JP2004202785A - インクジェットヘッドの製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】インク吐出口を、光学的処理によって形成するようにしたインクジェットヘッドの製造方法において、高密度に吐出口を形成する場合においても、安定した、よれのない吐出口を形成することができるインクジェットヘッドの製造方法を提供する。
【解決手段】基板上に形成されたインク流路と、該インク流路内の前記基板上に設けられた複数のインク吐出圧発生手段を有し、該インク吐出圧発生手段に対応した複数のインク吐出口を、エポキシ樹脂を含む樹脂材を用い、光学的処理によって形成するようにしたインクジェットヘッドの製造方法において、前記インク吐出口を形成した後、該インク吐出口を形成した面に粘着材を有するテープを貼付し、該インク吐出口の内部をプラズマ処理する。
【選択図】 図1
【解決手段】基板上に形成されたインク流路と、該インク流路内の前記基板上に設けられた複数のインク吐出圧発生手段を有し、該インク吐出圧発生手段に対応した複数のインク吐出口を、エポキシ樹脂を含む樹脂材を用い、光学的処理によって形成するようにしたインクジェットヘッドの製造方法において、前記インク吐出口を形成した後、該インク吐出口を形成した面に粘着材を有するテープを貼付し、該インク吐出口の内部をプラズマ処理する。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、インクジェットヘッドの製造方法に関し、特に、インク吐出口を、光学的処理によって形成するようにした高密度吐出を目指すインクジェットヘッドの製造方法において、吐出口の形状を整えることにより、安定した、よれのない吐出が可能なインクジェットヘッドの実現を図るインクジェットヘッドの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来のインクジェットヘッドは、ポリサルフォンなどの射出成形が可能なプラスチックに予めインク流路を形成した後、吐出口をレーザーで開ける方法や、TABに用いられているポリイミドフィルムにレーザーで穴を開ける方法、また金属に穴を開けたものを用いるなどの方法を採ってきた。
ところが、インクジェットプリンタは、ここ数年写真画質の印刷の需要オフィスでのカラー文書の需要などから、急速に発展している。その需要に答えるべくヘッドの構造は、より小さなインク滴をとばす為に、吐出口をより小さくする方向に動いている。
したがって、従来の方法では、最近の小さい液滴をとばすための吐出口を開けることが難しく発明者らは、光学的に形成する方法(露光現像などの半導体フォトリソプロセス)を採用して、より高解像度の吐出口形成を可能にしてきた。
【0003】
このような吐出口を光学的に形成するインクジェットヘッドの製造方法の従来例の一つとして、例えば図5に示されるような方法がある(特許文献1参照)。この方法は、図5に示さているように基板11上には、電気熱変換素子あるいは圧電素子等のインク吐出エネルギー発生素子12が所望の個数配置されており、これら素子を動作させるための制御信号入力用電極(不図示)が接続されている。また、基板11にはインク供給のための開口部13が設けられている。インクジェット記録ヘッドはこのような構成の基板を用いて、つぎのような手順で形成される。
まず、図5(B)aに示すように、上記インク吐出エネルギー発生素子12を含む基板11上に、溶解可能な樹脂にてインク流路パターン14を形成する。
つぎに、このように、インク流路をパターニングした溶解可能な樹脂材料層14上に、図5(B)bに示すように、エポキシ樹脂等による感光性被覆樹脂層15を通常のスピンコート法、ロールコート法等で形成する。
次いで、上記化合物からなる感光性被覆樹脂層15に対して、図5(B)cに示すように、マスク16を介してパターン露光を行う。ここで用いられる感光性被覆樹脂層15は、ネガ型であり、インク吐出口を形成する部分をマスクで遮蔽する。パターン露光は、使用する光カチオン重合開始剤の感光領域に合わせて紫外線、Deep−UV光、電子線、X線などから適宜選択することができる。これまでの工程は、すべて従来のフォトリングラフィー技術を用いて位置合わせが可能であり、オリフィスプレートを別途作成し基板と張り合せる方法に比べて、格段に精度をあげることができる。こうしてパターン露光された感光性被覆樹脂層15は、必要に応じて反応を促進するために、加熱熱処理される。またここで用いられる感光性被覆樹脂層は常温で固体状のエポキシ樹脂で構成されているため、パターン露光で生じるカチオン重合開始種の拡散は制約を受け、優れたパターニング精度、形状を実現できる。
次いで、パターン露光された感光性被覆樹脂層15は、適当な溶剤を用いて現像され、図5(B)dに示すように、インク吐出口を形成する。ここで、未露光の感光性被覆樹脂層の現像時に同時にインク流路を形成する溶解可能な樹脂パターン14を現像することも可能である。ただし、一般的に、基板11上には複数の同一または異なる形態のヘッドが配置され、切断工程を経てインクジェット記録ヘッドとして使用されるため、切断時のごみ対策として、図5(B)dに示すように感光性被覆樹脂層15のみを選択的に現像することにより、インク流路を形成する樹脂パターン14を残し(液室内に樹脂パターン4が残存するため切断時に発生するゴミが入り込まない)、切断工程後に樹脂パターン14を現像することも可能である(図5(B)e)。また、この際、感光性被覆樹脂層15を現像する時に発生するスカム(現像残渣)は、溶解可能な樹脂層14と共に溶出されるためノズル内には残渣が残らない。
このようにして形成したインク流路およびインク吐出口を形成した基板に対して、インク供給のための部材17およびインク吐出圧力発生素子を駆動するための電気的接合(図示せず)を行ってインクジェット記録ヘッドが形成される(図5(B)f)。
【0004】
【特許文献1】特開平11−44693号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記した光学的な手法による吐出口の形成方法では、マスクを介してパターン露光を行うに際して、吐出口の端部の形状が、吐出口の形成に用いられる光の漏れ、あるいは反射によって変形し、吐出口列の有る面に対して90度以下の形状、あるいは傾斜を持った形状(テーパー形状)となるという問題を有している。
すなわち、ヘッド内部に入れられたインクは、通常90度近い角度のインク吐出口の端部で、接触角が変わるためにそこでインクが外に出にくくなるいわゆるメニスカスを張った状態となり、安定な吐出、よれのない吐出が可能となる。
これに対して、上記したように光学的処理によって形成されたインク吐出口の端部が変形していると、光学的手法による吐出口では、徐々に接触角が変わるので、メニスカスが形成されないため、インクの保持力が小さくなり、安定な吐出、よれのない吐出の障害となる。
そのために、ヘッドに接続されるインクタンクに負圧を持たせるため、内部にスポンジを入れたり、強力な撥水性を吐出口面に持たせることで、吐出口から出るインクを止めることによって、その改善が図られているが、一方、こうすることによって、タンクの内部にスポンジが入り、同じ大きさでも中のインク量が少なくなり、また印字枚数に対する経済性も悪くなる。
また、撥水性を持たせる為の工程で、穴のあいた基板上に撥水材を塗布することによって、吐出口内に撥水材が入り込み、インク流路内のインクの塗れ性が悪くなり、インクの充填(リフィル)時間が遅くなるなどの問題が生じる。
【0006】
そこで、本発明は、インク吐出口を、光学的処理によって形成するようにしたインクジェットヘッドの製造方法において、高密度に吐出口を形成する場合においても、安定した、よれのない吐出口を形成することができるインクジェットヘッドの製造方法を提供することを目的とするものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記課題を解決するために、インクジェットヘッドの製造方法をつぎのように構成したことを特徴とするものである。
すなわち、本発明のインクジェットヘッドの製造方法は、基板上に形成されたインク流路と、該インク流路内の前記基板上に設けられた複数のインク吐出圧発生手段を有し、
該インク吐出圧発生手段に対応した複数のインク吐出口を、エポキシ樹脂を含む樹脂材を用い、光学的処理によって形成するようにしたインクジェットヘッドの製造方法において、
前記インク吐出口を形成した後、該インク吐出口を形成した面に粘着材を有するテープを貼付し、該インク吐出口の内部をプラズマ処理することを特徴としている。
また、本発明のインクジェットヘッドの製造方法は、前記プラズマ処理が、ガスを用いたプラズマ中に、前記ヘッドまたはヘッド形成中の部品を入れるように構成することがたできる。
また、本発明のインクジェットヘッドの製造方法は、前記プラズマ処理が、テープを貼付した面を下にして行われるように構成することができる。
また、本発明のインクジェットヘッドの製造方法は、前記プラズマ処理が、前記ヘッドまたはヘッド形成中の部品がガスを用いたプラズマ中で曝されている間、それらを冷却することにより行われるように構成することができる。
また、本発明のインクジェットヘッドの製造方法は、前記プラズマ処理により、前記光学的処理によって形成されたインク吐出口の端部を、ほぼ直角に切り立った形状とすることができる。
また、本発明のインクジェットヘッドの製造方法は、前記テープの粘着材に、紫外線によって粘着性が低下する粘着材を用い、前記プラズマ処理後に紫外線を加え、該テープの粘着性を低下させた後に、該テープを貼付した前記インク吐出口を形成した面から剥離するように構成することができる。
また、本発明のインクジェットヘッドの製造方法は、前記テープの粘着材に、熱によって粘着性が低下する粘着材を用い、前記プラズマ処理後に熱を加え、該テープの粘着性を低下させた後に、該テープを貼付した前記インク吐出口を形成した面から剥離するように構成することができる。
【0008】
【発明の実施の形態】
本発明は、上記したインクジェットヘッドの製造方法によって、光学的処理によって形成されたインク吐出口の端部が変形している場合においても、その端部をほぼ直角に切り立った形状とすることが可能となり、これにより高密度に吐出口を形成したインクジェットヘッドにおいて、安定した、よれのない吐出口を形成することができる。
【0009】
【実施例】
以下に本発明の実施例について説明する。
図1は本実施例の製造工程を説明するための図である。aは光学的手法により形成した吐出口の構成を示す図、bは粘着材付きテープを貼付した図、cは流路内を処理して従来の吐出口を変形させた図であり、またdは本実施例によって形成された吐出口の形状を示す図である。
つぎに、図2に基づいて、本実施例におけるインクジェットの吐出口の形成について説明する。なお、ここでの吐出口の形成方法は、基本的には図5に基づいて説明した従来の光学的手法と同様の手法を用いている。
まず、ICを形成したウエハー上に溶解可能な樹脂にてノズル(インク流路)となるレジストを形成する(図2a)。
【0010】
その上にノズル(インク流路)となるエポキシ樹脂を流し込み仮キュアする。ウエハー工程と同じように、マスクアライナーによるマスクあわせと、高圧紫外線ランプで所望のパターン(今回は吐出口の穴)をのぞく部分に紫外線を当て、吐出口を形成する。
前記エポキシ樹脂を現像した後、保護樹脂を塗って、シリコンウエハーに穴を空ける(インク供給口)そして内部にあるインク流路となるレジストを除去し、インク流路となるエポキシを熱硬化する。さらに、前記保護樹脂を除去することで、本実施例による製造工程前のウエハー(部品)が完成する。
【0011】
このようにして完成したウエハーの表面の塗れ性改善のためにUVオゾン洗浄を行った後、フレキソ印刷にてCTX(旭硝子)を塗布する。150℃で5時間キュアして、撥水材は完了する。
このとき、図2dのように、各吐出口の端部は、レジストによる光の遮蔽が十分でないのと、下からの反射によって多少の露光が行われるために吐出口面と90度の角度とはならず、斜面(テーパー)になる。
そこで、粘着材の付いたテープを貼り付け(図1b)、それを図4に示される電極9,9、RF電源により構成される平行平板のアッシングマシン(プラズマ発生装置)に入れ、1.0Torr、0.7kW、6分の酸素プラズマに曝した。このとき、ウエハーはテープを貼付した面を下にして、酸素ガスが十分にインク流路および吐出口内に入るようにした。
【0012】
この方法は、特開平9−267478号公報でも同じ様な処理を行っているが、この従来例では、粘着材のないシリコンゴムやフッ素ゴムの弾性体を用いて、その変形を利用して密着させているのに対して、本発明では上記実施例のように粘着材を用いて積極的に接着しているので、よりよい効果が生まれる。
すなわち、本発明では上記実施例のように接着材が有ることによって、プラズマ中に曝されている時であっても、貼付されたテープははがれることなく吐出口近傍に残っており、前記テープと吐出口形成材であるエポキシ樹脂の界面が確実に保護される。そのため、テープが接触していない傾斜部(テーパー部)はプラズマによって除去され、テープによって保護されている部分とテープは吐出口面とほぼ90度の角度で接しているために、切り立った吐出口が形成されることになる(図3aおよび図3b参照)。
【0013】
その処理を行った後、前記テープに紫外線、熱を加えて、粘着性を低下させ、前記吐出口面から剥離する。このとき、粘着性が低下しているために吐出口を形成しているエポキシ樹脂は変形、破壊はしない。
こうして完成したウエハーにバンプ形成、切断ILBを行いインク供給のためのプラスチック部品に前記チップを搭載して接着し、インク吐出口の端部をほぼ直角に切り立った形状としたインクジェットヘッドを完成させることができる。
【0014】
【発明の効果】
本発明によれば、光学的処理によってインク吐出口の端部が変形して形成された場合でも、その端部をほぼ直角に切り立った形状とすることが可能となり、これにより高密度に吐出口を形成したインクジェットヘッドにおいて、安定した、よれのない吐出口を形成することができ、高品位の印刷が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例における製造工程を説明するための図である。
【図2】本発明の実施例におけるインクジェットノズル部の形成について説明するための図である。
【図3】本発明のプラズマ処理におけるエッチングの進行について説明するための図である。
【図4】本発明に用いたプラズマ発生装置を説明するための図である。
【図5】従来例における光学的に(露光現像などの半導体フォトリソプロセスを採用して)吐出口を形成するインクジェットヘッドの形成方法を説明するための図である。
【符号の説明】
1:吐出口
2:ノズル形成部材
3:インク流路
4:基板
5:吐出口端部
6:粘着材付きフィルム
7:除去されたノズル形成部材
8:ノズル形成用レジスト
9:電極
10:RF電源
【発明の属する技術分野】
本発明は、インクジェットヘッドの製造方法に関し、特に、インク吐出口を、光学的処理によって形成するようにした高密度吐出を目指すインクジェットヘッドの製造方法において、吐出口の形状を整えることにより、安定した、よれのない吐出が可能なインクジェットヘッドの実現を図るインクジェットヘッドの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来のインクジェットヘッドは、ポリサルフォンなどの射出成形が可能なプラスチックに予めインク流路を形成した後、吐出口をレーザーで開ける方法や、TABに用いられているポリイミドフィルムにレーザーで穴を開ける方法、また金属に穴を開けたものを用いるなどの方法を採ってきた。
ところが、インクジェットプリンタは、ここ数年写真画質の印刷の需要オフィスでのカラー文書の需要などから、急速に発展している。その需要に答えるべくヘッドの構造は、より小さなインク滴をとばす為に、吐出口をより小さくする方向に動いている。
したがって、従来の方法では、最近の小さい液滴をとばすための吐出口を開けることが難しく発明者らは、光学的に形成する方法(露光現像などの半導体フォトリソプロセス)を採用して、より高解像度の吐出口形成を可能にしてきた。
【0003】
このような吐出口を光学的に形成するインクジェットヘッドの製造方法の従来例の一つとして、例えば図5に示されるような方法がある(特許文献1参照)。この方法は、図5に示さているように基板11上には、電気熱変換素子あるいは圧電素子等のインク吐出エネルギー発生素子12が所望の個数配置されており、これら素子を動作させるための制御信号入力用電極(不図示)が接続されている。また、基板11にはインク供給のための開口部13が設けられている。インクジェット記録ヘッドはこのような構成の基板を用いて、つぎのような手順で形成される。
まず、図5(B)aに示すように、上記インク吐出エネルギー発生素子12を含む基板11上に、溶解可能な樹脂にてインク流路パターン14を形成する。
つぎに、このように、インク流路をパターニングした溶解可能な樹脂材料層14上に、図5(B)bに示すように、エポキシ樹脂等による感光性被覆樹脂層15を通常のスピンコート法、ロールコート法等で形成する。
次いで、上記化合物からなる感光性被覆樹脂層15に対して、図5(B)cに示すように、マスク16を介してパターン露光を行う。ここで用いられる感光性被覆樹脂層15は、ネガ型であり、インク吐出口を形成する部分をマスクで遮蔽する。パターン露光は、使用する光カチオン重合開始剤の感光領域に合わせて紫外線、Deep−UV光、電子線、X線などから適宜選択することができる。これまでの工程は、すべて従来のフォトリングラフィー技術を用いて位置合わせが可能であり、オリフィスプレートを別途作成し基板と張り合せる方法に比べて、格段に精度をあげることができる。こうしてパターン露光された感光性被覆樹脂層15は、必要に応じて反応を促進するために、加熱熱処理される。またここで用いられる感光性被覆樹脂層は常温で固体状のエポキシ樹脂で構成されているため、パターン露光で生じるカチオン重合開始種の拡散は制約を受け、優れたパターニング精度、形状を実現できる。
次いで、パターン露光された感光性被覆樹脂層15は、適当な溶剤を用いて現像され、図5(B)dに示すように、インク吐出口を形成する。ここで、未露光の感光性被覆樹脂層の現像時に同時にインク流路を形成する溶解可能な樹脂パターン14を現像することも可能である。ただし、一般的に、基板11上には複数の同一または異なる形態のヘッドが配置され、切断工程を経てインクジェット記録ヘッドとして使用されるため、切断時のごみ対策として、図5(B)dに示すように感光性被覆樹脂層15のみを選択的に現像することにより、インク流路を形成する樹脂パターン14を残し(液室内に樹脂パターン4が残存するため切断時に発生するゴミが入り込まない)、切断工程後に樹脂パターン14を現像することも可能である(図5(B)e)。また、この際、感光性被覆樹脂層15を現像する時に発生するスカム(現像残渣)は、溶解可能な樹脂層14と共に溶出されるためノズル内には残渣が残らない。
このようにして形成したインク流路およびインク吐出口を形成した基板に対して、インク供給のための部材17およびインク吐出圧力発生素子を駆動するための電気的接合(図示せず)を行ってインクジェット記録ヘッドが形成される(図5(B)f)。
【0004】
【特許文献1】特開平11−44693号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記した光学的な手法による吐出口の形成方法では、マスクを介してパターン露光を行うに際して、吐出口の端部の形状が、吐出口の形成に用いられる光の漏れ、あるいは反射によって変形し、吐出口列の有る面に対して90度以下の形状、あるいは傾斜を持った形状(テーパー形状)となるという問題を有している。
すなわち、ヘッド内部に入れられたインクは、通常90度近い角度のインク吐出口の端部で、接触角が変わるためにそこでインクが外に出にくくなるいわゆるメニスカスを張った状態となり、安定な吐出、よれのない吐出が可能となる。
これに対して、上記したように光学的処理によって形成されたインク吐出口の端部が変形していると、光学的手法による吐出口では、徐々に接触角が変わるので、メニスカスが形成されないため、インクの保持力が小さくなり、安定な吐出、よれのない吐出の障害となる。
そのために、ヘッドに接続されるインクタンクに負圧を持たせるため、内部にスポンジを入れたり、強力な撥水性を吐出口面に持たせることで、吐出口から出るインクを止めることによって、その改善が図られているが、一方、こうすることによって、タンクの内部にスポンジが入り、同じ大きさでも中のインク量が少なくなり、また印字枚数に対する経済性も悪くなる。
また、撥水性を持たせる為の工程で、穴のあいた基板上に撥水材を塗布することによって、吐出口内に撥水材が入り込み、インク流路内のインクの塗れ性が悪くなり、インクの充填(リフィル)時間が遅くなるなどの問題が生じる。
【0006】
そこで、本発明は、インク吐出口を、光学的処理によって形成するようにしたインクジェットヘッドの製造方法において、高密度に吐出口を形成する場合においても、安定した、よれのない吐出口を形成することができるインクジェットヘッドの製造方法を提供することを目的とするものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記課題を解決するために、インクジェットヘッドの製造方法をつぎのように構成したことを特徴とするものである。
すなわち、本発明のインクジェットヘッドの製造方法は、基板上に形成されたインク流路と、該インク流路内の前記基板上に設けられた複数のインク吐出圧発生手段を有し、
該インク吐出圧発生手段に対応した複数のインク吐出口を、エポキシ樹脂を含む樹脂材を用い、光学的処理によって形成するようにしたインクジェットヘッドの製造方法において、
前記インク吐出口を形成した後、該インク吐出口を形成した面に粘着材を有するテープを貼付し、該インク吐出口の内部をプラズマ処理することを特徴としている。
また、本発明のインクジェットヘッドの製造方法は、前記プラズマ処理が、ガスを用いたプラズマ中に、前記ヘッドまたはヘッド形成中の部品を入れるように構成することがたできる。
また、本発明のインクジェットヘッドの製造方法は、前記プラズマ処理が、テープを貼付した面を下にして行われるように構成することができる。
また、本発明のインクジェットヘッドの製造方法は、前記プラズマ処理が、前記ヘッドまたはヘッド形成中の部品がガスを用いたプラズマ中で曝されている間、それらを冷却することにより行われるように構成することができる。
また、本発明のインクジェットヘッドの製造方法は、前記プラズマ処理により、前記光学的処理によって形成されたインク吐出口の端部を、ほぼ直角に切り立った形状とすることができる。
また、本発明のインクジェットヘッドの製造方法は、前記テープの粘着材に、紫外線によって粘着性が低下する粘着材を用い、前記プラズマ処理後に紫外線を加え、該テープの粘着性を低下させた後に、該テープを貼付した前記インク吐出口を形成した面から剥離するように構成することができる。
また、本発明のインクジェットヘッドの製造方法は、前記テープの粘着材に、熱によって粘着性が低下する粘着材を用い、前記プラズマ処理後に熱を加え、該テープの粘着性を低下させた後に、該テープを貼付した前記インク吐出口を形成した面から剥離するように構成することができる。
【0008】
【発明の実施の形態】
本発明は、上記したインクジェットヘッドの製造方法によって、光学的処理によって形成されたインク吐出口の端部が変形している場合においても、その端部をほぼ直角に切り立った形状とすることが可能となり、これにより高密度に吐出口を形成したインクジェットヘッドにおいて、安定した、よれのない吐出口を形成することができる。
【0009】
【実施例】
以下に本発明の実施例について説明する。
図1は本実施例の製造工程を説明するための図である。aは光学的手法により形成した吐出口の構成を示す図、bは粘着材付きテープを貼付した図、cは流路内を処理して従来の吐出口を変形させた図であり、またdは本実施例によって形成された吐出口の形状を示す図である。
つぎに、図2に基づいて、本実施例におけるインクジェットの吐出口の形成について説明する。なお、ここでの吐出口の形成方法は、基本的には図5に基づいて説明した従来の光学的手法と同様の手法を用いている。
まず、ICを形成したウエハー上に溶解可能な樹脂にてノズル(インク流路)となるレジストを形成する(図2a)。
【0010】
その上にノズル(インク流路)となるエポキシ樹脂を流し込み仮キュアする。ウエハー工程と同じように、マスクアライナーによるマスクあわせと、高圧紫外線ランプで所望のパターン(今回は吐出口の穴)をのぞく部分に紫外線を当て、吐出口を形成する。
前記エポキシ樹脂を現像した後、保護樹脂を塗って、シリコンウエハーに穴を空ける(インク供給口)そして内部にあるインク流路となるレジストを除去し、インク流路となるエポキシを熱硬化する。さらに、前記保護樹脂を除去することで、本実施例による製造工程前のウエハー(部品)が完成する。
【0011】
このようにして完成したウエハーの表面の塗れ性改善のためにUVオゾン洗浄を行った後、フレキソ印刷にてCTX(旭硝子)を塗布する。150℃で5時間キュアして、撥水材は完了する。
このとき、図2dのように、各吐出口の端部は、レジストによる光の遮蔽が十分でないのと、下からの反射によって多少の露光が行われるために吐出口面と90度の角度とはならず、斜面(テーパー)になる。
そこで、粘着材の付いたテープを貼り付け(図1b)、それを図4に示される電極9,9、RF電源により構成される平行平板のアッシングマシン(プラズマ発生装置)に入れ、1.0Torr、0.7kW、6分の酸素プラズマに曝した。このとき、ウエハーはテープを貼付した面を下にして、酸素ガスが十分にインク流路および吐出口内に入るようにした。
【0012】
この方法は、特開平9−267478号公報でも同じ様な処理を行っているが、この従来例では、粘着材のないシリコンゴムやフッ素ゴムの弾性体を用いて、その変形を利用して密着させているのに対して、本発明では上記実施例のように粘着材を用いて積極的に接着しているので、よりよい効果が生まれる。
すなわち、本発明では上記実施例のように接着材が有ることによって、プラズマ中に曝されている時であっても、貼付されたテープははがれることなく吐出口近傍に残っており、前記テープと吐出口形成材であるエポキシ樹脂の界面が確実に保護される。そのため、テープが接触していない傾斜部(テーパー部)はプラズマによって除去され、テープによって保護されている部分とテープは吐出口面とほぼ90度の角度で接しているために、切り立った吐出口が形成されることになる(図3aおよび図3b参照)。
【0013】
その処理を行った後、前記テープに紫外線、熱を加えて、粘着性を低下させ、前記吐出口面から剥離する。このとき、粘着性が低下しているために吐出口を形成しているエポキシ樹脂は変形、破壊はしない。
こうして完成したウエハーにバンプ形成、切断ILBを行いインク供給のためのプラスチック部品に前記チップを搭載して接着し、インク吐出口の端部をほぼ直角に切り立った形状としたインクジェットヘッドを完成させることができる。
【0014】
【発明の効果】
本発明によれば、光学的処理によってインク吐出口の端部が変形して形成された場合でも、その端部をほぼ直角に切り立った形状とすることが可能となり、これにより高密度に吐出口を形成したインクジェットヘッドにおいて、安定した、よれのない吐出口を形成することができ、高品位の印刷が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例における製造工程を説明するための図である。
【図2】本発明の実施例におけるインクジェットノズル部の形成について説明するための図である。
【図3】本発明のプラズマ処理におけるエッチングの進行について説明するための図である。
【図4】本発明に用いたプラズマ発生装置を説明するための図である。
【図5】従来例における光学的に(露光現像などの半導体フォトリソプロセスを採用して)吐出口を形成するインクジェットヘッドの形成方法を説明するための図である。
【符号の説明】
1:吐出口
2:ノズル形成部材
3:インク流路
4:基板
5:吐出口端部
6:粘着材付きフィルム
7:除去されたノズル形成部材
8:ノズル形成用レジスト
9:電極
10:RF電源
Claims (1)
- 基板上に形成されたインク流路と、該インク流路内の前記基板上に設けられた複数のインク吐出圧発生手段を有し、
該インク吐出圧発生手段に対応した複数のインク吐出口を、エポキシ樹脂を含む樹脂材を用い、光学的処理によって形成するようにしたインクジェットヘッドの製造方法において、
前記インク吐出口を形成した後、該インク吐出口を形成した面に粘着材を有するテープを貼付し、該インク吐出口の内部をプラズマ処理することを特徴とするインクジェットヘッドの製造方法。
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Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2002373207A JP2004202785A (ja) | 2002-12-24 | 2002-12-24 | インクジェットヘッドの製造方法 |
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JP2002373207A JP2004202785A (ja) | 2002-12-24 | 2002-12-24 | インクジェットヘッドの製造方法 |
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2002
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