JP2002350445A - 抗原検査薬及びそれを用いた抗原検査キット、抗原検査装置、抗原検査方法 - Google Patents

抗原検査薬及びそれを用いた抗原検査キット、抗原検査装置、抗原検査方法

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JP2002350445A
JP2002350445A JP2002075221A JP2002075221A JP2002350445A JP 2002350445 A JP2002350445 A JP 2002350445A JP 2002075221 A JP2002075221 A JP 2002075221A JP 2002075221 A JP2002075221 A JP 2002075221A JP 2002350445 A JP2002350445 A JP 2002350445A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 高感度であり、簡便かつ迅速に抗原を検査す
ることができる抗原検査薬及びそれを用いた抗原検査キ
ット、抗原検査装置、抗原検査方法の提供。 【解決手段】 棒状体と、該棒状体に結合し標的抗原と
特異的に結合する抗体とを有することを特徴とする抗原
検査薬及びそれを用いた抗原検査キット、抗原検査装
置、抗原検査方法である。標的抗原が、蛋白、リポ蛋
白、糖蛋白、ポリペプチド、脂質、多糖類、リポ多糖
類、核酸及び薬物から選ばれる少なくとも1種であるこ
とが好ましい。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、抗原検査薬及びそ
れを用いた抗原検査キット、抗原検査装置、抗原検査方
法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、抗原抗体反応を利用した検出法と
しては、ラジオイムノアッセイ(RIA)、酵素イムノ
アッセイ(EIA)、蛍光イムノアッセイ(FIA)、
レーザイムノアッセイ(LIA)、レーザーネフェロメ
トリー、FETイムノアッセイなどが提案され、その一
部が既に実用化されている。
【0003】これらの方法は、それぞれアイソトープ、
酵素、蛍光物質などを標識として付加した抗原の有無を
検出する方法である。しかしながら、EIA法、FIA
法、LIA法は感度が、10−6グラムからせいぜい1
−10グラムであり、抗原抗体反応において、特に有
用である抗原検査としては感度不足であり、実用上問題
があった。
【0004】また、RIA法は、感度的には10-12
グラムあり、超微量分析、抗原検査が可能な測定法であ
るが、放射性物質を利用するため特殊設備を必要とし、
汎用性、価格等の点で問題があった。
【0005】また、抗原検査が可能な10−12グラム
以上の感度を有し、かつ汎用性の高い測定法として、レ
ーザー磁気免疫測定法なども提案されているが、特別な
設備、装置が必要となる。
【0006】このように現在までのところ、感度、汎用
性、操作性、価格などの面で十分満足できる抗原検査薬
及び検査方法は得られておらず、その開発が強く望まれ
ていた。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、このような
状況下、従来における諸問題を解決し、以下の目的を達
成することを課題とする。即ち、本発明は、高感度であ
り、簡便かつ迅速に抗原を検査することができる抗原検
査薬及びそれを用いた抗原検査キット、抗原検査装置、
抗原検査方法を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】前記課題を解決するため
の手段は下記の通りである。即ち、 <1> 棒状体と、該棒状体に結合し標的抗原と特異的
に結合する抗体とを有することを特徴とする抗原検査薬
である。 <2> 標的抗原が、蛋白、リポ蛋白、糖蛋白、ポリペ
プチド、脂質、多糖類、リポ多糖類、核酸及び薬物から
選ばれる少なくとも1種である前記<1>に記載の抗原
検査薬である。 <3> 標的抗原が、血漿蛋白、腫瘍マーカー、アポ蛋
白、ウイルス、自己抗体、凝固・線溶因子、ホルモン、
血中薬物、又はHLA抗原である前記<2>に記載の抗
原検査薬である。 <4> 標的抗原が、該標識抗原と共に共存する物質で
ある前記<1>から<3>のいずれかに記載の抗原検査
薬である。 <5> 標的抗原と特異的に結合して沈降反応を示す前
記<1>から<4>のいずれかに記載の抗原検査薬であ
る。 <6> 棒状体が、らせん状有機分子である前記<1>
から<5>のいずれかに記載の抗原検査薬である。 <7> らせん状有機分子がα−ヘリックス・ポリペプ
チド、DNA及びアミロースのいずれかである前記<6
>に記載の抗原検査薬である。 <8> 棒状体の長さが810nm以下である前記<1
>から<7>のいずれかに記載の抗原検査薬である。 <9> 構造性発色を示す前記<8>に記載の抗原検査
薬である。 <10> 両親媒性である前記<1>から<9>のいず
れかに記載の抗原検査薬である。 <11> 長さが810nm以下である棒状体と、該棒
状体に結合し標的抗原と特異的に結合する抗体とを有
し、かつ、膜状に配向させることにより構造性発色を示
す抗原検査薬と、ディッシュ、プレート及びチューブの
いずれかと、を含む抗原検査キットである。 <12> 試料中の標的抗原を検出するための抗原検査
装置において、長さが810nm以下である棒状体と、
該棒状体に結合し標的抗原と特異的に結合する抗体とを
有し、かつ、膜状に配向させることにより構造性発色を
示す抗原検査薬を、前記試料に接触させる添加手段と、
標的抗原に結合した前記抗原検査薬の構造性発色による
波長の変化を測定する発色波長測定手段とを備えた抗原
検査装置である。 <13> 前記抗原検査薬が更に両親媒性であり、前記
添加手段が該抗原検査薬を油相と共に、水性の試料に添
加して抗原検査薬と試料とを接触させる添加手段である
前記<12>に記載の抗原検査装置である。 <14> 棒状体と、該棒状体に結合し標的抗原と特異
的に結合する抗体とを有し、かつ、両親媒性である抗原
検査薬を水晶発振子又は表面弾性波(SAW)素子に膜
状に付着結合させてなるバイオセンサーと、該バイオセ
ンサーに標的抗原が結合した際の質量変化又は粘弾性変
化を周波数として発振する発振回路と、該発振回路から
発振された前記振動の周波数を計測する周波数カウンタ
ーとを備えた抗原検査装置である。 <15> 前記抗原検査薬を水晶発振子又は表面弾性波
(SAW)素子に単分子膜状に付着させた前記<14>
に記載の抗原検査装置である。 <16> 前記抗原検査薬を水晶発振子又は表面弾性波
(SAW)素子に二分子膜状に付着させた前記<14>
に記載の抗原検査装置である。 <17> 試料中の標的抗原を検出するための抗原検査
方法において、長さが810nm以下である棒状体と、
該棒状体に結合し標的抗原と特異的に結合する抗体とを
有し、かつ、膜状に配向させることにより構造性発色を
示す抗原検査薬を、前記試料に接触させる接触工程と、
標的抗原に結合した前記膜状抗原検査薬の構造性発色に
よる波長の変化を測定する発色波長測定工程とを有する
抗原検査方法である。
【0009】本発明の抗原検査薬は、棒状体と、該棒状
体に結合し標的抗原と特異的に結合する抗体とを有す
る。これにより、標的抗原を簡単な操作で確実に検出す
ることができる。
【0010】本発明の抗原検査キットは、長さが810
nm以下である棒状体と、該棒状体に結合し標的抗原と
特異的に結合する抗体とを有し、かつ、膜状に配向させ
ることにより構造性発色を示す抗原検査薬と、ディッシ
ュ、プレート及びチューブのいずれかと、を含む。
【0011】前記膜状に配向させた抗原検査薬は、モル
フォ蝶翅の鱗粉の発色基本原理である多層薄膜干渉理論
に基づく構造性発色を示す。前記膜状抗原検査薬の抗体
と標的抗原とが抗原抗体反応した際の屈折率又は長さの
変化による構造性発色に基づく波長変化を測定すること
により、試料中の標的抗原を迅速に、簡単な操作で確実
に検出することができる。
【0012】本発明の抗原検査装置の第一の態様は、試
料中の標的抗原を検出するための抗原検査装置におい
て、長さが810nm以下である棒状体と、該棒状体に
結合し標的抗原と特異的に結合する抗体とを有し、か
つ、膜状に配向させることにより構造性発色を示す抗原
検査薬を、前記試料に接触させる添加手段と、標的抗原
に結合した前記抗原検査薬の構造性発色による波長の変
化を測定する発色波長測定手段とを備えたものである。
【0013】前記膜状に配向させた抗原検査薬は、モル
フォ蝶翅の鱗粉の発色基本原理である多層薄膜干渉理論
に基づく構造性発色を示す。前記膜状抗原検査薬の抗体
と標的抗原とが抗原抗体反応した際の屈折率又は長さの
変化による構造性発色に基づく波長変化を測定すること
により、標的抗原の存在を検査することができる。
【0014】本発明の抗原検査装置の第二の態様は、棒
状体と、該棒状体に結合し標的抗原と特異的に結合する
抗体とを有し、かつ、両親媒性である抗原検査薬を水晶
発振子又は表面弾性波素子に膜状に付着結合させてなる
バイオセンサーと、該バイオセンサーに標的抗原が結合
した際の質量変化又は粘弾性変化を周波数として発振す
る発振回路と、該発振回路から発振された前記振動の周
波数を計測する周波数カウンターとを備えている。これ
により、前記バイオセンサーを構成する抗原検査薬の抗
体が標的抗原と抗原抗体反応した際の質量変化又は粘弾
性変化を周波数として高感度に短時間で検出できるもの
である。
【0015】本発明の抗原検査方法は、試料中の標的抗
原を検出するための抗原検査方法において、長さが81
0nm以下である棒状体と、該棒状体に結合し標的抗原
と特異的に結合する抗体とを有し、かつ、膜状に配向さ
せることにより構造性発色を示す抗原検査薬を、前記試
料に接触させる接触工程と、標的抗原に結合した前記膜
状抗原検査薬の構造性発色による波長の変化を測定する
発色波長測定工程とを有する。前記膜状に配向させた抗
原検査薬は、モルフォ蝶翅の鱗粉の発色基本原理である
多層薄膜干渉理論に基づく構造性発色を示す。前記膜状
抗原検査薬の抗体と標的抗原とが抗原抗体反応した際の
屈折率又は長さの変化による構造性発色に基づく波長変
化を測定することにより、標的抗原の存在を効率よく確
実に検査することができる。
【0016】
【発明の実施の形態】以下、本発明について更に詳しく
説明する。本発明の抗原検査薬10は、図1に一例とし
て示したように、棒状体1と、該棒状体1に結合し標的
抗原と特異的に結合する抗体2とを有する。なお、図1
の抗原検査薬10はα−ヘリックス構造の両親媒性ポリ
ペプチドであり、棒状体の1a部分が疎水性、1b部分
は親水性を示す。
【0017】<棒状体>前記棒状体としては、棒状であ
れば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することが
でき、棒状無機物、棒状有機物のいずれであってもよい
が、棒状有機物であるのが好ましい。
【0018】前記棒状有機物としては、例えば、生体分
子、多糖類などが挙げられる。前記生体分子としては、
例えば、繊維状蛋白、α−ヘリックス・ポリペプチド、
核酸(DNA、RNA)などが好適に挙げられる。該繊
維状蛋白としては、例えば、α−ケラチン、ミオシン、
エピダーミン、フィブリノゲン、トロポマイシン、絹フ
ィブロイン等のα−ヘリックス構造を有するものが挙げ
られる。
【0019】前記多糖類としては、例えば、アミロース
などが好適に挙げられる。前記棒状有機物の中でも、安
定に棒状を維持することができ、また、目的に応じて内
部に他の物質をインターカレートさせることができる点
で、分子がらせん構造を有するらせん状有機分子が好ま
しく、該らせん状有機分子には、上述したものの内、α
−ヘリックス・ポリペプチド、DNA、アミロースなど
が該当する。
【0020】〔α−ヘリックス・ポリペプチド〕前記α
−ヘリックス・ポリペプチドは、ポリペプチドの二次構
造の一つであり、アミノ酸3.6残基ごとに1回転(1
らせんを形成)し、4番目ごとのアミノ酸のイミド基
(−NH−)とカルボニル基(−CO−)との間に螺旋
軸とほぼ平行な水素結合を作り、7アミノ酸を一単位と
して繰り返すことによりエネルギー的に安定な構造を有
している。
【0021】前記α−ヘリックス・ポリペプチドのらせ
ん方向としては、特に制限はなく、右巻きであってもよ
いし、左巻きであってもよい。なお、天然には安定性の
点から前記らせん方向が右巻きのものしか存在しない。
【0022】前記α−ヘリックス・ポリペプチドを形成
するアミノ酸としては、α−ヘリックス構造を形成可能
であれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択するこ
とができるが、該α−ヘリックス構造を形成し易いもの
が好ましく、このようなアミノ酸としては、例えば、ア
スパラギン酸(Asp)、グルタミン酸(Glu)、ア
ルギニン(Arg)、リジン(Lys)、ヒスチジン
(His)、アスパラギン(Asn)、グルタミン(G
ln)、セリン(Ser)、スレオニン(Thr)、ア
ラニン(Ala)、バリン(Val)、ロイシン(Le
u)、イソロイシン(Ile)、システイン(Cy
s)、メチオニン(Met)、チロシン(Tyr)、フ
ェニルアラニン(Phe)、トリプトファン(Trp)
などが好適に挙げられる。これらは、1種単独で使用さ
れてもよいし、2種以上が併用されてもよい。
【0023】前記α−ヘリックス・ポリペプチドの親性
としては、前記アミノ酸を適宜選択することにより、親
水性、疎水性、両親媒性のいずれにも変え得るが、前記
親水性とする場合、前記アミノ酸としては、セリン(S
er)、スレオニン(Thr)、アスパラギン酸(As
p)、グルタミン酸(Glu)、アルギニン(Ar
g)、リジン(Lys)、アスパラギン(Asn)、グ
ルタミン(Gln)などが好適に挙げられ、前記疎水性
とする場合、前記アミノ酸としては、フェニルアラニン
(Phe)、トリプトファン(Trp)、イソロイシン
(Ile)、チロシン(Tyr)、メチオニン(Me
t)、ロイシン(Leu)、バリン(Val)などが挙
げられる。
【0024】また、前記α−ヘリックス・ポリペプチド
においては、該α−ヘリックスを形成する前記アミノ酸
における、ペプチド結合を構成しないカルボキシル基
を、エステル化することにより疎水性にすることがで
き、一方、該エステル化されたカルボキシル基を加水分
解することにより親水性にすることができる。
【0025】前記アミノ酸としては、L−アミノ酸、D
−アミノ酸、これらの側鎖部分が修飾された誘導体など
のいずれであってもよい。
【0026】前記α−ヘリックス・ポリペプチドにおけ
るアミノ酸の結合個数(重合度)としては、特に制限は
なく目的に応じて適宜選択することができるが、10〜
5000であるのが好ましい。前記結合個数(重合度)
が、10未満であると、ポリアミノ酸が安定なα−ヘリ
ックスを形成できなくなることがあり、5000を超え
ると、垂直配向させることが困難となることがある。
【0027】前記α−ヘリックス・ポリペプチドの具体
例としては、例えば、ポリ(γ−メチル−L−グルタメ
ート)、ポリ(γ−エチル−L−グルタメート)、ポリ
(γ−ベンジル−L−グルタメート)、ポリ(L−グル
タミン酸−γ−ベンジル)、ポリ(n−ヘキシル−L−
グルタメート)等のポリグルタミン酸誘導体、ポリ(β
−ベンジル−L−アスパルテート)等のポリアスパラギ
ン酸誘導体、ポリ(L−ロイシン)、ポリ(L−アラニ
ン)、ポリ(L−メチオニン)、ポリ(L−フェニルア
ラニン)、ポリ(L−リジン)−ポリ(γ−メチル−L
−グルタメート)などのポリペプチド、が好適に挙げら
れる。
【0028】前記α−ヘリックス・ポリペプチドとして
は、市販のものであってもよいし、公知文献等に記載の
方法に準じて適宜合成乃至調製したものであってもよ
い。
【0029】前記α−ヘリックス・ポリペプチドの合成
の一例として、ブロックコポリペプチド〔ポリ(L−リ
ジン)25−ポリ(γ−メチル−L−グルタメート)
60〕PLLZ25−PMLG60の合成をここで示す
と次の通りである。即ち、ブロックコポリペプチド〔ポ
リ(L−リジン)25−ポリ(γ−メチル−L−グルタ
メート)60〕PLLZ25−PMLG60は、下記式
で示したように、n−ヘキシルアミンを開始剤として用
い、Nε−カルボベンゾキシ L−リジン Nα−カル
ボキシ酸無水物(LLZ−NCA)の重合を行い、続け
てγ−メチル L−グルタメート N−カルボキシ酸無
水物(MLG−NCA)の重合を行うことにより合成す
ることができる。
【0030】
【化1】
【0031】前記α−ヘリックス・ポリペプチドの合成
は、上記方法に限られず、遺伝子工学的方法により合成
することもできる。具体的には、前記目的とするポリペ
プチドをコードするDNAを組み込んだ発現ベクターに
より宿主細胞を形質転換し、この形質転換体を培養する
こと等により製造することができる。
【0032】前記発現ベクターとしては、例えば、プラ
スミドベクター、ファージベクター、プラスミドとファ
ージとのキメラベクター、などが挙げられる。前記宿主
細胞としては、大腸菌、枯草菌等の原核微生物、酵母菌
等の真核微生物、動物細胞などが挙げられる。また、前
記α−ヘリックス・ポリペプチドは、α−ケラチン、ミ
オシン、エピダーミン、フィブリノゲン、トロポマイシ
ン、絹フィブロイン等の天然の繊維状蛋白からそのα−
ヘリックス構造部分を切り出すことにより調製してもよ
い。
【0033】〔DNA〕前記DNAは、1本鎖DNAで
あってもよいが、安定に棒状を維持することができ、内
部に他の物質をインターカレートできる等の点で2本鎖
DNAであるのが好ましい。前記2本鎖DNAは、一つ
の中心軸の回りに、右巻きらせん状の2本のポリヌクレ
オチド鎖が互いに逆方向に延びた状態で位置して形成さ
れた2重らせん構造を有する。前記ポリヌクレオチド鎖
は、アデニン(A)、チミン(T)、グアニン(G)及
びシトシン(C)の4種類の核酸塩基で形成されてお
り、前記ポリヌクレオチド鎖において前記核酸塩基は、
中心軸に対して垂直な平面内で互いに内側に突出した形
で存在して、いわゆるワトソン−クリック型塩基対を形
成し、アデニンに対してはチミンが、グアニンに対して
はシトシンが、それぞれ特異的に水素結合している。そ
の結果、前記2本鎖DNAにおいては、2本のポリペプ
チド鎖が互いに相補的に結合している。
【0034】前記DNAは、公知のPCR(Polym
erase Chain Reaction)法、LC
R(Ligase chain Reaction)
法、3SR(Self−sustained Sequ
ence Replication)法、SDA(St
rand Displacement Amplifi
cation)法等により調製することができるが、こ
れらの中でもPCR法が好適である。
【0035】また、前記DNAは、天然の遺伝子から制
限酵素により酵素的に直接切り出して調製してもよい
し、遺伝子クローニング法により調製してもよいし、化
学合成法により調製してもよい。前記遺伝子クローニン
グ法の場合、例えば、正常核酸を増幅したものをプラス
ミドベクター、ファージベクター、プラスミドとファー
ジとのキメラベクター等から選択されるベクターに組み
込み、大腸菌、枯草菌等の原核微生物、酵母等の真核微
生物、動物細胞などから選択される増殖可能な任意の宿
主に導入することにより前記DNAを大量に調製するこ
とができる。
【0036】前記化学合成法としては、例えば、トリエ
ステル法、亜リン酸法などのような、液相法又は不溶性
の担体を使った固相合成法などが挙げられる。前記化学
合成法の場合、公知の自動合成機等を用い、1本鎖のD
NAを大量に調製した後、アニーリングを行うことによ
り、2本鎖DNAを調製することができる。
【0037】〔アミロース〕前記アミロースは、高等植
物の貯蔵のためのホモ多糖類であるデンプンを構成する
D−グルコースがα−1,4結合で直鎖状につながった
らせん構造を有する多糖である。前記アミロースの分子
量としては、数平均分子量で、数千〜15万程度が好ま
しい。前記アミロースは、市販のものであってもよい
し、公知の方法に従って適宜調製したものであってもよ
い。なお、前記アミロースは、その一部にアミロペクチ
ンが含まれていても構わない。
【0038】前記棒状体の長さとしては、特に制限はな
く目的に応じて適宜選択することができるが、構造性発
色を生じさせる観点からは、810nm以下であるのが
好ましく、10nm〜810nmであるのがより好まし
い。前記棒状体の径としては、特に制限はないが、前記
α−ヘリックス・ポリペプチドの場合には0.8〜2.
0nm程度である。
【0039】前記棒状体は、その全部が疎水性又は親水
性であってもよく、また、その一部が疎水性又は親水性
であり、他の部分が該一部と逆の親性を示す両親媒性で
あってもよい。前記棒状体が前記両親媒性であると、油
相−水相界面での配向、油層又は水相中での分散、等が
容易である点で有利である。
【0040】前記両親媒性の棒状体の場合、疎水性を示
す部分及び親水性を示す部分の数としては特に制限はな
く、目的に応じて適宜選択することができる。また、こ
の場合、疎水性を示す部分と親水性を示す部分とが交互
に位置していてもよいし、いずれかの部分が棒状体の一
端部にのみ位置していてもよい。
【0041】<標的抗原>前記標的抗原としては、特に
制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる
が、血漿蛋白、リポ蛋白、糖蛋白、ポリペプチド、脂
質、多糖類、リポ多糖類、核酸及び薬物から選ばれる少
なくとも1種であることが好ましい。これらの中でも血
漿蛋白、腫瘍マーカー、アポ蛋白、ウイルス抗原、自己
抗体、凝固・線溶因子、ホルモン、血中薬物、又はHL
A抗原であることが好ましい。この標的抗原は、前記の
ような個々の目的における検出の最終的な標的である抗
原である必要はなく、検出の最終的な標的である抗原と
共に存在する抗原であってもよい。
【0042】前記血漿蛋白としては、例えば、免疫グロ
ブリン(IgG,IgA,IgM,IgD,IgE)、
補体成分(C3,C4,C5,C1q)、CRP、α
−アンチトリプシン、α−マイクログロブリン、β
−マイクログロブリン、ハプトグロビン、トランスフェ
リン、セルロプラスミン、フェリチンなどが挙げられ
る。
【0043】前記腫瘍マーカーとしては、例えば、α−
フェトプロテイン(AFP)、癌胎児性抗原(CE
A)、CA19−9、CA125、CA15−3、SC
C抗原、前立腺酸性ホスファターゼ(PAP)、PIV
KA−II、γ−セミノプロテイン、TPA、エラスタ
ーゼI、神経特異エノラーゼ(NSE)、免疫抑制酸性
蛋白(IAP)などが挙げられる。
【0044】前記アポ蛋白としては、例えば、アポA−
I、アポA−II、アポB、アポC−II、アポC−I
II、アポEなどが挙げられる。
【0045】前記ウイルス抗原としては、例えば、B型
肝炎ウイルス(HBV)関連抗原、C型肝炎ウイルス
(HVC)関連抗原、HTLV−I、HIV、狂犬病ウ
イルス、インフルエンザウイルス、風疹ウイルスなどが
挙げられる。前記HCV関連抗原としては、例えば、H
CVc100−3リコビナント抗原、pHCV−31リ
コビナント抗原、pHCV−34リコビナント抗原など
が挙げられ、それらの混合物が好ましく使用できる。前
記HIV関連抗原としては、ウイルス表面抗原などが挙
げられ、例えば、HIV−I env.gp41リコビ
ナント抗原、HIV−I env.gp120リコビナ
ント抗原、HIV−Igag.p24リコビナント抗
原、HIV−II env.p36リコビナント抗原な
どが挙げられる。また、ウイルス以外の感染症として
は、MRSA、ASO、トキソプラズマ、マイコプラズ
マ、STDなどが挙げられる。
【0046】前記自己抗体としては、例えば、抗マイク
ロゾーム抗体、抗サイログロブリン抗体、抗核抗体、リ
ュウマチ因子、抗ミトコンドリア抗体、ミエリン抗体な
どが挙げられる。
【0047】前記凝固・線溶因子としては、例えば、フ
ィブリノゲン、フィブリン分解産物(FDP)、プラス
ミノゲン、α−プラスミンインヒビター、アンチトロ
ンビンIII、β−トロンボグロブリン、第VIII因
子、プロテインC、プロテインSなどが挙げられる。
【0048】前記ホルモンとしては、例えば、下垂体ホ
ルモン(LH、FSH、GH、ACTH、TSH、プロ
ラクチン)、甲状腺ホルモン(T、T、サイログロ
ブリン)、カルシトニン、副甲状腺ホルモン(PT
H)、副腎皮質ホルモン(アルドステロン、コルチゾー
ル)、性腺ホルモン(hCG、エストロゲン、テストス
テロン、hPL)、膵・消化管ホルモン(インスリン、
C−ペプチド、グルカゴン、ガストリン)、その他(レ
ニン、アンジオテンシンI,II、エンケファリン、エ
リスロポエチン)などが挙げられる。
【0049】前記血中薬物としては、例えば、カルバマ
ゼピン、プリミドン、バルプロ酸等の抗てんかん薬、ジ
ゴキシン、キニジン、ジギトキシン、テオフィリン等の
循環器疾患薬、ゲンタマイシン、カナマイシン、ストレ
プトマイシン等の抗生物質などが挙げられる。
【0050】このような標的抗原を含む検体としては、
例えば、細菌、ウイルス等の病原体、生体から分離され
た血液、唾液、組織病片等、或いは糞尿等の排泄物が挙
げられる。更に、出生前診断を行う場合は、羊水中に存
在する胎児の細胞や、試験管内での分裂卵細胞の一部を
検体とすることもできる。また、これらの検体は直接、
又は必要に応じて遠心分離操作等により沈渣として濃縮
した後、例えば、酵素処理、熱処理、界面活性剤処理、
超音波処理、或いはこれらの組み合わせ等による細胞破
壊処理を予め施したものを使用することができる。
【0051】また、本発明で使用される抗原は、遺伝子
組換え法で産生されたもの、あるいは遺伝子組換えによ
り配列決定された遺伝子配列やペプチド配列を基に化学
合成などされたものであることもできる。例えば遺伝子
組換え技術を適用し、天然のウイルスや細胞から分子ク
ローニングにより得られたDNA配列あるいは既に知ら
れたゲノム配列から、酵素などを用いたり、化学合成に
より得られたDNA配列又は修飾DNA配列を、微生物
あるいは動物、植物、昆虫などで発現させて得られたリ
コビナント抗原や、それらの情報を利用し液相法や固相
法として知られたペプチド化学合成法により得られたペ
プチド又は改変ペプチドである。ペプチドの固相合成法
は、一般的には自動ペプチド合成装置により好適に行う
ことができる。
【0052】<標的抗原と特異的に結合する抗体>前記
標的抗原と特異的に結合する抗体とは、前記標的抗原と
特異的に抗原抗体反応を生じるものを意味し、多クロー
ン性抗体であっても、単クローン性抗体であってもよ
く、更にはIgG、IgM、IgE、IgGのFa
b’、Fab、F(ab’)なども使用することがで
きる。
【0053】前記抗体は、その由来を特に限定されるも
のではなく、また、抗体は常法により得ることができ
る。例えば、村松繁、他編、実験生物学講座14、免疫
生物学、丸善株式会社、昭和60年、日本生化学会編、
続生化学実験講座5、免疫生化学研究法、東京化学同
人、1986年、日本生化学会編、新生化学実験講座1
2、分子免疫学III、抗原・抗体・補体、東京化学同
人、1992年などに記載の方法に準じて調製すること
ができる。
【0054】具体的には、ウマ、ウシ、ヒツジ、ウサ
ギ、ヤギ、ラット、マウスなどの哺乳動物等に抗原を投
与し、免疫して得られる抗血清、腹水液をそのまま、あ
るいは従来公知の方法、例えば硫酸アンモニウム沈殿法
などの塩析、セファデックスなどによるゲル濾過法、イ
オン交換クロマトグラフィー法、電気泳動法、透析、限
外濾過法、アフィニティ・クロマトグラフィー法、高速
液体クロマトグラフィー法などにより精製して用いるこ
とができる。
【0055】また、抗原などで免疫した哺乳動物など
(例えばマウス)の脾臓細胞と骨髄腫細胞(ミエローマ
細胞)からハイブリッド細胞(ハイブリドーマ)を得
て、モノクローナル抗体を作成し、これを特定成分と特
異的に結合しうる物質として使用したり、例えば、特定
成分が特異抗体などの場合そのモノクローナル抗体を修
飾し、模擬特定成分として使用すると特異性がより向上
するなどの点から好ましい。前記モノクローナル抗体
は、ケラー及びミルシュタイン(Kohler,G.&
Milstein,C.,Nature,256,49
5,(1975))などにより開示されたマウスミエロ
ーマ細胞を用いての細胞融合技術を利用して得られたモ
ノクローナル抗体であってもよい。前記モノクローナル
抗体は公知のものあるいは市販されているもののうちか
ら選んで用いることもできる。
【0056】また、抗体は遺伝子組換え技術により作製
することもできる。これら抗体はIgG、IgM、Ig
A、IgE、IgDといった各分画を用いることができ
る。またこれら酵素をトリプシン、パパイン、ペプシン
などの酵素により処理して、Fab、Fab’、F(a
b’)といった抗体フラグメントにして使用してもよ
い。さらにこれら抗体は単一で使用しても、複数の抗体
を組み合わせて使用してもよい。
【0057】そして、得られる標的抗原と特異的に結合
する抗体を前記棒状体とを結合させることにより本発明
の抗原検査薬が得られる。前記結合方法は、前記抗体と
前記棒状体とに応じて適宜選択することができるが、エ
ステル結合やアミド結合等の共有結合を利用する方法、
タンパク質をアビジン標識し、ビオチン化した抗体と結
合させる方法、タンパク質をストレプトアビジン標識
し、ビオチン化した抗体と結合させる方法等の公知の方
法が使用できる。
【0058】前記共有結合法としては、ペプチド法、ジ
アゾ法、アルキル化法、臭化シアン活性化法、架橋試薬
による結合法、ユギ(Ugi)反応を利用した固定化
法、チオール・ジスルフィド交換反応を利用した固定化
法、シッフ塩基形成法、キレート結合法、トシルクロリ
ド法、生化学的特異結合法などが挙げられるが、好まし
くは共有結合などのより安定した結合には、チオール基
とマレイミド基の反応、ピリジルジスルフィド基とチオ
ール基の反応、アミノ基とアルデヒド基の反応などを利
用して行うことができ、公知の方法あるいは当該分野の
当業者が容易になしうる方法、さらにはそれらを修飾し
た方法の中から適宜選択して適用できる。これらのなか
でも、より安定した結合を形成できる化学的結合剤・架
橋剤などが使用される。
【0059】このような化学的結合剤・架橋剤として
は、カルボジイミド、イソシアネート、ジアゾ化合物、
ベンゾキノン、アルデヒド、過ヨウ素酸、マレイミド化
合物、ピリジルジスルフィド化合物などが挙げられる。
好ましい試薬としては、例えばグルタルアルデヒド、ヘ
キサメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソ
チオシアネート、N,N'−ポリメチレンビスヨードア
セトアミド、N,N'−エチレンビスマレイミド、エチ
レングリコールビススクシニミジルスクシネート、ビス
ジアゾベンジジン、1−エチル−3−(3−ジメチルア
ミノプロピル)カルボジイミド、スクシンイミジル 3
−(2−ピリジルジチオ)プロピオネート(SPD
P)、N−スクシンイミジル 4−(N−マレイミドメ
チル)シクロヘキサン−1−カルボキシレート(SMC
C)、N−スルホスクシンイミジル 4−(N−マレイ
ミドメチル)シクロヘキサン−1−カルボキシレート、
N−スクシンイミジル (4−ヨードアセチル)アミノ
ベンゾエート、N−スクシンイミジル 4−(1−マレ
イミドフェニル)ブチレート、イミノチオラン、S−ア
セチルメルカプトコハク酸無水物、メチル−3−(4'
−ジチオピリジル)プロピオンイミデート、メチル−4
−メルカプトブチリルイミデート、メチル−3−メルカ
プトプロピオンイミデート、N−スクシンイミジル−S
−アセチルメルカプトアセテートなどが挙げられる。
【0060】<抗原検査薬>本発明の抗原検査薬は、図
1に示したように、棒状体1と、該棒状体1に結合し標
的抗原と特異的に結合する抗体2とを有するものであ
る。前記抗原検査薬は、前記抗体部分に前記標的抗原が
結合することにより、前記抗原検査薬の光の屈折率、透
過率、質量、粘弾性、などの性質が変化するため、この
変化を検出することにより、抗原の検出に利用すること
ができる。
【0061】前記検出方法は、目的に合わせて適宜選択
することができるが、例えば、肉眼により色の変化を観
察する、分光光度計により波長の変化を検出する、水晶
発振子や表面弾性波(SAW)素子等の周波数の発振を
周波数カウンターにより検出する等の方法により、行う
ことができる。
【0062】この抗原検査薬10は単体でも用いること
ができるが、単体で用いる場合には、標的抗原を含む溶
媒の表面や、前記溶媒と前記溶媒とは逆の親性を有する
液体との境界に、単層状又は複層状に配向させて用いる
ことが、波長の変化を検出し易い点で好ましい。また、
例えば、ラングミュア・ブロジェット(LB)法などに
より垂直配向させて基板上に単分子膜、二分子膜等の膜
状に形成して用いることが波長の変化を検出し易い点、
水晶発振子や表面弾性波(SAW)素子等を固定できる
点、取り扱いが容易である点で好ましい。
【0063】本発明の抗原検査薬は、視認性、識別性等
の観点からは構造性発色を示し得るのが好ましい。前記
構造性発色は、モルフォ蝶翅の鱗粉の発色基本原理であ
る多層薄膜干渉理論に基づき、前記膜に電場、磁場、温
度、光(例えば自然光、赤外線光、紫外線光)などの外
部刺激を与えたときに、該膜の厚みとその屈折率に応じ
て特定波長の光が反射する結果、該膜の表面で生ずる発
色であり、前記外部刺激によりカメレオンの表皮のよう
にその色調が任意に制御され得る。
【0064】ここで、前記構造性発色の原理について下
記に示す。図2及び図3に示すように、前記棒状体の膜
に光が照射された際に該膜による干渉光の波長(λ)
は、下記(1)に示す条件で強められ、下記(2)に示
す条件で弱められる。
【0065】
【数1】
【0066】前記式(1)及び前記式(2)において、
λは、干渉光の波長(nm)を意味し、αは、前記膜へ
の光の入射角(度)を意味し、tは、単一の膜の厚み
(nm)を意味し、lは、膜の数を意味し、nは、膜の
屈折率を意味し、mは、1以上の整数を意味する。
【0067】前記構造性発色は、前記抗原検査薬を膜状
に配向させることにより得ることができる。前記単一の
膜の厚みとしては、810nm以下であるのが好まし
く、10nm〜810nmであるのがより好ましい。前
記厚みを適宜変更することにより、前記構造性発色の色
(波長)を変化させることができる。
【0068】前記膜は、単分子膜であってもよいし、該
単分子膜による積層膜であってもよい。前記単分子膜又
はそれによる前記積層膜は、例えば、ラングミュア−ブ
ロジェット法(LB法)に従って形成することができ、
その際、公知のLB膜形成装置(例えば、日本レーザー
&エレクトロニクス・ラボラトリーズ社製のNL−LB
400NK−MWCなどが好適に挙げられる)を使用す
ることができる。
【0069】前記単分子膜の形成は、例えば、親油性
(疎水性)若しくは両親媒性の前記棒状体を水面上(水
相上)に浮かした状態で、又は、親水性若しくは両親媒
性の前記棒状体を油面上(油相上)に浮かした状態で、
即ち図4に示すように、棒状体1を配向させた状態で押
出部材60を用いて基板50上に形成することができ
る。この操作を繰り返すことにより、基板50上に該単
分子膜を任意の数だけ積層した前記積層膜を形成するこ
とができる。なお、前記単分子膜又は前記積層膜が基板
50に固定されていると、該単分子膜又は積層膜による
構造性発色が安定して発現される点で好ましい。
【0070】このとき、基板50としては、特に制限は
なく、目的に応じてその材質、形状、大きさ等を適宜選
択することができるが、その表面は、適宜、棒状体1が
付着乃至結合し易くする目的で予め表面処理を行ってお
くのが好ましく、例えば、棒状体1(例えばα−ヘリッ
クス・ポリペプチド)が親水性である場合には、オクタ
デシル・トリメチルシロキサンなどを用いた親水化処理
等の表面処理を予め行っておくのが好ましい。
【0071】なお、両親媒性の棒状体の単分子膜を形成
する際に、該棒状体を油相又は水相上に浮かべた状態と
しては、図5に示す通り、前記水相又は油相上で、棒状
体1の親油性部(疎水性部)1a同士が互いに隣接して
配向し、親水性部1b同士が互いに隣接して配向してい
る。
【0072】以上は前記棒状体が単分子膜の平面方向に
配向(横に寝た状態)した単分子膜又はそれによる積層
膜の例であるが、該棒状体が単分子膜の厚み方向に配向
(立設した状態)した単分子膜は、例えば、以下のよう
にして形成することができる。即ち、図6に示すよう
に、まず、両親媒性の棒状体1(α−ヘリックス・ポリ
ペプチド)を水面上(水相上)に浮かした状態(横に寝
た状態)で、該水(水相)のpHを12程度のアルカリ
性にする。すると、棒状体1(α−ヘリックス・ポリペ
プチド)における親水性部1bが、そのα−ヘリックス
構造が解けてランダムな構造をとる。このとき、棒状体
1(α−ヘリックス・ポリペプチド)における親油性部
(疎水性部)1aはα−ヘリックス構造を維持したまま
である。次に、該水(水相)のpHを5程度の酸性にす
る。すると、棒状体1(α−ヘリックス・ポリペプチ
ド)における親水性部1bが、再びα−ヘリックス構造
をとるようになる。このとき、棒状体1(α−ヘリック
ス・ポリペプチド)に対し、該棒状体1(α−ヘリック
ス・ポリペプチド)に当接させた押圧部材をその側面か
らエアーの圧力で押すと、該棒状体1は該水(水相)に
対し立設した状態のままその親水性部1bが水相中でそ
の水面と略直交する方向に向かってα−ヘリックス構造
をとるようになる。そして、図4を用いて上述したよう
に、棒状体1(α−ヘリックス・ポリペプチド)を配向
させた状態で押出部材60を用いて基板50上に押し出
すことにより基板50上に単分子膜を形成することがで
きる。この操作を繰り返すことにより、基板50上に該
単分子膜を任意の数だけ積層した前記積層膜を形成する
ことができる。
【0073】前記構造性発色を示す単層膜又は積層膜を
得ることができる、抗原検査薬としては、例えば、両親
媒性である抗原検査薬が挙げられ、棒状体が、αへリッ
クス・ポリペプチドである両親媒性抗原検査薬が好まし
い。本発明の抗原検査薬は、標的抗原と特異的に結合し
て沈降反応を示すものであってもよい。
【0074】また、本発明の抗原検査薬を用いた抗原抗
体反応は、生理食塩水中で抗原と抗体とが最適比となる
ように添加し、pH6〜8で37℃付近の条件で反応さ
せることにより行うことができる。
【0075】<抗原検査キット>本発明の抗原検査キッ
トは、長さが810nm以下である棒状体と、該棒状体
に結合し標的抗原と特異的に結合する抗体とを有し、か
つ、膜状に配向させることにより構造性発色を示す抗原
検査薬と、ディッシュ、プレート及びチューブのいずれ
かと、を含む。前記抗原検査キットは、前記ディッシュ
等の大きさに適した量の前記抗原検査薬を含む溶媒を前
記容器とは別の容器に含んでいてもよい。例えば、前記
容器に水性の試料を添加し、該試料に油性又は両親媒性
の前記抗原検査薬を添加することにより、前記抗原検査
薬を試料上に膜状に配向させ、この膜状抗原検査薬の構
造性発色に基づく波長変化により標的抗原を検出でき
る。
【0076】前記検査キットには、必要に応じて、検体
前処理用試薬、洗浄液、反応溶液の水分の蒸発を防止す
るためのオイルなどを組み合わせることもできる。
【0077】本発明の抗原検査キットによれば、前記膜
状に配向させた抗原検査試薬は、モルフォ蝶翅の鱗粉の
発色基本原理である多層薄膜干渉理論に基づく構造性発
色を示すので、膜状抗原検査試薬の抗体と標的抗原とが
抗原抗体反応した際の屈折率又は長さの変化による構造
性発色に基づく波長変化を測定することにより、試料中
の標的抗原を簡単な操作で確実に検出することができ
る。
【0078】<抗原検査装置>本発明の第1の態様に係
る抗原検査装置は、試料中の標的抗原を検出するための
抗原検査装置において、長さが810nm以下である棒
状体と、該棒状体に結合し標的抗原と特異的に結合する
抗体とを有し、かつ、膜状に配向させることにより構造
性発色を示す抗原検査薬を、前記試料に接触させる添加
手段と、標的抗原に結合した前記抗原検査薬の構造性発
色による波長の変化を測定する発色波長測定手段とを備
える。前記試料としては、標的抗原を含むか否かの検査
対象となっているものであれば特に制限はなく、例え
ば、前記検体が挙げられる。前記添加手段としては、一
定量の抗原検査薬を試料に添加する手段又は、一定量の
試料を抗原検査薬に添加する手段であれば、特に制限は
ないが、前記抗原検査薬の量は、膜状に配向させること
により構造性発色を検出し易い量に設定することが好ま
しい。
【0079】この場合、抗原検査薬の標的抗原と特異的
に結合する抗体が、該標的抗原と抗原抗体反応すること
により、抗原検査薬の屈折率又は長さが変化し、該抗原
検査薬の構造性発色の波長が変化するので、この波長変
化を発色波長測定手段、例えば分光光度計で測定するこ
とにより、特異的に標的抗原の存在の有無を検査するこ
とができる。また、あらかじめ既知量の試料抗原を用い
て検量線を作成することにより、試料中の検出又は定量
すべき抗原濃度を検出又は定量することができる。
【0080】前記抗原検査装置の好ましい態様のひとつ
としては、前記抗原検査薬が更に両親媒性であり、前記
添加手段が、該抗原検査薬を油相と共に、水性の試料に
添加して抗原検査薬と試料とを接触させる添加手段であ
る抗原検査装置である。
【0081】この場合、抗原検査薬が両親媒性であるた
め、油相と水相との界面で抗原検査薬が垂直配向して膜
状となり、構造性発色による波長の変化が測定し易い点
で好ましい。
【0082】本発明の第二の抗原検査装置は、前記本発
明の抗原検査薬を水晶発振子又は表面弾性波(SAW)
素子に膜状に付着結合させてなるバイオセンサーと、該
バイオセンサーの抗原検査薬の抗体に標的抗原が結合し
た際の質量変化又は粘弾性変化を周波数として発振する
発振回路と、該発振回路から発振された前記振動の周波
数を計測する周波数カウンターとを備えたものである。
【0083】この場合、抗原検査薬を水晶発振子又は表
面弾性波(SAW)素子に対し単分子膜状に付着結合さ
せるか、又は二分子膜状に付着結合させることが好まし
い。また、周波数カウンターとしては、水晶発振子又は
表面弾性波(SAW)素子からの周波数を正確に測定で
きるものであれば特に限定されない。
【0084】前記水晶発振子は、薄い水晶板の表面と裏
面とに金属電極を蒸着したものである。この水晶発振子
20の一例を図7に示す。図7Aが平面図、図7Bが正
面図である。水晶板21の表面に電極12が、裏面に電
極14が蒸着されている。電極12、14からは左側に
電極が伸びており、その左端の部分を図示省略したクリ
ップ型のリード線を接続して、図示を省略している交流
電源に接続する。ここで、電極12、14の間に交流電
界を印加すると逆圧電効果により、水晶板21は一定周
期の振動を発生する。
【0085】前記水晶発振子20の表面には図示を省略
しているが、抗原検査薬膜が付着結合されている。この
抗原検査薬膜の抗体と標的抗原とが結合し、該結合した
標的抗原の質量だけ水晶発振子20の表面の質量が変化
するため、共振周波数が変化する。
【0086】ここで、厚み方向に垂直な平面に平行な振
動をする水晶発振子20の表面に被覆した抗原検査薬膜
の質量変化と共振周波数の変化量には、下記式(3)の
関係があり、質量変化を共振周波数の変化量で検出する
ことができる。例えば、9MHzの共振周波数の振動子
では(面積約0.5cm)1μgの質量増加により、
400Hzの周波数低下を得ることができる。 ΔF=−2.3×106(F2×ΔW/A) (3) 但し、Fは水晶発振子の共振周波数(MHz)を意味
し、ΔFは質量変化による共振周波数の変化量(Hz)
を意味し、ΔWは膜の質量変化(g)を意味し、Aは膜
の表面積(cm)を意味する。
【0087】図8に抗原検査装置の一例を示す。水晶発
振子20(表面に抗原検査薬10が膜状に結合されてい
る)は水晶発振子取付アームに取り付けられ恒温ヒート
ブロック23中の溶液に浸されている。恒温ヒートブロ
ック23は溶液の温度を一定に保つためのものである。
溶液は攪拌機(スターラー)24により攪拌される。ま
た、サンプルインジェクション25は溶液中に計測すべ
き試料を注入する。発振回路26は、水晶発振子20の
電極12、14に交流電界を印加して水晶発振子20を
発振させる。発振回路26の発振周波数はカウンター2
7によりカウントされ、コンピュータ28により解析さ
れ、試料中の標的抗原の質量が表示される。
【0088】このように、抗原検査薬の抗体と標的抗原
とが抗原抗体反応することにより、前記抗原検査薬の質
量が変化し、この質量変化を水晶発振子がとらえて周波
数に変換するので、この周波数変化を周波数カウンター
で測定することにより、特異的に標的抗原の存在の有無
を検査することができる。また、予め既知量の試料抗原
を用いて検量線を作成することにより、試料中の検出又
は定量すべき抗原濃度を検出又は定量することができ
る。
【0089】次に、前記表面弾性波(SAW)素子と
は、固体の表面に一対の櫛形電極を設け、電気信号を表
面弾性波(固体表面を伝わる音波、超音波)に変換し
て、対向する電極まで伝達し、再び電気信号として出力
する素子であり、刺激に対応して特定の周波数の信号を
取り出すことができる。圧電効果を示すタンクル酸リチ
ウム、ニオブ酸リチウムなどの強誘電体や、水晶、酸化
亜鉛薄膜などが材料とされる。
【0090】前記SAWは、媒質の表面に沿って伝搬
し、媒質内部では指数関数的に減少する弾性波である。
SAWは伝搬エネルギーが媒質表面に集中するので、媒
質表面の変化を敏感に検出することができ、水晶発振子
と同様に表面の質量変化により、SAW伝搬速度が変化
する。一般に、SAW伝搬速度は発振回路を用いて発振
周波数の変化として測定されている。発振周波数の変化
は次式で与えられる。 Δf=(k1 +k2)f2hρ−k22h[(4μ/
r 2)(λ+μ/λ+2μ)] 但し、k1 ,k2 は定数を意味し、hは固定化した膜の
厚さを意味し、ρは膜の密度を意味し、λ,μは膜のL
ame定数を意味し、VrはSAW伝搬速度を意味す
る。
【0091】図9は表面弾性波(SAW)素子の要部構
成の一例を示す模式平面図である。この図9において、
このSAW素子センサ30は、STカットの水晶製の共
振周波数90MHzを持つSAW素子に、金電極38と
その両端に櫛型電極36、及び点線で示した表面波伝播
領域37に抗原検査薬からなる膜(図示せず)を形成し
てあり、各櫛型電極36から高周波増幅器35を経て周
波数カウンター39に接続され、試料中の標的抗原の質
量が表示されるように構成されている。
【0092】前記抗原検査薬の標的抗原と特異的に結合
する抗体が標的抗原と抗原抗体反応することにより、前
記抗原検査薬の質量又は粘弾性が変化し、この質量変化
又は粘弾性変化を表面弾性波(SAW)素子がとらえ周
波数に変換するので、この周波数変化を周波数カウンタ
ーで測定することにより、特異的に標的抗原の存在の有
無を検査することができる。また、予め既知量の試料抗
原を用いて検量線を作成することにより、試料中の検出
又は定量すべき抗原濃度を検出又は定量することができ
る。
【0093】前記バイオセンサーを構成する水晶発振子
又は表面弾性波(SAW)素子の電極上に抗原検査薬を
化学的に結合・固定する方法としては、特に制限はな
く、目的に応じて適宜選定することができる。例えば、
共有結合などの化学的結合により行うことができる。前
記共有結合法としては、特に制限はなく、上記抗原検査
薬における抗体と棒状体との結合に用いたものと同じも
のを適宜選択して用いることができる。具体的には、前
記抗原検査薬の末端にチオール基を導入したものを合成
し、その溶液中に水晶発振子又は表面弾性波(SAW)
素子を一定時間浸漬・反応させる。次いで該溶液からバ
イオセンサーを取り出し、乾燥させる方法などが挙げら
れる。このチオール基としてはS−トリチル−3−メル
カプトプロピルオキシ−β−シアノエチル−N,N−ジ
イソプロピルアミノホスホルアミダイドなどが包含さ
れ、該抗原検査薬の末端へのチオール基の導入はホスホ
ルアミダイド法により行うことができる。
【0094】<抗原検査方法>本発明の抗原検査方法
は、長さが810nm以下である棒状体と、該棒状体に
結合し標的抗原と特異的に結合する抗体とを有し、か
つ、膜状に配向させることにより構造性発色を示す抗原
検査薬と、試料とを接触させる接触工程と、標的抗原に
結合した前記膜状抗原検査薬の構造性発色による波長の
変化を測定する発色波長測定工程とを有する。前記発色
波長測定工程としては、膜状に配向させた抗原検査薬の
抗体が標的抗原と抗原抗体反応した際の屈折率又は長さ
の変化による構造性発色に基づく波長変化を測定するこ
とができる方法であれば特に制限はなく、例えば分光光
度計を用い波長変化を測定する方法が挙げられる。
【0095】
【実施例】以下、実施例を示し、本発明について更に具
体的に説明するが、本発明は下記実施例に何ら制限され
るものではない。
【0096】(実施例1)n−ヘキシルアミンを開始剤
として用い、Nε−カルボベンゾキシ L−リジン N
α−カルボキシ酸無水物(LLZ−NCA)の重合を行
い、続けてγ−メチル L−グルタメート N−カルボ
キシ酸無水物(MLG−NCA)の重合を行うことによ
りPLLZ部の重合度が2000、PMLG部の重合度
が600のブロックコポリペプチドPLLZ2000
PMLG600を調製した。その後、PMLGセグメン
トを部分的に加水分解してL−グルタミン酸(LGA)
とすることでα−ヘリックスコポリペプチドPLLZ
250−P(MLG420/LGA180)を調製し
た。
【0097】このα−ヘリックスコポリペプチドにアビ
ジンを導入し、ビオチンで標識した抗B型肝炎抗原Ig
Gとをビオチン−アビジン結合を介して結合させて抗原
検査薬を調製した。
【0098】次に、該抗原検査薬を水面上(水相上)に
浮かした状態(横に寝た状態)で、該水(水相)のpH
を12程度のアルカリ性にする。すると、該抗原検査薬
における親水性部が、そのα−ヘリックス構造が解けて
ランダムな構造をとる。このとき、該抗原検査薬におけ
る疎水性部はα−ヘリックス構造を維持したままであ
る。次に、該水(水相)のpHを5程度の酸性にする。
すると、該抗原検査薬における親水性部が、再びα−ヘ
リックス構造をとるようになる。このとき、該抗原検査
薬に対し、該抗原検査薬に当接させた押圧部材をその側
面からエアーの圧力で押すと、該抗原検査薬は該水(水
相)に対し立設した状態のままその親水性部が水相中で
その水面と略直交する方向に向かってα−ヘリックス構
造をとるようになる。そして、上述したように、該抗原
検査薬を配向させた状態で押出部材を用いて基板(板状
体)上に押し出すことにより基板(板状体)上に該抗原
検査薬を立設させた単分子膜を形成することができる。
なお、この操作は、LB膜形成装置(日本レーザー&エ
レクトロニクス・ラボラトリー社製、NL−LB400
NK−MWC)を使用して行った。この単分子膜の厚み
を算出すると約16nmであった。
【0099】得られた抗原検査薬からなる単分子膜を立
設した基板をHBs陽性の被検液に添加し、構造性発色
による波長の変化を分光光度計を用いて測定したとこ
ろ、ポリペプチドに、上記抗B型肝炎抗原IgGを結合
させてない抗原検査薬に比べて顕著な波長の変化が見ら
れた。
【0100】(実施例2)実施例1において、基板(板
状体)上に抗原検査薬が立設した単分子膜を構造単位と
し、これを2層積層することにより、抗原検査薬が二分
子膜状に立設した基板を調製した。この基板をHBs陽
性の被検液に添加し、構造性発色による波長の変化を分
光光度計を用いて測定したところ、前記抗B型肝炎表面
抗原IgGを結合させてない抗原検査薬に比べて顕著な
波長の変化が見られた。
【0101】(実施例3)水晶発振子(ATカット、面
積0.5cm、基本周波数9MHz)に面積0.2c
の金電極及び金メッキを施したリード線を取り付け
たものを水晶発振子電極として用いた。前記水晶発振子
電極をアミノプロピルトリエトキシシラン(チッソ社
製)を用い、この1体積%水溶液に室温で1時間浸漬し
た後、純水中で20kHzの超音波を30分間照射する
ことによって洗浄し、余分なアミノプロピルトリエトキ
シシランを除去した。次に、水晶発振子電極を110℃
の温度下で20分間加熱処理することによってアミノプ
ロピルトリエトキシシランと水晶発振子の表面との間に
共有結合を形成させた。
【0102】次に、この水晶発振子を1体積%のグルタ
ールアルデヒド水溶液に1時間浸漬することにより、グ
ルタールアルデヒドとアミノプロピルトリエトキシシラ
ンとの間に共有結合を形成した後、水晶発振子を純水中
で20kHzの超音波を30分間照射することによって
洗浄し、余分なグルタールアルデヒドを除去した。この
水晶発振子電極を実施例1で作製した抗原検査薬を含む
100mlのpH7.2のリン酸緩衝液中に2時間浸漬
した。これにより抗原検査薬がグルタールアルデヒドを
介して水晶発振子に固定された。未反応の抗原検査薬
は、pH7.2のリン酸緩衝液で洗浄することにより除
去した。
【0103】次に、作製した水晶発振子を図8に示した
抗原検査装置に取り付け、HBs陽性の被検液を所定量
添加し、10分間の周波数変化量を調べた。1分間以内
に発振周波数の変化量がほぼ飽和になった。HBs陽性
の被検液を添加したものは、添加しなかったものに比べ
て明らかな発振周波数の低下が見られた。また、HBs
陽性の被検液の添加量を増加させると、発振周波数が一
定の割合で減少していくことが認められた。
【0104】(実施例4)実施例3において、水晶発振
子の代わりに図9に示したSTカットの発振周波数が1
0.3MHzの表面弾性波(SAW)素子を用いた以外
は、実施例3と同様にして抗原検査装置を組み立てた。
HBs陽性の被検液を所定量添加し、10分間の周波数
変化量を調べた。1分間以内に発振周波数の変化量がほ
ぼ飽和になった。HBs陽性の被検液を添加したもの
は、添加しなかったものに比べて明らかな発振周波数の
低下が見られた。また、HBs陽性の被検液の添加量を
増加させると、発振周波数が一定の割合で減少していく
ことが認められた。
【0105】
【発明の効果】本発明によれば、長時間の測定を要し、
特別な設備などが必要であるという従来技術における欠
点がなく、各種標的抗原を水相又は気相中で、高感度
に、簡便かつ迅速に標的抗原を効率よく検査することが
できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明の一実施例に係る抗原検査薬の
模式図である。
【図2】図2は、構造性発色の原理を説明する説明図で
ある。
【図3】図3は、同模式図である。
【図4】図4は、本発明の機能性分子による単分子膜の
形成を示す概略説明図である。
【図5】図5は、両親媒性の機能性分子が水(水相)上
で配向している状態の一例を示す概略説明図である。
【図6】図6は、両親媒性の機能性分子を水(水相)上
で立設させる方法の一例を示す概略説明図である。
【図7】図7は、水晶発振子の一例を示し、図7Aは平
面図、図7Bは正面図である。
【図8】図8は、抗原検査装置の一例を示す概略図であ
る。
【図9】図9は、表面弾性波(SAW)素子を示す模式
平面図である。
【符号の説明】
1 棒状体 2 抗体 10 抗原検査薬

Claims (17)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 棒状体と、該棒状体に結合し標的抗原と
    特異的に結合する抗体とを有することを特徴とする抗原
    検査薬。
  2. 【請求項2】 標的抗原が、蛋白、リポ蛋白、糖蛋白、
    ポリペプチド、脂質、多糖類、リポ多糖類、核酸及び薬
    物から選ばれる少なくとも1種である請求項1に記載の
    抗原検査薬。
  3. 【請求項3】 標的抗原が、血漿蛋白、腫瘍マーカー、
    アポ蛋白、ウイルス、自己抗体、凝固・線溶因子、ホル
    モン、血中薬物、又はHLA抗原である請求項2に記載
    の抗原検査薬。
  4. 【請求項4】 標的抗原が、該標識抗原と共に共存する
    物質である請求項1から3のいずれかに記載の抗原検査
    薬。
  5. 【請求項5】 標的抗原と特異的に結合して沈降反応を
    示す請求項1から4のいずれかに記載の抗原検査薬。
  6. 【請求項6】 棒状体が、らせん状有機分子である請求
    項1から5のいずれかに記載の抗原検査薬。
  7. 【請求項7】 らせん状有機分子がα−ヘリックス・ポ
    リペプチド、DNA及びアミロースのいずれかである請
    求項6に記載の抗原検査薬。
  8. 【請求項8】 棒状体の長さが810nm以下である請
    求項1から7のいずれかに記載の抗原検査薬。
  9. 【請求項9】 構造性発色を示す請求項8に記載の抗原
    検査薬。
  10. 【請求項10】 両親媒性である請求項1から9のいず
    れかに記載の抗原検査薬。
  11. 【請求項11】 長さが810nm以下である棒状体
    と、該棒状体に結合し標的抗原と特異的に結合する抗体
    とを有し、かつ、膜状に配向させることにより構造性発
    色を示す抗原検査薬と、ディッシュ、プレート及びチュ
    ーブのいずれかと、を含む抗原検査キット。
  12. 【請求項12】 試料中の標的抗原を検出するための抗
    原検査装置において、長さが810nm以下である棒状
    体と、該棒状体に結合し標的抗原と特異的に結合する抗
    体とを有し、かつ、膜状に配向させることにより構造性
    発色を示す抗原検査薬を、前記試料に接触させる添加手
    段と、標的抗原に結合した前記抗原検査薬の構造性発色
    による波長の変化を測定する発色波長測定手段とを備え
    た抗原検査装置。
  13. 【請求項13】 前記抗原検査薬が更に両親媒性であ
    り、前記添加手段が該抗原検査薬を油相と共に、水性の
    試料に添加して抗原検査薬と試料とを接触させる添加手
    段である請求項12に記載の抗原検査装置。
  14. 【請求項14】 棒状体と、該棒状体に結合し標的抗原
    と特異的に結合する抗体とを有し、かつ、両親媒性であ
    る抗原検査薬を水晶発振子又は表面弾性波(SAW)素
    子に膜状に付着結合させてなるバイオセンサーと、該バ
    イオセンサーに標的抗原が結合した際の質量変化又は粘
    弾性変化を周波数として発振する発振回路と、該発振回
    路から発振された前記振動の周波数を計測する周波数カ
    ウンターとを備えた抗原検査装置。
  15. 【請求項15】 前記抗原検査薬を水晶発振子又は表面
    弾性波(SAW)素子に単分子膜状に付着させた請求項
    14に記載の抗原検査装置。
  16. 【請求項16】 前記抗原検査薬を水晶発振子又は表面
    弾性波(SAW)素子に二分子膜状に付着させた請求項
    14に記載の抗原検査装置。
  17. 【請求項17】 試料中の標的抗原を検出するための抗
    原検査方法において、長さが810nm以下である棒状
    体と、該棒状体に結合し標的抗原と特異的に結合する抗
    体とを有し、かつ、膜状に配向させることにより構造性
    発色を示す抗原検査薬を、前記試料に接触させる接触工
    程と、標的抗原に結合した前記膜状抗原検査薬の構造性
    発色による波長の変化を測定する発色波長測定工程とを
    有する抗原検査方法。
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