JP4680422B2 - 血栓計測装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、血栓計測装置に関し、特に血流中に含まれる浮遊血栓及び血管や人工心臓内壁に付着した付着血栓を計測する装置であり、血管、人工臓器、人工血管の内壁等に形成される血栓の成長状況等を捉えるための有用な情報を得ることを可能とするものである。
【0002】
【従来の技術】
血液が凝固して血管壁等に付着し固まって形成される血栓は、脳梗塞、エコノミー症候群、その他の循環器系の疾患の原因となり、又、人工心臓等の機能不全の原因となっており、血栓の発生、成長を計測し、その状況を把握することは、血圧計で血圧を把握し高血圧、心臓病等を予防すると同様に、上記疾患の予防や人工心臓の機能向上に欠かせぬ事項である。
【0003】
血液、特に赤血球中に含まれるヘモグロビン(Hb)は、光を吸収・散乱反射する性質をもっており、その光学特性は血液中のHb密度や酸素飽和度、光路長によって影響を受けることが知られている。この性質を利用し、本発明者等は、近赤外線レーザー光を用いて血栓の形成過程を計測する手法について研究を行なっており、人工心臓内に付着した血栓の検出に成功した。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、血栓の形成は、血管壁や人工心臓等に付着・成長という過程に限らず、血流中においても進行する可能性があり、これら血栓(「栓子」ともいう。)の発生、成長状況を日常手軽に把握できる装置の開発が望まれている。 しかしながら、特に血流中の血栓は、刻々と変化する血液の流れにおいて移動しており、外部から血液中にレーザー光を照射しても、血流の流れが変化するためにこれがノイズとなり血栓の計測は困難である。
【0005】
これを解決するために、レーザー光のエネルギー強度を上げることも考えられるが、レーザー光は血管を破壊しやすいためにエネルギー強度を上げることはできない。又、血液の飽和濃度により照射したレーザー光の透過度が異なり、透過光の違いは飽和濃度の差によるものか血栓によるものか区別がつかないという問題がある。
【0006】
本発明は、上記従来の問題を解決することを目的とするものであり、小さなエネルギーのレーザー光を照射することで、付着血栓だけでなく、流動中の血液内の浮遊血栓も正確かつ簡単に計測することができる血栓計測装置を実現することを課題とする。
【0007】
さらに、本発明は、人工心臓内の血液流入部位から血液流出部位に至る領域内における血栓を計測し、そこに付着形成される血栓の成長過程を捉えられるような計測手段を実現することで、人工心臓の信頼性の向上及び長寿命化を図ることを課題とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明は上記課題を解決するために、血液にレーザー光又は発光ダイオード光をパルス光又は連続光として照射し、上記パルス光又は連続光に対する反射光又は散乱透過光の光量を計測して、この計測のデータから上記血液中の血栓を計測することを特徴とする血栓計測装置を提供する。
【0009】
本発明は上記課題を解決するために、血液にレーザー光又は発光ダイオード光をパルス光又は連続光として照射し、上記パルス光又は連続光に対する反射光又は散乱透過光の光量をサンプリング計測することにより検出する発光計測処理部と、データ処理部とを備えた血栓計測装置であって、上記データ処理部は、上記発光計測処理部で得られた反射光又は透過光の信号波形のパターン認識を行い、血栓に起因する変化を検出するパターン認識装置を有することを特徴とする血栓計測装置を提供する。
【0010】
本発明は上記課題を解決するために、血液にレーザー光又は発光ダイオード光をパルス光として照射し、上記パルス光に対する反射光又は散乱透過光の光量をサンプリング計測することにより検出する発光計測処理部と、上記発光計測処理部で得られた計測データに基づいて、上記血液中の血栓の計測値を算出するデータ処理部と、を備えた血栓計測装置であって、上記発光計測処理部は、点減周波数を、血液流速及び計測対象とする血栓・栓子の大きさに応じて決定し、連続的に又は該点減周波数の2倍以上の計測サンプリング周波数で計測し、上記データ処理部は、上記パルス光に対する微小時間毎の計測データを平滑化することで、その平滑化データが示すデータのトレンドおよび閾値を判定する手段と、上記パルス光に対する微小時間毎の計測データを平滑化することで、その平滑化データが示すデータのトレンドから血栓形成のトレンドを得る手段と、上記パルス光に対する微小時間毎の計測データ間の差分又は微分の変化率を夫々自乗することで微小時間の変化率を求め、該変化率の分散・標準偏差を算出することにより血栓に関する情報を得る手段と、血栓以外の要因によるパルス光に対する反射光又は散乱透過光の光量の変動ノイズのS/N比を照合して血栓検出の閾値を決める手段と、該閾値を超えるデータ数をカウントして血栓の指標を得る手段と、計測サンプリング周波数又は点減周波数および血流速度情報から、血栓・栓子のサイズを取得する手段と、を有することを特徴とする血栓計測装置を提供する。
【0011】
本発明は上記課題を解決するために、血液にレーザー光又は発光ダイオード光を連続光として照射し、上記連続光に対する反射光又は散乱透過光の光量をサンプリング計測することにより検出する発光計測処理部と、上記発光計測処理部で得られた計測データに基づいて、上記血液中の血栓の計測値を算出するデータ処理部と、を備えた血栓計測装置であって、発光計測処理部は、計測サンプリング周波数を、血液流速及び計測対象とする血栓・栓子の大きさに応じて決定して計測する手段と、を有し、上記データ処理部は、上記連続光に対する微小時間毎の計測データを平滑化することで、その平滑化データが示すデータのトレンドおよび閾値を判定する手段と、上記連続光に対する微小時間毎の計測データを平滑化することで、その平滑化データが示すデータのトレンドから血栓形成のトレンドを得る手段と、上記連続光に対する微小時間毎の計測データ間の差分又は微分の変化率を夫々自乗することで微小時間の変化率を求め、該変化率の分散・標準偏差を算出することにより血栓に関する情報を得る手段と、血栓以外の要因による連続光に対する反射光又は散乱透過光の光量の変動ノイズのS/N比を照合して血栓検出の閾値を決める手段と、該閾値を超えるデータ数をカウントして血栓の指標を得る手段と、計測測サンプリング周波数又は点減周波数および血流速度情報から、血栓・栓子のサイズを取得する手段と、を有することを特徴とする血栓計測装置を提供する。
【0012】
上記パルス光は、その点減周波数は10Hz〜1MHzであり、その発光波長が600〜1200nmである構成としてもよい。
【0013】
上記レーザー光又は発光ダイオード光は送光側光ファイバプローブから血液中に照射され、上記反射光又は透過光は受光側光ファイバプローブで受光される構成としてもよい。
【0014】
上記送光側光ファイバプローブ及び受光側光ファイバプローブは、人工心臓内の血液流入部位から血液流出部位に至る領域内において、人工心臓内の血液接触面の外側もしくは直接血液層に挿入あるいは設置されており、上記領域内で付着形成される血栓の成長過程を捉えられる構成としてもよい。
【0015】
上記送光側光ファイバプローブ及び受光側光ファイバプローブは、上記領域内における人工心臓内の血液送出用のインペラの軸受部の近辺に設置されている構成としてもよい。
【0016】
【発明の実施の形態】
本発明に係る血栓計測装置の実施の形態を、実施例に基づいて図面を参照して以下説明する。
【0017】
図1は、本発明の血栓計測装置の前提となる基本的な原理を示す図である。外部から血液に対しレーザー光を照射すると、血液層に入射したレーザー光は、通常の赤血球による反射散乱光成分、及び付着血栓による反射散乱光成分の両成分の光として、血液中を透過して進行する。
【0018】
光が血液層を透過する過程において受ける影響は、血液の状態によって刻々と変化するため、透過光量(反射光量としてもよい)を連続的に計測し、その光量変化を観測することによりさまざまな血液の性質の変化を観察することが可能となる。
【0019】
レーザー光の光路内に血栓など通常の組成でない物質が入り込んだ場合、部分的なヘモグロビン(Hb)密度の違いや反射率の違いを生じるため、血栓の存在が光量の変化となって現れてくる。
【0020】
ここで、Hct(ヘマトクリット:単位体積当たりの赤血球の体積比、即ち、単位体積当たりの赤血球の体積濃度を示す。Htとも表記する。)等の変化も同様にHb密度の変化に関係する要因であり、光量変化に影響を及ぼすが、その変化は緩やかであるのに対し、血栓の有無による変化は急激であるため容易に識別が可能である。本発明の基本的な原理は、このようにレーザー光を用いた、血栓による光路・透過光量の変化で血栓を計測する点である。
【0021】
本発明の特徴をさらにその原理的な構成で説明する。血液の光学的特性は、血球成分(特に赤血球内部のヘモグロビン)によって決定される。血栓は通常血液中に存在する物質(血球やその残骸を取り込んだ織維質)によって構成されるが、その構成は通常の赤血球とは異なることから、光学的特性にも影響を与え、赤血球の流れによる信号成分と血栓に起因する信号成分ではその強度に変化が生じると考えられる。
【0022】
そこで本発明者等は、血栓に起因する信号成分のデータを処理して血栓を検出し、識別するデータ処理部として、次の(1)、(2)に説明する二つのタイプの検出処理手段を想到した。図2、3は、本発明に係る血栓計測装置で計測して得られる経過時間の受光量の変化を示す信号波形を説明するための図であり、この図で二つのタイプの検出処理手段の概念を説明する。
【0023】
(1)信号波形のパターン認識による検出処理手段
図2(a)における矢印A及び図2(b)で示すその拡大部分(拡大部分は受光量の変化をmVのオーダーでとらえた状態を示す。)は、通常血液の流れのパターンである。そして、時間が経過して計測される矢印Bで示す大きなパターン変化は、呼吸等により生じる血液濃度等の変化に伴うものである。さらに、図2(a)の矢印C及び図2(c)で示すその拡大部分は、血栓のパターンを示す。
図2(d)は、血栓のパターンが周期的に現れる状態を示す。
【0024】
この検出処理手段は、図2(b)で示す通常の赤血球の流れによる計測の信号波形に対し、血栓に起因する信号波形のパターンは、図2(c)、(d)で示すように特有のパターンであることに着目し、血液層にレーザーを照射し、その透過光や反射光の信号波形のパターン認識を行うことで、血栓に起因する変化を検出し、血栓を捉える手段である。データ処理部は、具体的な検出処理手段として、信号波形をパターン認識する通常のパターン認識装置を有する。
【0025】
(2)信号処理を伴う検出処理手段
図2(c)、(d)に示すように、明確な信号得られる場合は信号波形のパターン認識が可能であるが、明確な信号が得られない場合には、微少時間での信号処理を行い統計的な処理を行って識別を行う。図3(a)、(b)は、高周波信号に微少変化が生じる状態を示しているが、図2(c)、(d)のような明確な信号波形のパターンは見らないので信号波形のパターン認識は不可能である。
【0026】
このような場合の血栓を捉える手段として、本発明では、信号処理を伴う検出処理手段を採用した。本発明に係る信号処理を伴う検出処理手段の概要は、赤血球の流れによる計測信号成分は相応の確率分布を示すのに対し、血栓に起因する変化はその分布に従わないとの考えに着目し、血液層にレーザーを照射し、透過光や反射光の強度変化を計測することで、血栓に起因する変化を検出し計測し、血栓を捉える手段である。
【0027】
この信号処理を伴う検出処理手段は、具体的には、まずレーザー光計測による各計測データ間の差分をとり、おのおの自乗することで微小時間での変化率を求める。次に、変化率の分散・標準偏差を算出し、ノイズのS/N比を照らし合わせて血栓検出の閾値を決定する。この閾値を越える(ノイズ成分の分布に従わない)データ数をカウントし、血栓指標と定義し、その血栓発生の程度を解析するものである。
【0028】
計測によって得られた時系列データをx(t)とすると変化率D(t)は、
D(t)=(x(t)-x(t-1)) で与えられる。
【0029】
この変化率D(t)に関しては、以下のとおりである。即ち、ある任意の閾値を決定し血栓による信号を分離する場合、血液層を透過する光量は血液の状態によって変化してしまうため、それに伴って信号のS/N比も経時的に変化する。従って、血栓検出の閾値を任意の定数に決定することは困難であるだけでなく、その信頼性も低い。しかし、大まかな傾向をつかむことは可能である。
【0030】
そこで、本発明では、標準備差を基準単位として採用し、閾値を刻々と変化させることで受光量変化に伴うS/N比の変動と血栓による信号を分離する。要するに、判定のための閾値が理論的に決定でき、これを時々刻々変化させることにより常に理論的に信頼性のある閾値を再計算しながら導出している。
【0031】
任意の時刻t=Tでの平均値μ(T)、分散σ(T)及び標準偏差σ(T)をN秒毎に算出すると、それぞれ式1で与えられる。(ここで、rはサンプリング周波数である。)
【0032】
【式1】
Figure 0004680422
【0033】
この標準偏差σ(T)を基本単位とし、S/N比を考慮に入れて血栓検出の閾値kσ(T)を決定し、この閾値を越える信号をLEMS(レーザーによる血栓指標:Laser-detected Micro Embolic Signals)と定義する。又、血栓個々の信号を検出するだけでなく、ある一定時間での個数を計数しその経時的変化により血液全体の血栓化傾向・血栓生成状態を捉えることとしている。
【0034】
図4は、以上のような信号処理により得られた、変化率、閾値を越える信号及び計測経過時間の関連を示す図であり、凸部で検出された血栓の検出間隔、状態を示す。即ち、赤血球(通常血液)での光散乱・反射によって生じる信号は、その信号強度がある一定の確率分布を維持するのに対し、血栓によって生じる信号は通常血液とは異なる信号強度を持つ事から、赤血球による確率分布から外れた位置にその分布を形成する。これにより、血栓が検出され始めると図中の右側に示されるように通常分布から外れた箇所に信号の山が現れ、縦軸(Z軸)を血栓の個数として血栓検出が行われる。
【0035】
(実施例1)
図5は、本発明に係る血栓計測装置の具体的な構成を説明する図である。血栓計測装置1は、大きくは、発光計測処理部2とデータ処理部3(具体的にはパソコンを利用する。)とから構成される。発光計測処理部2は、レーザー装置4、光ファイバプローブ取付ヘッド5、送光側光ファイバプローブ6、受光側光ファイバプローブ7及び光−電気信号変換装置8とから構成されている。
【0036】
光ファイバプローブ取付ヘッド5は、送光側光ファイバプローブ6及び受光側光ファイバプローブ7の基端が取り付けられており、例えば、血管、人工心臓内壁、あるいは人工心臓のインペラのピボット(軸受部)近辺等に夫々のプローブ6、7の先端が向けられるように、接着材層8等で取り付けられるように構成されている。送光側光ファイバプローブ6の基端はレーザー装置4が接続されており、受光側光ファイバプローブ8の基端は光−電気信号変換装置9を介してデータ処理部3が接続されている。
【0037】
このような構成により血管内に付着する血栓10を計測する場合は、レーザー装置4からレーザー光を送光側光ファイバプローブ6を通してから、血液層11内に照射する。この反射光を受光側光ファイバプローブ8で受光し、受光電気信号変換装置9により電気検出信号に変換する。この電気検出信号をデータ処理部3に入力して、データ処理部3で信号データの解析、処理を行い、血栓・栓子等の検出を行う。
【0038】
本発明では照射光として半導体レーザー装置により生成したレーザー光を利用しているが、これは、照射光として用いる光は一定波長領域の狭い領域の波長を有する光が必要であることによる。しかし、近年、半導体技術の発展がめざましく、狭域の波長の光を生じる発光ダイオードが開発されているので、発光ダイオードによる光を利用してもよい
【0039】
この照射光は、パルス光又は連続光として照射する。この場合、パルス光を用いる場合には、パルス光の点減する周波数である点減周波数を、血液流速ならびに計測対象とする血栓・栓子の大きさに応じて決定し、連続的に又は該点減周波数の2倍以上の計測サンプリング周波数で計測する。又、連続光を用いる場合には、計測サンプリング周波数を、血液流速ならびに計測対象とする血栓・栓子の大きさに応じて決定して計測する。
【0040】
血液中のヘモグロビン(Hb)は、呼吸をすることにより肺で酸素と化学反応を生じてHbO2となり血液中に酸素をとりこむこととなるが、呼吸の状態等により、血液に酸素を取り込んだ度合(酸素飽和度)が微妙に異なる。本発明者等は、血液に光を照射すると、この酸素飽和度によって光の吸収率が変化するという点を発見し、これは上記レーザー光による血栓の計測において外乱要素(ノイズ)となることに着眼した。
【0041】
図6は、半導体レーザー光の波長と、血液の酸素飽和度を変えた場合の光の吸収状態の関係を実験した結果得られたグラフである。体内では赤血球に含まれるヘモグロビンは、酸素と結合した酸化ヘモグロビン(HbO2)と酸化されていないヘモグロビン(Hb)に分けられる。この2つの状態では、光に対する光吸収率が大きく異なる。例えば、酸素をたっぷりと含んだ血液は鮮血として色鮮やかである。一方、静脈血は酸素を手放しているのでどんよりと黒ずんでいる。これらの光吸収率の状態を厳密に広い光の波長領域で示しているのが図6である。
【0042】
この図6から次の▲1▼、▲2▼が把握できる。
▲1▼特定の波長をうまく選べば、生体内の酸素代謝などにより赤血球中のヘモグロビンの酸素飽和度が大きく変動しても、影響を受けないで血液に光を照射して光計測を実施することができる。
【0043】
▲2▼赤血球中のヘモグロビンの酸素飽和度によらず、ある波長領域では光吸収率が小さくなっている。このことは、波長によって血液層を通過しやすいか否かが決まることになる。ある領域(800nm近辺から1300nm近辺)の光を用いれば、強力な光を照射しなくても、微弱な光を照射することで血栓に関する計測情報を得ることが可能であることを意味している。
【0044】
よって、本発明に係る血栓計測装置1の重要なポイントは、本発明で用いるレーザー光の波長領域は、ほぼ600nm近辺から1200nmを利用し、これにより、ヘモグロビン(Hb)の光吸収率が実用上十分低くかつ、この領域に等吸収点を含むため、2波長以上の測定点を活用し、計算上、等吸収点とみなせる。つまり、酸素飽和度の影響を受けない仕様とすることが可能となる。それ以外の波長領域では、600nm未満では、光吸収率が高くなりS/Nが低下し1200nmをこえた波長では、受光素子の感度が十分でなく血液中の他の成分等の外乱が影響し精度のよい計測ができなくなる。
【0045】
そして、強いエネルギーのレーザー光は人体に良くないので、人体に全く影響のないエネルギーレベルのレーザー光を血管にパルス光または連続光として照射する。パルス光の点減周波数は、ほぼ10Hz〜1MHzである。
【0046】
図7は、後述する実験例で実際に実験により得られた計測波形であるが、緩やかな基礎曲線は呼吸等により生じる低周波数の波であり、この波の影響は、血栓の計測周波数と異なるのでその影響等は問題とはならない。
【0047】
しかしながら、図7に灰色の線で示す高周波成分が問題となる。これは、血栓のない状態においても、赤血球の流れの影響を受け変動を繰り返す高周波の信号成分である。この高周波の信号成分に血栓によるものが含まれている場合でも、血栓による変化がパルス的であることから、高周波信号である上記の成分との分離が困難である。もし、互いの信号成分を分離することが出来るならば、血栓を計測することが可能となる。
【0048】
そこで、上記原理的な構成で説明したとおり、赤血球の流れによる計測信号号成分は相応の確率分布を示すのに対し、血栓に起因する変化はその分布に従わないとの考えに着目し、血栓に起因する変化を検出し計測す考えに基づいてデータ処理を行う。
【0049】
要するに、レーザー光計測による各計測データ間の差分をとり、おのおの自乗することで微小時間での変化率を求める。次に、変化率の分散・標準偏差を算出し、ノイズのS/N比を照らし合わせて血栓検出の閾値を決定する。この閾値を越える(ノイズ成分の分布に従わない)データ数をカウントし、血栓指標と定義し、その血栓発生の程度を解析するものである。
【0050】
このデータ処理は、データ処理部において行う。そのために、データ処理部には、パルス光に対する微小時間毎の計測データ間の差分を夫々自乗することで微小時間の変化率を求め、該変化率の分散・標準偏差を算出する手段と、血栓以外の要因によるパルス光に対する反射光又は透過光の光量の変動ノイズのS/N比を照合して血栓検出の閾値を決める手段と、この閾値を越えるデータ数をカウントして血栓の指標を得る手段とを設ける。
【0051】
図8は、本発明に係る血栓計測装置による計測結果と浮遊血栓検出の過程の関連を説明するフロー図である。この計測信号及びフロー図において、血液層にレーザーを照射してその透過光を計測し、その計測結果を予め記憶した通常の血液(血栓が含まれていない血液)などの標準計測結果と比較し、特に光学特性に変化がない場合は血液組成に変化がない(図8(イ)〜(ハ)参照)。
【0052】
光学特性に変化がある場合は、高速サンプリングでの計測を実施する。この結果、図5で説明したような緩やかな変動部分については、上述のとおり、酸素飽和度や呼吸、拍動の変化によるものである。緩やかな変動ではない変動部分は血栓に起因した変化と把握される(図8(ニ)〜(ト)参照)。
【0053】
血栓に起因した変化のうち周期的な変動は、付着血栓に起因するものであり、周期的ではない単発的な変動は、浮遊(浮遊しながら成長した血栓や付着したものが剥離し浮遊する血栓)に起因するものである。これら、周期的変動及び単発的な変動のない場合は、浮遊血栓や付着血栓に至っていないがきわめて微小な血栓が徐々に成長傾向にある状態である(図8(チ)〜(リ)参照)。
【0054】
この図8のフロー図でも示すように、浮遊血栓だけでなくすでに血管壁や人工心臓等の内壁に付着して固形化した付着血栓の状態も検出することが可能となる。以上が図8のフロー図の概要であるが、さらに、詳細に図8について、ステップ(イ)〜(リ)毎に説明する。
【0055】
(イ)上記図5で示すように、外部より血液層に対してレーザー光を照射する。まず任意に計測領域を決め、可能であれば、正確さを高めるために比較的血栓が形成しにくい領域を参照領域とし、これら両領域にレーザー光を照射する。レーザー光の波長範囲は血液層を比較的通過しやすい600nm〜1200nmとする。参照領域を用いない場合には、Hctや酸素飽和度などの影響が少ないとして扱い、拍動の影響については実際の拍動成分から判定される。
【0056】
また、参照領域においては、照射されるレーザー光を複数用いることで酸素飽和度やHctに関する計測デニタを計測領域と別途独立して捉えることができるため、これら酸素飽和度とHctの影響で計測データが変動しているのか否かが判定されることができる。以後の処理では、計測領域で計測されたデータと本発明で処理される演算により求められた演算データが用いられる。
【0057】
(ロ)照射された光は血液中の粒子(血栓・栓子、赤血球などの粒子)にあたり、反射・散乱を繰り返すので、この反射・散乱光を受光部で計測する。
【0058】
(ハ)もし上記(ロ)の段階で、血液の光学特性に変化が無ければ「血液組成に変化なし」と判定するが、ii)もし血液に対する光学特性に変化が有れば「血液組成の変化」と判定される。ここで、血液組成に変化があることを判定する際には、計測時のサンプリング周波数は高速であることが望ましいが、アナログ的計測を行い閥値により判定されるようにすることも可能である。
【0059】
(ニ)もし、参照領域での計測データと計測領域で計測されたデータが同様に「穏やかな変動を示す場合」には、「血液組成も穏やかに変動していると判定」し、「Hct値、酸素飽和度、拍動などによる変化」が生じていると判定される。参照領域での計測を行わない場合には、上記(イ)に記したようにHct値、酸素飽和度など影響は少ないとして扱い、拍動の影響については実際の拍動成分から判定される。
【0060】
(ホ)もし、血液の光学特性(Hct値)が標準的な範囲外にある場合には、血栓・栓子化傾向にあると判定される。
【0061】
(へ)もし、参照領域の計測データと計測領域での計測データが異なる挙動を示し、計測領域の計測データが「穏やかな変動を示す場合」には、「計測領域にに血栓が付着形成されている」と判定される。
【0062】
(ト)装置の利用により蓄積された計測データなどから血栓と認識される波形パターンと、計測された波形パターンとの間に類似性が認められた場合には、これを浮遊血栓・栓子であると判定する。当該発明装置の運用を繰り返す事により、参照波形パターンデータを蓄積する事が出来る為、運用と共に徐々に効果を発揮する。
【0063】
(チ)もし、参照領域の計測データと計測領域での計測データが異なる挙動を示し、計測領域の計測データが「急激で周期的な変動」を示す場合には「計測領域の稼動部(後述するピボットやインペラなど)に血栓が付着形成されている」、即ち、付着血栓が形成されていると判定される。
【0064】
(リ)もし、計測領域での計測データが「急激で単発的な変動」を示す場合には、計測領域を「血栓・栓子が浮遊して通過」したと判定する。この段階では、計測領域での計測データに対して、本発明で提案した演算法が並行して用いられる。
【0065】
浮遊血栓および付着血栓の両血栓を光を用いて計測する場合、光を照射するとその光は小さな浮遊血栓や付着血栓に当り、受光部にはそれら血栓によって影響された反射散乱光が戻ってくる。ただし、血液の濃度が濃いため、戻ってくる反射散乱光はかなり減衰しており、受光部の信号をそのまま観察しても血栓に関する情報を明確に捉えることは困難である。薄い血液中に血栓がある場合には、付着血栓であるならば、原信号又は原信号の微分値から検知可能である。
【0066】
このように、原信号や原信号の微分値(あるいはその2乗値)を用いただけでほ不十分な検出結果しか得られない場合は、上記に説明した本発明に係る標準偏差を閾値のファクタとする判別手段を用いれば、検出に必要となる判別閥値を理論的に決定できるから理論的に明確な検出結果を得ることができるようになる。
【0067】
即ち、付着血栓に関しては、原信号やその微分値又は微分値の2乗値を用いても、ある程度血栓検出は可能である。浮遊する血栓や可逆過程にある浮遊血栓が血液中に漂う場合には(血栓ができそうになった血液状態の血液を含む)上記の標準偏差をファクタを利用したデータ処理が効果的である。
【0068】
なお、本発明は、サンプリング計測を採用しているが、高速サンプリング計測は、血液中を流れ行く血栓を的確に捉え、さらに、血栓サイズまで捉えることが可能となる。又、このサンプリング計測は浮遊血栓だけでなく付着血栓についても、次の実施例2で説明するように、後述する人工心臓におけるインペラ(ロータ回転体)の軸であるピボットに付着した血栓を検出する場合には、高速サンプリング計測により、付着形状(軸の全周に付着しているか、軸の特定部位に付着しているかを調べることが可能。)を捉えることが可能である。
【0069】
なお、サンプリング周波数は、血液流速、インペラの回転速度に応じて適宜決定される。
【0070】
(実験例)
本発明に係る血栓計測装置について実験を行った。実験対象は、体重25kg前後の豚(雌)であり、サック型(拍動流空気圧駆動方式)人工心臓を左心室心尖部脱血、上向大動脈送血にて装着した。この人工心臓の送血側カニューレに、送光側光ファイバプローブと受光側光ファイバプローブとを対向に設置した。両プローブ間の光路長は4mmとし、光ファイバは、径が750μmのプラスチック光ファイバを使用した。そして、血液層を透過するレーザー光の透過光量の変化を経時的に計測した。
【0071】
送光側光ファイバにはレーザー装置を接続し、レーザー光を点減周波数12.5Hzで送光するように構成した。そして、受光側光ファイバプローブで得られた受光データをサンプリング周波数1KHzで光−電気信号変換装置により電気信号として出力し、この出力信号を入力して処理するための処理部としてノート型パソコンを設け、受光側光ファイバプローブからの出力信号について、このノート型パソコンで上記データ処理部の各手段で行うデータ処理を行うように構成した。
【0072】
又、この実験では同時に、中大脳動脈において、従来の超音波による血液中の血栓による信号(High Intensity Trasient Signals(HITS))を計測し、レーザー計測と比較し考察を行なった。
【0073】
図7は、この実験による計測結果を示す図である。この計測結果は、経過時間に対する透過光量(光−電気信号変換装置で電圧に変換した電圧値として示す。)との関係す。図7において、緩やかな基礎となる曲線は、人工心臓及び動物自体の拍動による数Hz程度のノイズである。上記のとおり、血栓のない状態でも赤血球の流れの影響を受けて変動を繰り返す信号成分が、高周波信号として示されている。
【0074】
図9は、この高周波信号をパソコンでデータ処理した結果得られた血栓指標の経時変化(10分間隔の変化)を示すグラフである。即ち、時間経過における上記閾値を越える検出信号、要するにレーザー光で検出される血栓検出信号の変化を示した図である。なお、同じ対象を超音波により検出した結果を図9中の丸印で示す。
【0075】
この図9に示すとおり、上記実験によって、赤血球による高周波信号等のノイズ成分に影響を受けてない、変化率の大きな血栓指標の経時変化データを得ることができる。従来の超音波によるデータと比較しても、有為な相関が認められることが判明し、この点からも血栓指標が血流中の血栓の存在状態を示していることが分かる。
【0076】
(実施例2)
図10(a)〜(d)は、本発明の実施例2を説明する図である。この実施例2は、人工心臓に適用された血栓計測装置に関するものである。この血栓計測装置12は、送光側光ファイバプローブ13及び受光側光ファイバプローブ14を、人工心臓15内の血液流入部位16から血液流出部位17に至る領域内のいずれかの部位において、人工心臓内の血液接触面18の外側に設置し、これにより、上記領域内での浮遊血栓を計測できるとともに、人工心臓内壁に付着形成される血栓20の成長過程を捉えられるようにするものである。
【0077】
人工心臓15内の血液流入部位16から血液流出部位17に至る領域内で、送光側光ファイバプローブ13及び受光側光ファイバプローブ14を設置する部位としては、いろいろな部位が考えられるが、この実施例2では、図10に示すように、送光側光ファイバプローブ13及び受光側光ファイバプローブ14を人工心臓15内の血液送出用のインペラ21のピボット軸受22の近辺に設置したものである。
【0078】
図10(a)及びそのX−X方向に見た図である図10(b)は、固定子23を有するモータ24と一体となった人工心臓15の構成を示している。即ち、モータの固定子23上に血液送流室25が一体に形成されており、この血液送流室25内にモータの回転子であるインペラ21が、ピボット軸受22を中心に、かつ磁気軸受26で支持されて回転可能に設けられている。このような構造の人工心臓15では、要部拡大図A、Bに示すように、ピボット軸受22近辺が血液の流れが比較的に淀むために血液が滞留し血栓が付着・成長しやすい。
【0079】
そこで、この実施例2の血栓計測装置12では、固定子23の表面に中心に向かう半径方向の溝27を形成する。この溝27内に送光側光ファイバプローブ13及び受光側光ファイバプローブ14を装着し、これらの光ファイバプローブ13、14の先端がピボット軸受22の近辺の血栓20が生じやすい箇所に向かうようにしておく。
【0080】
このように装着された送光側光ファイバプローブ13及び受光側光ファイバプローブ14により、ピボット軸受22近辺の血栓が生じやすい箇所にレーザ装置からのレーザ光を照射しその反射光を受光側光ファイバ14で受光する。このようにして検出した受光信号の電気的変換及びデータの処理による血栓の計測は実施例1と同様である。
【0081】
図10(c)は実施例2の変形例であり、モータボックス28に隣接して血液送流室25を設け、回転子23及びインペラ21に夫々磁石29を設けてインペラ21を回転させるものであり、このタイプの人工心臓でも同様にピボット軸受22近くの血栓を検出する送光側光ファイバプローブ12及び受光側光ファイバプローブ13を配置したものである。
【0082】
図10(d)は実施例2のさらに別の変形例であり、モータ一体型の人工心臓でにおいて、インペラ21が磁気軸受30により浮遊して支持されている構成である。この人工心臓では、やはりインペラ21の中心部直下の部分に血栓が付着・成長しやすいので、図10(a)同様の送光側光ファイバプローブ13及び受光側光ファイバプローブ14を設けることで血栓20を検出する構成している。
【0083】
以上、本発明に係る血栓計測装置の実施の形態を実施例に基づいて説明したが、本発明は特にこのような実施例に限定されることなく、特許請求の範囲記載の技術的事項の範囲内でいろいろな実施例があることはいうまでもない。
【0084】
例えば、上記の実施例1、2では血栓の計測に送光側光及び受光側に光ファイバプローブ、要する光ファイバを利用したが、血栓の計測には光ファイバを利用しなくても可能であり、計測対象位置は同じでも光ファイバを介していないで計測する構成も可能である。例えば、光ファイバ以外の手段として、レーザ光源からの直接照射等も可能である。
【0085】
【発明の効果】
以上の構成から成る本発明に係る血栓計測装置によると、次のような効果が生じる。
(1)小さなエネルギーのレーザー光を照射することで、血管等人体を傷つけることなく、外部から流動中の血液内の血栓を正確かつ簡単に計測することができ、日常の健康管理にきわめて便利な装置である。
【0086】
(2)人工臓器の血栓が成長しやすい個所の浮遊血栓及び付着血栓を計測することができ、人工臓器の機能データを提供することができ、そのメインテナンス用として活用可能であり、人工臓器の信頼性の向上、長寿命化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の原理を説明する図である。
【図2】本発明に係る血栓計測装置による計測した信号波形を説明する図である。
【図3】本発明に係る血栓計測装置による計測信号の別の信号波形を説明する図である。
【図4】本発明に係る統計的な処理により得られた、変化率、閾値を越える信号及び計測経過時間の関連を示す図である。
【図5】本発明に係る実施例1の血栓計測装置を説明する図である。
【図6】本発明の実施例1に利用するレーザー光と吸収率の関連を説明する図である。
【図7】本発明の実験結果であるレーザー計測による計測結果を示すグラフである。
【図8】本発明に係る血栓検出の過程を説明するフロー図である。
【図9】本発明の実験結果である血栓指標を示すグラフである。
【図10】本発明の実施例2を説明する図であり、血栓計測装置を人工心臓に適用した構成を示す。
【符号の説明】
1、12 血液計測装置
2 蛍光計測処理部
3 データ処理部
4 レーザー装置
5 光ファイバプローブ取付ヘッド
6、13 送光側光ファイバ
7、14 受光側光ファイバ
8 接着剤層
9 光−電気信号変換装置
10、20 血栓
11 血液層
15 人工心臓
21 インペラ
22 ピボット軸受
27 溝

Claims (7)

  1. 血液にレーザー光又は発光ダイオード光をパルス光又は連続光として照射し、上記パルス光又は連続光に対する反射光又は散乱透過光の光量をサンプリング計測することにより検出する発光計測処理部と、データ処理部とを備えた血栓計測装置であって、上記データ処理部は、上記発光計測処理部で得られた反射光又は透過光の信号波形のパターン認識を行い、血栓に起因する変化を検出するパターン認識装置を有することを特徴とする血栓計測装置。
  2. 血液にレーザー光又は発光ダイオード光をパルス光として照射し、上記パルス光に対する反射光又は散乱透過光の光量をサンプリング計測することにより検出する発光計測処理部と、上記発光計測処理部で得られた計測データに基づいて、上記血液中の血栓の計測値を算出するデータ処理部と、を備えた血栓計測装置であって、上記発光計測処理部は、点減周波数を、血液流速及び計測対象とする血栓・栓子の大きさに応じて決定し、連続的に又は該点減周波数の2倍以上の計測サンプリング周波数で計測し、上記データ処理部は、上記パルス光に対する微小時間毎の計測データを平滑化することで、その平滑化データが示すデータのトレンドおよび閾値を判定する手段と、上記パルス光に対する微小時間毎の計測データを平滑化することで、その平滑化データが示すデータのトレンドから血栓形成のトレンドを得る手段と、上記パルス光に対する微小時間毎の計測データ間の差分又は微分の変化率を夫々自乗することで微小時間の変化率を求め、該変化率の分散・標準偏差を算出することにより血栓に関する情報を得る手段と、血栓以外の要因によるパルス光に対する反射光又は散乱透過光の光量の変動ノイズのS/N比を照合して血栓検出の閾値を決める手段と、該閾値を超えるデータ数をカウントして血栓の指標を得る手段と、計測サンプリング周波数又は点減周波数および血流速度情報から、血栓・栓子のサイズを取得する手段と、を有することを特徴とする血栓計測装置。
  3. 血液にレーザー光又は発光ダイオード光を連続光として照射し、上記連続光に対する反射光又は散乱透過光の光量をサンプリング計測することにより検出する発光計測処理部と、上記発光計測処理部で得られた計測データに基づいて、上記血液中の血栓の計測値を算出するデータ処理部と、を備えた血栓計測装置であって、発光計測処理部は、計測サンプリング周波数を、血液流速及び計測対象とする血栓・栓子の大きさに応じて決定して計測する手段と、を有し、上記データ処理部は、上記連続光に対する微小時間毎の計測データを平滑化することで、その平滑化データが示すデータのトレンドおよび閾値を判定する手段と、上記連続光に対する微小時間毎の計測データを平滑化することで、その平滑化データが示すデータのトレンドから血栓形成のトレンドを得る手段と、上記連続光に対する微小時間毎の計測データ間の差分又は微分の変化率を夫々自乗することで微小時間の変化率を求め、該変化率の分散・標準偏差を算出することにより血栓に関する情報を得る手段と、血栓以外の要因による連続光に対する反射光又は散乱透過光の光量の変動ノイズのS/N比を照合して血栓検出の閾値を決める手段と、該閾値を超えるデータ数をカウントして血栓の指標を得る手段と、計測測サンプリング周波数又は点減周波数および血流速度情報から、血栓・栓子のサイズを取得する手段と、を有することを特徴とする血栓計測装置。
  4. 上記パルス光は、その点減周波数は10Hz〜1MHzであり、その発光波長が600〜1200nmであることを特徴とする請求項2記載の血栓計測装置。
  5. 上記レーザー光又は発光ダイオード光は送光側光ファイバプローブから血液中に照射され、上記反射光又は透過光は受光側光ファイバプローブで受光されることを特徴とする請求項1、2、3又は4記載の血栓計測装置。
  6. 上記送光側光ファイバプローブ及び受光側光ファイバプローブは、人工心臓内の血液流入部位から血液流出部位に至る領域内において、人工心臓内の血液接触面の外側もしくは直接血液層に挿入あるいは設置されており、上記領域内で付着形成される血栓の成長過程を捉えられるようにしたことを特徴とする請求項5記載の血栓計測装置。
  7. 上記送光側光ファイバプローブ及び受光側光ファイバプローブは、上記領域内における人工心臓内の血液送出用のインペラの軸受部の近辺に設置されていることを特徴とする請求項6記載の血栓計測装置。
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