JP2002341135A - 低透湿性フィルム - Google Patents

低透湿性フィルム

Info

Publication number
JP2002341135A
JP2002341135A JP2001142401A JP2001142401A JP2002341135A JP 2002341135 A JP2002341135 A JP 2002341135A JP 2001142401 A JP2001142401 A JP 2001142401A JP 2001142401 A JP2001142401 A JP 2001142401A JP 2002341135 A JP2002341135 A JP 2002341135A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
film
protective film
polarizer
polarizer protective
layer
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2001142401A
Other languages
English (en)
Other versions
JP4700219B2 (ja
Inventor
Masaaki Nakamura
正明 中村
Yoshitaka Nagamatsu
美貴 永松
Sadao Fujii
貞男 藤井
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Kanegafuchi Chemical Industry Co Ltd
Original Assignee
Kanegafuchi Chemical Industry Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Kanegafuchi Chemical Industry Co Ltd filed Critical Kanegafuchi Chemical Industry Co Ltd
Priority to JP2001142401A priority Critical patent/JP4700219B2/ja
Publication of JP2002341135A publication Critical patent/JP2002341135A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4700219B2 publication Critical patent/JP4700219B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Compositions Of Macromolecular Compounds (AREA)
  • Polarising Elements (AREA)
  • Liquid Crystal (AREA)
  • Coating Of Shaped Articles Made Of Macromolecular Substances (AREA)
  • Laminated Bodies (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 水分透過率が小さく、紫外線吸収性が高い保
護フィルムをえる。 【解決手段】 偏光子フィルムの片面あるいは両面に積
層して使用される偏光子保護フィルムであり、(1)7
0℃・90%RHにおける透湿度が500g/m 2・2
4hr以下の基材フィルム層および(B)基材フィルム
層の少なくとも一方の面上に付設した紫外線吸収層を有
する偏光子保護フィルム。紫外線吸収層は、紫外線吸収
剤を含有する有機化合物層が好ましく、紫外線吸収剤
は、ベンゾフェノン系化合物類、ベンゾトリアゾール系
化合物類、サリチル酸系化合物類から選ばれる1種以上
が好ましい。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は紫外線吸収能を有す
る低透湿性フィルムに関する。さらに詳しくは、偏光子
保護フィルムに好適な低透湿性フィルムに関する。
【0002】
【従来の技術】直線偏光板は、特定の振動方向をもつ直
線偏光のみを透過させ、その他の直線偏光を遮蔽する光
学材料である。直線偏光板は、例えば液晶表示装置の構
成部品の一つとして広く使用されている。一般的に使用
されている直線偏光板は、偏光子フィルムと偏光子保護
フィルムとで構成されている。
【0003】上述した、特定の振動方向をもつ直線偏光
のみを透過させる、という偏光板の機能は、偏光子フィ
ルムにより発揮される。一般的に使用されている偏光子
フィルムは、例えば、ポリビニルアルコールフィルムを
延伸し、ヨウ素や二色性染料などで染色して得られるフ
ィルムである。
【0004】偏光子保護フィルムは、偏光子フィルムの
保護や、偏光子フィルムを保持して偏光板全体に実用的
な強度を付与する機能を担う。例えば、トリアセチルセ
ルロースフィルム(以下、トリアセチルセルロースのこ
とをTACという)が、一般的な偏光子保護フィルムと
して使用されている。なお、偏光子保護フィルムのこと
を業界では支持体あるいは支持体フィルムと呼ぶことが
ある。
【0005】保護フィルムには、一般に種々の外的環境
から偏光子フィルムを保護する機能が求められる。その
一つに紫外線の透過抑制があり、外部からの紫外線によ
る偏光子フィルムの劣化防止や、偏光板と併せて使用さ
れる液晶セルなどの劣化防止を狙いとしている。前記T
ACフィルムにおいても、目的に応じて紫外線吸収剤を
フィルム中に含有させて紫外線吸収能を付与したものが
用いられている。
【0006】一方、光学特性について言えば、不要な位
相差を持つフィルムは、偏光子保護フィルムとして好ま
しくない。その理由は、たとえ偏光子フィルムが高精度
の直線偏光機能を有するものであっても、偏光子保護フ
ィルムの位相差や光軸のズレは、偏光子フィルムを通過
した直線偏光に楕円偏光性を与えてしまうからである。
前述のTACフィルムも基本的には位相差が小さい。し
かしながら、TACフィルムは、外部応力の作用によっ
て位相差の変化を生じやすいフィルムである。このた
め、TACフィルムよりも光弾性係数の小さいフィルム
素材を偏光子保護フィルムとして用いる試みがなされて
いる。そのような試みは、貼合後の応力負荷による位相
差変化を抑制することにより偏光板の性能低下を少なく
することを目的としている。
【0007】また、偏光子フィルムは、吸湿によって偏
光性能が低下しやすい。そのため、偏光子保護フィルム
は、偏光子フィルムの吸湿を抑制するためにも用いられ
ている。しかしながら、TACフィルムの高い水分透過
率は、吸湿を抑制する目的に対して十分なレベルではな
い。そこで、TACフィルムよりも水分透過率の小さい
フィルム素材を偏光子保護フィルムとして用いることに
より、偏光子フィルムの吸湿を抑制し偏光性能の低下を
防止する試みがなされている。
【0008】一例を挙げると、特開平7−77608号
公報は、80℃、90%RHの透湿度が200g/mm
2・24hr・100μ以下で、かつ光弾性係数が1×
10- 11cm2/dyne以下である保護フィルムを用い
て、偏光板の耐湿熱性を向上させる発明を開示してい
る。
【0009】また、こうした種々のフィルム素材をフィ
ルム化する方法としては、従来主流となっている溶液キ
ャスト法に代えて、生産性向上や地球環境面等の要請か
ら溶媒を使用する必要のない押出法等の溶融加工法によ
る製法の検討もなされてきている。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】しかし、種々提案され
る水分透過率の小さいフィルム素材や光弾性係数の小さ
い素材に対して、紫外線吸収特性付与のために、紫外線
吸収剤を添加しようとしても、必ずしも紫外線吸収剤の
良好な分散がえられなかった。
【0011】さらに、紫外線吸収剤を含有させたフィル
ムを押出などの溶融加工法によって製造しようとする場
合は、従来のキャスト法とは異なり高い加工温度が必要
となることから、加工過程で紫外線吸収剤が分解・揮発
するなどの現象が生じ、結果としてえられるフィルムの
紫外線吸収特性が不充分となりやすかった。
【0012】そこで本発明者は、従来技術の欠点を改良
し、水分透過率や光弾性係数が小さく、さらには溶融加
工法などでも好適に製造できる保護フィルムにおいて、
紫外線吸収能を付与できる技術について、鋭意検討し
た。
【0013】
【課題を解決するための手段】その結果、特定の保護フ
ィルム上に紫外線吸収層を付設することにより、耐久性
に優れた偏光板がえられることを見出し、本発明に至っ
た。
【0014】すなわち、本発明は、偏光子フィルムの片
面あるいは両面に積層して使用される偏光子保護フィル
ムであり、(1)70℃・90%RHにおける透湿度が
500g/(m2・24hr)以下の基材フィルム層お
よび(2)基材フィルム層の少なくとも一方の面上に付
設された紫外線吸収層、を有する偏光子保護フィルムを
提供する。
【0015】ここで、前記紫外線吸収層は、好ましく
は、紫外線吸収剤を含有する有機化合物層である。
【0016】前記紫外線吸収剤は、好ましくは、ベンゾ
フェノン系化合物類、ベンゾトリアゾール系化合物類、
サリチル酸系化合物類から選ばれる1種以上である。
【0017】また、好ましくは、前記有機化合物層の主
たる構成成分はセルロースエステルである。
【0018】また、前記基材フィルム層は、好ましく
は、200℃以上の加工工程を経て製造されたフィルム
である。
【0019】前記フィルムは、好ましくは、押出フィル
ムである。
【0020】また、好ましくは、フィルムの位相差値は
0から20nm、光線透過率は85%以上、ヘーズは2
%以下である。
【0021】本発明の偏光子保護フィルムは、好ましく
は、(A)側鎖に置換または非置換イミド基を有する熱
可塑性樹脂、および(B)側鎖に置換または非置換フェ
ニル基及びニトリル基を有する熱可塑性樹脂を含有する
樹脂組成物からなる。
【0022】(A)の熱可塑性樹脂は、好ましくは、オ
レフィン成分と側鎖に置換または非置換イミド基を有す
る成分からなる。
【0023】本発明のさらに他の側面によれば、偏光子
フィルムの少なくとも片面に、前記本発明の偏光子保護
フィルムが積層してなる偏光板が提供される。
【0024】
【発明の実施の形態】本発明の偏光子保護フィルムは、
(1)70℃・90%RHにおける透湿度が500g/
(m2・24hr)以下の基材フィルム層および(2)
基材フィルムの少なくとも一方の面上に付設された紫外
線吸収層、を有する。
【0025】前記基材フィルム層の厚さは、通常、20
〜300μmであり、好ましくは30〜200μm、さ
らに好ましくは40〜100μmである。
【0026】本発明の偏光子保護フィルムの70℃・9
0%RHにおける透湿度は500g/(m2・24h
r)以下であることが好ましいが、より好ましくは45
0g/(m2・24hr)以下、更に好ましくは400
g/(m2・24hr)以下である。また一方で、偏光
子保護フィルムの接着には、水系の接着剤が用いられる
場合が多く、透湿度が低すぎると水系接着剤の乾燥が遅
延するおそれがある。従って、透湿度は50g/(m2
・24hr)以上が好ましく、より好ましくは100g
/(m2・24hr)以上、更に好ましくは200g/
(m2・24hr)以上である。
【0027】また、本発明の偏光子保護フィルムを用い
てえられる偏光板の偏光性能を十分に確保できるという
観点から、前記基材フィルムの位相差値は20nm以下
が好ましく、10nm以下であることがより好ましい。
【0028】本発明の偏光子保護フィルムを用いてえら
れる偏光板の透過光量を十分に確保できるという観点か
ら、前記基材フィルムの光線透過率は85%以上である
ことが好ましく、ヘーズは2%以下であることが好まし
い。
【0029】光線透過率は100%が理想的であるが、
現実的には95%あるいは95%を多少下回っても偏光
子保護フィルムとして大きな問題とはならない。しかし
ながら85%を下回ると偏光板の性能低下を招くおそれ
がある。従って光線透過率は85%以上が好ましく、よ
り好ましくは87%以上、特に89%以上が好ましい。
【0030】また、ヘーズは0%が理想的であるが、現
実的には、0.1%あるいは0.1%を多少上回っても
偏光子保護フィルムとして大きな問題とはならない。し
かしながら、2%を越えると偏光が乱れるおそれがあ
る。従ってヘーズは2%以下が好ましく、より好ましく
は1.5%以下、特に1%以下が好ましい。
【0031】上記の位相差値、光線透過率、透湿度を満
足するフィルム層の選択は、フィルム組成だけで決まる
ものではなく、フィルムの厚さやフィルムの作製条件も
影響するが、樹脂組成としてはポリカーボネート樹脂、
ポリアリレート樹脂、ポリスルホン樹脂、ポリエーテル
スルホン樹脂、ノルボルネン樹脂、ポリスチレン樹脂、
ポリアクリレート樹脂、ポリメタクリレート樹脂、ポリ
エステル樹脂、あるいは(A)側鎖に置換または非置換
イミド基を有する熱可塑性樹脂や、(B)側鎖に置換ま
たは非置換フェニル基及びニトリル基を有する熱可塑性
樹脂を例示することができ、これらを単独または混合し
て用いることができる。
【0032】より好ましくはノルボルネン系樹脂、
(A)側鎖に置換または非置換イミド基を有する熱可塑
性樹脂、(B)側鎖に置換または非置換フェニル基及び
ニトリル基を有する熱可塑性樹脂が挙げられ、以下に詳
述する樹脂組成物は、透湿度の他に、上記した位相差値
や光線透過率、ヘーズの特性に優れた基材フィルムを得
やすいために特に好ましい。
【0033】前記した特に好ましい基材フィルムは、
(A)側鎖に置換または非置換イミド基を有する熱可塑
性樹脂、および(B)側鎖に置換または非置換フェニル
基及びニトリル基を有する熱可塑性樹脂を含有する樹脂
組成物からえることができる。
【0034】前記熱可塑性樹脂(A)は、側鎖に置換ま
たは非置換イミド基を有する熱可塑性樹脂である。側鎖
に置換または非置換イミド基を有することによって光学
特性や耐熱性などの点で好ましい特性バランスを発現で
きる。前記熱可塑性樹脂(A)は、少なくとも1種のオ
レフィン(アルケン)から誘導される繰り返し単位と少
なくとも1種の置換あるいは非置換マレイミド構造を有
する繰り返し単位とを含有するオレフィン−マレイミド
共重合体(二元もしくはそれ以上の多元共重合体)であ
ることが好ましい。さらには、前記オレフィン−マレイ
ミド共重合体は、下記式(1)
【0035】
【化1】
【0036】(式中、R1、R2およびR3は、それぞれ
独立に、水素または炭素数1〜8のアルキル基を示
す。)で表される繰り返し単位と、下記式(2)
【0037】
【化2】
【0038】(式中、Rは、水素、炭素数1〜18のア
ルキル基、または炭素数3〜12のシクロアルキル基を
示し、好ましくは、炭素数1〜18のアルキル基、また
は炭素数3〜12のシクロアルキル基を示す。)で表さ
れる繰り返し単位を含有することが好ましい。
【0039】式(1)の繰り返し単位(以下、オレフィ
ン単位という)に対応するオレフィンは、下記式
(3):
【0040】
【化3】
【0041】(式中、R1、R2およびR3は、それぞれ
独立に、水素または炭素数1〜8のアルキル基を示
す。)で表される。
【0042】前記オレフィンの具体例としては、イソブ
テン、2−メチル−1−ブテン、2−メチル−1−ペン
テン、2−メチル−1−ヘキセン、2−メチル−1−ヘ
プテン、1−イソオクテン、2−メチル−1−オクテ
ン、2−エチル−1−ペンテン、2−エチル−2−ブテ
ン、2−メチル−2−ペンテン、2−メチル−2−ヘキ
セン他が挙げられる。これらのオレフィンは、単独で、
あるいは2種以上組合せて用いることができる。
【0043】前記式(2)の繰り返し単位(以下、マレ
イミド単位という)に対応するマレイミド化合物は、下
記式(4):
【0044】
【化4】
【0045】(式中、Rは、水素、炭素数1〜18のア
ルキル基、または炭素数3〜12のシクロアルキル基を
示し、好ましくは、炭素数1〜18のアルキル基、また
は炭素数3〜12のシクロアルキル基を示す。)で表さ
れる。
【0046】前記マレイミド化合物の具体例としては、
マレイミド、並びにN−メチルマレイミド、N−エチル
マレイミド、N−n−プロピルマレイミド、N−i−プ
ロピルマレイミド、N−n−ブチルマレイミド、N−i
−ブチルマレイミド、N−s−ブチルマレイミド、N−
t−ブチルマレイミド、N−n−ペンチルマレイミド、
N−n−ヘキシルマレイミド、N−n−ヘプチルマレイ
ミド、N−n−オクチルマレイミド、N−ラウリルマレ
イミド、N−ステアリルマレイミド、N−シクロプロピ
ルマレイミド、N−シクロブチルマレイミド、N−シク
ロペンチルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミ
ド、N−シクロヘプチルマレイミド、N−シクロオクチ
ルマレイミド等のN−置換マレイミド他が挙げられる。
これらのマレイミド化合物は、単独で、または2種以上
を組み合わせて用いることができる。マレイミド化合物
としては、N−置換マレイミド(式(4)において、R
が水素以外の基)が特に好ましい。
【0047】前記熱可塑性樹脂(A)は、上記オレフィ
ンとマレイミド化合物とを既知の重合方法により重合さ
せることにより製造することができる。この重合には、
グラフト重合も含まれる。あるいは、熱可塑性樹脂
(A)は、上記オレフィンと無水マレイン酸とを常法に
従って重合させて前駆重合体とした後、これにアミン化
合物を反応させて前駆重合体の無水マレイン酸部位をイ
ミド化させることによっても製造することができる。そ
の場合に使用するアミン化合物としては、前記式(2)
のマレイミド単位におけるイミド部位に対応するアミン
を用いることができ、具体的には、R−NH2(ただ
し、Rは、式(2)に同じ。)で表されるアミン化合
物、例えばメチルアミン、エチルアミン、n−プロピル
アミン、i−プロピルアミン、n−ブチルアミン、s−
ブチルアミン、t−ブチルアミン、シクロヘキシルアミ
ン等のアルキルアミンやアンモニアの他、ジメチル尿
素、ジエチル尿素等を好ましく例示することができる。
この場合にも、前記オレフィン単位とマレイミド単位を
有する共重合体が得られる。
【0048】前記熱可塑性樹脂(A)は、前記オレフィ
ン単位とマレイミド単位以外の成分として、他の共重合
性単量体を共重合成分として含有することができる。他
の共重合性単量体を光学的特性を損なわない程度に含有
させることにより、熱可塑性樹脂(A)の耐熱性を向上
させたり、機械的強度を増大させたりすることができ
る。前記共重合性単量体の具体例としては、アクリル酸
メチルやアクリル酸ブチルのようなアクリル酸エステル
単量体、メタクリル酸メチルやメタクリル酸シクロヘキ
シルのようなメタクリル酸エステル単量体、酢酸ビニル
等のビニルエステル単量体、メチルビニルエーテルのよ
うなビニルエーテル単量体等のビニル単量体、並びに無
水マレイン酸のような不飽和二重結合を有する酸無水物
等が挙げられる。これらの共重合性単量体は、単独ある
いは2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0049】前記熱可塑性樹脂(A)は、ランダム共重
合体、ブロック共重合体、グラフト共重合体、交互共重
合体のいずれであってもよいが、少なくとも一部が交互
共重合体構造であることは好ましい。前記熱可塑性樹脂
(A)は、式(1)におけるR1が水素であり、R2およ
びR3がそれぞれメチル基であるオレフィン単位すなわ
ちイソブチレン単位と、式(2)におけるRがメチル
基、エチル基、イソプロピル基およびシクロヘキシル基
から選ばれたアルキル基である1種以上のマレイミド単
位とを含有する共重合体であることが好ましく、さらに
は、イソブチレン単位と、N−メチルマレイミド単位と
を含有する共重合体であることが好ましい。
【0050】前記熱可塑性樹脂(A)におけるマレイミ
ド単位の含有量としては、30モル%以上80モル%未
満であることが好ましく、より好ましくは、40モル%
以上60モル%以下である。マレイミド単位の含有量が
この範囲を逸脱すると、得られる位相差フィルムの耐熱
性や機械的強度が損なわれるおそれがある。
【0051】また、マレイミド単位とオレフィン単位と
の合計量としては、熱可塑性樹脂(A)の70モル%以
上であることが好ましい。
【0052】前記熱可塑性樹脂(A)の分子量は、1×
104以上5×105以下の重量平均分子量であることが
好ましい。
【0053】前記熱可塑性樹脂(A)のガラス転移温度
は、好ましくは80℃以上、より好ましくは100℃以
上、さらに好ましくは130℃以上であることが好まし
い。
【0054】前記オレフィン−マレイミド共重合体は、
既述のようにそれ自体既知の方法で製造することがで
き、例えば特開平5−59193号公報、特開平5−1
95801号公報、特開平6−136058号公報およ
び特開平9−328523号公報に記載されているよう
に、オレフィンとマレイミド化合物とを直接共重合させ
たり、その一方の重合体に他方をグラフト共重合した
り、あるいは前述した前駆重合体に対してアミン化合物
を反応させてイミド結合を導入することによって製造す
ることができる。前記熱可塑性樹脂(B)としては、ア
クリロニトリル・スチレン系の共重合体を好ましく用い
ることができる。特に好ましくは、熱可塑性樹脂(B)
は、下記式(5)で示される不飽和ニトリル単位と下記
式(6)で示されるスチレン系単位を含む。
【0055】
【化5】
【0056】(式中、R4およびR5は、それぞれ独立
に、水素または炭素数1〜8のアルキル基を示す。)
【0057】
【化6】
【0058】(式中、R6およびR7は、それぞれ独立
に、水素または炭素数1〜8のアルキル基を示し、R8
は、水素、炭素数1〜8のアルキル基、ハロゲン、水酸
基、アルコキシ基またはニトロ基を示す。) 上記の好ましい熱可塑性樹脂(B)を構成する不飽和ニ
トリル化合物の好ましい例としては、アクリロニトリル
やメタクリロニトリルのようなα−置換不飽和ニトリル
化合物、フマロニトリルのようなα,β−二置換オレフ
ィン性不飽和結合を有するニトリル化合物などが挙げら
れる。
【0059】上記の好ましい熱可塑性樹脂(B)を構成
するスチレン系化合物の好ましい例としては、スチレ
ン、ビニルトルエン、メトキシスチレンまたはクロロス
チレン等の非置換または置換スチレン系化合物や、α−
メチルスチレン等のα−置換スチレン系化合物などが挙
げられる。
【0060】前記アクリロニトリル・スチレン系の共重
合体は、必要に応じて第三成分を含有していてもかまわ
ない。たとえば、フィルムの可撓性を向上させるために
ブチルアクリレート等のアクリル系単量体やエチレン、
プロピレン等のオレフィン系単量体などを一種または二
種以上を共重合させることができる。耐熱性を向上させ
るために、フェニルマレイミド等のN置換マレイミドな
どを共重合成分として用いることができる。
【0061】前記熱可塑性樹脂(B)は、これら単量体
を直接共重合することにより得ることができるが、スチ
レン系または不飽和ニトリル系重合体に、該当する単量
体をグラフト共重合させてもかまわない。また、ゴム弾
性を有するアクリル系重合体にスチレン系単量体や不飽
和ニトリル系単量体をグラフト重合させる事により好ま
しい共重合体を得ることができる。特に好ましい単量体
は、不飽和ニトリル成分がアクリロニトリルであり、ス
チレン系単量体がスチレンである。これら共重合体はA
S樹脂やAAS樹脂として知られている。
【0062】前記熱可塑性樹脂(B)は、1×104
いし5×105の重量平均分子量を有することが好まし
い。
【0063】前記熱可塑性樹脂(B)において、好まし
い共重合体中の不飽和ニトリル系成分の含有量としては
20〜60重量%が望ましく、より好ましくは20〜5
0重量%である。また、スチレン系成分の含有量として
は、40〜80重量%が好ましく、より好ましくは50
〜80重量%である。特に、前者が20〜30重量%
で、後者が70〜80重量%の場合は更に好ましい結果
を与える。スチレン系やニトリル系の成分がこの範囲を
超えると、本発明のフィルム中の分子の配向による位相
差が大きくなり、本発明の目的を達成できなくなるおそ
れがある。さらには、熱可塑性樹脂(A)との相溶性が
乏しくなり、得られるフィルムのヘーズが大きくなる傾
向となる。
【0064】第3成分は、これを添加する場合は、熱可
塑性樹脂(B)中の含有率は5モル%以上、30モル%
以下であることが好ましい。ニトリル系やスチレン系の
特に好ましい成分は用いる熱可塑性樹脂(A)及び
(B)により異なる。
【0065】熱可塑性樹脂(A)が主としてイソブチレ
ン及びN−メチルマレイミドからなる共重合体であり、
熱可塑性樹脂(B)が主としてアクリロニトリル及びス
チレンからなる共重合体である場合は、アクリロニトリ
ル及びスチレンの含有量を、好ましくは20〜50重量
%、より好ましくは25〜40重量%とし、また、スチ
レンの含有量を、好ましくは50〜80重量%、より好
ましくは60〜75重量%、とする事により、驚くべき
事に、広い組成範囲で良好な相溶性を示し、フィルムと
した場合、全光線透過率85%以上かつヘイズが2%以
下のフィルムを得ることができる。特に、アクリロニト
リルの含有量を26〜29重量%とし、また、スチレン
の含有量を71〜74重量%とする事により、熱可塑性
樹脂Bは該熱可塑性樹脂Aと0〜80重量%の組成範囲
で良好な相溶性を示し、驚くべき事に、全光線透過率9
0%以上かつヘイズ1%以下と極めて透明なフィルムを
得ることができる。
【0066】分子の配向による位相差の小さいフィルム
を得るには、該熱可塑性樹脂(A)と熱可塑性樹脂
(B)との組成比が重要である。好ましい組成比は、一
般的には、該熱可塑性樹脂(A)の含有量は50〜80
重量%、より好ましくは、55〜75重量%であり、該
熱可塑性樹脂(B)の含有量は20〜50重量%、より
好ましくは、25〜45重量%である。熱可塑性樹脂
(A)と熱可塑性樹脂(B)は前者55〜70重量%に
対して、後者30〜45重量%の割合で配合することが
更に好ましく、前者55〜65重量%に対して、後者3
5〜45重量%の割合が特に好ましい。
【0067】本発明に用いられる基材フィルムは、必要
に応じて、可塑剤、熱安定剤やフィラー等の公知の添加
剤やその他の化合物を本発明の効果を損なわない範囲で
含有することができる。また、紫外線吸収剤が添加され
ている基材フィルムでも構わない。
【0068】本発明に用いられる基材フィルムは、熱可
塑性樹脂(A)、熱可塑性樹脂(B)および必要に応じ
て用いられる前記添加剤やその他の化合物とからなる樹
脂組成物を用いて、例えば、溶融押出し法、インフレー
ション法、溶液流延法等の公知の方法でフィルム化する
ことによってえることができる。従来技術においては、
フィルムの厚みムラが小さいフィルムを比較的容易にえ
ることができるという観点から溶液流延法が好ましく用
いられる場合があるが、溶剤を使用する必要がなく、生
産性や地球環境の観点からは、溶融押出法、インフレー
ション法などの溶融加工法によることが好ましい。
【0069】溶融加工法によりフィルム化する場合、加
工温度は通常200℃以上とされる。溶融加工法のなか
でも、工業的な生産性の観点から、溶融押出法が好まし
い。
【0070】溶融押出法によるフィルム化は、例えば、
前記樹脂組成物を押出機に投入し、溶解させた後、Tダ
イなどを通してフィルム状に押出した後、冷却固化させ
てフィルムとすることができる。この際、フィルム状に
押出した樹脂組成物を平滑な表面を有する支持体上に流
延して固化させる、フィルム状に押出した樹脂組成物を
平滑な表面を有する支持体で挟み込んで固化させる等の
方法を用いることもできる。
【0071】溶液流延法によりフィルム化する場合、前
記樹脂組成物を溶剤に溶解したのち、支持体上に流延し
た後、乾燥してフィルムとする。好ましい支持体として
は、ステンレス鋼のエンドレスベルトや、ポリイミドフ
ィルムや二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム
等のようなフィルムを用いることができる。
【0072】必要に応じて、予備乾燥したフィルムを支
持体から剥離し、さらに乾燥することもできる。フィル
ムの乾燥は、一般には、フロート法や、テンターあるい
はロール搬送法が利用できる。フロート法の場合、フィ
ルム自体が複雑な応力を受け、光学的特性の不均一が生
じやすい。また、テンター法の場合、フィルム両端を支
えているピンあるいはクリップの距離により、溶剤乾燥
に伴うフィルムの幅収縮と自重を支えるための張力を均
衡させる必要があり、複雑な幅の拡縮制御を行う必要が
ある。一方、ロール搬送法の場合、安定なフィルム搬送
のためのテンションは原則的にフィルムの流れ方向(M
D方向)にかかるため、応力の方向を一定にしやすい特
徴を有する。従って、フィルムの乾燥は、ロール搬送法
によることが最も好ましい。
【0073】前記溶剤としては、前記樹脂組成物の良溶
媒であれば特に制限はなく、周知の種々の溶剤から選択
して用いることができる。塩化メチレンやトリクロロエ
タン等のハロゲン化炭化水素系溶剤は樹脂材料を溶解し
やすく、また沸点も低いため好適な溶剤の一つである。
また、ジメチルホルムアミドやジメチルアセトアミド等
の極性の高い非ハロゲン系の溶剤も用いることができ
る。さらに、トルエン、キシレンやアニソール等の芳香
族系や、ジオキサン、ジオキソラン、テトラヒドロフラ
ンやピラン等の環状エーテル系、メチルエチルケトン等
のケトン系の溶剤も使用可能である。これら溶剤は相互
に混合して用いることもでき、また、アルコール等の非
溶剤を混合して、溶剤の蒸発速度を制御することも、表
面性の優れたフィルムを得るためには好ましい方法であ
る。
【0074】前記基材フィルム層として用いるフィルム
は、例えば強度をより高くするなどの目的に応じて、前
述した方法で得られたフィルムを公知の延伸方法によっ
て一軸または多軸延伸して配向処理を行うことが好まし
い場合がある。フィルム面内の強度の異方性をできるだ
け小さくしたままで強度を高めたいという観点で延伸処
理を行う場合、二軸または多軸延伸を行うことが好まし
い場合がある。
【0075】前記フィルム化に際しては、溶融加工法、
溶液加工法を問わず、必要に応じて可塑剤、熱安定剤、
紫外線安定剤等の添加剤を加えることができる。
【0076】前記可塑剤の具体例としては、フタル酸ジ
メチル、フタル酸ジエチル、フタル酸ジ−n−ブチル、
フタル酸ジ−n−オクチル、フタル酸ジ−n−エチルヘ
キシル、フタル酸ジイソオクチル、フタル酸ジ−n−オ
クチル、フタル酸ジ−n−デシル、フタル酸ジイソデシ
ル、フタル酸ジ−n−ドデシル、フタル酸ジイソトリデ
シル、フタル酸ジシクロヘキシル、フタル酸ブチルベン
ジル、フタル酸ジ−2−エチルヘキシル、イソフタル酸
ジ−2−エチルヘキシルなどのフタル酸系可塑剤、アジ
ピン酸ジ−n−デシル、アジピン酸ジイソデシル、アジ
ピン酸ジ−2−エチルヘキシル、アゼライン酸ジ−2−
エチルヘキシル、セバシン酸ジブチル、セバシン酸ジ−
2−エチルヘキシルなどの脂肪族二塩基酸系可塑剤、リ
ン酸トリブチル、リン酸トリ−2−エチルヘキシル、リ
ン酸−2−エチルヘキシル、リン酸トリクレジールなど
のリン酸エステル系可塑剤、エポキシ化大豆油、エポキ
シ化トール油脂肪酸−2−エチルヘキシルなどのエポキ
シ系可塑剤、ステアリン酸ブチル、オレイン酸ブチル、
塩素化パラフィン、塩素化脂肪酸メチルなどの脂肪酸エ
ステル系可塑剤、ポリエチレングリコールジメチルエー
テル、ポリエチレングリコール安息香酸エステル、エス
テル基を含有する高分子化合物(アジピン酸、セバシン
酸、フタル酸等の2塩基酸と1,2−プロピレングリコ
ール、1,3−プロピレングリコール等の重縮合物)な
どの高分子系可塑剤等が挙げられる。これら可塑剤の中
でも、芳香族基を含まない可塑剤、例えばアジピン酸ジ
−n−デシル、アジピン酸ジイソデシル、アジピン酸ジ
−2−エチルヘキシル、アゼライン酸ジ−2−エチルヘ
キシル、セバシン酸ジブチル、セバシン酸ジ−2−エチ
ルヘキシル、リン酸トリブチル、リン酸トリ−2−エチ
ルヘキシル、リン酸−2−エチルヘキシル、リン酸トリ
クレジル、エポキシ化大豆油、エポキシ化トール油脂肪
酸−2−エチルヘキシル、ステアリン酸ブチル、オレイ
ン酸ブチル、塩素化パラフィン、塩素化脂肪酸メチル、
ポリエチレングリコールジメチルエーテル、あるいはエ
ステル基を含有する高分子化合物(アジピン酸、セバシ
ン酸等の二塩基酸と1,2−プロピレングリコール、
1,3−プロピレングリコール等の重縮合物)等の可塑
剤が好ましい。
【0077】前記可塑剤は、可視領域短波長側に吸収を
持たないため、位相差の波長依存性に悪影響を与えない
ため、特に好ましい添加剤である。前記可塑剤は、基材
フィルム100重量部に対して通常2〜20重量部添加
される。20重量部を超えると、連続的にロールフィル
ムを延伸する際の位相差値の安定性が損なわれる傾向と
なる。
【0078】前記基材フィルムは、必要に応じてフィル
ムの片面あるいは両面にコロナ処理、UVオゾン処理、
プラズマ処理、アルカリ処理等の表面処理を行うことが
できる。本発明においては、少なくとも紫外線吸収層を
付設する側のフィルムの表面を紫外線吸収層の性質に応
じて前記表面処理の方法や条件を選択することによって
基材フィルム層と紫外線吸収層との密着性をより高める
こともできる。
【0079】本発明における紫外線吸収層は、主として
本発明の保護フィルムにおいて保護フィルムに入射する
光のうちの紫外線領域の光が透過するのを抑制する機能
を有する。前記紫外線領域の光とはおよそ400nm以
下の波長を有する光をいい、前記紫外線吸収層の紫外線
吸収能力は、該紫外線吸収層を設けた保護フィルムの紫
外線透過率と紫外線吸収層を設けていない基材フィルム
のみの場合の紫外線透過率とを比較して前者が後者の9
0%以下とすることが好ましい。
【0080】前記紫外線吸収層は、例えば、常温〜10
0℃で流動性のない層を形成することができる有機化合
物または無機化合物からなるマトリクス相と該マトリク
ス相中に分散させた紫外線吸収剤とから構成することが
できる。
【0081】前記紫外線吸収層を形成する方法として
は、例えば、紫外線吸収剤と紫外線吸収層のマトリクス
相として用いる有機化合物または無機化合物中とを有機
溶媒に溶解または分散させた溶液あるいは分散液を、基
材フィルム上に塗布後乾燥して層を形成する方法によっ
て形成することができる。
【0082】前記紫外線吸収剤としては、紫外線領域の
光を吸収できるものであればよいが、可視光領域の光を
5%以上吸収しないものであることが好ましい。
【0083】前記紫外線吸収剤の具体例としては、2,
4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4
−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−n−
オクトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メト
キシ−5−スルホベンゾフェノン、4−ドデシルオキシ
−2−ヒドロキシベンゾフェノン、2,2’,4,4’
−テトラヒドロキシベンゾフェノン、2,2’−ジヒド
ロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2,2’−ジヒ
ドロキシ−4,4’−ジメトキシベンゾフェノン、ビス
(2−メトキシ−4−ヒドロキシ−5−ベンゾイルフェ
ニルメタン等のベンゾフェノン系化合物類、2−(2’
−ヒドロキシ−5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾ
ール、2−[2’−ヒドロキシ−3’,5’−ビス(1
−メチル−1−フェニルエチル))ベンゾトリアゾー
ル、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−t−ブ
チルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒド
ロキシ−3’−t−ブチル−5’−メチルフェニル)ベ
ンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’,
5’−ジ−t−ブチルフェニル)−5−クロロベンゾト
リアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ
−t−ペンチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−
[2’−ヒドロキシ−5’−(1,1,3,3−テトラ
メチル)フェニル)ベンゾトリアゾール等のベンゾトリ
アゾール系化合物類、2−(4,6−ジフェニル−1,
3,5−トリアジン−2−イル)−5−[(ヘキシル)
オキシ]−フェノール等のトリアジン系化合物類、サリ
チル酸フェニル、サリチル酸メチル等のサリチル酸系化
合物類、シアノアクリレート系化合物類、ニッケル錯塩
系化合物類等を挙げることができる。なかでも、紫外線
吸収効果が良好で、透明性が高く、不要な着色も少ない
という観点から、ベンゾトリアゾール系化合物が好まし
い。
【0084】紫外線吸収剤の使用量としては特に制限は
ないが、用いる基材フィルムが紫外線吸収性をほとんど
有していない場合は、通常、本発明の保護フィルム1m
2あたり0.2〜5.0gが好ましく、0.4〜1.5
gがさらに好ましく、0.6〜1.0gが特に好まし
い。
【0085】前記有機溶媒としては、紫外線吸収剤およ
びマトリクス相として用いる化合物を均一に溶解または
分散させて流動性の液を生成することができ、基材フィ
ルムに対しては溶解しないかわずかな膨潤性を示す程度
の溶解性を有し、基材フィルム上に流延可能な親和性を
有し、適度な揮発性を有するものであることが好まし
い。
【0086】前記有機溶媒の具体例としては、メタノー
ル、エタノール、プロピルアルコール等のアルコール
類、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類、ベン
ゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類、塩化
メチレン、クロロホルム等のハロゲン化炭化水素類が挙
げられる。これらの中から、紫外線吸収剤、紫外線吸収
層のマトリクス相とする化合物および基材フィルムの性
質に応じて選択すればよい。
【0087】前記紫外線吸収層を形成するための溶液ま
たは分散液をフィルム上に塗布する方法としては、液状
物質を固体表面に塗布するために通常使用される方法、
例えばグラビアコート法、ディップコート法、スプレー
コート法、流延法などにより基材フィルム上に塗布する
方法を用いることができる。
【0088】通常、前記溶液または分散液を塗布後、室
温乾燥または加熱処理してカップリング層を形成する。
加熱処理としては、20℃以上フィルムのTg以下の温
度範囲で、1分以上10時間以内の処理が通常である。
【0089】前記紫外線吸収層の厚さは、特に制限はな
いが、所望の紫外線吸収効果がえられる範囲であればで
きるだけ薄くすることを妨げる理由はなく、20μm以
下であることが好ましい。前記範囲をこえる場合、貼合
後の偏光板の厚さが厚くなる点で実用上の不利を招きや
すい傾向となる。
【0090】本発明の偏光子保護フィルムは、通常、公
知のヨウ素系あるいは染料系の偏光子フィルムと接着剤
を介して積層貼合して偏光板とすることができる。前記
接着剤としては、ポリビニルアルコール系の化合物を主
成分とする水系接着剤を好適に用いることができる。
【0091】この場合、保護フィルムと偏光子フィルム
とは充分な接着強度を有していることが好ましい。本発
明の保護フィルムにおいては、この接着強度を高めるた
めに、紫外線吸収層に易接着性を付与し、紫外線吸収層
を有する側の面を偏光子フィルムに向けて、接着剤好ま
しくは水系接着剤を介して偏光子フィルムと貼合し、所
定の乾燥を経て偏光子フィルムとの一体化をなすことに
よって、保護フィルムと偏光子フィルムとの接着強度を
さらに高めることができる。
【0092】紫外線吸収層に易接着性を付与する方法と
しては、例えば、紫外線吸収層表面にコロナ処理、UV
オゾン処理、プラズマ処理、アルカリ処理等を施して易
接着性を付与する、紫外線吸収層を形成するマトリクス
相にカップリング剤を含有させて易接着性を付与する等
の方法を例示することができる。本発明においては、上
記手段等のなかから、基材フィルムや紫外線吸収層のマ
トリクス相の性質に応じた方法を選択すればよい。
【0093】例えば、前記マトリクス相として用いる化
合物と紫外線吸収剤とを、基材フィルムに対して適度な
膨潤性を有する溶媒に溶解した溶液を基材フィルムに塗
布・乾燥して紫外線吸収層を形成することにより、基材
フィルムと紫外線吸収層との界面接着強度を高めること
ができ、かつ、該紫外線吸収層の表面をマトリクス相の
性質に応じてコロナ処理、UVオゾン処理、プラズマ処
理、アルカリ処理等の方法で処理して偏光子フィルムと
の接着強度を高めることができる。紫外線吸収層の表面
をアルカリ処理して接着性を付与しようとする場合、前
記マトリクス相としてアルカリ液との接触によって加水
分解を生じる化合物を用いることが好ましい。
【0094】このような化合物の好ましい例としては、
セルロースエステルが挙げられる。
【0095】前記セルロースエステルとしては、加水分
解性を有するセルロースの脂肪酸エステルであればよい
が、セルロースの低級脂肪酸エステルであることが好ま
しい。低級脂肪酸とは、炭素原子数が6以下の脂肪酸を
意味する。
【0096】前記セルロースの低級脂肪酸エステルの具
体例としては、例えばセルロースジアセテート、セルロ
ーストリアセテート、セルロースプロピオネート、セル
ロースブチレート等の単独脂肪酸エステル、セルロース
アセテートプロピオネート、セルロースアセテートブチ
レート等の混合脂肪酸エステル、およびこれらの混合物
等が挙げられる。なかでも、セルロースエステルを溶液
にしてフィルム上にセルロースエステル層を付設する方
法を用いる場合に、選択可能な溶媒が比較的広く、かつ
該層付設後の加水分解による表面改質が容易という観点
からセルロースアセテートプロピオネート、セルロース
アセテートブチレートが好ましい。
【0097】前記セルロースエステルの重合度として
は、層の強度を保つという観点から、セルロースの重合
度として100〜400とすることが好ましい。
【0098】前記セルロースエステルを紫外線吸収層の
マトリクス相として用いる場合、層の厚さは、特に制限
はないが、0.1〜20μmであることが好ましい。前
記範囲未満の場合、貼合後の接着強度が安定してえられ
にくい傾向となり、前記範囲をこえる場合、基材フィル
ムが低透湿度であっても偏光板の耐湿熱特性の改善に寄
与し難くなったり、貼合後の偏光板の厚さが厚くなる点
で実用上の不利を招きやすい傾向となる。
【0099】セルロースエステルをマトリクス相とする
紫外線吸収層を形成する方法としては、例えば、紫外線
吸収剤とセルロースエステルとを水または有機溶媒に溶
解または分散させた溶液あるいは分散液を、基材フィル
ム上に塗布後乾燥して層を形成する方法、紫外線吸収剤
とセルロースエステルとを他の熱可塑性樹脂とともに水
または有機溶媒中に溶解または分散させた溶液あるいは
分散液を、基材フィルム上に塗布後乾燥して層を形成す
る方法、紫外線吸収剤とセルロースエステルとを分散さ
せた熱硬化性樹脂溶液を基材フィルム上に塗布後熱硬化
性樹脂を硬化させて層を形成する方法などが挙げられ
る。なかでも、紫外線吸収剤とセルロースエステルとを
有機溶媒に溶解させた溶液を、基材フィルム上に塗布後
乾燥して層を形成する方法は、工業的に作り易いという
観点から好ましい。
【0100】本発明の好ましい態様としては、(A)側
鎖に置換または非置換イミド基を有する熱可塑性樹脂、
および(B)側鎖に置換または非置換フェニル基及びニ
トリル基を有する熱可塑性樹脂を含有する樹脂組成物か
らなる基材フィルムの上に、紫外線吸収剤およびセルロ
ースアセテートプロピオネートからなる紫外線吸収層を
トルエン/メチルエチルケトン混合溶液(重量比1:
1)を用いて付設する場合が例示できる。この場合、前
記トルエン/メチルエチルケトン混合溶液はセルロース
エステルの良溶媒であることに加えて、基材フィルムに
対しても適度な膨潤性を有しており、紫外線吸収層と基
材フィルムとの界面強度をより高める効果がえられる。
【0101】
【実施例】以下、本発明を実施例にて具体的に説明する
が、本発明はこれらの実施例に限定されるものではな
い。
【0102】尚、各特性値は以下のようにして測定し
た。
【0103】<基材フィルムの水分透過率(透湿度)>
JIS Z0208記載の方法に準じて測定した。
【0104】<位相差>顕微偏光分光光度計(オーク製
作所(株)TFM−120AFT)を用い、測定波長5
15nmで測定した。
【0105】<光線透過率>JIS K7105−19
81の5.5記載の方法に準じて測定した。
【0106】<ヘイズ>JIS K7105−1981
の6.4記載の方法に準じて測定した。
【0107】実施例1 イソブテンとN−メチルマレイミドから成る交互共重合
体(N−メチルマレイミド含量50モル%、ガラス転移
温度157℃)65重量部と、アクリロニトリル及びス
チレンの含量がそれぞれ24重量%、76重量%である
スチレン−アクリロニトリル共重合体35重量部とを溶
融混練して樹脂組成物をえた。この樹脂組成物100重
量部と2−(4,6−ジフェニル−1,3,5−トリア
ジン−2−イル)−5−[(ヘキシル)オキシ]−フェ
ノール 2重量部とを、シリンダー温度260〜270
℃のTダイ押出機(シリンダー径40mm、L/D2
4)を用いて溶融押出フィルム化し、厚さ約170μm
の原反フィルム−1を得た。この原反フィルム−1の位
相差値は0nm、光線透過率は92%、ヘイズは0.3
%であった。
【0108】この原反フィルム−1を、延伸試験装置
(東洋精機製作所、X4HD−HT)を用いて延伸速度
10cm/分、延伸倍率1.8倍、延伸温度140℃の
条件で自由端縦一軸で延伸し、次いで同様の延伸条件で
先の延伸方向とは直交する方向に自由端一軸延伸を行っ
て厚さ50μmの延伸フィルム−1を得た。この延伸フ
ィルム−1の位相差値は2nm、光線透過率は92%、
ヘイズは0.4%であり、40℃・90%RHの透湿度
は85g/(m2・24hr)、70℃・90%RHの
透湿度は365g/(m2・24hr)であった。
【0109】この延伸フィルム−1を基材フィルムとし
て用い、該基材フィルム上に、セルロースアセテートプ
ロピオネート(アセチル基置換度0.1、プロピオニル
基置換度2.7)100重量部、紫外線吸収剤2−
(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−t−ブチルフェ
ニル)−5−クロロベンゾトリアゾール5重量部および
2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−t−ペンチ
ルフェニル)ベンゾトリアゾール5重量部を、トルエン
/メチルエチルケトン混合溶媒(トルエン:メチルエチ
ルケトン(重量比)=1:1)に溶解した溶液(セルロ
ースアセテートプロピオネート濃度10重量%)を流延
した後、120℃で60分加熱処理して、厚さ2μmの
紫外線吸収層が基材フィルム上に積層された保護フィル
ムをえた。
【0110】えられた保護フィルムを、60±5℃に保
った水酸化ナトリウムの水溶液(水酸化ナトリウム濃度
10重量%)に2分間浸漬した後、充分に水洗して、ケ
ン化処理した保護フィルムをえた。該フィルムの紫外線
吸収層表面の純水との接触角は21°であった。
【0111】PVAフィルムを延伸しヨウ素で染色した
偏光子フィルムの両面それぞれに、前記保護フィルムを
紫外線吸収層が偏光子フィルム側になるようにしてPV
A系接着剤の水溶液(ポバール117、6重量%)を介
して積層し、圧延ロールで密着させた後、70℃で10
分間乾燥して偏光板をえた。
【0112】えられた偏光板において、偏光子フィルム
と保護フィルムとは強固に接着しており、剥離を試みて
もフィルムが破断し、剥離できなかった。
【0113】また、えられた偏光板を60℃、90%R
Hの環境下に100時間放置した後の偏光板の状態を観
察した結果、色変化や色抜けがなく、フィルムの浮きや
剥がれもみられなかった。
【0114】また、えられた偏光板に、カーボンアーク
燈を用いて紫外線を24時間照射後偏光板の状態を観察
した結果、色変化や色抜けはみられなかった。
【0115】実施例2 実施例1で用いた樹脂組成物100重量部を、シリンダ
ー温度260〜270℃のTダイ押出機(シリンダー径
40mm、L/D24)を用いて溶融押出フィルム化
し、厚さ約170μmの原反フィルム−2を得た。この
原反フィルム−2の位相差値は0nm、光線透過率は9
2%、ヘイズは0.3%であった。
【0116】この原反フィルム−2を、延伸試験装置
(東洋精機製作所、X4HD−HT)を用いて延伸速度
10cm/分、延伸倍率1.8倍、延伸温度140℃の
条件で自由端縦一軸で延伸し、次いで同様の延伸条件で
先の延伸方向とは直交する方向に自由端一軸延伸を行っ
て厚さ50μmの延伸フィルムを得た。この延伸フィル
ム−2の位相差値は2nm、光線透過率は92%、ヘイ
ズは0.4%であり、40℃・90%RHの透湿度は8
5g/(m2・24hr)、70℃・90%RHの透湿
度は365g/(m2・24hr)であった。
【0117】この延伸フィルム−2を基材フィルムとし
て用い、該基材フィルム上に、セルロースアセテートプ
ロピオネート(アセチル基置換度0.1、プロピオニル
基置換度2.7)100重量部、紫外線吸収剤2−
(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−t−ブチルフェ
ニル)−5−クロロベンゾトリアゾール5重量部および
2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−t−ペンチ
ルフェニル)ベンゾトリアゾール5重量部を、トルエン
/メチルエチルケトン混合溶媒(トルエン:メチルエチ
ルケトン(重量比)=1:1)に溶解した溶液(セルロ
ースアセテートプロピオネート濃度10重量%)を流延
した後、120℃で60分加熱処理して、厚さ5μmの
紫外線吸収層が基材フィルム上に積層された保護フィル
ムをえた。
【0118】えられた保護フィルムを、60±5℃に保
った水酸化ナトリウムの水溶液(水酸化ナトリウム濃度
10重量%)に2分間浸漬した後、充分に水洗して、ケ
ン化処理した保護フィルムをえた。該フィルムの紫外線
吸収層表面の純水との接触角は21°であった。
【0119】PVAフィルムを延伸しヨウ素で染色した
偏光子フィルムの両面それぞれに、前記保護フィルムを
紫外線吸収層が偏光子フィルム側になるようにしてPV
A系接着剤の水溶液(ポバール117、6重量%)を介
して積層し、圧延ロールで密着させた後、70℃で10
分間乾燥して偏光板をえた。
【0120】えられた偏光板において、偏光子フィルム
と保護フィルムとは強固に接着しており、剥離を試みて
もフィルムが破断し、剥離できなかった。
【0121】また、えられた偏光板を60℃、90%R
Hの環境下に100時間放置した後の偏光板の状態を観
察した結果、色変化や色抜けがなく、フィルムの浮きや
剥がれもみられなかった。
【0122】また、えられた偏光板に、カーボンアーク
燈を用いて紫外線を24時間照射後偏光板の状態を観察
した結果、色変化や色抜けはみられなかった。
【0123】実施例3 ノルボルネン系樹脂フィルム(日本ゼオン(株)製、ゼ
オノア1420R)を基材フィルムとして用い、該基材
フィルム上に、セルロースアセテートプロピオネート
(アセチル基置換度0.1、プロピオニル基置換度2.
7)100重量部、紫外線吸収剤2−(2’−ヒドロキ
シ−3’,5’−ジ−t−ブチルフェニル)−5−クロ
ロベンゾトリアゾール5重量部および2−(2’−ヒド
ロキシ−3’,5’−ジ−t−ペンチルフェニル)ベン
ゾトリアゾール5重量部を、トルエン/メタノール混合
溶媒(トルエン:メタノール(重量比)=1:1)に溶
解した溶液(セルロースアセテートプロピオネート濃度
10重量%)を流延した後、120℃で60分加熱処理
して、厚さ5μmの紫外線吸収層が基材フィルム上に積
層された保護フィルムをえた。
【0124】えられた保護フィルムを、60±5℃に保
った水酸化ナトリウムの水溶液(水酸化ナトリウム濃度
10重量%)に2分間浸漬した後、充分に水洗して、ケ
ン化処理した保護フィルムをえた。該フィルムの紫外線
吸収層表面の純水との接触角は21°であった。
【0125】PVAフィルムを延伸しヨウ素で染色した
偏光子フィルムの両面それぞれに、前記保護フィルムを
紫外線吸収層が偏光子フィルム側になるようにしてPV
A系接着剤の水溶液(ポバール117、6重量%)を介
して積層し、圧延ロールで密着させた後、70℃で10
分間乾燥して偏光板をえた。
【0126】えられた偏光板において、偏光子フィルム
と保護フィルムとは強固に接着しており、剥離を試みて
もフィルムが破断し、剥離できなかった。
【0127】また、えられた偏光板を60℃、90%R
Hの環境下に100時間放置した後の偏光板の状態を観
察した結果、色変化や色抜けがなく、フィルムの浮きや
剥がれもみられなかった。
【0128】また、えられた偏光板に、カーボンアーク
燈を用いて紫外線を24時間照射後偏光板の状態を観察
した結果、色変化や色抜けはみられなかった。
【0129】比較例1 イソブテンとN−メチルマレイミドから成る交互共重合
体(N−メチルマレイミド含量50モル%、ガラス転移
温度157℃)65重量部と、アクリロニトリル及びス
チレンの含量がそれぞれ24重量%、76重量%である
スチレン−アクリロニトリル共重合体35重量部とを溶
融混練して樹脂組成物をえた。この樹脂組成物100重
量部と紫外線吸収剤2−(2’−ヒドロキシ−3’,
5’−ジ−t−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール2
重量部とを、シリンダー温度260〜270℃のTダイ
押出機(シリンダー径40mm、L/D24)を用いて
溶融押出フィルム化し、厚さ約170μmの原反フィル
ム−3を得た。この原反フィルム−3の位相差値は0n
m、光線透過率は91%、ヘイズは0.4%であった。
【0130】この原反フィルム−3を、延伸試験装置
(東洋精機製作所、X4HD−HT)を用いて延伸速度
10cm/分、延伸倍率1.8倍、延伸温度140℃の
条件で自由端縦一軸で延伸し、次いで同様の延伸条件で
先の延伸方向とは直交する方向に自由端一軸延伸を行っ
て厚さ50μmの延伸フィルム−3を得た。この延伸フ
ィルム−3の位相差値は2nm、光線透過率は91%、
ヘイズは0.4%であり、40℃・90%RHの透湿度
は85g/(m2・24hr)、70℃・90%RHの
透湿度は365g/(m2・24hr)であった。
【0131】この延伸フィルムを基材フィルムとして用
い、該基材フィルム上に、セルロースアセテートプロピ
オネート(アセチル基置換度0.1、プロピオニル基置
換度2.7)をトルエン/メチルエチルケトン混合溶媒
(トルエン:メチルエチルケトン(重量比)=1:1)
に溶解した溶液(濃度10重量%)を流延した後、12
0℃で60分加熱処理して、厚さ2μmのセルロースア
セテートプロピオネート層が基材フィルム上に積層され
た保護フィルムをえた。
【0132】えられた保護フィルムを、60±5℃に保
った水酸化ナトリウムの水溶液(水酸化ナトリウム濃度
10重量%)に2分間浸漬した後、充分に水洗して、ケ
ン化処理した保護フィルムをえた。該フィルムのセルロ
ースアセテートプロピオネート層表面の純水との接触角
は21°であった。
【0133】PVAフィルムを延伸しヨウ素で染色した
偏光子フィルムの両面それぞれに、前記保護フィルムを
セルロースアセテートプロピオネート層が偏光子フィル
ム側になるようにしてPVA系接着剤の水溶液(ポバー
ル117、6重量%)を介して積層し、圧延ロールで密
着させた後、70℃で10分間乾燥して偏光板をえた。
【0134】えられた偏光板において、偏光子フィルム
と保護フィルムとは強固に接着しており、剥離を試みて
もフィルムが破断し、剥離できなかった。
【0135】また、えられた偏光板を60℃、90%R
Hの環境下に100時間放置した後の偏光板の状態を観
察した結果、色変化や色抜けがなく、フィルムの浮きや
剥がれもみられなかった。
【0136】また、えられた偏光板に、カーボンアーク
燈を用いて紫外線を48時間照射して、偏光板の色変化
や色抜けの状態を観察した結果、著しい変色と脱色がみ
られた。
【0137】比較例2 PVAフィルムを延伸しヨウ素で染色した偏光子フィル
ムの両面それぞれに、実施例1と同様の条件でケン化処
理したトリアセチルセルロースフィルム(厚さ:80μ
m、70℃・90%RHにおける透湿度:2700g/
(m2・24hr)、表面の純水接触角:18°)をP
VA系接着剤の水溶液(ポバール117、6重量%)を
介して積層し、圧延ロールで密着させた後、70℃で1
0分間乾燥して偏光板をえた。
【0138】えられた偏光板において、偏光子フィルム
と保護フィルムとは強固に接着しており、剥離を試みて
もフィルムが破断し、剥離できなかった。
【0139】また、えられた偏光板を60℃、90%R
Hの環境下に100時間放置した後の偏光板の状態を観
察した結果、著しい変色と脱色が生じていた。
【0140】
【発明の効果】本発明の偏光子保護フィルムは、透湿率
が小さい特長を保持しながら、優れた紫外線吸収性を発
現することができる。また、優れた偏光子フィルムとの
接着加工性・接着強度を発現することができる。
【0141】本発明の偏光子保護フィルムを用いること
により、耐久性、具体的には耐湿熱性に優れた偏光板を
生産性良く製造することができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) G02F 1/1335 510 G02F 1/1335 510 (72)発明者 藤井 貞男 兵庫県神戸市北区筑紫が丘8−4−9 Fターム(参考) 2H049 BA02 BA27 BB13 BB14 BB20 BB22 BB39 BB43 BB51 BC03 BC22 2H091 FA08 FA34 FB02 FB12 FC07 LA03 LA06 4J002 BB17W BB18W BC06X BC08X BC09X BC11X BC12X BG10X BG11X BH02W FD020 GF00 GP00

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 偏光子フィルムの片面あるいは両面に積
    層して使用される偏光子保護フィルムであり、(1)7
    0℃・90%RHにおける透湿度が500g/(m2
    24hr)以下の基材フィルム層および(2)基材フィ
    ルム層の少なくとも一方の面上に付設された紫外線吸収
    層、を有する偏光子保護フィルム。
  2. 【請求項2】 紫外線吸収層が紫外線吸収剤を含有する
    有機化合物層である請求項1に記載の偏光子保護フィル
    ム。
  3. 【請求項3】 紫外線吸収剤がベンゾフェノン系化合物
    類、ベンゾトリアゾール系化合物類、サリチル酸系化合
    物類から選ばれる1種以上である請求項2に記載の偏光
    子保護フィルム。
  4. 【請求項4】 有機化合物層の主たる構成成分がセルロ
    ースエステルである請求項2に記載の偏光子保護フィル
    ム。
  5. 【請求項5】 基材フィルム層が200℃以上の加工工
    程を経て製造されたフィルムからなる請求項1〜4のい
    ずれかに記載の偏光子保護フィルム。
  6. 【請求項6】 フィルムが押出フィルムである請求項5
    に記載の偏光子保護フィルム。
  7. 【請求項7】 基材フィルム層の位相差値が0から20
    nm、光線透過率が85%以上、ヘーズが2%以下であ
    る請求項1〜6に記載の偏光子保護フィルム。
  8. 【請求項8】 基材フィルム層が、主たる成分として
    (A)側鎖に置換または非置換イミド基を有する熱可塑
    性樹脂、および(B)側鎖に置換または非置換フェニル
    基及びニトリル基を有する熱可塑性樹脂を含有する請求
    項7に記載の偏光子保護フィルム。
  9. 【請求項9】 (A)の熱可塑性樹脂が、オレフィン成
    分と側鎖に置換または非置換イミド基を有する成分から
    なる請求項8に記載の偏光子保護フィルム。
  10. 【請求項10】 請求項1〜9の偏光子保護フィルムと
    偏光子フィルムとが接着剤層を介して積層されているこ
    とを特徴とする偏光板。
JP2001142401A 2001-05-11 2001-05-11 偏光子保護フィルムおよび偏光板 Expired - Fee Related JP4700219B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2001142401A JP4700219B2 (ja) 2001-05-11 2001-05-11 偏光子保護フィルムおよび偏光板

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2001142401A JP4700219B2 (ja) 2001-05-11 2001-05-11 偏光子保護フィルムおよび偏光板

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2002341135A true JP2002341135A (ja) 2002-11-27
JP4700219B2 JP4700219B2 (ja) 2011-06-15

Family

ID=18988708

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2001142401A Expired - Fee Related JP4700219B2 (ja) 2001-05-11 2001-05-11 偏光子保護フィルムおよび偏光板

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP4700219B2 (ja)

Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2006010828A (ja) * 2004-06-23 2006-01-12 Fuji Photo Film Co Ltd セルロースアシレートフィルムとその製造方法
JP2007052404A (ja) * 2005-07-19 2007-03-01 Nitto Denko Corp 偏光板、および画像表示装置
JP2011221424A (ja) * 2010-04-14 2011-11-04 Nitto Denko Corp 偏光板および画像表示装置
US8861076B2 (en) 2009-11-10 2014-10-14 Nitto Denko Corporation Polarizing plate having polarizer and ultraviolet shielding layer containing inorganic fine particles and image display apparatus comprising the same
JP2017002119A (ja) * 2015-06-04 2017-01-05 日東電工株式会社 粘着シート、粘着剤付き光学フィルム、および画像表示装置の製造方法。

Citations (10)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS61193127A (ja) * 1985-02-21 1986-08-27 Sumitomo Bakelite Co Ltd 偏光膜一体型透明導電性フイルム
JPH05212828A (ja) * 1992-02-05 1993-08-24 Nippon Zeon Co Ltd 複合シート
JPH0777608A (ja) * 1993-09-07 1995-03-20 Nippon Synthetic Chem Ind Co Ltd:The 偏光板
JPH0980231A (ja) * 1995-09-18 1997-03-28 Kuraray Co Ltd 偏光板
JPH09120002A (ja) * 1995-10-24 1997-05-06 Japan Synthetic Rubber Co Ltd 反射防止フィルム
JPH09281333A (ja) * 1996-04-18 1997-10-31 Konica Corp 偏光板用保護フィルムおよびそれを用いた偏光板
JP2000080240A (ja) * 1998-09-07 2000-03-21 Tosoh Corp 透明性フィルム
JP2000214325A (ja) * 1999-01-21 2000-08-04 Kanegafuchi Chem Ind Co Ltd 位相差フィルム
JP2001002807A (ja) * 2000-01-01 2001-01-09 Fuji Photo Film Co Ltd セルロースアセテートフイルム
JP2001004839A (ja) * 1999-06-22 2001-01-12 Nippon Mitsubishi Oil Corp 偏光回折素子の製造方法

Patent Citations (10)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS61193127A (ja) * 1985-02-21 1986-08-27 Sumitomo Bakelite Co Ltd 偏光膜一体型透明導電性フイルム
JPH05212828A (ja) * 1992-02-05 1993-08-24 Nippon Zeon Co Ltd 複合シート
JPH0777608A (ja) * 1993-09-07 1995-03-20 Nippon Synthetic Chem Ind Co Ltd:The 偏光板
JPH0980231A (ja) * 1995-09-18 1997-03-28 Kuraray Co Ltd 偏光板
JPH09120002A (ja) * 1995-10-24 1997-05-06 Japan Synthetic Rubber Co Ltd 反射防止フィルム
JPH09281333A (ja) * 1996-04-18 1997-10-31 Konica Corp 偏光板用保護フィルムおよびそれを用いた偏光板
JP2000080240A (ja) * 1998-09-07 2000-03-21 Tosoh Corp 透明性フィルム
JP2000214325A (ja) * 1999-01-21 2000-08-04 Kanegafuchi Chem Ind Co Ltd 位相差フィルム
JP2001004839A (ja) * 1999-06-22 2001-01-12 Nippon Mitsubishi Oil Corp 偏光回折素子の製造方法
JP2001002807A (ja) * 2000-01-01 2001-01-09 Fuji Photo Film Co Ltd セルロースアセテートフイルム

Cited By (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2006010828A (ja) * 2004-06-23 2006-01-12 Fuji Photo Film Co Ltd セルロースアシレートフィルムとその製造方法
JP4530735B2 (ja) * 2004-06-23 2010-08-25 富士フイルム株式会社 セルロースアシレートフィルムとその製造方法
JP2007052404A (ja) * 2005-07-19 2007-03-01 Nitto Denko Corp 偏光板、および画像表示装置
US8861076B2 (en) 2009-11-10 2014-10-14 Nitto Denko Corporation Polarizing plate having polarizer and ultraviolet shielding layer containing inorganic fine particles and image display apparatus comprising the same
JP2011221424A (ja) * 2010-04-14 2011-11-04 Nitto Denko Corp 偏光板および画像表示装置
US8861077B2 (en) 2010-04-14 2014-10-14 Nitto Denko Corporation Polarizing plate having ultraviolet shielding layer containing inorganic fine particles and image display apparatus comprising the same
JP2017002119A (ja) * 2015-06-04 2017-01-05 日東電工株式会社 粘着シート、粘着剤付き光学フィルム、および画像表示装置の製造方法。

Also Published As

Publication number Publication date
JP4700219B2 (ja) 2011-06-15

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US6964814B2 (en) Transparent film
JP4737867B2 (ja) 透明複合フィルム、偏光子保護フィルム、偏光フィルムおよび液晶表示装置
TWI444424B (zh) A thermoplastic resin composition, a resin molded product using the resin composition, a protective element for a polarizing element, and a method for producing a resin molded product
JP2001343529A (ja) 偏光子保護フィルムおよびその製造方法
JP4792777B2 (ja) 広視野角補償フィルム及びそれを用いてなる透過型液晶表示装置
JP2004045893A (ja) 透明フィルム、偏光子保護フィルム、および偏光板
JP2006337492A (ja) 偏光子保護フィルムならびにそれを用いた偏光板
JP2006337569A (ja) 偏光子保護フィルムならびにそれを用いた偏光板、液晶表示装置
JP2006317560A (ja) 偏光子保護フィルムならびにそれを用いた偏光板
KR101042477B1 (ko) 내열성이 우수한 투명수지 조성물 및 이에 의해 제조된광학 등방성 필름
JP2002328233A (ja) 透明フィルム
JP2002338702A (ja) 透明フィルム
JP2013083953A (ja) 光学積層フィルム、並びにそれを用いた偏光板及び液晶表示装置
JP4659265B2 (ja) 偏光子保護フィルムおよび偏光板
KR20160090335A (ko) 셀룰로오스 에스테르 필름, 그 제조 방법 및 편광판
JP2002293956A (ja) 透明フィルム
KR20160060095A (ko) 위상차 필름, 편광판 및 액정 표시 장치
JP2002338703A (ja) 透明フィルム
JP2002341135A (ja) 低透湿性フィルム
JP4700220B2 (ja) 偏光子保護フィルムおよび偏光板
JP2003131034A (ja) 偏光板およびその製造方法
CN105988157B (zh) 光学层叠体及其制造方法、以及使用了该光学层叠体的图像显示装置
JP2002243943A (ja) 偏光子保護フィルム
JP3977064B2 (ja) 偏光子保護フィルムおよび偏光フィルム、ならびに偏光子保護フィルムの製造方法
JP2002303724A (ja) 偏光子保護フィルム

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20071122

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20100226

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20100302

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20100430

RD03 Notification of appointment of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7423

Effective date: 20100430

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20100727

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20100924

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20101207

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20110105

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20110208

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20110304

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 4700219

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

S531 Written request for registration of change of domicile

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313531

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20140311

Year of fee payment: 3

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees