JP2002347634A - 電動パワーステアリング装置 - Google Patents

電動パワーステアリング装置

Info

Publication number
JP2002347634A
JP2002347634A JP2001160431A JP2001160431A JP2002347634A JP 2002347634 A JP2002347634 A JP 2002347634A JP 2001160431 A JP2001160431 A JP 2001160431A JP 2001160431 A JP2001160431 A JP 2001160431A JP 2002347634 A JP2002347634 A JP 2002347634A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
rotation
motor
steering
electric power
signal
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Withdrawn
Application number
JP2001160431A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2002347634A5 (ja
Inventor
Satoshi Shimada
敏 嶋田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Honda Motor Co Ltd
Original Assignee
Honda Motor Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Honda Motor Co Ltd filed Critical Honda Motor Co Ltd
Priority to JP2001160431A priority Critical patent/JP2002347634A/ja
Publication of JP2002347634A publication Critical patent/JP2002347634A/ja
Publication of JP2002347634A5 publication Critical patent/JP2002347634A5/ja
Withdrawn legal-status Critical Current

Links

Abstract

(57)【要約】 【課題】 操舵トルクセンサを必要としない電動パワー
ステアリング装置を提供することを課題とする。 【解決手段】 電動機(DCモータ)13と、電動機1
3の駆動を制御する電動機制御手段(制御装置)14と
を備える電動パワーステアリング装置1であって、第1
の要素がステアリングホイール3に連結され、第2の要
素が転舵輪W,Wに連結され、第3の要素が電動機13
に連結される差動装置(遊星式歯車機構)11を備え、
電動機制御手段14は、車両の運転状態および挙動にか
かわらず、第1の要素と第2の要素との回転比が一定に
なるように電動機13を制御することを特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ステアリング系に
配設された差動装置によってドライバによる操舵トルク
をアシストするとともに、電動機パワーを差動装置に作
用させてドライバによる操舵回転数をアシストする電動
パワーステアリング装置に関する。
【0002】
【従来の技術】一般に、電動パワーステアリング装置
は、電動機の駆動力を直接利用し、ドライバがステアリ
ングホイールに作用させる操舵トルクをアシストしてい
る。この電動パワーステアリング装置では、操舵トルク
を検出する操舵トルクセンサからの信号に基づいて、電
動機に流す目標電流を設定している。そして、この電動
パワーステアリング装置では、電動機に実際に流れてい
る電流と設定した目標電流とによって電動機をフィード
バック制御し、この電動機の駆動力によって補助操舵ト
ルクを発生させている。
【0003】また、ステアリング装置の中には、電動機
の駆動力をステアリング系に組み込まれた他の機構に利
用するものがある。例えば、特公平4−38622号公
報には、ステアリングホイールの操舵角に対する転舵輪
の転舵角である減速比を変化させる伝達比可変機構をア
クチュエータで作動させる自動車のステアリング装置が
開示されている。このステアリング装置では、遊星歯車
式の差動歯車機構(伝達比可変機構)の第1と第2の要
素にステアリングホイールと転舵輪を各々連結し、この
差動歯車機構の第3の要素をステッピングモータ(アク
チュエータ)で作動することによって減速比を変化させ
ている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、操舵ト
ルクセンサは、操舵トルクの作用により捩れるトーショ
ンバーとトーションバーの捩れ角を検出するための検出
手段等が必要となるので、高価なセンサである。そのた
め、操舵トルクセンサを必須の構成部品とする従来の電
動パワーステアリング装置では、センサによるコストア
ップが避けられない。さらに、従来の電動パワーステア
リング装置では、操舵トルクセンサで必要となるトーシ
ョンバーをステアリング系に組み込まなければならない
ので、ステアリング系の剛性が低下する。
【0005】そこで、本発明の課題は、操舵トルクセン
サを必要としない電動パワーステアリング装置を提供す
ることにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】前記課題を解決した本発
明に係る電動パワーステアリング装置は、電動機と、前
記電動機の駆動を制御する電動機制御手段とを備える電
動パワーステアリング装置であって、第1の要素がステ
アリングホイールに連結され、第2の要素が転舵輪に連
結され、第3の要素が前記電動機に連結される差動装置
を備え、前記電動機制御手段は、車両の運転状態および
挙動にかかわらず、前記第1の要素と前記第2の要素と
の回転比が一定になるように前記電動機を制御すること
を特徴とする。
【0007】この電動パワーステアリング装置によれ
ば、差動装置での第1の要素と第2の要素との減速比に
対応したトルク比でステアリングホイールに作用させる
操舵トルクを軽減する。さらに、電動パワーステアリン
グ装置では、電動機制御手段が第1の要素と第2の要素
との回転比が一定になるように電動機の駆動を制御し、
この電動機の駆動力によって差動装置の第3の要素を第
1の要素の回転方向に回転させ、第1の要素の回転数
(すなわち、ステアリングホイールの回転数)を低減す
る。なお、この電動パワーステアリング装置では、第1
の要素と第2の要素との回転比を一定とすることによっ
て、ステアリングホイールの操舵角に対する転舵輪の転
舵角であるステアリング系全体の減速比を一定にしてい
る。また、この電動パワーステアリング装置では、第1
の要素と第2の要素との減速比によってステアリングホ
イールによるステアリング操作が鈍感(ダル)な特性に
なるが、前記したように電動機の駆動力を利用してステ
アリング操作を通常の特性に戻している。
【0008】さらに、前記電動パワーステアリング装置
において、前記第1の要素の回転を検出する第1回転検
出手段と、前記第2の要素の回転を検出する第2回転検
出手段とを備え、前記電動機制御手段は、前記第1回転
検出手段からの信号と前記第2回転検出手段からの信号
とに基づいて前記第1の要素と前記第2の要素との回転
比が一定になるように前記電動機を制御することを特徴
とする。
【0009】この電動パワーステアリング装置によれ
ば、第1回転検出手段で検出した第1の要素の回転(例
えば、回転角)と第2回転検出手段で検出した第2の要
素の回転とに基づいて、電動機制御手段によるフィード
バック制御によって第1の要素と第2の要素との回転比
を一定にすることができる。
【0010】また、前記電動パワーステアリング装置に
おいて、前記第1の要素の回転角を検出する回転角検出
手段を備え、前記電動機は、ステッピングモータからな
り、前記電動機制御手段は、前記回転角検出手段からの
信号に基づいて前記第1の要素の所定倍の回転比で前記
電動機を制御することを特徴とする。
【0011】この電動パワーステアリング装置によれ
ば、回転検出手段で検出した第1の要素の回転角に基づ
いて、電動機制御手段によるオープン制御によって第1
の要素の所定倍の回転比でステッピングモータの駆動を
制御することができる。つまり、この電動パワーステア
リング装置では、第1の要素に比例した回転で第3の要
素を回転させることによって第3の要素と第1の要素と
の回転比を一定とし、さらに第1の要素と第2の要素と
の回転比を一定としている。
【0012】さらに、前記電動パワーステアリング装置
において、前記電動機と前記第3の要素との間に配設さ
れ、前記電動機から前記第3の要素に回転を伝達し、前
記第3の要素から前記電動機に回転を伝達しない逆転防
止手段を備えることを特徴とする。
【0013】この電動パワーステアリング装置によれ
ば、電動機等が故障した場合でも、逆転防止手段の作用
により第3の要素から電動機側に回転を伝達しないの
で、第1の要素による回転が第3の要素を介して電動機
等で吸収されない。そのため、この電動パワーステアリ
ング装置では、電動機等が故障した場合でも、第3の要
素が固定した状態で差動装置が動作し、差動装置で軽減
された操舵トルクによるステアリングホイール操作を可
能とする。
【0014】なお、車両の運転状態は、車両に対するド
ライバからの入力状態であり、例えば、ステアリングホ
イールへの操作(操舵トルク)、アクセルペダルやブレ
ーキペダルへの操作等である。また、車両の挙動は、ド
ライバの入力に応じた車両の出力状態であり、例えば、
車速、前後方向の加速度、ヨーレート等である。
【0015】
【発明の実施の形態】以下、図面を参照して、本発明に
係る電動パワーステアリング装置の実施の形態について
説明する。
【0016】本発明に係る電動パワーステアリング装置
は、操舵トルク等の車両の運転状態や車速等の車両の挙
動に関係なく電動機の制御を行うために、第1の要素と
第2の要素との減速比に応じた一定のトルク比で操舵ト
ルクを軽減できる差動装置がステアリング系に組み込ま
れる。そして、この電動パワーステアリング装置は、第
1の要素と第2の要素との減速比によって多くの回転数
が必要となるステアリングホイールの回転数を低減しか
つステアリングホイールの操舵角に対する転舵輪の転舵
角であるステアリング系全体の減速比を一定にするため
に、第1の要素と第2の要素との回転比が一定になるよ
うに制御しながら、電動機の駆動力によって差動装置の
第3の要素を第1の要素の回転方向に回転させる。特
に、この電動パワーステアリング装置では、第1の要素
と第2の要素の回転を検出し、フィードバック制御によ
って第1の要素と第2の要素との回転比を一定にする。
また、この電動パワーステアリング装置では、電動機と
してステッピングモータを用い、オープン制御によって
第1の要素と第2の要素との回転比を一定にする。さら
に、この電動パワーステアリング装置は、電動機と第3
の要素との間に逆転防止手段を設けることによって、電
動機の故障等によって第3の要素を回転できないときで
も差動装置を介した操舵力の伝達を可能とする。
【0017】本実施の形態では、差動装置として遊星式
歯車機構を用い、そのサンギアにステアリングホイール
を連結し、プラネタリギアに転舵輪を連結し、さらにリ
ングギアにウォームギア機構(逆転防止手段)を介して
電動機を連結する。また、本実施の形態では、電動機が
異なる2つの実施の形態があり、第1の実施の形態では
電動機としてDCモータを用い、第2の実施の形態では
ステッピングモータを用いる。第1の実施の形態では、
遊星式歯車機構に対する入力軸の回転角および出力軸の
回転角を検出し、この2つの回転角に基づいてフィード
バック制御によってDCモータを制御する。一方、第2
の実施の形態では、遊星式歯車機構に対する入力軸の回
転角を検出し、この1つの回転角に基づいてオープン制
御によってステッピングモータを制御する。
【0018】まず、図1および図2を参照して、第1の
実施の形態に係る電動パワーステアリング装置1の全体
構成について説明する。図1は、第1の実施の形態に係
る電動パワーステアリング装置の全体構成図である。図
2は、遊星式歯車機構の一部破断側面図である。
【0019】電動パワーステアリング装置1は、ステア
リングホイール3から転舵輪W,Wに至るステアリング
系Sに備えられ、手動操舵力発生手段2による操舵トル
クおよび回転数をアシストする。そのために、電動パワ
ーステアリング装置1は、遊星式歯車機構11のサンギ
ア11aとプラネタリキャリア11fのギア比(減速
比)に応じたトルク比で手動操舵力発生手段2での操舵
トルクを軽減するとともに、制御装置14で発生させた
電動機電圧VMによってDCモータ13を駆動し、ウォ
ームギア機構12を介して遊星式歯車機構11のリング
ギア11cを回転させることによってサンギア11aの
回転数(手動操舵力発生手段2での入力回転数)を低減
する。なお、本実施の形態では、遊星式歯車機構11が
特許請求の範囲に記載する差動装置に相当し、ウォーム
ギア機構12が特許請求の範囲に記載する逆転防止手段
に相当する。また、第1の実施の形態では、DCモータ
13が特許請求の範囲に記載する電動機に相当し、制御
装置14が特許請求の範囲に記載する電動機制御手段に
相当する。
【0020】手動操舵力発生手段2は、ステアリングホ
イール3に一体に設けられたステアリング軸4に連結軸
5を介して遊星式歯車機構11が連結されている。連結
軸5は、その両端に自在継ぎ手5a,5bを備えてい
る。さらに、手動操舵力発生手段2は、遊星式歯車機構
11を介してステアリング・ギアボックス6内に設けた
ラック&ピニオン機構7が連結されている。ラック&ピ
ニオン機構7は、ピニオン7aに噛み合うラック歯7b
がラック軸9に形成され、ピニオン7aとラック歯7b
の噛み合いにより、ピニオン7aの回転運動をラック軸
9の横方向(車両幅方向)の往復運動とする機構であ
る。さらに、ラック軸9には、その両端にタイロッド1
0,10を介して、転舵輪としての左右の前輪W,Wが
連結されている。
【0021】また、電動パワーステアリング装置1は、
ドライバによる操舵トルクを軽減するために、自在継ぎ
手5bに取り付けられた入力軸5cと出力軸(ピニオン
軸)7cとの間に遊星式歯車機構11が配設されてい
る。さらに、電動パワーステアリング装置1は、ドライ
バによるステアリングホイール3への回転数を低減する
ために、遊星式歯車機構11のリングギア11cを回転
させるDCモータ13が設けられている。また、電動パ
ワーステアリング装置1は、DCモータ13の故障等の
場合でもステアリングホイール3からの操作によって転
舵輪W,Wを転舵可能とするために、遊星式歯車機構1
1とDCモータ13との間にウォームギア機構12が配
設されている。
【0022】制御装置14は、入力軸回転角センサ1
5、出力軸回転角センサ16からの各検出信号IR,O
Rが入力される。そして、制御装置14は、フィードバ
ック制御により検出信号IR,ORに基づいて入力軸5
cと出力軸7cとの回転比が一定になるように電動機制
御信号VOを生成し、電動機制御信号VOに基づいて電
動機駆動回路24からDCモータ13に電動機電圧VM
を印加する(図3参照)。なお、本実施の形態では、入
力軸回転角センサ15が特許請求の範囲に記載する第1
回転検出手段に相当し、出力軸回転角センサ16が特許
請求の範囲に記載する第2回転検出手段に相当する。
【0023】入力軸回転角センサ15は、入力軸5c
(すなわち、サンギア11a)の回転角を検出するセン
サである。入力軸回転角センサ15は、入力軸5cに取
り付けられて回転するディスクを挟んで、LED[Light
Emitting Diode]等の発光部とフォトトランジスタ等の
受光部とが2組配設されている。このディスクには周方
向に沿って一定角度毎に貫通孔が設けられており、発光
部からの光はこの貫通孔によって透過/遮断される。そ
して、受光部では、透過した光を検知し、パルスを発生
している。また、2組の発光部と受光部を設けることに
よって、前記した一定角度の半分の位相差を設け、ディ
スク(入力軸5c)の回転方向を判別できるようにして
いる。そして、入力軸回転角センサ15は、2つの受光
部で発生したパルスに基づいて、2つのパルス信号を出
力している。
【0024】出力軸回転角センサ16は、出力軸7c
(すなわち、プラネタリキャリア11f)の回転角を検
出するセンサである。出力軸回転角センサ16は、入力
軸回転角センサ15と同様の構成のセンサであり、出力
軸7cに取り付けられて回転するディスクを挟んで、発
光部と受光部とが2組配設されている。そして、出力軸
回転角センサ16は、2つの受光部で発生したパルスに
基づいて、2つのパルス信号を出力している。
【0025】次に、図1および図2を参照して、遊星式
歯車機構11について説明する。
【0026】遊星式歯車機構11は、入力軸5cに固着
されたサンギア11aに複数(例えば、3個)のプラネ
タリギア11b,11b,・・・が噛み合っており、さ
らにプラネタリギア11b,11b,・・・にリングギ
ア11cの内周ギア11dが噛み合っている。複数のプ
ラネタリギア11b,11b,・・・は支持軸11e,
11e,・・・に回転自在に各々取り付けられており、
支持軸11e,11e,・・・にはプラネタリキャリア
11fに取り付けられている。そして、このプラネタリ
キャリア11fには、出力軸7cが固着されている。さ
らに、リングギア11cは、ウォームギア機構12を介
してDCモータ13の駆動力が作用するようになってお
り、DCモータ13の駆動に応じて回転する。なお、本
実施の形態では、サンギア11aが特許請求の範囲に記
載する第1の要素に相当し、プラネタリキャリア11f
が特許請求の範囲に記載する第2の要素に相当し、リン
グギア11cが特許請求の範囲に記載する第3の要素に
相当する。
【0027】そして、遊星式歯車機構11では、入力軸
5cの回転がサンギア11aとプラネタリキャリア11
fとのギア比(減速比)に応じたトルク比によって入力
軸5cから入力トルクを軽減している。したがって、遊
星式歯車機構11が配設されているステアリング系Sで
は、このトルク比によってステアリングホイール3から
の操舵トルクが常時軽減されている。しかし、このステ
アリング系Sでは、このサンギア11aとプラネタリギ
ア11b,11b,・・・との減速比によって、出力軸
7cを回転(ひいては、転舵輪W,Wを転舵)させるた
めには入力軸5c(ひいては、ステアリングホイール
3)からの多くの回転が必要となる。
【0028】そこで、DCモータ13の駆動力によって
リングギア11cを入力軸5cと同方向に回転させるこ
とによって、遊星式歯車機構11では、プラネタリキャ
リア11f(出力軸7c)を回転させるためのサンギア
11a(入力軸5c)の回転数を低減している。したが
って、遊星式歯車機構11が配設されているステアリン
グ系Sでは、このDCモータ13の駆動力と遊星式歯車
機構11の作用とによってステアリングホイール3から
の回転数が低減されている。
【0029】さらに、ステアリング系Sでは、ドライバ
の運転感覚を考慮し、ステアリングホイール3の操舵角
に対して転舵輪W,Wの転舵角(つまり、ステアリング
ホイール3から転舵輪W,Wに至る減速比)を一定にし
なければならない。そこで、前記したように制御装置1
4では入力軸5cと出力軸7cとの回転比が一定になる
ようにDCモータ13をフィードバック制御しており、
遊星式歯車機構11では、サンギア11aの回転とプラ
ネタリキャリア11fの回転との回転比(減速比)が一
定となっている。その結果、ステアリング系Sでは、ラ
ック&ピニオン機構7等の他の減速比が一定なので、ス
テアリングホイール3から転舵輪W,Wに至る減速比が
一定となる。
【0030】次に、図1および図2を参照して、ウォー
ムギア機構12について説明する。
【0031】ウォームギア機構12は、ウォームホイー
ルとしても作用するリングギア11cの外周ギア12a
にウォーム軸12bの外周面に形成されたウォームギア
12cが噛み合っている。ウォーム軸12bは、DCモ
ータ13のモータ軸13aと同心上に配置されており、
モータ軸13aに連結されている。
【0032】そして、ウォームギア機構12では、DC
モータ13の回転をウォームギア12cとリングギア1
1cの外周ギア12aとのギア比(減速比)によって減
速して遊星式歯車機構11のリングギア11cに伝達し
ている。
【0033】また、ウォームギア機構12では、機構上
の特性によって、リングギア11cの回転をウォーム軸
12b(ひいては、DCモータ13)に伝達することは
ない。そのため、外周ギア12aまたはウォームギア1
2cが損傷して回転を伝達できない場合やDCモータ1
3が故障した場合等、ウォームギア機構12では入力軸
5cの回転をリングギア11cを介してウォーム軸12
b(ひいては、DCモータ13)に伝達しないので、そ
の入力軸5c(サンギア11a)の回転がリングギア1
1cを介してギアの損傷箇所やDCモータ13で吸収さ
れることはない。したがって、この場合、入力軸5cの
回転が、リングギア11cが固定した状態で、サンギア
11aとプラネタリギア11b,11b,・・・を介し
て出力軸7cに伝達される。このように、遊星式歯車機
構11とDCモータ13との間にウォームギア機構12
を設けることによって、DCモータ13の故障等の場合
でも、ステアリングホイール3からの操作によって転舵
輪W,Wの転舵を可能としている。
【0034】次に、図3を参照して、制御装置14につ
いて説明する。図3は、第1の実施の形態に係る制御装
置の構成図である。
【0035】制御装置14は、リングギア11cを入力
軸5cの回転方向と同方向に回転させかつ入力軸5cと
出力軸7cとの回転比が一定になるように、DCモータ
13の駆動をフィードバック制御する(図2参照)。そ
のために、制御装置14は、乗算部20、偏差演算部2
1、PID[Proportional Integral Differential]制御
部22、PWM[Pulse Width Modulation]信号発生部2
3および電動機駆動回路24を備えている。なお、制御
装置14は、各種演算や処理等を行うCPU[Central P
rocessing Unit]、各種記憶装置、電源回路等から構成
されている。
【0036】乗算部20について説明する。乗算部20
は、出力軸回転角センサ16からの出力軸回転角信号O
Rが入力され、偏差演算部21に乗算回転角信号MRを
出力する。前記したようにステアリングホイール3の操
舵角に対する転舵輪W,Wの転舵角を一定に保持するた
めに、制御装置14では入力軸5cと出力軸7cとの回
転比をフィードバック制御によって一定にしている。と
いうのは、ステアリング系Sにおけるステアリングホイ
ール3と転舵輪W,Wとの間での他の減速比はラック&
ピニオン機構7の減速比等により一定の値となっている
ので、入力軸5cと出力軸7cとの回転比が一定になる
と、ステアリング系S全体の減速比が一定になる。そこ
で、乗算部20では、その一定にする回転比(以下、目
標回転比と記載する)を設定するために、出力軸回転角
信号ORの2つのパルスを各々目標回転比倍する。
【0037】そして、この目標回転比倍した出力軸7c
の回転角(目標回転比倍したパルス)と入力軸5cの回
転角(パルス)との差を0になるように制御すると、出
力軸7cの回転角は入力軸5cの回転角に対して1/目
標回転比となる。つまり、入力軸5cの回転は、目標回
転比で減速されて出力軸7cから出力する。
【0038】偏差演算部21について説明する。偏差演
算部21は、乗算部20からの乗算回転角信号MRと入
力軸回転角センサ15からの入力軸回転角信号IRが入
力され、PID制御部22に偏差信号ΔRを出力する。
偏差演算部21は、入力軸回転角信号IRの2つのパル
スから乗算回転角信号MRの2つの目標回転比倍された
パルスを各々減算し、偏差信号ΔRを算出する。
【0039】PID制御部22について説明する。PI
D制御部22は、偏差演算部21からの偏差信号ΔRと
入力軸回転角センサ15からの入力軸回転角信号IRが
入力され、PWM信号発生部23にPID制御信号Pを
出力する。PID制御部22は、偏差信号ΔRにP(比
例)、I(積分)およびD(微分)制御を行い、入力軸
回転角信号IRのパルスと目標回比倍した出力軸回転角
信号ORのパルスとの偏差を0に近づけるためにDCモ
ータ13に供給する電動機電圧VMの向きと電圧値とを
示すPID制御信号Pを生成する。この偏差が0になる
と、入力軸5c(サンギア11a)と出力軸7c(プラ
ネタリキャリア11f)の回転比が目標回転比となる。
電動機電圧VMの向きは、入力軸5c(サンギア11
a)の回転方向と同方向にリングギア11cを回転させ
るために、DCモータ13を回転させる方向であり、入
力軸回転角信号IRの2つのパルス信号の位相のずれ方
向に基づいて判定している。また、電動機電圧VMの電
圧値は、偏差信号ΔRの偏差の大きさに基づいて設定し
ている。
【0040】PWM信号発生部23について説明する。
PWM信号発生部23は、PID制御部22からのPI
D制御信号Pが入力され、電動機駆動回路24に電動機
制御信号VOを出力する。PWM信号発生部23は、P
ID制御信号Pに基づいて、DCモータ13に供給する
電動機電圧VMの向きと電圧値に対応したPWM信号、
オン信号、オフ信号を生成する。PWM信号は、電動機
駆動回路24のパワーFET24aのゲートG1または
パワーFET24bのゲートG2に入力され、偏差信号
ΔRの大きさに応じてパワーFET24aまたはパワー
FET24bをPWM駆動する信号である。なお、PW
M信号がゲートG1かゲートG2のどちらのゲートに入
力されるかは、前記したように入力軸回転角信号IRの
2つのパルス信号の位相のずれ方向によって決まる。ま
た、ゲートG1またはゲートG2のうちPWM信号が入
力されないゲートにはオフ信号が入力され、パワーFE
T24aまたはパワーFET24bはオフされる。そし
て、ゲートG1にPWM信号が入力される場合には、パ
ワーFET24dのゲートG4にオン信号が入力され、
パワーFET24dがオン駆動される。また、ゲートG
1にオフ信号が入力される場合には、ゲートG4にオフ
信号が入力され、パワーFET24dはオフされる。他
方、ゲートG2にPWM信号が入力される場合には、パ
ワーFET24cのゲートG3にオン信号が入力され、
パワーFET24cがオン駆動される。また、ゲートG
2にオフ信号が入力される場合には、ゲートG3にオフ
信号が入力され、パワーFET24cはオフされる。な
お、第1の実施の形態では、電動機制御信号VOは、電
動機駆動回路24のゲートG1〜G4に出力するPWM
信号、オン信号、オフ信号で構成される。
【0041】電動機駆動回路24について説明する。電
動機駆動回路24は、4個のパワーFET24a,24
b,24c,24dでブリッジ回路が構成され、電源電
圧24eから12Vの電圧が供給される。さらに、電動
機駆動回路24は、DCモータ13がパワーFET24
aとパワーFET24dの間に直列にかつパワーFET
24bとパワーFET24cの間に直列に接続される。
パワーFET24a,24bは、各ゲートG1,G2に
PWM信号またはオフ信号が入力され、PWM信号が入
力されて論理レベル1のときにオンする。パワーFET
24c,24dは、各ゲートG3,G4にオン信号また
はオフ信号が入力され、オン信号が入力されたときにオ
ンする。そして、電動機駆動回路24では、パワーFE
T24aとパワーFET24dによってDCモータ13
を正回転方向にPWM駆動し、パワーFET24bとパ
ワーFET24cによってDCモータ13を逆回転方向
にPWM駆動する。なお、DCモータ13に印加される
電動機電圧VMは、PWM信号のデューティ比によって
決定される。例えば、PWM信号のデューティ比が7
(論理レベル1):3(論理レベル0)の場合、12V
×(7/10)=8.4Vが電動機電圧VMとなり、D
Cモータ13に平均して8.4Vが印加されていること
になる。
【0042】それでは、図1乃至図3を参照して、電動
パワーステアリング装置1の動作について説明する。こ
こでは、全てのシステムが正常の場合とDCモータ13
が故障の場合とに分けて説明する。
【0043】まず、正常の場合について説明する。ドラ
イバが、ステアリングホイール3を回転操作したとす
る。すると、ステアリング系Sでは、その回転操作がス
テアリング軸4、連結軸5、自在継ぎ手5a,5bを介
して入力軸5cに伝達される。
【0044】入力軸5cが回転すると、電動パワーステ
アリング装置1の遊星式歯車機構11では、入力軸5c
の回転に伴ってサンギア11aが回転し、その回転に伴
ってプラネタリギア11b,11b,・・・が自転しな
がらサンギア11aと同方向に公転する。続いて、遊星
式歯車機構11では、プラネタリギア11b,11b,
・・・の公転に伴って支持軸11e,11e,・・・を
介してプラネタリキャリア11fが回転し、出力軸7c
を回転させる。すると、ステアリング系Sでは、出力軸
7cの回転をラック&ピニオン機構7を介して転舵輪
W,Wに伝達し、転舵輪W,Wを転舵させる。なお、遊
星式歯車機構11では、サンギア11aとプラネタリギ
ア11b,11b,・・・とのギア比(減速比)に応じ
たトルク比で入力軸5cからの入力トルクを軽減してい
る。そのため、ドライバが転舵輪W,Wを転舵させるた
めに必要とされるステアリングホイール3への操舵トル
クは、常時軽減される。
【0045】さらに、電動パワーステアリング装置1で
は、入力軸回転角センサ15が入力軸5cの回転を検出
して入力軸回転角信号IRを制御装置14に出力すると
ともに、出力軸回転角センサ16が出力軸7cの回転を
検出して出力軸回転角信号ORを制御装置14に出力し
ている。
【0046】そして、電動パワーステアリング装置1の
制御装置14では、乗算部20で出力軸回転角信号OR
の各パルスを目標回転比倍して乗算回転角信号MRを偏
差演算部21に出力する。続いて、制御装置14では、
偏差演算部21で入力軸回転角信号IRと乗算回転角信
号MRから偏差信号ΔRを演算する。さらに、制御装置
14では、PID制御部22で偏差信号ΔRと入力軸回
転角信号IRに基づいてPID制御信号Pを生成し、P
WM信号発生部23でPID制御信号Pに基づいて電動
機制御信号VOを生成する。そして、制御装置14で
は、電動機駆動回路24で電動機制御信号VOに対応し
て電動機電圧VMを発生し、DCモータ13に印加す
る。
【0047】すると、DCモータ13では、電動機電流
IMが流れ、入力軸5c(サンギア11a)と同方向に
リングギア11cを回転させる方向に駆動する。
【0048】DCモータ13が駆動すると、電動パワー
ステアリング装置1のウォームギア機構12では、モー
タ軸13aの回転に伴ってウォーム軸12bが回転し、
ウォーム軸12bのウォームギア12cとリングギア1
1cの外周ギア12aの噛み合いによってリングギア1
1cを回転させる。つまり、ウォームギア機構12で
は、DCモータ13の回転をウォームギア12cと外周
ギア12aとのギア比によって減速してリングギア11
cに伝達している。
【0049】DCモータ13の駆動力によってリングギ
ア11cがサンギア11aと同方向に回転すると、遊星
式歯車機構11では、このリングギア11cの回転によ
ってプラネタリギア11b,11b,・・・の自転およ
び公転が促進される。そのため、遊星式歯車機構11で
は、プラネタリキャリア11f(出力軸7c)を回転さ
せるためのサンギア11a(入力軸5c)の回転が低減
される。その結果、ドライバが転舵輪W,Wを転舵させ
るために必要とされるステアリングホイール3への回転
数が、低減される。
【0050】さらに、制御装置14では入力軸5cと出
力軸7cとの回転比が目標回転比となるようにDCモー
タ13の駆動(ひいては、リングギア11cの回転)を
フィードバック制御しているので、遊星式歯車機構11
では、このリングギア11cの回転によってサンギア1
1aとプラネタリキャリア11fとの回転比が目標回転
比となっている。その結果、ステアリング系S全体での
減速比が一定となり、ステアリングホイール3の回転操
作に対して一定の減速比で転舵輪W,Wが転舵する。
【0051】このように、電動パワーステアリング装置
1では、遊星式歯車機構11の作用によってステアリン
グホイール3の操舵トルクを軽減するとともに、DCモ
ータ13の駆動力と遊星式歯車機構11の作用によって
ステアリングホイール3の回転数を低減する。さらに、
電動パワーステアリング装置1では、制御装置14のフ
ィードバック制御によってステアリングホイール3の操
舵角に対して転舵輪W,Wの転舵角を一定にする。
【0052】次に、DCモータ13が故障した場合につ
いて説明する。ドライバが、ステアリングホイール3を
回転操作したとする。すると、ステアリング系Sでは、
その回転操作がステアリング軸4、連結軸5、自在継ぎ
手5a,5bを介して入力軸5cに伝達される。
【0053】入力軸5cが回転すると、電動パワーステ
アリング装置1の遊星式歯車機構11では、前記したよ
うに、サンギア11aとプラネタリキャリア11fを介
して出力軸7cを回転させる。
【0054】さらに、電動パワーステアリング装置1で
は、前記したように、制御装置14が入力軸回転角セン
サ15からの入力軸回転角信号IRと出力軸回転角セン
サ16からの出力軸回転角信号ORに基づいて電動機制
御信号VOを生成している。そして、制御装置14で
は、電動機駆動回路24で電動機制御信号VOに対応し
て電動機電圧VMを発生し、DCモータ13に印加して
いる。
【0055】しかし、DCモータ13は、故障している
ので、駆動しない。ちなみに、DCモータ13の故障を
検出する手段を設け、故障を検出したときにはDCモー
タ13に電動機電圧VMを印加しないように構成しても
よい。
【0056】したがって、電動パワーステアリング装置
1のウォームギア機構12では、DCモータ13の非駆
動によってウォーム軸12bが回転しないので、リング
ギア11cを回転させることはない。また、ウォームギ
ア機構12では、リングギア11cの回転をウォーム軸
12bに伝達しない。そのため、入力軸5c(サンギア
11a)の回転が、リングギア11cを介してDCモー
タ13に伝達されない。
【0057】その結果、遊星式歯車機構11では、リン
グギア11cが固定した状態で、入力軸5cの回転をサ
ンギア11aとプラネタリキャリア11fとのギア比で
減速して出力軸7cを回転させる。すると、ステアリン
グ系Sでは、出力軸7cの回転をラック&ピニオン機構
7を介して転舵輪W,Wに伝達し、転舵輪W,Wが転舵
する。このとき、遊星式歯車機構11では、サンギア1
1aとプラネタリキャリア11fとのギア比(減速比)
に応じたトルク比で入力軸5cからの入力トルクを軽減
している。そのため、ドライバが転舵輪W,Wを転舵さ
せるために必要とされるステアリングホイール3への操
舵トルクは、常時軽減される。しかし、正常の場合のよ
うにDCモータ13の駆動力によって回転数を低減して
いないので、転舵輪W,Wを転舵させるためには、正常
の場合より多くの回転数がステアリングホイール3に対
して必要となる。
【0058】このようにDCモータ13が故障した場合
でも、電動パワーステアリング装置1では、ウォームギ
ア機構12の作用によってステアリングホイール3の回
転操作により転舵輪W,Wを転舵させることができると
ともに、遊星式歯車機構11の作用によってステアリン
グホイール3からの操舵トルクを軽減する。
【0059】この電動パワーステアリング装置1によれ
ば、入力軸回転角信号IRと出力軸回転角信号ORに基
づいてフィードバック制御によってDCモータ13の駆
動を制御することによってステアリング系S全体の減速
比を一定にしながら、遊星式歯車機構11によってドラ
イバが作用させる操舵トルクを軽減するとともに、DC
モータ13の駆動力によってドライバが入力する回転数
を低減する。また、電動パワーステアリング装置1によ
れば、DCモータ13の故障等によって回転数のアシス
トができない場合でも、ウォームギア機構12によって
転舵輪W,Wの転舵を可能とする。さらに、電動パワー
ステアリング装置1では、遊星式歯車機構11の機構上
の特性によって操舵トルクを軽減するので、ステアリン
グホイール3から入力される操舵トルクを検出する必要
がない。そのため、電動パワーステアリング装置1で
は、操舵トルクセンサによるコストアップがなく、ステ
アリング系Sにトーションバーを配設しなくてよいので
ステアリングの剛性が低下しない。
【0060】次に、図4を参照して、第2の実施の形態
に係る電動パワーステアリング装置31の全体構成につ
いて説明する。なお、電動パワーステアリング装置31
では、第1の実施の形態に係る電動パワーステアリング
装置1と同一の構成については同一の符号を付し、その
同一の構成についての詳細な説明を省略する。図4は、
第2の実施の形態に係る電動パワーステアリング装置の
全体構成図である。
【0061】電動パワーステアリング装置31は、ステ
アリングホイール3から転舵輪W,Wに至るステアリン
グ系Sに備えられ、手動操舵力発生手段2による操舵ト
ルクおよび回転数をアシストする。そのために、電動パ
ワーステアリング装置31は、遊星式歯車機構11のサ
ンギア11aとプラネタリキャリア11fのギア比(減
速比)に応じたトルク比で手動操舵力発生手段2での操
舵トルクを軽減するとともに、制御装置34からの電力
パルスPSによってステッピングモータ33を駆動し、
ウォームギア機構12を介して遊星式歯車機構11のリ
ングギア11cを回転させることによってサンギア11
aの回転数(手動操舵力発生手段2での入力回転数)を
低減する(図2参照)。なお、第2の実施の形態では、
ステッピングモータ33が特許請求の範囲に記載する電
動機に相当し、制御装置34が特許請求の範囲に記載す
る電動機制御手段に相当する。
【0062】そこで、電動パワーステアリング装置31
は、ドライバによる操舵トルクを軽減するために、自在
継ぎ手5bに取り付けられた入力軸5cと出力軸(ピニ
オン軸)7cとの間に遊星式歯車機構11が配設されて
いる。さらに、電動パワーステアリング装置31は、ド
ライバによるステアリングホイール3への回転数を低減
するために、遊星式歯車機構11のリングギア11cを
回転させるステッピングモータ33が設けられている
(図2参照)。また、電動パワーステアリング装置31
は、ステッピングモータ33の故障等の場合でもステア
リングホイール3からの操作によって転舵輪W,Wを転
舵可能とするために、遊星式歯車機構11とステッピン
グモータ33との間にウォームギア機構12が配設され
ている。
【0063】制御装置34は、入力軸回転角センサ35
からの検出信号IRが入力される。そして、制御装置3
4は、オープン制御により検出信号IRに基づいて電動
機制御信号VOを生成し、電動機制御信号VOに基づい
て電力増幅回路41からステッピングモータ33に電力
パルスPSを供給する(図5参照)。なお、本実施の形
態では、入力軸回転角センサ35が特許請求の範囲に記
載する回転角検出手段に相当する。
【0064】入力軸回転角センサ35は、第1の実施の
形態に係る入力軸回転角センサ15と同一の構成のセン
サであり、入力軸5c(すなわち、サンギア11a)の
回転角を検出するセンサである。
【0065】図2および図4を参照して、遊星式歯車機
構11について説明する。遊星式歯車機構11は第1の
実施の形態で説明した機構であり、ここでは、ステッピ
ングモータ33との関係についてのみ説明する。
【0066】遊星式歯車機構11のリングギア11c
は、ウォームギア機構12を介してステッピングモータ
33の駆動力が作用するようになっており、ステッピン
グモータ33の駆動に応じて回転する。そして、ステッ
ピングモータ33の駆動力によってリングギア11cを
入力軸5cと同方向に回転させることによって、遊星式
歯車機構11では、プラネタリキャリア11f(出力軸
7c)を回転させるためのサンギア11a(入力軸5
c)の回転数を低減している。したがって、遊星式歯車
機構11が配設されているステアリング系Sでは、この
ステッピングモータ33の駆動力と遊星式歯車機構11
の作用とによってステアリングホイール3からの回転数
が低減される。
【0067】さらに、ステアリング系Sでは、ドライバ
の運転感覚を考慮し、ステアリングホイール3の操舵角
に対して転舵輪W,Wの転舵角(つまり、ステアリング
ホイール3から転舵輪W,Wに至る減速比)を一定にし
なければならない。そこで、制御装置34では入力軸5
cと出力軸7cとの回転比が一定になるようにステッピ
ングモータ33をオープン制御しており、遊星式歯車機
構11では、サンギア11aの回転とプラネタリキャリ
ア11fの回転との回転比(減速比)は一定になってい
る。
【0068】次に、図2および図4を参照して、ウォー
ムギア機構12について説明する。ウォームギア機構1
2は第1の実施の形態で説明した機構であり、ここで
は、ステッピングモータ33との関係についてのみ説明
する。
【0069】ウォームギア機構12のウォーム軸12b
は、ステッピングモータ33のモータ軸33aと同心上
に配置されており、モータ軸33aに連結されている。
そして、ウォームギア機構12では、ステッピングモー
タ33の回転をウォームギア12cとリングギア11c
の外周ギア12aとのギア比(減速比)によって減速し
て遊星式歯車機構11のリングギア11cに伝達してい
る。
【0070】また、ウォームギア機構12では、機構上
の特性によって、リングギア11cの回転をウォーム軸
12b(ひいては、ステッピングモータ33)に伝達し
ない。そのため、外周ギア12aまたはウォームギア1
2cが損傷して回転を伝達できない場合やステッピング
モータ33が故障した場合等、ウォームギア機構12で
は入力軸5c(サンギア11a)の回転をリングギア1
1cを介してウォーム軸12b(ひいては、ステッピン
グモータ33)に伝達しないので、その入力軸5cの回
転がリングギア11cを介してギアの損傷箇所やステッ
ピングモータ33で吸収されることはない。
【0071】次に、図2、図4および図5を参照して、
ステッピングモータ33について説明する。第2の実施
の形態では、説明を簡単にするために、ステッピングモ
ータ33の1ステップの回転角を90°としている。図
5は、第2の実施の形態に係る制御装置およびステッピ
ングモータの構成図である。
【0072】ステッピングモータ33は、1電力パルス
が供給されると1ステップ(等回転角)毎に回転するモ
ータである。そのために、ステッピングモータ33は、
中心部にモータ軸33aに連結されるマグネットロータ
33bが配置され、マグネットロータ33bの外側に9
0°毎にステータコイル33c,33d,33e,33
fが配置されている。そして、ステータコイル33c,
33d,33e,33fの導線33g,33h,33
i,33jの一端には、制御装置34の電力増幅回路4
1のパワートランジスタ41a,41b,41c,41
dのエミッタE1,E2,E3,E4が各々接続されて
いる。さらに、導線33gの他端には導線33hの他端
および電源電圧33kが接続されており、導線33iの
他端には導線33jの他端および電源電圧33kが接続
されている。
【0073】ステッピングモータ33の動作を簡単に説
明する。例えば、パワートランジスタ41aがオンして
電力パルスPS1をステータコイル33cに供給する
と、ステータコイル33cは励磁して導線33gに励磁
電流IS1が流れる。すると、ステータコイル33cの
マグネットロータ33b側にはS極が発生し、そのS極
とマグネットロータ33bのN極とが引き合ってマグネ
ットロータ33bがステータコイル33cの位置まで9
0°回転する。続いて、パワートランジスタ41aをオ
フし、パワートランジスタ41bがオンして電力パルス
PS2をステータコイル33dに供給すると、ステータ
コイル33dは励磁して導線33hに励磁電流IS2が
流れる。すると、ステータコイル33dのマグネットロ
ータ33b側にはS極が発生し、そのS極とマグネット
ロータ33bのN極とが引き合ってマグネットロータ3
3bがステータコイル33dの位置まで90°回転す
る。以上の動作のように、ステータコイル33c→33
d→33e→33f→33cを順に励磁することによっ
て、ステッピングモータ33は90°毎に反時計回り
(図5を正面視した場合)に回転する。一方、ステータ
コイル33c→33f→33e→33d→33cを順に
励磁することによって、ステッピングモータ33は90
°毎に時計回り(図5を正面視した場合)に回転する。
【0074】次に、図5を参照して、制御装置34につ
いて説明する。
【0075】制御装置34は、リングギア11cを入力
軸5cの回転方向と同方向に回転させかつ入力軸5cと
出力軸7cとの回転比が一定になるように、ステッピン
グモータ33の駆動をオープン制御する。そのために、
制御装置34は、信号乗算回路40および電力増幅回路
41を備えている。なお、制御装置34は、CPUを有
しておらず、前記した回路の他に各種記憶装置、電源回
路等から構成されている。
【0076】信号乗算回路40について説明する。信号
乗算回路40は、入力軸回転角センサ35からの入力軸
回転角信号IRが入力され、電力増幅回路41に電動機
制御信号VOを出力する。前記したようにステアリング
ホイール3の操舵角に対する転舵輪W,Wの転舵角を一
定に保持するために、制御装置34では入力軸5cと出
力軸7cとの回転比をオープン制御によって一定にして
いる。このオープン制御では、入力軸5cの回転に対し
て所定倍の回転比で回転するようにステッピングモータ
33を駆動し、この入力軸5c(サンギア11a)の回
転に比例したステッピングモータ33の回転によってリ
ングギア11cを回転している。そのため、リングギア
11cとサンギア11aとの回転比が一定となり、さら
にサンギア11aとプラネタリキャリア11fとの回転
比が一定となる。
【0077】そこで、信号乗算回路40では、入力軸5
cの所定倍の回転比でステッピングモータ33を駆動す
るために、入力軸回転角信号IRの2つのパルスを各々
乗算定数倍する。さらに、信号乗算回路40は、乗算定
数倍したパルス(以下、乗算パルスと記載する)に基づ
いて、ステッピングモータ33に供給する電力パルスP
Sに対応したオン信号、オフ信号を生成する。乗算定数
は、入力軸回転角センサ35の1パルスで検出する回転
角度、ステッピングモータ33の1ステップでの回転角
度、ウォームギア機構12の減速比、遊星式歯車機構1
1の各ギア間のギア比等に基づいて設定される。オン信
号は、ステッピングモータ33を駆動する場合に乗算パ
ルスの1パルス毎に電力増幅回路41のパワートランジ
スタ41aのベースB1、パワートランジスタ41bの
ベースB2、パワートランジスタ41cのベースB3お
よびパワートランジスタ41dのベースB4の中のいず
れか1つのベースに入力され、パワートランジスタ41
a,41b,41c,41dをオンする信号である。オ
フ信号は、パワートランジスタ41aのベースB1、パ
ワートランジスタ41bのベースB2、パワートランジ
スタ41cのベースB3およびパワートランジスタ41
dのベースB4の中で、ステッピングモータ33を駆動
する場合にはオン信号が入力されない3つのベースに入
力され、ステッピングモータ33を駆動しない場合には
全てのベースに入力され、パワートランジスタ41a,
41b,41c,41dをオフする信号である。オン信
号を入力する順序は、ベースB1→ベースB2→ベース
B3→ベースB4→ベースB1またはベースB1→ベー
スB4→ベースB3→ベースB2→ベースB1の順であ
る。どちらの順にするかは、入力軸5c(すなわち、サ
ンギア11a)の回転方向と同方向にリングギア11c
を回転させるためにステッピングモータ33を回転させ
る方向によって決まり、入力軸回転角信号IRの2つの
パルス信号の位相のずれ方向に基づいて判定している。
なお、第2の実施の形態では、電動機制御信号VOは、
電力増幅回路41のベースB1〜B4に出力するオン信
号、オフ信号で構成される。
【0078】電力増幅回路41について説明する。電力
増幅回路41は、4個のパワートランジスタ41a,4
1b,41c,41bで構成されている。パワートラン
ジスタ41a,41b,41c,41bのエミッタE
1,E2,E3,E4は前記したようにステッピングモ
ータ33の導線33g,33h,33i,33jの一端
に各々接続されており、コレクタC1,C2,C3,C
4は接地されており、ベースB1,B2,B3,B4は
信号乗算回路40に接続されている。パワートランジス
タ41a,41b,41c,41dは、各ベースB1,
B2,B3,B4にオン信号またはオフ信号が入力さ
れ、オン信号が入力された時にオンし、オフ信号が入力
された時にオフする。そして、電力増幅回路41では、
電動機制御信号VOに基づいてパワートランジスタ41
a,41b,41c,41dが順次オンし、ステッピン
グモータ33のステータコイル33c,33d,33
e,33fに順次電力パルスPS1,PS2,PS3,
PS4を供給する。
【0079】以上のオープン制御では、入力軸回転角信
号IRの1パルス(入力軸5cが一定角度回転する)毎
に、信号乗算回路40では乗算定数個分のオン信号を電
力増幅回路41のベースB1,B2,B3,B4に順次
出力し、さらに電力増幅回路41では乗算定数分の電力
パルスPSをステッピングモータ33のステータコイル
33c,33d,33e,33fに順次供給する。する
と、ステッピングモータ33では、ステータコイル33
c,33d,33e,33fが順次励磁し、マグネット
ロータ33bが1ステップ90°の回転を乗算定数回行
う。
【0080】それでは、図2、図4および図5を参照し
て、電動パワーステアリング装置31の動作について説
明する。ここでは、全てのシステムが正常の場合とステ
ッピングモータ33が故障の場合とに分けて説明する。
なお、以下の説明では、第1の実施の形態で説明してい
る箇所については、その説明を省略している。
【0081】まず、正常の場合について説明する。ドラ
イバが、ステアリングホイール3を回転操作したとす
る。すると、ステアリング系Sでは、その回転操作がス
テアリング軸4、連結軸5、自在継ぎ手5a,5bを介
して入力軸5cに伝達される。
【0082】入力軸5cが回転すると、電動パワーステ
アリング装置31の遊星式歯車機構11では、第1の実
施の形態と同様に、出力軸7cを回転させる。すると、
ステアリング系Sでは、出力軸7cの回転をラック&ピ
ニオン機構7を介して転舵輪W,Wに伝達し、転舵輪
W,Wを転舵させる。なお、電動パワーステアリング装
置31でも、第1の実施の形態と同様に、遊星式歯車機
構11の作用により入力軸5cからの入力トルクが軽減
され、ドライバが転舵輪W,Wを転舵させるために必要
とされるステアリングホイール3への操舵トルクが常時
軽減される。
【0083】さらに、電動パワーステアリング装置31
では、入力軸回転角センサ35が入力軸5cの回転を検
出して入力軸回転角信号IRを制御装置34に出力して
いる。
【0084】そして、電動パワーステアリング装置31
の制御装置34では、信号乗算回路40で入力軸回転角
信号IRの各パルスを乗算定数倍し、さらに乗算パルス
と入力軸回転角信号IRの2つのパルスの位相ずれに基
づいて電動機制御信号VOを生成する。そして、制御装
置34では、電力増幅回路41で電動機制御信号VOに
対応してパワートランジスタ41a,41b,41c,
41dが順次オンし、ステッピングモータ33のステー
タコイル33c,33d,33e,33fに電力パルス
PS1,PS2,PS3,PS4を順次供給する。
【0085】すると、ステッピングモータ33では、ス
テータコイル33c,33d,33e,33fが順次励
磁し、導線33g,33h,33i,33jに励磁電流
IS1,IS2,IS3,IS4が順次流れる。そし
て、ステッピングモータ33では、入力軸5c(サンギ
ア11a)と同方向にリングギア11cを回転させる方
向に、マグネットロータ33bが90°毎にステップ回
転する。
【0086】ステッピングモータ33が駆動すると、電
動パワーステアリング装置31のウォームギア機構12
では、第1の実施の形態と同様に、ステッピングモータ
33の回転をウォームギア12cと外周ギア12aとの
ギア比によって減速してリングギア11cに伝達してい
る。
【0087】ステッピングモータ33の駆動力によって
リングギア11cがサンギア11aと同方向に回転する
と、遊星式歯車機構11では、このリングギア11cの
回転によってプラネタリキャリア11fの回転が促進さ
れる。そのため、遊星式歯車機構11では、プラネタリ
キャリア11f(出力軸7c)を回転させるためのサン
ギア11a(入力軸5c)の回転が低減される。その結
果、ドライバが転舵輪W,Wを転舵させるために必要と
されるステアリングホイール3への回転数が、低減され
る。
【0088】さらに、制御装置34では入力軸5cと出
力軸7cとの回転比を一定とするためにステッピングモ
ータ33の駆動(ひいては、リングギア11cの回転)
をオープン制御しているので、遊星式歯車機構11で
は、このリングギア11cの回転によってサンギア11
aとプラネタリキャリア11fとの回転比が一定となっ
ている。その結果、ステアリング系S全体での減速比が
一定となり、ステアリングホイール3の回転操作に対し
て一定の減速比で転舵輪W,Wが転舵する。
【0089】このように、電動パワーステアリング装置
31では、遊星式歯車機構11の作用によってステアリ
ングホイール3の操舵トルクを軽減するとともに、ステ
ッピングモータ33の駆動力と遊星式歯車機構11の作
用とによってステアリングホイール3の回転数を低減す
る。さらに、電動パワーステアリング装置31では、制
御装置34のオープン制御によってステアリングホイー
ル3の操舵角に対して転舵輪W,Wの転舵角を一定にす
る。
【0090】次に、ステッピングモータ33が故障した
場合について説明する。ドライバが、ステアリングホイ
ール3を回転操作したとする。すると、ステアリング系
Sでは、その回転操作がステアリング軸4、連結軸5、
自在継ぎ手5a,5bを介して入力軸5cに伝達され
る。
【0091】入力軸5cが回転すると、電動パワーステ
アリング装置31の遊星式歯車機構11では、前記した
ように、サンギア11aとプラネタリギア11b,11
b,・・・を介して出力軸7cを回転させる。
【0092】さらに、電動パワーステアリング装置31
では、前記したように、制御装置34では入力軸回転角
センサ35からの入力軸回転角信号IRに基づいて電動
機制御信号VOを生成している。そして、制御装置34
では、電力増幅回路41で電動機制御信号VOに基づい
てステッピングモータ33のステータコイル33c,3
3d,33e,33fに電力パルスPS1,PS2,P
S3,PS4を順次供給する。
【0093】しかし、ステッピングモータ33は、故障
しているので、駆動しない。ちなみに、ステッピングモ
ータ33の故障を検出する手段を設け、故障を検出した
ときにはステッピングモータ33に電力パルスPSを印
加しないように構成してもよい。
【0094】したがって、電動パワーステアリング装置
31のウォームギア機構12では、ステッピングモータ
33の非駆動によってウォーム軸12bが回転しないの
で、リングギア11cを回転させることはない。また、
ウォームギア機構12では、リングギア11cの回転を
ウォーム軸12bに伝達しない。そのため、入力軸5c
(サンギア11a)の回転が、リングギア11cを介し
てステッピングモータ33に伝達されない。
【0095】その結果、電動パワーステアリング装置3
1でも、第1の実施の形態と同様に、遊星式歯車機構1
1ではリングギア11が固定した状態で入力軸5cの回
転をサンギア11aとプラネタリキャリア11fとのギ
ア比で減速して出力軸7cを回転させ、ステアリング系
Sでこの出力軸7cの回転をラック&ピニオン機構7を
介して転舵輪W,Wに伝達し、転舵輪W,Wが転舵す
る。
【0096】このようにステッピングモータ33が故障
した場合でも、電動パワーステアリング装置31では、
ウォームギア機構12の作用によってステアリングホイ
ール3の回転操作によって転舵輪W,Wを転舵させるこ
とができるとともに、遊星式歯車機構11の作用によっ
てステアリングホイール3からの操舵トルクを軽減す
る。
【0097】この電動パワーステアリング装置31によ
れば、入力軸回転角信号IRに基づいてオープン制御に
よってステッピングモータ33の駆動を制御することに
よってステアリング系S全体の減速比を一定にしなが
ら、遊星式歯車機構11によってドライバが作用させる
操舵トルクを軽減するとともに、ステッピングモータ3
3の駆動力によってドライバが入力する回転数を低減す
る。また、電動パワーステアリング装置31によれば、
ステッピングモータ33の故障等によって回転数のアシ
ストができない場合でも、ウォームギア機構12によっ
て転舵輪W,Wの転舵を可能とする。さらに、パワース
テアリング装置31では、ステッピングモータ33を用
いることによってオープン制御が可能となり、制御装置
34をCPU無しで構成できる。また、電動パワーステ
アリング装置31でも、第1の実施の形態と同様に、操
舵トルクセンサによるコストアップがなく、ステアリン
グ系Sにトーションバーを配設しなくてよいのでステア
リングの剛性が低下しない。
【0098】以上、本発明の実施の形態について説明し
たが、本発明は、前記の実施の形態に限定されることな
く、様々な形態で実施される。例えば、本実施の形態で
は差動装置として遊星式歯車機構を用いたが、他の機構
による差動装置でもよい。また、本実施の形態では逆転
防止手段としてウォームギア機構を用いたが、他の機構
による逆転防止手段でもよい。また、本実施の形態では
サンギアにステアリングホイールを連結し、プラネタリ
ギアに転舵輪を連結し、リングギアに電動機を連結する
構成としたが、プラネタリギアに電動機を連結し、リン
グギアに転舵輪を連結する構成でもよい。また、本実施
の形態では第1回転検出手段および第2回転検出手段と
して回転角を検出する入力軸回転角センサおよび出力軸
回転角センサとしたが、回転速度、回転加速度、回転位
相等の他の回転要素を検出する手段としてもよい。
【0099】
【発明の効果】本発明の請求項1に係る電動パワーステ
アリング装置は、差動装置の作用によって操舵トルクを
軽減するとともに、電動機制御手段の制御によって第1
の要素と第2の要素との回転比を一定にしながら電動機
を駆動し、この駆動力と差動装置の作用によってステア
リングホイールの回転数を低減する。そのため、この電
動パワーステアリング装置は、操舵トルク等の車両の運
転状態や車速等の車両の挙動を検出する必要がないの
で、操舵トルクセンサ等によってコストアップすること
なく、トーションバーによってステアリングの剛性が低
下しない。
【0100】本発明の請求項2に係る電動パワーステア
リング装置は、第1回転検出手段で検出した第1の要素
の回転と第2回転検出手段で検出した第2の要素の回転
とに基づいて、電動機制御手段によるフィードバック制
御によって高精度に第1の要素と第2の要素との回転比
を一定にすることができる。
【0101】本発明の請求項3に係る電動パワーステア
リング装置は、回転検出手段で検出した第1の要素の回
転角に基づいて、電動機制御手段によるオープン制御に
よってステッピングモータの駆動を制御し、第1の要素
と第2の要素との回転比を一定にすることができる。そ
の結果、この電動パワーステアリング装置では、電動機
制御手段にCPUを必要としないので、低コストで構成
することができる。
【0102】本発明の請求項4に係る電動パワーステア
リング装置は、電動機等が故障した場合でも、逆転防止
手段の作用により第3の要素から電動機側に回転を伝達
しないので、第3の要素が固定した状態で差動装置が動
作し、軽減された操舵トルクによるステアリングホイー
ル操作によって転舵輪を転舵させることができる。その
ため、この電動パワーステアリング装置では、フェイル
アンドセーフ機構を逆転防止手段によって簡単に構成で
きる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1の実施の形態に係る電動パワーステアリン
グ装置の全体構成図である。
【図2】本実施の形態に係る遊星式歯車機構の一部破断
側面図である。
【図3】第1の実施の形態に係る制御装置の構成図であ
る。
【図4】第2の実施の形態に係る電動パワーステアリン
グ装置の全体構成図である。
【図5】第2の実施の形態に係る制御装置およびステッ
ピングモータの構成図である。
【符号の説明】
1,31・・・電動パワーステアリング装置 3・・・ステアリングホイール 11・・・遊星式歯車機構(差動装置) 11a・・・サンギア(第1の要素) 11b・・・プラネタリギア 11c・・・リングギア(第3の要素) 11f・・・プラネタリキャリア(第2の要素) 12・・・ウォームギア機構(逆転防止手段) 13・・・DCモータ(電動機) 14,34・・・制御装置(電動機制御手段) 15・・・入力軸回転角センサ(第1回転検出手段) 16・・・出力軸回転角センサ(第2回転検出手段) 33・・・ステッピングモータ(電動機) 35・・・入力軸回転角センサ(回転角検出手段) W・・・転舵輪

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 電動機と、前記電動機の駆動を制御する
    電動機制御手段とを備える電動パワーステアリング装置
    であって、 第1の要素がステアリングホイールに連結され、第2の
    要素が転舵輪に連結され、第3の要素が前記電動機に連
    結される差動装置を備え、 前記電動機制御手段は、車両の運転状態および挙動にか
    かわらず、前記第1の要素と前記第2の要素との回転比
    が一定になるように前記電動機を制御することを特徴と
    する電動パワーステアリング装置。
  2. 【請求項2】 前記第1の要素の回転を検出する第1回
    転検出手段と、 前記第2の要素の回転を検出する第2回転検出手段と、 を備え、 前記電動機制御手段は、前記第1回転検出手段からの信
    号と前記第2回転検出手段からの信号とに基づいて前記
    第1の要素と前記第2の要素との回転比が一定になるよ
    うに前記電動機を制御することを特徴とする請求項1に
    記載の電動パワーステアリング装置。
  3. 【請求項3】 前記第1の要素の回転角を検出する回転
    角検出手段を備え、 前記電動機は、ステッピングモータからなり、 前記電動機制御手段は、前記回転角検出手段からの信号
    に基づいて前記第1の要素の所定倍の回転比で前記電動
    機を制御することを特徴とする請求項1に記載の電動パ
    ワーステアリング装置。
  4. 【請求項4】 前記電動機と前記第3の要素との間に配
    設され、前記電動機から前記第3の要素に回転を伝達
    し、前記第3の要素から前記電動機に回転を伝達しない
    逆転防止手段を備えることを特徴とする請求項1乃至請
    求項3のいずれか1項に記載の電動パワーステアリング
    装置。
JP2001160431A 2001-05-29 2001-05-29 電動パワーステアリング装置 Withdrawn JP2002347634A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2001160431A JP2002347634A (ja) 2001-05-29 2001-05-29 電動パワーステアリング装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2001160431A JP2002347634A (ja) 2001-05-29 2001-05-29 電動パワーステアリング装置

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2002347634A true JP2002347634A (ja) 2002-12-04
JP2002347634A5 JP2002347634A5 (ja) 2005-07-21

Family

ID=19003850

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2001160431A Withdrawn JP2002347634A (ja) 2001-05-29 2001-05-29 電動パワーステアリング装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2002347634A (ja)

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN103287493A (zh) * 2013-06-25 2013-09-11 盐城工学院 一种转向驱动轮
CN105501292A (zh) * 2016-01-05 2016-04-20 浙江工业大学 一种三支点叉车电动助力转向装置
CN105645315A (zh) * 2016-01-05 2016-06-08 浙江工业大学 一种三支点叉车电动助力转向控制方法

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN103287493A (zh) * 2013-06-25 2013-09-11 盐城工学院 一种转向驱动轮
CN105501292A (zh) * 2016-01-05 2016-04-20 浙江工业大学 一种三支点叉车电动助力转向装置
CN105645315A (zh) * 2016-01-05 2016-06-08 浙江工业大学 一种三支点叉车电动助力转向控制方法

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5948843B2 (ja) 車両用操舵装置
US20120111658A1 (en) Vehicular steering control apparatus
US8571757B2 (en) Steering apparatus for a vehicle
JP2006273155A (ja) 電動パワーステアリング装置
JPH1134892A (ja) 電動パワーステアリング装置
JP4737391B2 (ja) モータ駆動制御方法及びモータ駆動制御装置
WO2019224873A1 (ja) 操舵装置
JP3539468B2 (ja) 車両用操舵装置
US20030042067A1 (en) Electric power steering device and control method thereof
JP2004161147A (ja) 電動式ステアリングの制御装置
JP2004114755A (ja) 電動パワーステアリング装置
JP2002347634A (ja) 電動パワーステアリング装置
JP2004042829A (ja) 車両用操舵装置
JP6326171B1 (ja) 操舵制御装置、電動パワーステアリング装置
KR102135276B1 (ko) 동력 보조 제어 장치 및 동력 보조 제어 방법
JP5293136B2 (ja) 車両用操舵装置
JP2013212837A (ja) 操舵制御装置
JPH0867266A (ja) 電動パワーステアリング装置
JP5780421B2 (ja) 車両用操舵装置
JP2006182056A (ja) 車両用操舵装置
JP2008067570A (ja) モータ制御装置
JPH10329743A (ja) 操舵制御装置
JP2004058800A (ja) 電動パワーステアリング装置
JP2005323434A (ja) 電動車両
JPH05338544A (ja) モータ制御装置

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20041102

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20041130

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20060922

A761 Written withdrawal of application

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A761

Effective date: 20061106