JP2002358633A - 磁気記録媒体の製造方法及び製造装置 - Google Patents

磁気記録媒体の製造方法及び製造装置

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JP2002358633A
JP2002358633A JP2001161118A JP2001161118A JP2002358633A JP 2002358633 A JP2002358633 A JP 2002358633A JP 2001161118 A JP2001161118 A JP 2001161118A JP 2001161118 A JP2001161118 A JP 2001161118A JP 2002358633 A JP2002358633 A JP 2002358633A
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polymer film
film
cooling roll
recording medium
manufacturing
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JP2001161118A
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Makoto Shimanuki
誠 島貫
Keisuke Tanabe
慶祐 田辺
Toshiaki Suzuki
俊明 鈴木
Fumio Sasaki
文生 佐々木
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Sony Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 真空蒸着による磁気記録媒体の製造に関する
ものであって、電子銃特有の異常放電によって電源OF
Fがあっても、高分子フィルムが冷却ロールから浮き上
がらないようにし、溶融した金属磁性材料からの輻射熱
による熱的ダメージを受けないようにすること。 【解決手段】 高分子フィルムの走行状態において、高
分子フィルムに帯電させる工程と、高分子フィルム表面
に磁性層を成膜する工程と、高分子フィルムと冷却ロー
ルとの離れ際で高分子フィルムの裏面に不活性ガスを吹
き付ける工程とからなる磁気記録媒体の製造方法であっ
て、走行する高分子フィルムに対して帯電させることに
より、高分子フィルムが冷却ロールに強く密着した状態
で走行し、成膜工程における電子銃特有の異常放電によ
る電源OFFが発生して、二次電子の供給が停止して
も、冷却ロールから高分子フィルムが浮き上がることが
なくなり、それによって、溶融した金属磁性材料からの
輻射熱による熱的ダメージを受けなくなり、高分子フィ
ルムの穴あけまたは溶断が解消される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、例えば、磁気テー
プ等であって、高分子フィルム上にコバルト酸化物等の
磁性物質を磁性層として成膜する磁気記録媒体の製造方
法及び製造装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】この種の磁気記録媒体の中で、高密度記
録に対応したコバルト(Co)酸化物を成膜する方法と
して真空蒸着成膜法が従来技術として知られている。こ
の真空蒸着成膜法を実施する装置として、例えば、一例
として図4に略示的に示した構成のものが公知になって
いる。この真空蒸着成膜による磁気記録媒体の製造方法
について説明すると、図4において、成膜処理されるべ
き高分子フィルム1を走行させるために、供給ロール2
と巻取りロール3と、金属製のガイドロール4、5及び
冷却ロール6を備えており、高分子フィルム1は、供給
ロール2から冷却ロール6の外周面に沿って矢印A方向
に走行し、巻取りロール3に巻き取られるものである。
【0003】また、高分子フィルム1は、その走行途中
において成膜されるものであり、その成膜のために、コ
バルト(Co)等の磁気材料7を収容したルツボ8と、
電子線9を放射する電子銃10と、入射角規制板11と
が設けられている。
【0004】このような構成の装置において、装置の内
部をほぼ真空状態にし、ルツボ8に収容されている磁気
材料7に対して電子銃10から電子線9を放射すること
により、磁気材料7が加熱されて蒸発する。この加熱蒸
発した金属蒸気12が冷却ロール6の外周面に沿って走
行している高分子フィルム1上に付着し磁性層として形
成される。この場合に、電子銃10から正常に電子線が
放射されていれば、溶融した強磁性金属(磁気材料)の
表面で反射された二次電子9aの影響によって高分子フ
ィルム1は冷却ロール6に密着するようになり、ルツボ
8内で溶融した磁気材料7の溶融金属からの輻射熱によ
る熱的ダメージを受けないようになっている。因みに、
冷却ロール6は冷却媒体により−25〜−30℃に冷却
されており、溶融金属の温度は1500〜1800℃に
なっている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、この種
の装置において、電子銃特有の異常放電から電源を保護
するために電源をOFFにすることがある。このような
場合に、電子銃からの電子線の放射が遮断され二次電子
の供給が停止するため、図5に示したように、高分子フ
ィルム1が冷却ロール6から瞬時に浮き上がることがあ
り、その浮き上がり部分1aが溶融金属からの輻射熱に
より熱的ダメージを受けて高分子フィルム1が溶断また
は焼き切れてしまうという不都合が生ずる。
【0006】また、成膜処理中の高分子フィルム1が切
れると、成膜処理を停止し、装置内を真空状態から大気
状態に解放し、その後、付着物等で汚れた装置内の清掃
と、冷却ロール6の清掃後に成膜処理の段取りを進める
ことになり、余計な時間と労力とを費やすと共に装置の
稼働率を著しく低下させるという不都合が生ずる。特
に、電子銃の電源OFF現象は、電子銃の電子放射部材
交換直後に部材からの放出ガスの影響で多発する傾向が
あり、それによっても装置の稼働率を低下させる要因に
なっている。
【0007】従って、従来技術においては、電子銃の電
源OFFがあっても、高分子フィルムが冷却ロールから
浮き上がらないようにし、溶融した金属磁性材料からの
輻射熱による熱的ダメージを受けないようにすることに
解決課題を有している。
【0008】
【課題を解決するための手段】前記従来例の課題を解決
する具体的手段として本発明に係る第1の発明は、高分
子フィルムを円筒状の冷却ロール面に沿わせて走行さ
せ、そのフィルム上に磁気層を形成する磁気記録媒体の
製造方法であって、高分子フィルムの走行状態におい
て、高分子フィルムに帯電させる工程と、高分子フィル
ム表面に磁性層を成膜する工程と、高分子フィルムと冷
却ロールとの離れ際で高分子フィルムの裏面に不活性ガ
スを吹き付ける工程とからなることを特徴とする磁気記
録媒体の製造方法を提供するものである。
【0009】上記第1の発明においては、前記高分子フ
ィルムに帯電させる工程は、プラズマ放電処理する工程
及び/または電子線を照射する工程であること;前記各
工程は、区画された領域内で遂行され、各領域毎に排気
されて真空状態を維持すること;及び前記高分子フィル
ムに帯電した帯電圧は、帯電圧検出手段により検出して
モニターすること;を付加的な要件として含むものであ
る。
【0010】また、本発明に係る第2の発明は、高分子
フィルムを円筒状の冷却ロール面に沿わせて走行させ、
そのフィルム上に磁気層を形成する磁気記録媒体の製造
装置であって、前記高分子フィルムの走行方向に対し冷
却ロールの周面に沿って仕切壁により第1の領域と、第
2の領域と、第3の領域とに区画し、第1の領域に供給
ロールと、巻取りロールと、成膜後の高分子フィルムの
裏面に不活性ガスを吹き付けるノズルとが配設され、第
2の領域にプラズマ処理装置と帯電用電子銃とが配設さ
れ、第3の領域に磁性材料を収容するルツボと、成膜用
電子銃と入射角規制板とが配設され、前記各領域毎とプ
ラズマ処理装置とに個別の排気系を設けたことを特徴と
する磁気記録媒体の製造装置を提供するものである。
【0011】この第2の発明においては、前記第1の領
域には、高分子フィルムに帯電した帯電圧を検出してモ
ニターするための帯電圧検出手段を設けたこと;及び前
記各領域とプラズマ処理装置とに、個別の排気系を設け
たこと;を付加的な要件として含むものである。
【0012】本発明に係る第1の製造方法の発明は、特
に、走行する高分子フィルムに対して帯電させる工程を
採用したことにより、高分子フィルムが冷却ロールに強
く密着した状態で走行し、成膜工程における電子銃特有
の異常放電による電源OFFが発生して、二次電子の供
給が停止しても、冷却ロールから高分子フィルムが浮き
上がることがなくなり、それによって、溶融した金属磁
性材料からの輻射熱による熱的ダメージを受けなくな
り、高分子フィルムの溶断する現象が解消されるのであ
る。
【0013】また、本発明に係る第2の製造装置の発明
は、成膜処理される高分子フィルムの処理工程毎に領域
を区画したものであり、特に、第2の領域にプラズマ処
理装置と帯電用電子銃とを配設したことにより、高分子
フィルムに対して帯電させ冷却ロールに強く密着させて
走行させ、第3の領域で成膜処理工程を行ったときに生
ずるトラブルによる熱的ダメージを回避できるようにす
ると共に、第1の領域に不活性ガスの噴出ノズルを設け
て、成膜後における帯電圧を除電して高分子フィルムを
冷却ロールから容易に分離できるようにしたものであ
る。
【0014】
【発明の実施の形態】次に、本発明の好ましい実施の形
態について詳しく説明する。なお、理解を容易にするた
め従来例と同一部分には同一符号を付して説明する。ま
ず、図1に略示的に示した実施の形態に係る製造装置に
基づいて説明すると、成膜処理される高分子フィルム1
を成膜のために走行させる構成は、供給ロール2と巻取
りロール3と、金属製のガイドロール4、5及び冷却ロ
ール6とからなり、高分子フィルム1は、供給ロール2
側から冷却ロール6の外周面に沿って矢印A方向に走行
させられ、巻取りロール3に巻き取られるものである。
【0015】高分子フィルム1は、その走行途中におい
て成膜されるものであり、その成膜のために、コバルト
(Co)等の磁気材料7を収容したルツボ8と、電子線
9を放射する成膜用電子銃10と、入射角規制板11と
が設けられており、これらの各構成部分は前記従来例と
略同じである。
【0016】これらの構成部分は真空槽20内に収容さ
れており、該真空槽20は、冷却ロール6を略中心にし
てその周囲を三枚の仕切板21a、21b、21cによ
り概ね3つの領域に仕切られており、第1の領域22は
高分子フィルム1の供給と巻取り(回収)を行い、第2
の領域23は高分子フィルム1のクリーニングと帯電と
を行い、第3の領域24は高分子フィルム1の表面に成
膜処理を行うようにしたものである。そして、各領域に
はそれぞれ区分された領域内を排気するための排気系2
2a、23a、24aが設けられている。
【0017】前記第1の領域22には、供給ロール2と
巻取りロール3と、金属製のガイドロール4、5とが配
設され、供給ロール2側から未処理の高分子フィルム1
を冷却ロール6に供給し、成膜処理された高分子フィル
ム1を巻取りロール3で巻き取るものである。また、こ
の第1の領域22には、成膜処理された高分子フィルム
1を冷却ロール6の表面から分離させるためのガス噴出
ノズル25と、高分子フィルム1の帯電状況を測定する
ため、磁性層側と裏面側とに圧電素子からなるセンサー
を配設した帯電圧測定器26とが配設されている。
【0018】前記第2の領域23には、プラズマ処理装
置27と帯電のための帯電用電子銃28が配設される。
この場合に、プラズマ処理装置27は、前記第1の領域
22寄りに配設され、帯電用電子銃28は、ほぼ真上に
配設されるものである。
【0019】プラズマ処理装置27は、冷却ロール6の
周側面に沿って長手方向に近接してセットされる複数本
の平板電極29を備えており、該平板電極29は前後及
び上部がカバー部材30で覆われており、そのカバー部
材30で覆われた内部領域は個別の排気系30aにより
排気できる構成にすると共に、更に、前方側(高分子フ
ィルム1が走行する方向の前方側)に補助排気系30b
を設けてある。
【0020】使用される平板電極29は、耐食性金属も
しくはアルミニウムで形成され、その長さは処理される
高分子フィルム1の幅以上あって、走行する高分子フィ
ルム1を横切る状態で、且つ高分子フィルム1との間隔
を50mm以下にしてセットされるものである。このよ
うにプラズマ処理装置27を配設することで、第2の領
域23は、実質的に、プラズマ処理領域と帯電処理領域
とに区分された状態になっている。
【0021】帯電用電子銃28は、垂直方向に且つ冷却
ロール6の中心線を通る位置における真空槽20の上部
壁に設置され、電子線31の照射ポイントから冷却ロー
ル6の法線に線を引いたときにその角度が略40度にな
る位置に設置し、冷却ロールの長さ方向、即ち走行する
高分子フィルム1の幅方向に対して電子線31を走査で
きるように構成してある。
【0022】第3の領域24には、磁気材料7を収容し
たルツボ8と、電子線9を放射する成膜用電子銃10
と、入射角規制板11とが配設され、ルツボ8は冷却ロ
ール6の下端位置よりも下部レベルに配設し、成膜用電
子銃10はルツボ8に向けて斜め方向から電子線9を放
射するように真空槽20の側壁面に設置されている。
【0023】このように構成された製造装置によって磁
気記録媒体を製造する方法について説明すると、第1か
ら第3の各領域22、23、24及びプラズマ処理装置
27の内部をそれぞれの排気系22a、23a、24
a、30a、30bを介して真空状態に維持し、供給ロ
ール2から、ガイドロール3を介して冷却ロール6の外
周面に供給されている高分子フィルム1に対して、ま
ず、第1の工程でプラズマ処理装置27よるプラズマ処
理を行う。
【0024】このプラズマ処理は、平板電極29に所容
量の電圧を印加(投入パワー)すると共にプラズマ放電
用ガスを導入して行うものである。この場合の投入パワ
ーPとしては、例えば、1W/cm2<P<1.4W/
cm2の範囲が好ましい。プラズマ放電に作用されない
ガスは、補助排気系30bによって系外に排出し、帯電
用電子銃28の電子線31に影響を及ぼさないようにす
る。
【0025】このプラズマ処理によって、高分子フィル
ム1の面上に存在する塵や埃等の付着物をクリーニング
すると共に、高分子フィルム1の表面を活性化し、その
後の成膜工程での金属磁性薄膜の密着性を向上させるの
である。
【0026】プラズマ処理された高分子フィルム1は、
冷却ロール6の周面に沿って走行する状態で、第2の工
程となる帯電用電子銃28により電子線31を照射・走
査させると、高分子フィルム1と冷却ロール6との間で
帯電現象が発生し、極性の吸引力で高分子フィルム1が
冷却ロール6に貼り付いた状態で走行する。
【0027】ここで使用される帯電用電子銃28は、加
速電圧30KV以上のものを使用し、投入パワーPは、
0.6KW<P<3KWの範囲が熱的ダメージを回避す
るのに好ましい範囲である。また、帯電用電子銃28の
電子線31を安定した状態で照射させるために、排気系
22aで排気して第2の領域22内を5×10-3Pa以
下にすることが好ましい。
【0028】なお、上記した第1の工程と第2の工程を
逆に行っても同じ効果が得られる。即ち、プラズマ処理
装置27と帯電用電子銃28の設置位置を逆にし、先に
帯電用電子銃28で電子線31を照射して帯電現象を起
こさせ高分子フィルム1を冷却ロール6に貼り付けるよ
うにして走行させ、その後にプラズマ処理を行えば良い
のである。
【0029】次に、第3の領域24において、第3工程
である金属磁性薄膜を形成する、いわゆる成膜が行われ
る。この成膜については、従来から行っているように、
成膜用電子銃10からの電子線9をルツボ8に向けて放
射し、ルツボ8内に収容してあるコバルトなどの磁性材
料7を溶解して蒸発させ、その蒸発している磁性材料蒸
気流に酸化性ガスを吹き付けて高分子フィルム1上に金
属磁性薄膜(コバルト酸化物)、即ち、磁性層を形成す
るのである。
【0030】この成膜工程において、仮に、成膜用電子
銃10に異常放電があってその電源がOFFになり、溶
融した磁性金属(磁気材料)の表面で反射する二次電子
9aがなくなっても、前工程による帯電現象で高分子フ
ィルム1が冷却ロール6に貼り付いた状態で走行してい
るため、冷却ロール6から浮き上がることはなく、溶融
した磁性金属からの輻射熱による熱的ダメージを受ける
ことが全くないのである。
【0031】つまり、冷却ロール6は冷却媒体により−
25〜−30℃に冷却されており、これに貼り付いて全
面的に冷やされた状態で高分子フィルム1が走行してい
るので、溶融した磁性金属の温度が1500〜1800
℃になっていても、輻射熱による熱的ダメージを受けな
いのである。
【0032】成膜工程が終了した高分子フィルム1は、
第1の領域22に戻ってきて第4工程である巻取りロー
ル3により巻き取られる。この第4工程での巻き取り
は、高分子フィルム1が、プラズマ処理工程と帯電工程
とによって帯電が強い状態になっているため、冷却ロー
ル6から引き剥がすこと、及び引き剥がした後の安定走
行と巻き取りとが困難な状況にあって、皺が発生しやす
い状態にある。
【0033】そこで、第4の巻き取り工程においては、
成膜処理された高分子フィルム1が冷却ロール6の表面
から離れる際で、冷却ロール6に接触している面に向か
ってガス噴出ノズル25から不活性ガスを吹き付けるこ
とにより除電すると共に、冷却ロール6から高分子フィ
ルム1を引き離すのである。つまり、高分子フィルム1
に帯電している電子は、不活性ガスによりイオン化され
て中和し、帯電が解消されるので冷却ロール6から高分
子フィルム1を簡単に引き離すことができ、その後にお
いても安定走行と巻き取りとが容易になるのである。
【0034】更に、第4の巻き取り工程において、高分
子フィルム1の帯電が間違いなく除電されたか否かを検
出する手段、即ち、除電後における高分子フィルム1の
帯電状況を測定するための帯電圧測定器26を設けてあ
り、該測定器26で測定した情報をモニターできるよう
にしたものである。
【0035】通常においては、10−1Pa以下の真空
雰囲気での帯電測定は困難であるとされてきたが、圧電
素子のセンサーを用いることで、真空雰囲気中でも帯電
測定が正確に行えることが判明した。その帯電測定につ
いて、大気中と条件の異なる幾つかの真空雰囲気中での
測定テストの結果を図2のグラフに示してある。
【0036】この図2のグラフから明らかなように、大
気中と真空雰囲気中の異なる幾つかの条件下であって
も、帯電圧の測定値にほとんど変化がないことが確認で
き、大気中であっても真空雰囲気中であっても正確な帯
電測定ができるのである。
【0037】従って、本発明の装置を使用することによ
り、プラズマ処理条件、帯電用電子銃による条件、成膜
時における高分子フィルム1の帯電圧の条件等を定量的
に測定できるのであり、実際の成膜時において、帯電用
電子銃28の条件を変化させ時のプラズマ処理の有無に
おける磁性面側の帯電圧を測定した結果を図3のグラフ
に示してある。
【0038】この図3のグラフから明らかなように、帯
電用電子銃28を単独で使用したときよりも、帯電用電
子銃28とプラズマ処理装置27とを併用したときの方
が、帯電圧がマイナス側へ大きくシフトしており、冷却
ロール6に対する高分子フィルム1の密着性が強くなる
と共に、高分子フィルム1に対する磁性層の付着力が強
くなることが理解できる。
【0039】従って、帯電圧測定器26を使用すること
により、成膜時における高分子フィルム1の帯電圧をモ
ニターし、最適な条件下において磁性層を形成した磁気
記録媒体を製造することができるのである。
【0040】いずれにしても本発明においては、プラズ
マ処理と帯電処理とを行うことによって、冷却ロールに
対する高分子フィルムを強く密着させて走行させるもの
であり、それによって、成膜用電子銃の放電に異常が生
じて電源がOFFになっても溶融した金属磁性材料から
の輻射熱による熱的ダメージを受けることがなく、高分
子フィルムの穴あけまたは溶断がなくなるため、装置の
稼働率を著しく向上させることができるのである。
【0041】
【発明の効果】以上説明したように、本発明の第1の発
明に係る磁気記録媒体の製造方法は、高分子フィルムを
円筒状の冷却ロール面に沿わせて走行させ、そのフィル
ム上に磁気層を形成する磁気記録媒体の製造方法であっ
て、高分子フィルムの走行状態において、高分子フィル
ムに帯電させる工程と、高分子フィルム表面に磁性層を
成膜する工程と、高分子フィルムと冷却ロールとの離れ
際で高分子フィルムの裏面に不活性ガスを吹き付ける工
程とからなるものであって、走行する高分子フィルムに
対して帯電させることにより、高分子フィルムが冷却ロ
ールに強く密着した状態で走行し、成膜工程における電
子銃特有の異常放電による電源OFFが発生して、二次
電子の供給が停止しても、冷却ロールから高分子フィル
ムが浮き上がることがなくなり、それによって、溶融し
た金属磁性材料からの輻射熱による熱的ダメージを受け
なくなり、高分子フィルムの穴あけまたは溶断が解消さ
れるという優れた効果を奏する。
【0042】また、本発明の第2の発明に係る磁気記録
媒体の製造装置は、高分子フィルムを円筒状の冷却ロー
ル面に沿わせて走行させ、そのフィルム上に磁気層を形
成する磁気記録媒体の製造装置であって、前記高分子フ
ィルムの走行方向に対し冷却ロールの周面に沿って仕切
壁により第1の領域と、第2の領域と、第3の領域とに
区画し、第1の領域に供給ロールと、巻取りロールと、
成膜後の高分子フィルムの裏面に不活性ガスを吹き付け
るノズルとが配設され、第2の領域にプラズマ処理装置
と帯電用電子銃とが配設され、第3の領域に磁性材料を
収容するルツボと、成膜用電子銃と入射角規制板とが配
設された構成としたことにより、特に、第2の領域でプ
ラズマ処理と帯電処理とを行うことにより、冷却ロール
に対する高分子フィルムを強く密着させて走行させるも
のであり、第3の領域で成膜用電子銃の異常放電で電源
がOFFになっても、高分子フィルムが冷却ロールから
浮き上がらず、溶融した金属磁性材料からの輻射熱によ
る熱的ダメージを受けることがなく、高分子フィルムが
穴あけまたは溶断がなくなるため、装置の稼働率を著し
く向上させることができるという優れた効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態に係る製造装置の要部を略
示的に示した断面図である。
【図2】同製造装置における条件の異なる幾つかの真空
雰囲気と、大気中とで帯電圧測定テストを行った結果を
示すグラフである。
【図3】同製造装置におけるプラズマ処理と帯電処理と
を併用した場合と、帯電処理のみの場合との帯電圧の測
定値を示すグラフである。
【図4】従来例の真空蒸着による製造装置の要部を略示
的に示した断面図である。
【図5】同製造装置の要部のみを示す略示的断面図であ
る。
【符号の説明】
1、 高分子フィルム、 2 供給ロール、 3 巻取
りロール、4、5 ガイドロール、 6 冷却ロール、
7 磁性材料、 8 ルツボ、9 電子線、 9a
二次電子、 10 成膜用電子銃、11 入射角規制
板、 20 真空槽、 21a、21b、21c 仕切
板、22 第1の領域、 23 第2の領域、24 第
3の領域、22a、23a、24a、30a 排気系、
25 ガス噴出ノズル、26 帯電圧測定装置、 2
7 プラズマ処理装置、 28 帯電用電子銃、29
平板電極、 30 カバー部材、 30b 補助排気系
31 電子線。
フロントページの続き (72)発明者 鈴木 俊明 東京都品川区北品川6丁目7番35号 ソニ ー株式会社内 (72)発明者 佐々木 文生 東京都品川区北品川6丁目7番35号 ソニ ー株式会社内 Fターム(参考) 4K029 AA11 AA25 BA43 BC06 BD11 CA02 DA06 DB03 FA05 JA10 5D112 AA05 AA22 FA02 FB13 FB21 GA02 GA04 GA05 GA19 GA22 GA25

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 高分子フィルムを円筒状の冷却ロール面
    に沿わせて走行させ、そのフィルム上に磁気層を形成す
    る磁気記録媒体の製造方法であって、 高分子フィルムの走行状態において、高分子フィルムに
    帯電させる工程と、 高分子フィルム表面に磁性層を成膜する工程と、 高分子フィルムと冷却ロールとの離れ際で高分子フィル
    ムの裏面に不活性ガスを吹き付ける工程とからなること
    を特徴とする磁気記録媒体の製造方法。
  2. 【請求項2】 前記高分子フィルムに帯電させる工程
    は、 プラズマ放電処理する工程及び/または電子線を照射す
    る工程であることを特徴とする請求項1に記載の磁気記
    録媒体の製造方法。
  3. 【請求項3】 前記各工程は、 区画された領域内で遂行され、 各領域毎に排気されて真空状態を維持することを特徴と
    する請求項1または2に記載の磁気記録媒体の製造方
    法。
  4. 【請求項4】 前記高分子フィルムに帯電した帯電圧
    は、 帯電圧検出手段により検出してモニターすることを特徴
    とする請求項1または2に記載の磁気記録媒体の製造方
    法。
  5. 【請求項5】 高分子フィルムを円筒状の冷却ロール面
    に沿わせて走行させ、そのフィルム上に磁気層を形成す
    る磁気記録媒体の製造装置であって、 前記高分子フィルムの走行方向に対し冷却ロールの周面
    に沿って仕切壁により第1の領域と、第2の領域と、第
    3の領域とに区画し、 第1の領域に供給ロールと、巻取りロールと、成膜後の
    高分子フィルムの裏面に不活性ガスを吹き付けるノズル
    とが配設され、 第2の領域にプラズマ処理装置と帯電用電子銃とが配設
    され、 第3の領域に磁性材料を収容するルツボと、成膜用電子
    銃と入射角規制板とが配設され、 前記各領域毎とプラズマ処理装置とに個別の排気系を設
    けたことを特徴とする磁気記録媒体の製造装置。
  6. 【請求項6】 前記第1の領域には、 高分子フィルムに帯電した対電圧を検出してモニターす
    るための帯電圧検出手段を設けたことを特徴とする請求
    項5に記載の磁気記録媒体の製造装置。
  7. 【請求項7】 前記各領域とプラズマ処理装置とに、 個別の排気系を設けたことを特徴とする請求項5に記載
    の磁気記録媒体の製造装置。
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