JP2002356504A - マレイミド基を有する硬化性重合体の製造方法 - Google Patents

マレイミド基を有する硬化性重合体の製造方法

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JP2002356504A JP2001161954A JP2001161954A JP2002356504A JP 2002356504 A JP2002356504 A JP 2002356504A JP 2001161954 A JP2001161954 A JP 2001161954A JP 2001161954 A JP2001161954 A JP 2001161954A JP 2002356504 A JP2002356504 A JP 2002356504A
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polymer
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group
maleimide
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Akihito Iida
晃人 飯田
Hiroshi Inukai
宏 犬飼
Eiichi Okazaki
栄一 岡崎
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Toagosei Co Ltd
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Toagosei Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 従来提案されていた、活性エネルギー線の照
射や、紫外線の照射により容易に硬化するマレイミド基
を有する重合体のスチレン系単量体や、加水分解性シリ
ル基含有単量体との共重合による問題を解消する方法を
提供する。 【解決手段】 マレイミド基を有する単量体の構成割合
が異なる重合体とビニル系単量体を用い、有機溶剤中で
前記重合体の存在下に、前記ビニル系単量体をラジカル
重合することによりマレイミド基を有する硬化性重合体
を製造する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、活性エネルギー
線の照射や、紫外線の照射により容易に硬化するマレイ
ミド基を有する重合体(以下、マレイミド基含有重合体
とも云う。)の製造方法に関するものであって、この製
造方法によって得られたマレイミド基含有重合体は、活
性エネルギー線硬化型や紫外線硬化型の塗料並びにその
他のコーティング剤、印刷インキ、接着剤、充填剤及び
成形材料等の主剤として用いられるもので、これら化学
品製造技術に属するものである。
【0002】
【従来の技術】先に、本発明者らは、N−置換マレイミ
ド化合物が、光重合開始剤としての機能を有するという
知見(ソニー・ジョンソン等、ラドテック95ヨーロッ
パ;予講集 34頁)を得て、光重合開始剤を必要とし
ない新規な硬化性重合体、すなわち、マレイミド基含有
重合体についての提案を行った(WO98/58912
号公報)。
【0003】上記マレイミド基含有重合体中のマレイミ
ド基は、300〜350nmの波長の光を受けて2量化
反応を起こすため、それを利用したマレイミド基含有重
合体を主剤とする硬化性組成物について、発明者らは、
種々の分野での検討を行っている。
【0004】特に、300〜350nmの波長には太陽
光にも含まれるため、マレイミド基含有重合体を原料と
して調製され、屋外で使用される塗料などは、塗装後、
格別に活性エネルギー線や紫外線を照射させて硬化させ
なくても、単に屋外に放置することで、重合体同志が架
橋反応を起こし、溶剤に不溶となり、耐溶剤性及び耐汚
染性等の性能を発揮するという優れた性能を有するもの
である。
【0005】さらに、マレイミド基含有重合体は塗料の
原料として用いられた場合、以下のような特性を発揮す
るものである。 1) 着色塗料とした場合、マレイミド基が顔料分散剤
として機能し塗膜の光沢を向上させる。 2) マレイミド基の存在により耐熱性が向上する。 3)マレイミド基による架橋にイソシアネート架橋を併
用するとさらに耐候性が向上する。
【0006】発明者らは、このような特長を利用するこ
とによって、優れた塗料が得られることを見出し、これ
までに、マレイミド基とヒドロキシル基を併有する重合
体を原料とする塗料用組成物(特願平11−34427
5) マレイミド基とエポキシ基を併有する重合体を原料とす
る塗料用組成物(特願平11−362078) マレイミド基とアルコキシシリル基を併有する重合体を
原料とする塗料用組成物(特願平11−362080) マレイミド基を有する重合体と光増感剤からなる塗料用
組成物(特願2001−044339)のような提案を
行っている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】発明者らは、上記提案
における塗料組成物のさらなる向上を目指して種々検討
を行ったところ、今までのマレイミド基含有重合体で、
さらに優れたものを得るためには、発明者らが見出し
た、 1)マレイミド基含有重合体から得られる硬化膜の硬度
及び光沢をさらに上げるために、マレイミド基含有重合
体を得る際に、スチレン、特に5wt%以上のスチレン
を共重合すると、それにより得られるマレイミド基含有
重合体は、マレイミド基による光2量化反応の速度が遅
くなるという傾向があり、その速度を早めるために光増
感剤等を添加すると、硬化塗膜の着色が顕著になる。 2)また、加水分解性シリル基含有単量体とマレイミド
基含有単量体を含むビニル系単量体を、ラジカル共重合
して得られるマレイミド基含有重合体から得られる硬化
膜が、マレイミド基を含まない重合体から得られる硬化
膜より耐候性が低下することがあるという問題点のない
マレイミド基含有重合体とする必要があり、そのような
重合体を得るべく研究を行ったのである。
【0008】その結果、発明者らは、マレイミド基含有
重合体を構成するビニル系単量体を二分し、分割重合
(二段重合)もしくはグラフト重合と呼ばれる重合方法
を採用し、マレイミド基含有単量体を偏在させること、
特に、加水分解性シリル基含有単量体及びスチレン系単
量体と、マレイミド基含有単量体を同時に共重合させな
いことによって、上記課題を解決し得ることを見出し
て、この発明を完成したのである。
【0009】
【課題を解決するための手段】すなわち、この発明の請
求項1に記載の発明は、それぞれが構成成分として含有
するマレイミド基を有する単量体の割合が相異なる重合
体とビニル系単量体を用い、有機溶剤中で前記重合体の
存在下に、前記ビニル系単量体をラジカル重合すること
を特徴とするマレイミド基を有する硬化性重合体の製造
方法である。
【0010】この発明の請求項2に記載の発明は、請求
項1におけるマレイミド基が、下記一般式で示される基
であることを特徴とするマレイミド基を有する硬化性重
合体の製造方法である。
【0011】
【化2】 但し、式(1)中、R1及びR2は、両者同一又は異なっ
ていてもよい水素原子若しくはアルキル基、又は両者が
結合して形成した炭素環を示す。
【0012】この発明の請求項3に記載の発明は、請求
項1又は請求項2における重合体が、重合体を構成する
単量体としてマレイミド基を有する単量体を含まないも
のであることを特徴とするマレイミド基を有する硬化性
重合体の製造方法である。
【0013】この発明の請求項4に記載の発明は、請求
項3に記載の重合体が、スチレン系単量体を必須の構成
単量体とし、マレイミド基を有する単量体を構成単量体
としないものであることを特徴とするマレイミド基を有
する硬化性重合体の製造方法である。
【0014】この発明の請求項5に記載の発明は、請求
項3に記載の重合体が、加水分解性シリル基を有し、マ
レイミド基を有しないものであることを特徴とするマレ
イミド基を有する硬化性重合体の製造方法である。
【0015】この発明の請求項6に記載の発明は、請求
項3に記載の重合体が、フルオロオレフィンを必須の構
成単量体単位とし、マレイミド基を有する単量体を構成
単量体としないものであることを特徴とするマレイミド
基を有する硬化性重合体の製造方法である。
【0016】この発明の請求項7に記載の発明は、請求
項1又は請求項2におけるビニル系単量体が、マレイミ
ド基を有する単量体を含まないものであることを特徴と
するマレイミド基を有する硬化性重合体の製造方法であ
る。
【0017】この発明の請求項8に記載の発明は、請求
項7におけるビニル系単量体が、スチレン系単量体を必
須成分とし、マレイミド基を有する単量体を含まないも
のであることを特徴とするマレイミド基を有する硬化性
重合体の製造方法である。
【0018】この発明の請求項9に記載の発明は、請求
項7におけるビニル系単量体が、加水分解性シリル基含
有単量体を必須成分とし、マレイミド基を有する単量体
を含まないものであることを特徴とするマレイミド基を
有する硬化性重合体の製造方法である。
【0019】
【発明の実施の形態】<マレイミド基含有重合体>この
発明は、従来よりも優れた特性を有するマレイミド基含
有重合体の製造方法に関するもので、マレイミド基含有
ビニル系単量体(以下、マレイミド単量体と云う。)
を、他のビニル系単量体とラジカル重合することにより
得られるものである。
【0020】<マレイミド単量体>マレイミド単量体
は、マレイミド基とエチレン性不飽和基を有するラジカ
ル重合性単量体で、マレイミド基としては、前記式
(1)で表せるマレイミド基が好ましく、特に式中のR
1及びR2の少なくとも一つが炭素数4以下のアルキル基
であるか、R1とR2が一つに結合して5員環もしくは6
員環を形成しているマレイミド基が好ましい。
【0021】R1とR2が一つに結合した状態は、例え
ば、−CH2CH2CH2CH2−、−CH2CH2CH2
2−として示される。
【0022】エチレン性不飽和基としては、ビニル基、
アクリロイル基、メタクリロイル基が挙げられる。
【0023】マレイミド単量体としては、下記式(2)
で表されるマレイミド基を有するアクリレート、メタク
リレート(以下、両者を合わせてイミド(メタ)アクリレ
ートと云う。)が好ましい。
【0024】
【化3】 但し、式(2)において、R1及びR2は前記と同様の
基、R3はアルキレン基、R4は水素又はメチル基であ
り、nは1〜6の整数である。
【0025】式(2)の中でも、nが1〜2のものが好
ましく、より好ましいものは、nが1のものである。R
3としては、炭素数1〜6のものが好ましく、より好ま
しいものはエチレン基及びプロピレン基である。
【0026】このイミド(メタ)アクリレートは、以下
の文献及び特許に記載された方法によって、酸無水物、
アミノアルコール及びアクリル酸又はメタクリル酸から
製造することができる。 ・加藤清ら、有機合成化学協会誌30(10)、89
7、(1972) ・Javier de Abajoら、Polymer、vol33
(5)、(1992) ・特開昭56−53119号公報、特開平1−2425
69号公報
【0027】<ビニル系単量体>この発明のマレイミド
基含有重合体は、マレイミド単量体と他のビニル系単量
体をラジカル重合することにより得られるもので、ビニ
ル系単量体としては、種々の単量体が使用可能であり、
例えば、アルキルアクリレート、アルキルメタクリレー
ト(以下、両者を合わせてアルキル(メタ)アクリレー
トと云う。);エチレン、プロピレン及びイソブチレン
等のαオレフィン又はフルオロオレフィン;塩化ビニ
ル、塩化ビニリデン、フッ化ビニル及びフッ化ビニリデ
ン等の部分ハロゲン化オレフィン;酢酸アリル及び酪酸
アリル等のアリル化合物;クロトン酸エチル及びクロト
ン酸プロピル等のクロトン酸エステル;エチルビニルエ
ーテル及びシクロヘキシルビニルエーテル等のビニルエ
ーテル;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル及びバーサチ
ック酸ビニル等のカルボン酸ビニル;スチレン、αメチ
ルスチレン及びビニルトルエン等のスチレン系単量体;
アクリロニトリル、アクリルアミド、並びにメタクリル
アミド等が挙げられ、これら単量体は、多くの場合、目
的に応じて2種類以上併用して用いられる。
【0028】これらのビニル系単量体の中でも、塗膜の
物性及びマレイミド単量体との共重合性に優れる点か
ら、アルキル(メタ)アクリレートが好ましい。
【0029】アルキル(メタ)アクリレートとしては、
種々の化合物が使用可能であり、直鎖状、分岐状又は環
状のアルキル基のいずれも使用可能である。
【0030】直鎖状アルキル基を有する(メタ)アクリ
レートとしては、メチル(メタ)アクリレート、エチル
(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレー
ト、ブチル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)ア
クリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、オクチル
(メタ)アクリレート、ノニル(メタ)アクリレート、
デシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリ
レート、トリデシル(メタ)アクリレート、セチル(メ
タ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート及
びベヘニル(メタ)アクリレート等が例示される。
【0031】該単量体のアルキル基には、芳香族環、酸
素、窒素、硫黄、ハロゲン等を含んでもよく、かかる
(メタ)アクリレートとしては、ベンジル(メタ)アク
リレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、メ
トキシエチル(メタ)アクリレート、エチルカルビトー
ル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸エトキシ
ポリエチレングリコール、アミノエチル(メタ)アクリ
レート、クロロエチル(メタ)アクリレート、トリフル
オロエチル(メタ)アクリレート及びヘプタデカフルオ
ロオクチルエチル(メタ)アクリレート等が例示され
る。
【0032】分岐状アルキル基を有する(メタ)アクリ
レートとしては、イソプロピル(メタ)アクリレート、
イソブチル(メタ)アクリレート、s−ブチル(メタ)
アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、ネオ
ペンチル(メタ)アクリレート、エチルヘキシル(メ
タ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート及
びイソステアリル(メタ)アクリレート等が例示され
る。
【0033】該単量体のアルキル基も、芳香族環、酸
素、窒素、硫黄、ハロゲン等を含んでいてもよく、かか
る単量体としては、3−メトキシブチル(メタ)アクリ
レート、メトキシトリプロピレングリコール(メタ)ア
クリレート及びヘキサフルオロプロピル(メタ)アクリ
レート等が例示される。
【0034】環状アルキル基を有する(メタ)アクリレ
ートとしては、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、
イソボルニル(メタ)アクリレート及びトリシクロデシ
ニル(メタ)アクリレート等が例示することができ、該
単量体のアルキル基には、芳香族環、酸素、窒素、硫黄
及びハロゲン等を含んでもよく、かかる単量体として
は、(メタ)アクリル酸テトラヒドロフルフリル(メ
タ)アクリレート及びモルホリノエチル(メタ)アクリ
レート等が例示される。
【0035】この発明において、これらアルキル(メ
タ)アクリレートの中でも、得られる硬化膜の硬度及び
耐候性に優れる点で、炭素数1〜20のアルキル基を有
するものことが好ましく、炭素数1〜8のアルキル基を
有することが特に好ましい。
【0036】かかる単量体としては、メチル(メタ)ア
クリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メ
タ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、
t−ブチル(メタ)アクリレート、エチルヘキシル(メ
タ)アクリレート及びシクロヘキシル(メタ)アクリレ
ートが例示される。
【0037】ビニル系単量体として、官能基含有単量体
も使用することができ、官能基としては、水酸基、カル
ボキシル基、エポキシ基及び加水分解性シリル基が挙げ
られる。
【0038】水酸基含有単量体としては、ヒドロキシエ
チル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル
(メタ)アクリレート及びヒドロキシブチル(メタ)ア
クリレート等のヒドロキシアルキル(メタ)アクリレー
ト;2−ヒドロキシクロロプロピル(メタ)アクリレー
ト;ポリエチレングリコール及びポリプロピレングリコ
ールモノ(メタ)アクリレート等のポリアルキレングリ
コールモノ(メタ)アクリレート;ラクトン変性ヒドロ
キシエチル変性(メタ)アクリレート;水酸基含有(メ
タ)アクリレートオリゴマー等を挙げることができる。
【0039】前記のラクトン変性ヒドロキシエチル変性
(メタ)アクリレートとしては、ダイセル化学(株)製
のプラクセルFシリーズ等が市販され、水酸基含有オリ
ゴマーも市販されており、末端に水酸基を有するアクリ
レートオリゴマーである東亞合成(株)製のアロニクス
5700(商品名)、日本触媒化学工業社製のHE−1
0、HE−20、HP−10及びHP−20(いずれも
商品名)等がある。
【0040】カルボキシル基含有単量体としては、(メ
タ)アクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸、
ビニル酢酸及びクロトン酸等が挙げられる。
【0041】エポキシ基含有単量体としては、(メタ)
アクリル酸グリシジル、アリルグリシジルエーテル及び
グリシジルビニルエーテル等が挙げられる。
【0042】加水分解性シリル基含有単量体は、下記式
で表される化合物である。 R−SiXn3-n 式中、Rはオレフィン性不飽和二重結合を有する基、X
は炭素数が1〜20のアルキル基を示し、Yは加水分解
可能な基を示し、複数個有る場合のXおよびYはいずれ
も同じでも異なってもよく、nは0,1または2であ
る。
【0043】前記式におけるRの具体例としては、ビニ
ル基、アリル基、ブテニル基、ビニルオキシ基、アリル
オキシ基、アクリロイル基、メタクリロイル基、CH2
=CHO(CH23−、CH2=CHCOO(CH23
−、CH2=CHOCO(CH23−、CH2=C(CH
3)COO(CH23−、CH2=C(CH3)COO
(CH22−O−(CH23−等が挙げられ、これらの
中でもCH2=CHCOO(CH23−、 CH2=C
(CH3)COO(CH23−、およびビニル基が好ま
しい。
【0044】前記Xの具体例としては、メチル基、エチ
ル基、プロピル基、オクチル基およびオクタデシル基等
が挙げられ、Yとしてはアルコキシ基が挙げられ、その
具体例として、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ
基、ブトキシ基およびメトキシエトキシ基等が挙げら
れ、特にメトキシ基およびエトキシ基が好ましい。
【0045】加水分解性シリル基含有単量体の具体的な
化合物としては、トリメトキシシリルプロピル(メタ)
アクリレート、トリエトキシシリルプロピル(メタ)ア
クリレート、メチルジメトキシシリルプロピル(メタ)
アクリレート、ビニルトリメトキシシランなどが挙げら
れる。
【0046】<重合方法>この発明は、マレイミド単量
体と他のビニル系単量体とをラジカル重合することによ
りマレイミド基含有重合体を製造する方法に関するもの
で、マレイミド単量体と他のビニル系単量体とをラジカ
ル重合することに関して云えば、前記WO98/589
12号公報にも示された方法、さらには、一般的なラジ
カル重合方法を適用することができる。
【0047】この発明の最大の特徴は、最終的に得られ
るマレイミド基含有重合体を構成する単量体を二つに分
割し、かつ、分割されたそれぞれの単量体中のマレイミ
ド単量体の構成割合を異ならせ、すなわち偏在させて、
一方の単量体を重合して得られた重合体の存在下に他方
の単量体を重合させたところにある。
【0048】より詳説すれば、重合すべきビニル系単量
体を、それぞれのビニル系単量体中に存在するマレイミ
ド単量体の構成割合が異なるように、好ましくは一方の
みにマレイミド単量体が存在するように二つに分割し、
分割されたビニル系単量体、好ましくはマレイミド単量
体を含まないビニル系単量体の一方を、まず重合(以
下、前段重合と云う。)し、その重合が完了又はほぼ完
了し重合体が生成した後に、残りのビニル系単量体、好
ましくはマレイミド単量体を含むビニル系単量体を添加
し、該重合体の存在下に重合(以下、後段重合と言
う。)させる分割重合又はグラフト重合と称される方法
で重合することにより、この発明のマレイミド基含有重
合体を得ることができるのである。
【0049】この発明の製造方法で使用する重合体及び
ビニル系単量体の組合わせについて、より好ましい具体
例を、以下の1)〜7)に示す。 1)マレイミド単量体を構成単量体として含まない重合
体の存在下に、マレイミド単量体を含むビニル系単量体
を重合する製造方法。 2)前記1)の製造方法において、重合体がスチレン系
単量体を必須の構成単量体とする重合体である製造方
法。これら1)、2)の製造方法によれば、得られる重
合体の硬化性を低下させることなく、又、硬化膜の着色
の問題を生じることなく、硬化膜の硬度及び光沢をさら
に優れたものとすることができる。
【0050】3)前記1)の製造方法において、重合体
が加水分解性シリル基含有単量体を必須の構成単量体と
する重合体である製造方法。この製造方法によれば、得
られる重合体の硬化膜を耐候性、耐溶剤性及び耐汚染性
に優れたものとすることができる。
【0051】4)前記1)の製造方法において、重合体
がフルオロオレフィンを必須の構成単量体とする重合体
である製造方法。この製造方法によれば、得られる重合
体の硬化膜を耐候性に優れたものとすることができる。
【0052】5)マレイミド単量体を必須の構成単量体
とする重合体の存在下に、マレイミド単量体を含まない
ビニル系単量体を重合する製造方法。 6)前記5)の製造方法において、ビニル系単量体がス
チレン系単量体を必須成分とするものである製造方法。
これら5)、6)の製造方法によれば、得られる重合体
の硬化性を低下させることなく、又硬化膜の着色の問題
を生じることなく、硬化膜の硬度及び光沢をさらに優れ
たものとすることができる。
【0053】7)前記5)の製造方法において、ビニル
系単量体が加水分解性シリル基含有単量体を必須のせい
ぶんとする製造方法。この製造方法によれば、得られる
重合体の硬化膜を耐候性、耐溶剤性及び耐汚染性に優れ
たものとすることができる。
【0054】その際、前段重合と後段重合は、同一の重
合反応槽で行うこと、すなわち、前段重合を行わせた重
合反応槽に、前段重合が完了又は略完了し重合体が生成
した後に、後段重合させるビニル系単量体を投入し、該
前段重合で得られた重合体の存在下に重合を行わせると
いう方法が製造の容易性から好ましい方法であるが、前
段重合と後段重合を別々の重合反応槽で行うことも可能
で、さらには、前段重合で得られる重合体と同等の重合
体が既存し、あるいは市販品として存在するのであれ
ば、該重合体を利用すればよく、この発明を実施するの
に前段重合を実施者が行うことは必ずしも必要ではな
い。
【0055】ビニル系単量体の重合は有機溶剤中で行う
ことものであるが、用いられる有機溶剤としては、重合
が溶液状態で行われるように、共存する重合体、ビニル
系単量体、目的とするマレイミド基含有重合体のいずれ
をも溶解するものが好ましいが、非水分散系重合も可能
であり、格別に制限されるものではない。
【0056】有機溶剤の例としては、テトラヒドロフラ
ン及びジオキサンなどの環状エーテル;n−ヘキサン及
びシクロヘキサンなどの炭化水素;ベンゼン、トルエン
及びキシレンなどの芳香族炭化水素化合物;酢酸エチル
及び酢酸ブチルなどの酢酸エステル;アセトン、メチル
エチルケトン、メチルイソブチルケトン、メチルアミル
ケトン及びシクロヘキサノンなどのケトン;エタノー
ル、イソプロパノール、n−ブタノール及びn−ブチル
セロソルブなどのアルコール類;並びにミネラルスピリ
ット、炭化水素系混合溶剤のナフサNo5(芳香族分5
0質量%)及びナフサNo6(芳香族分30質量%)
〔いずれもエクソン化学(株)商品名〕、LAWS(芳香
族分30質量%)、HAWS(芳香族分50質量%)
〔いずれもシェル化学(株)商品名〕及びスワゾール10
00〔丸善石油(株)製などがある〕などの炭化水素系溶
剤などが挙げられる。
【0057】これら有機溶剤は2種以上を併用すること
も可能で、その使用量としては、重合体とビニル系単量
体の総量100質量部に対して20〜200質量部の範
囲が好ましい。
【0058】このビニル系単量体の重合は、ラジカル重
合開始剤を用いたラジカル重合で行われ、ラジカル重合
開始剤としては、ジイソプロピルパーオキシジカーボネ
ート、tert−ブチルパーオキシピバレート、ベンゾイル
パーオキサイド及びラウロイルパーオキサイドなどの過
酸化物、過硫酸アンモニウム及び過硫酸カリウムなどの
無機過酸化物、並びにアゾビスイソブチロニトリル及び
アゾビスイソバレロニトリル等のアゾ化合物を挙げるこ
とができ、その使用量としては、重合すべきビニル系単
量体量に対し0.0001〜10質量%が好ましく、い
ずれの重合においても、必要に応じてラウリルメルカプ
タン等の連鎖移動剤を加えても良い。
【0059】共存する重合体とビニル系単量体の割合
は、重量比で10/90〜90/10であるのが好まし
く、この範囲を外れると、マレイミド単量体を偏在させ
る効果が乏しくなり、それは、マレイミド単量体を多く
重合する時により顕著となり、この発明の目的とする効
果を求めることが困難、すなわち、得られるマレイミド
基含有重合体の架橋性能が不十分となったり、耐候性が
向上しなかったりするので、上記範囲内で行うことが好
ましい。
【0060】マレイミド単量体は、最終的に得られるマ
レイミド基含有重合体中における構成割合が5〜40質
量%となるように用いるのが好ましく、マレイミド単量
体が5質量%より少ないと、マレイミド基含有重合体に
架橋点が少なくなり、硬化性や硬化塗膜の性能が低下す
ることがあり、一方40質量%より多いと、得られる塗
膜が脆く、耐候性が低下する場合がある。
【0061】マレイミド単量体と共重合させるビニル系
単量体の種類と使用量は、目的とするマレイミド基含有
重合体の用途・性能などに応じて、上記したビニル系単
量体から、その種類と使用量を選択すればよく、それに
より、多種多様の、又種々の特性を有するマレイミド基
含有重合体を調製することができる。
【0062】また、この発明によれば、従来、共重合さ
せることにより、問題を発生させていたスチレン系単量
体や加水分解性シリル基含有単量体を問題なく使用で
き、それにより種々の特性の付与が可能となるのであ
る。
【0063】重合条件としては特に限定されないが、好
ましい重合温度は温度20〜140℃であり、通常は常
圧で行なわれ、重合時間は、通常3〜40時間に制御す
るのが好ましい。
【0064】重合させるビニル系単量体は、重合に際し
て、その全量を初期に一括重合反応槽に仕込んでもよい
し、重合の進行と共に一部の単量体を逐次添加すること
でもよい。
【0065】重合条件は、最終的には、重合するビニル
系単量体の種類と量、目的とするマレイミド基含有重合
体の平均分子量やガラス転移点に基づいて定められるも
のであって、マレイミド基含有重合体の平均分子量とし
ては、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー法によ
るポリスチレン換算の数平均分子量で1,000〜1,
000,000であることが好ましく、特に好ましいの
は3,000〜30,000であり、ガラス転移点とし
ては5℃〜80℃の範囲が好適であるので、そのような
マレイミド基含有重合体が得られる様に、重合条件を設
定するのが好ましい。
【0066】なお、マレイミド基含有重合体の平均分子
量と、ガラス転移点が上記範囲を外れると、硬化膜の耐
汚染性が低下したり、硬化膜の加工性が低下することが
あるので避けるのが好ましい。
【0067】<使用方法>この発明で得られるマレイミ
ド基含有重合体は、活性エネルギー線硬化型や紫外線硬
化型の塗料並びにその他のコーティング剤、印刷イン
キ、接着剤、充填剤及び成形材料などの主剤として用い
られるものであるが、特に塗料の原料として優れてお
り、塗料として用いる際には、塗料で一般的に使用され
る各種添加物を混合して調製される。
【0068】有機溶剤としては、沸点が60℃以上のも
のを使用することが好ましく、具体的には、前記重合に
用いられた有機溶媒以外に、オルソ蟻酸トリメチル、オ
ルソ酢酸トリメチル等のオルソ酸エステル類を例示でき
るが、沸点が60℃未満の有機溶剤を使用すると、塗料
において乾燥が早くなり造膜性に劣る。
【0069】マレイミド基含有重合体と有機溶剤の比率
は、25:75〜75:25(重量比)であることが好
ましい。
【0070】顔料としては、通常塗料で使用される種々
の顔料、具体的には、酸化チタン、べんがら、黄色酸化
鉄、焼成顔料、パール顔料及び雲母片等の無機顔料、フ
タロシアニンブルー、キナクリドンレッド、ペリレン、
イソインドリノン、イルガジンエロー及びカーボンブラ
ック等の有機顔料、炭酸カルシウム及び硫酸バリウム等
の体積顔料、アルミ粉、ステンレス粉及びブロンズ粉等
のメタリック顔料が挙げられる。
【0071】また、顔料には、艶消し剤を併用すること
も可能であり、ポリエチレンワックス、ポリプロピレン
ワックス及びシリカ系艶消し剤等が挙げられるが、顔料
の使用量は、使用する成分及び目的等に応じて適宜決定
すれば良いが、マレイミド基含有重合体100質量部当
たり1〜100質量部が好ましい。
【0072】マレイミド基含有重合体は、それ自体架橋
硬化するものであるが、該架橋反応を促進させるため
に、光増感剤を併用することもでき、光増感剤として
は、ベンゾフェノン、3−メトキシベンゾフェノンなど
のベンゾフェノン類、アセトフェノン、3−メチルアセ
トフェノンなどのアセトフェノン類、キサントン類及び
アシルフォスフィンオキシド類などが挙げられ、マレイ
ミド基含有重合体成分100質量部当たり、0.1〜1
0質量部が好ましい。
【0073】また、これら以外にも、分散剤、紫外線吸
収剤、表面調整剤及び増粘剤等の添加剤を加えてもよ
く、また、耐汚染性を向上させるためにアルキルシリケ
ート、アルキルシリケートオリゴマーを添加することも
できる。
【0074】このようにして調製された塗料は、種々の
基材に塗工可能で、具体的には、鋼板、ステンレス、ア
ルミ、コンクリート、モルタル、プラスチック及び木材
等が挙げられ、また、使用方法としては、常法に従えば
良く、基材に対して、スプレー、はけ、ロール及びバー
コーター等により、直接又はプライマーを介して塗装す
ることができる。
【0075】
【作用】この発明の奏する効果が、どのような機能・作
用によるものであるか不明であるが、最終的に得られる
マレイミド基含有重合体を構成する単量体を二つに分割
し、かつ、分割されたそれぞれの単量体中のマレイミド
単量体の構成割合を異ならせ、一方の単量体を重合させ
て得られた重合体の存在下に、他方の単量体を重合さ
せ、マレイミド単量体を偏在させて重合させたことによ
るものであって、一般的に云えば、分割重合又はグラフ
ト重合と称される方法で重合したことによるもので、グ
ラフトしているか否かは不明であるが、このようにして
製造されたマレイミド基含有重合体は、マレイミド基含
有重合体を構成する単量体を二つに分割して、それぞれ
重合して混合したもの(ブレンド品)が奏しえない効
果、例えば、ゲル分率、耐候性に優れた効果を奏するの
である。
【0076】また、マレイミド基含有重合体から得られ
る硬化膜の硬度及び光沢を上げるために、スチレンを多
量に使用することをも可能とするのである。
【0077】
【実施例】以下、実施例に基づいて、この発明をより詳
細に説明する。なお、実施例中で用いた略号は、以下の
ものを意味する。 MMA:メタクリル酸メチル BMA:メタクリル酸ブチル BA:アクリル酸ブチル CHA:アクリル酸シクロヘキシル HEMA:メタクリル酸2−ヒドロキシエチル AA:アクリル酸 MTRIMS:メタクリロキシプロピルトリメトキシシ
ラン AIBN:アゾビスイソブチロニトリル DMMIA:下式(3)で示されるマレイミド単量体 THPIA:下式(4)で示されるマレイミド単量体 THPIM:下式(5)で示されるマレイミド単量体
【0078】
【化4】
【0079】
【化5】
【0080】
【化6】
【0081】実施例1 「マレイミド基を有せず、加水分解性シリル基を有する
重合体(60wt%)の存在下でマレイミド単量体を含
み加水分解性シリル基含有単量体を含まない単量体混合
物(40wt%)を重合した例」攪拌機、冷却管、温度
計、窒素導入管を備えた1リッターセパラブルフラスコ
に酢酸ブチル290gを入れ、温度90℃に昇温した。
窒素気流下で以下の単量体と開始剤の混合物を3時間か
けて滴下した。 MMA 84.0g BA 36.0g CHA 38.0g HEMA 2.0g MTRIMS 20.0g オルト蟻酸トリメチル 10.0g AIBN 1.8g 滴下終了後、1時間間そのまま攪拌を続けて重合体を得
た。
【0082】さらに、以下に示す単量体と開始剤の混合
物を、2時間かけて滴下して重合した。 MMA 46.0g BA 17.0g CHA 36.0g DMMIA 20.0g HEMA 1.0g AIBN 1.2g 滴下終了後、AIBNの0.5gを酢酸ブチルの10.
0gに溶解した物を添加し、更に2時間攪拌して重合し
た。反応終了後室温に冷却し、透明な重合液(以下P1
溶液という。)を得た。P1溶液の加熱残分は49.8
%、GPCで測定した重合体の数平均分子量Mnは18
000であった。
【0083】実施例2 「スチレンを構成単量体とする重合体(50wt%)の
存在下でマレイミド単量体を含みスチレンを含まない単
量体混合物(50wt%)を重合した例」実施例1と同
様の装置に、スチレン、BMA、CHA、HEMA、A
Aから構成され、その重量比が30.0/20.0/4
8.0/1.0/1.0であり、分子量がMn=250
00である重合体のキシレン50wt%溶液の300
g、酢酸ブチルの150gを入れ温度75℃に昇温し
た。窒素気流下で以下の単量体と開始剤の混合物を3時
間かけて滴下し重合した。 BMA 35.0g CHA 75.0g THPIA 38.0g HEMA 1.0g AA 1.0g AIBN 1.5g 滴下終了後AIBNの0.3gを酢酸ブチル10gに溶
解した溶液を添加し、更に2時間重合反応させた後、冷
却し、透明な重合液(以下P2溶液という。)を得た。
P2溶液の固形分は50.2%、GPCで測定した重合
体の数平均分子量Mnは26000であった。
【0084】実施例3 「マレイミド基を有し、加水分解性シリル基を有しない
重合体(70wt%)の存在下でマレイミド単量体を含
まず加水分解性シリル基含有単量体を含む単量体混合物
(30wt%)を重合した例」実施例1と同様の装置に
酢酸ブチルの150g、キシレンの150gを入れ温度
90℃に昇温した。窒素気流下で以下の単量体と開始剤
の混合物を2時間かけて滴下し重合した。 MMA 63.0g BA 29.4g BMA 84.0g THPIM 31.5g HEMA 2.1g AIBN 2.1g
【0085】滴下終了後、以下に示す単量体と開始剤の
混合物を1時間かけて滴下し重合した。 MMA 27.0g BA 12.0g BMA 38.0g MTRIMS 13.0g AIBN 0.9g 滴下終了後、AIBNの0.3gを酢酸ブチル10gに
溶解した溶液を添加し、更に2時間反応させた後、冷却
し、透明な重合液(以下、P3溶液という。)を得た。
P3溶液の固形分は49.8%、GPCで測定した重合
体の数平均分子量Mnは17000であった。
【0086】実施例4 「加水分解性シリル基を有するフルオロオレフィン共重
合体(50wt%)の存在下でマレイミド単量体を含む
単量体混合物(50wt%)を重合した例」実施例1と
同様の装置に、クロロトリフルオロエチレン、CHA、
ビニルトリメトキシシランから構成され、その比率が4
0/50/10(wt%)であり、分子量がMn=14
000である重合体のキシレン50%溶液の300g、
酢酸ブチルの140g、オルト蟻酸トリメチルの10g
を入れ、温度85℃に昇温した。窒素気流下で以下の単
量体と開始剤の混合物を3時間かけて滴下した。 CHA 90.0g BMA 35.0g THPIA 25.0g AIBN 1.5g 滴下終了後AIBNの0.3gを酢酸ブチル10gに溶
解した溶液を添加し、更に2時間反応させた後、冷却
し、透明な重合体溶液(以下P4溶液という。)を得
た。P4溶液の固形分は50.0%、GPCで測定した
重合体の数平均分子量Mnは15000であった。
【0087】比較例1 「実施例1の前段と後段に分割使用する単量体を分割せ
ずに一括で重合した例。」実施例1と同様の装置に、酢
酸ブチルの290g、オルト蟻酸トリメチルの10gを
入れ、温度90℃に昇温した。窒素気流下で以下の単量
体と開始剤の混合物を5時間かけて滴下した。 MMA 130.0g BA 53.0g CHA 74.0g DMMIA 20.0g MTRIMS 20.0g HEMA 3.0g AIBN 3.0g 滴下終了後、AIBNの0.5gを酢酸ブチルの10.
0gに溶解した物を添加し、更に2時間攪拌した。反応
終了後室温に冷却し、透明な重合体溶液(以下P5溶液
という)を得た。P5溶液の加熱残分は50.0%、G
PCで測定した数平均分子量Mnは18000であっ
た。
【0088】比較例2 「スチレンとマレイミド単量体を含む単量体混合物を重
合した例」実施例1と同様の装置に、酢酸ブチルの15
0g、キシレンの150gを入れ、温度75℃に昇温し
た。窒素気流下で以下の単量体と開始剤の混合物を5時
間かけて滴下した。 スチレン 45.0g BMA 65.0g CHA 147.0g THPIA 38.0g HEMA 2.5g AA 2.5g AIBN 3.0g 滴下終了後、AIBNの0.5gを酢酸ブチルの10.
0gに溶解した物を添加し、更に2時間攪拌した。反応
終了後室温に冷却し、透明な重合体溶液(以下P6溶液
という。)を得た。P6溶液の加熱残分は49.8%、
GPCで測定した重合体の数平均分子量Mnは2500
0であった。
【0089】比較例3 「マレイミド基を有する共重合体と加水分解性シリル基
を有する重合体(実施例4の重合組成と同一組成)のブ
レンド例」MMA、BA、BMA、THPIM、HEM
Aから構成され、その比率が30.0/14.0/4
0.0/15.0/1.0であり、分子量がMn160
00である重合体のキシレン/酢酸ブチル=50/50
(wt%)の混合溶剤の溶液の420g、およびMM
A、BA、BMA、MTRIMSから構成されその比率
が30.0/13.3/42.2/14.5(wt%)
であり分子量がMn=17000である重合体をキシレ
ン/酢酸ブチル/オルト蟻酸トリメチル=48/48/
4(wt%)の混合溶剤に溶解した溶液の180gを混
合し、透明な重合体溶液(以下、P7溶液という。)を
得た。
【0090】比較例4 「アルコキシシリル基を有するフルオロオレフィン共重
合体と、マレイミド基を有する共重合体(実施例4の重
合組成と同一組成)のブレンド例」実施例4で使用した
クロロトリフルオロエチレン、CHA、ビニルトリメト
キシシランの共重合体溶液の300g、およびCHA、
BMA、THPIAから構成されその比率が60.0/
23.3/16.7(wt%)である重合体を酢酸ブチ
ル/オルト蟻酸トリメチル=93/7(wt%)の混合
溶剤に溶解した溶液の300gを混合し、重合体溶液
(以下、P8溶液という。)を得た。得られた溶液は薄
く白濁していた。
【0091】<評価試験>上記実施例及び比較例で得ら
れた重合体溶液を用いて、以下の試験を行い、比較評価
した。 イ.クリア塗膜での硬化性試験方法 樹脂溶液をバーコーターにて、ブリキ板に塗装する(乾
燥膜厚:約50μ。) 塗装1時間後に屋外南面60度の角度に設置し、乾燥す
る。3日経過後、および1週間経過後のサンプルに付
き、基材からフリーフィルムを剥離する。アセトンに浸
漬した前後の重量を測定し、 不溶部(%)=浸漬後の重量(g)/浸漬前の重量
(g)×100 の式に基づいて、それぞれの不溶部の重量分率(%)を
算出し、その結果を表1に示した。
【0092】
【表1】
【0093】ロ.白塗膜での促進耐候性塗料の調製 表2に示す配合で白色塗料を調製した。 表2における単位はgで、表中の略号は、以下のとおり
である。 1)CR97:酸化チタン(石原産業株式会社製) 2)DETX−S溶液:2,4−ジエチルチオキサント
ン(日本化薬株式会社製)の5%酢酸ブチル溶液 3)DBTDL溶液:ジブチルスズジラウレートの1%
酢酸ブチル溶液
【0094】
【表2】
【0095】ハ.試験項目及び測定法 W1からW8の白塗料を、クロメート処理アルミ板にバ
ーコーターで塗装し、塗装2時間後、屋外南面に60度
の角度で固定し、乾燥した(乾燥膜厚:約30μ)。乾
燥1週間後の試験板について、以下の試験を行った。 a.硬化性:塗膜にキシレンを滴下して不溶部があるか
ないかを判断した。 ○:不溶部なし △:一部不溶部あり ×:ほとんど硬化していない b.光沢値:塗膜の60度光沢を測定した。 c.黄変度:塗膜のb値を測定した。値が大きいほど黄
変していることを示す。 d.耐候性:サンシャインウエザメーター1500時間
後の光沢保持率(%)を測定した。その結果を表3に示
す。
【0096】
【表3】
【0097】
【発明の効果】この発明によれば、従来のマレイミド基
含有重合体が有していた問題点、すなわち、マレイミド
基含有重合体から得られる硬化膜の硬度及び光沢を上げ
るために、スチレンを共重合する、特に5wt%以上の
スチレンを共重合すると、それにより得られるマレイミ
ド基含有重合体は、マレイミド基による光2量化反応の
速度が遅くなるという傾向があり、その速度を早めるた
めに光増感剤等を添加すると、硬化塗膜の着色が顕著に
なるという問題点、及び、加水分解性シリル基含有単量
体とマレイミド単量体を含むビニル系単量体をラジカル
共重合して得られるマレイミド基含有重合体から得られ
る硬化膜が、マレイミド基を含まない重合体から得られ
る硬化膜より耐候性が低下することがあるという問題点
を、完全に解消することができるという優れた効果を奏
するのである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C08F 257/02 C08F 257/02 259/08 259/08 275/00 275/00 (72)発明者 岡崎 栄一 名古屋市港区船見町1番地の1 東亞合成 株式会社高分子材料研究所内 Fターム(参考) 4J011 HA03 HB13 HB14 4J026 AA17 AA26 AA63 BA32 BA38 DA02 FA07 GA06 4J100 AB02Q AL08Q AM43P AM54P AP16Q BA75 CA04 FA03 FA19 JA37

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】それぞれが構成成分として含有するマレイ
    ミド基を有する単量体の割合が相異なる重合体とビニル
    系単量体を用い、 有機溶剤中で前記重合体の存在下に、前記ビニル系単量
    体をラジカル重合することを特徴とするマレイミド基を
    有する硬化性重合体の製造方法。
  2. 【請求項2】前記マレイミド基が、 下記一般式で示される基であることを特徴とする請求項
    1に記載のマレイミド基を有する硬化性重合体の製造方
    法。 【化1】 但し、式(1)中、R1及びR2は、両者同一又は異なっ
    ていてもよい水素原子若しくはアルキル基、又は両者が
    結合して形成した炭素環を示す。
  3. 【請求項3】前記重合体が、 重合体を構成する単量体として、マレイミド基を有する
    単量体を含まないものであること を特徴とする請求項1又は請求項2に記載のマレイミド
    基を有する硬化性重合体の製造方法。
  4. 【請求項4】前記重合体が、 スチレン系単量体を必須の構成単量体とし、マレイミド
    基を有する単量体を構成単量体としないものであること
    を特徴とする請求項1又は請求項2に記載のマレイミド
    基を有する硬化性重合体の製造方法。
  5. 【請求項5】前記重合体が、 加水分解性シリル基を有し、マレイミド基を有しないも
    のであることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載
    のマレイミド基を有する硬化性重合体の製造方法。
  6. 【請求項6】前記重合体が、 フルオロオレフィンを必須の構成単量体とし、マレイミ
    ド基を有する単量体を構成単量体としないものであるこ
    とを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のマレイミ
    ド基を有する硬化性重合体の製造方法。
  7. 【請求項7】前記ビニル系単量体が、 マレイミド基を有する単量体を含まないものであること
    を特徴とする請求項1又は請求項2に記載のマレイミド
    基を有する硬化性重合体の製造方法。
  8. 【請求項8】前記ビニル系単量体が、 スチレン系単量体を必須成分とし、マレイミド基を有す
    る単量体を含まないものであることを特徴とする請求項
    1又は請求項2に記載のマレイミド基を有する硬化性重
    合体の製造方法。
  9. 【請求項9】前記ビニル系単量体が、 加水分解性シリル基含有単量体を必須成分とし、マレイ
    ミド基を有する単量体を含まないものであることを特徴
    とする請求項1又は請求項2に記載のマレイミド基を有
    する硬化性重合体の製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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CN116003687A (zh) * 2023-01-09 2023-04-25 南亚新材料科技股份有限公司 马来酰亚胺树脂预聚物及其制备方法、树脂组合物和应用

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