JP2002345787A - 血栓計測装置 - Google Patents
血栓計測装置Info
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Abstract
中の血液内の血栓を正確かつ簡単に計測可能とする。 【解決手段】 血液層11にレーザー光又は発光ダイオ
ード光をパルス光として照射し、パルス光の各パルスに
対する反射光又は透過光の光量を計測して、この計測デ
ータから上記血液中の血栓を検出する。
Description
し、特に血流中に含まれる浮遊血栓及び血管や人工心臓
内壁に付着した付着血栓を計測する装置であり、血管、
人工臓器、人工血管の内壁等に形成される血栓の成長状
況等を捉えるための有用な情報を得ることを可能とする
ものである。
て形成される血栓は、脳梗塞、エコノミー症候群、その
他の循環器系の疾患の原因となり、又、人工心臓等の機
能不全の原因となっており、血栓の発生、成長を計測
し、その状況を把握することは、血圧計で血圧を把握し
高血圧、心臓病等を予防すると同様に、上記疾患の予防
や人工心臓の機能向上に欠かせぬ事項である。
ン(Hb)は、光を吸収・散乱反射する性質をもってお
り、その光学特性は血液中のHb密度や酸素飽和度、光路
長によって影響を受けることが知られている。この性質
を利用し、本発明者等は、近赤外線レーザー光を用いて
血栓の形成過程を計測する手法について研究を行なって
おり、人工心臓内に付着した血栓の検出に成功した。
は、血管壁や人工心臓等に付着・成長という過程に限ら
ず、血流中においても進行する可能性があり、これら血
栓(「栓子」ともいう。)の発生、成長状況を日常手軽
に把握できる装置の開発が望まれている。 しかしなが
ら、特に血流中の血栓は、刻々と変化する血液の流れに
おいて移動しており、外部から血液中にレーザー光を照
射しても、血流の流れが変化するためにこれがノイズと
なり血栓の計測は困難である。
ルギー強度を上げることも考えられるが、レーザー光は
血管を破壊しやすいためにエネルギー強度を上げること
はできない。又、血液の飽和濃度により照射したレーザ
ー光の透過度が異なり、透過光の違いは飽和濃度の差に
よるものか血栓によるものか区別がつかないという問題
がある。
を目的とするものであり、小さなエネルギーのレーザー
光を照射することで、付着血栓だけでなく、流動中の血
液内の浮遊血栓も正確かつ簡単に計測することができる
血栓計測装置を実現することを課題とする。
部位から血液流出部位に至る領域内における血栓を計測
し、そこに付着形成される血栓の成長過程を捉えられる
ような計測手段を実現することで、人工心臓の信頼性の
向上及び長寿命化を図ることを課題とする。
するために、血液にレーザー光又は発光ダイオード光を
パルス光又は連続光として照射し、上記パルス光又は連
続光に対する反射光又は散乱透過光の光量を計測して、
この計測のデータから上記血液中の血栓を計測すること
を特徴とする血栓計測装置を提供する。
にレーザー光又は発光ダイオード光をパルス光又は連続
光として照射し、上記パルス光に対する反射光又は散乱
透過光の光量をサンプリング計測することにより検出す
る発光計測処理部と、データ処理部とを備えた血栓計測
装置であって、上記データ処理部は、上記発光計測処理
部で得られた反射光又は透過光の信号波形のパターン認
識を行い、血栓に起因する変化を検出するパターン認識
装置を有することを特徴とする血栓計測装置を提供す
る。
にレーザー光又は発光ダイオード光をパルス光として照
射し、上記パルス光に対する反射光又は散乱透過光の光
量をサンプリング計測することにより検出する発光計測
処理部と、上記発光計測処理部で得られた計測データに
基づいて、上記血液中の血栓の計測値を算出するデータ
処理部と、を備えた血栓計測装置であって、上記発光計
測処理部は、点減周波数を、血液流速及び計測対象とす
る血栓・栓子の大きさに応じて決定し、連続的に又は該
点減周波数の2倍以上の計測サンプリング周波数で計測
し、上記データ処理部は、上記パルス光に対する微小時
間毎の計測データを平滑化することで、その平滑化デー
タが示すデータのトレンドおよび閾値を判定する手段
と、上記パルス光に対する微小時間毎の計測データを平
滑化することで、その平滑化データが示すデータのトレ
ンドから血栓形成のトレンドを得る手段と、上記パルス
光に対する微小時間毎の計測データ間の差分又は微分の
変化率を夫々自乗することで微小時間の変化率を求め、
該変化率の分散・標準偏差を算出することにより血栓に
関する情報を得る手段と、血栓以外の要因によるパルス
光に対する反射光又は散乱透過光の光量の変動ノイズの
S/N比を照合して血栓検出の閾値を決める手段と、該
閾値を超えるデータ数をカウントして血栓の指標を得る
手段と、計測サンプリング周波数又は点減周波数および
血流速度情報から、血栓・栓子のサイズを取得する手段
と、を有することを特徴とする血栓計測装置を提供す
る。
にレーザー光又は発光ダイオード光を連続光として照射
し、上記連続光に対する反射光又は散乱透過光の光量を
サンプリング計測することにより検出する発光計測処理
部と、上記発光計測処理部で得られた計測データに基づ
いて、上記血液中の血栓の計測値を算出するデータ処理
部と、を備えた血栓計測装置であって、発光計測処理部
は、計測サンプリング周波数を、血液流速及び計測対象
とする血栓・栓子の大きさに応じて決定して計測する手
段と、を有し、上記データ処理部は、上記連続光に対す
る微小時間毎の計測データを平滑化することで、その平
滑化データが示すデータのトレンドおよび閾値を判定す
る手段と、上記連続光に対する微小時間毎の計測データ
を平滑化することで、その平滑化データが示すデータの
トレンドから血栓形成のトレンドを得る手段と、上記連
続光に対する微小時間毎の計測データ間の差分又は微分
の変化率を夫々自乗することで微小時間の変化率を求
め、該変化率の分散・標準偏差を算出することにより血
栓に関する情報を得る手段と、血栓以外の要因による連
続光に対する反射光又は散乱透過光の光量の変動ノイズ
のS/N比を照合して血栓検出の閾値を決める手段と、
該閾値を超えるデータ数をカウントして血栓の指標を得
る手段と、計測測サンプリング周波数又は点減周波数お
よび血流速度情報から、血栓・栓子のサイズを取得する
手段と、を有することを特徴とする血栓計測装置を提供
する。
z〜1MHzであり、その発光波長が600〜1200
nmである構成としてもよい。
光側光ファイバプローブから血液中に照射され、上記反
射光又は透過光は受光側光ファイバプローブで受光され
る構成としてもよい。
光ファイバプローブは、人工心臓内の血液流入部位から
血液流出部位に至る領域内において、人工心臓内の血液
接触面の外側もしくは直接血液層に挿入あるいは設置さ
れており、上記領域内で付着形成される血栓の成長過程
を捉えられる構成としてもよい。
光ファイバプローブは、上記領域内における人工心臓内
の血液送出用のインペラの軸受部の近辺に設置されてい
る構成としてもよい。
の形態を、実施例に基づいて図面を参照して以下説明す
る。
る基本的な原理を示す図である。外部から血液に対しレ
ーザー光を照射すると、血液層に入射したレーザー光
は、通常の赤血球による反射散乱光成分、及び付着血栓
による反射散乱光成分の両成分の光として、血液中を透
過して進行する。
影響は、血液の状態によって刻々と変化するため、透過
光量(反射光量としてもよい)を連続的に計測し、その
光量変化を観測することによりさまざまな血液の性質の
変化を観察することが可能となる。
でない物質が入り込んだ場合、部分的なヘモグロビン
(Hb)密度の違いや反射率の違いを生じるため、血栓の
存在が光量の変化となって現れてくる。
当たりの赤血球の体積比、即ち、単位体積当たりの赤血
球の体積濃度を示す。Htとも表記する。)等の変化も同
様にHb密度の変化に関係する要因であり、光量変化に影
響を及ぼすが、その変化は緩やかであるのに対し、血栓
の有無による変化は急激であるため容易に識別が可能で
ある。本発明の基本的な原理は、このようにレーザー光
を用いた、血栓による光路・透過光量の変化で血栓を計
測する点である。
説明する。血液の光学的特性は、血球成分(特に赤血球
内部のヘモグロビン)によって決定される。血栓は通常
血液中に存在する物質(血球やその残骸を取り込んだ織
維質)によって構成されるが、その構成は通常の赤血球
とは異なることから、光学的特性にも影響を与え、赤血
球の流れによる信号成分と血栓に起因する信号成分では
その強度に変化が生じると考えられる。
成分のデータを処理して血栓を検出し、識別するデータ
処理部として、次の(1)、(2)に説明する二つのタ
イプの検出処理手段を想到した。図2、3は、本発明に
係る血栓計測装置で計測して得られる経過時間の受光量
の変化を示す信号波形を説明するための図であり、この
図で二つのタイプの検出処理手段の概念を説明する。
処理手段 図2(a)における矢印A及び図2(b)で示すその拡
大部分(拡大部分は受光量の変化をmVのオーダーでと
らえた状態を示す。)は、通常血液の流れのパターンで
ある。そして、時間が経過して計測される矢印Bで示す
大きなパターン変化は、呼吸等により生じる血液濃度等
の変化に伴うものである。さらに、図2(a)の矢印C
及び図2(c)で示すその拡大部分は、血栓のパターン
を示す。図2(d)は、血栓のパターンが周期的に現れ
る状態を示す。
常の赤血球の流れによる計測の信号波形に対し、血栓に
起因する信号波形のパターンは、図2(c)、(d)で
示すように特有のパターンであることに着目し、血液層
にレーザーを照射し、その透過光や反射光の信号波形の
パターン認識を行うことで、血栓に起因する変化を検出
し、血栓を捉える手段である。データ処理部は、具体的
な検出処理手段として、信号波形をパターン認識する通
常のパターン認識装置を有する。
場合は信号波形のパターン認識が可能であるが、明確な
信号が得られない場合には、微少時間での信号処理を行
い統計的な処理を行って識別を行う。図3(a)、
(b)は、高周波信号に微少変化が生じる状態を示して
いるが、図2(c)、(d)のような明確な信号波形の
パターンは見らないので信号波形のパターン認識は不可
能である。
て、本発明では、信号処理を伴う検出処理手段を採用し
た。本発明に係る信号処理を伴う検出処理手段の概要
は、赤血球の流れによる計測信号成分は相応の確率分布
を示すのに対し、血栓に起因する変化はその分布に従わ
ないとの考えに着目し、血液層にレーザーを照射し、透
過光や反射光の強度変化を計測することで、血栓に起因
する変化を検出し計測し、血栓を捉える手段である。
的には、まずレーザー光計測による各計測データ間の差
分をとり、おのおの自乗することで微小時間での変化率
を求める。次に、変化率の分散・標準偏差を算出し、ノ
イズのS/N比を照らし合わせて血栓検出の閾値を決定
する。この閾値を越える(ノイズ成分の分布に従わな
い)データ数をカウントし、血栓指標と定義し、その血
栓発生の程度を解析するものである。
とすると変化率D(t)は、D(t)=(x(t)-x(t-1))2 で与え
られる。
である。即ち、ある任意の閾値を決定し血栓による信号
を分離する場合、血液層を透過する光量は血液の状態に
よって変化してしまうため、それに伴って信号のS/N
比も経時的に変化する。従って、血栓検出の閾値を任意
の定数に決定することは困難であるだけでなく、その信
頼性も低い。しかし、大まかな傾向をつかむことは可能
である。
として採用し、閾値を刻々と変化させることで受光量変
化に伴うS/N比の変動と血栓による信号を分離する。
要するに、判定のための閾値が理論的に決定でき、これ
を時々刻々変化させることにより常に理論的に信頼性の
ある閾値を再計算しながら導出している。
散σ2(T)及び標準偏差σ(T)をN秒毎に算出する
と、それぞれ式1で与えられる。(ここで、rはサンプ
リング周波数である。)
/N比を考慮に入れて血栓検出の閾値k*σ(T)を決
定し、この閾値を越える信号をLEMS(レーザーによ
る血栓指標:Laser-detected Micro Embolic Signals)
と定義する。又、血栓個々の信号を検出するだけでな
く、ある一定時間での個数を計数しその経時的変化によ
り血液全体の血栓化傾向・血栓生成状態を捉えることと
している。
れた、変化率、閾値を越える信号及び計測経過時間の関
連を示す図であり、凸部で検出された血栓の検出間隔、
状態を示す。即ち、赤血球(通常血液)での光散乱・反
射によって生じる信号は、その信号強度がある一定の確
率分布を維持するのに対し、血栓によって生じる信号は
通常血液とは異なる信号強度を持つ事から、赤血球によ
る確率分布から外れた位置にその分布を形成する。これ
により、血栓が検出され始めると図中の右側に示される
ように通常分布から外れた箇所に信号の山が現れ、縦軸
(Z軸)を血栓の個数として血栓検出が行われる。
測装置の具体的な構成を説明する図である。血栓計測装
置1は、大きくは、発光計測処理部2とデータ処理部3
(具体的にはパソコンを利用する。)とから構成され
る。発光計測処理部2は、レーザー装置4、光ファイバ
プローブ取付ヘッド5、送光側光ファイバプローブ6、
受光側光ファイバプローブ7及び光−電気信号変換装置
8とから構成されている。
側光ファイバプローブ6及び受光側光ファイバプローブ
7の基端が取り付けられており、例えば、血管、人工心
臓内壁、あるいは人工心臓のインペラのピボット(軸受
部)近辺等に夫々のプローブ6、7の先端が向けられる
ように、接着材層8等で取り付けられるように構成され
ている。送光側光ファイバプローブ6の基端はレーザー
装置4が接続されており、受光側光ファイバプローブ8
の基端は光−電気信号変換装置9を介してデータ処理部
3が接続されている。
栓10を計測する場合は、レーザー装置4からレーザー
光を送光側光ファイバプローブ6を通してから、血液層
11内に照射する。この反射光を受光側光ファイバプロ
ーブ8で受光し、受光電気信号変換装置9により電気検
出信号に変換する。この電気検出信号をデータ処理部3
に入力して、データ処理部3で信号データの解析、処理
を行い、血栓・栓子等の検出を行う。
置により生成したレーザー光を利用しているが、これ
は、照射光として用いる光は一定波長領域の狭い領域の
波長を有する光が必要であることによる。しかし、近
年、半導体技術の発展がめざましく、狭域の波長の光を
生じる発光ダイオードが開発されているので、発光ダイ
オードによる光を利用してもよい
照射する。この場合、パルス光を用いる場合には、パル
ス光の点減する周波数である点減周波数を、血液流速な
らびに計測対象とする血栓・栓子の大きさに応じて決定
し、連続的に又は該点減周波数の2倍以上の計測サンプ
リング周波数で計測する。又、連続光を用いる場合に
は、計測サンプリング周波数を、血液流速ならびに計測
対象とする血栓・栓子の大きさに応じて決定して計測す
る。
ることにより肺で酸素と化学反応を生じてHbO2となり血
液中に酸素をとりこむこととなるが、呼吸の状態等によ
り、血液に酸素を取り込んだ度合(酸素飽和度)が微妙
に異なる。本発明者等は、血液に光を照射すると、この
酸素飽和度によって光の吸収率が変化するという点を発
見し、これは上記レーザー光による血栓の計測において
外乱要素(ノイズ)となることに着眼した。
の酸素飽和度を変えた場合の光の吸収状態の関係を実験
した結果得られたグラフである。体内では赤血球に含ま
れるヘモグロビンは、酸素と結合した酸化ヘモグロビン
(HbO2)と酸化されていないヘモグロビン(Hb)に分け
られる。この2つの状態では、光に対する光吸収率が大
きく異なる。例えば、酸素をたっぷりと含んだ血液は鮮
血として色鮮やかである。一方、静脈血は酸素を手放し
ているのでどんよりと黒ずんでいる。これらの光吸収率
の状態を厳密に広い光の波長領域で示しているのが図6
である。
より赤血球中のヘモグロビンの酸素飽和度が大きく変動
しても、影響を受けないで血液に光を照射して光計測を
実施することができる。
よらず、ある波長領域では光吸収率が小さくなってい
る。このことは、波長によって血液層を通過しやすいか
否かが決まることになる。ある領域(800nm近辺か
ら1300nm近辺)の光を用いれば、強力な光を照射
しなくても、微弱な光を照射することで血栓に関する計
測情報を得ることが可能であることを意味している。
要なポイントは、本発明で用いるレーザー光の波長領域
は、ほぼ600nm近辺から1200nmを利用し、こ
れにより、ヘモグロビン(Hb)の光吸収率が実用上十分
低くかつ、この領域に等吸収点を含むため、2波長以上
の測定点を活用し、計算上、等吸収点とみなせる。つま
り、酸素飽和度の影響を受けない仕様とすることが可能
となる。それ以外の波長領域では、600nm未満で
は、光吸収率が高くなりS/Nが低下し1200nmを
こえた波長では、受光素子の感度が十分でなく血液中の
他の成分等の外乱が影響し精度のよい計測ができなくな
る。
体に良くないので、人体に全く影響のないエネルギーレ
ベルのレーザー光を血管にパルス光または連続光として
照射する。パルス光の点減周波数は、ほぼ10Hz〜1
MHzである。
り得られた計測波形であるが、緩やかな基礎曲線は呼吸
等により生じる低周波数の波であり、この波の影響は、
血栓の計測周波数と異なるのでその影響等は問題とはな
らない。
波成分が問題となる。これは、血栓のない状態において
も、赤血球の流れの影響を受け変動を繰り返す高周波の
信号成分である。この高周波の信号成分に血栓によるも
のが含まれている場合でも、血栓による変化がパルス的
であることから、高周波信号である上記の成分との分離
が困難である。もし、互いの信号成分を分離することが
出来るならば、血栓を計測することが可能となる。
り、赤血球の流れによる計測信号号成分は相応の確率分
布を示すのに対し、血栓に起因する変化はその分布に従
わないとの考えに着目し、血栓に起因する変化を検出し
計測す考えに基づいてデータ処理を行う。
ータ間の差分をとり、おのおの自乗することで微小時間
での変化率を求める。次に、変化率の分散・標準偏差を
算出し、ノイズのS/N比を照らし合わせて血栓検出の
閾値を決定する。この閾値を越える(ノイズ成分の分布
に従わない)データ数をカウントし、血栓指標と定義
し、その血栓発生の程度を解析するものである。
行う。そのために、データ処理部には、パルス光に対す
る微小時間毎の計測データ間の差分を夫々自乗すること
で微小時間の変化率を求め、該変化率の分散・標準偏差
を算出する手段と、血栓以外の要因によるパルス光に対
する反射光又は透過光の光量の変動ノイズのS/N比を
照合して血栓検出の閾値を決める手段と、この閾値を越
えるデータ数をカウントして血栓の指標を得る手段とを
設ける。
計測結果と浮遊血栓検出の過程の関連を説明するフロー
図である。この計測信号及びフロー図において、血液層
にレーザーを照射してその透過光を計測し、その計測結
果を予め記憶した通常の血液(血栓が含まれていない血
液)などの標準計測結果と比較し、特に光学特性に変化
がない場合は血液組成に変化がない(図8(イ)〜
(ハ)参照)。
リングでの計測を実施する。この結果、図5で説明した
ような緩やかな変動部分については、上述のとおり、酸
素飽和度や呼吸、拍動の変化によるものである。緩やか
な変動ではない変動部分は血栓に起因した変化と把握さ
れる(図8(ニ)〜(ト)参照)。
は、付着血栓に起因するものであり、周期的ではない単
発的な変動は、浮遊(浮遊しながら成長した血栓や付着
したものが剥離し浮遊する血栓)に起因するものであ
る。これら、周期的変動及び単発的な変動のない場合
は、浮遊血栓や付着血栓に至っていないがきわめて微小
な血栓が徐々に成長傾向にある状態である(図8(チ)
〜(リ)参照)。
血栓だけでなくすでに血管壁や人工心臓等の内壁に付着
して固形化した付着血栓の状態も検出することが可能と
なる。以上が図8のフロー図の概要であるが、さらに、
詳細に図8について、ステップ(イ)〜(リ)毎に説明
する。
液層に対してレーザー光を照射する。まず任意に計測領
域を決め、可能であれば、正確さを高めるために比較的
血栓が形成しにくい領域を参照領域とし、これら両領域
にレーザー光を照射する。レーザー光の波長範囲は血液
層を比較的通過しやすい600nm〜1200nmとす
る。参照領域を用いない場合には、Hctや酸素飽和度な
どの影響が少ないとして扱い、拍動の影響については実
際の拍動成分から判定される。
ーザー光を複数用いることで酸素飽和度やHctに関する
計測デニタを計測領域と別途独立して捉えることができ
るため、これら酸素飽和度とHctの影響で計測データが
変動しているのか否かが判定されることができる。以後
の処理では、計測領域で計測されたデータと本発明で処
理される演算により求められた演算データが用いられ
る。
・栓子、赤血球などの粒子)にあたり、反射・散乱を繰
り返すので、この反射・散乱光を受光部で計測する。
学特性に変化が無ければ「血液組成に変化なし」と判定
するが、ii)もし血液に対する光学特性に変化が有れば
「血液組成の変化」と判定される。ここで、血液組成に
変化があることを判定する際には、計測時のサンプリン
グ周波数は高速であることが望ましいが、アナログ的計
測を行い閥値により判定されるようにすることも可能で
ある。
測領域で計測されたデータが同様に「穏やかな変動を示
す場合」には、「血液組成も穏やかに変動していると判
定」し、「Hct値、酸素飽和度、拍動などによる変化」
が生じていると判定される。参照領域での計測を行わな
い場合には、上記(イ)に記したようにHct値、酸素飽
和度など影響は少ないとして扱い、拍動の影響について
は実際の拍動成分から判定される。
標準的な範囲外にある場合には、血栓・栓子化傾向にあ
ると判定される。
領域での計測データが異なる挙動を示し、計測領域の計
測データが「穏やかな変動を示す場合」には、「計測領
域にに血栓が付着形成されている」と判定される。
ータなどから血栓と認識される波形パターンと、計測さ
れた波形パターンとの間に類似性が認められた場合に
は、これを浮遊血栓・栓子であると判定する。当該発明
装置の運用を繰り返す事により、参照波形パターンデー
タを蓄積する事が出来る為、運用と共に徐々に効果を発
揮する。
領域での計測データが異なる挙動を示し、計測領域の計
測データが「急激で周期的な変動」を示す場合には「計
測領域の稼動部(後述するピボットやインペラなど)に
血栓が付着形成されている」、即ち、付着血栓が形成さ
れていると判定される。
「急激で単発的な変動」を示す場合には、計測領域を
「血栓・栓子が浮遊して通過」したと判定する。この段
階では、計測領域での計測データに対して、本発明で提
案した演算法が並行して用いられる。
いて計測する場合、光を照射するとその光は小さな浮遊
血栓や付着血栓に当り、受光部にはそれら血栓によって
影響された反射散乱光が戻ってくる。ただし、血液の濃
度が濃いため、戻ってくる反射散乱光はかなり減衰して
おり、受光部の信号をそのまま観察しても血栓に関する
情報を明確に捉えることは困難である。薄い血液中に血
栓がある場合には、付着血栓であるならば、原信号又は
原信号の微分値から検知可能である。
るいはその2乗値)を用いただけでほ不十分な検出結果
しか得られない場合は、上記に説明した本発明に係る標
準偏差を閾値のファクタとする判別手段を用いれば、検
出に必要となる判別閥値を理論的に決定できるから理論
的に明確な検出結果を得ることができるようになる。
微分値又は微分値の2乗値を用いても、ある程度血栓検
出は可能である。浮遊する血栓や可逆過程にある浮遊血
栓が血液中に漂う場合には(血栓ができそうになった血
液状態の血液を含む)上記の標準偏差をファクタを利用
したデータ処理が効果的である。
しているが、高速サンプリング計測は、血液中を流れ行
く血栓を的確に捉え、さらに、血栓サイズまで捉えるこ
とが可能となる。又、このサンプリング計測は浮遊血栓
だけでなく付着血栓についても、次の実施例2で説明す
るように、後述する人工心臓におけるインペラ(ロータ
回転体)の軸であるピボットに付着した血栓を検出する
場合には、高速サンプリング計測により、付着形状(軸
の全周に付着しているか、軸の特定部位に付着している
かを調べることが可能。)を捉えることが可能である。
インペラの回転速度に応じて適宜決定される。
いて実験を行った。実験対象は、体重25kg前後の豚
(雌)であり、サック型(拍動流空気圧駆動方式)人工
心臓を左心室心尖部脱血、上向大動脈送血にて装着し
た。この人工心臓の送血側カニューレに、送光側光ファ
イバプローブと受光側光ファイバプローブとを対向に設
置した。両プローブ間の光路長は4mmとし、光ファイ
バは、径が750μmのプラスチック光ファイバを使用
した。そして、血液層を透過するレーザー光の透過光量
の変化を経時的に計測した。
し、レーザー光を点減周波数12.5Hzで送光するよ
うに構成した。そして、受光側光ファイバプローブで得
られた受光データをサンプリング周波数1KHzで光−
電気信号変換装置により電気信号として出力し、この出
力信号を入力して処理するための処理部としてノート型
パソコンを設け、受光側光ファイバプローブからの出力
信号について、このノート型パソコンで上記データ処理
部の各手段で行うデータ処理を行うように構成した。
いて、従来の超音波による血液中の血栓による信号(Hi
gh Intensity Trasient Signals(HITS))を計測し、
レーザー計測と比較し考察を行なった。
である。この計測結果は、経過時間に対する透過光量
(光−電気信号変換装置で電圧に変換した電圧値として
示す。)との関係す。図7において、緩やかな基礎とな
る曲線は、人工心臓及び動物自体の拍動による数Hz程
度のノイズである。上記のとおり、血栓のない状態でも
赤血球の流れの影響を受けて変動を繰り返す信号成分
が、高周波信号として示されている。
タ処理した結果得られた血栓指標の経時変化(10分間
隔の変化)を示すグラフである。即ち、時間経過におけ
る上記閾値を越える検出信号、要するにレーザー光で検
出される血栓検出信号の変化を示した図である。なお、
同じ対象を超音波により検出した結果を図9中の丸印で
示す。
て、赤血球による高周波信号等のノイズ成分に影響を受
けてない、変化率の大きな血栓指標の経時変化データを
得ることができる。従来の超音波によるデータと比較し
ても、有為な相関が認められることが判明し、この点か
らも血栓指標が血流中の血栓の存在状態を示しているこ
とが分かる。
発明の実施例2を説明する図である。この実施例2は、
人工心臓に適用された血栓計測装置に関するものであ
る。この血栓計測装置12は、送光側光ファイバプロー
ブ13及び受光側光ファイバプローブ14を、人工心臓
15内の血液流入部位16から血液流出部位17に至る
領域内のいずれかの部位において、人工心臓内の血液接
触面18の外側に設置し、これにより、上記領域内での
浮遊血栓を計測できるとともに、人工心臓内壁に付着形
成される血栓20の成長過程を捉えられるようにするも
のである。
液流出部位17に至る領域内で、送光側光ファイバプロ
ーブ13及び受光側光ファイバプローブ14を設置する
部位としては、いろいろな部位が考えられるが、この実
施例2では、図10に示すように、送光側光ファイバプ
ローブ13及び受光側光ファイバプローブ14を人工心
臓15内の血液送出用のインペラ21のピボット軸受2
2の近辺に設置したものである。
である図10(b)は、固定子23を有するモータ24
と一体となった人工心臓15の構成を示している。即
ち、モータの固定子23上に血液送流室25が一体に形
成されており、この血液送流室25内にモータの回転子
であるインペラ21が、ピボット軸受22を中心に、か
つ磁気軸受26で支持されて回転可能に設けられてい
る。このような構造の人工心臓15では、要部拡大図
A、Bに示すように、ピボット軸受22近辺が血液の流
れが比較的に淀むために血液が滞留し血栓が付着・成長
しやすい。
では、固定子23の表面に中心に向かう半径方向の溝2
7を形成する。この溝27内に送光側光ファイバプロー
ブ13及び受光側光ファイバプローブ14を装着し、こ
れらの光ファイバプローブ13、14の先端がピボット
軸受22の近辺の血栓20が生じやすい箇所に向かうよ
うにしておく。
ローブ13及び受光側光ファイバプローブ14により、
ピボット軸受22近辺の血栓が生じやすい箇所にレーザ
装置からのレーザ光を照射しその反射光を受光側光ファ
イバ14で受光する。このようにして検出した受光信号
の電気的変換及びデータの処理による血栓の計測は実施
例1と同様である。
モータボックス28に隣接して血液送流室25を設け、
回転子23及びインペラ21に夫々磁石29を設けてイ
ンペラ21を回転させるものであり、このタイプの人工
心臓でも同様にピボット軸受22近くの血栓を検出する
送光側光ファイバプローブ12及び受光側光ファイバプ
ローブ13を配置したものである。
例であり、モータ一体型の人工心臓でにおいて、インペ
ラ21が磁気軸受30により浮遊して支持されている構
成である。この人工心臓では、やはりインペラ21の中
心部直下の部分に血栓が付着・成長しやすいので、図1
0(a)同様の送光側光ファイバプローブ13及び受光
側光ファイバプローブ14を設けることで血栓20を検
出する構成している。
形態を実施例に基づいて説明したが、本発明は特にこの
ような実施例に限定されることなく、特許請求の範囲記
載の技術的事項の範囲内でいろいろな実施例があること
はいうまでもない。
測に送光側光及び受光側に光ファイバプローブ、要する
光ファイバを利用したが、血栓の計測には光ファイバを
利用しなくても可能であり、計測対象位置は同じでも光
ファイバを介していないで計測する構成も可能である。
例えば、光ファイバ以外の手段として、レーザ光源から
の直接照射等も可能である。
測装置によると、次のような効果が生じる。 (1)小さなエネルギーのレーザー光を照射すること
で、血管等人体を傷つけることなく、外部から流動中の
血液内の血栓を正確かつ簡単に計測することができ、日
常の健康管理にきわめて便利な装置である。
の浮遊血栓及び付着血栓を計測することができ、人工臓
器の機能データを提供することができ、そのメインテナ
ンス用として活用可能であり、人工臓器の信頼性の向
上、長寿命化を図ることができる。
波形を説明する図である。
の信号波形を説明する図である。
化率、閾値を越える信号及び計測経過時間の関連を示す
図である。
る図である。
本発明の実施例1に利用するレーザー光と吸収率
の関連を説明する図である。
測結果を示すグラフである。
図である。
である。
計測装置を人工心臓に適用した構成を示す。
Claims (8)
- 【請求項1】 血液にレーザー光又は発光ダイオード
光をパルス光又は連続光として照射し、上記パルス光又
は連続光に対する反射光又は散乱透過光の光量を計測し
て、この計測のデータから上記血液中の血栓を計測する
ことを特徴とする血栓計測装置。 - 【請求項2】 血液にレーザー光又は発光ダイオー
ド光をパルス光又は連続光として照射し、上記パルス光
に対する反射光又は散乱透過光の光量をサンプリング計
測することにより検出する発光計測処理部と、データ処
理部とを備えた血栓計測装置であって、 上記データ処理部は、上記発光計測処理部で得られた反
射光又は透過光の信号波形のパターン認識を行い、血栓
に起因する変化を検出するパターン認識装置を有するこ
とを特徴とする血栓計測装置。 - 【請求項3】 血液にレーザー光又は発光ダイオード
光をパルス光として照射し、上記パルス光に対する反射
光又は散乱透過光の光量をサンプリング計測することに
より検出する発光計測処理部と、 上記発光計測処理部で得られた計測データに基づいて、
上記血液中の血栓の計測値を算出するデータ処理部と、
を備えた血栓計測装置であって、 上記発光計測処理部は、点減周波数を、血液流速及び計
測対象とする血栓・栓子の大きさに応じて決定し、連続
的に又は該点減周波数の2倍以上の計測サンプリング周
波数で計測し、 上記データ処理部は、 上記パルス光に対する微小時間毎の計測データを平滑化
することで、その平滑化データが示すデータのトレンド
および閾値を判定する手段と、 上記パルス光に対する微小時間毎の計測データを平滑化
することで、その平滑化データが示すデータのトレンド
から血栓形成のトレンドを得る手段と、 上記パルス光に対する微小時間毎の計測データ間の差分
又は微分の変化率を夫々自乗することで微小時間の変化
率を求め、該変化率の分散・標準偏差を算出することに
より血栓に関する情報を得る手段と、 血栓以外の要因によるパルス光に対する反射光又は散乱
透過光の光量の変動ノイズのS/N比を照合して血栓検
出の閾値を決める手段と、 該閾値を超えるデータ数をカウントして血栓の指標を得
る手段と、 計測サンプリング周波数又は点減周波数および血流速度
情報から、血栓・栓子のサイズを取得する手段と、を有
することを特徴とする血栓計測装置。 - 【請求項4】 血液にレーザー光又は発光ダイオード
光を連続光として照射し、上記連続光に対する反射光又
は散乱透過光の光量をサンプリング計測することにより
検出する発光計測処理部と、上記発光計測処理部で得ら
れた計測データに基づいて、上記血液中の血栓の計測値
を算出するデータ処理部と、を備えた血栓計測装置であ
って、 発光計測処理部は、 計測サンプリング周波数を、血液流速及び計測対象とす
る血栓・栓子の大きさに応じて決定して計測する手段
と、を有し、 上記データ処理部は、 上記連続光に対する微小時間毎の計測データを平滑化す
ることで、その平滑化データが示すデータのトレンドお
よび閾値を判定する手段と、 上記連続光に対する微小時間毎の計測データを平滑化す
ることで、その平滑化データが示すデータのトレンドか
ら血栓形成のトレンドを得る手段と、 上記連続光に対する微小時間毎の計測データ間の差分又
は微分の変化率を夫々自乗することで微小時間の変化率
を求め、該変化率の分散・標準偏差を算出することによ
り血栓に関する情報を得る手段と、 血栓以外の要因による連続光に対する反射光又は散乱透
過光の光量の変動ノイズのS/N比を照合して血栓検出
の閾値を決める手段と、該閾値を超えるデータ数をカウ
ントして血栓の指標を得る手段と、 計測測サンプリング周波数又は点減周波数および血流速
度情報から、血栓・栓子のサイズを取得する手段と、を
有することを特徴とする血栓計測装置。 - 【請求項5】 上記パルス光は、その点減周波数は1
0Hz〜1MHzであり、その発光波長が600〜12
00nmであることを特徴とする請求項3記載の血栓計
測装置。 - 【請求項6】 上記レーザー光又は発光ダイオード光
は送光側光ファイバプローブから血液中に照射され、上
記反射光又は透過光は受光側光ファイバプローブで受光
されることを特徴とする請求項1、2、3、4又は5記
載の血栓計測装置。 - 【請求項7】 上記送光側光ファイバプローブ及び受
光側光ファイバプローブは、人工心臓内の血液流入部位
から血液流出部位に至る領域内において、人工心臓内の
血液接触面の外側もしくは直接血液層に挿入あるいは設
置されており、上記領域内で付着形成される血栓の成長
過程を捉えられるようにしたことを特徴とする請求項6
記載の血栓計測装置。 - 【請求項8】 上記送光側光ファイバプローブ及び受
光側光ファイバプローブは、上記領域内における人工心
臓内の血液送出用のインペラの軸受部の近辺に設置され
ていることを特徴とする請求項7記載の血栓計測装置。
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