JP2002357000A - コンクリート構造物の補修方法および補修具 - Google Patents
コンクリート構造物の補修方法および補修具Info
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Abstract
部から内部に至るクラックやひび割れに対して効果的な
補修、補強を行うことのできる方法および補修具を提供
する。 【解決手段】 内部に亀裂や空洞などの欠陥部Cが存在
するコンクリート構造物1の当該欠陥部Cの周囲を気密
シート2によりシールし、欠陥部Cに通じコンクリート
構造物1の表面に現れている異なる2箇所の孔部の一方
から真空吸引し、他方から硬化樹脂を注入して欠陥部C
を硬化樹脂で充填硬化させるコンクリート構造物の補修
方法。また、コンクリート構造物の表面に貼り付ける基
板部と、この基板部に一体的に連設され真空吸引ノズル
または硬化樹脂注入ノズルの先端部と結合されるノズル
結合部とを有するコンクリート構造物の補修具。
Description
物の補修方法および補修具に関する。
修方法の中では、0.2mm前後のクラックやヘアーラ
インに対する構造的な欠陥を補修する方法として、高価
な一液性のケミカル充填材を圧入する工法が知られてい
る。しかし、材料および施工が特殊であり、コストが高
くなるため、ひび割れ幅の大きな箇所には採用されてい
ない。mm単位以上のひび割れは、別途樹脂ペーストや
樹脂モルタルの充填注入もしくは流し込み等で代用され
ているのが現状であるが、これらの方法では充填の確実
性の面からも不十分であり、また材質的な性能面からも
構造的な欠陥を補完できている状態にない。
造物の耐久性に関して、表層部からの劣化原因に着目し
て検討してみれば、まず、一般的な鉄筋コンクリート構
造物でも、表層面から補強鉄筋までの被り寸法間は全て
無筋コンクリートであると言える。つまり、諸々の内外
の原因によって発生する引っ張り応力に対しては、その
性能が弱点とされるコンクリート自体の引っ張り抵抗力
にのみ頼っているというのが現状である。
る繰り返し振動などの、動的な外部からの強制力が発生
して、引っ張り補強筋が抵抗を開始する前に、全ての鉄
筋コンクリート構造物は表層からひび割れが発生する。
また、土木用コンクリート構造物に多い補強鉄筋量の少
ないマスコンクリートの場合も含めて、コンクリートは
材質的な宿命として、形状とスケールの関係からも乾燥
収縮、クリープの現象としてもひび割れは発生しやす
い。また材料的な原因としてアルカリ骨材反応による膨
張ひび割れも増加している。
れが発生したものを放置しているため、内部鉄筋の酸化
現象が促進されて、鉄筋が錆びて膨張しコンクリート表
層部の破壊が進行している。さらに、環境悪化が要因と
される中性化促進と細骨材としての海砂使用の増加によ
る塩害の発生が、鉄筋の錆を促進する要因として問題化
してきている。
害作用や、下水処理場等のように硫化水素が発生するよ
うな場所でも、コンクリートの劣化は問題となってい
る。
これらの様々な要因によるコンクリート構造物の表層部
から内部に至るクラックやひび割れに対して効果的な補
修、補強を行うことのできる方法および補修具を提供す
ることにある。
め、本発明のコンクリート構造物の補修方法は、内部に
亀裂や空洞などの欠陥部が存在するコンクリート構造物
の当該欠陥部の周囲を気密シートによりシールし、前記
欠陥部に通じ当該コンクリート構造物の表面に現れてい
る異なる2箇所の孔部の一方から真空吸引し、他方から
硬化樹脂を注入して前記欠陥部を前記硬化樹脂で充填硬
化させることを特徴とする。欠陥部が存在するコンクリ
ート構造物の欠陥部の周囲を気密シートによりシールす
ることにより、真空吸引による硬化樹脂が欠陥部に隅々
まで浸透し、欠陥部は硬化樹脂により充填される。充填
後は、コンクリートよりも大きな強度でコンクリート同
士を結着するので、表層部の剥落は生じにくくなる。
具は、コンクリート構造物の表面に貼り付ける基板部
と、この基板部に一体的に連設され真空吸引ノズルまた
は硬化樹脂注入ノズルの先端部と結合されるノズル結合
部とを有するものである。施工に際しては、少なくとも
2つの補修具を用い、一方の補修具の基板部を一つの孔
部の箇所に取り付け、真空吸引装置のノズルをノズル結
合部に結合する。他方の補修具の基板部は別の孔部の箇
所に取り付け、硬化樹脂注入ノズルをノズル結合部に結
合することで、真空吸引と硬化樹脂注入作業が容易に、
かつ確実に行われる。
て説明する。図1は本発明のコンクリート構造物の補修
方法の実施形態を示す斜視図、図2は要部断面図であ
る。これらの図において、1はコンクリート構造物の一
例であるコンクリート柱(鉄筋は図示を省略)、2はコ
ンクリート柱1の欠陥部Cの周囲に貼り付ける気密シー
トである。気密シート2の材質としては防水布テープや
包装用布粘着テープを使用することができるが、これら
に限定されるものではない。気密シート2の裏面は粘着
性とすることが作業上好ましい。
示す斜視図であり、補修具3は、基板部3aとノズル結
合部3bとを有している。基板部3aはコンクリート構
造物の表面に貼り付ける部分であり、コンクリート構造
物、本例ではコンクリート柱1内部の欠陥部Cに通じコ
ンクリート柱の表面に現れている孔の位置に合わせて貼
り付けられる。ノズル結合部3bは外周に雄ねじが切ら
れており、図4に示すように真空吸引ノズルまたは硬化
樹脂注入ノズル4の内周の雌ねじと螺合することで、ノ
ズル4と結合できるようになっている。
物の補修方法について説明する。まず、コンクリート柱
1等のコンクリート構造物に目視等によりクラックを見
出したとき、クラックの近傍にドリルなどで調査用細孔
を少なくとも2箇所穿孔する。次いで、マイクロスコー
プや内視鏡を調査用細孔に挿入し、ディスプレイで観測
しながら亀裂等の欠陥部Cの存在を調査する。欠陥部C
が発見されたら、少なくとも2つの調査用細孔を利用し
て、一つの調査用細孔から真空吸引し、他方の調査用細
孔から硬化樹脂を注入する。
用細孔の位置に合わせて貼り付け、補修具3のノズル結
合部3bに、真空吸引ノズルと硬化樹脂注入ノズル4を
結合して真空吸引および硬化樹脂注入をする。真空吸引
するときの圧力は、例えば1785水柱mm程度とする
ことができる。
化時間をコントロールできる二液反応型硬化樹脂を使用
することとする。二液反応型硬化樹脂としては、触媒硬
化型の不飽和ポリエステル樹脂や、アクリル樹脂を使用
することができるが、反応時間のコントロールや空気乾
燥性等から常温硬化型の二液型エポキシ樹脂や二液型ポ
リウレタン樹脂を使用することが好ましい。
良い二液反応型硬化樹脂を用いて、以下に示す施工方法
を駆使することで、劣化コンクリート構造物の補修・補
強を経済的に可能とする。
混合時に硬化する二液反応型硬化樹脂溶液からなるもの
が用いられる。例えば、ポリエステルポリオールやポリ
エールポリオールからなる主剤溶液と4.4−ジフェニ
ルメタン・ジイソシアネート成分を含有する硬化剤溶液
からなる二液反応型ポリウレタン樹脂やビスフェール型
液状エポキシ樹脂からなる主剤溶液とポリアミドアミン
や変性ポリアミン等の成分を含有する硬化剤溶液からな
る二液反応型エポキシ樹脂等が挙げられる。これらの主
剤及び硬化剤溶液には予め主剤及び硬化剤の混合を容易
にし、コンクリート構造物の劣化部に浸透・充填を容易
ならしめるために、硬化反応を阻害せず、また硬化物の
特性を低下させない程度にジブチルフタレートやジオク
チルフタレート等の可塑剤や高沸点溶剤を添加すること
ができる。またコンクリート面とのなじみをよくし、コ
ンクリート構造物のアルカリ成分との化学反応による強
固な結合力を得る目的で、珪酸成分を含有する溶液を主
剤に混合又は単独で使用することができる。珪酸成分を
含有する溶液としては、珪酸ナトリウム、珪酸カリウ
ム、珪酸リチウム等の珪酸アルカリ金属塩を主成分とす
る水ガラス溶液やコロイダルシリカ、アルコキシラン等
の溶液単独又はそれらの2種以上の混合物が挙げられ
る。
場合は専用(撹拌・注入)機械の活用が可能である。負
圧領域はコンプレッサーや電動吸引機と周辺絶縁枠付き
で、かつコンクリートと接触する面が格子又は網目面模
様を形成させた溝を有する可撓性型枠を組み合わせれ
ば、容易に作成可能である。
可能な材料を選択できる。使用材料は、配合成分の違い
で硬化時間にも差があり、目的に応じて選択が可能であ
る。
は、コンクリート母材の材質的引っ張り強度を上回る付
着力を長時間安定的に発揮し、かつ、母材の圧縮強度を
常時上回る性能を発揮し続ける。また、目的に応じて強
度の選択も可能である。
耐久性以外の諸々の耐久性に関する諸条件に対しても欠
陥をもたらさない.
脂としては、例えばカーボ・リス・フレックス(Car
boLith Flex:ドイツCARBOTEC社商
品名)を使用することができる。この二液反応型硬化樹
脂は、主剤液として珪酸ナトリウム、硬化剤液としてポ
リウレタンプレポリマーを使用する。両溶液が反応する
と、珪酸塩を含有した硬く弾性のある有機性鉱物を作
る。両溶液が十分に混合されると、その結果生成される
粘性のある乳濁液は水とは混和せず、また例えば周辺土
壌や岩層からのいかなる水も吸収しない。
ボ・リス(CarboLith:ドイツCARBOTE
CH社商品名)を使用することができる。この二液反応
型硬化樹脂は、主剤液として珪酸ナトリウムと添加物の
混合物、硬化剤液として4.4−ジフェニルメタン・ジ
イソシアネート基のポリイソシアネートを使用する。反
応中に、ポリウレア・マスが形成されると同時に不発泡
性の有機鉱物樹脂(シリケイト樹脂)を形成する。ま
た、両溶液を互いに混合すると、その結果生じる粘性の
ある乳濁液はそれ以上水を吸収せず、また、水と混じる
こともなく、コンクリート表層から内部へ浸透する。
限定されるものではなく、他のものも使用可能であるこ
とは言うまでもない。表1は、数種類の硬化樹脂の粘度
と固結時間を示す。
る。 (1)注入作業の開始以前に、充填硬化を妨げる原因を
取り除き.注入材料の漏れ防止等のため、養生を行う。
液状材料を、注入機械で施工部に充填する方法に関して
は、「負圧吸引注入」を採用する。亀裂深さがコンクリ
ート表層部部分で留まったりしている場合には、補修面
を負圧にして樹脂が硬化する前に微細な隙間まで行き渡
らせることができる。
細い場合には、圧入だけでは硬化樹脂は浸透しにくい。
さらに亀裂が長い場合には、硬化樹脂が亀裂を進行して
いる途中で固結時間に達して硬化し、それ以上は進まな
いことがある。そこで、真空吸引により硬化樹脂が亀裂
を進行する速度を速め、また、硬化樹脂の粘度や固結時
間を調整する。
果を奏する。 (1)欠陥部が存在するコンクリート構造物の欠陥部の
周囲を気密シートによりシールし、欠陥部に通じている
異なる2箇所の孔部の一方から真空吸引し、他方から硬
化樹脂を注入して欠陥部を硬化樹脂で充填硬化させるこ
とにより、真空吸引による硬化樹脂が欠陥部に隅々まで
浸透し、欠陥部は硬化樹脂により充填される。これによ
り、充填後は、コンクリートよりも大きな強度でコンク
リート同士が結着される。
ける基板部と、この基板部に一体的に連設され真空吸引
ノズルまたは硬化樹脂注入ノズルの先端部と結合される
ノズル結合部とを有する補修具を用いることにより、真
空吸引と硬化樹脂注入作業を容易に、かつ確実に行うこ
とができる。
施形態を示す斜視図である。
の補修具の例を示す斜視図である。
態を示す拡大断面図である。
Claims (2)
- 【請求項1】内部に亀裂や空洞などの欠陥部が存在する
コンクリート構造物の当該欠陥部の周囲を気密シートに
よりシールし、前記欠陥部に通じ当該コンクリート構造
物の表面に現れている異なる2箇所の孔部の一方から真
空吸引し、他方から硬化樹脂を注入して前記欠陥部を前
記硬化樹脂で充填硬化させることを特徴とするコンクリ
ート構造物の補修方法。 - 【請求項2】コンクリート構造物の表面に貼り付ける基
板部と、この基板部に一体的に連設され真空吸引ノズル
または硬化樹脂注入ノズルの先端部と結合されるノズル
結合部とを有するコンクリート構造物の補修具。
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---|---|---|---|---|
JP2007277809A (ja) * | 2006-04-03 | 2007-10-25 | Nippon Adox Kk | 硬化性材料の硬化工法 |
JP2013108313A (ja) * | 2011-11-24 | 2013-06-06 | Suekichi Miura | ワンタッチiプラグ |
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CN104631852A (zh) * | 2015-02-03 | 2015-05-20 | 福州大学 | 一种自修复混凝土结构及其制造方法 |
JP2017067744A (ja) * | 2015-09-30 | 2017-04-06 | 森重 晴雄 | 原子炉容器や格納容器のキレツを空気中の水蒸気を用いて封鎖する工法 |
-
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- 2001-05-31 JP JP2001165396A patent/JP3540291B2/ja not_active Expired - Fee Related
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