JP2003257638A - 有機エレクトロルミネッセンス表示パネルの製造方法およびこの製造方法により得られた有機エレクトロルミネッセンス表示パネル - Google Patents

有機エレクトロルミネッセンス表示パネルの製造方法およびこの製造方法により得られた有機エレクトロルミネッセンス表示パネル

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JP2003257638A
JP2003257638A JP2002057572A JP2002057572A JP2003257638A JP 2003257638 A JP2003257638 A JP 2003257638A JP 2002057572 A JP2002057572 A JP 2002057572A JP 2002057572 A JP2002057572 A JP 2002057572A JP 2003257638 A JP2003257638 A JP 2003257638A
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light emitting
electrode
color
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pixel
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JP2002057572A
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Tomonori Akai
伴教 赤井
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Sharp Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 画素発光部からの発光が良好であるととも
に、熱転写に用いるレーザー源を1本で済ますことがで
き、生産コストの低下に寄与することのできる有機エレ
クトロルミネッセンス表示パネルの製造方法を提供す
る。 【解決手段】 素子構成が基板/第1電極/少なくとも
発光層を含む複数層からなる有機物層/第2電極である
有機エレクトロルミネッセンス素子を画素発光部に用い
て、複数層からなる有機物層の全体を熱転写により第1
電極上に形成する。ここで、第1電極の上に、第1〜3
発光色のそれぞれの画素発光部となる領域を熱転写によ
り形成し、続いて、他の領域にはみ出した第1〜3発光
色の薄膜をそれぞれ除去して、第1〜3発光色の画素発
光部となる領域にそれぞれ第2電極を形成する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】この発明は、素子構成が基板/第1電極/
少なくとも発光層を含む有機物層/第2電極である有機
エレクトロルミネッセンス素子を画素発光部に用いる有
機エレクトロルミネッセンス表示パネルの製造方法と、
この製造方法により得られた有機エレクトロルミネッセ
ンス表示パネルとに関する。
【0002】
【従来の技術】有機エレクトロルミネッセンス素子と
は、素子構成が基板/第1電極/少なくとも発光層を含
む有機物層/第2電極である発光素子である。そして、
有機エレクトロルミネッセンス素子は、薄型、全固体
型、面状自発光、高速応答といった特徴を有し、ディス
プレイパネルへの応用が期待されることから、近年、各
方面で盛んに研究が行われている。
【0003】この有機エレクトロルミネッセンス素子の
2つの電極間に電圧を印加すると、有機物層の発光層に
は一方の電極から電子が注入されるとともに他方の電極
からホ−ルが注入され、これらの電子とホ−ルとの再結
合により、発光層から面状発光が得られる。
【0004】画素発光部に用いる有機エレクトロルミネ
ッセンス素子の基板上に形成する第1電極としては、液
晶表示パネルでも用いられるITO(酸化インジウム
錫)が、パターンニングの容易性や透明性や伝導度の点
から広く用いられており、公知のフォトリソグラフィ法
を適用することが可能である。
【0005】一方、第1電極上に形成する少なくとも発
光層を含む有機物層は、R(赤)、G(緑)、B(青)
型フルカラー表示パネルを作製する場合には、塗り分け
る必要がある。
【0006】そして、耐性の低い有機物層には、公知の
フォトリソグラフィ法を適用することができず、一般的
には、シャドウマスクを用いた抵抗加熱蒸着法や、イン
クジェット法、印刷法、スピンコート法などが用いられ
ている。しかし、これらの方法は、いずれもファインパ
ターンを形成することが難しく、高精細の表示パネルを
作製する場合の大きなネックとなっている。
【0007】そこで、有機エレクトロルミネッセンス素
子の新たな成膜方法として、エネルギー源(熱源)を用
いた転写法が注目されている。すなわち、熱転写を用い
た方法が、特開平9−167484号、特開平10−2
08881号、特開平11−237504号、特開平1
1−260549号、特開2000−12216号、特
開2000−77182号、特開2001−13014
号、特開2001−195012号の各公報に開示され
ている。
【0008】これらの公報に記載された熱転写法は、P
ET(ポリエチレンテレフタレート)フィルムなどから
構成されるドナー基板上に、蒸着法やスピンコート法や
印刷法などで転写すべき薄膜層を形成し、この薄膜層を
成膜すべき基板に取り付けた後に、ドナー基板側からレ
ーザー光や熱などのエネルギーを加え、次いで、薄膜層
の一部もしくは全部を残してドナー基板を剥離すること
により、ドナー基板側に形成されている薄膜層を基板側
に転写するというものである。
【0009】この熱転写法の利点は、ドナー基板上に形
成された積層状薄膜がそのまま逆構成で基板上に形成さ
れるので、一括して基板上に成膜できることである。ま
た、ドナー基板上に薄膜層を形成するときには特にパタ
ーンニングの必要がなく、ドナー基板の全面に薄膜層を
形成すればよいことである。
【0010】そして、転写時に熱源の照射された部分だ
けがドナー基板から基板に転写されることになり、蒸着
法のようなシャドウマスクを用いることなく高精細なパ
ターンを形成することができる。したがって、熱転写法
は、有機エレクトロルミネッセンス素子を画素発光部に
用いる表示パネルを作製する上で有効な方法である。
【0011】有機エレクトロルミネッセンス素子を転写
法で作製する場合には、PETフィルムなどからなるド
ナー基板上に少なくとも発光層を含む有機物層を形成し
たものを、第1電極が形成された基板上に熱源を用いて
転写し、その転写後に有機物層上に第2電極を形成すれ
ばよい。
【0012】熱転写法に用いる熱源としては、局所的に
高エネルギーを供給できる点から、レーザーが好適に用
いられる。また、レーザービームの径を50μmにまで
絞り込んでスキャンすると、そのまま50μmのライン
パターンを形成することができ、高精細化が可能とな
る。レーザービームの径は、用いるレーザーの波長にも
依存するが、10μm程度に絞り込むことも可能であ
る。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】熱転写法の熱源に用い
るレーザーは、常時一定の出力を発振しているのではな
く、出力が時間の経過とともに変動する。このときのレ
ーザーの出力分布はガウシアン分布(正規分布)であ
る。
【0014】このような理由で、レーザーを走査したと
きに出力が変動すると、熱転写されるラインパターンの
幅に変動が生じることになる。例えば、幅50μmの転
写薄膜を形成した場合、レーザーの出力変動に起因し
て、転写幅が最小45μmから最大55μm程度にな
り、±5μm程度の変動が見られる。
【0015】このため、有機エレクトロルミネッセンス
素子の画素発光部の画素幅が50μmであるときに50
μm幅の転写薄膜を形成すると、転写幅が50μm未満
になる領域が発生するおそれがある。そして、このと
き、第1電極上で有機物層が形成されない領域が生じ、
これがリーク電流やショートの発生する原因となる。
【0016】また、レーザーが通る位置と基板上の第1
電極ラインパターンとの位置合わせ精度についても、±
3μm程度の誤差が存在し、レーザーが画素発光部の中
央を縦貫するように位置合わせしても、左右どちらかに
3μm振れると、有機物層の形成されない領域が生じ、
リーク電流やショートの発生するおそれが大きくなる。
【0017】したがって、画素幅が50μmの第1電極
の上に確実に転写膜を形成するには、転写膜の設定値を
画素発光部の画素幅よりも大きくする必要がある。
【0018】しかし、表示パネルの高精細化が進み、例
えば、有機エレクトロルミネッセンス素子における画素
発光部の画素幅が50μm、ピッチが60μmになる場
合、転写膜の設定値を大きくして画素発光部の第1電極
がむき出しにならないようにした場合は、転写膜が隣り
の画素発光部にかぶさってしまうことがある。
【0019】この問題を解決する方法として、レーザー
源を1本から複数本に増やして、出力を平均化すること
により、出力変動の幅を小さくすることが考えられる。
【0020】すなわち、ライン幅50μmの転写薄膜を
形成した場合に、転写幅が例えば最小49μmから最大
51μmまでの程度にできるという手法である。この程
度の変動であれば、位置合わせ精度がずれても、隣りの
画素にまで転写膜が形成されることは防がれる。
【0021】しかしながら、高価なレーザー源を複数本
使用すると、複数本のレーザーを集光するための光学設
計が必要となることから、生産コストの増大につなが
る。
【0022】この発明は、このような実情に鑑みてなさ
れたものであり、その目的は、画素発光部からの発光が
良好であるとともに、熱転写に用いるレーザー源を1本
で済ますことができ、生産コストの低下に寄与すること
のできる有機エレクトロルミネッセンス表示パネルの製
造方法およびこの方法により製造された有機エレクトロ
ルミネッセンス表示パネルを提供することにある。
【0023】
【課題を解決するための手段】この発明の1つの観点に
よれば、素子構成が基板/第1電極/少なくとも発光層
を含む複数層からなる有機物層/第2電極である有機エ
レクトロルミネッセンス素子を画素発光部に用いたR
(赤)、G(緑)、B(青)フルカラー型有機エレクト
ロルミネッセンス表示パネルを得ることからなる有機エ
レクトロルミネッセンス表示パネルの製造方法であっ
て、複数層からなる有機物層を熱転写により第1電極上
に形成するステップとして、基板上の第1電極の上に、
R、G、Bのうちのいずれか1つの発光色である第1発
光色の画素発光部となる領域を熱転写により形成し、続
いて、第1発光色以外の発光色の画素発光部となる領域
にはみ出した第1発光色の薄膜を除去して、第1発光色
の画素発光部となる領域に第2電極を形成するステッ
プ、R、G、Bのうちの第1発光色以外の発光色のいず
れか1つの発光色である第2発光色の画素発光部となる
領域を熱転写により形成し、続いて、第2発光色以外の
発光色の画素発光部となる領域にはみ出した第2発光色
の薄膜を除去して、第2発光色の画素発光部となる領域
に第2電極を形成するステップ、および、R、G、Bの
うちの第1発光色および第2発光色以外の発光色である
第3発光色の画素発光部となる領域を熱転写により形成
し、続いて、第3発光色の画素発光部となる領域に第2
電極を形成するステップを備えてなり、これら3つのス
テップにより、R、G、Bの塗り分けを実施することを
特徴とする、有機エレクトロルミネッセンス表示パネル
の製造方法が提供される。
【0024】ここで、有機エレクトロルミネッセンス素
子は、その素子構成が、基板と、この基板の上に形成さ
れた第1電極と、この第1電極の上に形成された有機物
層と、この有機物層の上に形成された第2電極とからな
る。また、その有機物層は少なくとも発光層を含む複数
層からなるものである。
【0025】このような有機エレクトロルミネッセンス
素子を有機エレクトロルミネッセンス表示パネルの画素
発光部に用いる。そして、複数層からなる有機物層の全
体を熱転写により第1電極上に形成する。
【0026】熱転写に用いるドナー基板は、フレキシブ
ルな材料からなるのが好ましく、PET(ポリエチレン
テレフタレート)やPC(ポリカーボネート)などの高
分子材料が好ましく用いられる。ドナー基板の厚さは1
0〜600μm程度であるのが好ましい。
【0027】熱転写の熱源としてレーザーを用いる場合
には、転写の効率を高めるために、光―熱変換層や熱伝
播層を適宜挿入することができる。
【0028】転写法のエネルギー源としては、ドナー基
板側に構成された透明な第2電極を、また、場合によっ
てはこのような第2電極と有機物層とを、基板側に転写
できるものであれば、その種類は特に限定されないが、
高精細なパターンを得るために局所的に強いエネルギー
を与えることのできるものであるが好ましく、レーザー
光、特にYAGレーザー光を好ましく用いることができ
る。
【0029】このとき用いるレーザー光を連続発振のも
のにすることにより、完全なラインパターン状を得るこ
とができる。
【0030】ドナー基板に形成された層は、熱転写によ
り基板に転写される。また、有機物層は多くの場合、単
層ではなく、発光層、ホール輸送層、ホール注入層、電
子輸送層、電子注入層などからなる積層体になってい
る。したがって、基板とドナー基板に形成する薄膜構成
としては、積層状構成にする場合、ドナー基板には逆構
成で積層すればよい。
【0031】すなわち、基板/第1電極と、少なくとも
発光層を含む有機物層/ドナー基板とを貼り合わせて、
熱転写し、ドナー基板を引き剥がすと、基板/第1電極
/少なくとも発光層を含む有機物層という構成を得るこ
とができる。そして、この有機物層の上に第2電極を形
成すると、基板/第1電極/少なくとも発光層を含む有
機物層/第2電極という有機エレクトロルミネッセンス
素子を作製することができる。
【0032】ほとんどの場合に、有機物層は発光層以外
の電荷輸送層や電荷注入層を含む積層状構成であるの
で、その有機物層の積層状構成とは逆構成で各層を形成
する。有機エレクトロルミネッセンス素子を画素発光部
に用いるフルカラーのディスプレイパネルを作製する場
合には、発光層をR(赤)、G(緑)、B(青)に塗り
分ける必要があり、3枚のドナー基板を、それぞれR
用、G用、B用として形成する。
【0033】有機物層の形成方法としては公知の方法に
よることが可能であり、真空蒸着法、電子ビーム法、M
BE法などのドライプロセスや、スピンコート法、ドク
ターブレード法、インクジェット法、印刷法(凸版法、
凹版法、スクリーン法)、スプレー法、マイクログラビ
アコート法などのウエットプロセスを用いて、ドナー基
板上に有機物層を形成することになる。
【0034】発光材料としては、有機エレクトロルミネ
ッセンス素子の公知材料を使用することが可能である。
【0035】低分子材料としては、例えば、4,4‘−
ビス(2,2‘ジフェニルビニル)−ビフェニル(DP
VBi)などの芳香族ジメチリディエン化合物、5−メ
チル−2−(2−(4−(5−メチル−2−ベンゾオキ
サジリル)フェニル)ビニル)ベンゾオキサゾールなど
のオキサジアゾール化合物、3−(4−ビフェニリル)
−4−フェニル−5−t−ブチルフェニル−1,2,4
−トリアゾール(TZA)などのトリアゾール化合物、
1,4−ビス(2−メチルスチリル)ベンゼンなどのス
チリルベンゼン化合物、チオビラジンジオキシド誘導
体、ベンゾキノン誘導体、ナフトキノン誘導体、アント
ラキノン誘導体などの蛍光性有機材料、アゾメチン亜鉛
錯体、(8−ヒドロキシキノリナート)アルミニウム錯
体(Alq3)などの蛍光性有機金属化合物などが挙げ
られる。
【0036】高分子材料としては、例えば、ポリ(2−
デシルオキシ−1,4−フェニレン)(DO−PP
P)、ポリ(2,5−ビス−(2−(N,N,N−トリ
エチルアンモニウム)エトキシ)−1,4−フェニル−
オルト−1,4−フェニルレン)ジブロマイド(PPP
−NEt3+)、ポリ(2−(2‘−エチルヘキシルオ
キシ)−5−メトキシ−1,4−フェニレビニレン)
((MEH−PPV)などが挙げられる。
【0037】発光効率の向上や色度改善のために、発光
層にドーピングすることも可能である。ドーパントとし
ては、キナクリドン、ルブレン、4−ジシアノメチレン
−2−メチル−6−(p−ジメチルアミノスリチル)−
4H−ピラン(DCM)、クマリン誘導体などを適宜用
いることができる。
【0038】ホール注入材料、ホール輸送材料、電子注
入材料および電子輸送材料についても、公知の材料を用
いることが可能である。
【0039】ホール注入材料やホール輸送材料として
は、例えば、ポルフィリン化合物、N‘N−ビス−(3
−メチルフェニル)−N,N’−ビス−(フェニル)−
ベンジジン(TPD)、N、N‘−ジ(ナフタレン−1
−イル)−N,N’−ジフェニル−ベンジジン(NP
D)などの芳香族第3級アミン化合物、ヒドラゾン化合
物、キナクリドン化合物、スチルアミン化合物などの低
分子材料、ポリアニリン、3,4−ポリエチレンジオキ
シチオフェン/ポリスチレンサルフォネート(PEDT
/PSS)、ポリ(トリフェニルアミン誘導体)、ポリ
ビニルカルバゾール(PVCz)などの高分子材料が挙
げられる。
【0040】電子注入材料や電子輸送材料としては、例
えば、オキサジアゾール誘導体、トリアゾール誘導体、
ベンゾキノン誘導体、ナフトキノン誘導体、フルオレノ
ン誘導体などの低分子材料、ポリ(オキサジアゾール)
などの高分子材料が挙げられる。
【0041】また、これらの有機物層の膜厚としては、
一般的な有機エレクトロルミネッセンス素子で採用され
ている程度の膜厚とすることができ、例えば、約10n
mから1μmまでの程度にすることができる。
【0042】基板としては、ガラス基板やPETなどの
プラスチック基板を用いることができる。
【0043】基板上に形成する第1電極については、I
TO(酸化インジウム錫)、IDIXO(In23−Z
nO系材料)、金、白金が好適に用いられる。第1電極
の成膜方法としては、公知の手法が適用可能であり、蒸
着法、スパッタ法、電子ビーム法、メッキ法などが挙げ
られる。また、パターンニングの方法に関しても、特に
限定されるものではなく、公知のシャドウマスク法、フ
ォトリソグラフィ法などを適用することが可能である。
第1電極の膜厚は、用いる金属材料にもよるが、通常5
0nm〜1μm程度である。
【0044】少なくとも発光層を含む有機物層上に形成
する第2電極としては、公知の電極材料を用いることが
可能である。
【0045】すなわち、第1電極を陰極とする場合に
は、有機物層への電子注入を容易にするために、仕事関
数の小さい金属を含有するもの(カルシウム、セシウ
ム、セレン、ルビジウム、バリウム、アルミニウム:フ
ッ化リチウム、アルミニウム、マグネシウム、マグネシ
ウム:銀合金、アルミニウム:リチウム合金)などを用
いることができる。
【0046】また、第1電極を陽極とする場合には、有
機物層へのホール注入を容易にするために、仕事関数の
大きい金属(金、白金、ニッケル、銅など)や透明電極
(ITO、IDIXO、SnO2など)を用いることが
できる。
【0047】この発明の1つの観点に係る有機エレクト
ロルミネッセンス表示パネルの製造方法は、次のような
点を特徴とするものである。
【0048】すなわち、基板上の第1電極の上に、R、
G、Bのうちのいずれか1つの発光色である第1発光色
の画素発光部となる領域を熱転写により形成し、続い
て、第1発光色以外の発光色の画素発光部となる領域に
はみ出した第1発光色の薄膜を除去して、第1発光色の
画素発光部となる領域に第2電極を形成するステップ、
R、G、Bのうちの第1発光色以外の発光色のいずれか
1つの発光色である第2発光色の画素発光部となる領域
を熱転写により形成し、続いて、第2発光色以外の発光
色の画素発光部となる領域にはみ出した第2発光色の薄
膜を除去して、第2発光色の画素発光部となる領域に第
2電極を形成するステップ、および、R、G、Bのうち
の第1発光色および第2発光色以外の発光色である第3
発光色の画素発光部となる領域を熱転写により形成し、
続いて、第3発光色の画素発光部となる領域に第2電極
を形成するステップを備えてなり、これら3つのステッ
プにより、R、G、Bの塗り分けを実施することを特徴
とする。
【0049】このような有機エレクトロルミネッセンス
表示パネルの製造方法によれば、画素発光部からの発光
が良好であるとともに、熱転写に用いるレーザー源を1
本で済ませることができ、生産コストの低下に寄与する
ことができる。また、R(赤)、G(緑)、B(青)型
フルカラー表示パネルを作製する場合に塗り分ける必要
のある、少なくとも発光層を含む有機物層を、効率よ
く、かつ好適な発光が行なわれるように形成することが
できる。
【0050】この発明に係る有機エレクトロルミネッセ
ンス表示パネルの製造方法は、レーザーのビーム径の設
定値として、基板上に形成される第1電極のライン幅よ
りも5μm以上大きいものを用いるのがいっそう好まし
い。
【0051】このような設定値に設定されたビーム径を
有するレーザーを用いると、幅が50μm程度の転写薄
膜を形成した場合に熱転写されるラインパターンの幅に
±5μm程度の変動が生じても、転写幅が50μm程度
未満になるおそれを防止することができる。
【0052】この発明に係る有機エレクトロルミネッセ
ンス表示パネルの製造方法は、複数層からなる有機物層
の全体を熱転写で形成するためのレーザーと、除去する
ためのレーザーとが、同一のものであるのがいっそう好
ましい。
【0053】このようにレーザーを共通化した場合に
は、より低コストで有機エレクトロルミネッセンス表示
パネルを製造することができる。
【0054】この発明の別の観点によれば、この発明の
1つの観点に係る有機エレクトロルミネッセンス表示パ
ネルの製造方法により得られた有機エレクトロルミネッ
センス表示パネルが提供される。
【0055】このような有機エレクトロルミネッセンス
表示パネルによれば、画素発光部からの発光が良好であ
るとともに、熱転写に用いるレーザー源を1本で済ませ
ていることから、コストの低い表示パネルを得ることが
できる。
【0056】
【発明の実施の形態】以下、この発明の実施の形態に係
る有機エレクトロルミネッセンス表示パネルの製造方法
を図面に基づいて詳しく説明する。なお、これによって
この発明が限定されるものではない。
【0057】
【実施例】(その1) ドナー基板を作製する。
【0058】ドナー基板として、厚さ150μmのPE
Tフィルムを用いた。転写の熱源としてYAGレーザー
を用いるので、転写効率を高めるために、PETフィル
ム上に光−熱変換層としてのカーボンブラックを厚さ4
μmに形成した。
【0059】(その2) ドナー基板上に少なくとも発
光層を含む有機物層を形成する。ここで、以下に説明す
る(その2−1)、(その2−2)、(その2−3)の
順序は問わない。
【0060】(その2−1) ドナー基板上に少なくと
もR(赤)発光層を含む有機物層を形成する。
【0061】ドナー基板上に少なくとも発光層を含む有
機物層を形成した。すなわち、ドナー基板を抵抗加熱蒸
着装置にセットし、ホール注入層としての銅フタロシア
ニンを膜厚200Åに、ホール輸送層としてのNPDを
膜厚400Åに、続いてR(赤)発光層としてのAlq
3をドーパントの1%DCM2とともに膜厚500Åに
抵抗加熱蒸着法でそれぞれ形成した。これを第1発光色
からなる層〔1〕とする。
【0062】なお、有機物層の形成時にシャドウマスク
は不要であり、ドナー基板の全面にベタで有機物層を形
成することが可能である。
【0063】(その2−2) ドナー基板上に少なくと
もG(緑)発光層を含む有機物層を形成する。
【0064】ドナー基板上に少なくとも発光層を含む有
機物層を形成した。すなわち、ドナー基板を抵抗加熱蒸
着装置にセットし、ホール注入層としての銅フタロシア
ニンを膜厚200Åに、ホール輸送層としてのNPDを
膜厚400Åに、続いてG(緑)発光層としてのAlq
3をドーパントの1%キナクリドンとともに膜厚500
Åに蒸着法でそれぞれ形成した。これを第2発光色から
なる層〔2〕とする。
【0065】なお、有機物層の形成時にシャドウマスク
は不要であり、ドナー基板の全面にベタで有機物層を形
成することが可能である。
【0066】(その2−3) ドナー基板上に少なくと
もB(青)発光層を含む有機物層を形成する。
【0067】ドナー基板上に少なくとも発光層を含む有
機物層を形成した。すなわち、ドナー基板を抵抗加熱蒸
着装置にセットし、ホール注入層としての銅フタロシア
ニンを膜厚200Åに、ホール輸送層としてのNPDを
膜厚400Åに、続いてB(青)発光層としてのBAl
qを膜厚500Åに蒸着法でそれぞれ形成した。これを
第3発光色からなる層〔3〕とする。
【0068】なお、有機物層の形成時にシャドウマスク
は不要であり、ドナー基板の全面にベタで有機物層を形
成することが可能である。
【0069】(その3) 基板上に第1電極を形成する
(図1参照)。
【0070】基板(101)としては、一般的な板厚
0.7mmのホウケイ酸ガラスを用いた。IPA(イソ
プロパノール)で超音波洗浄と蒸気洗浄とを行ない、第
1電極としてのITO(102)を公知のスパッタ法で
膜厚1500Åに形成した。
【0071】続いて、公知のフォトリソグラフィ法で、
幅60μm、ピッチ70μmのストライプラインパター
ンを形成した。併せて、基板(101)の周辺部に、位
置合わせ用のアライメントマーク(103)を形成し
た。
【0072】なお、配線抵抗をより小さくする必要があ
れば、補助電極を適宜形成することができる。
【0073】(その4) 第1電極上に、絶縁膜を用い
て画素開口部を形成する(図2参照)。
【0074】絶縁膜(204)として感光性アクリル系
の樹脂を用いて、第1電極のストライプラインパターン
上に、幅方向へ50μm、ライン方向へ100μmで、
ピッチ110μmの画素開口部(205)を形成した。
【0075】(その5) 少なくともR(赤)発光層を
含む有機物層〔1〕を形成したドナー基板と基板とを貼
り合わせて熱転写し、ドナー基板を剥離する(図3参
照)。
【0076】少なくとも発光層を含む有機物層を形成し
たドナー基板と、第1電極まで形成した基板とを、有機
物層と第1電極が接するよう基板を上に、ドナー基板を
下にして貼り合わせた。ここでは、発光層にR(赤)を
形成した基板〔1〕を用いた。
【0077】貼り合わせ部に気泡が残らないように、ロ
ーラーなどで圧着して脱気した。真空ラミネート法を用
いても気泡除去を有効に行なうことができる。
【0078】そして、YAGレーザーを用いて、ドナー
基板側から、基板上に形成した第1電極のストライプラ
インパターンと直交する向きにレーザーを走査し、R
(赤)発光層を含む有機物層を第1電極上に転写した。
レーザーは、ビーム径が115μmになるように設定し
た。また、狙った画素発光部上に良好に形成されるよう
に、基板上の位置合わせマークを用いた。
【0079】転写後にドナー基板を剥離することによ
り、第1電極が形成された基板の上に、R(赤)発光層
〔1〕を含む有機物層が転写された(306)。このと
き、両隣りの、G(緑)発光層〔2〕となる領域および
B(青)発光層〔3〕となる領域には、余分な転写膜
(307)が形成されている。
【0080】(その6) 隣りの画素発光部、すなわち
G(緑)、B(青)に転写されたR(赤)発光層〔1〕
を含む有機物層を除去する(図4参照)。
【0081】レーザーのビーム径を50μmに絞った。
次に、R(赤)発光層〔1〕を含む有機物層が形成され
た両隣り、すなわちG(緑)発光層〔2〕、B(青)発
光層〔3〕となる領域にレーザーを照射した。位置合わ
せには、基板上に形成したアライメントマークを用い
た。レーザーを照射することにより、はみ出したR
(赤)発光層〔1〕を含む有機物層が除去され、リフレ
ッシュされた画素部(408)となった。
【0082】(その7) R(赤)発光層〔1〕を含む
有機物層が形成された領域に、第2電極を形成する(図
5参照)。
【0083】本実施例では、陰極にアルミニウム:リチ
ウム合金を用いた。公知方法である抵抗加熱蒸着法を用
いて、シャドウマスクにより、R(赤)発光層〔1〕を
含む有機物層が形成された領域に、第2電極のアルミニ
ウム:リチウム合金(509)を膜厚1500Åになる
ように形成した。
【0084】(その8) 少なくともG(緑)発光層を
含む有機物層〔2〕を形成したドナー基板と基板とを貼
り合わせて熱転写し、ドナー基板を剥離する(図6参
照)。
【0085】ステップ(その5)と同様にして、少なく
ともG(緑)発光層を含む有機物層〔2〕を形成した。
【0086】転写後にドナー基板を剥離することによ
り、第1電極が形成された基板上に、G(緑)発光層を
含む有機物層〔1〕が転写された(610)。このと
き、両隣りのR(赤)発光層〔1〕、B(青)発光層
〔3〕となる領域には、余分な転写膜(611)が形成
されている。
【0087】(その9) 隣りの画素発光部即ちB
(青)に転写されたG(緑)発光層〔2〕を含む有機物
層を除去する(図7参照)。
【0088】ステップ(その6)と同様にして、ただ
し、R(赤)発光層〔1〕が形成された領域にはすでに
第2電極が存在するので、有機エレクトロルミネッセン
ス素子の画素として、問題はない。したがって、G
(緑)発光層〔2〕を含む有機物層を除去するのは、B
(青)発光層〔3〕を含む有機物層となるべき領域だけ
である。リフレッシュされた画素(712)が形成され
た。
【0089】(その10) G(緑)発光層〔2〕を含
む有機物層が形成された領域に、第2電極を形成する
(図8参照)。
【0090】ステップ(その7)と同様にして、第2電
極のアルミニウム:リチウム合金(813)を膜厚15
00Åになるように形成した。
【0091】(その11) 少なくともB(青)発光層
を含む有機物層〔3〕を形成したドナー基板と基板とを
貼り合わせて熱転写し、ドナー基板を剥離する(図9参
照)。
【0092】ステップ(その5)と同様にして、少なく
ともB(青)発光層を含む有機物層〔2〕を形成した
(914)。転写後にドナー基板を剥離することによ
り、第1電極が形成された基板上に、B(青)発光層を
含む有機物層〔2〕が転写された。
【0093】(その12) B(青)発光層3を含む有
機物層が形成された領域に、第2電極を形成する(図1
0参照)。
【0094】ステップ(その7)と同様にして、第2電
極としてのアルミニウム:リチウム合金(1015)を
膜厚1500Åになるように形成した。
【0095】封止処理の方法としては、中空ガラスを用
いたりフィルムを用いたりする公知の方法を適用するこ
とができる。
【0096】以上の実施例を通して作製した、画素発光
部に有機エレクトロルミネッセンス素子を用いる表示パ
ネルは、R、G、Bの各発光色の画素発光部がいずれも
良好に発光し、フルカラー表示パネルとして充分に用い
ることができるものであった。また、有機物層を熱転写
するために用いるレーザーは1本であり、生産コストの
低下に寄与できるものであった。
【0097】
【発明の効果】この発明の1つの観点に係る有機エレク
トロルミネッセンス表示パネルの製造方法によれば、第
1電極の上に、前記第1発光色の画素発光部となる領域
を熱転写により形成し、続いて、第1発光色以外の発光
色の画素発光部となる領域にはみ出した第1発光色の薄
膜を除去して、第1発光色の画素発光部となる領域に第
2電極を形成するステップ、前記第2発光色の画素発光
部となる領域を熱転写により形成し、続いて、第2発光
色以外の発光色の画素発光部となる領域にはみ出した第
2発光色の薄膜を除去して、第2発光色の画素発光部と
なる領域に第2電極を形成するステップ、および、前記
第3発光色の画素発光部となる領域を熱転写により形成
し、続いて、第3発光色の画素発光部となる領域に第2
電極を形成するステップを備えてなり、これら3つのス
テップにより、R、G、Bの塗り分けを実施することを
特徴とするので、画素発光部からの発光が良好であると
ともに、熱転写に用いるレーザー源を1本で済ませるこ
とができ、生産コストの低下に寄与することができる。
また、R(赤)、G(緑)、B(青)型フルカラー表示
パネルを作製する場合に塗り分ける必要のある、少なく
とも発光層を含む有機物層を、効率よく、かつ好適な発
光が行なわれるように形成することができる。
【0098】この発明の別の観点に係る有機エレクトロ
ルミネッセンス表示パネルによれば、この発明の1つの
観点に係る有機エレクトロルミネッセンス表示パネルの
製造方法により得られるので、画素発光部からの発光が
良好であるとともに、熱転写に用いるレーザー源を1本
で済ませていることから、コストの低い表示パネルを得
ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、この発明に係る有機エレクトロルミネ
ッセンス表示パネルの製造方法に関する実施例のステッ
プ(その3)を示す図である。
【図2】図2は、その実施例のステップ(その4)を示
す図である。
【図3】図3は、その実施例のステップ(その5)を示
す図である。
【図4】図4は、その実施例のステップ(その6)を示
す図である。
【図5】図5は、その実施例のステップ(その7)を示
す図である。
【図6】図6は、その実施例のステップ(その8)を示
す図である。
【図7】図7は、その実施例のステップ(その9)を示
す図である。
【図8】図8は、その実施例のステップ(その10)を
示す図である。
【図9】図9は、その実施例のステップ(その11)を
示す図である。
【図10】図10は、その実施例のステップ(その1
2)を示す図である。
【符号の説明】
101 基板 102 ITO 103 アライメントマーク 204 絶縁膜 205 絶縁膜開口部(画素発光部) 306 R(赤)発光層を含む有機物層 307 余分な転写膜 408 リフレッシュされた画素発光部 509 第2電極(アルミニウム:リチウム合金) 610 G(緑)発光層を含む有機物層 611 余分な転写膜 712 リフレッシュされた画素発光部 813 第2電極(アルミニウム:リチウム合金) 914 B(青)発光層を含む有機物層 1015 第2電極(アルミニウム:リチウム合金)

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 素子構成が基板/第1電極/少なくとも
    発光層を含む複数層からなる有機物層/第2電極である
    有機エレクトロルミネッセンス素子を画素発光部に用い
    たR(赤)、G(緑)、B(青)フルカラー型有機エレ
    クトロルミネッセンス表示パネルを得ることからなる有
    機エレクトロルミネッセンス表示パネルの製造方法であ
    って、 複数層からなる有機物層を熱転写により第1電極上に形
    成するステップとして、 基板上の第1電極の上に、R、G、Bのうちのいずれか
    1つの発光色である第1発光色の画素発光部となる領域
    を熱転写により形成し、続いて、第1発光色以外の発光
    色の画素発光部となる領域にはみ出した第1発光色の薄
    膜を除去して、第1発光色の画素発光部となる領域に第
    2電極を形成するステップ、 R、G、Bのうちの第1発光色以外の発光色のいずれか
    1つの発光色である第2発光色の画素発光部となる領域
    を熱転写により形成し、続いて、第2発光色以外の発光
    色の画素発光部となる領域にはみ出した第2発光色の薄
    膜を除去して、第2発光色の画素発光部となる領域に第
    2電極を形成するステップ、および、 R、G、Bのうちの第1発光色および第2発光色以外の
    発光色である第3発光色の画素発光部となる領域を熱転
    写により形成し、続いて、第3発光色の画素発光部とな
    る領域に第2電極を形成するステップを備えてなり、こ
    れら3つのステップにより、R、G、Bの塗り分けを実
    施することを特徴とする、有機エレクトロルミネッセン
    ス表示パネルの製造方法。
  2. 【請求項2】 熱転写に用いる熱源が、レーザーである
    ことを特徴とする、請求項1に記載の有機エレクトロル
    ミネッセンス表示パネルの製造方法。
  3. 【請求項3】 レーザーが、YAGレーザーであること
    を特徴とする、請求項2に記載の有機エレクトロルミネ
    ッセンス表示パネルの製造方法。
  4. 【請求項4】 レーザーのビーム径の設定値として、基
    板上に形成される第1電極のライン幅よりも5μm以上
    大きいものを用いることを特徴とする、請求項2に記載
    の有機エレクトロルミネッセンス表示パネルの製造方
    法。
  5. 【請求項5】 複数層からなる有機物層の全体を熱転写
    で形成するためのレーザーと、除去するためのレーザー
    とが、同一のものであることを特徴とする、請求項2に
    記載の有機エレクトロルミネッセンス表示パネルの製造
    方法。
  6. 【請求項6】 請求項1〜5のいずれか1つに記載の有
    機エレクトロルミネッセンス表示パネルの製造方法によ
    り得られた有機エレクトロルミネッセンス表示パネル。
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Cited By (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
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