JP2002356357A - モルタル - Google Patents

モルタル

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Tadateru Kuroda
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Abstract

(57)【要約】 【解決手段】 JASS15M−103の条件にて、セ
メント、減水剤、増粘剤、骨材及び水からなるモルタル
のフロー値を測定した場合に、練り混ぜ直後のフロー値
よりも30分後のフロー値が増大する減水剤と、練り混
ぜ後のフロー値が増大することのない減水剤、及び/又
はセルロース誘導体と水溶性天然高分子とを含有するモ
ルタル。 【効果】 可使時間が長く、しかも材料分離が起こら
ず、施工性に優れたものである。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、可使時間が長く、
しかも材料分離が起こらず、施工性に優れたモルタルに
関する。
【0002】
【従来の技術】セルフレベリング材、グラウト材、左官
材等のモルタルは、良好な施工性を有することが必要で
あり、このためには、モルタルを練り混ぜてから、ある
一定の時間が経過するまでは、施工可能な軟度を有して
いることが重要である(可使時間の確保)。可使時間を
確保するため、一般に、減水剤を添加して軟度を付与し
たり、硬化を遅延させることが行われている。しかし、
用いる減水剤によっては、過剰なブリーディングや材料
分離によりモルタル表面の仕上りが悪くなる場合があっ
たり、鏝押えの時間が十分に確保できず、打ち継ぎ部の
一体化が困難になる場合がある。
【0003】このため、減水剤を用いて軟度が大きくな
ったモルタルには、過剰なブリーディングや材料分離を
抑えるため、一般に増粘剤が用いられている。しかし、
用いる増粘剤によっては、過剰なブリーディングや材料
分離は抑えられるものの、粘性が高く、施工性が悪くな
る場合があり、また、施工性に悪影響は与えないものの
増粘効果が低く、十分にブリーディングや材料分離を抑
えることができない場合もあり、十分満足できるもので
はなかった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】従って、本発明の目的
は、可使時間が長く、しかも材料分離が起こらず、施工
性に優れたモルタルを提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】かかる実情において、本
発明者らは鋭意研究を行なった結果、特定の2種の減水
剤を組合わせるか、及び/又は特定の2種の増粘剤を組
合わせて用いれば、十分な可使時間が確保され、その間
の軟度は一定で、しかも材料分離が起こらず、施工性に
優れたモルタルが得られることを見出し、本発明を完成
した。
【0006】すなわち、本発明は、JASS15M−1
03の条件にて、セメント、減水剤、増粘剤、骨材及び
水からなるモルタルのフロー値を測定した場合に、練り
混ぜ直後のフロー値よりも30分後のフロー値が増大す
る減水剤と、練り混ぜ後のフロー値が増大することのな
い減水剤とを含有するモルタルを提供するものである。
【0007】また、本発明は、セルロース誘導体及び水
溶性天然高分子を含有するモルタルを提供するものであ
る。
【0008】また、本発明は、JASS15M−103
の条件にて、セメント、減水剤、増粘剤、骨材及び水か
らなるモルタルのフロー値を測定した場合に、練り混ぜ
直後のフロー値よりも30分後のフロー値が増大する減
水剤と、練り混ぜ後のフロー値が増大することのない減
水剤、並びにセルロース誘導体及び水溶性天然高分子を
含有するモルタルを提供するものである。
【0009】
【発明の実施の形態】本発明のモルタルは、JASS1
5M−103の条件にて、セメント、減水剤、増粘剤、
骨材及び水からなるモルタルのフロー値を測定した場合
に、練り混ぜ直後のフロー値よりも30分後のフロー値
が増大する減水剤と、練り混ぜ後のフロー値が増大する
ことのない減水剤とを含有するものである。本発明にお
いて、用いる減水剤がいずれのものかは、セメント10
0重量部、減水剤0.2〜1重量部、増粘剤0.25重
量部、骨材150重量部及び水56重量部からなるモル
タルのフロー値を測定し、そのフロー値の変動により、
決定される。
【0010】このような、練り混ぜ直後のフロー値より
も30分後のフロー値が増大する減水剤としては、例え
ば太平洋セメント社製コアフローNF-100(末端ス
ルホン基を有するポリカルボン酸基含有多元ポリマ
ー)、SKW社製メルフラックス1641F(ポリエー
テルカルボン酸)、花王社製マイティ21P(カルボキ
シル基含有ポリエーテル系化合物)等が挙げられる。ま
た、練り混ぜ後のフロー値が増大することのない減水剤
としては、例えばSKW社製メルフラックスPP100
F(ポリエチレングリコール基グラフト重合体)、メル
メントF10M(メラミンスルホン酸系縮合物)、花王
社製マイティ100(ナフタレンスルホン酸塩ホルムア
ルデヒド縮合物)、第一工業製薬社製セルフロー110
P(ポリアルキルアリルスルフォン酸塩)等が挙げられ
る。
【0011】練り混ぜ直後のフロー値よりも30分後の
フロー値が増大する減水剤は、セメント100重量部に
対して0.02〜1重量部、特に0.05〜0.6重量
部配合するのが、可使時間が長く、しかも硬化時間が速
いので好ましい。また、練り混ぜ後のフロー値が増大す
ることのない減水剤は、セメント100重量部に対して
0.02〜1.5重量部、特に0.1〜1.3重量部配
合するのが、可使時間が長く、しかも硬化時間が速いの
で好ましい。さらに、これらの減水剤の混合割合は、
(練り混ぜ直後のフロー値よりも30分後のフロー値が
増大する減水剤)/(練り混ぜ後のフロー値が増大する
ことのない減水剤)の重量比が0.1〜2、特に0.1
〜1であるのが、フロー値の変動が小さいので好まし
い。
【0012】また、本発明のモルタルは、セルロース誘
導体及び水溶性天然高分子を含有するものである。ここ
で、セルロース誘導体としては、例えばメチルセルロー
ス、カルボキシメチルセルロース、メチルヒドロキシプ
ロピルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒド
ロキシエチルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセ
ルロース、セルロース硫酸エステル等の水溶性セルロー
ス誘導体が挙げられる。
【0013】また、水溶性天然高分子としては、例えば
ペクチン、カゼイン、ゼラチン、アルブミン等の蛋白
質;アラビアガム、トララントガム、カラヤガム等の樹
脂多糖類;タマリンドガム、グアーガム、タラガム、ロ
ーカストビーンガム等の種子多糖類;アルギン酸塩、ア
ルギン酸プロピルグリコールエステル、カラギーナン、
ファーセルラン、寒天等の海草多糖類;ハイメトキシペ
クチン、ローメトキシペクチン等の植物多糖類;生デン
プン、デキストリンブリティッシュガム、酸化デンプ
ン、エーテル化又はエステル化デンプン等のデンプン
類;ウェラムガム、キサンタンガム、プルラン、グルカ
ン等の微生物多糖類;キチン、キトサン等のアミノ酸多
糖類;コンドロイチン硫酸、ヒアルロン酸等のムコ多糖
類などが挙げられる。
【0014】セルロース誘導体は、セメント100重量
部に対して0.02〜2.1重量部、特に0.1〜1.
5重量部配合するのが、硬化時間が速く、しかも表面状
態も良好であり好ましい。また、水溶性天然高分子は、
セメント100重量部に対して1.1重量部以下、特に
0.01〜0.5重量部配合するのが、硬化時間が速
く、しかも表面状態も良好であり好ましい。さらに、セ
ルロース誘導体及び水溶性天然高分子の混合割合は、水
溶性天然高分子/セルロース誘導体の重量比が1未満で
あるのが、表面状態が良好であるので好ましい。
【0015】本発明のモルタルにおいては、前記の2種
の減水剤とともに、前記セルロース誘導体及び水溶性天
然高分子を組合わせて用いることもでき、可使時間内で
の流動性が一定し、施工性により優れるので好ましい。
【0016】また、本発明のモルタルには、セメント、
石膏を配合することができる。セメントとしては、普通
ポルトランドセメント、早強ポルトランドセメント等の
ポルトランドセメントや、高炉セメント、シリカセメン
ト、フライアッシュセメント、アルミナセメント等が挙
げられる。セメントは、モルタルの水を除いた全組成中
に10〜60重量%、特に25〜50重量%配合するの
が、良好な作業性及び十分な強度が得られるので好まし
い。また、石膏としては、無水石膏、半水石膏、二水石
膏等が挙げられる。石膏は、モルタルの水を除いた全組
成中に0〜30重量%、特に2〜20重量%配合するの
が、良好な作業性が得られるので好ましい。
【0017】また、本発明のモルタルには、硬化促進剤
及び硬化遅延剤を配合することができる。硬化促進剤と
しては、例えば炭酸リチウム、塩化リチウム、硫酸リチ
ウム、硝酸リチウム等の無機酸塩;酢酸リチウム、酒石
酸リチウム、クエン酸リチウム等の有機酸塩;水酸化ナ
トリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム等のアル
カリ金属又はアルカリ土類金属の水酸化物などが挙げら
れ、特に炭酸リチウムが好ましい。硬化促進剤は、セメ
ント100重量部に対して0.02〜2.5重量部、特
に0.04〜1.5重量部配合するのが、可使時間が長
く、しかも硬化が速いので好ましい。
【0018】また、硬化遅延剤としては、例えば酒石
酸、クエン酸、リンゴ酸、グルコン酸等のオキシカルボ
ン酸や、リン酸、ホウ酸又はこれらのアルカリ金属塩
(リチウム塩を除く)、アルカリ土類金属塩などが挙げ
られる。硬化遅延剤は、セメント100重量部に対して
0.04〜2.5重量部、特に0.04〜1.5重量部
配合するのが、可使時間が長く十分な流動性が得られ、
しかも硬化が速いので好ましい。
【0019】本発明のモルタルには、前記以外に、通常
のモルタルに用いられる成分、例えば水和膨張性物質、
無機粉末、骨材、繊維、保水剤、顔料、収縮低減剤、界
面活性剤、消泡剤、防水剤、防錆剤、作業性改善剤、分
離防止剤、撥水剤、AE剤、白華防止剤、水等を適宜配
合することができる。
【0020】
【発明の効果】本発明のモルタルは、可使時間が長く、
しかも材料分離が起こらず、施工性に優れたものであ
る。
【0021】
【実施例】次に、実施例を挙げて本発明を更に詳細に説
明するが、本発明はこれらにより何ら制限されるもので
はない。
【0022】参考例1 表1に示す組成のモルタルを常法により製造した。得ら
れたモルタルについて、練り混ぜ直後(0分)、30分
及び60分後のフロー値を、JASS15M−103の
規定に従って測定した。結果を表2に示す。
【0023】
【表1】
【0024】
【表2】
【0025】表2の結果より、減水剤A−1及びA−2
は、JASS15M−103の条件にて、セメント、減
水剤、増粘剤、骨材及び水からなるモルタルのフロー値
を測定した場合に、練り混ぜ直後のフロー値よりも30
分後のフロー値が増大する減水剤であり、減水剤B−
1、B−2及びB−3は、練り混ぜ後のフロー値が増大
することのない減水剤であることが確認された。
【0026】実施例1〜2、比較例1〜2 表3に示す組成のモルタルを常法により製造した。得ら
れたモルタルについて、以下の方法により、フロー値、
分離の有無、及びヒーリングテストを評価した。結果を
表4に示す。
【0027】(評価方法) (1)フロー値:練り混ぜ直後(0分)、30分、60
分及び90分後のフロー値を、JASS15M−103
の規定に従って測定した。
【0028】(2)分離の有無:フロー測定時毎にモル
タル性状を目視により観察した。ブリーディング水の発
生有無及びモルタルの広がりの状態により、ブリーディ
ング水が1回でも発生した場合や、モルタルの広がりが
きれいな円形でなく、外周がいびつな形状を1回でも示
した場合に、その水準を分離有りと判断した。
【0029】(3)ヒーリングテスト:練り混ぜ90分
経過時のフロー測定後の円形に広がったモルタルを、モ
ルタルナイフを用いて左右対称に半円2つに切れ目を入
れ、モルタルの流動性によりもとの形状に戻るか否かを
観察し、以下の基準により評価した。 ◎:切れ目がもとの形状に戻った。 ○:ほぼもとの形状に戻った。 ×:もとの形状に戻らなかった。
【0030】
【表3】
【0031】
【表4】
【0032】表4の結果より、本発明のモルタルは、十
分な流動性が確保され、材料分離が起こらず、施工性に
優れたものであった。これに対し、比較例1では、フロ
ー値の変動が非常に大きく、材料分離も認められた。ま
た、比較例2では、90分後の流動性が不足し、材料分
離も認められた。
【0033】実施例3〜4、比較例3〜4 表5に示す組成のモルタルを常法により製造し、実施例
1と同様にして、フロー値、分離の有無、及びヒーリン
グテストを評価した。結果を表6に示す。
【0034】
【表5】
【0035】
【表6】
【0036】表6の結果より、本発明のモルタルは、十
分な流動性が確保され、材料分離が起こらず、施工性に
優れたものであった。これに対し、比較例3では、フロ
ー値の変動が非常に大きく、材料分離も認められた。ま
た、比較例4では、60分後の流動性が不足した。
【0037】実施例5 表7に示す組成のモルタルを常法により製造し、実施例
1と同様にして、フロー値、分離の有無、及びヒーリン
グテストを評価した。結果を表8に示す。
【0038】
【表7】
【0039】
【表8】
【0040】表8の結果より、本発明のモルタルは、十
分な流動性が確保され、しかも流動性が一定であり、材
料分離も起こらず、施工性に優れたものであった。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 市村 高央 東京都中央区日本橋本町4−8−15 太平 洋マテリアル株式会社内 (72)発明者 黒田 忠輝 東京都中央区日本橋本町4−8−15 太平 洋マテリアル株式会社内 Fターム(参考) 4G012 PA04 PB03 PB05 PB07 PB08 PB13 PB16 PB17 PB22 PB25 PB31 PB32 PB33 PB35 PB36 PB39 PB40 PC03 PC04 PC05 PC08 PC11 PE04

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 JASS15M−103の条件にて、セ
    メント、減水剤、増粘剤、骨材及び水からなるモルタル
    のフロー値を測定した場合に、練り混ぜ直後のフロー値
    よりも30分後のフロー値が増大する減水剤と、練り混
    ぜ後のフロー値が増大することのない減水剤とを含有す
    るモルタル。
  2. 【請求項2】 セルロース誘導体及び水溶性天然高分子
    を含有するモルタル。
  3. 【請求項3】 JASS15M−103の条件にて、セ
    メント、減水剤、増粘剤、骨材及び水からなるモルタル
    のフロー値を測定した場合に、練り混ぜ直後のフロー値
    よりも30分後のフロー値が増大する減水剤と、練り混
    ぜ後のフロー値が増大することのない減水剤、並びにセ
    ルロース誘導体及び水溶性天然高分子を含有するモルタ
    ル。
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