JP2002355979A - 液体吐出ヘッドおよびその製造方法 - Google Patents

液体吐出ヘッドおよびその製造方法

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JP2002355979A
JP2002355979A JP2001166025A JP2001166025A JP2002355979A JP 2002355979 A JP2002355979 A JP 2002355979A JP 2001166025 A JP2001166025 A JP 2001166025A JP 2001166025 A JP2001166025 A JP 2001166025A JP 2002355979 A JP2002355979 A JP 2002355979A
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Genji Inada
源次 稲田
Takeshi Ikegame
健 池亀
Takaaki Kurihara
香暁 栗原
Hiroyuki Yamamoto
裕之 山本
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 オリフィスプレートとヘッド基板を光反応型
接着剤を介して接着する際に、オリフィスプレートのフ
ェイス面に形成される撥水層の密着性を損なうことな
く、オリフィスプレートとヘッド基板とを所望の部分に
て確実に接着することができ、液滴形成の不良や印字品
位の劣化を防ぐ。 【解決手段】 吐出手段を有する液流路を備えたヘッド
基板1に光反応型接着剤層23を介してオリフィス11
を備えたオリフィスプレート10を当接し、撥水層12
を覆う遮光パターン25を有する遮光マスク24をオリ
フィスプレート10上に圧接してヘッド基板1とオリフ
ィスプレート10とを圧着し、遮光マスク24を介して
オリフィスプレート越しに接着剤層23に対して光照射
を行い、遮光領域以外の領域の接着剤層23aを硬化さ
せ、その後、圧着状態のまま加熱およびキュアを行い、
ヘッド基板1とオリフィスプレート10を確実に接着す
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、オリフィスプレー
トに形成されたオリフィスからインク等の液体を飛翔液
滴として吐出させて印字記録や画像形成等を行う液体吐
出ヘッドおよびその製造方法に関し、特に、光反応型接
着剤を介してオリフィスプレートをヘッド基板に接着す
る液体吐出ヘッドおよびその製造方法に関するものであ
る。
【0002】
【従来の技術】液体吐出装置(インクジェット記録装
置)は、液体吐出ヘッドにインク等の液体を供給し、液
体吐出ヘッドに設けられたピエゾ素子や電気熱変換素子
等の吐出エネルギー発生素子を記録情報や画像情報に対
応した駆動信号に基づいて駆動することによって液滴を
吐出させることにより印字記録や画像形成等を行うもの
であり、低騒音、高速記録等の点で優れた記録装置とし
て知られている。
【0003】従来の一般的な液体吐出ヘッドは、図8に
例示するように、吐出手段(吐出エネルギー発生素子)
が形成された素子基板102、素子基板102上に液流
路106を区画形成するための液流路壁104、および
液流路106に液体を供給する液室が形成され液流路1
06の上面を形成する天板105からなり、素子基板1
02と天板105を液流路壁104を介して接合して構
成されるヘッド基板101と、液流路106に対応する
オリフィス111が形成されたオリフィスプレート11
0とを備え、オリフィスプレート110をヘッド基板1
01の液流路開口面が露出したダイシング面108に接
着剤を介して接着して構成されている。
【0004】ヘッド基板101とオリフィスプレート1
10を接着する接着剤は、ヘッド基板101あるいはオ
リフィスプレート110の接合面に予め所定の厚さの膜
として形成され、接着剤の膜を形成する手法としては、
転写法やマイクロスプレーによる塗布が用いられてい
る。
【0005】生産性の点から好適な接着剤としては、光
反応基を有する光反応型接着剤や熱反応基を有する熱反
応型接着剤等が知られている。光反応型接着剤には、光
と熱の反応基を各々有する光熱反応型接着剤も含められ
る。これらの中でも光反応型の接着剤は、光の照射の有
無により簡単に反応を管理できるため、より好適であ
り、工業的に広く使用されている。
【0006】また、ヘッド基板とオリフィスプレートの
接着に際して、特開2000−343713号公報等に
開示されている接合後露光を行う方法を利用すれば、両
者の接着は次のように行うことができる。すなわち、先
ず、ヘッド基板の接合面に液状の光反応型接着剤を転写
し、オリフィスプレートを接合面に当接させ、次いで、
オリフィスプレート越しに接着剤に光を照射してBステ
ージ化し、その後に加熱により硬化反応を加速させキュ
アを完了する。この方法では、光反応型接着剤に限ら
ず、光熱反応型接着剤を用いることもできる。このよう
な接合後露光による接着方法では、接着剤の反応開始に
必要な光(通常は、UV光)がオリフィスプレートを通
過して接着剤に届くことが必要であるため、オリフィス
プレートは、反応光を透過できる材料を基材とする必要
がある。また、Bステージ化後の接着剤を使用すると接
着界面での耐インク性が低下することが知られている
が、接合後露光は、オリフィスプレートとヘッド基板の
両者に接着剤が触れる前にBステージ化が不要であるた
め、耐インク性に優れた接着が可能である。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、前述し
た接合後露光による接着方法は、非常に手順が少なく簡
単な方法であるが、次のような問題が生じる。
【0008】その一つの問題は、オリフィスプレートの
基材が反応光を吸収することで、該基材が分子レベルで
分解され、強度が低下することである。もう一つの問題
は、オリフィス面に撥水層がコーティングされたオリフ
ィスプレートにおいては、反応光を照射した領域の撥水
層の基材との密着力が著しく低下することである。
【0009】前者の問題点は、ノンインパクト方式の液
体吐出ヘッドの通常の使用環境においては、オリフィス
プレートが強い外力を受ける機会がないため、大きな不
良となることは比較的少ない。しかし、後者の問題点に
よっては、撥水層がインクに触れることにより剥離が促
進され、特にオリフィスの周囲における撥水膜の剥離は
直接に印字よれ等の不良となり、液体吐出ヘッドの故障
の原因となる。通常用いられている有機および無機双方
の材料に対する接着力が弱いフッ素原子団を有する材料
からなる撥水層をオリフィスプレート基材にコーティン
グする系においては、この傾向が顕著である。
【0010】そこで、本発明は、前述した従来技術の有
する未解決の課題に鑑みてなされたものであって、オリ
フィスプレートとヘッド基板を光反応型接着剤を介して
接着する際に、オリフィスプレートのフェイス面に形成
される撥水層の密着性を損なうことなく、オリフィスプ
レートとヘッド基板とを所望の部分にて確実に接着する
ことができ、液滴形成の不良や印字品位の劣化を防ぐこ
とができる液体吐出ヘッドおよびその製造方法を提供す
ることを目的とするものである。
【0011】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、本発明の液体吐出ヘッドの製造方法は、吐出エネル
ギー発生素子を有する液流路を備えたヘッド基板に光反
応型接着剤の層を介してオリフィスを備えたオリフィス
プレートを接合し、前記オリフィスプレート越しに前記
接着剤に光照射することで前記ヘッド基板と前記オリフ
ィスプレートとの少なくとも一部を接着する工程を含む
液体吐出ヘッドの製造方法において、前記オリフィスプ
レート越しに行われる接合後の光照射は、遮光マスクを
介して行うことを特徴とする。
【0012】また、本発明の液体吐出ヘッドの製造方法
は、吐出エネルギー発生素子を有する液流路を備えたヘ
ッド基板に光反応型接着剤の層を介してオリフィスを備
えたオリフィスプレートを接合し、前記オリフィスプレ
ート上に光透過性の圧着板を圧接することで前記ヘッド
基板と前記オリフィスプレートとを圧着し、前記圧着板
および前記オリフィスプレート越しに前記接着剤に接合
後の光照射を行い、前記ヘッド基板と前記オリフィスプ
レートとの少なくとも一部を接着する工程を含む液体吐
出ヘッドの製造方法において、前記圧着板は所定の遮光
パターンを有することを特徴とする。
【0013】本発明の液体吐出ヘッドの製造方法におい
て、前記オリフィスプレートはフェイス面となる面に予
め撥水層が形成されていることが好ましい。
【0014】本発明の液体吐出ヘッドの製造方法におい
て、前記オリフィスプレート越しに行われる接合後の光
照射の領域は、少なくとも前記オリフィス近傍を除く領
域であることが好ましく、また、前記オリフィスプレー
ト越しに行われる接合後の光照射の領域は、前記オリフ
ィスプレート上に予めあるいは後工程で形成される親水
領域を含むことが好ましい。
【0015】さらに、本発明の液体吐出ヘッドは、前述
した液体吐出ヘッドの製造方法によって製造されたこと
を特徴とする。
【0016】
【作用】本発明の液体吐出ヘッドおよびその製造方法に
よれば、接合後露光によりオリフィスプレートをヘッド
基板に接着する液体吐出ヘッドの製造に際して、フェイ
ス面の所定の領域をマスキングして露光することで、オ
リフィスプレート表面の特定の領域が接着剤の硬化反応
のための光に晒されることを防ぎ、例えば、オリフィス
周囲のような撥水性の必要な領域の撥水層のオリフィス
プレートとの密着力を損なうことなく、オリフィスプレ
ートとヘッド基板とを所望の部分にて確実に接着するこ
とができる。これにより、フェイス面の撥水層の剥がれ
に伴う液滴形成の不良や印字品位の劣化を防ぐことがで
きる。さらに、遮光マスクを介して接合後露光を行うこ
とにより、オリフィスプレート内の脆弱な部分等の所定
箇所のUV光による劣化を防止することができる。
【0017】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図面
に基づいて説明する。
【0018】図1は、本発明に係る液体吐出ヘッドの製
造方法に基づいて製造される液体吐出ヘッドを概略的に
示す分解斜視図であり、図2は、本発明に係る液体吐出
ヘッドの製造方法の一実施例において、オリフィスプレ
ートの作製手順を示す工程図であり、図3は、本発明に
係る液体吐出ヘッドの製造方法の一実施例において、オ
リフィスプレートの接合手順を示す工程図である。
【0019】本発明に係る液体吐出ヘッドの製造方法に
基づいて製造される液体吐出ヘッドは、図1に示すよう
に、シリコンを基材料とするヘッド基板1と該ヘッド基
板1に接合されるオリフィスプレート10とから主要部
が構成されるエッジシューター型の液体吐出ヘッドであ
り、ヘッド基板1は、吐出手段(吐出エネルギー発生素
子)としての発熱体3が形成された素子基板2と、素子
基板2上に液流路6を区画形成するための感光性樹脂か
らなる液流路壁4と、液流路6に液体を供給する液室
(不図示)が形成され素子基板2に対向して液流路6の
上面を形成する天板5とからなり、素子基板2と天板5
を液流路壁4を介して接合して構成される。天板5は、
シリコンを基材とし、異方性エッチングにより液室や液
供給口(不図示)が開口されている。ヘッド基板1のダ
イシング面であって液流路6が開口した側面がオリフィ
スプレート10を接合する接合面8となる。
【0020】オリフィスプレート10は、フェイス面と
なる側の面に膜厚0.2μmのフッ素系撥水層12を塗
工する処理を施されたポリサルホンの50μmフィルム
であり、接合面の側からエキシマレーザ光を照射してオ
リフィス11が開口されている。
【0021】オリフィスプレート10をヘッド基板1に
接着する接着剤は、光および熱反応型のカチオン重合エ
ポキシ接着剤を使用した。この接着剤は、UV光と80
℃以上の熱のいずれに対しても架橋反応を開始する。特
に、UV光重合開始剤を調合することにより、350n
m波長以下のUV光に対して作用を開始する。
【0022】オリフィスプレート10の基材であるポリ
サルホンの撥水膜を介しての光透過率は、350nm波
長光に対し約84%、315nm波長光に対し約19
%、300nm波長光に対し約1.5%であり、光重合
開始剤の反応に必要なUV光が、オリフィスプレート越
しに供給可能である。
【0023】次に、オリフィスプレートの作製手順およ
び接合手順について、図2および図3を用いて、説明す
る。
【0024】先ず、図2の(a)に示すオリフィスプレ
ート10の基材であるポリサルホンフィルム10aの上
に、図2の(b)に示すように、フッ素系撥水層12を
形成する。この撥水層12は、シランカップリング剤
(例えば、日本ユニカー製のA−1110)で前処理さ
れた表面に、溶媒により希釈されたフッ素系撥水剤(例
えば、旭硝子製のサイトップCTX−CZ5A)を液体
吐出方式(特開平9−323426号公報参照)によ
り、幅100μmの帯状パターンにコーティングするこ
とにより形成される。帯状のパターンの中心は、後に加
工形成されるオリフィス11の列に略一致するように、
基材に対する位置が決められる。帯状の撥水パターン以
外の領域は親水性が比較的大きい親水領域13として確
保される。
【0025】撥水層12のキュアの後、フェイス面を保
護するためのカバーフィルム15を剥離可能な粘着部材
15aを介してフェイス面にラミネートし、エキシマレ
ーザ光18の照射によるオリフィス11の開口加工を行
う(図2の(c))。その後に、ヘッド基板との接着性
促進のための表面処理を行い、そして、カバーフィルム
15を粘着部材15aとともに剥離する。以上により、
図2の(d)に示すように、ヘッド基板1に接合される
オリフィスプレート10が完成する。
【0026】オリフィスプレート10をヘッド基板1に
接合する手順は、図3に示すように、ヘッド基板1の接
合面8への接着剤の転写、遮光マスクによるオリフィス
プレート10のヘッド基板1への圧着接合、遮光マスク
を介してのUV光の露光、接着剤の圧着キュアの順に行
われる。ヘッド基板1の接合面8は、接合前処理とし
て、減圧酸素プラズマ処理、シランカップリング処理が
施される。
【0027】図3の(a)に示すように、転写基材であ
るPETフィルム21上にカチオン重合エポキシ接着剤
22を約2.8〜3.0μmの薄膜に形成し、図3の
(b)に示すように、ヘッド基板1の接合面8に約40
0gの荷重でPETフィルム21上の接着剤22をゴム
ローラー転写する。接着剤22は、いわゆる「泣き別
れ」により、図3の(c)に示すように、接合面8上に
約1.5μmの厚さで転写され、接着剤層23が形成さ
れる。接合面8上の接着剤23は液状態であり、タック
力と流動性を保持している。
【0028】次に、図3の(c)に示すオリフィスプレ
ート10をヘッド基板1とを所定の位置関係で接触さ
せ、そして、図3の(d)に示すように、圧着板を兼ね
る平滑な合成石英ガラスからなる遮光マスク24にて圧
着する。圧着荷重は約3Kgfとした。遮光マスク24
には、UV光を遮光するクロム膜によって幅120μm
の帯状の遮光パターン25が設けられており、遮光パタ
ーン25が図4の(a)および(b)に示すようにオリ
フィスプレート10の撥水層12を覆うように、オリフ
ィスプレート10と遮光マスク24がアライメントされ
圧着される。
【0029】その後に、図3の(e)および図5の
(a)に示すように、光源26としてのBL−B型ケミ
カルランプにてUV光28を照射して、約4000mJ
/cm2(365nm波長光での積算値)の露光を行
い、遮光領域以外の接着剤を遮光マスク24とオリフィ
スプレート10を透過したUV光28によりBステージ
化する。ケミカルランプ26の照度は、約1.8mW/
cm2 であった。この結果、図5の(a)および(b)
に示すように、オリフィスプレート10のフェイス面の
親水領域13下の接着剤層23aの多くの部分がBステ
ージ化し、撥水層12を含む幅120μmの領域下の接
着剤層23bは未硬化のまま保持される。
【0030】最後に、エポキシ接着剤の硬化反応を完了
するため、図3の(f)に示すように、遮光マスク24
によるオリフィスプレート10の圧着を保持したまま1
20℃に加熱し、キュアを行い、接合を終了する。加熱
は、Bステージ化された領域の接着剤23aの硬化促進
と、遮光された領域の接着剤層23bの反応開始および
キュアを行う。この結果、図5の(c)に示すように、
オリフィス11の周囲を含む全ての領域の接着剤層23
(23a)が硬化して接着が完了する。
【0031】このように圧着状態のまま加熱すること
で、オリフィスプレート10とヘッド基板1との線膨張
差による位置ずれが阻害され、両者は、好適な位置関係
を保ったまま接着固定される。また、加熱前に、親水領
域13下の接着剤層23aの硬化が両者の仮固定の働き
をするため、位置ずれの恐れはさらに小さい。
【0032】さらに、本実施例によれば、接合後露光を
行う際に、吐出性能への影響が大きいオリフィス11周
囲の撥水膜12に剥離ダメージを与えることがない。す
なわち、接合後露光でオリフィスプレート10越しに露
光する領域を、本実施例のように親水領域13に対応す
る箇所、あるいは、撥水領域12であっても吐出に影響
の少ない箇所(例えば、オリフィス11から十分に離れ
た箇所)とすれば、液滴形成に悪影響を与えることな
く、耐インク性の高い接合後露光によるオリフィスプレ
ート10の接着が可能である。
【0033】また、接着に際してUV光による基材の変
質を避けたい領域がある場合には、UV光による基材の
変質を避けたい領域に対しては前述した実施例のように
部分的な遮光を行い、その他の領域に対して接合後露光
を行う接着も考えられる。
【0034】前述した実施例においては、遮光マスク2
4を圧着板として用いたが、これは光源と露光系の構成
を簡略するため、有益である。しかし、遮光マスク24
を圧着板とすることは、本発明の必須の要件ではなく代
替方法も考えられる。その一つの方法は、投影露光機を
用いることである。圧着板を単なるUV透過ガラスとし
て投影露光機を用いれば、圧着状態を保持したまま、接
着剤を硬化するための露光のパターンを同一構造のワー
クに対して順次変更して使用することもできる。また、
他の方法としては、カバーフィルム15を利用して所定
の領域の遮光を行うこともできる。例えば、カバーフィ
ルム15上にUV遮光性インクにて遮光パターンを予め
印刷することも考えられる。
【0035】次に、本発明の液体吐出ヘッドの他の実施
例について図6を用いて説明する。本実施例は、液体吐
出ヘッドの要求性能に応じて好適な遮光パターンを採用
した例であり、図6には3色のカラーインク(Y、M、
C)を吐出する液体吐出ヘッドにおけるヘッド基板とオ
リフィスプレートを接合する態様を示す。
【0036】本実施例では、複数の色の異なるインク
(例えば、Y、M、C)を吐出する液体吐出ヘッドにお
いて、隣接する異色のインクがオリフィスプレートの剥
離により混色しないように、隣接する色の間の色間部3
0に相当する接着剤を接合後露光により確実に硬化する
ものである。
【0037】図6において、複数の色の異なるインク
(例えば、Y、M、C)を吐出する液体吐出ヘッドに用
いられるオリフィスプレート10は、3色のインクをそ
れぞれ吐出するオリフィス群11(Y)、11(M)、
11(C)を有し、各オリフィス群11(Y)、11
(M)、11(C)のそれぞれの周囲は、前述した実施
例と同様に、撥水層12が形成されている。このような
オリフィスプレート10をヘッド基板に接合する際に、
オリフィスプレート10を、ヘッド基板1に対する所定
の位置関係でヘッド基板1の接着剤層23が形成された
接合面8に当接させ、各オリフィス群11(Y)、11
(M)、11(C)の周囲をそれぞれ遮光するように形
成された遮光パターン25(Y)、25(M)、25
(C)を有する遮光マスク24を圧着して、遮光パター
ン25(Y)、25(M)、25(C)以外の領域の接
着剤層23に対して露光を行う。これにより、各オリフ
ィス群11の周囲の撥水層12を含む遮光パターン25
に対応する部分の接着剤層23を未硬化とするが、隣接
する異色のオリフィス群11の間の色間部30、30に
対応する接着剤層23は、遮光パターン25以外の他の
領域とともに、遮光されずに、接着剤硬化のための光が
オリフィスプレート10越しに照射される。本実施例で
は、接着剤としては、光熱反応型の接着剤を使用した。
このように、色間部30に相当する接着剤層23を接合
後露光により確実に硬化させることができ、オリフィス
プレート10の剥離による混色を防止することができ
る。そしてその後に、遮光パターン25に対応する領域
の接着剤23は、前述した実施例と同様に、その後の熱
キュアにより硬化させる。
【0038】次に、本発明の液体吐出ヘッドのさらに他
の実施例について図7を用いて説明する。本実施例は、
前述した第1の実施例と同じ基材および撥水材料からな
るオリフィスプレートの接着に光反応型の接着剤を用い
る場合の例である。光反応型の接着剤は、UV光の露光
により反応が開始し、その後の加熱により化学反応が加
速されかつ十分な架橋がなされ、耐インク性を発現する
ことができる。このため、全ての領域で接合後露光が求
められる。
【0039】本実施例では、光重合開始剤として第1の
実施例と同じく旭電化工業製のアデカオプトマーSP−
170を調合し、熱重合開始剤を含まないカチオン重合
エポキシ接着剤を採用した。該接着剤は、高圧水銀灯
(例えば、HOYA製の高圧水銀ランプEX−250)
を光源として用いたとき、ポリサルホンのオリフィスプ
レート表面にて約5000mJ/cm2 (365nm波
長光での積算値)相当の露光をオリフィスプレート越し
に行うことで接着強度と品質上十分な耐インク性とが得
られる。
【0040】また、使用するアルカリ性インク(pH=
10.7)に対して十分な密着性マージンを確認する8
0℃5日間の浸漬加速後のピール試験により、2500
mJ/cm2 以下の露光では、撥水層の剥離がないこと
がわかった。
【0041】そこで、本実施例では、図3に示すと同様
の手順に従い、全面が撥水コーティングされているオリ
フィスプレート10に対して、図7に示すように、オリ
フィス11の周囲25を透過率50%の遮光パターンで
遮光し、それ以外の領域を100%透過とし、5000
mJ/cm2 の接合後露光を行った。
【0042】これにより、接着が必要な領域において、
オリフィス11の周囲25では、フェイス面での測定値
として少なくとも2500mJ/cm2 のUV光が照射
され、オリフィス11の周囲25以外の露光領域には5
000mJ/cm2 のUV光が照射された。この結果、
液体吐出ヘッドの使用中にオリフィス11の周囲の撥水
層12やオリフィスプレート10自体の剥離は生じなか
った。
【0043】前述した各実施例においては、エッジシュ
ーター型の液体吐出ヘッドについて説明しているが、本
発明は、これらに限定されるものではなく、例えば、オ
リフィスがヘッド基板上の吐出手段(吐出エネルギー発
生素子)と対向するようにオリフィスプレートとヘッド
基板を接合する構造のサイドシューター型の液体吐出ヘ
ッド(例えば、特開平9−118017号公報等参照)
においても、適用することができる。また、接合面への
接着剤層の形成も、転写法、スプレー法等の周知の手段
を用いることができる。さらに、親水領域の形成につい
ても、予め撥水されたフェイス面に対してアブレーショ
ンを利用して表面の撥水膜を除去することも考えられ
る。
【0044】また、オリフィスプレートの基材について
も、その材料は、前述した各実施例に記載したものに限
定されるものではなく、該基材と基板との接着剤の反応
開始に必要な光の透過が可能であるならば、ポリイミ
ド、PEEK、ポリパラフェニレンテレフタルアミド等
を用いることもできる。接着剤についても同様である。
【0045】例えば、ポリイミドをオリフィスプレート
基材とする構成では、宇部興産製のユーピレックスS−
25(商品名)を基材とし、接着剤として、光重合開始
剤としてチバスペシャルティケミカル製のイルガキュア
784(商品名)を調合したラジカル重合型接着剤を採
用し、400〜500nm波長の光をオリフィスプレー
トを透過させ露光する材料系が挙げられる。
【0046】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
オリフィスプレートを接合後露光によりヘッド基板に接
着する液体吐出ヘッドの製造に際して、フェイス面の所
定の領域をマスキングして露光することで、オリフィス
プレート表面の特定の領域が接着剤の硬化反応のための
光に晒されることを防ぐことができ、オリフィス周囲の
ような撥水性の必要な領域の撥水層のオリフィスプレー
トとの密着力を損なうことなく、オリフィスプレートと
ヘッド基板とを所望の部分にて確実に接着することがで
きる。これにより、フェイス面の撥水層の剥がれに伴う
液滴形成の不良や印字品位の劣化を防ぐことができる。
さらに、遮光マスクを介して接合後露光を行うことによ
り、オリフィスプレート内の脆弱な部分等の所定箇所の
UV光劣化を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る液体吐出ヘッドの製造方法に基づ
いて製造される液体吐出ヘッドを概略的に示す分解斜視
図である。
【図2】本発明に係る液体吐出ヘッドの製造方法の一実
施例において、オリフィスプレートの作製手順を示す工
程図である。
【図3】本発明に係る液体吐出ヘッドの製造方法の一実
施例においてオリフィスプレートの接合手順を示す工程
図である。
【図4】(a)および(b)は、本発明に係る液体吐出
ヘッドの製造方法の一実施例のオリフィスプレートの接
合工程における遮光マスクとオリフィスプレートをアラ
イメントする際の遮光パターンとオリフィスプレートの
撥水層との関係を示す図である。
【図5】(a)ないし(c)は、本発明に係る液体吐出
ヘッドの製造方法の一実施例のオリフィスプレートの接
合工程におけるオリフィスプレートの接着の進行状態を
説明する図である。
【図6】本発明に係る液体吐出ヘッドの製造方法の他の
実施例において遮光マスクの遮光パターンとオリフィス
プレートの撥水層および接着剤層との関係を説明するた
めの図である。
【図7】本発明に係る液体吐出ヘッドの製造方法の他の
実施例において遮光マスクの遮光パターンとオリフィス
プレートの撥水層および接着剤層との関係を説明するた
めの図である。
【図8】従来の液体吐出ヘッドを示す概略的な分解斜視
図である。
【符号の説明】
1 ヘッド基板 2 素子基板 3 発熱体 4 液流路壁 5 天板 6 液流路 8 接合面(液流路開口面) 10 オリフィスプレート 10a オリフィスプレート基材 11 オリフィス 12 撥水層 13 親水領域 15 カバーフィルム 21 転写基材 22 接着剤 23 接着剤層 23a (接着剤層の)硬化領域 23b (接着剤層の)未硬化領域 24 遮光マスク 25 遮光パターン 26 光源 28 UV光 30 色間部
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 栗原 香暁 東京都大田区下丸子3丁目30番2号 キヤ ノン株式会社内 (72)発明者 山本 裕之 東京都大田区下丸子3丁目30番2号 キヤ ノン株式会社内 Fターム(参考) 2C057 AF93 AG07 AP23 AP25 AP60 AQ10

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 吐出エネルギー発生素子を有する液流路
    を備えたヘッド基板に光反応型接着剤の層を介してオリ
    フィスを備えたオリフィスプレートを接合し、前記オリ
    フィスプレート越しに前記接着剤に光照射することで前
    記ヘッド基板と前記オリフィスプレートとの少なくとも
    一部を接着する工程を含む液体吐出ヘッドの製造方法に
    おいて、前記オリフィスプレート越しに行われる接合後
    の光照射は、遮光マスクを介して行うことを特徴とする
    液体吐出ヘッドの製造方法。
  2. 【請求項2】 吐出エネルギー発生素子を有する液流路
    を備えたヘッド基板に光反応型接着剤の層を介してオリ
    フィスを備えたオリフィスプレートを接合し、前記オリ
    フィスプレート上に光透過性の圧着板を圧接することで
    前記ヘッド基板と前記オリフィスプレートとを圧着し、
    前記圧着板および前記オリフィスプレート越しに前記接
    着剤に接合後の光照射を行い、前記ヘッド基板と前記オ
    リフィスプレートとの少なくとも一部を接着する工程を
    含む液体吐出ヘッドの製造方法において、前記圧着板は
    所定の遮光パターンを有することを特徴とする液体吐出
    ヘッドの製造方法。
  3. 【請求項3】 前記オリフィスプレートはフェイス面と
    なる面に予め撥水層が形成されていることを特徴とする
    請求項1または2記載の液体吐出ヘッドの製造方法。
  4. 【請求項4】 前記オリフィスプレート越しに行われる
    接合後の光照射の領域は、少なくとも前記オリフィス近
    傍を除く領域であることを特徴とする請求項1ないし3
    のいずれか1項に記載の液体吐出ヘッドの製造方法。
  5. 【請求項5】 前記オリフィスプレート越しに行われる
    接合後の光照射の領域は、前記オリフィスプレート上に
    予めあるいは後工程で形成される親水領域を含むことを
    特徴とする請求項1ないし4のいずれか1項に記載の液
    体吐出ヘッドの製造方法。
  6. 【請求項6】 請求項1ないし5のいずれか1項に記載
    の液体吐出ヘッドの製造方法によって製造されたことを
    特徴とする液体吐出ヘッド。
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Publication number Priority date Publication date Assignee Title
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