JP3892325B2 - 抗原検査薬及びそれを用いた抗原検査キット、抗原検査装置、抗原検査方法 - Google Patents

抗原検査薬及びそれを用いた抗原検査キット、抗原検査装置、抗原検査方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、抗原検査薬及びそれを用いた抗原検査キット、抗原検査装置、抗原検査方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、抗原抗体反応を利用した検出法としては、ラジオイムノアッセイ(RIA)、酵素イムノアッセイ(EIA)、蛍光イムノアッセイ(FIA)、レーザイムノアッセイ(LIA)、レーザーネフェロメトリー、FETイムノアッセイなどが提案され、その一部が既に実用化されている。
【0003】
これらの方法は、それぞれアイソトープ、酵素、蛍光物質などを標識として付加した抗原の有無を検出する方法である。しかしながら、EIA法、FIA法、LIA法は感度が、10−6グラムからせいぜい10−10グラムであり、抗原抗体反応において、特に有用である抗原検査としては感度不足であり、実用上問題があった。
【0004】
また、RIA法は、感度的には10- 12グラムあり、超微量分析、抗原検査が可能な測定法であるが、放射性物質を利用するため特殊設備を必要とし、汎用性、価格等の点で問題があった。
【0005】
また、抗原検査が可能な10−12グラム以上の感度を有し、かつ汎用性の高い測定法として、レーザー磁気免疫測定法なども提案されているが、特別な設備、装置が必要となる。
【0006】
このように現在までのところ、感度、汎用性、操作性、価格などの面で十分満足できる抗原検査薬及び検査方法は得られておらず、その開発が強く望まれていた。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、このような状況下、従来における諸問題を解決し、以下の目的を達成することを課題とする。
即ち、本発明は、高感度であり、簡便かつ迅速に抗原を検査することができる抗原検査薬及びそれを用いた抗原検査キット、抗原検査装置、抗原検査方法を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
前記課題を解決するための手段は下記の通りである。即ち、
<1> 膜を形成するようにして添加され、両親媒性のα−ヘリックス・ポリペプチドと、該両親媒性のα−ヘリックス・ポリペプチドに結合し標的抗原と特異的に結合する抗体とを有することを特徴とする抗原検査薬である。
<2> 標的抗原が、蛋白、リポ蛋白、糖蛋白、ポリペプチド、脂質、多糖類、リポ多糖類、核酸及び薬物から選ばれる少なくとも1種である前記<1>に記載の抗原検査薬である。
<3> 標的抗原が、血漿蛋白、腫瘍マーカー、アポ蛋白、ウイルス、自己抗体、凝固・線溶因子、ホルモン、血中薬物、又はHLA抗原である前記<2>に記載の抗原検査薬である。
<4> 標的抗原が、該標識抗原と共に共存する物質である前記<1>から<3>のいずれかに記載の抗原検査薬である。
<5> 標的抗原と特異的に結合して沈降反応を示す前記<1>から<4>のいずれかに記載の抗原検査薬である。
<6> 両親媒性のα−ヘリックス・ポリペプチドの長さが810nm以下である前記<1>から<5>のいずれかに記載の抗原検査薬である。
<7> 構造性発色を示す前記<6>に記載の抗原検査薬である。
<8> 長さが810nm以下である両親媒性のα−ヘリックス・ポリペプチドと、該両親媒性のα−ヘリックス・ポリペプチドに結合し標的抗原と特異的に結合する抗体とを有し、かつ、膜状に配向させることにより構造性発色を示す抗原検査薬と、ディッシュ、プレート及びチューブのいずれかと、を含む抗原検査キットである。
<9> 試料中の標的抗原を検出するための抗原検査装置において、
長さが810nm以下である両親媒性のα−ヘリックス・ポリペプチドと、該両親媒性のα−ヘリックス・ポリペプチドに結合し標的抗原と特異的に結合する抗体とを有し、かつ、膜状に配向させることにより構造性発色を示す抗原検査薬を、前記試料に接触させる添加手段と、
標的抗原に結合した前記抗原検査薬の構造性発色による波長の変化を測定する発色波長測定手段とを備えた抗原検査装置である。
<10> 添加手段が該抗原検査薬を油相と共に、水性の試料に添加して抗原検査薬と試料とを接触させる添加手段である前記<9>に記載の抗原検査装置である。
<11> 両親媒性のα−ヘリックス・ポリペプチドと、該両親媒性のα−ヘリックス・ポリペプチドに結合し標的抗原と特異的に結合する抗体とを有し、かつ、両親媒性である抗原検査薬を水晶発振子又は表面弾性波(SAW)素子に膜状に付着結合させてなるバイオセンサーと、該バイオセンサーに標的抗原が結合した際の質量変化又は粘弾性変化を周波数として発振する発振回路と、該発振回路から発振された前記振動の周波数を計測する周波数カウンターとを備えた抗原検査装置である。
<12> 前記抗原検査薬を水晶発振子又は表面弾性波(SAW)素子に単分子膜状に付着させた前記<11>に記載の抗原検査装置である。
<13> 前記抗原検査薬を水晶発振子又は表面弾性波(SAW)素子に二分子膜状に付着させた前記<11>に記載の抗原検査装置である。
<14> 試料中の標的抗原を検出するための抗原検査方法において、
長さが810nm以下である両親媒性のα−ヘリックス・ポリペプチドと、該両親媒性のα−ヘリックス・ポリペプチドに結合し標的抗原と特異的に結合する抗体とを有し、かつ、膜状に配向させることにより構造性発色を示す抗原検査薬を、前記試料に接触させる接触工程と、
標的抗原に結合した前記膜状抗原検査薬の構造性発色による波長の変化を測定する発色波長測定工程とを有する抗原検査方法である。
【0009】
本発明の抗原検査薬は、膜を形成するようにして添加され、両親媒性のα−ヘリックス・ポリペプチドと、該両親媒性のα−ヘリックス・ポリペプチドに結合し標的抗原と特異的に結合する抗体とを有する。これにより、標的抗原を簡単な操作で確実に検出することができる。
【0010】
本発明の抗原検査キットは、長さが810nm以下である両親媒性のα−ヘリックス・ポリペプチドと、該両親媒性のα−ヘリックス・ポリペプチドに結合し標的抗原と特異的に結合する抗体とを有し、かつ、膜状に配向させることにより構造性発色を示す抗原検査薬と、
ディッシュ、プレート及びチューブのいずれかと、を含む。
【0011】
前記膜状に配向させた抗原検査薬は、モルフォ蝶翅の鱗粉の発色基本原理である多層薄膜干渉理論に基づく構造性発色を示す。前記膜状抗原検査薬の抗体と標的抗原とが抗原抗体反応した際の屈折率又は長さの変化による構造性発色に基づく波長変化を測定することにより、試料中の標的抗原を迅速に、簡単な操作で確実に検出することができる。
【0012】
本発明の抗原検査装置の第一の態様は、試料中の標的抗原を検出するための抗原検査装置において、
長さが810nm以下である両親媒性のα−ヘリックス・ポリペプチドと、該両親媒性のα−ヘリックス・ポリペプチドに結合し標的抗原と特異的に結合する抗体とを有し、かつ、膜状に配向させることにより構造性発色を示す抗原検査薬を、前記試料に接触させる添加手段と、
標的抗原に結合した前記抗原検査薬の構造性発色による波長の変化を測定する発色波長測定手段とを備えたものである。
【0013】
前記膜状に配向させた抗原検査薬は、モルフォ蝶翅の鱗粉の発色基本原理である多層薄膜干渉理論に基づく構造性発色を示す。前記膜状抗原検査薬の抗体と標的抗原とが抗原抗体反応した際の屈折率又は長さの変化による構造性発色に基づく波長変化を測定することにより、標的抗原の存在を検査することができる。
【0014】
本発明の抗原検査装置の第二の態様は、両親媒性のα−ヘリックス・ポリペプチドと、該両親媒性のα−ヘリックス・ポリペプチドに結合し標的抗原と特異的に結合する抗体とを有し、かつ、両親媒性である抗原検査薬を水晶発振子又は表面弾性波素子に膜状に付着結合させてなるバイオセンサーと、該バイオセンサーに標的抗原が結合した際の質量変化又は粘弾性変化を周波数として発振する発振回路と、該発振回路から発振された前記振動の周波数を計測する周波数カウンターとを備えている。
これにより、前記バイオセンサーを構成する抗原検査薬の抗体が標的抗原と抗原抗体反応した際の質量変化又は粘弾性変化を周波数として高感度に短時間で検出できるものである。
【0015】
本発明の抗原検査方法は、試料中の標的抗原を検出するための抗原検査方法において、
長さが810nm以下である両親媒性のα−ヘリックス・ポリペプチドと、該両親媒性のα−ヘリックス・ポリペプチドに結合し標的抗原と特異的に結合する抗体とを有し、かつ、膜状に配向させることにより構造性発色を示す抗原検査薬を、前記試料に接触させる接触工程と、
標的抗原に結合した前記膜状抗原検査薬の構造性発色による波長の変化を測定する発色波長測定工程とを有する。
前記膜状に配向させた抗原検査薬は、モルフォ蝶翅の鱗粉の発色基本原理である多層薄膜干渉理論に基づく構造性発色を示す。前記膜状抗原検査薬の抗体と標的抗原とが抗原抗体反応した際の屈折率又は長さの変化による構造性発色に基づく波長変化を測定することにより、標的抗原の存在を効率よく確実に検査することができる。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、本発明について更に詳しく説明する。
本発明の抗原検査薬10は、図1に一例として示したように、棒状体1と、該棒状体1に結合し標的抗原と特異的に結合する抗体2とを有する。なお、図1の抗原検査薬10はα−ヘリックス構造の両親媒性ポリペプチドであり、棒状体の1a部分が疎水性、1b部分は親水性を示す。
【0017】
<棒状体>
前記棒状体としては、棒状であれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、棒状無機物、棒状有機物のいずれであってもよいが、棒状有機物であるのが好ましい。
【0018】
前記棒状有機物としては、例えば、生体分子、多糖類などが挙げられる。
前記生体分子としては、例えば、繊維状蛋白、α−ヘリックス・ポリペプチド、核酸(DNA、RNA)などが好適に挙げられる。該繊維状蛋白としては、例えば、α−ケラチン、ミオシン、エピダーミン、フィブリノゲン、トロポマイシン、絹フィブロイン等のα−ヘリックス構造を有するものが挙げられる。
【0019】
前記多糖類としては、例えば、アミロースなどが好適に挙げられる。
前記棒状有機物の中でも、安定に棒状を維持することができ、また、目的に応じて内部に他の物質をインターカレートさせることができる点で、分子がらせん構造を有するらせん状有機分子が好ましく、該らせん状有機分子には、上述したものの内、α−ヘリックス・ポリペプチド、DNA、アミロースなどが該当する。
【0020】
〔α−ヘリックス・ポリペプチド〕
前記α−ヘリックス・ポリペプチドは、ポリペプチドの二次構造の一つであり、アミノ酸3.6残基ごとに1回転(1らせんを形成)し、4番目ごとのアミノ酸のイミド基(−NH−)とカルボニル基(−CO−)との間に螺旋軸とほぼ平行な水素結合を作り、7アミノ酸を一単位として繰り返すことによりエネルギー的に安定な構造を有している。
【0021】
前記α−ヘリックス・ポリペプチドのらせん方向としては、特に制限はなく、右巻きであってもよいし、左巻きであってもよい。なお、天然には安定性の点から前記らせん方向が右巻きのものしか存在しない。
【0022】
前記α−ヘリックス・ポリペプチドを形成するアミノ酸としては、α−ヘリックス構造を形成可能であれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、該α−ヘリックス構造を形成し易いものが好ましく、このようなアミノ酸としては、例えば、アスパラギン酸(Asp)、グルタミン酸(Glu)、アルギニン(Arg)、リジン(Lys)、ヒスチジン(His)、アスパラギン(Asn)、グルタミン(Gln)、セリン(Ser)、スレオニン(Thr)、アラニン(Ala)、バリン(Val)、ロイシン(Leu)、イソロイシン(Ile)、システイン(Cys)、メチオニン(Met)、チロシン(Tyr)、フェニルアラニン(Phe)、トリプトファン(Trp)などが好適に挙げられる。これらは、1種単独で使用されてもよいし、2種以上が併用されてもよい。
【0023】
前記α−ヘリックス・ポリペプチドの親性としては、前記アミノ酸を適宜選択することにより、親水性、疎水性、両親媒性のいずれにも変え得るが、前記親水性とする場合、前記アミノ酸としては、セリン(Ser)、スレオニン(Thr)、アスパラギン酸(Asp)、グルタミン酸(Glu)、アルギニン(Arg)、リジン(Lys)、アスパラギン(Asn)、グルタミン(Gln)などが好適に挙げられ、前記疎水性とする場合、前記アミノ酸としては、フェニルアラニン(Phe)、トリプトファン(Trp)、イソロイシン(Ile)、チロシン(Tyr)、メチオニン(Met)、ロイシン(Leu)、バリン(Val)などが挙げられる。
【0024】
また、前記α−ヘリックス・ポリペプチドにおいては、該α−ヘリックスを形成する前記アミノ酸における、ペプチド結合を構成しないカルボキシル基を、エステル化することにより疎水性にすることができ、一方、該エステル化されたカルボキシル基を加水分解することにより親水性にすることができる。
【0025】
前記アミノ酸としては、L−アミノ酸、D−アミノ酸、これらの側鎖部分が修飾された誘導体などのいずれであってもよい。
【0026】
前記α−ヘリックス・ポリペプチドにおけるアミノ酸の結合個数(重合度)としては、特に制限はなく目的に応じて適宜選択することができるが、10〜5000であるのが好ましい。
前記結合個数(重合度)が、10未満であると、ポリアミノ酸が安定なα−ヘリックスを形成できなくなることがあり、5000を超えると、垂直配向させることが困難となることがある。
【0027】
前記α−ヘリックス・ポリペプチドの具体例としては、例えば、ポリ(γ−メチル−L−グルタメート)、ポリ(γ−エチル−L−グルタメート)、ポリ(γ−ベンジル−L−グルタメート)、ポリ(L−グルタミン酸−γ−ベンジル)、ポリ(n−ヘキシル−L−グルタメート)等のポリグルタミン酸誘導体、ポリ(β−ベンジル−L−アスパルテート)等のポリアスパラギン酸誘導体、ポリ(L−ロイシン)、ポリ(L−アラニン)、ポリ(L−メチオニン)、ポリ(L−フェニルアラニン)、ポリ(L−リジン)−ポリ(γ−メチル−L−グルタメート)などのポリペプチド、が好適に挙げられる。
【0028】
前記α−ヘリックス・ポリペプチドとしては、市販のものであってもよいし、公知文献等に記載の方法に準じて適宜合成乃至調製したものであってもよい。
【0029】
前記α−ヘリックス・ポリペプチドの合成の一例として、ブロックコポリペプチド〔ポリ(L−リジン)25−ポリ(γ−メチル−L−グルタメート)60〕PLLZ25−PMLG60の合成をここで示すと次の通りである。即ち、ブロックコポリペプチド〔ポリ(L−リジン)25−ポリ(γ−メチル−L−グルタメート)60〕PLLZ25−PMLG60は、下記式で示したように、n−ヘキシルアミンを開始剤として用い、Nε−カルボベンゾキシ L−リジン Nα−カルボキシ酸無水物(LLZ−NCA)の重合を行い、続けてγ−メチル L−グルタメート N−カルボキシ酸無水物(MLG−NCA)の重合を行うことにより合成することができる。
【0030】
【化1】
Figure 0003892325
【0031】
前記α−ヘリックス・ポリペプチドの合成は、上記方法に限られず、遺伝子工学的方法により合成することもできる。具体的には、前記目的とするポリペプチドをコードするDNAを組み込んだ発現ベクターにより宿主細胞を形質転換し、この形質転換体を培養すること等により製造することができる。
【0032】
前記発現ベクターとしては、例えば、プラスミドベクター、ファージベクター、プラスミドとファージとのキメラベクター、などが挙げられる。
前記宿主細胞としては、大腸菌、枯草菌等の原核微生物、酵母菌等の真核微生物、動物細胞などが挙げられる。
また、前記α−ヘリックス・ポリペプチドは、α−ケラチン、ミオシン、エピダーミン、フィブリノゲン、トロポマイシン、絹フィブロイン等の天然の繊維状蛋白からそのα−ヘリックス構造部分を切り出すことにより調製してもよい。
【0033】
〔DNA〕
前記DNAは、1本鎖DNAであってもよいが、安定に棒状を維持することができ、内部に他の物質をインターカレートできる等の点で2本鎖DNAであるのが好ましい。
前記2本鎖DNAは、一つの中心軸の回りに、右巻きらせん状の2本のポリヌクレオチド鎖が互いに逆方向に延びた状態で位置して形成された2重らせん構造を有する。
前記ポリヌクレオチド鎖は、アデニン(A)、チミン(T)、グアニン(G)及びシトシン(C)の4種類の核酸塩基で形成されており、前記ポリヌクレオチド鎖において前記核酸塩基は、中心軸に対して垂直な平面内で互いに内側に突出した形で存在して、いわゆるワトソン−クリック型塩基対を形成し、アデニンに対してはチミンが、グアニンに対してはシトシンが、それぞれ特異的に水素結合している。その結果、前記2本鎖DNAにおいては、2本のポリペプチド鎖が互いに相補的に結合している。
【0034】
前記DNAは、公知のPCR(Polymerase Chain Reaction)法、LCR(Ligase chain Reaction)法、3SR(Self−sustained Sequence Replication)法、SDA(Strand Displacement Amplification)法等により調製することができるが、これらの中でもPCR法が好適である。
【0035】
また、前記DNAは、天然の遺伝子から制限酵素により酵素的に直接切り出して調製してもよいし、遺伝子クローニング法により調製してもよいし、化学合成法により調製してもよい。
前記遺伝子クローニング法の場合、例えば、正常核酸を増幅したものをプラスミドベクター、ファージベクター、プラスミドとファージとのキメラベクター等から選択されるベクターに組み込み、大腸菌、枯草菌等の原核微生物、酵母等の真核微生物、動物細胞などから選択される増殖可能な任意の宿主に導入することにより前記DNAを大量に調製することができる。
【0036】
前記化学合成法としては、例えば、トリエステル法、亜リン酸法などのような、液相法又は不溶性の担体を使った固相合成法などが挙げられる。前記化学合成法の場合、公知の自動合成機等を用い、1本鎖のDNAを大量に調製した後、アニーリングを行うことにより、2本鎖DNAを調製することができる。
【0037】
〔アミロース〕
前記アミロースは、高等植物の貯蔵のためのホモ多糖類であるデンプンを構成するD−グルコースがα−1,4結合で直鎖状につながったらせん構造を有する多糖である。
前記アミロースの分子量としては、数平均分子量で、数千〜15万程度が好ましい。
前記アミロースは、市販のものであってもよいし、公知の方法に従って適宜調製したものであってもよい。
なお、前記アミロースは、その一部にアミロペクチンが含まれていても構わない。
【0038】
前記棒状体の長さとしては、特に制限はなく目的に応じて適宜選択することができるが、構造性発色を生じさせる観点からは、810nm以下であるのが好ましく、10nm〜810nmであるのがより好ましい。
前記棒状体の径としては、特に制限はないが、前記α−ヘリックス・ポリペプチドの場合には0.8〜2.0nm程度である。
【0039】
前記棒状体は、その全部が疎水性又は親水性であってもよく、また、その一部が疎水性又は親水性であり、他の部分が該一部と逆の親性を示す両親媒性であってもよい。前記棒状体が前記両親媒性であると、油相−水相界面での配向、油層又は水相中での分散、等が容易である点で有利である。
【0040】
前記両親媒性の棒状体の場合、疎水性を示す部分及び親水性を示す部分の数としては特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。また、この場合、疎水性を示す部分と親水性を示す部分とが交互に位置していてもよいし、いずれかの部分が棒状体の一端部にのみ位置していてもよい。
【0041】
<標的抗原>
前記標的抗原としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、血漿蛋白、リポ蛋白、糖蛋白、ポリペプチド、脂質、多糖類、リポ多糖類、核酸及び薬物から選ばれる少なくとも1種であることが好ましい。これらの中でも血漿蛋白、腫瘍マーカー、アポ蛋白、ウイルス抗原、自己抗体、凝固・線溶因子、ホルモン、血中薬物、又はHLA抗原であることが好ましい。この標的抗原は、前記のような個々の目的における検出の最終的な標的である抗原である必要はなく、検出の最終的な標的である抗原と共に存在する抗原であってもよい。
【0042】
前記血漿蛋白としては、例えば、免疫グロブリン(IgG,IgA,IgM,IgD,IgE)、補体成分(C3,C4,C5,C1q)、CRP、α−アンチトリプシン、α−マイクログロブリン、β−マイクログロブリン、ハプトグロビン、トランスフェリン、セルロプラスミン、フェリチンなどが挙げられる。
【0043】
前記腫瘍マーカーとしては、例えば、α−フェトプロテイン(AFP)、癌胎児性抗原(CEA)、CA19−9、CA125、CA15−3、SCC抗原、前立腺酸性ホスファターゼ(PAP)、PIVKA−II、γ−セミノプロテイン、TPA、エラスターゼI、神経特異エノラーゼ(NSE)、免疫抑制酸性蛋白(IAP)などが挙げられる。
【0044】
前記アポ蛋白としては、例えば、アポA−I、アポA−II、アポB、アポC−II、アポC−III、アポEなどが挙げられる。
【0045】
前記ウイルス抗原としては、例えば、B型肝炎ウイルス(HBV)関連抗原、C型肝炎ウイルス(HVC)関連抗原、HTLV−I、HIV、狂犬病ウイルス、インフルエンザウイルス、風疹ウイルスなどが挙げられる。
前記HCV関連抗原としては、例えば、HCVc100−3リコビナント抗原、pHCV−31リコビナント抗原、pHCV−34リコビナント抗原などが挙げられ、それらの混合物が好ましく使用できる。前記HIV関連抗原としては、ウイルス表面抗原などが挙げられ、例えば、HIV−I env.gp41リコビナント抗原、HIV−I env.gp120リコビナント抗原、HIV−I gag.p24リコビナント抗原、HIV−II env.p36リコビナント抗原などが挙げられる。
また、ウイルス以外の感染症としては、MRSA、ASO、トキソプラズマ、マイコプラズマ、STDなどが挙げられる。
【0046】
前記自己抗体としては、例えば、抗マイクロゾーム抗体、抗サイログロブリン抗体、抗核抗体、リュウマチ因子、抗ミトコンドリア抗体、ミエリン抗体などが挙げられる。
【0047】
前記凝固・線溶因子としては、例えば、フィブリノゲン、フィブリン分解産物(FDP)、プラスミノゲン、α−プラスミンインヒビター、アンチトロンビンIII、β−トロンボグロブリン、第VIII因子、プロテインC、プロテインSなどが挙げられる。
【0048】
前記ホルモンとしては、例えば、下垂体ホルモン(LH、FSH、GH、ACTH、TSH、プロラクチン)、甲状腺ホルモン(T、T、サイログロブリン)、カルシトニン、副甲状腺ホルモン(PTH)、副腎皮質ホルモン(アルドステロン、コルチゾール)、性腺ホルモン(hCG、エストロゲン、テストステロン、hPL)、膵・消化管ホルモン(インスリン、C−ペプチド、グルカゴン、ガストリン)、その他(レニン、アンジオテンシンI,II、エンケファリン、エリスロポエチン)などが挙げられる。
【0049】
前記血中薬物としては、例えば、カルバマゼピン、プリミドン、バルプロ酸等の抗てんかん薬、ジゴキシン、キニジン、ジギトキシン、テオフィリン等の循環器疾患薬、ゲンタマイシン、カナマイシン、ストレプトマイシン等の抗生物質などが挙げられる。
【0050】
このような標的抗原を含む検体としては、例えば、細菌、ウイルス等の病原体、生体から分離された血液、唾液、組織病片等、或いは糞尿等の排泄物が挙げられる。更に、出生前診断を行う場合は、羊水中に存在する胎児の細胞や、試験管内での分裂卵細胞の一部を検体とすることもできる。また、これらの検体は直接、又は必要に応じて遠心分離操作等により沈渣として濃縮した後、例えば、酵素処理、熱処理、界面活性剤処理、超音波処理、或いはこれらの組み合わせ等による細胞破壊処理を予め施したものを使用することができる。
【0051】
また、本発明で使用される抗原は、遺伝子組換え法で産生されたもの、あるいは遺伝子組換えにより配列決定された遺伝子配列やペプチド配列を基に化学合成などされたものであることもできる。例えば遺伝子組換え技術を適用し、天然のウイルスや細胞から分子クローニングにより得られたDNA配列あるいは既に知られたゲノム配列から、酵素などを用いたり、化学合成により得られたDNA配列又は修飾DNA配列を、微生物あるいは動物、植物、昆虫などで発現させて得られたリコビナント抗原や、それらの情報を利用し液相法や固相法として知られたペプチド化学合成法により得られたペプチド又は改変ペプチドである。ペプチドの固相合成法は、一般的には自動ペプチド合成装置により好適に行うことができる。
【0052】
<標的抗原と特異的に結合する抗体>
前記標的抗原と特異的に結合する抗体とは、前記標的抗原と特異的に抗原抗体反応を生じるものを意味し、多クローン性抗体であっても、単クローン性抗体であってもよく、更にはIgG、IgM、IgE、IgGのFab’、Fab、F(ab’)なども使用することができる。
【0053】
前記抗体は、その由来を特に限定されるものではなく、また、抗体は常法により得ることができる。例えば、村松繁、他編、実験生物学講座14、免疫生物学、丸善株式会社、昭和60年、日本生化学会編、続生化学実験講座5、免疫生化学研究法、東京化学同人、1986年、日本生化学会編、新生化学実験講座12、分子免疫学III、抗原・抗体・補体、東京化学同人、1992年などに記載の方法に準じて調製することができる。
【0054】
具体的には、ウマ、ウシ、ヒツジ、ウサギ、ヤギ、ラット、マウスなどの哺乳動物等に抗原を投与し、免疫して得られる抗血清、腹水液をそのまま、あるいは従来公知の方法、例えば硫酸アンモニウム沈殿法などの塩析、セファデックスなどによるゲル濾過法、イオン交換クロマトグラフィー法、電気泳動法、透析、限外濾過法、アフィニティ・クロマトグラフィー法、高速液体クロマトグラフィー法などにより精製して用いることができる。
【0055】
また、抗原などで免疫した哺乳動物など(例えばマウス)の脾臓細胞と骨髄腫細胞(ミエローマ細胞)からハイブリッド細胞(ハイブリドーマ)を得て、モノクローナル抗体を作成し、これを特定成分と特異的に結合しうる物質として使用したり、例えば、特定成分が特異抗体などの場合そのモノクローナル抗体を修飾し、模擬特定成分として使用すると特異性がより向上するなどの点から好ましい。前記モノクローナル抗体は、ケラー及びミルシュタイン(Kohler,G.&Milstein,C.,Nature,256,495,(1975))などにより開示されたマウスミエローマ細胞を用いての細胞融合技術を利用して得られたモノクローナル抗体であってもよい。前記モノクローナル抗体は公知のものあるいは市販されているもののうちから選んで用いることもできる。
【0056】
また、抗体は遺伝子組換え技術により作製することもできる。これら抗体はIgG、IgM、IgA、IgE、IgDといった各分画を用いることができる。またこれら酵素をトリプシン、パパイン、ペプシンなどの酵素により処理して、Fab、Fab’、F(ab’)といった抗体フラグメントにして使用してもよい。さらにこれら抗体は単一で使用しても、複数の抗体を組み合わせて使用してもよい。
【0057】
そして、得られる標的抗原と特異的に結合する抗体を前記棒状体とを結合させることにより本発明の抗原検査薬が得られる。
前記結合方法は、前記抗体と前記棒状体とに応じて適宜選択することができるが、エステル結合やアミド結合等の共有結合を利用する方法、タンパク質をアビジン標識し、ビオチン化した抗体と結合させる方法、タンパク質をストレプトアビジン標識し、ビオチン化した抗体と結合させる方法等の公知の方法が使用できる。
【0058】
前記共有結合法としては、ペプチド法、ジアゾ法、アルキル化法、臭化シアン活性化法、架橋試薬による結合法、ユギ(Ugi)反応を利用した固定化法、チオール・ジスルフィド交換反応を利用した固定化法、シッフ塩基形成法、キレート結合法、トシルクロリド法、生化学的特異結合法などが挙げられるが、好ましくは共有結合などのより安定した結合には、チオール基とマレイミド基の反応、ピリジルジスルフィド基とチオール基の反応、アミノ基とアルデヒド基の反応などを利用して行うことができ、公知の方法あるいは当該分野の当業者が容易になしうる方法、さらにはそれらを修飾した方法の中から適宜選択して適用できる。これらのなかでも、より安定した結合を形成できる化学的結合剤・架橋剤などが使用される。
【0059】
このような化学的結合剤・架橋剤としては、カルボジイミド、イソシアネート、ジアゾ化合物、ベンゾキノン、アルデヒド、過ヨウ素酸、マレイミド化合物、ピリジルジスルフィド化合物などが挙げられる。好ましい試薬としては、例えばグルタルアルデヒド、ヘキサメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソチオシアネート、N,N'−ポリメチレンビスヨードアセトアミド、N,N'−エチレンビスマレイミド、エチレングリコールビススクシニミジルスクシネート、ビスジアゾベンジジン、1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド、スクシンイミジル 3−(2−ピリジルジチオ)プロピオネート(SPDP)、N−スクシンイミジル 4−(N−マレイミドメチル)シクロヘキサン−1−カルボキシレート(SMCC)、N−スルホスクシンイミジル 4−(N−マレイミドメチル)シクロヘキサン−1−カルボキシレート、N−スクシンイミジル (4−ヨードアセチル)アミノベンゾエート、N−スクシンイミジル 4−(1−マレイミドフェニル)ブチレート、イミノチオラン、S−アセチルメルカプトコハク酸無水物、メチル−3−(4'−ジチオピリジル)プロピオンイミデート、メチル−4−メルカプトブチリルイミデート、メチル−3−メルカプトプロピオンイミデート、N−スクシンイミジル−S−アセチルメルカプトアセテートなどが挙げられる。
【0060】
<抗原検査薬>
本発明の抗原検査薬は、図1に示したように、棒状体1と、該棒状体1に結合し標的抗原と特異的に結合する抗体2とを有するものである。前記抗原検査薬は、前記抗体部分に前記標的抗原が結合することにより、前記抗原検査薬の光の屈折率、透過率、質量、粘弾性、などの性質が変化するため、この変化を検出することにより、抗原の検出に利用することができる。
【0061】
前記検出方法は、目的に合わせて適宜選択することができるが、例えば、肉眼により色の変化を観察する、分光光度計により波長の変化を検出する、水晶発振子や表面弾性波(SAW)素子等の周波数の発振を周波数カウンターにより検出する等の方法により、行うことができる。
【0062】
この抗原検査薬10は単体でも用いることができるが、単体で用いる場合には、標的抗原を含む溶媒の表面や、前記溶媒と前記溶媒とは逆の親性を有する液体との境界に、単層状又は複層状に配向させて用いることが、波長の変化を検出し易い点で好ましい。
また、例えば、ラングミュア・ブロジェット(LB)法などにより垂直配向させて基板上に単分子膜、二分子膜等の膜状に形成して用いることが波長の変化を検出し易い点、水晶発振子や表面弾性波(SAW)素子等を固定できる点、取り扱いが容易である点で好ましい。
【0063】
本発明の抗原検査薬は、視認性、識別性等の観点からは構造性発色を示し得るのが好ましい。
前記構造性発色は、モルフォ蝶翅の鱗粉の発色基本原理である多層薄膜干渉理論に基づき、前記膜に電場、磁場、温度、光(例えば自然光、赤外線光、紫外線光)などの外部刺激を与えたときに、該膜の厚みとその屈折率に応じて特定波長の光が反射する結果、該膜の表面で生ずる発色であり、前記外部刺激によりカメレオンの表皮のようにその色調が任意に制御され得る。
【0064】
ここで、前記構造性発色の原理について下記に示す。
図2及び図3に示すように、前記棒状体の膜に光が照射された際に該膜による干渉光の波長(λ)は、下記(1)に示す条件で強められ、下記(2)に示す条件で弱められる。
【0065】
【数1】
Figure 0003892325
【0066】
前記式(1)及び前記式(2)において、λは、干渉光の波長(nm)を意味し、αは、前記膜への光の入射角(度)を意味し、tは、単一の膜の厚み(nm)を意味し、lは、膜の数を意味し、nは、膜の屈折率を意味し、mは、1以上の整数を意味する。
【0067】
前記構造性発色は、前記抗原検査薬を膜状に配向させることにより得ることができる。
前記単一の膜の厚みとしては、810nm以下であるのが好ましく、10nm〜810nmであるのがより好ましい。
前記厚みを適宜変更することにより、前記構造性発色の色(波長)を変化させることができる。
【0068】
前記膜は、単分子膜であってもよいし、該単分子膜による積層膜であってもよい。
前記単分子膜又はそれによる前記積層膜は、例えば、ラングミュア−ブロジェット法(LB法)に従って形成することができ、その際、公知のLB膜形成装置(例えば、日本レーザー&エレクトロニクス・ラボラトリーズ社製のNL−LB400NK−MWCなどが好適に挙げられる)を使用することができる。
【0069】
前記単分子膜の形成は、例えば、親油性(疎水性)若しくは両親媒性の前記棒状体を水面上(水相上)に浮かした状態で、又は、親水性若しくは両親媒性の前記棒状体を油面上(油相上)に浮かした状態で、即ち図4に示すように、棒状体1を配向させた状態で押出部材60を用いて基板50上に形成することができる。この操作を繰り返すことにより、基板50上に該単分子膜を任意の数だけ積層した前記積層膜を形成することができる。なお、前記単分子膜又は前記積層膜が基板50に固定されていると、該単分子膜又は積層膜による構造性発色が安定して発現される点で好ましい。
【0070】
このとき、基板50としては、特に制限はなく、目的に応じてその材質、形状、大きさ等を適宜選択することができるが、その表面は、適宜、棒状体1が付着乃至結合し易くする目的で予め表面処理を行っておくのが好ましく、例えば、棒状体1(例えばα−ヘリックス・ポリペプチド)が親水性である場合には、オクタデシル・トリメチルシロキサンなどを用いた親水化処理等の表面処理を予め行っておくのが好ましい。
【0071】
なお、両親媒性の棒状体の単分子膜を形成する際に、該棒状体を油相又は水相上に浮かべた状態としては、図5に示す通り、前記水相又は油相上で、棒状体1の親油性部(疎水性部)1a同士が互いに隣接して配向し、親水性部1b同士が互いに隣接して配向している。
【0072】
以上は前記棒状体が単分子膜の平面方向に配向(横に寝た状態)した単分子膜又はそれによる積層膜の例であるが、該棒状体が単分子膜の厚み方向に配向(立設した状態)した単分子膜は、例えば、以下のようにして形成することができる。即ち、図6に示すように、まず、両親媒性の棒状体1(α−ヘリックス・ポリペプチド)を水面上(水相上)に浮かした状態(横に寝た状態)で、該水(水相)のpHを12程度のアルカリ性にする。すると、棒状体1(α−ヘリックス・ポリペプチド)における親水性部1bが、そのα−ヘリックス構造が解けてランダムな構造をとる。このとき、棒状体1(α−ヘリックス・ポリペプチド)における親油性部(疎水性部)1aはα−ヘリックス構造を維持したままである。次に、該水(水相)のpHを5程度の酸性にする。すると、棒状体1(α−ヘリックス・ポリペプチド)における親水性部1bが、再びα−ヘリックス構造をとるようになる。このとき、棒状体1(α−ヘリックス・ポリペプチド)に対し、該棒状体1(α−ヘリックス・ポリペプチド)に当接させた押圧部材をその側面からエアーの圧力で押すと、該棒状体1は該水(水相)に対し立設した状態のままその親水性部1bが水相中でその水面と略直交する方向に向かってα−ヘリックス構造をとるようになる。そして、図4を用いて上述したように、棒状体1(α−ヘリックス・ポリペプチド)を配向させた状態で押出部材60を用いて基板50上に押し出すことにより基板50上に単分子膜を形成することができる。この操作を繰り返すことにより、基板50上に該単分子膜を任意の数だけ積層した前記積層膜を形成することができる。
【0073】
前記構造性発色を示す単層膜又は積層膜を得ることができる、抗原検査薬としては、例えば、両親媒性である抗原検査薬が挙げられ、棒状体が、αへリックス・ポリペプチドである両親媒性抗原検査薬が好ましい。
本発明の抗原検査薬は、標的抗原と特異的に結合して沈降反応を示すものであってもよい。
【0074】
また、本発明の抗原検査薬を用いた抗原抗体反応は、生理食塩水中で抗原と抗体とが最適比となるように添加し、pH6〜8で37℃付近の条件で反応させることにより行うことができる。
【0075】
<抗原検査キット>
本発明の抗原検査キットは、長さが810nm以下である棒状体と、該棒状体に結合し標的抗原と特異的に結合する抗体とを有し、かつ、膜状に配向させることにより構造性発色を示す抗原検査薬と、
ディッシュ、プレート及びチューブのいずれかと、を含む。
前記抗原検査キットは、前記ディッシュ等の大きさに適した量の前記抗原検査薬を含む溶媒を前記容器とは別の容器に含んでいてもよい。例えば、前記容器に水性の試料を添加し、該試料に油性又は両親媒性の前記抗原検査薬を添加することにより、前記抗原検査薬を試料上に膜状に配向させ、この膜状抗原検査薬の構造性発色に基づく波長変化により標的抗原を検出できる。
【0076】
前記検査キットには、必要に応じて、検体前処理用試薬、洗浄液、反応溶液の水分の蒸発を防止するためのオイルなどを組み合わせることもできる。
【0077】
本発明の抗原検査キットによれば、前記膜状に配向させた抗原検査試薬は、モルフォ蝶翅の鱗粉の発色基本原理である多層薄膜干渉理論に基づく構造性発色を示すので、膜状抗原検査試薬の抗体と標的抗原とが抗原抗体反応した際の屈折率又は長さの変化による構造性発色に基づく波長変化を測定することにより、試料中の標的抗原を簡単な操作で確実に検出することができる。
【0078】
<抗原検査装置>
本発明の第1の態様に係る抗原検査装置は、試料中の標的抗原を検出するための抗原検査装置において、長さが810nm以下である棒状体と、該棒状体に結合し標的抗原と特異的に結合する抗体とを有し、かつ、膜状に配向させることにより構造性発色を示す抗原検査薬を、前記試料に接触させる添加手段と、
標的抗原に結合した前記抗原検査薬の構造性発色による波長の変化を測定する発色波長測定手段とを備える。
前記試料としては、標的抗原を含むか否かの検査対象となっているものであれば特に制限はなく、例えば、前記検体が挙げられる。
前記添加手段としては、一定量の抗原検査薬を試料に添加する手段又は、一定量の試料を抗原検査薬に添加する手段であれば、特に制限はないが、前記抗原検査薬の量は、膜状に配向させることにより構造性発色を検出し易い量に設定することが好ましい。
【0079】
この場合、抗原検査薬の標的抗原と特異的に結合する抗体が、該標的抗原と抗原抗体反応することにより、抗原検査薬の屈折率又は長さが変化し、該抗原検査薬の構造性発色の波長が変化するので、この波長変化を発色波長測定手段、例えば分光光度計で測定することにより、特異的に標的抗原の存在の有無を検査することができる。また、あらかじめ既知量の試料抗原を用いて検量線を作成することにより、試料中の検出又は定量すべき抗原濃度を検出又は定量することができる。
【0080】
前記抗原検査装置の好ましい態様のひとつとしては、前記抗原検査薬が更に両親媒性であり、前記添加手段が、該抗原検査薬を油相と共に、水性の試料に添加して抗原検査薬と試料とを接触させる添加手段である抗原検査装置である。
【0081】
この場合、抗原検査薬が両親媒性であるため、油相と水相との界面で抗原検査薬が垂直配向して膜状となり、構造性発色による波長の変化が測定し易い点で好ましい。
【0082】
本発明の第二の抗原検査装置は、前記本発明の抗原検査薬を水晶発振子又は表面弾性波(SAW)素子に膜状に付着結合させてなるバイオセンサーと、該バイオセンサーの抗原検査薬の抗体に標的抗原が結合した際の質量変化又は粘弾性変化を周波数として発振する発振回路と、該発振回路から発振された前記振動の周波数を計測する周波数カウンターとを備えたものである。
【0083】
この場合、抗原検査薬を水晶発振子又は表面弾性波(SAW)素子に対し単分子膜状に付着結合させるか、又は二分子膜状に付着結合させることが好ましい。また、周波数カウンターとしては、水晶発振子又は表面弾性波(SAW)素子からの周波数を正確に測定できるものであれば特に限定されない。
【0084】
前記水晶発振子は、薄い水晶板の表面と裏面とに金属電極を蒸着したものである。この水晶発振子20の一例を図7に示す。図7Aが平面図、図7Bが正面図である。水晶板21の表面に電極12が、裏面に電極14が蒸着されている。電極12、14からは左側に電極が伸びており、その左端の部分を図示省略したクリップ型のリード線を接続して、図示を省略している交流電源に接続する。ここで、電極12、14の間に交流電界を印加すると逆圧電効果により、水晶板21は一定周期の振動を発生する。
【0085】
前記水晶発振子20の表面には図示を省略しているが、抗原検査薬膜が付着結合されている。この抗原検査薬膜の抗体と標的抗原とが結合し、該結合した標的抗原の質量だけ水晶発振子20の表面の質量が変化するため、共振周波数が変化する。
【0086】
ここで、厚み方向に垂直な平面に平行な振動をする水晶発振子20の表面に被覆した抗原検査薬膜の質量変化と共振周波数の変化量には、下記式(3)の関係があり、質量変化を共振周波数の変化量で検出することができる。例えば、9MHzの共振周波数の振動子では(面積約0.5cm)1μgの質量増加により、400Hzの周波数低下を得ることができる。
ΔF=−2.3×106(F2×ΔW/A) (3)
但し、Fは水晶発振子の共振周波数(MHz)を意味し、ΔFは質量変化による共振周波数の変化量(Hz)を意味し、ΔWは膜の質量変化(g)を意味し、Aは膜の表面積(cm)を意味する。
【0087】
図8に抗原検査装置の一例を示す。水晶発振子20(表面に抗原検査薬10が膜状に結合されている)は水晶発振子取付アームに取り付けられ恒温ヒートブロック23中の溶液に浸されている。恒温ヒートブロック23は溶液の温度を一定に保つためのものである。溶液は攪拌機(スターラー)24により攪拌される。また、サンプルインジェクション25は溶液中に計測すべき試料を注入する。発振回路26は、水晶発振子20の電極12、14に交流電界を印加して水晶発振子20を発振させる。発振回路26の発振周波数はカウンター27によりカウントされ、コンピュータ28により解析され、試料中の標的抗原の質量が表示される。
【0088】
このように、抗原検査薬の抗体と標的抗原とが抗原抗体反応することにより、前記抗原検査薬の質量が変化し、この質量変化を水晶発振子がとらえて周波数に変換するので、この周波数変化を周波数カウンターで測定することにより、特異的に標的抗原の存在の有無を検査することができる。
また、予め既知量の試料抗原を用いて検量線を作成することにより、試料中の検出又は定量すべき抗原濃度を検出又は定量することができる。
【0089】
次に、前記表面弾性波(SAW)素子とは、固体の表面に一対の櫛形電極を設け、電気信号を表面弾性波(固体表面を伝わる音波、超音波)に変換して、対向する電極まで伝達し、再び電気信号として出力する素子であり、刺激に対応して特定の周波数の信号を取り出すことができる。圧電効果を示すタンクル酸リチウム、ニオブ酸リチウムなどの強誘電体や、水晶、酸化亜鉛薄膜などが材料とされる。
【0090】
前記SAWは、媒質の表面に沿って伝搬し、媒質内部では指数関数的に減少する弾性波である。SAWは伝搬エネルギーが媒質表面に集中するので、媒質表面の変化を敏感に検出することができ、水晶発振子と同様に表面の質量変化により、SAW伝搬速度が変化する。一般に、SAW伝搬速度は発振回路を用いて発振周波数の変化として測定されている。発振周波数の変化は次式で与えられる。
Δf=(k1 +k2)f2hρ−k22h[(4μ/Vr 2)(λ+μ/λ+2μ)]
但し、k1 ,k2 は定数を意味し、hは固定化した膜の厚さを意味し、ρは膜の密度を意味し、λ,μは膜のLame定数を意味し、VrはSAW伝搬速度を意味する。
【0091】
図9は表面弾性波(SAW)素子の要部構成の一例を示す模式平面図である。この図9において、このSAW素子センサ30は、STカットの水晶製の共振周波数90MHzを持つSAW素子に、金電極38とその両端に櫛型電極36、及び点線で示した表面波伝播領域37に抗原検査薬からなる膜(図示せず)を形成してあり、各櫛型電極36から高周波増幅器35を経て周波数カウンター39に接続され、試料中の標的抗原の質量が表示されるように構成されている。
【0092】
前記抗原検査薬の標的抗原と特異的に結合する抗体が標的抗原と抗原抗体反応することにより、前記抗原検査薬の質量又は粘弾性が変化し、この質量変化又は粘弾性変化を表面弾性波(SAW)素子がとらえ周波数に変換するので、この周波数変化を周波数カウンターで測定することにより、特異的に標的抗原の存在の有無を検査することができる。
また、予め既知量の試料抗原を用いて検量線を作成することにより、試料中の検出又は定量すべき抗原濃度を検出又は定量することができる。
【0093】
前記バイオセンサーを構成する水晶発振子又は表面弾性波(SAW)素子の電極上に抗原検査薬を化学的に結合・固定する方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選定することができる。例えば、共有結合などの化学的結合により行うことができる。
前記共有結合法としては、特に制限はなく、上記抗原検査薬における抗体と棒状体との結合に用いたものと同じものを適宜選択して用いることができる。
具体的には、前記抗原検査薬の末端にチオール基を導入したものを合成し、その溶液中に水晶発振子又は表面弾性波(SAW)素子を一定時間浸漬・反応させる。次いで該溶液からバイオセンサーを取り出し、乾燥させる方法などが挙げられる。このチオール基としてはS−トリチル−3−メルカプトプロピルオキシ−β−シアノエチル−N,N−ジイソプロピルアミノホスホルアミダイドなどが包含され、該抗原検査薬の末端へのチオール基の導入はホスホルアミダイド法により行うことができる。
【0094】
<抗原検査方法>
本発明の抗原検査方法は、長さが810nm以下である棒状体と、該棒状体に結合し標的抗原と特異的に結合する抗体とを有し、かつ、膜状に配向させることにより構造性発色を示す抗原検査薬と、試料とを接触させる接触工程と、
標的抗原に結合した前記膜状抗原検査薬の構造性発色による波長の変化を測定する発色波長測定工程とを有する。
前記発色波長測定工程としては、膜状に配向させた抗原検査薬の抗体が標的抗原と抗原抗体反応した際の屈折率又は長さの変化による構造性発色に基づく波長変化を測定することができる方法であれば特に制限はなく、例えば分光光度計を用い波長変化を測定する方法が挙げられる。
【0095】
【実施例】
以下、実施例を示し、本発明について更に具体的に説明するが、本発明は下記実施例に何ら制限されるものではない。
【0096】
(実施例1)
n−ヘキシルアミンを開始剤として用い、Nε−カルボベンゾキシ L−リジン Nα−カルボキシ酸無水物(LLZ−NCA)の重合を行い、続けてγ−メチル L−グルタメート N−カルボキシ酸無水物(MLG−NCA)の重合を行うことによりPLLZ部の重合度が2000、PMLG部の重合度が600のブロックコポリペプチドPLLZ2000−PMLG600を調製した。その後、PMLGセグメントを部分的に加水分解してL−グルタミン酸(LGA)とすることでα−ヘリックスコポリペプチドPLLZ250−P(MLG420/LGA180)を調製した。
【0097】
このα−ヘリックスコポリペプチドにアビジンを導入し、ビオチンで標識した抗B型肝炎抗原IgGとをビオチン−アビジン結合を介して結合させて抗原検査薬を調製した。
【0098】
次に、該抗原検査薬を水面上(水相上)に浮かした状態(横に寝た状態)で、該水(水相)のpHを12程度のアルカリ性にする。すると、該抗原検査薬における親水性部が、そのα−ヘリックス構造が解けてランダムな構造をとる。このとき、該抗原検査薬における疎水性部はα−ヘリックス構造を維持したままである。次に、該水(水相)のpHを5程度の酸性にする。すると、該抗原検査薬における親水性部が、再びα−ヘリックス構造をとるようになる。このとき、該抗原検査薬に対し、該抗原検査薬に当接させた押圧部材をその側面からエアーの圧力で押すと、該抗原検査薬は該水(水相)に対し立設した状態のままその親水性部が水相中でその水面と略直交する方向に向かってα−ヘリックス構造をとるようになる。そして、上述したように、該抗原検査薬を配向させた状態で押出部材を用いて基板(板状体)上に押し出すことにより基板(板状体)上に該抗原検査薬を立設させた単分子膜を形成することができる。なお、この操作は、LB膜形成装置(日本レーザー&エレクトロニクス・ラボラトリー社製、NL−LB400NK−MWC)を使用して行った。この単分子膜の厚みを算出すると約16nmであった。
【0099】
得られた抗原検査薬からなる単分子膜を立設した基板をHBs陽性の被検液に添加し、構造性発色による波長の変化を分光光度計を用いて測定したところ、ポリペプチドに、上記抗B型肝炎抗原IgGを結合させてない抗原検査薬に比べて顕著な波長の変化が見られた。
【0100】
(実施例2)
実施例1において、基板(板状体)上に抗原検査薬が立設した単分子膜を構造単位とし、これを2層積層することにより、抗原検査薬が二分子膜状に立設した基板を調製した。この基板をHBs陽性の被検液に添加し、構造性発色による波長の変化を分光光度計を用いて測定したところ、前記抗B型肝炎表面抗原IgGを結合させてない抗原検査薬に比べて顕著な波長の変化が見られた。
【0101】
(実施例3)
水晶発振子(ATカット、面積0.5cm、基本周波数9MHz)に面積0.2cmの金電極及び金メッキを施したリード線を取り付けたものを水晶発振子電極として用いた。
前記水晶発振子電極をアミノプロピルトリエトキシシラン(チッソ社製)を用い、この1体積%水溶液に室温で1時間浸漬した後、純水中で20kHzの超音波を30分間照射することによって洗浄し、余分なアミノプロピルトリエトキシシランを除去した。次に、水晶発振子電極を110℃の温度下で20分間加熱処理することによってアミノプロピルトリエトキシシランと水晶発振子の表面との間に共有結合を形成させた。
【0102】
次に、この水晶発振子を1体積%のグルタールアルデヒド水溶液に1時間浸漬することにより、グルタールアルデヒドとアミノプロピルトリエトキシシランとの間に共有結合を形成した後、水晶発振子を純水中で20kHzの超音波を30分間照射することによって洗浄し、余分なグルタールアルデヒドを除去した。
この水晶発振子電極を実施例1で作製した抗原検査薬を含む100mlのpH7.2のリン酸緩衝液中に2時間浸漬した。これにより抗原検査薬がグルタールアルデヒドを介して水晶発振子に固定された。未反応の抗原検査薬は、pH7.2のリン酸緩衝液で洗浄することにより除去した。
【0103】
次に、作製した水晶発振子を図8に示した抗原検査装置に取り付け、HBs陽性の被検液を所定量添加し、10分間の周波数変化量を調べた。1分間以内に発振周波数の変化量がほぼ飽和になった。HBs陽性の被検液を添加したものは、添加しなかったものに比べて明らかな発振周波数の低下が見られた。
また、HBs陽性の被検液の添加量を増加させると、発振周波数が一定の割合で減少していくことが認められた。
【0104】
(実施例4)
実施例3において、水晶発振子の代わりに図9に示したSTカットの発振周波数が10.3MHzの表面弾性波(SAW)素子を用いた以外は、実施例3と同様にして抗原検査装置を組み立てた。
HBs陽性の被検液を所定量添加し、10分間の周波数変化量を調べた。1分間以内に発振周波数の変化量がほぼ飽和になった。HBs陽性の被検液を添加したものは、添加しなかったものに比べて明らかな発振周波数の低下が見られた。
また、HBs陽性の被検液の添加量を増加させると、発振周波数が一定の割合で減少していくことが認められた。
【0105】
【発明の効果】
本発明によれば、長時間の測定を要し、特別な設備などが必要であるという従来技術における欠点がなく、各種標的抗原を水相又は気相中で、高感度に、簡便かつ迅速に標的抗原を効率よく検査することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明の一実施例に係る抗原検査薬の模式図である。
【図2】図2は、構造性発色の原理を説明する説明図である。
【図3】図3は、同模式図である。
【図4】図4は、本発明の機能性分子による単分子膜の形成を示す概略説明図である。
【図5】図5は、両親媒性の機能性分子が水(水相)上で配向している状態の一例を示す概略説明図である。
【図6】図6は、両親媒性の機能性分子を水(水相)上で立設させる方法の一例を示す概略説明図である。
【図7】図7は、水晶発振子の一例を示し、図7Aは平面図、図7Bは正面図である。
【図8】図8は、抗原検査装置の一例を示す概略図である。
【図9】図9は、表面弾性波(SAW)素子を示す模式平面図である。
【符号の説明】
1 棒状体
2 抗体
10 抗原検査薬

Claims (14)

  1. 膜を形成するようにして添加され、両親媒性のα−ヘリックス・ポリペプチドと、該両親媒性のα−ヘリックス・ポリペプチドに結合し標的抗原と特異的に結合する抗体とを有することを特徴とする抗原検査薬。
  2. 標的抗原が、蛋白、リポ蛋白、糖蛋白、ポリペプチド、脂質、多糖類、リポ多糖類、核酸及び薬物から選ばれる少なくとも1種である請求項1に記載の抗原検査薬。
  3. 標的抗原が、血漿蛋白、腫瘍マーカー、アポ蛋白、ウイルス、自己抗体、凝固・線溶因子、ホルモン、血中薬物、又はHLA抗原である請求項2に記載の抗原検査薬。
  4. 標的抗原が、該標識抗原と共に共存する物質である請求項1から3のいずれかに記載の抗原検査薬。
  5. 標的抗原と特異的に結合して沈降反応を示す請求項1から4のいずれかに記載の抗原検査薬。
  6. 両親媒性のα−ヘリックス・ポリペプチドの長さが810nm以下である請求項1から5のいずれかに記載の抗原検査薬。
  7. 構造性発色を示す請求項6に記載の抗原検査薬。
  8. 長さが810nm以下である両親媒性のα−ヘリックス・ポリペプチドと、該両親媒性のα−ヘリックス・ポリペプチドに結合し標的抗原と特異的に結合する抗体とを有し、かつ、膜状に配向させることにより構造性発色を示す抗原検査薬と、ディッシュ、プレート及びチューブのいずれかと、を含む抗原検査キット。
  9. 試料中の標的抗原を検出するための抗原検査装置において、
    長さが810nm以下である両親媒性のα−ヘリックス・ポリペプチドと、該両親媒性のα−ヘリックス・ポリペプチドに結合し標的抗原と特異的に結合する抗体とを有し、かつ、膜状に配向させることにより構造性発色を示す抗原検査薬を、前記試料に接触させる添加手段と、
    標的抗原に結合した前記抗原検査薬の構造性発色による波長の変化を測定する発色波長測定手段とを備えた抗原検査装置。
  10. 添加手段が該抗原検査薬を油相と共に、水性の試料に添加して抗原検査薬と試料とを接触させる添加手段である請求項9に記載の抗原検査装置。
  11. 両親媒性のα−ヘリックス・ポリペプチドと、該両親媒性のα−ヘリックス・ポリペプチドに結合し標的抗原と特異的に結合する抗体とを有し、かつ、両親媒性である抗原検査薬を水晶発振子又は表面弾性波(SAW)素子に膜状に付着結合させてなるバイオセンサーと、該バイオセンサーに標的抗原が結合した際の質量変化又は粘弾性変化を周波数として発振する発振回路と、該発振回路から発振された前記振動の周波数を計測する周波数カウンターとを備えた抗原検査装置。
  12. 前記抗原検査薬を水晶発振子又は表面弾性波(SAW)素子に単分子膜状に付着させた請求項11に記載の抗原検査装置。
  13. 前記抗原検査薬を水晶発振子又は表面弾性波(SAW)素子に二分子膜状に付着させた請求項11に記載の抗原検査装置。
  14. 試料中の標的抗原を検出するための抗原検査方法において、
    長さが810nm以下である両親媒性のα−ヘリックス・ポリペプチドと、該両親媒性のα−ヘリックス・ポリペプチドに結合し標的抗原と特異的に結合する抗体とを有し、かつ、膜状に配向させることにより構造性発色を示す抗原検査薬を、前記試料に接触させる接触工程と、
    標的抗原に結合した前記膜状抗原検査薬の構造性発色による波長の変化を測定する発色波長測定工程とを有する抗原検査方法。
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