JP2002348691A - マグネシウム合金板の表面粗度低減方法 - Google Patents

マグネシウム合金板の表面粗度低減方法

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JP2002348691A
JP2002348691A JP2001151897A JP2001151897A JP2002348691A JP 2002348691 A JP2002348691 A JP 2002348691A JP 2001151897 A JP2001151897 A JP 2001151897A JP 2001151897 A JP2001151897 A JP 2001151897A JP 2002348691 A JP2002348691 A JP 2002348691A
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Shigeru Kitani
滋 木谷
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 マグネシウム合金板の表面に認められる凹凸
や疵を安全かつ効率的に除去して平滑で疵の無い表面肌
とする手段を提供する。 【解決手段】 例えば図1に示すように、マグネシウム
合金板1に“硫酸水溶液等の酸洗液3による酸洗と回転
ブラシ4等による機械的表面研削とを併用した処理”を
施す。なお、“酸洗と機械的表面研削とを併用した処
理”が“酸洗に続いて機械的表面研削を行ってから引き
続いて更に酸洗を実施する処理”であっても良い。機械
的表面研削は、マグネシウム合金板表面を研磨具と摺接
させる手法等によってなされても良い。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、マグネシウム合
金板の表面粗度を低減して平滑な表面肌とする方法に関
するものである。
【0002】
【従来の技術】マグネシウム合金は実用金属材料の中で
最も軽量(密度約 1.8)であって比強度が高く、リサイ
クルが比較的容易であるため、近年、自動車や電機機器
などの部品用としての需要が急速に拡大している。
【0003】なお、これらの部品は、鍛造,ダイカス
ト,チクソモ−ルディング,粉末冶金などの手法によ
り、機械加工(切削加工等)を経ないで、直接、最終製
品に近い形に製造されることが多い。例えば、特開平1
1−77214号公報には、マグネシウム合金の鍛造材
又は伸展材を不活性ガス雰囲気中で加熱した後特定の鍛
造速度でプレスして肉厚が2mm以下のマグネシウム合金
製鍛造薄肉部品とする手段が開示されている。しかし、
マグネシウム合金の用途が拡大するにつれて板材の需要
も増大しており、品質の良好なマグネシウム合金板材の
量産技術が注目されるようになってきた。
【0004】マグネシウム合金板を大量生産するには圧
延による方法が最も有力であるが、殆どのマグネシウム
合金は稠密六方晶の結晶構造を有するため、常温での塑
性加工性が悪く、圧下率で約10〜15%程度の圧延し
か行うことができない。そのため、マグネシウム合金の
圧延は、厚板から薄板に至るまで主として熱間圧延又は
温間圧延による必要があった。勿論、最終圧延として、
一部、冷間圧延による調質(機械的性質などの調整)工
程が付加されることもある。
【0005】ところで、マグネシウム合金を圧延する際
の問題点の一つとして“圧延ロ−ルへの材料の付着現
象”が挙げられる。即ち、マグネシウム合金の圧延で
は、被圧延材であるマグネシウム合金が圧延ロ−ルの表
面に付着・蓄積するためにロ−ル表面の凹凸が大きくな
りがちで、これが圧延板表面に転写され凹凸や疵の多い
表面肌になってしまう。これを防ぐために、加熱したソ
リュブルオイル(水溶液に油を懸濁させたタイプの油
剤)等の潤滑剤が用いられることがあるが、付着防止性
能や耐久性あるいは安全性の面で十分とは言えず、例え
ば中心線平均粗さRaが0.70μmを下回るほどの平滑な
表面肌を得るのは困難であった。
【0006】なお、特開平7−113096号には、マ
グネシウムと水との反応による水素の発生を抑えて爆発
の危険性を低くした“マグネシウム合金用水溶性加工油
剤”として「スルホン酸塩,非イオン系界面活性剤及び
脂肪酸塩を含む油剤」が開示されているが、圧延ロ−ル
へのマグネシウム合金の付着防止性能については不明で
ある。
【0007】もっとも、前述のような凹凸や疵の多い表
面肌を平滑で疵の無い表面肌にするには“研磨ベルトな
どを用いて機械的に研磨する方法”の適用が考えられる
が、マグネシウムは非常に活性な金属であるために、研
磨によって生じた研磨屑が発火するという事故がしばし
ば起き社会的にも問題となっている。
【0008】また、機械的研磨の場合には、研磨効率を
高めるために粒度の粗い研磨ベルトを使用すると表面粗
さの小さい表面は得られず、表面粗さの小さい表面を得
るために粒度の細かい研磨ベルトを使用すると研磨効率
が悪くなるというジレンマがある。そのため、まず研磨
効率を高めるために粒度の粗い研磨ベルトで研磨し、そ
の後に粒度の細かい研磨ベルトで表面粗さの小さい表面
に仕上げる方法を採用せざるを得ず、手間と作業コスト
の少なからぬ上昇を余儀なくされた。更に、前述したよ
うにマグネシウム合金は発火しやすい金属であり、その
ため研磨に際して研磨面の発熱を少なくする必要がある
ので研磨速度を極力低く抑えなければならないことか
ら、研磨のための所要時間が長くかかるという問題もあ
った。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】このようなことから、
本発明が目的としたのは、圧延等により製造されたマグ
ネシウム合金板の表面に認められる凹凸や疵を安全かつ
効率的に除去して平滑で疵の無い表面肌とする手段を提
供することである。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明者等は、上記目的
を達成すべく、まずマグネシウム合金板表面の凹凸や疵
を酸洗によって除去する方法を検討した。しかし、酸洗
液や酸洗温度等の酸洗条件に種々工夫を凝らしてみたも
のの、結局は酸洗のみでは外観的に十分満足できる平滑
な表面(中心線平均粗さRaが0.70μm以下の表面粗
度)を有したマグネシウム合金板は得られないとの結論
に達した。
【0011】そして、酸洗処理によっては満足できる平
滑な表面状態を達成できない原因につき鋭意調査したと
ころ、熱間圧延等で製造したマグネシウム合金板表面に
は鉄などを主成分とする種々の異物が押し込まれている
ことが多く、酸洗時にこれらの異物とマグネシウム合金
地金との間で局部電池が形成されるので、これにより地
金の局部的な溶解が促進される現象の起きることがその
一因として挙げられることが分かった。また、マグネシ
ウム合金では熱間圧延等によって酸に溶けにくい表面酸
化皮膜が生成されがちであるが、そのような酸化皮膜で
あっても亀裂や疵は防ぎようがなく、そのため酸洗によ
って亀裂や疵がある部分の地金が優先的に深く溶解する
結果となることも平滑な表面状態を達成できない一因と
なっていることが判明した。
【0012】そこで、本発明者等は、マグネシウム合金
板表面の酸洗による平滑化を阻害する前記現象の回避策
として「酸洗中にマグネシウム合金板表面をブラッシン
グ等の手段で機械的に研削する手法」を試みたところ、
この方法によって凹凸が小さくて疵の無い平滑な表面肌
が短時間に得られることを確認するに至った。また、あ
る程度の酸洗を行った後に当該マグネシウム合金板表面
を機械的に研削し、その後で更に酸洗する方法によって
も、凹凸が小さくて疵の無い平滑な表面肌を短時間に得
られることが分かった。そして、これら一連の作業は、
切り板状のマグネシウム合金板に対して高効率で実施で
きるが、帯板状のマグネシウム合金板に適用することに
よりその作業効率が一段と向上することから、平滑な表
面肌を持つマグネシウム合金板の大量生産に大きく資す
るものであると結論された。
【0013】本発明は、上記知見事項等に基づいてなさ
れたものであり、次の乃至項に示すマグネシウム合
金板の表面粗度低減方法を提供するものである。 マグネシウム合金板に“酸洗と機械的表面研削とを
併用した処理”を施すことを特徴とする、マグネシウム
合金板の表面粗度低減方法。 “酸洗と機械的表面研削とを併用した処理”が“酸
洗中に機械的表面研削を実施する処理”である、上記
項記載のマグネシウム合金板の表面粗度低減方法。 “酸洗と機械的表面研削とを併用した処理”が“酸
洗に続いて機械的表面研削を行ってから引き続いて更に
酸洗を実施する処理”である、前記項記載のマグネシ
ウム合金板の表面粗度低減方法。 機械的表面研削がブラッシングによって実施され
る、前記乃至項の何れかに記載のマグネシウム合金
板の表面粗度低減方法。 機械的表面研削が研磨具との摺接によって実施され
る、前記乃至項の何れかに記載のマグネシウム合金
板の表面粗度低減方法。 酸洗が硫酸を主成分とした酸洗水溶液によって行わ
れる、前記乃至項の何れかに記載のマグネシウム合
金板の表面粗度低減方法。 マグネシウム合金板の表面粗度を中心線平均粗さR
aが0.70μm以下の粗度にまで低減することを特徴とす
る、前記乃至項の何れかに記載のマグネシウム合金
板の表面粗度低減方法。
【0014】
【発明の実施の形態】本発明が対象とするマグネシウム
合金には格別な制限はなく、公知のMg−Mn系合金,Mg−
Al系合金,Mg−Zn系合金,Mg−Zr系合金,Mg−Li系合
金,Mg−希土類元素系合金等の何れであっても差し支え
はない。また、本発明が対象とするマグネシウム合金板
の形態(切板,帯板等の形態)や大きさにも特に制限は
ないが、処理効率からすれば例えば工業生産される厚さ
1〜5mm,幅300〜1000mm,長さ30〜300m
程度の帯板への適用が好適であると言える。
【0015】また、酸洗液についても公知の種々のもの
を適用できるが、価格,安全性,作業環境の面からする
と硫酸を主成分とした酸洗水溶液、即ち“硫酸水溶液”
あるいは“硫酸水溶液にふっ化水素酸等の添加剤を添加
した公知の酸洗液”を用いるのが好ましい。酸洗液の濃
度や温度も、マグネシウム合金板表面の凹凸や疵の程
度、あるいは所望する研削量に応じて調節されるが、硫
酸水溶液を酸洗液とする場合には硫酸濃度は1〜5質量
%,温度は20〜50℃程度が適当である。
【0016】機械的表面研削の手法にも格別な制限はな
く、回転ブラシによる表面研削、研磨具とマグネシウム
合金板表面との摺接による表面研削、あるいは研磨ベル
トによる表面研削等を適用することができる。
【0017】“回転ブラシによる表面研削”では、ブラ
シの材質としてナイロン(ポリアミド系合成樹脂)等の
合成樹脂にアルミナや炭化珪素等の研磨材粒子を分散さ
せたものを使用するのが適当であり、マグネシウム合金
板表面の凹凸や疵の程度並びに所望する研削量に応じて
合成樹脂中に分散させる研磨材の量を調節するのが良
い。また、回転ブラシの数,回転速度あるいはマグネシ
ウム合金帯板への押し付け圧力等も、マグネシウム合金
板表面の凹凸や疵の程度及び所望する研削量に応じて調
節すれば良い。
【0018】“研磨具との摺接による表面研削”におい
て適用される研磨具としては、セラミックス製の砥石,
アルミナ等の研磨材を接着又は分散させたスポンジ状又
は固形の樹脂、あるいはアルミナ等の研磨材粒子を分散
させた樹脂製線材を束ねたブラシ等が挙げられる。研磨
具の数や押し付け圧力等も、マグネシウム合金板表面の
凹凸や疵の程度及び所望する研削量に応じて調節する必
要がある。
【0019】本発明で言う「酸洗と機械的表面研削とを
併用した処理」とは、図1あるいは図2で示すように
“酸洗中に機械的表面研削を実施する処理”や、図3あ
るいは図4で示すように“酸洗に続いて機械的表面研削
を行ってから引き続いて更に酸洗を実施する処理”、あ
るいはこれらを組み合わせた処理を意味する。
【0020】即ち、図1は「酸洗中に回転ブラシによっ
て機械的表面研削を実施する処理」の例を模式的に説明
したものであり、処理対象のマグネシウム合金帯板1を
酸洗槽2に収容した酸洗液3の中へ連続的に浸漬すると
共に、回転ブラシ4によってその表面を研削している状
態を示している。また、図2は、「酸洗中に研磨具との
摺接による機械的表面研削を実施する処理」の例を模式
的に説明したものであり、処理対象のマグネシウム合金
帯板1を酸洗槽2に収容した酸洗液3の中へ連続的に浸
漬すると共に、当該帯板の表面に“支持枠5に取り付け
た研磨具6”を接触させて押し付けることにより帯板表
面が研磨具と摺動する状態となし、これによってマグネ
シウム合金帯板の表面を研削している状態を示してい
る。以上の2例では、研削により生じたマグネシウム合
金屑は速やかに酸洗液に溶解するので、回転ブラシに研
削屑が蓄積したり、研磨具が目詰まりするのが防止され
る。
【0021】一方、図3は「酸洗に続いて回転ブラシに
よる機械的表面研削を行ってから引き続いて更に酸洗を
実施する処理」の例を模式的に説明したものであり、処
理対象のマグネシウム合金帯板1を酸洗槽2に収容した
酸洗液3の中へ連続的に浸漬して酸洗してから酸洗槽2
から引き上げ、引き続いて回転ブラシ7によってその表
面を連続的に研削し、これに再度の連続的な酸洗を行っ
ている状態を示している。この場合のブラシの材質とし
ては、先に説明した“研磨材粒子を分散させた合成樹
脂”のほか、硬質の耐食性金属、例えばタングステンや
高炭素ニッケル基合金も好適なものとして挙げられる。
【0022】そして、図4は、「酸洗に続いて研削ベル
トによる機械的表面研削を行ってから引き続いて更に酸
洗を実施する処理」の例を模式的に説明したものであ
り、処理対象のマグネシウム合金帯板1を酸洗槽2に収
容した酸洗液3の中へ連続的に浸漬して酸洗してから酸
洗槽2から引き上げ、引き続いて研削ベルト8によって
その表面を連続的に研削し、これに再度の連続的な酸洗
を行っている状態を示している。この場合の研磨ベルト
としては、アルミナ等の砥粒を接着した布製ベルトを使
用することができる。なお、研磨ベルトの回転速度は高
速である必要はなく、ベルトの目詰まりを防ぐためには
むしろ帯板の移動速度より遅い程度で回転させるのが良
い。研磨ベルトの数,砥粒の粒度あるいは押し付け圧力
等もマグネシウム合金板表面の凹凸や疵の程度及び所望
する研削量に応じて調節すれば良いが、砥粒の粒度はJ
ISのR6001に規定されている40〜240番程度
のものが適当である。
【0023】図3及び図4の例では図示を省略したが、
回転ブラシへの研削屑の蓄積や研磨ベルトの目詰まりを
防止するために研削部へ洗浄水を噴射する手立てを講じ
ることが望ましい。また、このような酸洗槽外での機械
的研削によってマグネシウム合金帯板の表面には軽度の
研削疵が発生するが、その後に酸洗を行うことによって
この疵は除去され、凹凸の少ない平滑な表面肌が得られ
る。
【0024】そして、上述した本発明法によると、中心
線平均粗さRaで 2.0μmを下回る平滑性を得ることが
非常に困難なマグネシウム合金板の表面粗度を、安全か
つ高能率で中心線平均粗さRaが0.70μm以下のレベル
にまで低減して平滑化することが可能となる。
【0025】続いて、本発明を実施例により更に具体的
に説明する。
【実施例】〔実施例1〕質量%でアルミニウム3.01%,
亜鉛0.97%,残部マグネシウム及び不純物からなるマグ
ネシウム合金のインゴットを、熱間鍛造及び熱間圧延に
よって厚さ30mm,幅500mmの帯板とし、更に温間圧
延によって厚さ3.5mm の帯板とした後、コイル状に巻き
取った。
【0026】次に、この帯板を巻き戻しながら前記図1
で示した設備を用いて連続的に酸洗・研削処理した後、
水洗,乾燥してコイル状に巻き取った。なお、酸洗液と
しては質量%で2%の硫酸水溶液を30℃に保持して用
い、酸洗時間は3分間とした。また、酸洗槽中に配置し
た回転ブラシとしては、粒径1〜20μmのアルミナ砥
粒を10体積%を含む直径1mm,長さ100mmのナイロ
ン(ポリアミド系合成樹脂)線の一端を硬質塩化ビニ−
ル製回転軸に隙間なく接着したものを、帯板の上下で各
4本用いた。そして、ブラシの回転速度は毎分100回
とし、帯板の進行方向と逆方向に回転させた。
【0027】一方、比較のため、処理帯板の一部分につ
いては回転ブラシを使用せずに酸洗を行った。更にこれ
とは別に、比較のため、酸洗槽を有しない“研磨ベルト
による帯板の連続研磨装置”を用いての上記マグネシウ
ム合金帯板の研磨も実施した。
【0028】表1は、“温間圧延のままのマグネシウム
合金帯板”と“上記各処理を施したマグネシウム合金帯
板”について、“圧延後の処理に要した所要時間",“表
面粗さ(中心線平均粗さRa)の測定値(5回測定した
値の平均値)”並びに“目視観察によって判定された表
面疵の程度”を対比したものである。なお、“表面疵の
程度”は5段階評価で判定したが、その評価基準は次の
通りとした。 1:全く疵なし, 2:僅かに疵あり, 3:疵あり, 4:多くの疵あり, 5:著しい疵あり。
【0029】
【表1】
【0030】表1に示されるように、圧延後のマグネシ
ウム合金帯板表面には多くの疵があり、表面粗さもJI
SのB0601−1994に規定されている中心線平均
粗さRaで5.32μmと非常に粗い表面状態であった。
【0031】また、比較のために回転ブラシを使用せず
に酸洗した部分では、疵はかなり減少したが、中心線平
均粗さRaは3.89μmとかなり粗かった。そして、酸洗
を併用することなく連続研磨装置を用いて研磨した場合
は、表面疵はかなり減少し、中心線平均粗さRaも1.22
μmとかなり小さくなったが、粒度の粗い研磨ベルト工
程と粒度の細かい研磨ベルト工程の2回の通板が必要で
あったために所要時間が35秒/m2 と非常に長くかかっ
た。
【0032】これに対して、本発明例に係る“酸洗液中
で回転ブラシを用いて酸洗・研削する処理”を施した部
分では、全く疵が無くなり、中心線平均粗さRaも0.63
μmと極めて平滑な表面が得られると共に、処理所要時
間も6秒/m2 と非常に短かった。
【0033】〔実施例2〕質量%でアルミニウム2.96
%,亜鉛1.03%,残部マグネシウム及び不純物からなる
マグネシウム合金のインゴットを、熱間鍛造及び熱間圧
延によって厚さ30mm,幅500mmの帯板とし、更に温
間圧延によって厚さ3.2mm の帯板とした後、コイル状に
巻き取った。
【0034】次に、この帯板を巻き戻しながら前記図3
で示した設備を用いて連続的に酸洗・研削処理した後、
水洗,乾燥してコイル状に巻き取った。なお、酸洗液と
しては、1槽目が質量%で3%の硫酸水溶液を30℃に
保持して用い、2槽目では30℃の2%硫酸水溶液を用
いて、酸洗時間は2槽とも2分間とした。2つの酸洗槽
の間に設置した回転ブラシとしては、粒径1〜20μm
のアルミナ砥粒を30体積%含む直径2mm,長さ100
mmのナイロン(ポリアミド系合成樹脂)線の一端を金属
製回転軸に隙間なく接着したものを、帯板の上下で各2
本用いた。そして、ブラシの回転速度は毎分200回と
し、帯板の進行方向と逆方向に回転させた。
【0035】一方、比較のため、処理帯板の一部分につ
いては回転ブラシを使用せずに酸洗を行った。更にこれ
とは別に、比較のため、酸洗槽を有しない“研磨ベルト
による帯板の連続研磨装置”を用いての上記マグネシウ
ム合金帯板の研磨も実施した。
【0036】表2は、“温間圧延のままのマグネシウム
合金帯板”と“上記各処理を施したマグネシウム合金帯
板”について、“圧延後の処理に要した所要時間",“表
面粗さ(中心線平均粗さRa)の測定値(5回測定した
値の平均値)”並びに“目視観察によって判定された表
面疵の程度”を対比したものである。なお、“表面疵の
程度”は5段階評価で判定したが、その評価基準は実施
例1の場合と同様である。
【0037】
【表2】
【0038】表2に示されるように、圧延後のマグネシ
ウム合金帯板表面には多くの疵があり、表面粗さもJI
SのB0601−1994に規定されている中心線平均
粗さRaで5.67μmと非常に粗い表面状態であった。
【0039】また、比較のために回転ブラシを使用せず
に酸洗した部分では、疵はかなり減少したが、中心線平
均粗さRaは4.95μmとかなり粗かった。そして、酸洗
を併用することなく連続研磨装置を用いて研磨した場合
は、表面疵はかなり減少し、中心線平均粗さRaも1.58
μmとかなり小さくなったが、粒度の粗い研磨ベルト工
程と粒度の細かい研磨ベルト工程の2回の通板が必要で
あったために所要時間が39秒/m2 と非常に長くかかっ
た。
【0040】これに対して、本発明例に係る“酸洗に続
いて回転ブラシによる機械的表面研削を行ってから引き
続いて更に酸洗を実施する処理”を施した部分では、全
く疵が無くなり、中心線平均粗さRaも0.61μmと極め
て平滑な表面が得られると共に、処理所要時間も6秒/
2 と非常に短かった。
【0041】〔実施例3〕質量%でアルミニウム2.02
%,亜鉛0.47%,残部マグネシウム及び不純物からなる
マグネシウム合金のインゴットを、熱間鍛造及び熱間圧
延によって厚さ30mm,幅500mmの帯板とし、更に温
間圧延によって厚さ2.5mm の帯板とした後、コイル状に
巻き取った。
【0042】次に、この帯板を巻き戻しながら前記図4
に示した設備を用いて連続的に酸洗・研削処理した後、
水洗,乾燥してコイル状に巻き取った。なお、酸洗液と
しては、1槽目が質量%で3%の硫酸水溶液を30℃に
保持して用い、2槽目では40℃の 1.5%硫酸水溶液を
用いて、酸洗時間は2槽とも2分間とした。2つの酸洗
槽の間に設置した上下各2本の研磨ベルトのうち、第1
酸洗槽側のベルトの砥粒の粒度をJISのR6001に
規定されている40番とし、第2酸洗槽側のそれを10
0番とした。
【0043】一方、比較のため、処理帯板の一部分につ
いては研磨ベルトを使用せずに酸洗を行った。更にこれ
とは別に、比較のため、酸洗槽を有しない“研磨ベルト
による帯板の連続研磨装置”を用いての上記マグネシウ
ム合金帯板の研磨も実施した。
【0044】表3は、“温間圧延のままのマグネシウム
合金帯板”と“上記各処理を施したマグネシウム合金帯
板”について、“圧延後の処理に要した所要時間",“表
面粗さ(中心線平均粗さRa)の測定値(5回測定した
値の平均値)”並びに“目視観察によって判定された表
面疵の程度”を対比したものである。なお、“表面疵の
程度”は5段階評価で判定したが、その評価基準は実施
例1の場合と同様である。
【0045】
【表3】
【0046】表3に示されるように、圧延後のマグネシ
ウム合金帯板表面には多くの疵があり、表面粗さもJI
SのB0601−1994に規定されている中心線平均
粗さRaで4.82μmと非常に粗い表面状態であった。
【0047】また、比較のために研磨ベルトを使用せず
に酸洗した部分では、疵はかなり減少したが、中心線平
均粗さRaは3.85μmとかなり粗かった。そして、酸洗
を併用することなく連続研磨装置を用いて研磨した場合
は、表面疵はかなり減少し、中心線平均粗さRaも1.03
μmとかなり小さくなったが、粒度の粗い研磨ベルト工
程と粒度の細かい研磨ベルト工程の2回の通板が必要で
あったために所要時間が31秒/m2 と非常に長くかかっ
た。
【0048】これに対して、本発明例に係る“酸洗に続
いて研磨ベルトによる機械的表面研削を行ってから引き
続いて更に酸洗を実施する処理”を施した部分では、全
く疵が無くなり、中心線平均粗さRaも0.51μmと極め
て平滑な表面が得られると共に、処理所要時間も6秒/
2 と非常に短かった。
【0049】
【発明の効果】以上に説明した如く、この発明によれ
ば、圧延等によって製造したマグネシウム合金板表面の
凹凸や疵を安全かつ効率的に除去することが可能とな
り、平滑で疵の無い表面肌の製品が安価に大量生産でき
るなど、産業上有用な効果がもたらされる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る「酸洗中に回転ブラシによって機
械的表面研削を実施する処理」の例を説明した模式図で
ある。
【図2】本発明に係る「酸洗中に研磨具との摺接による
機械的表面研削を実施する処理」の例を説明した模式図
である。
【図3】本発明に係る「酸洗に続いて回転ブラシによる
機械的表面研削を行ってから引き続いて更に酸洗を実施
する処理」の例を説明した模式図である。
【図4】本発明に係る「酸洗に続いて研削ベルトによる
機械的表面研削を行ってから引き続いて更に酸洗を実施
する処理」の例を説明した模式図である。
【符号の説明】
1 マグネシウム合金帯板 2 酸洗槽 3 酸洗液 4 回転ブラシ 5 支持枠 6 研磨具 7 回転ブラシ 8 研削ベルト

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 マグネシウム合金板に“酸洗と機械的表
    面研削とを併用した処理”を施すことを特徴とする、マ
    グネシウム合金板の表面粗度低減方法。
  2. 【請求項2】 “酸洗と機械的表面研削とを併用した処
    理”が“酸洗中に機械的表面研削を実施する処理”であ
    る、請求項1記載のマグネシウム合金板の表面粗度低減
    方法。
  3. 【請求項3】 “酸洗と機械的表面研削とを併用した処
    理”が“酸洗に続いて機械的表面研削を行ってから引き
    続いて更に酸洗を実施する処理”である、請求項1記載
    のマグネシウム合金板の表面粗度低減方法。
  4. 【請求項4】 機械的表面研削がブラッシングによって
    実施される、請求項1乃至3の何れかに記載のマグネシ
    ウム合金板の表面粗度低減方法。
  5. 【請求項5】 機械的表面研削が研磨具との摺接によっ
    て実施される、請求項1乃至3の何れかに記載のマグネ
    シウム合金板の表面粗度低減方法。
  6. 【請求項6】 酸洗が硫酸を主成分とした酸洗水溶液に
    よって行われる、請求項1乃至5の何れかに記載のマグ
    ネシウム合金板の表面粗度低減方法。
  7. 【請求項7】 マグネシウム合金板の表面粗度を中心線
    平均粗さRaが0.70μm以下の粗度にまで低減すること
    を特徴とする、請求項1乃至6の何れかに記載のマグネ
    シウム合金板の表面粗度低減方法。
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