JP2009101645A - 記録ヘッドおよびその製造方法 - Google Patents

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直樹 中條
Nariyuki Nojo
成幸 能條
Shinya Miura
信也 三浦
Manabu Tanimoto
学 谷本
Junichiro Iri
潤一郎 井利
Masato Takigawa
正人 瀧川
Katsuhiro Ishii
勝弘 石井
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Abstract

【課題】記録素子基板と支持部材との線膨張率の差に起因して接着剤にクラックが発生するのを低減でき、かつ、記録素子基板の位置ずれ、及び接着剤によるノズル詰まりを低減することが可能な記録ヘッド及びその製造方法を提供する。
【解決手段】記録ヘッドは、記録素子基板120と、記録素子基板120に光・熱硬化併用型の接着剤にて接着固定された支持部材200と、を備える。支持部材200には、記録素子基板120の端部の周辺に照射された光を、吐出口配列方向におけるインク供給口の端部周辺の接着領域へと導く溝部221が形成されている。
【選択図】図6

Description

本発明は、インクを記録媒体へ吐出して記録を行う記録ヘッドおよびその製造方法に関するものである。
インクジェット記録装置は、記録媒体に液滴を吐出して記録を行う、いわゆるノンインパクト記録方式の記録装置であり、記録時における騒音が少なく、様々な記録媒体に対して高速に記録することが可能である。このため、インクジェット記録装置は、プリンタ、ワードプロセッサ、ファクシミリ、複写機などの記録機構を担う装置として広く採用されている。
一般に、このインクジェット記録装置は、インク滴を形成するための吐出ノズルを持つ記録ヘッドと、この記録ヘッドに対してインクを供給するインク供給系とを有している。記録ヘッドのインク吐出方式の代表的な例としては、吐出エネルギ発生素子として電気熱変換素子を用いた方式がある。この電気熱変換素子を用いた記録ヘッドは、電気熱変換素子に記録信号となる電気パルスを印加することによりインクに熱エネルギーを与え、その時のインクの相変化で生じる気泡の圧力によってインク滴の吐出を行う。
このような電気熱変換素子を用いたインクジェット記録ヘッドとしては、図19に示すようなものが知られている。
ここに示す記録ヘッドは、支持部材1の上面に記録素子基板3を接着剤によって接着固定したものとなっている。記録素子基板3は、図の紙面と直交する方向に延在する長溝状のインク供給口4が複数個(図では3個)形成されると共にインク供給口4の両側に複数の電気熱変換素子5が配列された基板6と、その上面に固定された吐出口プレート8とを有する。吐出口プレート8には、電気熱変換素子5との対向位置に吐出口7が形成されている。また、支持部材1には、図の紙面と直交する方向に延在する長溝上のインク供給流路2が複数(図では3個)形成されており、各インク供給流路2は、各インク供給口4と対向し、互いに連通している。そして、インク供給流路2に供給されたインクは、インク供給口4及び吐出口7に導かれ、吐出口7に充填されたインクは、電気熱変換素子5による熱エネルギによってインク滴として吐出される。
上記のような記録ヘッドの製造において、記録素子基板3と支持部材1とを組み立てる方法として、次のような製造方法が特許文献1に開示されている。この組立方法では、真空吸着フィンガで記録素子基板3を吸着把持すると共に、支持部材1の上方で位置決めを行い、その後、紫外線・熱硬化併用型の接着剤が塗布された支持部材1上に下降させて固定する。このように、紫外線・熱硬化型の接着剤を用いて記録素子基板3を固定する場合には、まず、記録素子基板に紫外線照射することによって記録素子基板3を仮固定する。次いで、加熱処理によって接着剤を完全硬化させることにより、記録素子基板3を支持部材に固定する。また、記録素子基板が接着固定された支持部材には、後工程において、配線基板が固定される。この配線基板の固定は、熱硬化型の接着剤を用いた加熱圧着処理によって行う。
特開平9−187952号公報
しかしながら、上述のようなインクジェット記録ヘッドの製造方法には、以下のような課題がある。
一般に、複数の吐出口を備えた記録素子基板は、シリコンウエハから切り出されたものを使用する。これに対し、記録素子基板に接着する支持部材は、厚さ0.5〜10mmのアルミナ(Al2O3)材料で構成したものを用いる。このため、両者には線膨張率の差が存在する。
ところが、上記の製造方法では、記録素子基板と支持部材との間に介在する紫外線・熱併用硬化型接着剤を完全に硬化させた後、支持部材1に配線基板を接着するために再度、加熱処理を行っている。このとき記録素子基板と支持部材との線膨張率の差から、記録素子基板3と支持部材1との間で硬化した接着剤にせん断応力が加わってクラックが生じ、そのクラックからインクが漏出するという問題が生じている。特に、インク供給路2を画成する隔壁2aとインク供給口4を画成する隔壁6aとの間に介在する接着剤にクラックが生じた場合、隣接するインク供給流路が連通して混色が発生し、画像品質の低下を招く虞がある。そこで、接着剤にクラックが発生するのを回避すべく、支持部材と記録素子基板との間に介在する接着剤を全く硬化させない状態で、支持部材への配線基板の取り付け(加熱処理)を行うことも考えられている。
しかしながら、記録素子基板と支持部材とを接着固定する接着剤を硬化させないようにした場合、配線基板の接着工程などの後工程へと搬送する間に、振動や衝撃などの影響を受けて記録素子基板の貼り合わせ位置がずれてしまうことがある。こうした位置ずれが生じた場合、組立精度またインク吐出時の着弾精度の低下を招くこととなる。さらに、後工程が完了するまで記録素子基板と支持部材との間の接着剤を硬化させないようにした場合、記録素子基板に設けられたインク供給口の隅部に沿って接着剤が這い上がり、吐出口を詰まらせるという問題が生じることもある。
本発明は以上の課題に着目してなされたものである。すなわち、本発明は、記録素子基板と支持部材との線膨張率の差に起因して接着剤にクラックが発生するのを低減でき、かつ、記録素子基板の位置ずれ、及び接着剤による吐出口の詰まりを低減することが可能な記録ヘッドおよびその製造方法の提供を目的とする。
上記の目的を達成するため、本発明は以下の構成を有する。
本発明の第1の形態は、インクを吐出する複数の吐出口を配列してなる吐出口列と該吐出口列にインクを供給するインク供給口とを有すると共に前記各吐出口からインクを吐出させるための吐出エネルギを発生する記録素子を備えた記録素子基板と、前記記録素子基板に光・熱硬化併用型の接着剤にて接着固定された支持部材と、を備えた記録ヘッドにおいて、前記記録素子基板の端部の周辺に照射された光を、前記吐出口の配列方向における前記インク供給口の端部周辺の接着領域へと導く溝部が前記支持基板に形成されていることを特徴とする。
本発明の第2の形態は、上記記録ヘッドの製造方法であって、前記支持部材に前記光・熱硬化併用型の接着剤を塗布する工程と、前記接着剤を塗布した支持部材に前記記録素子基板を配置する工程と、前記支持基板に形成された前記溝部の外側の端部に光を照射することにより、当該光を前記吐出口の配列方向における前記インク供給口の端部周辺の接着領域へと導き、該接着領域の一部に硬化領域を形成する工程と、を備えたことを特徴とする。
本発明によれば、記録素子基板と支持部材とを接着固定する光・熱硬化併用型の接着剤に対し、光によりインク供給口周辺の接着領域の一部のみを硬化させて仮固定を行い、その他の部分の接着剤を未硬化状態に保つ。このため、後工程などにおいて熱処理が行われ、記録素子基板と支持部材とが異なる線膨張率で熱膨張したとしても、未硬化状態にある接着剤にはクラックが発生することはなく、クラックを介してインクが漏出することはなくなる。従って、複数のインク供給口を有する記録素子基板を用いる場合にも、隣接するインク供給流路からクラックを通過して異なるインクが混入してくるのを回避することができ、混色のない適正なインクを吐出することができる。
さらに、接着剤は光によって記録素子基板のインク供給口の周辺部が硬化するため、記録素子基板と支持部材との相対位置がずれたり、接着剤がインク供給口の端部から這い上がって吐出口を詰まらせたりすることもなくなる。
(第1の実施形態)
図1は、本発明の第1の実施形態における記録ヘッドの概略構成を示す分解斜視図である。図1に示すように、本実施形態における記録ヘッド10は、第1の記録素子基板110、第2の記録素子基板120、第1のプレート200、第2のプレート300とを備えている。第1、第2の素子基板101、102及び第2のプレート300は、それぞれ支持部材としての第1のプレート200上に接着剤によって接着固定されている。第1のプレート200には、第1の記録素子基板110にインクを供給するための単一の第1のインク供給流路210と、第2の記録素子基板120にインクを供給するための複数本(図では3本)の第2のインク供給流路220とが互いに平行に形成されている。なお、第1のプレート200に形成されている第1のインク供給流路210は、第1の記録素子基板110にブラックのインクを供給するためのインク供給流路となっている。また、第2のインク供給流路220は、シアン、マゼンタ、イエローのインクを供給するためのインク供給流路となっている。
また、第2のプレート300は、第1、第2の記録素子基板110、120を挿通させる開口部310、320を有し、第1のプレート200の表面(図では上面)に熱硬化型の接着剤により固定される。第1の記録素子基板110は、開口部310に挿通された状態で第1のプレート200の表面に接着剤によって接着固定され、第2の記録素子基板120は、開口部320に挿通された状態で第2のプレート200の表面に接着剤によって接着固定される。これにより、第1のプレート200の第1のインク供給流路210は第1の記録素子基板110に形成されている後述のインク供給口に連通し、第2のインク供給流路220は、第2の記録素子基板120に形成されている後述のインク供給口に連通する。
図2は、第1の記録素子基板110を一部切欠して示す斜視図である。この第1の記録素子基板110は、例えば、厚さ0.5〜1mmのSi(シリコン)基板111に長溝状の貫通孔からなるインク供給口112をSiの結晶方位を利用した異方性エッチングやサンドブラストなどの方法で形成したものとなっている。
また、インク供給口112を挟んだ両側に記録素子である電気熱変換素子113がそれぞれ1列ずつ配列されており、全体としては千鳥状に配列されている。この電気熱変換素子113と、電気熱変換素子113に電力を供給するAl等の電気配線(図示せず)とは成膜技術により形成されている。さらに、電気配線に電力を供給するための電極部114が第1の記録素子基板110における表面の両側部に配列されており、電極部114にはAu等のバンプ114aが形成されている。
Si基板111上には、吐出口プレート115が固定されている。この吐出口プレート115には、複数の電気熱変換素子113それぞれに対応して、複数の液路116が樹脂材料でフォトリソ技術により形成されている。これら液路116の各端部に位置する開口部は、インク滴を吐出する吐出口117となっている。これら複数の吐出口117は、インク供給口112の両長辺部に沿って配列され、2本の吐出口列118を構成している。
各液路116は、第1の記録素子基板110に形成されたインク供給口112に連通しており、インク供給口112から供給されたインクは、各液路116に充填される。また、各吐出口117は電気熱変換素子113に対向して設けられており、インク供給口112から液路116内に充填されたインクを加熱して発泡させる。この発泡時の圧力によって液路116内のインクは各吐出口117からインク滴となって吐出される。なお、本明細書においては、液路116とその一端(図では上端)に形成される吐出口117とからなる部分を、ノズルともいう。
また、図3は、第2の記録素子基板120の一部を切欠して示す斜視図である。なお、ここに示す第2の記録素子基板120において、上記第1の記録素子基板110と同一もしくは相当部分には同一符号を付してある。
図3において、第2の記録素子基板120は前述の3色のインクを吐出させるための記録素子基板である。この記録素子基板120には、3個のインク供給口120が平行して形成されており、各インク供給口120を挟んだ両側には電気熱変換素子113が形成されている。この第2の記録素子基板120も第1の記録素子基板110と同様に、Si基板111にインク供給口112や電気熱変換素子115、不図示の電気配線及び電極部114などを形成したものとなっている。また、第2の記録素子基板120上には、樹脂材料からなる吐出口プレート115がフォトリソ技術によって形成され、液路116やインク吐出口117が形成されている。
また、図4は、上記第2の記録素子基板120を第1のプレート200に取り付けた状態を示す断面図である。
図4に示すように、第1のプレート200の表面(図では上面)には、第2のプレート120が接着剤400によって接着される。この第1のプレート200において各インク供給流路210を画成する隔壁211の上面には、第2の記録素子基板120のインク供給口112の間に形成された隔壁121の底面が当接しており、両隔壁121と211とは接着剤400によって接合されている。なお、本実施形態におけるインク供給流路210の開口幅は、インク供給口112の入口部の開口幅よりも大きな幅を有している。そのため、互いに隣接するインク供給流路210を隔てる隔壁211の厚み(幅)は、互いに隣接するインク供給口210の入口部の間隔よりも薄く(狭く)なっている。
また、図5は、上記各記録素子基板110、120を接着固定させる支持部材としての第1のプレート200の一部を拡大して示す平面図であり、図6(a)は図5のa−a線断面図、図6(b)は図5のb−b線断面図である。
この第1の実施形態における第1プレート200は、例えば、厚さ0.5〜10mmのアルミナ(Al2O3)材料で形成されている。但し、第1のプレート200の素材は、アルミナに限定されるものではなくその他の材料によって構成されるものであってもよく、各記録素子基板を構成するの材料の熱伝導率と同等もしくは同等以上の熱伝導率を有する材料で構成することが望ましい。第1のプレートとして使用可能な他の素材としては、例えば、シリコン(Si)、窒化アルミニウム(AlN)、ジルコニア、窒化珪素(Si3N4)、炭化珪素(SiC)、モリブデン(Mo)、タングステン(W)等を挙げることができる。
また、この第1の実施形態における第1のプレート200には、前述の複数のインク供給流路の側方に溝部221が形成されている。図5では、第2の記録素子基板120のインク供給口112に対応して設けられた3個のインク供給流路220それぞれの一側方に設けられた3個の溝部221のみを示している。しかし、第1の記録素子基板110のインク供給口112に対応して設けられた単一のインク供給流路210の側方にも、図1に示すように、2個の溝部221が形成されている。各溝部の一端は、インク供給口112の側端部から一定の距離T1だけ離れた位置から、第2の記録素子基板120の端部との対向位置より内方に一定距離T2だけ入り込んだ位置まで延在している。この溝部の幅(ノズル配列方向と直交する方向における距離T3(図5参照))は、第1のプレートのインク供給流路210の開口幅と略同一の幅に形成されている。この溝221は、各記録素子基板110、120を第1のプレート200に接着する接着工程において、記録素子基板120の端部からインク供給口112の隅部まで紫外線を導くための溝であり、以下、この溝を導光溝とも言う。
また、図5の二点鎖線にて囲まれた領域Rは、第2の記録素子基板120を接着固定するために、第1のプレート200の表面に接着剤が塗布される領域を示している。但し、この領域R内には前述の溝部221が位置しており、この溝部221内の領域には接着剤は塗布されない。従って、第1のプレート200に形成される溝部221と、第1のプレート200上に接着剤400を介して接着される第1の記録素子基板との間には、図6(a)に示すように接着剤が塗布されない領域Sが形成されることとなる。
第1の記録素子基板110と第2の記録素子基板H120は、それぞれ第1のプレート200に対して位置精度良く接着固定される。接着に用いられる第1の接着剤400は、低粘度で硬化温度が低く、短時間で硬化し、硬化後比較的高い硬度を有し、かつ、耐インク性のあるものが望ましい。例えば、第1の接着剤400としては、エポキシ樹脂を主成分とした熱硬化接着剤が望ましく、その接着層の厚みは50μm以下が望ましい。
また、図1に示す第2のプレート300は、例えば、厚さ0.5〜1mmの一枚の板状部材で構成することが可能であり、例えばアルミナ(Al2O3)等のセラミックや、Al、SUSなどの金属材料で形成されている。そして、第2のプレート300に形成される開口部310、320は、第1の記録素子基板110と第2の記録素子基板120の外形寸法よりも大きな開口部をそれぞれ有しており、底面に塗布された接着剤401によって接着されている。このため、第1、第2の記録素子基板110、120及び第2のプレート300がそれぞれ第1のプレート200に接着固定された状態で、第2のプレートと各記録素子基板110、120の間には、図6に示すように、上部に開口する間隙Gが形成される。この間隙Gが後述の仮接着工程において紫外線を導入するための導入口となる。
次に、第1のプレート200へ記録素子基板を取り付ける工程について説明する。なお、ここでは、第1のプレート200へ取り付ける記録素子基板として、第2の記録素子基板120を例に採り説明する。
図7(a)〜(c)、図8(a),(b)、及び図9は、本実施形態における記録ヘッドの製造方法の各工程を説明するための断面図である。なお、図7ないし図9は、第2の記録素子基板120をその吐出口列の長手方向に沿って切断した断面を示している。
図7ないし図9において、510は接着剤400を塗布する転写ピン(図7参照)、520は記録素子基板110を吸着し位置決めを行なう真空吸着フィンガ(図8参照)、531,532は記録素子基板の位置を認識するためのCCDカメラ(図8参照)である。また、541,542は紫外線照射ノズルである。
第1のプレート200へ第2の記録素子基板120を取り付ける工程においては、まず、図7(a)に示すように、転写ピン510の転写面511に接着剤400を塗布する。続いて、図7(b)に示すように、転写ピン510の転写面511を第1のプレート200に接着剤400を介して当接させる。この後、図7(c)に示すように、転写ピン510を第1のプレート200から離すと、第1のプレート200の接着個所R(図5参照)に接着剤400が塗布される。この接着剤400は、第2の記録素子基板120が当接する位置よりも外側にはみ出す範囲にまで転写(塗布)される。なお、ここで使用される接着剤400は、紫外線を照射しても熱を加えても硬化する紫外線・熱硬化併用型の接着剤であり、インクに対して耐性があり転写性に優れたものとなっている。
次に、図8(a)に示すように、真空吸着フィンガー520により第2の記録素子基板120の吐出口117を形成するインク流路壁115の面を吸着把持する。そして、CCDカメラ532532により第1の記録素子基板110の不図示のアライメントマークを光学的に認識し、そのアライメントマークを基準にして、第1のプレート200に対する第2の記録素子基板120の位置合わせを行う。
続いて、位置決めされた真空吸着フィンガー520を図8(b)に示すように下降させ、第2の記録素子基板120を第1のプレート200に当接させると共に押圧する。これにより、接着剤400が同図に示すように第1の記録素子基板110の長手方向の端部からはみ出してくる。図においては第2の記録素子基板120の外側にのみ接着剤400がはみ出しているように見えるが、実際にはインク供給口112及びインク供給流路210内にもわずかに接着剤がはみ出ている。
そして、図9に示すように、第1のプレート200に第1の記録素子基板110を押圧した状態を保ちながら、紫外線照射ノズル541,542により第2の記録素子基板120の端部に紫外線を照射する。これによって、第2の記録素子基板120の端部からはみ出した接着剤400と、インク供給口112及びインク供給流路210の両端部付近の接着剤400とが硬化し、第1のプレート200上における第2の記録素子基板120の位置を固定することができる。但し、この段階では、第1のプレート200上に塗布された接着剤400の全てが硬化する訳ではなく、部分的に接着剤が硬化した仮固定の状態となっている。
すなわち、端部より照射された紫外線は、図6(a)に示すように端部にはみ出した接着剤400及びその近傍の接着剤を通過して、導光溝221によって形成される空間S内に入射する。さらに紫外線は導光溝221内を通過し、インク供給流路220と導光溝221との間の領域R21(図5参照)の接着剤400に照射される。これにより、図6(a)に示すように、第2の記録素子基板120の端部からはみ出した接着剤400と、インク供給流路220及びインク供給口112側に若干はみ出している接着剤400とが硬化する。
前述の図8(b)の工程で第2の記録素子基板120を第1のプレート200に押圧した場合、図6(a)に示すように接着剤400の一部が導光溝221内にはみ出すことがある。しかし、導光溝221内が接着剤で埋まることはなく、導光溝221内には空間Sが形成される。従って、第2の記録素子基板120の端部側から導光溝221に入射した紫外線は、大きな減衰を伴うことなく導光溝221内を通過し、領域R21の接着剤に照射される。このため、領域R21の接着剤は紫外線によって確実に硬化する。
一方、第2の記録素子基板120の端部から入射した紫外線のうち、導光溝221を通過しない紫外線は、図5及び図6(b)に示すように、各導光溝221の間に位置する接着剤400の中を一定の範囲まで透過し、これを硬化させる。但し、その透過距離は導光溝221が形成されている部分に比べて短く、インク供給口112の端部側方まで接着剤400を硬化させることはない。また、厳密には、一定の範囲を超えた領域の接着剤にも僅かながら減衰した紫外線が透過するため、その紫外線によって接着剤は若干硬化した状態となる。
このような紫外線による接着剤の硬化領域を図5および図6に示す。各図中、交差する線で示す領域R1は接着剤400が紫外線によって略完全に硬化した領域(以下、硬化領域と称す)を示し、また、斜線で示す領域R2は接着剤400が若干硬化した状態の領域(以下、半硬化領域と称す)を示している。また、接着剤が塗布される全領域(図5の二点鎖線にて示す領域R)のうち、白抜きで示す領域R3は接着剤が殆ど硬化していない領域(以下、未硬化領域と称す)である。以上、第2の記録素子基板120を第1のプレート200に取り付ける場合を例に説明したが、第1の記録素子基板110についても、同様に第1のプレート200上に仮固定する。
この後、第2のプレート300を熱硬化型の接着剤410を介して第1のプレート200上に接着させる。但し、この段階では、接着剤410は未硬化の状態にある。次いで、後工程として、図外の配線基板を熱硬化型の接着剤を介して第1のプレート200に重ね、最終工程として配線基板を含んだ記録ヘッドユニット全体を加熱する。これにより、未硬化状態にある接着剤は完全に硬化し、各記録素子基板110,120、第2のプレート300、及び配線基板の全てが第1のプレート200に確固に接着固定され、記録ヘッドユニットの組立工程は完了する。
このように、この第1の実施形態では、各記録素子基板110,120の端部からの紫外線照射のみで、各記録素子基板110,120の端部からインク供給口112の端部周辺に至る接着剤を硬化させ、仮固定することが可能になる。従って、後工程への搬送動作において振動や衝撃が加わったとしても、記録素子基板110,120の位置ずれが生じることはない。さらに、記録素子基板のインク供給口及びインク供給路内にはみ出した接着剤を紫外線によって硬化させることができるため、従来のようにインク供給口の隅部で接着剤が這い上ることもなくなり、接着剤による吐出口詰まりも解消される。
また、第2の記録素子基板120と第1のプレート200との間に介在する接着剤400は、前述の一部の領域R1が硬化しているのみで、それ以外の多くの領域に塗布されている接着剤は硬化状態とはなっていない。従って、後工程での熱処理によって各記録素子基板110,120と第1のプレート200とが異なる線膨張率で膨張したとしても、各記録素子基板110,120と第1のプレート200とを接合する接着剤は未硬化状態にあるためクラックが発生することはない。このため、クラック通じたインクの漏出を抑えることができる。特に、第2記録素子基板120の隔壁121と第1のプレートの隔壁211とを接合させる接着剤においてクラックの発生が抑えられるため、異なるインク流路間での混色を回避することが可能となり、生産性、信頼性及び画像品質の向上を図ることができる。
なお、上記実施形態では、第1のプレート200に各記録素子基板110,120及び第2のプレート300を仮固定した後、配線基板の取り付け工程における熱処理によって未硬化状態にある全ての接着剤を硬化させるようにした。しかし、各記録素子基板110,120および第2のプレート300を仮固定した後、さらに配線基板を熱、光、あるいはボンディングなどによって固定し、その後、最終工程として熱処理を行って未硬化状態の接着剤を完全に硬化させるようにしても良い。なお、最終工程の前に配線基板を熱、またはボンディングによって固定する場合にも、各部材は僅かながら熱膨張する。しかし、各部材を接着している接着剤は未硬化領域を含む自由度の高い状態であるため、各部材の線膨張率の差によって接着剤にクラックが発生することはない。つまり、複数の部品を順次加熱接着して行く記録ヘッドの製造工程において、記録素子基板と支持部材とを接着する接着剤を途中の工程では完全には硬化させず、最終工程でのみ完全に硬化するようにすれば、接着剤におけるクラックの発生を抑制することができる。
(第2の実施形態)
次に、本発明の第2の実施形態を図10ないし図12に基づき説明する。
本実施形態における記録ヘッドも上記第1の実施形態と同様に、図1に示すような部材によって構成されている。すなわち、この第2の実施形態においても、第1のプレート200に対し、第2のプレート300及び第1、第2の記録素子基板110、120を接着剤400、401で接着固定すると共に、最終工程において図外の配線基板を接着固定する。但し、この第2の実施形態では、上記第1の実施形態に示した導光溝221に代えて、図10ないし図12に示す導光溝231を第1のプレート200に形成したものとなっており、この点が上記第1の実施形態と異なる。従って、以下の説明は、この第1の実施形態との相違点である導光溝231を中心に行う。
図10ないし図12は、この第2の実施形態における導光溝131及びその周辺構成を示す図である。ここで、図10は、上記各記録素子基板110、120を接着固定させる第1のプレート200(支持部材)の一部を拡大して示す平面図であり、図11(a)は図10のa−a線断面図、図11(b)は図10のb−b線断面図である。
この第2の実施形態における導光溝231は、各記録素子基板(図10では第2の記録素子基板120)の外側の端部より外側に延出している。また、導光溝131の内側端部は、インク供給流路210の外側の端部から一定の距離T1だけ外側に向けて離れた位置に形成されている。さらに、導光溝231は、図11(a)に示すように、第1の斜面232と第2の斜面233とによりV字状の屈曲形状をなす底部を備えた溝となっている。また、第1の斜面232の下端部、すなわち第1の斜面232と第2の斜面233との交角部は、記録素子基板120(または110)の端部より、内側(インク供給流路側)に位置している。すなわち、第1の傾斜面232は、その一部が、第2の記録素子基板120の底面と対向しており、残りの部分が第2の記録素子基板120の外側に延出している。そして、第1の傾斜面232のうち、第1の記録素子基板の外側に延出する部分(延出部分)は、第1のプレート200上に接着された第2のプレート300の開口部320と記録素子基板120の外端部との間に形成される間隙Gと対向している。
ここで、導光路232の底部を図11(a)に示すようにV字状に形成した理由を説明する。
(1)各記録素子基板を仮固定する際の紫外線照射を第2のプレート300の接着後に行う場合、紫外線を斜めから照射すると、第2プレート300で紫外線が反射される、いわゆるケラレと称する状態が発生することがある。この場合、十分に紫外線をインク供給流路210側へと導くことができない。このため、紫外線を第1のプレート200と記録素子基板との接合面に対して垂直方向から照射することによって、前述の間隙Gから内方へと十分に紫外線を導入させる必要がある。この場合、接着剤の硬化進行方向(記録素子基板の端部から供給口へ向かう方向)に対し、紫外線の入射角が小さくなる。従って、仮に導光路232の底部が接着剤の硬化進行方向(接合面の方向)と平行に形成されていたとすると、紫外線が導光溝の底部で略垂直に反射されるため、接着領域へと導かれにくく、エネルギー効率が低下する。そこで、この第2の実施形態では、第1の傾斜面232及び第2の傾斜面233によって導光溝231の底面をV字状に形成し、紫外線照射ノズルから発せられる紫外線を、インク供給流路210の端部周辺における接着領域側へと反射させるようにしている。
(2)第1のプレート200に対し、後工程にて電気配線基板を接着固定する場合、記録素子基板110,120と第2のプレート300及び電気配線基板で囲まれた空間に、配線部を保護するための封止材を充填する必要がある。この際、導光溝231にも封止材を充填する必要があるが、導光溝231への封止剤の充填量が多いほど、封止剤硬化時の収縮量が大きくなり、リードに与えるダメージも増大する。そこで、この第2の実施形態では、導光溝231の底部をV字状に形成し、導光溝231への封止剤の充填量を減少させている。
以上のような理由により、この第2の実施形態における導光溝231の底部は、V字状に形成されている。
次に、この第2の実施形態における記録ヘッドの製造方法を説明する。
この第2の実施形態においても、第1のプレート200に対する各部材の取り付け工程は、上記第1の実施形態と略同様である。但し、この第2の実施形態では、第2のプレート300の第1のプレート200への接着工程が、各記録素子基板110,120の仮固定の前に行われる。
記録素子基板120の仮固定においては、記録素子基板120の端部に紫外線が照射される。このとき紫外線は、前述の(1)で述べたように、記録素子基板120と第1のプレート200との接合面に対し垂直な方向から照射される。これにより、第2のプレート300と記録素子基板120の端部との間隙Gを経て、導光溝231の第1の傾斜面232に十分な量の紫外線が照射される。そして、第1の傾斜面232に照射された紫外線はインク供給流路210側へと反射され、第2の記録素子基板120の裏面と第1、第2の傾斜面232,233との間で乱反射を繰り返しながら、インク供給流路210方向へと進行する。このため、十分な量の紫外線が効率良く接着剤400へと導かれ、インク供給流路210の端部周辺の接着剤400は確実に硬化する。
一方、第1プレート200において導光溝231が形成されていない接着剤の塗布領域では、図11(b)に示すように、記録素子基板120の端部に照射された紫外線が接着剤内を透過するが、その範囲は導光溝231が形成されている領域に比べて短い。つまり、接着剤の硬化が進行する距離は短い。接着剤が硬化する状態を、図10及び図11に示す。図中、斜線によって示される領域R1は、接着剤が硬化する領域(硬化領域)を、R2は接着剤が硬化していない領域(未硬化領域)をそれぞれ示している。
このように、この第2の実施形態においては、導光溝231が形成されている領域と、導光溝231が形成されていない領域とを形成することにより、接着剤の硬化状態に選択性を持たせることができる。つまり、照射された紫外線のうち導光溝231を進行する紫外線は、第2に記録素子基板の端部から、よりインク供給口側へと接着剤400の硬化領域R1をより広げることができる。逆に導光溝231の存在しない領域の端部に照射された紫外線は、その一部が図11(b)に示すように、間隙Gから外部へと反射されると共に、接着剤400内を進行する間に減衰されるため、接着剤400の硬化領域R1は狭くなる。この硬化領域の差を利用し、接着剤の這い上がりが生じるインク供給口112の端部周辺にのみ導光溝を配置することで、供給口の端部周辺の接着剤のみを硬化させ、後工程においてクラックの発生が懸念されるインク供給口間の接着剤は未硬化の状態に保つ。
なお、以上の説明では、主として第2の記録素子基板120を仮固定する場合を例に採り説明したが、第1の記録素子基板110も同様に導光溝231を形成することによって紫外線による硬化領域を選択的に形成することが可能になる。
以上のように、この第2の実施形態によれば、各記録素子基板をインク供給流路210の近傍の接着剤を紫外線で硬化させて仮固定を行うため、記録素子基板の位置ずれを回避することが可能となる。またインク供給口112及びインク供給流路210内にはみ出したの接着剤を硬化可能であるため、ノズル詰まりを防止することが可能となる。
さらに、複数のインク供給口を有する第2の記録素子基板120にあっては、後工程が行われるまで各インク供給口の間の接着剤を硬化させないため、後工程での熱処理において接着剤にクラックが発生するのを抑えることができる。よって、隣接するインクの供給口流路間においてインクの混入が発生するのを回避することが可能となり、生産性の向上、品質の向上を図ることができる。
なお、上記第2の実施形態において、導光溝231の寸法や幅などは図10に示したものに限らず、その他の形状に形成することも可能である。例えば、図12の変形例に示す導光溝232のように、記録素子基板120(または110)の外側に位置する部分の幅を、記録素子基板110と対向する部分の幅よりも広く形成しても良い。前述のように紫外線の照射は、第2のプレート300によるケラレを防ぐために、接合面に対して垂直方向から行う必要がある。この際、図12に示す導光溝232のように、記録素子基板より外側に位置する部分の幅が広く形成されていれば、導光溝内へ導入される紫外線の量をより増大させることができ、より多くの紫外線エネルギーを接着面へと導くことができる。これにより、接着剤硬化までのリードタイムを短縮することが可能となる。
(第3の実施形態)
以下、本発明の第3の実施形態を図13および図14に基づき説明する。
図13および図14は、この第3の実施形態における導光溝241及びその周辺構成を示す図である。ここで、図13は、上記各記録素子基板110、120を接着固定させる支持部材としての第1のプレート200の一部を拡大して示す平面図であり、図14(a)は図13のa−a線断面図、図14(b)は図13のb−b線断面図である。なお、各図中、上記第1、第2の実施形態と同一もしくは相当部分には同一符号を付し、その説明の詳細は省く。
この第3の実施形態では、記録素子基板を仮固定する場合に、記録素子基板の端部に照射される紫外線をより多く導入し得るように、第1のプレート200における導光溝241を形成したものである。
すなわち、この第3の実施形態における導光溝241は、その一端部が第2の記録素子基板120より外側に延出しており、その延出部分が外部に開口している。そして、この第2の記録素子基板120の外側に延出する部分の一部242の幅は、他の部分143の幅より広く形成されている。以下、この幅の広い部分を幅広部242、幅の狭い部分を幅狭部と称す。ここで幅狭部243は、インク供給流路210と略同一の幅を有している。なお、この導光溝241の底面は平面形状をなし、第1のプレート200に対して均一な深さ位置に形成された平坦な面となっている。このように、この第3の実施形態では、幅広部242によって、より多くの紫外線を導入させ得るようにしている。従って、幅広部の幅はできる限り広く形成されていることが望ましい。
また、導光溝241の深さは、第1の実施形態に形成されている導光溝に比べて深く形成されている。すなわち、導入溝241が浅く形成されている場合には、導光路242内に入射された紫外線が、導入溝241の底部と記録素子基板120の裏面との間での反射する回数が多くなり、インク供給流路210側へと進行する光が減衰してしまう。そのため、深さは0.3〜1mm程度の深さが良い。
以上の構成を有する記録ヘッドにおいて、第2の記録素子基板120の仮固定における紫外線照射を、第2のプレート300の接合後に行う場合には、第2のプレート300によるケラレを低減するために、接合面に対して垂直に近い方向から行う。この場合、導光溝241内へ照射された紫外線は、導光溝241の底部や第2の記録素子基板の裏面との間での反射回数が多くなり、紫外線が減衰してしまう。このため、導入できる紫外線の量が少ない場合には、照射エネルギーが小さく、接着剤400の硬化が十分に行われなくなり、生産性が低下する。
そこで、この第3の実施形態では、導光溝241のうち、記録素子基板の端部より外側に延出する延出部分に幅広部242を形成し、導光路242内に導入する紫外線の量を増大させている。さらに、導光路241の幅が深いため、導入された紫外線の反射回数を低減することができ、減衰の少ない状態で接着剤400に照射することができるため、十分な照射エネルギを接着剤400に与えることが可能になる。その結果、接着剤をより確実に硬化させることが可能になり、記録ヘッドの信頼性及び生産性の向上を図ることができる。
(第4の実施形態)
次に、本発明の第4の実施形態を図面を参照しつつ説明する。
図15および図16は、この第4の実施形態における導光溝251及びその周辺構成を示す図であり、図15は上記各記録素子基板110、120を接着固定させる支持部材としての第1のプレート200の一部を拡大して示す平面図である。また、図16は図15に示す実施形態における導光溝の変形例を示す平面図である。なお、各図中、上記第1ないし第3の実施形態と同一もしくは相当部分には同一符号を付し、その説明の詳細は省く。
上記各実施形態では、複数のインク供給流路210に対応してそれぞれ独立した導光溝を形成したが、この第4の実施形態では、導光溝の端部が互いに連通する構成となっており、この点が上記各実施形態と異なる。なお、その他の構成は第3の実施形態と同一である。
すなわち、図15に示す導光溝251は、第2の記録素子基板120と対向する部分が各インク供給流路210に対応して分割されており、記録素子基板120の外側に延出する部分が互いに連通した状態となっている。以下、導光溝251のうち、分割形成された部分を分割部252と称し、この分割部252の外側端部が互いに連通した部分を連通部253と称す。
上記のように、この第3の実施形態では、導光溝251のうち、第2の記録素子基板120から延出する部分が連通部252によって連通しているため、各導光溝が完全に独立している場合に比べてより広い範囲から多くの紫外線を導入することが可能となる。このため、各分割部252に導かれる紫外線の量も増大し、各インク供給流路210に対応する接着剤400の塗布領域に対してより多くの紫外線を効率的に照射することが可能になり、接着剤400を確実に硬化させることが可能になる。
また、図16は、図15に示した実施形態の変形例を示す平面図である。本例では、導光溝251の各分割部の側面を外側に向かうに従って拡大させるテーパ形状を有するものとなっている。これによれば、側面のテーパー形状を利用して、導光路内に取り入れた紫外線をインク供給口H1102方向へさらに効率よく接着剤400へ導くことができる。
(第5の実施形態)
次に、本発明の第5の実施形態を図17及び図18に基づき説明する。
上記第1の実施形態では、記録素子基板の端部にのみ照射することによって記録素子基板のインク供給口112及び第1のプレート200のインク供給流路の端部周辺に塗布された接着剤400を硬化させるようにしている。このため、紫外線の照射工程が1工程で済み、生産性向上を実現することができる。しかし、インク供給口112及びインク供給流路210内にはみ出した接着剤をより確実に硬化させる場合には、図9に示すように記録素子基板の端部からの紫外線照射の後、図18に示すように記録素子基板の表面側から紫外線を照射することも有効である。
この場合、記録素子基板と第1のプレートとの間の接着剤に、上記各実施形態のような未硬化領域を維持する必要があるため、紫外線照射ノズル541及び542によって紫外線を照射する領域を、記録素子基板の吐出口プレート116の端部領域に制限する。この照射領域を制限する手段としては、図17に示す紫外線照射ノズル用マスク(以下、単にマスクと称す)を用いる。このマスク551,552は、記録素子基板120上に紫外線照射ノズルを配置した状態で、紫外線照射ノズルの照射口の下側へと移動し、照射領域を図18(a)に示すような領域UVに制限する。図示のように、紫外線照射領域UVは、各記録素子基板110,120に形成されている各インク供給口112の端部のみに制限されている。従って、図18(b)示すように、インク供給口の端部を除いた広いマスクキング領域MSに塗布されている接着剤は、未硬化状態を維持する。従って、その後に行われる後工程で熱処理が行われたとしても上記各実施形態と同様に接着剤にクラックが発生することはない。しかも、この記録素子基板の表面側からの紫外線照射によって、インク供給口の隅部から這い上がる接着剤をより確実に硬化させることができ、接着剤によって詰まり易い端部の吐出口にも良好な吐出性能を得ることできる。
本発明の第1の実施形態における記録ヘッドの概略構成を示す分解斜視図である。 図1に示す第1の記録素子基板の一部を切欠して示す斜視図である。 図1に示す第2の記録素子基板の一部を切欠して示す斜視図である。 図1に示す第2の記録素子基板を第1のプレートに取り付けた状態を示す断面図である。 図1に示す第1のプレートの一部を拡大して示す平面図である。 (a)は図5のa−a線断面図、(b)は図5のb−b線断面図である。 本実施形態における記録ヘッドの製造方法を説明するための断面図である。ここで、(a)は転写ピンが第1のプレート上に位置決めされた状態を、(b)は転写ピンの転写面を接着剤を介して第1のプレート上に下降させた状態を、(c)は第1のプレート上に接着剤がト転写された状態をそれぞれ示している。 本実施形態における記録ヘッドの製造方法を説明するための断面図であり、(a)はフィンガーが記録素子基板を吸着把持した状態を、(b)は真空圧フィンガーの下降によって第2の記録素子基板が第1のプレートに当接された状態を示している。 本実施形態における記録ヘッドの製造方法を説明するための断面図であり、紫外線を記録素子基板の端部に照射した状態を示している。 本発明の第2の実施形態における導光溝及びその周辺構成を示す図であり、第1のプレートの一部を拡大して示す平面図である。 (a)は図10のa−a線断面図、(b)は図10のb−b線断面図である。 図11に示す実施形態における導光溝の変形例を示す平面図である。 この第3の実施形態における導光溝及びその周辺構成を示す図であり、第1のプレートの一部を拡大して示す平面図であり、 (a)は図13のa−a線断面図、(b)は図13のb−b線断面図である。 第4の実施形態における導光溝及びその周辺構成を示す図であり、第1のプレートの一部を拡大して示す平面図である。 図15に示す実施形態における導光溝の変形例を示す平面図である。 第5の実施形態における紫外線照射工程を示す断面図である。 (a)は第5の実施形態における紫外線照射工程で紫外線が照射される領域を模式的に平面図であり、(b)は同実施形態におけるマスキング領域及び紫外線照射領域を模式的に示す斜視図である。 電気熱変換素子を用いたインクジェット記録ヘッドの断面図である。
符号の説明
110 第1の記録素子基板
120 第2の記録素子基板
200 第1のプレート
300 第2のプレート
210 インク供給流路
112 インク供給口
113 電気熱変換素子
116 吐出口プレート
211 隔壁
221 導光溝
231 導光溝
232 第1の斜面
233 第2の斜面
241 導光溝
242 幅広部
243 幅狭部
251 導光路
252 分割部
253 連通部
400 接着剤
510 転写ピン
520 真空吸着フィンガー
541,542 紫外線照射ノズル
R1 硬化領域
R2 半硬化領域
R3 未硬化領域

Claims (10)

  1. インクを吐出する複数の吐出口を配列してなる吐出口列と該吐出口列にインクを供給するインク供給口とを有すると共に前記各吐出口からインクを吐出させるための吐出エネルギを発生する記録素子を備えた記録素子基板と、前記記録素子基板に光・熱硬化併用型の接着剤にて接着固定された支持部材と、を備えた記録ヘッドにおいて、
    前記記録素子基板の端部の周辺に照射された光を、前記吐出口の配列方向における前記インク供給口の端部周辺の接着領域へと導く溝部が前記支持部材に形成されていることを特徴とする記録ヘッド。
  2. 前記記録素子基板には、複数の前記吐出口列が形成されると共に、前記複数の吐出口列それぞれに対応して複数のインク供給口が形成されていることを特徴とする請求項1に記載の記録ヘッド。
  3. 前記支持部材は、前記複数のインク供給口それぞれに対応して前記溝部が互いに独立に形成されていることを特徴とする請求項2に記載の記録ヘッド。
  4. 前記溝部は、前記吐出口の配列方向における前記インク供給口の端部周辺の接着領域から、前記記録素子基板の端部より前記インク供給口側に入り込んだ位置まで形成されていることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の記録ヘッド。
  5. 前記溝部は、前記記録素子基板の端部より外側へ延出する延出部分を有していることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の記録ヘッド。
  6. 前記溝部は、前記記録素子基板より外側に延出する延出部分を有し、前記延出部分には、前記記録素子基板の端部に照射された光を前記インク供給口の周辺の接着領域側に反射する傾斜面が形成されていることを特徴とする請求項5に記載の記録ヘッド。
  7. 前記傾斜面は、前記記録素子基板より外側に延出する延出部分を有する第1の傾斜面と、前記記録素子基板と対向する位置に形成された第2の傾斜面とによりV字状をなし、第1の傾斜面は前記記録素子基板と前記支持部材との接合面に対して垂直に入射する光を前記インク供給口側へと反射し、第2の傾斜面は前記第1の傾斜面で反射された光を前記記録素子基板の裏面との間で反射させながら前記インク供給口周辺の接着領域へと導くことを特徴とする請求項6に記載の記録ヘッド。
  8. 前記延出部分には、前記吐出口の配列方向と交差する方向における幅が拡大された幅広部が形成されていることを特徴とする請求項1ないし5のいずれかに記載の記録ヘッド。
  9. 前記溝部は、前記各インク供給口に対応して分割して形成された分割部と、この分割部の外側端部を互いに連通させる連通部と、を有することを特徴とする請求項5に記載の記録ヘッド。
  10. 請求項1記載の記録ヘッドの製造方法であって、
    前記支持部材に前記光・熱硬化併用型の接着剤を塗布する工程と、
    前記接着剤を塗布した支持部材に前記記録素子基板を配置する工程と、
    前記支持部材に形成された前記溝部の外側の端部に光を照射することにより、当該光を前記吐出口の配列方向における前記インク供給口の端部周辺の接着領域へと導き、該接着領域の一部に硬化領域を形成する工程と、
    を備えたことを特徴とする記録ヘッドの製造方法。
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