JP2002360088A - 海洋構造物 - Google Patents

海洋構造物

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JP2002360088A JP2001178608A JP2001178608A JP2002360088A JP 2002360088 A JP2002360088 A JP 2002360088A JP 2001178608 A JP2001178608 A JP 2001178608A JP 2001178608 A JP2001178608 A JP 2001178608A JP 2002360088 A JP2002360088 A JP 2002360088A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】アワビやサザエなどの水産資源の増養殖と、藻
場の造成に大きく寄与し、沿岸環境の改善に効果のある
海洋構造物を提供する。 【解決手段】海洋構造物1は、立方格子体状の枠状基体
2に対して、柱状体3をその上面部から突出するように
立設した柱状構造の構造体と、この柱状体3の突出部分
に取り付けられる海藻種苗4からなる。枠状基体2の内
部に海水が流入し、柱状体3に沿って下方から上方に向
かう緩やかな流れが発生するため、柱状体3を生育場所
とする海藻種苗4にとって良好な生育環境が形成され、
次第に海洋構造物1の周囲に海藻が繁茂するようにな
る。また、枠状基体2の内部は魚介類の棲息空間として
利用される。繁茂した海藻は、餌料として活用されると
ともに、海中環境の改善にも大きな効果がある。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、沿岸環境の改善を
目的として海中に沈設する海洋構造物であって、詳しく
は所定海域に藻場(海中林ともいう)を造成する際の中
核構造物となり、また魚介類の住処としても好適な海洋
構造物に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、沿岸での各種魚介類の増養殖にお
いては、一般にそれぞれの生態を考慮した形状の人工魚
礁が使用されている。これらの人工魚礁は、魚介類の棲
息場所としての機能に主眼が置かれ、海藻類の着生礁と
しての機能には格別の工夫は殆どされていなかった。こ
のため、アワビやサザエのような藻食性貝類を対象とす
る場合は、餌料となるコンブ科海藻等の群落(藻場)が
近くに存在するような区域が原則として選択されてい
た。ところが、近年になって魚介類の増養殖に適した沿
岸藻場が急速に減少する傾向にあり、餌料海藻類の確保
が大きな問題となっている。また、多くの水産生物が蝟
集して多様な生態系を形成し、沿岸海域の水質浄化にも
大きく寄与する藻場は、環境保全に対する意識の高まり
から、その役割が改めて見直されている。
【0003】そこで、単に魚介類の棲息空間を確保する
に止まらず、海藻類がその表面に繁茂可能な構造物、す
なわち魚礁と藻礁の両機能を兼ね備えた人工構造物が検
討され、この構造物には沿岸海域における藻場造成の中
核構造物としての役割も期待されている。この種の構造
物の従来例として、特開平5−236842号公報で
は、魚礁本体の中央に立設した円筒の内部に外部から加
圧空気を間欠的に供給し、これにより人工魚礁内に強制
循環対流を発生させ、人工魚礁付近の溶存酸素と栄養分
を均一化して魚類および海藻類の繁殖を増進する技術が
開示されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】ところで、人工魚礁の
高さが低い場合には、構造物表面に着生した海藻が海底
から舞い上がった砂泥により流出したり、また海底に棲
息する貝類等による食害を受けやすく、構造物全体の海
藻が一度に消失してしまう虞がある。藻場造成の中核構
造物としての永続性を考慮すると、いかなる場合でも、
再生に不可欠な遊走子の供給源となる海藻が、構造物の
少なくとも一部に残存することが望まれる。前記のよう
な消滅要因に対しては、それらの影響を受けにくい海底
から離れた位置に母藻の着生床を確保することが有効な
手段である。この点において、上記従来例のように魚礁
本体の中央に円筒が立設されている構造は、当該円筒の
外周面を母藻の着生床として利用することができれば、
藻礁としての永続性が高まり好都合なものといえる。
【0005】しかるに、上記人工魚礁では、構造物中央
の円筒内に海水を下方から上方に向けて流通させること
により、魚礁の周囲に強制的に還流を生起させる構造で
あるから、円筒の外周面に近い部分ではむしろ流れが滞
留しやすい状況になっている。その結果、円筒の表面に
ごく近い部分では海藻が着生しにくく、着生床として活
用することは困難である。しかも、この人工魚礁では、
構造物表面への海藻の着生が、流れを利用した周囲から
の遊走子の付着というきわめて偶然性の高い自然現象に
依存するので、確実性に欠けるという本質的な問題があ
った。特に、遊走子の供給源となる母藻が周囲に少ない
海域に沈設した場合には、その傾向が顕著に現れること
から、増養殖場所の選択に大きな制約があるものであ
る。さらに、上記人工魚礁は、陸上または海上(船上)
に設置したコンプレッサーからホースを介して構造物中
央の円筒内に加圧空気を送り込む構成であるから、設備
全体が大掛りになり、施工上の制約や運転コストなどに
も問題があるなど、その普及には改善すべき幾つかの課
題が残されている。
【0006】本発明は、これら従来技術の問題点に鑑み
なされたもので、簡単な構成でありながら適宜の場所に
短期間で海藻を繁茂させることができ、しかもその状態
が長期間にわたり維持されることにより、これを餌料と
するアワビ等の水産資源の増養殖に大きく寄与するとと
もに、自らが藻場造成の中核となって沿岸海中環境の改
善にも役立つ海洋構造物の提供をその目的とするもので
ある。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記従来技術が抱える問
題点を解決するため、本発明による海洋構造物は、少な
くとも側面部と上面部が開口する枠状基体、この枠状基
体の上面部よりも上方に突出するように立設される柱状
体、及びこの柱状体の突出部外周面に取り付けられる海
藻種苗を備えたことを特徴としている。
【0008】本発明において、構造物の主体をなす枠状
基体とは、内部が空洞で魚介類の棲息空間となり、この
内空部は少なくとも側面部と上面部に形成された開口部
を介して外部に連通するとともに、後述する柱状体を上
面部の適宜場所から突出するように立設した状態で安定
保持できるものである。その基本形状は、立方体、直方
体、円柱体、三角柱体など、立体形状自体には格段の限
定はないが、その中でも並型魚礁と称されるコンクリー
ト製の立方格子体状の枠状基体が、製造コスト、耐久性
等の面から好適である。すなわち、この枠状基体の場合
には、後述する固定金具の使用により、一般的に広く普
及している並型魚礁をそのまま適用できる利点がある。
なお、枠状基体の素材としては、突出状態に設置される
柱状体を支持するために適度な重量を有するものが好ま
しく、コンクリート以外では金属などの適用が可能であ
る。
【0009】また、上記枠状基体の上面部の適宜位置か
ら突出するように立設される柱状体としては、円柱、角
柱その他適宜断面形状の柱体の使用が可能であり、内部
が中空状あるいは中実状のいずれでもよく、素材にはコ
ンクリート、合成樹脂、金属などが使用可能である。柱
状体の立設位置は、例えば1本の場合には枠状基体内を
通過する流れ等を考慮してその中央部分に配置するのが
合理的であるが、立方格子体状の枠状基体では、各隅部
にそれぞれ1本ずつ立設するなど、枠状基体の形状など
に応じて適宜その数を選択すればよい。なお、並型魚礁
に代表される立方格子体状の枠状基体の場合には、対向
する枠辺部間に架設可能な適宜固定金具を枠状基体の上
面部と下面部において使用することにより、簡単かつ確
実に柱状体を所望の状態に立設することができる。
【0010】そして、上記柱状体の突出部の外周面に
は、その目的等に応じ適宜種類の海藻種苗を取り付け
る。すなわち、魚介類の増養殖、沿岸環境を改善するた
めの藻場造成など、その目的と沈設場所の海中環境等を
考慮し、最適な海藻種を選択すればよい。海藻の種類に
格別の限定はないが、水産資源として価値が高いアワビ
やサザエ等の餌料に最適であって、しかも藻場造成にお
いても海中林と称するにふさわしい大型海藻の群落とな
るアラメ、カジメ、クロメ等のコンブ科海藻の適用が好
適である。その中でもツルアラメは、繁殖力が旺盛で水
深に対する適応性に優れることから、かかる鉛直方向に
長い柱状構造の海洋構造物に適している。
【0011】上記構成によれば、枠状基体と一体となっ
た柱状体は、海底から立ち上がるように設置され、海中
の流れに対して積極的に抵抗するように配置されてい
る。この場合、枠状基体の側面部と上面部が開口してい
るから、枠状基体の外部から内部に海水が流入し、柱状
体の上部に向けて緩やかな流れが発生する。このため、
柱状体を着生床とする海藻に酸素や栄養分が十分に行き
渡り、上記柱状構造に由来する水深に対する海藻の生育
条件の充足しやすさと合せて、柱状体を育成床とする海
藻にとって好適な生育環境が形成されるとともに、枠状
基体の表面に着生した海藻類にも好影響を与える。特
に、枠状基体等からなる構造体に予め海藻種苗を取り付
けた状態で施工するものであるから、それが母藻として
周囲に遊走子を放出することにより、比較的短期間で高
い成功率をもって海藻を繁茂させることができる。さら
に、枠状基体を通過するこのような自然な流れは、枠状
基体の内部を棲息場所とする魚介類に対しても同様に良
好な環境を形成する。そして、柱状体の上部で生育する
海藻は、食害や漂砂の影響が少なく、長期間にわたり藻
場造成の基点として周囲に遊走子を拡散し、海藻群落の
拡大に寄与する。それと同時に、下方の枠状基体に対し
ては光の陰を齎し、構造物全体に多様な生育環境を形成
する。
【0012】また、柱状体等から脱落した海藻は枠状基
体の近くに止まり、枠状基体の内部を住処とする魚介類
の餌料として無駄無く活用される。本発明による構造物
においては、餌料となる海藻が枠状基体あるいはその近
くに十分に確保されることから、柱状体部分で生育して
いる海藻に食害が及ぶことは少なく、また砂泥区域に設
置したときに、枠状基体や柱状体下方に着生している海
藻が、海底から舞い上がった砂泥に洗われて消失した場
合であっても、柱状体の上部には、繁茂状態の復元に必
要な母藻となる海藻が確実に残る。したがって、構造物
全体をコンクリート等の耐久性の高い素材で形成するこ
とにより、遊走子の供給源となる海藻が柱体部分におい
て世代交代をしながら長期にわたり維持され、周囲に遊
走子を放出し続けるので、構造物とその周囲に海藻が絶
えることはない。すなわち、そこを住処とする魚介類に
対して、餌料海藻を安定的かつ永続的に提供することが
可能になり、また藻場造成の中核構造物としても有効に
機能する。さらに、柱状構造の採用により、海中を立体
的に利用することが可能であるから、増養殖海域におけ
る単位面積当りの海藻量が増大する効果もある。
【0013】
【発明の実施の形態】本発明による海洋構造物は、魚礁
と藻礁の両方の機能を兼備するから、水産業にとって
も、また沿岸環境の改善においてもきわめて有用な構造
物である。特に、構造物の特定の部位すなわち立設状態
に設置される柱状体に予め海藻種苗を取り付けることに
より、短期間に且つ高い確率で海藻を繁茂させることが
可能になり、しかも構造物に着生した海藻が消失しにく
く、その機能が長期に渡り維持されるものである。この
場合、施工時に導入する海藻種苗の取付方法としては、
例えば本出願人の提案に係る特開平10−136813
号公報に記載の方法が、この種の柱状部分を取付対象と
する場合に作業性等の点から好適である。すなわち、こ
こで使用する海藻種苗は、ポリプロピレン等の適度な弾
性と硬さを備えた合成樹脂からなる略C字状のリング状
担持基体に適宜手段で固定した形態で構造物に適用され
る。このような形態を採用することにより、傷みやすい
海藻種苗を良好な状態で柱状体の任意の位置に簡単に装
着することができるようになっている。さらに、柱状体
等の表面には公知の養藻塗料を予め塗布したほうが、海
藻の繁茂状態を実現する上で効果的である。養藻塗料と
しては、一般の化成肥料を含む塗料でもよいが、本出願
人の提案になる光合成細菌、多孔質粒子を用いた担体お
よび当該光合成細菌の栄養成分からなる水域環境改善用
塗料(特開平5−247378号公報参照)が特に好適
である。この塗料を塗布した場合には、海藻遊走子の着
生率が向上することに加え、海藻の生育に必要な栄養分
を長期間にわたり放出し続けるので、そこで生育する海
藻にとっては好適な場所となり、海藻の繁茂状態が長く
維持される。
【0014】
【実施例】以下、図面に基づき本発明の実施例について
説明する。図1は、本発明による海洋構造物の一実施例
を示す正面図である。この海洋構造物1は、構造体とし
て立方格子体状の枠状基体2の中央に柱状体3がその枠
外上方に突出するように立設されたものを採用し、この
柱状体3の突出部分に海藻種苗4を取り付けた構成であ
る。ここで使用される枠状基体2は、図2および図3に
示す断面図から明らかなように、いわゆる並型魚礁と称
されるコンクリート成形物で、立方格子における各枠辺
部が横断面矩形状に形成されたものである。一方、柱状
体3はコンクリート製の円柱であって、枠状基体2の上
部と下部の二個所において、固定金具5,6によりその
立設状態が保持されている。
【0015】次に、上記固定金具5,6について、図4
ないし図6を用いて詳述する。上部の固定金具5は、柱
状体3を嵌通可能な円筒51の外周面の四個所に、横断
面コ字状のチャンネル材52が一端側において90度の
間隔で結合し、全体として平面視略十字状に形成されて
いる。さらに、各チャンネル材52の他端側にはアング
ル材53が結合され、これらのアングル材53は枠状基
体2における上部矩形枠の各枠辺部に対して掛合可能に
なっている。また、下部の固定金具6は、図6に示すよ
うに、円筒61の一方の端面に底板62を設けた点が上
部固定金具5と異なり、それ以外のチャンネル材63と
アングル材64は上部固定金具5と同様であって、枠状
基体2の下部矩形枠に掛合可能である。なお、固定金具
5,6は、ステンレス等の耐食性に優れる素材で形成す
ることが望ましいが、適宜の防錆処理を施した鉄製のも
のでもよい。
【0016】これらの固定金具5,6を用いて枠状基体
2に柱状体3を立設するには、図2等に示すように、ま
ず枠状基体2における上部矩形枠と下部矩形枠の各枠辺
部の内縁部分に対して固定金具5,6をそれぞれ上方か
ら掛合させ、アングル材53,64の部分においてその
通孔を利用して適宜アンカー等により枠状基体2に固定
する。次いで、柱状体3を上部固定金具5の円筒51に
上方から挿通し、その先端部分を下部固定金具6の円筒
61内に挿入すると、その底板62で受け止められる。
したがって、柱状体3は、これら固定金具5,6を介し
て下端部と中間部の二個所で支持されることにより、そ
の立設状態が保持される。なお、柱状体3の突出部分の
比率やそれを受け入れる円筒51,円筒61の長さによ
っては、単に挿入するだけでもその保持に支障はない
が、例えば周壁を貫通するように締付けボルトを設け、
柱状体3を挿入した後に当該ボルトで締め付けるなど、
適宜の固定手段を設けることが望ましい。
【0017】そして、図1に示すように、枠状基体2の
中央から上方に向けて突出した柱状体3に対して、海藻
種苗4を取り付けることにより、本発明に係る海洋構造
物1が得られる。この海藻種苗4は、前述の特開平10
−136813号公報に記載の方法により得られるもの
である。すなわち、海藻種苗4は適宜長さのロープ41
に着生した状態でリング状の担持基体42の外周面に沿
って取り付けられ、それらの複数個が当該担持基体42
を介して柱状体3の突出部分に間隔をおいて装着されて
いる。この海藻種苗4と一体になった担持基体42の取
付作業は、枠状基体2等の構造体の沈設直前に台船上で
取り付けたり、あるいは沈設後にダイバーが潜って海中
において行うなど、その時期は特に限定されない。な
お、担持基体42を使用せずに市販されている結束バン
ドで柱状体3の周面に縛り付けることも何ら問題はな
い。また、柱状体3の突出部分に加えて枠状基体2の内
部に位置する部分、あるいは枠状基体2における鉛直方
向の枠辺部にも海藻種苗4を取り付けることはもちろん
可能であり、さらに柱状体3の外周面や枠状基体2の表
面に予め前記養藻塗料を塗布すれば、海洋構造物1の全
体に比較的短期間で海藻を繁茂させることができる。
【0018】上記構成の海洋構造物1は、藻場造成ある
いは魚介類の増養殖を行う海域に沈設すると、枠状基体
2の外部から内部に海水が流入し、柱状体3に沿って上
方に緩やかな流れが生じる。このため、柱状体3に取り
付けた海藻種苗4には、酸素や栄養分が十分に行き渡
り、柱状体3を着生床として良好に生育する。そして、
ここで成熟した海藻種苗4は周囲に遊走子を放出し、次
第に枠状基体2の表面にも海藻が繁茂するようになる。
この場合、枠状基体2には稜角部分が多いことから、遊
走子を付着させる上で有利である。すなわち、この海洋
構造物1は藻場造成の基点として周囲に遊走子を拡散
し、海藻群落の拡大に寄与する中核構造物としての役割
を果たすものである。さらに、このような海中での自然
な流れは、枠状基体の内部を棲息場所とする魚介類に対
しても同様に良好な環境を形成する一方、柱状体の上部
で生育する海藻は、下方の枠状基体に対しては光の陰を
齎し、魚礁としても構造物全体に多様な生育環境を形成
する。なお、枠状基体2の内部に海水の流通を妨げない
程度に捨て石を設置したり、あるいはこの海洋構造物1
の周囲に捨て石を設けると、海藻の着生床が増加するこ
とに加え、そこに形成される隙間が生物の棲息場所とな
るので好都合である。
【0019】次に、本発明に係る海洋構造物の他の実施
例について、図7ないし図11に基づき説明する。これ
ら図面は、いずれも海藻種苗の取付対象となる構造体に
関するものである。この構造体は、図7および図8に示
すように、1本の柱状体3が枠状基体7の底部中央から
上方に突出するように立設されている点は前記実施例と
同様であるが、柱状体3の立設保持手段として固定金具
5,6を使用しない点が異なる。ここで使用する枠状基
体7は、図9ないし図11から明らかなように、完全な
立方格子体状ではなく、立方体の上面と下面に相当する
部分71,72がそれぞれ面状に形成され、各側面は前
記実施例と同様に枠辺部を残して開口している。上面部
71には中央に柱状体3の挿通孔73と、その周囲の四
個所に矩形状の貫通孔74が設けられ、また下面部72
の中央部分には凹部75が設けられている。この枠状基
体7は、適宜の型枠を用いてコンクリートの一体成形に
より製造することができる。そして、柱状体3は上面部
71の挿通孔73と下面部72の凹部75とで立設状態
に保持される。海藻種苗の取付は、前記実施例と同様で
あり、これを海底に設置した場合、上面部71には貫通
孔74が存在することにより、柱状体3に沿って上方に
緩やかな流れが生じ、同じような効果が得られる。この
場合、構造体が全てコンクリート製であるから、耐久性
に優れ、製造コストも安価である。
【0020】なお、上記両実施例では立方格子状の枠状
基体に対して1本の円柱を立設する事例を対象に説明し
たが、枠状基体あるいは柱状体の形状を適宜変更した
り、また柱状体の本数の増減や立設位置、固定手段の変
更など、この発明の技術思想内での種々の変更実施はも
ちろん可能である。
【0021】
【発明の効果】以上説明したように、本発明による海洋
構造物は、海中において枠状基体の外部から内部に海水
が流入し、柱状体に沿って上昇する緩やかな流れが生じ
る。このため、柱状体を生育場所として取り付けられた
海藻種苗にとっては、酸素や栄養分が十分に行き渡り、
良好な生育環境が形成される。そして、ここで成熟した
海藻種苗は周囲に遊走子を放出し、次第に枠状基体の表
面、さらには構造物の周囲にも海藻が繁茂するようにな
る。したがって、この海洋構造物は藻場造成の基点とな
り、海藻群落の拡大に寄与する中核構造物としての役割
を果たす。さらに、このような海中での自然な流れは、
枠状基体の内部を棲息場所とする魚介類に対しても同様
に良好な環境を形成する一方、柱状体の上部で生育する
海藻は、下方の枠状基体に対しては光の陰を齎し、魚礁
として構造物全体に多様な生育環境を形成する。このよ
うに、本発明による海洋構造物は、魚介類の住処として
の機能に加え、海藻礁としての役割も十分に果たし、し
かもその繁茂状態が長期間にわたり維持されることか
ら、そこで生育した海藻を餌料とするアワビ等の水産資
源の増養殖に大きく寄与するとともに、自らが藻場造成
の中核となって沿岸環境の改善に役立つなど、その実用
上の効果はきわめて大である。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明による海洋構造物の一例を示す正面
図である。
【図2】 図1に示す構造体の断面図である。
【図3】 図2におけるA−A断面図である。
【図4】 本発明で用いる上部固定金具の平面図であ
る。
【図5】 図4に示す上部固定金具の一部縦断正面図
である。
【図6】 本発明で用いる下部固定金具の一部縦断正
面図である。
【図7】 海洋構造物の他の実施例における構造体の
正面図である。
【図8】 図7に示す構造体の断面図である。
【図9】 図7に示す構造体における枠状基体の平面
図である。
【図10】 図9におけるB−B断面図である。
【図11】 図9におけるC−C断面図である。
【符号の説明】
1…海洋構造物、2,7…枠状基体、3…柱状体、4…
海藻種苗、5、6…固定金具、42…担持基体、73…
挿通孔、74…貫通孔、75…凹部
フロントページの続き (72)発明者 立花 治郎 東京都中野区弥生町5−14−18 Fターム(参考) 2B003 AA01 BB03 DD01 DD02 EE04 2B026 AA05 AB05 AC01 AF04 2D018 EA11

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】少なくとも側面部と上面部が開口する枠状
    基体、この枠状基体の上面部よりも上方に突出するよう
    に立設される柱状体、及びこの柱状体の突出部外周面に
    取り付けられる海藻種苗を備える海洋構造物。
  2. 【請求項2】前記柱状体が枠状基体の中央部分に立設さ
    れる請求項1に記載の海洋構造物。
  3. 【請求項3】前記枠状基体がコンクリート製の立方格子
    体である請求項1または2に記載の海洋構造物。
  4. 【請求項4】前記柱状体が、前記枠状基体の上面部と下
    面部において、対向する枠辺部間に架設した固定金具を
    介して立設される請求項3に記載の海洋構造物。
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