JP2002357751A - 光ファイバケーブル - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 製造ラインにおいては従来のような弾性部材
を供給するボビンの設置作業が不要で、しかも、弾性部
材の除去も極めて容易に行うことができる、心線移動防
止対策が施されたスロット型の光ファイバケーブルを提
供する。 【解決手段】 外周に溝１１が形成されたスロットロッ
ド１０と、溝１１に収納された光ファイバ心線１２と、
スロットロッド１０上に巻き付けられた押えテープ１４
と、これらの外周に設けられた外被１５とを備えた光フ
ァイバケーブルであって、押えテープ１４は、テープ基
材１４ａとその上に設けられた弾性体層１４ｂからな
り、かつ、弾性体層１４ｂの一部がスロットロッド１０
の溝１１内に嵌入して溝１１に収納された光ファイバ心
線１２を弾性的に押圧するように巻き付けられている。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、スロット型の光フ
ァイバケーブルに係り、特に、溝内での光ファイバ心線
の移動を防止した光ファイバケーブルに関する。

【０００２】

【従来の技術】従来より、スロットロッドの外周に設け
られた複数の溝に光ファイバテープを複数枚積層して収
納し、その外周に押えテープを施し、さらにその上に外
被を設けた構造のスロット型光ファイバケーブルが知ら
れている。

【０００３】このようなスロット型光ファイバケーブル
においては、光ファイバテープがスロットロッド内の溝
内に固定されずに収納されているため、ケーブルの温度
伸縮や振動などにより、光ファイバテープが溝内で移動
することがある。

【０００４】そこで、光ファイバテープの移動を防止す
るため、光ファイバケーブル同士をクロージャや接続箱
内で接続する際に、ケーブル端末部の押えテープおよび
外被を除去し、露出させたスロットロッドの溝に粘着性
を有する充填材または平板状の弾性体を充填または嵌め
込み、その充填部分または嵌め込み部分の周りにテープ
を巻き付けて、光ファイバテープを溝内で固定したり、
あるいは、ケーブル製造時に予め、光ファイバテープを
収納した溝に光ファイバテープを弾性的に押圧する弾性
部材を収納して、光ファイバテープを溝内に全長に亘っ
てもしくは部分的に固定しておく方法などが提案されて
いる。

【０００５】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、このよ
うな従来の対策では、次のような問題があった。

【０００６】すなわち、前者のケーブル端末部のスロッ
トロッドの溝に粘着性充填材を充填または平板状弾性体
を嵌め込んでテープを巻き付ける方法は、ケーブル布設
後に現場で行われるものであり、ケーブル布設後に現場
で上記のような煩雑な心線の移動防止処理作業を行うこ
とは作業者にとって負担が大きい。一方、後者のケーブ
ル製造時に予め光ファイバテープを収納した溝に光ファ
イバテープを弾性的に押圧する弾性部材を収納しておく
方法では、各溝毎に弾性部材を収納しなければならない
ため、製造ラインにおいては、溝の数（厳密には、光フ
ァイバテープが収納された溝の数）に対応した数の弾性
部材の供給ボビンを設置しなければならず、その設置作
業が必要になり、また、光ファイバ心線を取り出す際に
は、各溝毎に弾性部材を取り出さなければならず、その
作業が煩雑であるといった問題点があった。

【０００７】このため、製造時に心線移動対策が施され
たケーブルであって、従来のような弾性部材を供給する
ボビンの設置作業を必要とすることがなく、しかも、弾
性部材の除去も極めて容易に行うことができる光ファイ
バケーブルが要望されていた。

【０００８】本発明はこのような要望に応えるべくなさ
れたもので、製造ラインにおいては従来のような弾性部
材を供給するボビンの設置作業が不要で、しかも、弾性
部材の除去も極めて容易に行うことができる、心線移動
防止対策が施されたスロット型の光ファイバケーブルを
提供することを目的とする。

【０００９】

【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、請求項１に記載された発明は、外周に溝が形成され
たスロットロッドと、前記溝に収納された光ファイバ心
線と、前記スロットロッド上に巻き付けられた押えテー
プと、これらの外周に設けられた外被とを備えた光ファ
イバケーブルであって、前記押えテープは、テープ基材
とその上に設けられた弾性体層からなり、かつ、前記弾
性体層の一部が前記スロットロッドの溝内に嵌入して該
溝に収納された前記光ファイバ心線を弾性的に押圧する
ように巻き付けられていることを特徴とする光ファイバ
ケーブルである。

【００１０】上記構成の光ファイバケーブルにおいて
は、押えテープとして、テープ基材上に弾性体層を設け
たテープを用いるとともに、この弾性体層の一部がスロ
ットロッドの溝内に嵌入してこの溝に収納された光ファ
イバ心線を弾性的に押圧するように巻き付けられている
ため、溝内の光ファイバ心線の移動が抑制され、しか
も、弾性体層が押えテープと一体になっているため、製
造ラインにおいては、従来のような弾性部材を供給する
ボビンの設置作業が不要となり、また、光ファイバ心線
を取り出す際には、押えテープを剥がせば溝内に嵌入し
た弾性体層が除去できるため、従来に比べその除去も極
めて容易に行うことができる。

【００１１】また、請求項２に記載された発明は、外周
に溝が形成されたスロットロッドと、前記溝に収納され
た光ファイバ心線と、前記スロットロッド上に前記スロ
ットロッドの溝の一部が露出するようにギャップ巻きさ
れた押えテープと、少なくとも前記溝の露出部分を覆う
ように前記押えテープ上に巻き付けられた吸水テープ
と、これらの外周に設けられた外被とを備えた光ファイ
バケーブルであって、前記押えテープは、テープ基材と
その上に設けられた弾性体層からなり、かつ、前記弾性
体層の一部が前記スロットロッドの溝内に嵌入して該溝
に収納された光ファイバ心線を弾性的に押圧するように
巻き付けられていることを特徴とする光ファイバケーブ
ルである。

【００１２】上記構成の光ファイバケーブルにおいて
は、押えテープとして、テープ基材上に弾性体層を設け
たテープを用いるとともに、この弾性体層の一部がスロ
ットロッドの溝内に嵌入してこの溝に収納された光ファ
イバ心線を弾性的に押圧するように巻き付けられている
ため、溝内の光ファイバ心線の移動が抑制され、しか
も、弾性体層が押えテープと一体になっているため、製
造ラインにおいては、従来のような弾性部材を供給する
ボビンの設置作業が不要となり、また、光ファイバ心線
を取り出す際には、押えテープを剥がせば溝内に嵌入し
た弾性体層が除去できるため、従来に比べその除去も極
めて容易に行うことができる。また、押えテープをスロ
ットロッドの溝の一部が露出するようにギャップ巻きと
したことにより、吸水テープの吸水ポリマが溝内に脱落
するための隙間が形成されるため、吸水テープの止水機
能が十分に発揮され、良好な防水性能を兼ね備えること
ができる。

【００１３】

【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図面
を用いて説明する。

【００１４】図１は、本発明の光ファイバケーブルの一
実施形態を示す横断面図である。

【００１５】図１において、１０は、外周に長さ方向に
延びる5本の一方向撚り（ＺまたはＳ撚り）の溝１１
（幅1.45mm、深さ2mm）が周方向に等間隔で形成された
外径7.7mmのポリエチレン製のスロットロッドを示して
いる。このスロットロッド１０の各溝１１には、幅1.1m
m、厚さ0.3mmの4心光ファイバテープ１２が5枚ずつ積層
されて収納されており、一方、中心には、鋼線、ＦＲＰ
（ガラス繊維強化プラスチック）などからなるテンショ
ンメンバ１３が埋設されている。

【００１６】また、これらの外周には、押えテープ１４
が巻き付けられ、さらに、その上には、ポリエチレンな
どのプラスチックからなる外被１５が設けられている。
押えテープ１４は、図２に示すように、厚さ0.2mm、幅2
5mmのテープ基材１４ａと、このテープ基材１４ａ上に
形成された厚さ1.2mmの弾性体層１４ｂとで構成されて
おり、弾性体層１４ｂ側を内側にして重ね幅6mmで重ね
巻きすることにより、弾性体層１４ｂの一部が溝１１内
に嵌入し、溝１１に収納された光ファイバテープ１２を
弾性的に下向きに押圧するようになっている。これによ
り、光ファイバテープ１２の溝１１内における移動が抑
制される。

【００１７】このように構成される光ファイバケーブル
においては、ケーブル製造時に光ファイバテープ１２の
移動防止対策が施されているので、ケーブル布設現場で
の煩雑な心線移動防止処理作業が不要になる。しかも、
弾性体層１４ｂが押えテープ１４と一体になっているた
め、製造ラインにおいては、従来のような弾性部材を供
給するボビンの設置作業が不要となり、また、光ファイ
バテープ１２を取り出す際には、押えテープ１４を剥が
せば溝１１内に嵌入した弾性体層１４ｂが除去できるた
め、従来に比べその除去も極めて容易に行うことができ
る。

【００１８】なお、上記のような押えテープ１４には、
ポリエステルフィルム、ポリエチレンフィルム、ポリプ
ロピレンフィルムなどのプラスチックフィルムやこれら
の複合材、ポリエステルなどの合成繊維からなる不織布
などの上に、発泡ウレタン層を接着したものなどが使用
されるが、弾性体層１４ｂ側を内側にして巻き付けるこ
とにより、弾性体層１４ｂの一部が溝１１内に嵌入し、
溝１１に収納された光ファイバテープ１２を弾性的に押
圧することができるものであれば、特にこのような例に
限定されるものではない。また、その巻き付け方法も、
上記のような重ね巻きに限らず、突合せ巻きやギャップ
巻きなどとしてもよい。押えテープ１４のテープ幅や、
テープ基材１４ａおよび弾性体層１４ｂのそれぞれの厚
さについては、スロットロッド１０の外径、溝１１の大
きさ、溝１１に収納される光ファイバテープ１１の厚
さ、弾性体層１４ｂの種類などにより、適宜定められ
る。

【００１９】次に、本発明の光ファイバケーブルの第２
の実施形態について説明する。

【００２０】図３は、本発明の光ファイバケーブルの第
２の実施形態を示す横断面図で、図1に共通する部分に
は同一符号を付してある。

【００２１】図３に示すように、この実施形態は、前述
した実施形態において、押えテープ１４を重ね巻きとせ
ずにギャップ巻き（ギャップ幅 約30mm）とし、かつ、
その上に吸水テープ１６を重ね巻き（重ね幅6mm）した
ものである。

【００２２】すなわち、外周に長さ方向に延びる5本の
一方向撚り（ＺまたはＳ撚り）の溝１１（幅1.45mm、深
さ2mm）が周方向に等間隔で形成された外径7.7mmのポリ
エチレン製のスロットロッド１０の各溝１１に、幅1.1m
m、厚さ0.3mmの4心光ファイバテープ１２が5枚ずつ積層
されて収納されており、一方、中心には、鋼線、ＦＲＰ
（ガラス繊維強化プラスチック）などからなるテンショ
ンメンバ１３が埋設されている。

【００２３】また、これらの外周には、図２に示すよう
な、厚さ0.2mm、幅15mmのテープ基材１４ａと、このテ
ープ基材１４ａ上に形成された厚さ1.2mmの弾性体層１
４ｂとからなる押えテープ１４が、弾性体層１４ｂ側を
内側にしてギャップ幅30mmでギャップ巻きされ、さら
に、その上に、ポリエステル不織布などからなるテープ
基材上に合成ゴムなどをバインダとして吸水性ポリマー
を担時させた厚さ0.2mm、幅25mmの吸水テープ１６が吸
水性ポリマー側を内側にして重ね幅6mmで重ね巻きされ
ている。なお、図４は、これらの押えテープ１４および
吸水テープ１６の巻き付け方法を模式的に示したもので
ある。そして、この吸水テープ１６上に、ポリエチレン
などのプラスチックからなる外被１５が設けられてい
る。

【００２４】このように構成される光ファイバケーブル
においても、押えテープ１４を構成する弾性体層１４ｂ
の一部が溝１１内に嵌入し、溝１１に収納された光ファ
イバテープ１２を弾性的に下向きに押圧するため、光フ
ァイバテープ１２の溝１１内における移動が抑制され
る。したがって、ケーブル布設現場での煩雑な心線防止
処理作業が不要になる。しかも、弾性体層１４ｂが押え
テープ１４と一体になっているため、製造ラインにおい
ては、従来のような弾性部材を供給するボビンの設置作
業が不要となり、また、光ファイバテープ１２を取り出
す際には、押えテープ１４を剥がせば溝１１内に嵌入し
た弾性体層１４ｂが除去できるため、従来に比べその除
去も極めて容易に行うことができる。

【００２５】また、ギャップ巻きされた押えテープ１４
の上に吸水ポリマーを付着した吸水テープ１６が重ね巻
きされているため、外部から水が侵入した場合に吸水ポ
リマーがその水を吸収して膨潤し、押えテープ１４の間
から溝１１内に落下して隙間を埋める。これにより、溝
１１内での走水が防止され、優れた止水効果が得られ
る。

【００２６】なお、吸水テープ１６は、重ね巻きに代え
て、突き合せ巻きやギャップ巻きとしてもよいが、少な
くとも押えテープ１４のギャップ巻きによって露出した
部分を覆うように巻き付ける必要がある。

【００２７】以上説明した実施形態は、いずれもスロッ
トロッド外周に設けられた一方向撚りの溝に4心光ファ
イバテープが積層されて収納されている光ファイバケー
ブルの例であるが、本発明はこのような例に限定される
ものではなく、ＳＺ撚りの溝が形成されているものや、
このような溝に光ファイバ心線として、2心光ファイバ
テープ、8心光ファイバテープ、単心光ファイバ心線な
どを収納したものなど、各種のスロット型の光ファイバ
ケーブルに広く適用することができる。

【００２８】

【発明の効果】以上説明したように、本発明の光ファイ
バケーブルによれば、押えテープとして、テープ基材上
に弾性体層を設けたテープを用いるとともに、弾性体層
の一部がスロットロッドの溝内に嵌入して該溝に収納さ
れた光ファイバ心線を弾性的に押圧するように巻き付け
る構成としたので、ケーブル製造時に心線移動防止対策
を施すことができ、ケーブル布設現場での煩雑な心線防
止処理作業が不要になる。しかも、弾性体層が押えテー
プと一体になっているため、製造ラインにおいては、従
来のような弾性部材を供給するボビンの設置作業が不要
となり、また、光ファイバテープを取り出す際には、押
えテープを剥がせば溝内に嵌入した弾性体層が除去でき
るため、従来に比べその除去も極めて容易に行うことが
できる。

【００２９】また、押えテープをスロットロッドの溝の
一部が露出するようにギャップ巻きし、その上に少なく
とも溝の露出部分を覆うように吸水テープを巻き付けた
ものでは、上記効果とともに、優れた防水性能を兼備す
ることができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の光ファイバケーブルの一実施形態を示
す断面図。

【図２】本発明に使用される押えテープの構成を示す断
面図。

【図３】本発明の光ファイバケーブルの第２の実施形態
を示す断面図。

【図４】本発明の第２の実施形態における押えテープお
よび吸水テープの巻き付け方法を模式的に示す図。

【符号の説明】

１０………スロットロッド １１………溝 １２………光ファイバテープ １４………押えテープ １４ａ………テープ基材 １４ｂ………弾性体層 １５………外被 １６………吸水テープ

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 外周に溝が形成されたスロットロッド
   と、前記溝に収納された光ファイバ心線と、前記スロッ
   トロッド上に巻き付けられた押えテープと、これらの外
   周に設けられた外被とを備えた光ファイバケーブルであ
   って、 前記押えテープは、テープ基材とその上に設けられた弾
   性体層からなり、かつ、前記弾性体層の一部が前記スロ
   ットロッドの溝内に嵌入して該溝に収納された前記光フ
   ァイバ心線を弾性的に押圧するように巻き付けられてい
   ることを特徴とする光ファイバケーブル。
2. 【請求項２】 外周に溝が形成されたスロットロッド
   と、前記溝に収納された光ファイバ心線と、前記スロッ
   トロッド上に前記スロットロッドの溝の一部が露出する
   ようにギャップ巻きされた押えテープと、少なくとも前
   記溝の露出部分を覆うように前記押えテープ上に巻き付
   けられた吸水テープと、これらの外周に設けられた外被
   とを備えた光ファイバケーブルであって、 前記押えテープは、テープ基材とその上に設けられた弾
   性体層からなり、かつ、前記弾性体層の一部が前記スロ
   ットロッドの溝内に嵌入して該溝に収納された光ファイ
   バ心線を弾性的に押圧するように巻き付けられているこ
   とを特徴とする光ファイバケーブル。