスト製造方法1の
圧力の時間的変化をリアルタイムで検出する試験を実施
した。その試験結果を、図3乃至図5に示す。ここで
は、加圧開始時間STの遅延による効果を示すため、加
圧開始時間STを0.4〜0.7秒の範囲を0.1秒間
隔で変化させている。なお、各ポイントA,B,Cは、
キャビティ4に溶湯Mを充填するために設けられた金型
5のゲートに最近の位置をポイントA、中央付近をポイ
ントB、最遠の位置をポイントCとして設定している。
【0024】加圧開始時間STが0.4s(図3
(a))、及び0.5s(図3(b))の場合、加圧の
開始によって各ポイントA,B,Cの圧力は、ダイカス
トマシンによって加えられた鋳造圧力DPまで増加し、
その後、溶湯Mの凝固によって低下する傾向が見られ
る。一方、加圧開始時間ST=0.6s(図4(a))
では、鋳造圧力DPに沿って各ポイントA,B,Cの圧
力は増加するが、鋳造圧力DPと同値に達する前に、溶
湯Mの凝固が始まり圧力低下が起こる。また、加圧開始
時間ST=0.7s(図4(b))の場合、加圧が開始
されても、鋳造圧力DPの増加に伴って各ポイントA,
B,Cの圧力が増加することがなくなり、加圧の影響を
まったく受けなくなっている。ここで、前述した液相か
ら固相への相転移が始まる第二領域IIに達する時間は、
本試験では0.5〜0.6秒後である。したがって、第
二領域IIの前半、すなわち、溶湯Mのほとんどがまだ液
相に支配されている状態に有る場合は、溶湯Mを加圧し
ても鋳造圧力DPまで圧力を増加することができる。一
方、既に固相によって支配されている場合は、たとえ加
圧を行なっても鋳造圧力DPに各ポイントA,B,Cの
圧力が追随しなくなる。
【0025】次に、前述した加圧開始時間STを変化さ
せた場合に、各ポイントA,B,Cに対応する箇所のダ
イカストの密度を測定した結果を、図5に示す。これに
よると、加圧開始時間STを0.5秒に設定したとき各
ポイントの密度と、充填完了直後に加圧を開始したとき
(すなわち、ST=0:通常の製造方法と同じ)の密度
の値とには、ほとんど変化がないことが示される。ま
た、加圧開始時間STを0.7秒に設定すると、特にポ
イントCにおいて密度の急激な低下が見られる。そし
て、溶湯Mに加圧を行なわなかった場合(ST=∞に相
当)は、いずれのポイントA,B,Cでも、密度が低下
していることが確認される。したがって、加圧開始時間
STをある程度まで遅延させても、充填完了直後に加圧
を開始した従来の製造方法と比べてダイカストの品質に
違いがないことが示される。そのため、ダイカストの品
質に影響を与えない範囲で、溶湯Mを加圧するタイミン
グを遅らせてダイカストを製造する、本実施形態で示し
たダイカスト製造方法1の効果が証明される。これによ
り、ダイカストマシンの高精度の制御条件を、ある程度
緩和することができ、ダイカストマシン自体の価格及び
ダイカストの製造にかかるメンテナンスや調整などのコ
ストを下げることができる。また、製造工程における精
度の管理条件が緩和され、作業員の労力負担を軽減する
ことができる。さらに、ダイカストマシンの各部分にか
かる負荷も少なくなり、耐久性などの向上が期待でき
る。さらに、従来の方法と比べて、金型に対する負荷が
小さくなるとともに、成型されたダイカストのバリふき
などの不良の発生を低く抑えることができ、製造工程に
おけるダイカストの品質を安定させることができる。
【0026】以上、本発明について好適な実施形態を挙
げて説明したが、本発明はこれらの実施形態に限定され
るものではなく、以下に示すように、本発明の要旨を逸
脱しない範囲において、種々の改良及び設計の変更が可
能である。
【0027】すなわち,本実施形態のダイカスト製造方
法1において、加圧開始時間STを0.5秒程度まで遅
延させ、ダイカストの密度に変化がないものを示した
が、この加圧開始時間STは、種々の条件によって変更
することが可能である。すなわち、キャビティの形状及
びキャビティの容積、及び射出装置による溶湯Mの射出
速度、射出量などのパラメーターに合わせて、加圧開始
時間STを設定することができる。
【0028】また、本実施形態のダイカスト製造方法1
においては、加圧開始時間STの経過後に瞬時に鋳造圧
力DPまで、溶湯Mの圧力を増加させるものを示したが
これに限定するものではない。すなわち、溶湯Mがほぼ
固相に支配されている第二領域IIの前期までに充填完了
後から、圧力を緩やかに加えて鋳造圧力DPまで到達さ
せることも可能である。さらに、充填完了後から鋳造圧
力到達時間までに、増圧及び圧力保持のステップを多段
階で繰返し行なうことも可能である。これにより、ダイ
カスト成型時のダイカストマシンにかかる負荷をさらに
小さくすることが可能となる。
【0029】さらに、本実施形態のダイカスト製造方法
1では、図3及び図4で示したように、充填完了後から
所定時間遅延させる際に、一次圧の値を鋳造圧力DPに
対して、ほぼ半分の値付近に設定するものを示したが、
これに限定されるものではなく、この一次圧の値を小さ
く設定することも可能である。
【0030】
【発明の効果】以上のように、請求項1または請求項2
の発明のダイカスト製造方法は、溶湯を設定された鋳造
圧力まで到達させる鋳造圧力到達時間を、キャビティの
充填完了から所定時間遅延させることができる。これに
より、ダイカストマシンに要求される制御条件を緩和す
ることができ、加えてダイカストマシンにかかる負荷を
軽減することができる。そのため、ダイカストの製造に
かかるコストを低くすることが可能となる。さらに、ダ
イカストの製造工程において問題であった「バリふき」
などの不良の発生を低く抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本実施形態のダイカスト製造方法に用いられる
金型及びダイカストマシンの構成の要部を模式的に示す
模式図である。
【図2】本実施形態のダイカスト製造方法の流れを示す
フローチャートである。
【図3】本実施形態のダイカスト製造方法における加圧
開始時間と、溶湯圧力の変化を示すグラフである。
【図4】本実施形態のダイカスト製造方法における加圧
開始時間と、溶湯圧力の変化を示すグラフである。
【図5】ダイカストの密度と加圧開始時間の依存性を示
すグラフである。
【図6】キャビティにかかる溶湯圧力の経時変化の一例
を示すグラフである。
【符号の説明】
1 ダイカスト製造方法 4 キャビティ DP 鋳造圧力 M 溶湯 MP 溶湯圧力 ST 加圧開始時間(鋳造圧力到達時間) S2 充填工程 S6 加圧工程 S7 凝固工程 I 第一領域 II 第二領域 III 第三領域
フロントページの続き (72)発明者 谷川 庄司 岐阜県各務原市金属団地188番地 中日本 ダイカスト工業株式会社内

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 キャビティに高温で溶解した金属の溶湯
    を射出し、充填する充填工程と、 前記キャビティに充填された前記溶湯を設定された鋳造
    圧力まで加圧する加圧工程と、 前記溶湯を冷却し、凝固させる凝固工程とを具備するダ
    イカスト製造方法において、 前記溶湯を前記鋳造圧力まで到達させる鋳造圧力到達時
    間を、 前記溶湯が前記キャビティに充填が完了してから、所定
    時間遅延させることを特徴とするダイカスト製造方法。
  2. 【請求項2】 前記加圧工程における前記キャビティに
    かかる前記溶湯の溶湯圧力は前記溶湯の相状態によって
    経時的に変化し、前記溶湯が液相状態にある第一領域、
    前記溶湯が液相から固相へと相転移する第二領域、及び
    前記溶湯の相転移が完了し、固相状態となる第三領域に
    分類されるものであって、 前記鋳造圧力到達時間は、前記第一領域または前記第二
    領域の前期に相当する時間に設定されることを特徴とす
    る請求項1に記載のダイカスト製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2008018461A (ja) * 2006-07-13 2008-01-31 Mazda Motor Corp 加圧鋳造装置及び加圧鋳造方法

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