JP4832291B2 - ラベル用物質とキメラ物質、これらの物質の作製方法、並びに該ラベル用物質を用いて生体物質を捕捉、構造解析又は/及び同定する方法 - Google Patents

ラベル用物質とキメラ物質、これらの物質の作製方法、並びに該ラベル用物質を用いて生体物質を捕捉、構造解析又は/及び同定する方法 Download PDF

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Description

本発明は、生体物質と相互作用可能なプローブ物質に結合可能であり、かつ抗体を特異的に認識できる機能を有するラベル用物質とこのラベル用物質を用いたバイオアッセイ技術に関する。
本発明に係わる第一の従来技術として、金属薄膜、合成樹脂、ガラス等の基板やビーズなどの固相の表面に、標的物質を検出するための探り針の役目を果たす物質(以下「プローブ物質」という。)を予め固定した後に、物質間の特異的な相互作用を利用して、標的物質を捕捉、回収し、この標的物質を質量分析などにより構造解析する技術を挙げる。この技術を用いれば、前記プローブ物質に相互作用する物質を突き止めることができる。
また、前記技術では、プローブ物質と固相表面との間にリンカー、スペーサ、あるいはタグなどと称される物質が介挿されたり、ラベルされたりすることにより、プローブ物質と固相表面との間の結合力の調整、立体障害の解消、反応空間の利用効率向上などが試みられることがある。このような技術は、表面プラズモン共鳴センサーやDNAやタンパク質などを集積したマイクロアレイチップなどのバイオセンサー技術、免疫沈降法などの重要な要素技術となっている。
固相表面に対するプローブ物質の固定化には、「アビジン−ビオチン結合系」が広く一般的に使用されている。アビジン(avidin)は、ビオチン(biotin)と特異的に強く結合する糖タンパク質である。このアビジンは、ビオチンとの親和性が極めて高いことから、ビオチン化したDNA、ペプチド、タンパク質などを固定化するのに利用されている。例えば、固相表面にストレプトアビジンなどのアビジンを予めコートしておくことにより、これにビオチン化したプローブ物質を確実に結合(固定化)させることができる。その他、アビジン−ビオチン系は、エンザイムイノムアッセイ(EIA)などの免疫学的測定や組織染色の分野でも広く利用されている。
ここで、「アビジン−ビオチン結合系」を用いた先行技術を幾つか挙げる。まず、特許文献1には、固定されたアビジン又はストレプトアビジンに、ビオチン化された抗原又は抗体を結合させた後に、試料中の抗体又は抗原と特異的に結合する標識化合物の溶液と接触させ、「標識された抗原−抗体複合体」を検出する技術が開示されている。また、特許文献2には、アビジン分子が単層に固定化された固相化膜に、ビオチン化したプローブDNAを含む溶液をスポットしてDNAマイクロアレイを得る技術が開示されている。
次に、本発明に係る第二の従来技術として、「エピトープ・タグペプチド」を用いた相互作用解析技術を挙げる。
例えば、非特許文献1には、次の技術が開示されている。まず、エピトープ・タグペプチドが融合された組換えタンパク質を発現させておき、このエピトープ・タグペプチドを特異的に認識する抗体が固定化されたビーズを用いて、この抗体ビーズを細胞抽出液と混合する。この該細胞抽出液中の標的タンパク質を組換えタンパク質を介してトラップし、このビーズをよく洗浄してエピトープ・タグペプチドを過剰量添加して、前記ビーズ上にトラップされたタンパク質を添加ペプチドと置換することにより、この標的タンパク質(と組換えタンパク質の融合体)を液相中に溶出する。
即ち、非特許文献1には、「タンパク質−ペプチドタグ」という構成の融合体を用いた相互作用解析技術が開示されている。このタンパク質−ペプチドタグ融合体は、アミノ酸によって一連配列された同種物質同士の融合体であるから、生体内の遺伝子翻訳系を利用することによって合成可能な物質である。
特開平09−133683号公報。 特開2002−153272号公報。 実験医学別冊・ポストゲノム時代の実験講座2「プロテオーム解析法/タンパク質発現・機能解析の先端技術とゲノム医学・創薬研究」(羊土社)、磯辺俊明 高橋信弘編、P166−174。
まず、アビジン−ビオチン系からなる固相表面構成を採用した場合では、固相表面にコートされたアビジンに捕捉されたビオチン化物質、あるいはこのビオチン化物質と他物質の複合体を回収する作業を行うときに、アビジン−ビオチン結合の親和性が極めて高いため、該結合を解離させる解離条件を厳しくせざるを得ない。そうすると、固相表面に非特異的に吸着した物質も一緒に回収されてしまうため、解析の標的となるビオチン化された物質、あるいはこのビオチン化された物質に相互作用を示した標的物質を同定する際の障害となるという問題があった。
また、ビオチンは、溶解性が低い故に、取り扱い性が悪く、リンカーとしては利用し難いという基本的な問題を抱えている。そして、このビオチン自体が不特定のタンパク質等と相互作用し易いことから、特に、同定対象の標的物質がタンパク質などの場合では、ビオチン化物質をプローブ物質として採用するのは好ましくない。また、ビオチン化物質を細胞内へ導入すると、該ビオチン化物質に対して、不特定多数のタンパク質を含む生体高分子が非特異的に吸着するので、これをプロ−ブ物質として利用することも好ましくない。
さらに、従来の「タンパク質−エピトープ・タグペプチド融合体」を用いた相互作用解析技術は、アミノ酸から構成される物質同士を融合して用いる発想である。これは、細胞内の翻訳系を利用してタンパク質−エピトープ・タグペプチド融合体を合成する技術を前提としている。
そこで、本発明は、固相表面に対する可逆的固定(可逆的着脱)が可能なラベル用物質を提供し、このラベル用物質を用いて標的物質の回収を容易化し、かつ前記ラベル用物質に結合させたプローブ物質と相互作用する標的生体物質を確実かつ高精度に同定できる技術を提供することを主な目的とする。
本発明では、第一に、「生体物質と相互作用可能なプローブ物質に結合可能な化学構造を有する有機化合物」と「該有機化合物に結合され、かつ抗体が特異的に認識するペプチド」とから構成されたラベル用物質を提供する。
この「ラベル用物質」の物質構成を簡略に記載すれば、「有機化合物−ペプチド」という構成である。
第二には、「生体物質と相互作用可能なペプチド又はタンパク質以外のプローブ物質」と、「該プローブ物質に直接又は間接的に結合され、かつ抗体が特異的に認識するペプチド」と、から構成されたキメラ物質を提供する。なお、前記した「間接的に結合」するとは、プローブ物質とペプチドの間に他の物質を介在させた結合を意味する。
この「キメラ物質」の物質構成を簡略に記載すれば、(1)「プローブ物質(ペプチド又はタンパク質以外)−ペプチド」、(2)「プローブ物質(ペプチド又はタンパク質以外)−介挿物質−ペプチド」、以上(1)、(2)のいずれかの構成である。
「プローブ物質」としては、ペプチド又はタンパク質以外の物質、即ちアミノ酸配列からなる物質以外の物質であり、特に低分子化合物を視野に入れることができる。これにより、ペプチドに対して、ペプチドとは全く異種の物質を組み合わせた複合体であって、標的物質のトラップに有用な「キメラ物質」を全く新規に提供することができる。
この「キメラ物質」は、アミノ酸のみで構成されておらず、生体の遺伝子翻訳系で合成できるものでもないため、アミノ酸のみで構成された従来のタンパク質−エピトープ・タグペプチド融合体とは、その発想を全く異にする、異種物質間の複合体であると言える。
なお、本発明に係わる「プローブ物質」としては、低分子化合物以外にも、ペプチド又はタンパク質以外の物質であれば、目的に応じて、適宜採用可能である。例えば、核酸、脂質、糖、低分子のホルモン(ペプチドホルモン除く。)、毒性物質、内分泌攪乱物質、神経伝達物質などを採用することができる。仮に、毒性物質や内分泌攪乱物質を採用した場合は、当該物質と相互作用する物質を同定できるので、毒性等の原因物質や毒性の機作を突き止めるができる。
本発明に係るラベル用物質の必須の構成員である「有機化合物」、あるいは本発明に係るキメラ物質の構成員となり得る「有機化合物」(介挿物質)は、主に、スペーサとして機能させるための物質である。この有機化合物は、上記プローブ物質に結合可能な化学構造を有するものであればよく、狭く限定されない。
有機化合物の一例を挙げるならば、少なくとも一末端にカルボキシル基を有する脂溶性又は水溶性の有機化合物であって、該カルボキシル基を介して前記ペプチドと結合する構成の物質である。プローブ物質とペプチドとの間に有機化合物を介在させることで、親媒性を選択及び調整できるようになるため、アッセイ系における取り扱い性や細胞内への取り込み動態を自在に調整できるようになる。
次に、本発明に係るラベル用物質又はキメラ物質の必須の構成員である「ペプチド」は、抗体が特異的に認識するペプチドであり、有機化合物、あるいはプローブ物質に結合可能なものであれば、狭く限定されない。
一例を挙げれば、抗体結合性のタグ(Tag)として機能させることができるものを採用できる。例えば、フラッグ(FLAG)ペプチド(アミノ酸配列:Asp−Tyr−Lys−Asp−Asp−Asp−Asp−Lys)などのエピトープ・タグペプチドを採用することができる。
この場合、このペプチドを認識する抗体は、抗エピトープ・タグペプチド抗体、例えば、抗フラッグ(FLAG)ペプチド抗体である。
第三に、本発明では、有機化合物と、該有機化合物に結合され、かつ抗体が特異的に認識するペプチドと、からなるラベル用物質を、前記有機化合物の一末端官能基を介して、生体物質と相互作用可能なプローブ物質にラベルする「プローブ物質のラベル方法」を提供する。
なお、このラベル方法を用いれば、「プローブ物質−有機化合物−ペプチド」という構成からなるキメラ物質の好適な一実施例を作製又は製造することができる。
第四に、本発明では、上記したラベル用物質又はキメラ物質を、固相法に基づいて作製する「ラベル用物質の作製方法」を提供する。ラベル用物質を「固相法」に基づいて作製又は製造することによって、その合成のコントロールが容易となるなどの利点がある。
例えば、有機化合物の一方の末端官能基に保護基を導入した上で、他の遊離末端官能基を固相担体に固定し、その後、この有機化合物の保護基をはずして、ペプチドを結合し、続いて、この有機化合物を前記固相担体から解離させることによって、「有機化合物−ペプチド」という物質構成からなるラベル用物質を作製できる。
あるいは、ペプチドの所定の官能基に保護基を導入した上で、一末端官能基を固相に固定化し、その後、このペプチドのN末端又はC末端に有機化合物を結合して伸長し、次に、該ペプチドを前記固相から解離させることによって、「有機化合物−ペプチド」という物質構成からなるラベル用物質を作製できる。
さらに、このようにして作製されたラベル用物質中の有機化合物の遊離末端官能基に対して、低分子化合物などのプローブ物質を導入すれば、「プローブ物質−有機化合物−ペプチド」という物質構成からなるキメラ物質の一実施例を得ることができる。
第五に、本発明では、生体物質と相互作用可能なプローブ物質に結合可能な化学構造を有する有機化合物と、該有機化合物に結合し、かつ抗体が特異的に認識するペプチドと、からなるラベル物質を用いる「生体物質の捕捉方法」を提供する。
具体的には、(A)前記ラベル物質が結合された状態の前記プローブ物質と、該プローブ物質と相互作用した生体物質と、から構成される生体物質複合体を含む試料溶液を、前記固相表面領域へ導く手順、(B)固相表面に固定化された抗体と前記生体物質複合体を構成する前記ラベル用物質中のペプチドとの相互作用を進行させる手順、を少なくとも行う「生体物質の捕捉方法」を提供する。
本方法では、上記(A)手順によって、「生体物質−プローブ物質−ラベル用物質(有機化合物−ペプチド)」という物質構成からなる生体物質複合体を固相表面に導入し、続いて、(B)手順を経て、「生体物質−プローブ物質−ラベル用物質(有機化合物−ペプチド)−抗体−固相」という物質構成を形成する。これにより、固相表面に、ラベル用物質等を介して生体物質を捕捉することができる。
第六に、本発明では、生体物質と相互作用したプローブ物質に結合した有機化合物と、該有機化合物に結合し、かつ抗体を特異的に認識可能なペプチドと、からなるラベル物質を用いる「生体物質の解析又は/及び同定方法」を提供する。
具体的には、(a)前記ラベル物質中のペプチドと固相表面に固定化された抗体とを解離させる手順、(b)解離させた生体物質複合体を回収する手順、(c)前記生体物質複合体中の生体物質の解析又は/及び同定を行う手順、を少なくとも行う「生体物質の解析方法」を提供する。
本方法では、「生体物質−プローブ物質−ラベル用物質(有機化合物−ペプチド)−抗体−固相」という物質構成中の「ペプチド−抗体」間の結合が、可逆的に着脱可能であるという特徴を有しているので、当該結合を緩やかな条件で解離させることができる。
この解離によって、「生体物質−プローブ物質−ラベル用物質(有機化合物−ペプチド)」という構成の生体物質複合体を固相表面から溶出させて回収し、最終的には、標的の「生体物質」の構造解析を行い、当該物質の同定を行うことができる。
第七に、本発明では、「細胞内生体物質の回収方法」を提供する。
具体的には、(i)有機化合物と、該有機化合物に結合され、かつ抗体を特異的に認識可能なペプチドと、からなるラベル用物質を、前記有機化合物の一末端官能基を介して、プローブ物質にラベルする手順、(ii)ラベルされた状態のプローブ物質を細胞内に導入する手順、(iii)前記プローブ物質と細胞内生体物質との間の相互作用を細胞内で進行させる手順、(iv)前記相互作用により得られた生体物質複合体を細胞外に取り出す手順、以上の(i)〜(iv)の手順を少なくとも行う「細胞内生体物質の回収方法」を提供する。
この方法では、まず、プローブ物質に対して、「有機化合物−ペプチド」という構成の物質をラベル(標識)し、「プローブ物質−有機化合物−ペプチド」を得る。そして、これを所定の方法で、細胞内に導入し、該細胞内で「細胞内生体物質−有機化合物−ペプチド」という生体物質複合体を得て、これを細胞外に取り出し、これを回収する。なお、「細胞内生体物質」としては、例えば、タンパク質、ペプチド、核酸、糖、脂質、ホルモンなどを挙げることができる。
試料溶液中の生体物質複合体は、ラベル用物質のペプチドと抗体の特異的結合を利用して固相表面に捕捉した後に解離、溶出、回収する手順などを経て、最終的には、細胞内生体物質を解析、同定することができる。
ここで、本発明で使用する主たる技術用語の定義付けを行う。
本発明における「プローブ物質」は、相互作用の相手となる標的物質の探り針(検出子)となる物質であり、「ラベル用物質」は、このプローブ物質に化学的に標識される物質を意味する。
「キメラ物質」は、例えば、「低分子化合物」と「ペプチド」、「核酸」と「ペプチド」、「糖」と「ペプチド」、「脂質」と「ペプチド」などのような異種物質を組み合わせた複合体を意味し、「タンパク質」と「エピトープ・タグペプチド」とから構成されるような、同種物質間の融合体とは明らかに区別される。
「相互作用」は、物質間の非共有結合、共有結合、水素結合を含む化学的結合あるいは解離を広く意味し、例えば、核酸(ヌクレオチド鎖)間の相補結合であるハイブリダイゼーション、高分子−高分子、高分子−低分子、低分子−低分子の特異的な結合又は会合を広く含む。
「エピトープ・タグペプチド」とは、抗体のエピトープ(抗原決定基)部分が特異的に認識する10アミノ酸前後のオリゴペプチドである。現在、FLAGペプチド(Sigma社)を含む数種類程度が市販されている。
本発明に係るラベル用物質やキメラ物質を用いた方法は、固相表面に対して可逆的に着脱できるので、非常に緩やかな条件で固相表面から解離、溶出させることができる。従って、このラベル用物質に結合されたプローブ物質、あるいはキメラ物質を構成するプローブ物質にトラップされている標的生体物質の捕捉及び回収を容易かつ自在に行うことができる。
また、解析に用いられる試料中への非特異的に固相表面に吸着した物質の混在が極めて少ないことから、前記標的生体物質の構造解析、同定の障害が非常に少なく、迅速に構造解析し、さらには同定することができ、また、この同定結果の信頼性も非常に高い。
ラベル用物質を構成する有機化合物、あるいはキメラ物質を構成し得る有機化合物の親媒性の選択又は調整を行うことが可能であるため、同ラベル用物質のアッセイ過程での取り扱い性や細胞への取り込み動態を調整することができる。
ラベル用物質やキメラ物質を固相法で作製又は製造することによって、合成のコントロールが自由にできる。例えば、ペプチドに結合される有機化合物の親媒性の調整、同有機化合物の構造の選択又は調整、ペプチドや有機化合物の分子長の設計などを、目的に応じて、自由に行うことができる。
本発明に係るラベル用物質及びキメラ物質の概念及び形態を示す模式図である図1に基づいて説明する。
図1における符号Lは、本発明に係る「ラベル用物質」を、符号Hは、本発明に係る「キメラ物質」の一実施例(有機化合物を介して、プローブ物質とペプチドとが複合した構成の実施例)を、それぞれ示している。なお、とくに図示はしないが、プローブ物質とペプチドが直接結合した構成のキメラ物質も採用可能であり、このような物質も本発明の範囲である。
まず、ラベル用物質Lは、符号Sで示された有機化合物と、この有機化合物Sの一末端部Sに結合しているペプチドTと、から構成されている。
ここで、ラベル用物質Lの必須の構成員である有機化合物Sは、生体物質と相互作用可能なプローブ物質Pに対して結合できる化学構造を有するものであればよく、狭く限定されない。
有機化合物Sとしては、例えば、少なくとも一末端Sにカルボキシル基を有する脂溶性又は水溶性の有機化合物を挙げることができる。この場合、有機化合物Sは、カルボキシル基を介して、前記ペプチドTとアミド結合することができる。
有機化合物Sの親媒性を選択したり、あるいはその程度を調整したりすることによって、ラベル用物質Lの細胞内への取り込み動態を調節できたり、アッセイ系での取り扱い性などを調節できたりするという利点がある。
この有機化合物Sをスペーサとして機能させる場合には、特に、直鎖状に伸長する構造を有するものが好適であり、その分子長は、目的や必要に応じて設計すればよい。
なお、本発明に係るラベル用物質Lに特に好適と考えられる有機化合物Sは、次のような化学構造(化学式1参照)を有する水溶性の有機化合物である。この有機化合物は、ポリエーテル鎖を有し、両末端にカルボン酸を備える。

次の有機化合物Sの候補は、上記同様にポリエーテル鎖を有し、一方の末端にアミノ基を備えるものである(化学式2参照)。

また、有機化合物Sとして、次のような化学構造(化学式3参照)を有する脂溶性の有機化合物も採用可能である。この有機化合物Sは、アルキル鎖を有し、両末端にカルボン酸を備える。このような有機化合物Sは、脂溶性であるので生体膜との親和性が高く、膜を透過し易い。

次の有機化合物Sの候補は、上記同様にアルキル鎖を有する脂溶性の有機化合物であり、一方の末端にアミノ基を備えるものである(化学式4参照)。

次に、ラベル用物質Lやキメラ物質Hの必須の構成員であるペプチドTは、抗体が特異的に認識するペプチドであれば採用可能である。有機化合物S、あるいはプローブ物質Pに対するペプチドTの結合末端は、C末端とN末端のいずれでもよく、特に限定されない。
このペプチドTは、抗体結合性のタグ(Tag)として機能させることができる。例えば、エピトープ・ペプチドタグの一種であるフラッグ(Flag)ペプチド(アミノ酸配列:Asp−Tyr−Lys−Asp−Asp−Asp−Asp−Lys)などを、目的に応じて、採用することができる。
場合によっては、抗体が認識できる程度の範囲で、このペプチドTを一アミノ酸残基(例えば、リジン残基)又は数アミノ酸残基だけ伸長させた後、これを有機化合物Sに結合してもよい。
次に、図2は、固相表面上に固定された抗体が、ペプチドTを特異的に認識している状態を模式的に示す図である。
まず、図2中の符号Fは、固相表面を示している。この固相表面Fは、平板状の基板表面やビーズ表面などの一部分を表している。この固相表面Fは、例えば、符号Aで示された抗体に、固定化可能な表面処理を予め行っておく。なお、本発明において、この固相表面F自体は、狭く限定されず、抗体Aを確実に固定化できる表面構成、あるいは材料が採用されていればよい。
抗体Aは、ペプチドTを特異的に認識可能な抗ペプチドT抗体である。図2には、抗体Aがラベル用物質L中のペプチドTを認識している様子が示されている。
より具体的には、この図2には、スペーサの役割を果たす有機化合物Sの一末端に結合されたプローブ物質Pと、固相表面F領域に送液、添加、注入等されてきた試料溶液R中に含まれている標的の生体物質Bと、が相互作用した結果、生体物質Bが固相表面Fに捕捉されている様子が示されている。
なお、生体物質Bがプローブ物質Pと相互作用を示したか否かは、表面プラズモン共鳴原理や水晶発振子原理などの公知の検出原理を用いて検出することができる。
プローブ物質Pは、低分子化合物を代表例として挙げることができるが、更には、ペプチド又はタンパク質以外の核酸、脂質、糖、低分子のホルモン(ペプチドホルモン除く。)、内分泌攪乱物質、毒性物質、神経伝達物質なども挙げることができる。
なお、このプローブ物質Pが「医薬候補物質」である場合では、このプローブ物質Pと相互作用する相手方の生体物質Bを同定できれば、このプローブ物質P自体が、当該生体物質Bが係わる疾病をターゲットとする医薬となり得る。
次に、上記した「ラベル用物質Lを作製する方法」の好適な実施例について、図3から図5を参照しながら、説明する。
なお、以下では、有機化合物Sの代表例として、上記化学式2に示された物質を採用し、ペプチドTとして、Flagペプチドを用いた場合を代表例として説明するが、本発明は、これに限定されるわけではない。
ラベル用物質Lは、好適には、いわゆる「固相法」に基づいて作製又は製造することができる。図3等に符号Xで示された固相担体(Solid-support)としては、例えば、ランタン(Mimotopes社製)を使用することができる。その他、ポリスチレンなどの固相担体を利用できる。ラベル用物質を「固相法」に基づいて作製又は製造すると、その合成のコントロールが容易となる。
この固相担体X上で、Flagペプチド(符号T)を伸長させるために使用するリンカー(Linker)Y(図3参照)としては、酸性条件で前記FlagペプチドTを固相担体Xから切断することができ、切断されたペプチド末端がカルボン酸となるようなものを使用することができる。
リンカーYとして、例えば、トリチルリンカーを使用することができる。その他、クロロトリチルリンカーやアルコキシベンジルリンカー、ベンジルリンカーなどが使用可能である。
ペプチドTの伸長反応は、例えば、公知のFmoc法を利用することができる。即ち、保護基Fmocで保護されたアミノ酸(アミノ酸側鎖は、t-butyl基で保護されたもの)を固相担体Xにカップリングする。
このカップリングは、ジイソピルカルボジイミド(diisopropylcarbodiimide、以下DIC)等を縮合剤として用いて、1-ヒドロキシベンゾトリアゾール(1-hydroxybenzotriazole、以下HOBt)存在下、DMF中室温で数時間から48時間反応させる。次いで、DMF、ジクロロメタン(dichloromethane)で洗浄する。
ペプチドTの伸長は、保護基Fmocを20%ピペリジン(pyperidine)のDMF溶液で室温、30分間放置し脱保護した後、洗浄後、以上の操作を繰り返し行うことにより進行させることができる。
ペプチドTが、例えば、Flagペプチドのみで構成する場合は、そのアミノ酸配列は、Asp−Tyr−Lys−Asp−Asp−Asp−Asp−Lysであるが、さらに、このペプチドTを伸長させたい場合は、アミノ酸残基を付加する。
アミノ酸残基の付加には、限界はあるが、少なくとも抗体A(図2等参照)が認識できる程度のペプチドなら採用可能である。
なお、図3に示された実施例では、Flagペプチド(符号T)の末端に、リジン残基(Lys)が一つ付加導入された構成が開示されている。なお、付加されたリジン残基(Lys)を、理解のため、図3中に矢印で示した。
次に、スペーサとして機能させる「有機化合物Sの導入方法」の説明に移る。例えば、図4に示すように、少なくとも一方の末端がカルボン酸であるようなポリエーテル鎖(例えば、n=5のもの)を、ペプチドTとして利用するFlagペプチドの末端アミノ基へ導入する。
この導入方法は、図4に示されているように、DIC等を縮合剤として用いて行うことが可能である。なお、有機化合物Sとしては、図4で示された水溶性物質(化学式2の物質)の他に、同じ水溶性の化学式1の物質、あるいは上記した化学式3や化学式4のような脂溶性物質(アルキル鎖のもの)も採用可能である。
また、得られるラベル用物質Lを両親媒性とするために、Flagペプチドの末端リジン残基のアミノ基上に、アルキル鎖を導入するのが効果的であると思われる。例えば、図5に示されたような化学構造のラベル用物質Lは、両親媒性を示すので好適である。
続いて、プローブ物質Pに対して、「ラベル用物質Lをラベルする方法」、即ち、「キメラ物質Hの一実施例(有機化合物Sを介在させた例、図1等参照)の作製方法」に係わる好適な実施例を三例、図6〜8を参照して、順番に説明する。なお、以下の実施例では、プローブ物質Pが低分子化合物である場合を代表例として説明する。
まず、図6に示す最初の例は、プローブ物質Pとして、制癌剤に応用されるレチノイドレセプターアゴニストを用いている。図6には、符号Pで示されたレチノイドレセプターアゴニストが、ラベル用物質Lの末端アミノ基にアミド結合される際の反応が示されている。
この化合物Pの末端カルボキシル基と、ラベル用物質Lの末端アミノ基を、N,N-ジメチルホルムアミド(N,N-dimethyl formaide、DMF)、またはDMF-ジクロロメタン(dichloromethane)9:1中、DIC及びHOBtで、室温、24〜48時間反応させ、前記アミド結合を形成させる。
次いで、固相担体X(トリチルリンカーを用いた場合)からの切断とFlagペプチド部分中のリジン残基の脱保護は、1%TFA/ジクロロメタン(dichloromethane)を用いて行う。Flagペプチド部分の全てのアミノ酸の脱保護は、TFA/H2O=9:1の条件で行う。
次に、プローブ物質Pの他の例を2つ挙げる。一つ目の例が図7に示されている。この例では、スペーサである有機化合物Sの遊離末端がカルボキシル基であるものを用い、ジヒドロキシサクシイミド(N-hydroxysuccinimide)を介して、図7に符号Pで示されたような化学構造を有する低分子の医薬候補物質のアミノ基とのカップリングを行う(アミド結合の形成)。これは、DMF中、ジヒドロキシサクシイミドとDICで、室温で、24〜48時間反応させることにより行う。
図8に示す例は、アミノ基末端がブロモアセチル(bromoacetyl)化された低分子の医薬候補物質Pと、スペーサである有機化合物Sの一末端がシステイン(Cystein)化された構成のラベル用物質(符号Lc)とを、トリエチルアミン(trietylamine、EtN)−DMF中、室温で、24〜48時間処理することによりカップリングする方法である。
なお、前記ブロモアセチル化は、ジクロロメタン−ピリジン(dichloromethane−pyridine)中、塩化ブロモアセチル(bromoacetyl cloride)で処理することによって、容易に進行させることができる。
なお、化合物の水酸基を用いる場合は、活性型アジピン酸(adipic acid, HO2C(CH2)4CO2H)やピメリン酸(pimelic acid, HO2C(CH2)5CO2H)などを水酸基に結合し、かつアミノ基との反応性も持つような介在化合物を介して結合させるようにする。これらは全て、DIC等を用いた反応により、エステル結合、およびアミド結合の形成が可能である。
以下、上記したような方法で、プローブ物質Pと、ラベル用物質Lと、から構成されたキメラ物質Hを用いて、細胞内外に存在する生体物質Bを捕捉し、回収し、構造解析し、さらには同定する方法について説明する。なお、図9、図10は、当該方法に係わる工程を簡略に示すフロー図である。
<生体物質の捕捉方法>
図9には、本発明に係る「生体物質の捕捉方法」の工程フロー図が簡潔に示されている。まず、所定の固相表面Fに対して、ラベル物質L(キメラ物質H)中のペプチドTを特異的に認識する抗体Aが予め固定化されている(図9の(I)参照)。
次に、ラベル物質Lとプローブ物質Pとから構成された複合体(即ち、キメラ物質H)と、このキメラ物質H中のプローブ物質Pと相互作用した生体物質B(例えば、タンパク質)と、から構成される生体物質複合体Cを含む試料溶液Rを、前記固相表面F領域へ送液等して導く(図9の(II)参照)。
そして、固相表面Fに固定化されている抗体Aと、前記生体物質複合体Cを構成するペプチドTと、の相互作用を進行させる(図9の(III)参照)。以上の手順を行うことによって、生体物質Bを、プローブ物質P及びラベル用物質Lを介して、固相表面Fに捕捉することができる。
続いて、上記生体物質複合体C中のペプチドTと、固相表面Fに固定化された抗体Aと、を解離する(図10参照)。
この解離方法は、固相表面F領域にペプチドTそれ自体を過剰量添加することにより、抗体Aに認識されてトラップされていたラベル用物質LのペプチドTと置換し、生体物質Bを伴った複合体Cとして液相中に溶出させることができる(図10参照)。
なお、添付した図10には、過剰添加された遊離のペプチドTに置換されて、生体物質Bと、プローブ物質Pと、ラベル用物質Lと、から構成された前記複合体Cが、液相中に溶出し、遊離している様子が模式的に示されている。
次に、解離させた生体物質複合体Cを固相表面Fから回収して、生体物質複合体C中の生体物質Bの構造解析を行う。さらには、プローブ物質Pと特異的な相互作用を示した生体物質Bを同定するに至る。
<細胞内に存在する生体物質(細胞内生体物質)の回収方法>
まず、有機化合物Sと、該有機化合物Sに結合され、かつ抗体Aを特異的に認識可能なペプチドTと、からなるラベル用物質Lを、前記有機化合物Sの一末端官能基を介して、選択されたプローブ物質Pにラベルすることにより(既述した「ラベル用物質Lをラベルする方法」を参照)、有機化合物Sを介在させた構成からなるキメラ物質Hを作製する。
次に、このラベルによって得られるキメラ物質Hを細胞内に導入する。具体的には、前記キメラ物質Hを適当な緩衝液(150mM NaCl Tris 50mM pH7.4等)に溶解する。
図11は、符号Mで示す細胞内に、キメラ物質Hを導入する様子が模式的に示されている図であり、図11の(I)には、細胞M内に標的となる生体物質Bが存在している様子が示されている。
キメラ物質Hを直接溶解し難い場合は、ジメチルスルホキド(dimethyl sulfoxide、DMSO)に一旦溶解した後、前記の緩衝液などで希釈し、HEK293細胞(ヒト胚性腎由来培養細胞)などの培養細胞の培養液に添加する。
前記培養液に直接添加しても、キメラ物質Hが細胞M内に取り込まれない場合は、Polyfect Transfection Reagent(Qiagen製)等を用いて、キメラ物質Hを、細胞Mに導入し(トランスフェクション)、適切な時間(24−48時間後)培養する。
これにより、キメラ物質H中のプローブ物質Pと細胞M内の生体物質Bとの間の相互作用を細胞M内で進行させる。例えば、プローブ物質Pは細胞M内で、特定のタンパク質(生体物質B)と結合して、生体物質複合体Cを形成する(図11の(II)参照)。
次に、前記相互作用によって得られた生体物質複合体Cを細胞M外に取り出す作業を行う。
例えば、この生体物質複合体Cを、プローブ物質Pに結合されているラベル物質Lに含まれるペプチドTのアミノ酸配列を用いて、このアミノ酸配列に対する抗体Aを用いた公知の「免疫沈降法」によって、細胞M内から抽出することができる(図11の(III)参照)。
抽出方法の一例は、次の通りである。まず、ラベル用物質Lがラベルされたプローブ物質P、即ち、キメラ物質Hに該当する物質を導入した細胞Mを可溶化バッファー(例えば、20mM HEPES,pH7.5,150mM NaCl,50mM NaF,1mM Na3VO4,1mMPMSF,1%TritonX100)を用いて可溶化する。この可溶化バッファーを加えたのち細胞Mを掻き取り、遠心管に回収し、超遠心(55,000回転,4℃,20分)する。
続いて、固相表面Fに予め固定されている抗体Aと、前記生体物質結合体Cを構成する前記ラベル用物質L中のペプチドTと、の相互作用を進行させる(再び、図2参照)。
例えば、遠心後の細胞抽出液(上清)に、例えば、特定のアミノ酸配列を特異的に認識する抗体Aを固定化したアガロースビーズ(Sigma社)を加え、4℃で3時間撹拌することによって、前記相互作用を進行させることができる。
次に、前記生体物質複合体C中の細胞内生体物質Bを構造解析し、さらには、この細胞内生体物質Bを同定する。
例えば、前記撹拌後のビーズを遠心(1,000回転,4℃,1分)して集め可溶化バッファーで洗浄後,FLAGペプチド(符号T)を含むバッファーを加えてビーズに結合したプローブ物質Pを溶出させることにより(図10を参照)、このプローブ物質Pと相互作用した標的の細胞内生体物質B及びラベル用物質Lからなる複合体Cを回収し、このうちの生体物質Bの構造解析を行い、さらには、当該生体物質Bを同定することができる。
標的の細胞内生体物質Bがタンパク質である場合を例に説明すると、前記複合体Cの回収後は、相互作用の相手となった標的タンパク質を、公知のタンデム質量計(MS/MS)を用いる「質量タグ法」と称される公知の方法(羊土社「プロテオーム解析法」、磯辺俊明、高橋信弘編、P129〜P142)によって同定することができる。具体的な手順は以下の通りである。
まず、回収したサンプルを、遠心濃縮後、酵素反応用バッファー(100mM Tris,pH8.8)に溶解する。次に、特定のアミノ酸を認識し切断する酵素である「トリプシン」あるいは「リジルエンドペプチダーゼ」により消化分解する。
これにより、酵素基質比(重量比)が1/100から1/50になるようにリジルエンドペプチダーゼを加え37℃で12時間程度反応させ、消化物を得ることができる。そして、その消化物をタンデム質量計で測定し、分解された各ペプチドの質量値と内部アミノ酸配列情報を得ることができる。
酵素消化されたペプチド断片の質量値を用いて、データベース上から候補アミノ酸シークエンスを自動検索して選び出し、かつその配列が各アミノ酸でフラグメント化したときの質量値セットを計算する。
なお、前記データベースは、既に公開されているタンパク質データベースである「SwissProt」(インターネットアドレス:ftp.ebi.ac.uk/pub/databases/sp_tr_nrdb/fasta/sprot.fas.Z)と核酸データベースである「NCBI RefSeq」(インターネットアドレス:ftp.ncbi.nih.gov/refseq/H_sapiens/mRNA_Prot/hs.faa.gz)等を使用することができる。
<キメラ化合物の合成に関する実施例>
固相担体(Solid-support) としてトリチル基が置換したランタン (Mimotopes社製)を使用した。このランタン10本を、適当な大きさのバイアルに入れ、10mlの酢酸クロリド:ジクロロメタン(1:1)で12時間処理した。反応後、ジメチルフォルムアミド (以下「DMF」)で5分間、3回洗浄し、さらにジクロロメタンで5分間、3回洗浄した。
次に、Fmoc-Lys (N-Boc)-OH (Calbiochem社) 469 mg (0.1 M) をジクロロメタン (以下「DCM」)10 mlに溶解し、N,N-ジイソプロピルエチルアミン (N,N-diisopropylethylamine、以下「DIEA」)0.44 ml (0.25 M)存在下で12時間反応させた。反応後、上記DMFで5分間、3回洗浄し、さらにジクロロメタンで5分間、3回洗浄した。
アミノ酸残基のFmoc保護基を脱離させるため、20%ピペリジン(DMF溶液)10mlで30分間処理した。反応後、DMFで5分間、3回洗浄し、さらにジクロロメタンで5分間、3回洗浄した。その後、Fmoc-Asp (O-t-Bu)-OH (Calbiochem社) 411 mg (0.1 M) をDMF (10 ml)に溶解し、0.19 ml (0.12 M)ジイソピルカルボジイミド(diisopropylcarbodiimide、以下「DIC」)および162 mg (0.12 M)1-ヒドロキシベンゾトリアゾール(1-hydroxybenzotriazole、以下「HOBt」)を用いて12時間反応させることによってランタンに縮合した。同様の方法で、Fmoc-Asp (O-t-Bu)-OH残基を3回繰り返し縮合した。
次に、Fmoc-Lys (N-Boc)-OH (Calbiochem社) 469 mg (0.1 M) をDMF (10 ml) に溶解し、0.19ml(0.12 M)DIC及び162 mg (0.12 M)HOBtを用いて12時間反応させることによりランタンに縮合した。上記と同様にFmocを脱離し、洗浄後、Fmoc-Tyr(O-t-Bu)-OH(Calbiochem社) 460 mg (0.1 M) をDMF (10 ml)に溶解し、0.19 ml (0.12 M)DIC及び162 mg (0.12 M)HOBtを用いて12時間反応させることによりランタンに縮合した。
Flagペプチドの最終残基であるAsp(アスパラギン酸)を前記と同様の手法によりランタンに縮合し、各保護基が置換したFlagペプチドを調製した。得られたこのFLAGペプチドの構成を図12に示す。
次に、このFlagペプチドに、炭素鎖5のアルキル基 (Fmoc-NH-(CH2)4-COOH)、炭素鎖12のアルキル鎖(Fmoc-NH-(CH2)11-COOH)、および6個分のジエチルエーテルが縮合したポリエーテル鎖 (Fmoc-NH-CH2CH2-(O-CH2CH2)6-COOH) を縮合した。
炭素鎖5のアルキル基の縮合は、前記Flag化したランタン1本分を用いて、1 mlのDMF/DCM (9:1)溶液に縮合剤として52 mgのPyBoc (0.1 M) を用い、4 mgのFmoc-NH-(CH2)4-COOH、および34.8 mlのDIEA存在下、12時間反応を行った。同条件にて、43.8 mgのFmoc-NH-(CH2)11-COOHを用いて、炭素鎖12のアルキル鎖が縮合したFlagペプチドを、57.6 mgのFmoc-NH-CH2CH2-(O-CH2CH2)6-COOHを用いてポリエーテル鎖が縮合したFlagペプチドを調製した。
この各種スペーサが縮合したFlagペプチドを様々な薬剤等に縮合させキメラ化合物を調製する。一例として、JS-603A-1と命名した次の化学式5に示す「レチノイドレセプターアゴニスト」を縮合させたキメラ化合物を調製した。
前記のとおり調製したFlag-スペーサ化したランタン一巻き分を用いて、11.2mgのJS-603A-1を190 mlのDMFに溶解し、3 mgのHOBtと3.6μlのDICを用いてJS-603A-1を縮合させた。1%TFA(DCM溶液)を用いて固相担体から解離させ、次いで90%TFA水溶液を用いて各保護基を脱離させて、図13に示すような構造のキメラ化合物を調製することができた。
<キメラ化合物の有用性を示すための実施例>
(1)先ず、本発明に係るキメラ化合物が、従来のレチノイド受容体アゴニストとしての機能を維持しているかを検討した。
生物活性の検討は、血球系がん細胞HL-60細胞における分化促進作用を指標に行った。細胞は、RPMI1640培地 (10%FBS+抗生物質) を用いて培養し、薬剤は培地で希釈後、最終濃度が1%となるように添加し、CO2インキュベーター中、3〜10日間培養した。
その結果、添付した図面代用写真である図14に示すように、C5アルキル鎖をスペーサに有するキメラ化合物 (100μM、3日間)処理群で、細胞は球形の浮遊系細胞から扁平の付着系細胞に分化しているのが観察された(図14右写真参照)。この結果から、キメラ化合物は、本来のレチノイド受容体アゴニスト活性を維持していることが判明した。以上から、本発明に係るキメラ化合物は、Flagペプチド、および薬剤としての生物活性を同時に併せ持ったキメラ物質であることを検証できた。
(2)次に、本発明に係るキメラ化合物を用いて、標的タンパク質の同定が可能であるかを検討した。
HEK293細胞を1.0×105 cells/mlの濃度となるように調整し、10cmシャーレに10 ml播種し一晩培養した。培養した細胞を細胞溶解緩衝液で溶解し、回収後遠心分離により上清を得た。この得られた上清にFlagペプチドによりラベル化したキメラ化合物を6〜12nmol加え、1時間緩やかに撹拌した。次に、その上清を抗Flag抗体結合アガロースゲルと混ぜ合わせ、緩やかに1時間撹拌した。
遠心分離後、上清を吸引除去し、洗浄用緩衝液および溶出用緩衝液でゲルを洗浄する。遠心分離し、洗浄液を吸引除去後、0.5 mg/ml Flagペプチド溶液を用いて、Flagラベル化合物−タンパク質複合体をゲルから溶出させる。溶出液を別のエッペンチューブに移し、そこに1%デオキシコール酸、トリクロロ酢酸を加え、遠心分離、アセトン洗浄によりトリクロロ酢酸塩としたペレットを得る。得られたペレットに1×SDSサンプルバッファーで溶かした。得られたサンプルを10%アクリルアミドゲルで電気泳動(SDS-PAGE) 後、銀染色用キットを用いてタンパク質バンドを可視化し、得られたタンパク質の銀染色を行った。
本実験で用いたキメラ化合物は、アルキル鎖C5およびC12をスペーサに有する化合物である。標的タンパク質の同定結果を図15(図面代用写真)に示す。
この図15に示された結果からわかるように、Flagキメラ化合物を用いた場合、約60kDa付近にレチノイド受容体と思われる明瞭なバンドが確認できる(図15左写真参照)一方、従来のビオチンラベル化合物(比較例)を用いた場合、非特異的な吸着に由来すると考えられる多数のバンドが夾雑するため、バンドを特定することが出来なかった(図15右写真参照)。
キメラ化合物と結合した60kDaのバンドをゲルより切り出し、公知のタンデム質量計(MS/MS)を用いる「質量タグ法」と称される公知の方法(羊土社「プロテオーム解析法」、磯辺俊明、高橋信弘編、P129〜P142)によってレチノイド受容体であることを同定した。具体的な手順は以下の通りである。
まず、切り出したゲルに、酵素反応用バッファー(100mM Tris,pH8.8)を添加した。次に、特定のアミノ酸を認識し切断する酵素である「トリプシン」あるいは「リジルエンドペプチダーゼ」により消化分解した。なお、本実験では、リジルエンドペプチダーゼを用いた。酵素基質比(重量比)が1/100から1/50になるようにリジルエンドペプチダーゼを加え37℃で12時間反応させ、消化物を得た。そして、その消化物をタンデム質量計で測定し、分解された各ペプチドの質量値と内部アミノ酸配列情報を得た。酵素消化されたペプチド断片の質量値を用いて、データベース上から候補アミノ酸シークエンスを自動検索して選び出し、かつその配列が各アミノ酸でフラグメント化したときの質量値セットを計算した。
なお、前記データベースは、既に公開されているタンパク質データベースである「SwissProt」(インターネットアドレス:ftp.ebi.ac.uk/pub/databases/sp_tr_nrdb/fasta/sprot.fas.Z)と核酸データベースである「NCBI RefSeq」(インターネットアドレス:ftp.ncbi.nih.gov/refseq/H_sapiens/mRNA_Prot/hs.faa.gz)を使用した。
本発明は、プローブ物質と相互作用した物質を確実に捕捉、回収できるので、迅速かつ的確なターゲット生体物質を特定に利用できる。例えば、医薬候補化合物と相互作用する物質の同定を確実に行うことができ、毒性物質や内分泌攪乱物質を標的とする場合は、当該物質と相互作用する物質を同定できるので、毒性等の原因物質や機作を突き止めることができる。
本発明に係るラベル用物質(L)及びキメラ物質(H)の一実施例の概念及び物質構成を示す模式図である。 固相表面(F)上に固定化された抗体(A)が、ラベル用物質(L)中のペプチド(T)を特異的に認識している状態を模式的に示す図である。 固相担体(X)にリンカー(Y)を介して結合したFlagペプチドの末端に、リジン残基(Lys)が一つ付加導入された構成を示す図である。 固相担体(X)に結合したFlagペプチド(T)に有機化合物(S)を導入する一実施例を示す図である。 両親媒性のラベル用物質(L)の化学構造の一例を示す図である。 プローブ物質(P)にラベル用物質(L)をラベルする方法(キメラ物質Hの作製方法)に関する好適な実施例を示す図である。 同方法の他の好適な実施例を示す図である。 同方法のさらに他の好適な実施例を示す図である。 本発明に係る「生体物質の捕捉方法」の工程フローを簡潔に示す図である。 過剰添加されたペプチド(T)に置換され、生体物質複合体(C)が液相中に溶出し、遊離している様子が模式的に示された図である。 細胞(M)内に、ラベル用物質(L)とプローブ物質(P)の複合体を導入したり、細胞(M)から取り出したりする様子が模式的に示された図である。 実施例1に係わる実験によって得られたFlagペプチドの構成(構造)示す図である。 実施例1に係わる実験によって得られたキメラ化合物の構成(構造)を示す図である。 実施例2に係わる実験結果を示す図面代用写真(C5アルキル鎖をスペーサに有するキメラ化合物処理群で、細胞は球形の浮遊系細胞から扁平の付着系細胞に分化していることを示す図面代用写真)である。右写真は実施例に係わる写真、左写真はコントロール群の写真である。 実施例2に係わる実験結果を示すもう一つの図面代用写真(標的タンパク質の同定結果を示す図面代用写真)である。左写真は実施例に係わる写真、右写真は比較例に係わる写真である。
符号の説明
A 抗体
B 生体物質/細胞内生体物質
F 固相表面
H キメラ物質(ペプチドとプローブ物質の異種物質複合体)
L,Lc ラベル用物質
M 細胞
P(P,P,P)プローブ物質
S 有機化合物
T ペプチド(例、エピトープ・タグペプチド)
X 固相担体

Claims (17)

  1. 次の(1)、(2)の物質から構成されるラベル用物質。
    (1)生体物質と相互作用可能なペプチド又はタンパク質以外のプローブ物質に対して結合可能な化学構造を有し、かつスペーサとして機能し、少なくとも一末端にカルボキシル基を有する脂溶性又は水溶性の有機化合物であって、該カルボキシル基を介してペプチドと結合する構成である、下記の化学式1、2、3又は4に示す有機化合物。
    (2)前記該有機化合物に結合され、かつ抗体が特異的に認識するエピトープ・タグとして機能するアミノ酸配列からなるペプチド。
  2. 前記プローブ物質は、低分子化合物、核酸、脂質、糖、低分子のホルモン、毒性物質、内分泌撹乱物質、神経伝達物質から採用される、ペプチド又はタンパク質以外の物質であることを特徴とする請求項1記載のラベル用物質。
  3. 前記プローブ物質が、レチノイドレセプターアゴニストであることを特徴とする請求項1記載のラベル用物質。
  4. 請求項1〜3の何れか1項記載のラベル用物質を、固相法に基づいて作製することを特徴とするラベル用物質の作製方法。
  5. 請求項1〜3の何れ1項記載のラベル用物質を、前記有機化合物の一末端官能基を介して、生体物質と相互作用可能なペプチド又はタンパク質以外のプローブ物質にラベルすることを特徴とするプローブ物質のラベル方法。
  6. (1)生体物質と相互作用可能なペプチド又はタンパク質以外のプローブ物質と、
    (2)前記プローブ物質に対して結合可能な化学構造を有し、かつスペーサとして機能し、少なくとも一末端にカルボキシル基を有する脂溶性又は水溶性の有機化合物であって、該カルボキシル基を介してペプチドと結合する構成である、下記の化学式1、2、3又は4に示す有機化合物と、
    (3)前記有機化合物に結合され、かつ抗体が特異的に認識する前記エピトープ・タグペプチドと、から構成されるキメラ物質。
  7. 前記プローブ物質が、請求項2又は3記載のペプチド又はタンパク質以外の物質である請求項6記載のキメラ物質。
  8. 請求項6又は7記載のキメラ物質を、固相法に基づいて作製することを特徴とするキメラ物質の作製方法。
  9. (1)生体物質と相互作用可能なペプチド又はタンパク質以外のプローブ物質に結合可能な化学構造を有し、かつスペーサとして機能し、少なくとも一末端にカルボキシル基を有する脂溶性又は水溶性の有機化合物であって、該カルボキシル基を介してペプチドと結合する構成である、下記の化学式1、2、3又は4に示す有機化合物と、
    (2)前記有機化合物に結合し、かつ抗体が特異的に認識するエピトープ・タグとして機能するアミノ酸配列からなるペプチドと、からなるラベル物質を用いる方法であって、
    次の(A)、(B)の手順を少なくとも行うことを特徴とする生体物質の捕捉方法。
    (A)前記ラベル物質が結合された状態の前記プローブ物質と、該プローブ物質と相互作用した生体物質と、から構成される生体物質複合体を含む試料溶液を、抗体が固定化されている固相表面領域へ導く手順。
    (B)固相表面に固定化された抗体と前記生体物質複合体を構成する前記ラベル用物質中のペプチドとの相互作用を進行させる手順。
  10. 前記プローブ物質が、請求項2又は3記載のペプチド又はタンパク質以外の物質である請求項9記載の生体物質の捕捉方法。
  11. 次の(a)〜(c)の手順を少なくとも行うことを特徴とする生体物質の構造解析又は/及び同定方法。
    (a)(1)生体物質と相互作用可能なペプチド又はタンパク質以外のプローブ物質と、
    (2)前記プローブ物質に対して結合可能な化学構造を有し、かつスペーサとして機能し、少なくとも一末端にカルボキシル基を有する脂溶性又は水溶性の有機化合物であって、該カルボキシル基を介してペプチドと結合する構成である、下記の化学式1、2、3又は4に示す有機化合物と、
    (3)前記有機化合物に結合され、かつ抗体が特異的に認識するエピトープ・タグとして機能するアミノ酸配列からなるペプチドと、
    から構成されるキメラ物質中のペプチドと固相表面に固定化された抗体とを解離させる手順。
    (b)解離させた生体物質複合体を回収する手順。
    (c)前記生体物質複合体中の生体物質の構造解析又は/及び同定を行う手順。
  12. 前記プローブ物質が、請求項2又は3記載のペプチド又はタンパク質以外の物質である請求項11記載の生体物質の捕捉方法。
  13. 次の(i)〜(iv)の手順を少なくとも行うことを特徴とする細胞内生体物質の回収方法。
    (i)(1)生体物質と相互作用可能なペプチド又はタンパク質以外のプローブ物質に対して結合可能な化学構造を有し、かつスペーサとして機能し、少なくとも一末端にカルボキシル基を有する脂溶性又は水溶性の有機化合物であって、該カルボキシル基を介してペプチドと結合する構成である、下記の化学式1、2、3又は4に示す有機化合物と、
    (2)前記有機化合物に結合され、かつ抗体を特異的に認識可能なエピトープ・タグとして機能するアミノ酸配列からなるペプチドと、
    からなるラベル用物質を、前記有機化合物の一末端官能基を介して、前記プローブ物質にラベルする手順。
    (ii)ラベルされた状態の前記プローブ物質を細胞内に導入する手順。
    (iii)前記プローブ物質と細胞内生体物質との間の相互作用を細胞内で進行させる手順。
    (iv)前記相互作用により得られた生体物質複合体を細胞外に取り出す手順。
  14. 前記プローブ物質が、請求項2又は3記載のペプチド又はタンパク質以外の物質である請求項13記載の細胞内生体物質の回収方法。
  15. 前記細胞内生体物質は、タンパク質、ペプチド、核酸、糖、脂質、ホルモンのいずれかであることを特徴とする請求項13記載の細胞内生体物質の回収方法。
  16. 請求項13〜15の何れか1項記載の方法によって回収された細胞内生体物質を、少なくとも請求項9又は10に記載された方法を用いて捕捉する方法。
  17. 請求項13〜15の何れか1項記載の方法によって回収された細胞内生体物質を、少なくとも請求項11又は12項に記載された方法を用いて構造解析又は/及び同定する方法。
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