JP2002359075A - 有機エレクトロルミネッセンス表示パネルおよびその製造方法 - Google Patents

有機エレクトロルミネッセンス表示パネルおよびその製造方法

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JP2002359075A
JP2002359075A JP2001171419A JP2001171419A JP2002359075A JP 2002359075 A JP2002359075 A JP 2002359075A JP 2001171419 A JP2001171419 A JP 2001171419A JP 2001171419 A JP2001171419 A JP 2001171419A JP 2002359075 A JP2002359075 A JP 2002359075A
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organic
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Tomonori Akai
伴教 赤井
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Sharp Corp
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Sharp Corp
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Publication date
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    • H10SEMICONDUCTOR DEVICES; ELECTRIC SOLID-STATE DEVICES NOT OTHERWISE PROVIDED FOR
    • H10KORGANIC ELECTRIC SOLID-STATE DEVICES
    • H10K71/00Manufacture or treatment specially adapted for the organic devices covered by this subclass
    • H10K71/10Deposition of organic active material
    • H10K71/18Deposition of organic active material using non-liquid printing techniques, e.g. thermal transfer printing from a donor sheet

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  • Devices For Indicating Variable Information By Combining Individual Elements (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 電極の配線抵抗が低く、各画素発光部への印
加電圧に大きなバラツキがなく、発光ムラがなく、見栄
えのよいアクティブ駆動型有機エレクトロルミネッセン
ス表示パネルを提供することを課題とする。 【解決手段】 素子構成が基板/第一電極/少なくとも
発光層を含む有機物層/第二電極であり、かつ第二電極
側より発光を取り出す有機エレクトロルミネッセンス素
子を画素発光部に用い、第二電極がマトリックス型に形
成されてなるアクティブ駆動型有機エレクトロルミネッ
センス表示パネルにより、上記の課題を解決する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、素子構成が基板
/第一電極/少なくとも発光層を含む有機物層/第二電
極であり、第二電極側より発光を取り出す有機エレクト
ロルミネッセンス素子(以下、「有機EL素子」と称す
る)を画素発光部に用いるアクティブ駆動型有機エレク
トロルミネッセンス表示パネル(以下、「有機EL表示
パネル」と称する)およびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】有機EL素子は、素子構成が基板/第一
電極/少なくとも発光層を含む有機物層/第二電極から
なる発光素子である。薄型、全固体型、面状自発光、高
速応答といった特長を有し、ディスプレイパネルへの応
用が期待されることから近年各方面で盛んに研究が行わ
れている。
【0003】この有機EL素子の電極間に電圧を印加す
ると、発光層に一方の電極から電子が注入されるととも
に、他方の電極からホールが注入され、これらの電子と
ホールが再結合して発光層より面状発光が得られる。し
たがって、面状発光を得るためには、どちらか一方の電
極は透明であることが望ましく、多くの場合は透明基板
上に透明導電膜からなる第一電極を設けて、第一電極側
から発光を取り出している。すなわち、素子構成は、透
明な基板/透明な第一電極/少なくとも発光層を含む有
機物層/透明でなくても構わない第二電極というもので
あった。
【0004】従来の有機EL素子において、第一電極側
より発光を取り出す素子が多かった理由としては、液晶
表示パネルなどで広く用いられているITOガラスの転
用が考えられる。ITOガラスは、ガラス基板上に第一
電極として透明電極の一種であるITO(酸化インジウ
ム錫)が形成されたものである。
【0005】一方、近年、発光特性や利便性の向上にむ
けて、第二電極側より発光を取り出す有機EL素子が考
案されている。すなわち、素子構成は、透明でなくても
構わない基板/透明でなくても構わない第一電極/少な
くとも発光層を含む有機物層/透明な第二電極というも
のであり、発光層からの面状発光を透明な第二電極を通
して外部に取り出している。このような構成であれば、
従来の第一電極側より発光を取り出す素子で問題となっ
た基板の反射などによる発光のロスを防ぐことができ、
発光効率が向上し、消費電力が低下する。また、基板に
用いる材料の選択が広がり、セラミックス基板やシリコ
ン基板などの透明でない基板を用いることができる。ま
た、有機EL素子を画素発光部に用いたディスプレイパ
ネルを、TFT(薄膜トランジスタ)を用いてアクティ
ブ駆動させるときには、開口率が向上するなどのメリッ
トをもつことになる。
【0006】図1は、第二電極側より発光を取り出す有
機EL表示パネルの構成を示す概略断面図であり、この
図においては、3個の画素発光部となる有機EL素子が
描かれている。基板(101)と第一電極(102)は
透明である必要はなく、有機物層(103)上に形成さ
れる第二電極(104)が透明である。したがって、発
光(105)は第二電極(104)側より取り出され
る。第一電極(102)は図1の断面方向に平行なスト
ライプラインパターンになっており、第二電極(10
4)は第一電極(102)と直交する方向のストライプ
ラインパターンになっている。また、フルカラー表示の
有機EL表示パネルの場合には、有機物層(103)の
うちの発光層はR(赤)、G(緑)、B(青)に分けて
形成される。
【0007】このような第二電極側より発光を取り出す
有機EL表示パネルは、透明な第二電極の形成方法に問
題を抱えている。現在、多くの場合においてITOのよ
うな透明電極は、電子ビーム法やスパッタリング法で形
成されている。これらの方法により基板上に第一電極と
して透明電極を形成する場合には特に問題は生じない。
【0008】しかしながら、第二電極として、電子ビー
ム法やスパッタリング法で耐性の低い有機物層上に透明
電極を形成すると、下地の有機物層がダメージを受け、
良好な素子とならないという問題がある。例えば、スパ
ッタリングによる温度上昇によって耐熱性の低い有機物
層がダメージを受けたり、蒸発した材料の衝撃によって
有機物層が損傷を受ける。この場合、リーク電流が生じ
たり、あるいは発光特性が低下するといった現象が現わ
れる。以上のように、有機物層上に効率よく透明な第二
電極を形成することが有機EL素子の製造における課題
となっている。
【0009】そこで、有機EL素子の新たな製造方法と
して、エネルギー源(熱源)を用いた転写法が注目され
ている。転写法は、例えば、特開平9−167684号
公報、特開平10−208881号公報などに開示され
ている。具体的には、ポリエチレンテレフタレート(P
ET)フィルムなどから構成されるドナー基板上に、蒸
着法、スピンコート法、スパッタ法などにより転写すべ
き薄膜層を形成し、これを成膜すべき基板に取付け、ド
ナー基板側よりレーザー光や熱などのエネルギーを加え
て、ドナー基板側に形成されている薄膜層を基板側に転
写するというものである。
【0010】転写法に用いるドナー基板の構成としては
特に限定されるものではないが、エネルギー源としてレ
ーザー光を用いる場合には、熱伝播層や光−熱変換層な
どが形成されたフィルムが好適に用いられる。転写法の
利点は、ドナー基板上に積層形成された薄膜が、そのま
ま逆構成で基板に形成されるので、一括して基板上に成
膜できることにある。また、ドナー基板上に薄膜層を形
成するときには、特にパターンニングの必要がなく、ド
ナー基板の全面に薄膜層を形成すればよい。そして、転
写時にエネルギー源の照射された部分の薄膜層だけがド
ナー基板から基板に転写されることになり、蒸着法のよ
うなシャドウマスクを用いずに高精細なパターンを形成
することができる。表示パネルを作製する上で有効な方
法である。
【0011】転写法の成膜原理は、レーザー光または熱
が照射された領域の温度が瞬間的に上昇し、薄膜層が融
けることによる。これは瞬間的な現象であり、有機物層
や電極層薄膜には影響を与えずにドナー基板上に形成さ
れた積層構造が基板上に逆になって形成される。また、
これまでは低融点の有機化合物の転写に比べてITOな
どの高融点の透明電極薄膜層を転写法で形成することは
困難であったが、転写用のドナー基板に透明電極材料の
転写層を形成するときに、ドナー基板と転写層との間に
転写補助層を挿入することにより、高融点物質の転写が
容易になった。
【0012】したがって、第二電極側より発光を取り出
す有機EL素子を転写法で作製する場合には、PETフ
ィルムなどから構成されるドナー基板上に、適宜転写補
助層を形成した後に、第二電極として透明電極材料の転
写層をスパッタリング法などにより形成しておき、これ
を透明でなくてもよい第一電極と有機物層が形成された
基板上にレーザー光などを用いて転写すればよい。
【0013】図2は、転写法で第二電極側より発光を取
り出す有機EL表示パネルを作製する途中の工程を示す
概略断面図であり、この図においては、3個の画素発光
部となる有機EL素子が描かれている。第一電極(20
2)と少なくとも発光層を含む有機物層(203)とが
形成された基板(201)と、転写補助層(207)と
第二電極(204)とが全面に形成されたドナー基板
(206)とを貼り合せ、ドナー基板(206)側から
熱源(208)を、第一電極(202)と直交する方向
にスキャンさせながら照射する。これにより、熱源(2
08)が照射された部分のみ、第二電極(204)が有
機物層(203)上に形成される。
【0014】また、、第二電極側より発光を取り出す有
機EL素子を転写法で作製する場合には、PETフィル
ムなどから構成されるドナー基板上に、適宜転写補助層
を形成した後に、第二電極として透明電極材料の転写層
と有機物層とを形成しておき、これを透明でなくてもよ
い第一電極が形成された基板上に転写する方法も考えら
れる。
【0015】図3は、転写法で第二電極側より発光を取
り出す有機EL表示パネルを作製する途中の工程を示す
別の概略断面図である。第一電極(302)が形成され
た基板(301)と、転写補助層(307)と第二電極
(304)と少なくとも発光層を含む有機物層(30
3)とが全面に形成されたドナー基板(306)とを貼
り合せ、ドナー基板(306)側から熱源(308)
を、第一電極(302)と直交方向にスキャンさせなが
ら照射する。これにより、熱源(308)が照射された
部分のみ、第二電極(304)と少なくとも発光層を含
む有機物層(303)とが第一電極(302)上に形成
される。
【0016】発光色の異なる有機物層を用いて上記の転
写を繰り返すことにより、R、G、Bパターンを形成
し、フルカラー表示の有機EL表示パネルを得ることが
できる。このように転写法を用いれば、有機物層上に透
明電極をスパッタで形成する工程がないので、有機物層
にダメージを与えることなく、透明な第二電極を形成で
き、良好な特性を示す第二電極側より発光を取り出す有
機EL素子を得ることができる。
【0017】このようなプロセスで作製される有機EL
素子を画素発光部に用いた有機EL表示パネルは、第一
電極と第二電極とがそれぞれ直交する方向にストライプ
パターンが形成される。したがって、各ラインパターン
を駆動装置と接続すれば、デューティ駆動の単純マトリ
ックス型表示パネルを得ることができる。また、転写法
を用いれば、200μm以下のラインパターンが容易に
形成でき、従来のシャドウマスクを用いる方法と比べ
て、高精細なパネルを作製することができる。
【0018】有機EL素子を画素発光部に用いた有機E
L表示パネルの駆動方法としては、これまでデューティ
駆動が主流であったが、表示パネルの低消費電力化と大
画面化に対応する優れた駆動方法として、TFTを用い
たアクティブ駆動(アクティブマトリックス駆動)が主
流となりつつある。
【0019】図4は、第二電極側より発光を取り出すア
クティブ駆動型有機EL表示パネルの構成を示す概略断
面図であり、この図においては、3個の画素発光部とな
る有機EL素子が描かれている。透明な第二電極(40
4)側より発光(405)を取り出すアクティブ駆動型
有機EL表示パネルにおいては、基板(401)のいず
れかの領域に駆動用のTFTを組み込む必要があり、図
の構成では、有機EL素子をアクティブ駆動させるため
のソース電極(411)、ゲート電極(412)などか
らなるTFTが、基板(401)上のアモルファスシリ
コン層や低温ポリシリコン層(410)中に形成されて
いる。その上を平坦化膜(409)で覆うことにより基
板表面を平坦にし、パターニングされた第一電極(40
2)が形成されている。さらに、第一電極(402)上
には、少なくとも発光層を含む有機物層(403)およ
び透明な第二電極(404)が形成されている。このよ
うな構成により、発光(405)が第二電極(404)
側より取り出される。
【0020】第一電極側より発光を取り出す場合には、
基板上の駆動用のTFTなどの存在が画素発光部の開口
率に悪影響を与えていたが、第二電極側より発光を取り
出す場合には、基板上にTFTなどの構造物があっても
画素発光部の開口率に悪影響を与えることがなく、開口
率が高く、見栄えがよく、かつ消費電力の小さな有機E
L表示パネルを得ることができる。
【0021】上記の第二電極側より発光を取り出すアク
ティブ駆動型有機EL表示パネルにおいては、第一電極
をデューティ駆動型の単純マトリックス型の有機EL表
示パネルと同様のラインパターンにする必要があるが、
有機物層上に形成する第二電極を特別なパターニングを
する必要がなく、封止部や端子取り出し部を除いた全面
に第二電極を形成することができる。
【0022】ところが、新しい成膜方法である転写法
は、エネルギー源として主にYAGレーザー光を用いて
いる。したがって、このような転写法は200μm程度
までの細かな領域を転写することには優れているもの
の、上記のような第二電極の全面形成には不向きである
ことをこの発明の発明者は発見した。
【0023】すなわち、デューティ駆動型の単純マトリ
ックス型の有機EL表示パネルを作製する場合には、転
写法は高精細化に優れた製造方法であるが、逆に今後の
発展が期待されるTFTを用いたアクティブ駆動型の有
機EL表示パネルを作製する場合には、200μm以上
の幅を一度に転写できないという問題がある。エネルギ
ー源の絞りを緩めて200μm以上の照射を実施するこ
とも考えられるが、単位面積当たりのエネルギー源のエ
ネルギー強度が低下するので、良好な転写ができなくな
る。
【0024】有機EL表示パネル内に大きな配線抵抗が
生じると、各画素発光部への印加電圧に大きなバラツキ
が生じ、有機EL表示パネルとしての見栄えが極端に低
下する。有機EL表示パネルのサイズがさらに大きくな
り、ラインパターンが長くなると、それに比例して配線
抵抗が上昇する。また、画素発光部の数を増加させて、
表示の高精細化を進めると、例えば50μmというよう
にラインパターンの幅がさらに細くなるので、このライ
ン幅に反比例して配線抵抗が上昇する。
【0025】配線抵抗を低減する方法としては、透明電
極の膜厚を厚くすることが考えられる。しかし、膜厚を
厚くすると、その下地が柔らかい有機物層であるために
応力が影響して、下地の有機物層が剥離してしまうとい
う問題が起こる。そのため、膜厚を厚くすることには限
界がある。
【0026】特開平11−260549号公報には、有
機物層上の透明電極を転写法で形成する有機EL素子の
製造方法が開示されている。しかしながら、高融点の透
明電極を転写法で形成するだけでは、十分な膜厚の透明
な透明電極は得られない。また、前記の公報において
は、透明電極の膜厚について言及していない。
【0027】
【発明が解決しようとする課題】この発明は、電極の配
線抵抗が低く、各画素発光部への印加電圧に大きなバラ
ツキがなく、発光(輝度)ムラがなく、見栄えのよいア
クティブ駆動型有機EL表示パネルを提供することを課
題とする。
【0028】
【課題を解決するための手段】この発明者は、上記の課
題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、素子構成が
基板/第一電極/少なくとも発光層を含む有機物層/第
二電極からなり、第二電極側より発光を取り出す有機E
L素子を画素発光部に用いるアクティブ駆動型有機EL
表示パネルにおいて、第二電極をマトリックス型にする
ことにより、電極の配線抵抗が低下し、各画素発光部へ
の印加電圧に大きなバラツキが減少し、見栄えのよいア
クティブ駆動型有機EL表示パネルが得られることを見
出し、この発明を完成するに到った。また、画素発光部
となる領域には1回しかレーザー光を照射しない転写法
でマトリックス型の第二電極を形成すると、耐熱性が低
い発光層を含む有機物層への熱的なダメージが少なくな
り、信頼性の高い有機EL表示パネルを得られることを
見出し、この発明を完成するに到った。
【0029】この発明によれば、素子構成が基板/第一
電極/少なくとも発光層を含む有機物層/第二電極であ
り、かつ第二電極側より発光を取り出す有機EL素子を
画素発光部に用い、第二電極がマトリックス型に形成さ
れてなるアクティブ駆動型有機EL表示パネルが提供さ
れる。
【0030】また、この発明によれば、素子構成が基板
/第一電極/少なくとも発光層を含む有機物層/第二電
極であり、かつ第二電極側より発光を取り出す有機EL
素子を画素発光部に用い、第二電極がマトリックス型に
形成されてなるアクティブ駆動型有機EL表示パネルの
製造方法であって、(1)転写法でラインパターン状の
透明電極を形成し、前記透明電極のラインパターンと直
交する方向に転写法で透明電極を形成する、(2)転写
法でラインパターン状の透明電極を形成し、前記透明電
極のラインパターンと直交する方向に、かつ画素発光部
と重ならないように転写法で不透明の補助電極を形成す
る、(3)ラインパターン状に形成した第一電極と直交
する方向に、連続発振レーザー光を用いた転写法でライ
ンパターン状の透明電極を形成し、前記透明電極のライ
ンパターンと直交する方向に、かつ第一電極と重ならな
いように、パルス発振レーザー光を用いた転写法でライ
ンパターン状の透明電極を形成する、または(4)ライ
ンパターン状に形成した第一電極と直交する方向に、か
つ第一電極と重ならないように、パルス発振レーザー光
を用いた転写法でラインパターン状の透明電極を形成
し、前記透明電極のラインパターンと直交する方向に、
連続発振レーザー光を用いた転写法でラインパターン状
の透明電極を形成することによりマトリックス型の第二
電極を形成することを特徴とする有機EL表示パネルの
製造方法が提供される。
【0031】
【発明の実施の形態】この発明の有機EL表示パネル
は、第二電極側より発光を取り出す方式であり、例え
ば、図4に示すように、基本的に基板(401)/第一
電極(402)/少なくとも発光層を含む有機物層(4
03)/第二電極(404)からなり、有機EL素子を
アクティブ駆動させるためのソース電極(411)、ゲ
ート電極(412)などからなるTFTが、基板(40
1)上のアモルファスシリコン層や低温ポリシリコン層
(410)中に形成され、その上を平坦化膜(409)
で覆われている。図中の(405)は発光を表す。
【0032】この発明の有機EL表示パネルにおける第
二電極は、ラインパターン状に形成された透明電極と、
前記透明電極のラインパターンと直交する方向に形成さ
れた透明電極または不透明の補助電極とからなるマトリ
ックス型に形成されてなる。以下、この発明の有機EL
表示パネルおよびその製造方法について、より具体化し
た実施の形態を用いて説明するが、この発明はこの実施
の形態により限定されるものではない。
【0033】実施の形態1 (その1)転写用ドナー基板を4枚作製する。 転写用ドナー基板(ドナー基板)としては、多くの場合
フィルム状のものが用いられる。その材料としては、ポ
リエチレンテレフタレート(PET)が好ましい。PE
Tフィルムは、フィルムの中では耐熱性が良好で、また
適度の柔軟性を有するので好ましい。また、フィルムの
厚さは特に限定されないが、耐久性と転写の容易性を考
慮すれば、厚さ50μm〜1mm程度が好ましい。
【0034】また、転写効率を向上させるために、公知
の材料を用いて熱伝播層や光−熱変換層をフィルム上に
適宜形成してもよい。ドナー基板としてPETフィルム
を用い、転写法のエネルギー源としてレーザー光、特に
YAGレーザー光を用いる場合に、PETフィルムだけ
では透明であるために転写性に劣る。このような場合に
熱伝播層や光−熱変換層を設けるのが好ましい。
【0035】(その2)4枚のドナー基板上に転写補助
層を形成する。 転写層である第二電極の転写を容易にするために、ドナ
ー基板上に転写補助層を形成する。その材料としては、
第二電極を構成する材料よりも低融点のものであれば特
に限定されず、低分子系材料、ポリマー系材料などの有
機材料、無機材料のいずれであってもよい。また、転写
補助層は、1種の単層膜、1種以上の多層膜のいずれで
あってもよい。転写補助層の膜厚は特に限定されない
が、用いる材料により50Å〜5mm程度に適宜選択す
ればよい。
【0036】(その3)4枚のドナー基板について、転
写補助層上に透明な第二電極を形成する。 転写補助層上に形成する透明な第二電極の材料として
は、公知の透明電極材料を使用することが可能である。
つまり、後述する発光層の発光波長領域において透明で
ある材料が好ましく、具体的には、ITO(酸化インジ
ウム錫)、酸化錫、IDIXO(In23−ZnO系材
料)などが挙げられる。第二電極の形成(成膜)方法と
しては、公知の手法が適用可能であり、蒸着法、電子ビ
ーム法、スパッタ法、スプレー法などが挙げられる。
【0037】第二電極は、一般的な有機EL素子に必要
な膜厚で形成されればよい。ドナー基板上に転写補助層
を形成しない場合には、第二電極としての透明電極は1
00Å程度しか転写できないが、転写補助層を形成する
場合には、第二電極の膜厚は任意に選択できる。ただ
し、一般的な有機EL素子においては、柔らかく剛性の
低い有機物層上に、硬く剛性の高い第二電極を厚く形成
すると、応力により、下地の有機物層が剥離してしまう
ことがあり、良好な有機EL素子が得られないことがあ
るので、抵抗率などを考慮しながら第二電極の膜厚を調
節しなければならない。一般的なITOを用いる場合に
は、第二電極の膜厚を2000Å程度にすることによ
り、良好な有機EL素子を得ることができる。
【0038】(その4)3枚のドナー基板について、透
明な第二電極上に少なくとも発光層を含む有機物層を形
成する。 転写補助層と透明な第二電極が形成されたドナー基板上
に少なくとも発光層を含む有機物層を形成する。ほとん
どの場合、有機物層は発光層以外の電荷輸送層、電荷注
入層を含む積層構成であるので、その有機物層の積層構
成とは逆構成で各層を形成する。有機EL素子を画素発
光部に用いるフルカラーの有機EL表示パネルを作製す
る場合には、発光層をR、G、Bに塗り分ける必要があ
り、3枚の転写用ドナーをそれぞれR用、G用、B用と
して形成する。
【0039】有機物層の形成方法としては、公知の手法
が適用可能であり、蒸着法、スピンコート法、印刷法、
インクジェット法などが挙げられる。用いる有機材料に
ついてもこれまでに有機EL素子に用いられてきた材料
を使用することができる。膜厚についても特に制限はな
く、一般的な有機EL素子で採用されている程度の膜厚
とすることができる。通常、100Å〜1μm程度であ
る。
【0040】有機物層としては、発光層、正孔輸送層や
正孔注入層、電子輸送層や電子注入層などが挙げられ、
それらを構成する材料としては、公知の材料を用いるこ
とができ、特に限定されない。
【0041】発光層に用いられる材料としては、例え
ば、トリス(8−ヒドロキシナト)アルミニウム錯体
(Alq3)、ビス(2−メチル−8−キノリノラー
ト)(p−フェニルフェノラート)アルミニウム(BA
lq)、ベンゾオキサゾール系化合物、ベンゾチアゾー
ル系化合物などが挙げられる。また、発光色の変更や特
性向上のために、ドーパントを添加することもできる。
このようなドーパントとしては、キナクリドン、ルブレ
ン、4−ジシアノメチレン−2−メチル−6−(p−ジ
メチルアミノスリチル)−4H−ピラン(DCM)、ク
マリン誘導体などが挙げられる。
【0042】正孔輸送層や正孔注入層に用いられる材料
としては、例えば、N,N’−ジフェニル−N,N’
(3−メチルフェニル)−1,1’−ジフェニル−4,
4’−ジアミン(TPD)、N,N’−ジフェニル−
N,N’−ビス(α−ナフチル)−1,1’−ビフェニ
ル−4,4’−ジアミン(α―NPD)、銅フタロシア
ニン(CuPc)、オキサジアゾール、ピラゾリン系化
合物、ヒドラゾン系化合物などが挙げられる。電子輸送
層や電子注入層に用いられる材料としては、例えば、オ
キサジアゾール誘導体、トリス(8−ヒドロキシナト)
アルミニウム錯体(Alq3)、トリアゾール誘導体な
どが挙げられる。
【0043】上記のように、3枚のドナー基板に有機物
層を形成し、残りの1枚のドナー基板には有機物層を形
成しない。したがって、4枚のドナー基板上に形成され
た層の構成は次のようになる。 ドナー基板/転写補助層/第二電極/少なくともR発
光層を含む有機物層 ドナー基板/転写補助層/第二電極/少なくともG発
光層を含む有機物層 ドナー基板/転写補助層/第二電極/少なくともB発
光層を含む有機物層 ドナー基板/転写補助層/第二電極
【0044】(その5)基板上にアクティブ駆動用のT
FT(薄膜トランジスタ)を形成する。 この発明の有機EL表示パネルは、第二電極側より発光
を取り出す構成であるから、用いる基板は透明である必
要はなく、材質に関しても有機EL素子を維持できる程
度の剛性が有れば特に限定されるものではない。例え
ば、シリコン基板、ポリイミドフィルム、PETなどの
プラスチックフィルム、セラミック基板、ガラス基板、
絶縁処理した金属基板などが挙げられるこのような基板
上に、公知の方法により、アモルファスシリコン、ポリ
シリコンなどからなるTFTを形成する。
【0045】(その6)基板上に第一電極を形成する。 次に、TFTを形成した基板上に第一電極を形成する。
第一電極についても透明である必要はない。ほとんどの
場合には金属薄膜が用いられ、用いる有機物材料との相
性を考慮して適宜選択すればよい。一般的な有機EL素
子においては、金属薄膜は電子注入電極として機能する
場合が多いので、電子注入を容易にするような仕事関数
の小さな金属が望ましい。具体的には、アルミニウム、
マグネシウム、リチウム、カルシウムなどが挙げられ
る。逆に、金属薄膜を正孔注入電極として機能させる場
合には、正孔注入を容易にするような仕事関数の大きな
金属が望ましい。具体的には、金、白金、銅、ニッケル
などが挙げられる。
【0046】第一電極の成膜方法としても、公知の手法
が適用可能であり、蒸着法、スパッタ法、電子ビーム
法、メッキ法などが挙げられる。また、パターニングに
関しても、特に限定されるものではなく、公知のシャド
ウマスク法、フォトリソグラフィ法などが適用可能であ
る。第一電極の膜厚は、用いる金属材料にもよるが、5
00Å〜1μm程度である。
【0047】(その7)ドナー基板と基板とを貼り合わ
せ転写し、ドナー基板を剥離する。 すなわち、ドナー基板と基板とを両基板が外側になるよ
うに貼り合わせ、基板側に形成した最上層上に、ドナー
基板上に形成した層を転写し、ドナー基板を剥離する。
【0048】転写法のエネルギー源としては、ドナー基
板側に形成された透明な第二電極と、場合によっては有
機物層とを、基板側に転写できるものであれば特に限定
されない。しかし、高精細なパターンを得るために局所
的に強いエネルギーを与えるのが好ましく、レーザー
光、特にYAGレーザー光を効果的に用いることができ
る。また、連続発振のレーザー光を用いることにより、
より完全なラインパタンを得られる。
【0049】この転写工程について具体的に説明する。
この工程では、工程(その4)において透明な第二電極
上に少なくとも発光層を含む有機物層を形成した、次の
構成のドナー基板を用いる。 ドナー基板/転写補助層/第二電極/少なくともR発
光層を含む有機物層 ドナー基板/転写補助層/第二電極/少なくともG発
光層を含む有機物層 ドナー基板/転写補助層/第二電極/少なくともB発
光層を含む有機物層
【0050】まず、第一電極と少なくとも発光層を含む
有機物層とが接するように、ドナー基板と基板とを貼り
合わせる。このとき、貼り合せ部に気泡が残らないよう
に、貼り合せたものをローラーなどで圧着し、脱気す
る。真空ラミネート法を用いても気泡除去に有効であ
る。次いで、基板上に形成された第一電極のストライプ
ラインパターンと直交する方向にYAGレーザー光を照
射する。
【0051】転写後にドナー基板を剥離することによ
り、第一電極が形成された基板上に、第二電極や有機物
層が転写され、素子構成が、透明でなくても構わない基
板/透明でなくても構わない第一電極/少なくとも発光
層を含む有機物層/透明な第二電極という、第二電極側
より発光を取り出す有機EL素子が得られる。ドナー基
板を代えて同様の操作を繰り返すことにより、R、G、
Bのストライプラインパターンを有する有機EL表示パ
ネルを構成する有機EL素子が得られる。このとき、発
光色の形成順は特に限定されない。
【0052】図5は、工程(その7)が終了した段階で
の有機EL表示パネルの概略平面図である。TFT(図
示しない)が形成された基板(501)上に、第一電極
(502)がストライプラインパターン状に形成され、
その上に第一電極(502)と直交する方向に、少なく
とも発光層を含む有機物層(503)と透明な第二電極
(504)とがストライプラインパターン状に積層形成
されている。第一電極(502)と透明な薄い第二電極
との重なった部分が画素発光部であり、両電極間に電圧
を印加すると、透明な第二電極(504)を通して発光
が得られる。また、発光色の異なる有機物層を有する有
機EL素子を複数個配置することにより、フルカラー表
示が可能な有機EL表示パネルが得られる。
【0053】(その8)透明な第二電極がマトリックス
となるように、さらに第二電極を転写法で形成する。 前記工程で形成した透明な第二電極は、ストライプライ
ンパターン状であるために高抵抗である。そこで、前記
工程で形成した透明な第二電極に直交するように、すな
わち第一電極に平行するように、好ましくは第一電極に
重なるように、さらに透明な第二電極を形成して、前記
工程で形成した透明な第二電極と合わせて、マトリック
ス型の第二電極を得る。この工程では、工程(その3)
において転写補助層上に透明な第二を形成した、次の構
成のドナー基板を用いる。 ドナー基板/転写補助層/第二電極
【0054】まず、前記工程で形成した透明な第二電極
と、さらに転写する透明な第二電極とが接するように、
ドナー基板と基板とを貼り合わせる。このとき、貼り合
せ部に気泡が残らないように、貼り合せたものをローラ
ーなどで圧着し、脱気する。次いで、基板上に形成され
た第一電極のストライプラインパターンと重なるよう
に、すなわち透明な第二電極と直交する方向で、かつ画
素発光部を通るような軌線を描くように、YAGレーザ
ー光を照射する。転写後にドナー基板を剥離することに
より、さらに透明な第二電極が転写され、前記工程で形
成した透明な第二電極と合わせて、マトリックス型の第
二電極が得られる。これにより、配線抵抗が低下する。
【0055】図6は、工程(その8)が終了した段階で
の有機EL表示パネルの概略平面図である。TFT(図
示しない)が形成された基板(601)上に、第一電極
(602)がストライプラインパターン状に形成され、
その上に第一電極(602)と直交する方向に、少なく
とも発光層を含む有機物層(603)と透明な第二電極
(604)とがストライプラインパターン状に積層形成
され、さらに第一電極(602)と重なるように、すな
わち画素発光部を通るように透明な第二電極(609)
が形成され、全体として透明な第二電極がマトリックス
型になっている。第一電極(602)と透明な第二電極
(604)とが直接重なる部分には、絶縁膜を挿入し、
電極間ショートが生じないようにする。この重なる部分
は画素発光部610である。
【0056】最後に、有機EL表示パネルの信頼性を確
保するために、封止処理を行うのが好ましい。封止処理
の方法としては、中空ガラスやフィルムを用いた公知の
方法を適用することができる。
【0057】実施の形態2 (その1)〜(その7) 実施の形態1の工程(その3)において、1枚のドナー
基板について、転写補助層上に透明な第二電極を形成す
る代わりに、補助電極として金属膜を形成する以外は、
実施の形態1の工程(その1)〜(その7)と同様であ
る。得られるドナー基板の層構成を示す。 ドナー基板/転写補助層/第二電極/少なくともR発
光層を含む有機物層 ドナー基板/転写補助層/第二電極/少なくともG発
光層を含む有機物層 ドナー基板/転写補助層/第二電極/少なくともB発
光層を含む有機物層 ドナー基板/転写補助層/補助電極
【0058】補助電極に用いる金属材料としては、低抵
抗のものであれば特に限定されないが、アルミニウムも
しくは銅もしくはクロムが特に好ましい。補助電極の形
成方法としては、公知の手法が適用可能であり、抵抗加
熱蒸着法、電子ビーム法、スパッタ法などが挙げられ
る。その膜厚は、通常、500Å〜1μm程度(例え
ば、1500Å)である。
【0059】(その8)さらに補助電極を転写法で形成
する。 実施の形態1では、画素発光部となる部分に、第一電極
と重なるように第二電極を転写するが、実施の形態2で
は、画素発光部となる部分に重ならないように、第一電
極と平行するように、ストライプラインパターン状の補
助電極を転写する。このようにして、発光層からの発光
が遮断されないように補助電極を形成する。
【0060】図7は、工程(その8)が終了した段階で
の有機EL表示パネルの概略平面図である。TFT(図
示しない)が形成された基板(701)上に、第一電極
(702)がストライプラインパターン状に形成され、
その上に第一電極(702)と直交する方向に、少なく
とも発光層を含む有機物層(703)と透明な第二電極
(704)とがストライプラインパターン状に積層形成
され、さらに第一電極(702)に平行して重ならない
ように、すなわち画素発光部を通らないように補助電極
(710)が形成され、全体として透明な第二電極と補
助電極がマトリックス型になっている。第一電極(70
2)と透明な第二電極(704)との重なる部分は画素
発光部711である。
【0061】実施の形態1と同様にして、有機EL表示
パネルの信頼性を確保するために、封止処理を行うのが
好ましい。
【0062】実施の形態3 (その1)〜(その7) 実施の形態1の工程(その1)〜(その7)と同様であ
る。 (その8)工程(その7)で形成した透明電極のライン
パターンと直交する方向に、かつ第一電極と重ならない
ように、パルス発振レーザー光を用いた転写法でライン
パターン状の透明電極を形成して、マトリックス型の第
二電極を得る。最後に、実施の形態1と同様にして、有
機EL表示パネルの信頼性を確保するために、封止処理
を行うのが好ましい。
【0063】実施の形態1において、画素発光部となる
領域には、連続発振レーザー光が2回照射される。この
照射によって、画素発光部(610)となる領域に存在
する、耐熱性が低い発光層を含む有機物層(603)
は、熱的なダメージ(損傷)を受ける可能性が高く、有
機EL素子の信頼性が低下する恐れがある(図6参
照)。したがって、このような領域に連続発振レーザー
光を2回照射することは避けるのが好ましい。
【0064】そこで、実施の形態3では、転写工程にお
ける2回のレーザー光照射のうち、その1回にパルス発
振レーザー光を用いることで、画素発光部となる領域に
存在する有機物層にレーザー光が照射される回数を1回
にする。図9は、画素発光部を通り、かつ第1電極と直
交する方向に形成された透明電極(第二電極(80
9))のラインパターンのみを抽出した有機EL表示パ
ネルの概略平面図である。図中、(801)は基板であ
る。すなわち、第二電極(809)は、ラインパターン
状に形成されたと直交する方向に、かつ第一電極と重な
らないように(画素発光部を通らない飛び飛びのパター
ンになるように)形成されてなる。これに対して、図8
は、実施の形態1の工程(その8)で形成した透明電極
(第二電極(809))のラインパターンのみを抽出し
た有機EL表示パネルの概略平面図である。図中、(8
01)は基板である。
【0065】パルス発振レーザー光は、公知の方法でパ
ルス発振ができるようにしたレーザー装置により得られ
る。また、パルス発振レーザー光は、照射の精度の点で
次式を満たすものが好ましい。 (パルス発振周期)=(第1電極のラインパターンのピ
ッチ)/(レーザー光のスキャン速度) パルス発振レーザー光は、連続発振レーザー光をパルス
レーザー変換機構に同期させて得られる。このパルスレ
ーザー変換機構としては、スリットの回転機構が好適に
用いることができる。
【0066】図10は、連続発振レーザー光をパルスレ
ーザー変換機構に通して、パルス発振レーザー光をドナ
ー基板に照射する状態を示す概略模式図である。図中、
転写される側は、基板(901)、第一電極(90
2)、有機物層(903)、第二電極(904)、平坦
化膜(909)、アモルファスシリコン層や低温ポリシ
リコン層(9100)、ソース電極(911)およびゲ
ート電極(912)からなり、転写する側は、ドナー基
板(906)、転写補助層(907)および第二電極
(910)からなる。連続発振レーザー光源(913)
から発振される連続発振レーザー光(914)は、パル
スレーザー変換機構(パルス発振変換機構)(915)
でパルス発振レーザー光(916)に変換される。
【0067】実施の形態4 (その1)〜(その6) 実施の形態3の工程(その1)〜(その6)と同様であ
る。 (その7)工程(その6)でラインパターン状に形成し
た第一電極と直交する方向に、かつ第一電極と重ならな
いように、パルス発振レーザー光を用いた転写法でライ
ンパターン状の透明電極を形成する。パルス発振レーザ
ー光を用いた転写法は、実施の形態3の工程(その8)
と同様である。
【0068】(その8)工程(その7)で形成した透明
電極のラインパターンと直交する方向に、かつ第一電極
と重ならないように、パルス発振レーザー光を用いた転
写法でラインパターン状の透明電極を形成して、マトリ
ックス型の第二電極を得る。最後に、実施の形態1と同
様にして、有機EL表示パネルの信頼性を確保するため
に、封止処理を行うのが好ましい。
【0069】以上を整理すると、この発明の有機EL表
示パネルの製造方法は、素子構成が基板/第一電極/少
なくとも発光層を含む有機物層/第二電極であり、かつ
第二電極側より発光を取り出す有機EL素子を画素発光
部に用い、第二電極がマトリックス型に形成されてなる
アクティブ駆動型有機EL表示パネルの製造方法であっ
て、(1)転写法でラインパターン状の透明電極を形成
し、前記透明電極のラインパターンと直交する方向に転
写法で透明電極を形成する、(2)転写法でラインパタ
ーン状の透明電極を形成し、前記透明電極のラインパタ
ーンと直交する方向に、かつ画素発光部と重ならないよ
うに転写法で不透明の補助電極を形成する(3)ライン
パターン状に形成した第一電極と直交する方向に、連続
発振レーザー光を用いた転写法でラインパターン状の透
明電極を形成し、前記透明電極のラインパターンと直交
する方向に、かつ第一電極と重ならないように、パルス
発振レーザー光を用いた転写法でラインパターン状の透
明電極を形成する、または(4)ラインパターン状に形
成した第一電極と直交する方向に、かつ第一電極と重な
らないように、パルス発振レーザー光を用いた転写法で
ラインパターン状の透明電極を形成し、前記透明電極の
ラインパターンと直交する方向に、連続発振レーザー光
を用いた転写法でラインパターン状の透明電極を形成す
ることによりマトリックス型の第二電極を形成すること
を特徴とする。
【0070】この発明の発明者が、実施の形態1および
実施の形態2に基づいて、有機EL表示パネルを製造し
たところ、発光(輝度)ムラの少ない、見栄えのよい表
示パネルが得られた。これは、第二電極をマトリックス
型にすることにより、第二電極の抵抗が低くなったため
と考えられる。一方、実施の形態1の工程(その8)を
省略して、有機EL表示パネルを製造したところ、発光
ムラがあり(発光部位により輝度が著しく異なる)、見
栄えの悪い表示パネルが得られた。これは、第二電極が
ラインパターン状であるために、第二電極の抵抗が高く
なり、配線抵抗により画素発光部に印加される電圧の大
きさが異なったためと考えられる。
【0071】また、この発明の発明者が、実施の形態3
および実施の形態4に基づいて、有機EL表示パネルを
製造したところ、実施の形態1および実施の形態2によ
る有機EL表示パネルと同様に、発光(輝度)ムラの少
ない、見栄えのよい表示パネルが得られた。これらの有
機EL表示パネルは、レーザー光を用いた転写法でマト
リックス型の第二電極を形成する際に、画素発光部とな
る領域に1回しかレーザー光を照射しないので、耐熱性
が低い発光層を含む有機物層への熱的なダメージが少な
く、信頼性が高い。
【0072】
【発明の効果】この発明によれば、電極の配線抵抗が低
く、各画素発光部への印加電圧に大きなバラツキがな
く、発光(輝度)ムラがなく見栄えのよいアクティブ駆
動型有機EL表示パネルを提供することができる。ま
た、この発明によれば、レーザー光を用いた転写法でマ
トリックス型の第二電極を形成する際に、画素発光部と
なる領域に1回しかレーザー光を照射しないので、耐熱
性が低い発光層を含む有機物層への熱的なダメージが少
なく、信頼性の高い有機EL表示パネルを提供すること
ができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第二電極側より発光を取り出す有機EL表示パ
ネルの構成を示す概略断面図である。
【図2】転写法で第二電極側より発光を取り出す有機E
L表示パネルを作製する途中の工程を示す概略断面図で
ある。
【図3】転写法で第二電極側より発光を取り出す有機E
L表示パネルを作製する途中の工程を示す別の概略断面
図である。
【図4】第二電極側より発光を取り出すアクティブ駆動
型有機EL表示パネルの構成を示す概略断面図である。
【図5】実施の形態1の工程(その7)が終了した段階
での有機EL表示パネルの概略平面図である
【図6】実施の形態1の工程(その8)が終了した段階
での有機EL表示パネルの概略平面図である。
【図7】実施の形態2の工程(その8)が終了した段階
での有機EL表示パネルの概略平面図である。
【図8】実施の形態1の工程(その8)で形成した透明
電極のラインパターンのみを抽出した有機EL表示パネ
ルの概略平面図である。
【図9】実施の形態3の工程(その8)で形成した透明
電極のラインパターンのみを抽出した有機EL表示パネ
ルの概略平面図である。
【図10】連続発振レーザー光をパルスレーザー変換機
構に通して、パルス発振レーザー光をドナー基板に照射
する状態を示す概略模式図である。
【符号の説明】 101、201、301、401、501、601、7
01、801、901基板 102、202、302、402、502、602、7
02、902 第一電極 103、203、303、403、503、603、7
03、903 有機物層 104、204、304、404、504、604、6
09、704、809、904、910 第二電極 105、405 発光 206、306、906 ドナー基板(転写用ドナー基
板) 207、307、907 転写補助層 208、308 エネルギー源(熱源) 409、909 平坦化膜 410、9100 アモルファスシリコン層や低温ポリ
シリコン層 411、911 ソース電極 412、912 ゲート電極 610、711 画素発光部 710 補助電極 913 連続発振レーザー光源 914 連続発振レーザー光 915 パルスレーザー変換機構 916 パルス発振レーザー光
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) H05B 33/26 H05B 33/26 Fターム(参考) 3K007 AB02 AB17 AB18 BA06 CB01 CB02 DA01 DB03 EB00 FA01 5C094 AA04 AA10 AA43 BA03 BA12 BA27 CA19 CA24 DA13 DB04 EA04 EA05 EA10 FA01 FB01 FB02 FB12 GB10

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 素子構成が基板/第一電極/少なくとも
    発光層を含む有機物層/第二電極であり、かつ第二電極
    側より発光を取り出す有機エレクトロルミネッセンス素
    子を画素発光部に用い、第二電極がマトリックス型に形
    成されてなるアクティブ駆動型有機エレクトロルミネッ
    センス表示パネル。
  2. 【請求項2】 第二電極が、ラインパターン状に形成さ
    れた透明電極と、前記透明電極のラインパターンと直交
    する方向に形成された透明電極または不透明の補助電極
    とからなるマトリックス型に形成されてなる請求項1に
    記載の有機エレクトロルミネッセンス表示パネル。
  3. 【請求項3】 補助電極が、アルミニウムもしくは銅も
    しくはクロムで形成されてなる請求項2に記載の有機エ
    レクトロルミネッセンス表示パネル。
  4. 【請求項4】 素子構成が基板/第一電極/少なくとも
    発光層を含む有機物層/第二電極であり、かつ第二電極
    側より発光を取り出す有機エレクトロルミネッセンス素
    子を画素発光部に用い、第二電極がマトリックス型に形
    成されてなるアクティブ駆動型有機エレクトロルミネッ
    センス表示パネルの製造方法であって、(1)転写法で
    ラインパターン状の透明電極を形成し、前記透明電極の
    ラインパターンと直交する方向に転写法で透明電極を形
    成する、または(2)転写法でラインパターン状の透明
    電極を形成し、前記透明電極のラインパターンと直交す
    る方向に、かつ画素発光部と重ならないように転写法で
    不透明の補助電極を形成することによりマトリックス型
    の第二電極を形成することを特徴とする有機エレクトロ
    ルミネッセンス表示パネルの製造方法。
  5. 【請求項5】 転写法が、レーザー光をエネルギー源と
    して行われる請求項4に記載の有機エレクトロルミネッ
    センス表示パネルの製造方法。
  6. 【請求項6】 レーザー光が、YAGレーザー光である
    請求項5に記載の有機エレクトロルミネッセンス表示パ
    ネルの製造方法。
  7. 【請求項7】 素子構成が基板/第一電極/少なくとも
    発光層を含む有機物層/第二電極であり、かつ第二電極
    側より発光を取り出す有機エレクトロルミネッセンス素
    子を画素発光部に用い、第二電極がマトリックス型に形
    成されてなるアクティブ駆動型有機エレクトロルミネッ
    センス表示パネルの製造方法であって、(3)ラインパ
    ターン状に形成した第一電極と直交する方向に、連続発
    振レーザー光を用いた転写法でラインパターン状の透明
    電極を形成し、前記透明電極のラインパターンと直交す
    る方向に、かつ第一電極と重ならないように、パルス発
    振レーザー光を用いた転写法でラインパターン状の透明
    電極を形成する、または(4)ラインパターン状に形成
    した第一電極と直交する方向に、かつ第一電極と重なら
    ないように、パルス発振レーザー光を用いた転写法でラ
    インパターン状の透明電極を形成し、前記透明電極のラ
    インパターンと直交する方向に、連続発振レーザー光を
    用いた転写法でラインパターン状の透明電極を形成する
    ことによりマトリックス型の第二電極を形成することを
    特徴とする有機エレクトロルミネッセンス表示パネルの
    製造方法。
  8. 【請求項8】 パルス発振レーザー光が、(パルス発振
    周期)=(第1電極のラインパターンのピッチ)/(レ
    ーザー光のスキャン速度)を満たすレーザー光である請
    求項7に記載の有機エレクトロルミネッセンス表示パネ
    ルの製造方法。
  9. 【請求項9】 パルス発振レーザー光が、連続発振レー
    ザー光をパルスレーザー変換機構に同期させて得たレー
    ザー光である請求項8に記載の有機エレクトロルミネッ
    センス表示パネルの製造方法。
  10. 【請求項10】 パルスレーザー変換機構が、スリット
    の回転機構である請求項9に記載の有機エレクトロルミ
    ネッセンス表示パネルの製造方法。
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