JP2002340920A - 回転速度検出装置付き車輪用軸受 - Google Patents

回転速度検出装置付き車輪用軸受

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JP2002340920A
JP2002340920A JP2001141685A JP2001141685A JP2002340920A JP 2002340920 A JP2002340920 A JP 2002340920A JP 2001141685 A JP2001141685 A JP 2001141685A JP 2001141685 A JP2001141685 A JP 2001141685A JP 2002340920 A JP2002340920 A JP 2002340920A
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encoder
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Takayuki Norimatsu
孝幸 乗松
Motoharu Niki
基晴 仁木
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NTN Corp
NTN Toyo Bearing Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 磁気エンコーダの嵌合上の誤差を抑えて、ピ
ッチ誤差や磁束密度等の磁気特性の向上を図ることがで
き、高い回転検出精度が確保できる回転速度検出装置付
き車輪用軸受を提供する。 【解決手段】 内法部材1と外方部材2の間に複数の転
動体3を収容する。内外の部材間のうち回転側部材の端
部に同軸状に、磁気エンコーダ20を嵌合する。この磁
気エンコーダ20は、磁性体製の芯金21に磁性体粉が
混入された弾性部材22を加硫接着し、円周方向に交互
に磁極を形成したものである。この磁気エンコーダ20
の嵌合面20aと着磁表面20b間の精度を所定値内に
規制する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、自動車等におけ
る車輪用軸受に関し、特に回転速度検出装置付きの車輪
用軸受に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、図11に示すように転動体103
を介して転接する内方部材101および外方部材102
間にシール装置105を設けた車輪用軸受において、シ
ール装置105に磁気エンコーダ106を一体化させた
ものが提案されている(例えば、特開平6−28101
8号)。シール装置105は、各々断面L字状とされた
第1,第2のシール板107,108を内方部材101
および外方部材102にそれぞれ嵌合させたものであ
る。第2のシール板108はシールリップ109が設け
られている。第1のシール板107はスリンガと呼ばれ
る。第1のシール板107は、強磁性体で形成され、か
つ磁性体粉の混入された弾性部材111が加硫接着され
る。弾性部材111は、円周方向に交互に磁極が形成さ
れ、この弾性部材111と第1のシール板107とで磁
気エンコーダ106が形成される。磁気エンコーダ10
6と、磁気エンコーダ106に対面配置されてその磁極
を検出する磁気センサ110とで、回転速度検出装置1
12が構成される。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】このような回転速度検
出装置付き車輪用軸受において、精度の良い回転速度検
出のためには、磁気エンコーダ106と磁気センサ11
0との所定のエアギャップGにおいて、所定のピッチ誤
差や磁束密度等の磁気特性を確保することが要求され
る。ピッチ誤差は、そのまま回転速度の検出値の誤差に
つながり、また磁束密度が低いと、磁気センサ110に
よる検出信号の信号強度が低くなり、外乱信号等による
回転速度検出値の誤差につながる。このような磁気エン
コーダ106の磁気特性の確保のためには、弾性部材1
11の着磁方法の検討が必要であるが、着磁が適切にな
されていても、十分な磁気特性が確保できない場合があ
った。これは、磁気エンコーダ106の単品で精度が確
保されていても、磁気エンコーダ106を軸受の回転側
の部材101に嵌合させたときに生じる誤差が影響する
ものと考えられる。上記の例は、磁気エンコーダ106
と磁気センサ110とがアキシアル方向に対向するアキ
シアル型の回転速度検出装置112の場合につき説明し
たが、磁気エンコーダと磁気センサとがラジアル方向に
対向するラジアル型の回転速度検出装置の場合にも同様
な課題がある。
【0004】この発明の目的は、磁気エンコーダの軸受
への嵌合状態において、ピッチ誤差や磁束密度等の磁気
特性の要求を満足することができ、高い回転検出精度が
確保できる回転速度検出装置付き車輪用軸受を提供する
ことである。
【0005】
【課題を解決するための手段】この発明における第1の
発明の回転速度検出装置付き車輪用時軸受は、内方部材
および外方部材と、これらの内外の部材間に収容される
複数の転動体と、上記内外の部材のうち回転側部材の端
部に同軸状に嵌合され、芯金に磁性体粉が混入された弾
性部材が加硫接着されて、円周方向に交互に磁極が形成
される環状の磁気エンコーダとからなる回転速度検出装
置付き車輪用軸受において、上記磁気エンコーダの上記
回転側部材へ嵌合させる嵌合面と、この磁気エンコーダ
の着磁表面間の精度を所定値内に規制したことを特徴と
する。この軸受は、磁気エンコーダ単体を組み込んだ、
例えばラジアル型としたものである。この構成による
と、磁気エンコーダの軸受への嵌合状態において、磁気
エンコーダの嵌合面と着磁表面との間の精度を所定値内
に規制したため、被検出面となる着磁表面の軸受中心に
対する精度が確保され、磁気エンコーダに対面させる磁
気センサに対して着磁表面の位置精度が確保される。そ
のため、磁気エンコーダの嵌合上の誤差を含めて精度管
理できて、実際の使用状態において、ピッチ誤差や磁束
密度等の磁気特性の要求を満足することができ、高い回
転検出精度が確保できる。上記の精度は、例えば、磁気
エンコーダの嵌合面と着磁表面との同軸度や、その嵌合
面に対する着磁表面の振れ等である。
【0006】この発明における第2の発明の回転速度検
出装置付き車輪用軸受は、内方部材および外方部材と、
これら内外の部材間に収容される複数の転動体と、上記
内外の部材間の端部環状空間を密封するシール装置とか
らなる車輪用軸受であって、上記シール装置は、上記内
方部材と外方部材のうちの互いに異なる部材に取り付け
られた第1および第2の環状のシール板を有し、両シー
ル板は、各々円筒部と立板部とでなる断面L字状に形成
されて互いに対向し、第1のシール板は上記内方部材お
よび外方部材のうちの回転側の部材に嵌合され、立板部
が軸受外方側に配されると共に、この立板部に磁性体粉
が混入された弾性部材が加硫接着され、この弾性部材は
周方向に交互に磁極が形成されて第1のシール板と共に
磁気エンコーダを構成し、第2のシール板は上記立板部
に摺接するサイドリップと円筒部に摺接するラジアルリ
ップとを一体に有し、この第2のシール板の円筒部と上
記第1のシール板の立板部の先端とを僅かな径方向隙間
をもって対峙させた回転速度検出装置付き車輪用軸受に
おいて、上記第1のシール板の上記回転側部材に嵌合さ
せる円筒部の嵌合面と磁気エンコーダの着磁表面間の精
度を所定値内に規制したことを特徴とする。この軸受
は、磁気エンコーダをアキシアル型とし、シール装置に
組み込まれたものである。この構成の場合も、磁気エン
コーダの嵌合状態において、磁気エンコーダのシール板
における円筒部の嵌合面と磁気エンコーダの着磁表面間
の精度を所定値内に規制したため、被検出面となる着磁
表面の軸受中心に対する精度が確保され、磁気エンコー
ダの着磁表面とこれに対面させる磁気センサとの間の精
度が確保される。そのため実際の使用状態において、ピ
ッチ誤差や磁束密度等の磁気特性の要求を満足すること
ができ、高い回転検出精度が確保できる。
【0007】これらの各発明において、上記磁気エンコ
ーダの嵌合面と着磁表面との同軸度を、所定値内に規制
することが好ましい。すなわち、請求項1または請求項
2で言う所定値内に規制する精度の一つとして、同軸度
を規制する。ラジアル型の磁気エンコーダの場合、磁気
エンコーダの嵌合面と被検出面である着磁表面との同軸
度が崩れると、磁気エンコーダと磁気センサとのエアギ
ャップが変動し、センサ出力振幅の検出精度が低下す
る。また、アキシアル型の磁気エンコーダの場合、磁気
エンコーダの単品のピッチ誤差を規制しても、嵌合面と
被検出面である着磁表面の同軸度が確保されなければ、
所望のピッチ誤差に抑制することができない。嵌合面に
対する磁気エンコーダの着磁表面の同軸度を所定値内に
規制すると、ラジアル型の磁気エンコーダの場合はセン
サ出力振幅の検出精度が確保され、アキシアル型の磁気
エンコーダの場合は所望のピッチ誤差に抑制することが
できる。
【0008】これらの各発明において、上記磁気エンコ
ーダの着磁表面の振れを所定値内に規制することが好ま
しい。磁気エンコーダの回転時の振れは、磁気エンコー
ダとセンサのエアギャップの変動の要因となり、センサ
の出力振幅の誤差となる。これは、センサの種類によら
ない。そのため、磁気エンコーダの被検出面である着磁
表面の振れを所定値に規制することにより、センサの出
力振幅誤差を所定範囲に抑えることができる。
【0009】これらの各発明において、上記磁気エンコ
ーダが嵌合される上記回転側部材の嵌合面と上記軸受の
軸心との同軸度を所定値内に規制することが好ましい。
回転側部材の嵌合面と軸受の軸心との同軸度が崩れてい
る場合も、磁気エンコーダとセンサとのエアギャップの
変動や、ピッチ誤差の要因となる。したがって上記嵌合
面と軸受の軸心との同軸度を所定値に規制することによ
り、エアギャップの変動による出力振幅値の変動やピッ
チ誤差が抑制され、回転検出精度の向上が得られる。
【0010】
【発明の実施の形態】この発明の第1の実施形態を図
1,図2と共に説明する。図1は、従動輪の支持に用い
る回転速度検出装置付き車輪用軸受の全体構成の一例を
示す。この車輪用軸受は、磁気エンコーダをラジアル型
としたものであって、内方部材1および外方部材2と、
これら内外の部材1,2間に収容される複数の転動体3
と、内外の部材1,2間の端部環状空間を密封するシー
ル装置5,13とを備える。内方部材1および外方部材
2は、転動体3の軌道面1a,2aを有しており、各軌
道面1a,2aは溝状に形成されている。内方部材1お
よび外方部材2は、各々転動体3を介して互いに回転自
在となった内周側の部材および外周側の部材のことであ
り、軸受内輪および軸受外輪の単独であっても、これら
軸受内輪や軸受外輪と別の部品とが組合わさった組立部
材であっても良い。また、内方部材1は、軸であっても
良い。転動体3は、ボールまたはころからなり、この例
ではボールが用いられている。
【0011】この車輪用軸受は、複列の転がり軸受、詳
しくは複列のアンギュラ玉軸受とされ、内方部材1は、
一対の分割型の内輪1A,1Bからなる。内方部材1は
固定輪となるものであり、固定の車軸(図示せず)に嵌
合状態に取付けられる。外方部材2は回転輪となるもの
であり、一体のハブ輪兼用の軸受外輪からなる。転動体
3は各列毎に保持器4で保持されている。
【0012】シール装置5は、図2に示すように、内方
部材1と外方部材2に各々取付けられた第1および第2
の環状のシール板11,12を有する。これらシール板
11,12は、各々内方部材1および外方部材2に圧入
状態に嵌合させることで取付けられている。両シール板
11,12は、各々円筒部11a,12aと立板部11
b,12bとでなる断面L字状に形成されて互いに対向
する。第1のシール板11は、内方部材1および外方部
材2のうちの固定側の部材である内方部材1に嵌合され
る。第1のシール板11の立板部11bは、軸受外方に
配される。
【0013】第2のシール板12は、第1のシール板1
1の立板部11bに摺接するサイドリップ16aと円筒
部11aに摺接するラジアルリップ16b,16cとを
一体に有する。これらリップ16a〜16cは、第2の
シール板12に加硫接着された弾性部材16の一部とし
て設けられている。第2のシール板12は、回転側部材
である外方部材2との嵌合部に弾性部材16を抱持した
もとしてある。すなわち、弾性部材16は、円筒部12
aの内径面から先端部外径までを覆う先端覆い部16d
を有するものとし、この先端覆い部16dが、第2のシ
ール板12と外方部材2との嵌合部に介在する。第2の
シール板12の円筒部12aと第1のシール板11の立
板部11bの先端とは僅かな径方向隙間をもって対峙さ
せ、その隙間でラビリンスシール17を構成している。
【0014】外方部材2の一端の外周には、磁気エンコ
ーダ20が嵌合している。この磁気エンコーダ20は、
外方部材2の外周に嵌合した磁性体の芯金21と、この
芯金21の外周に設けられた弾性部材22とからなり、
圧入によって外方部材2に固定されている。芯金21
は、強磁性体からなり、円筒状に形成されている。芯金
21の圧入側の端部には、ほぼ弾性部材の22の厚さだ
け外径側に突出するフランジが形成されている。弾性部
材22は磁性体粉の混入された合成ゴムからなり、芯金
21に加硫接着されている。弾性部材22は、アキシャ
ル方向の幅に比べてラジアル方向の厚さが薄いリング状
とされている。弾性部材22は、周方向に交互に磁極
N,Sが形成され、いわゆるゴム磁石とされている。磁
極N,Sは、ピッチ円直径(PCD)において所定のピ
ッチとなるように形成されている。磁石N,Sの磁束の
発生方向は、弾性部材22のラジアル方向である。この
磁気エンコーダ20の弾性部材22に対して、ラジアル
方向に対面して、磁気センサ25を配置することによ
り、これら磁気エンコーダ20と磁気センサ25とで、
車輪回転速度の検出用の回転速度検出装置28が構成さ
れる。磁気センサ25は、自動車の車体におけるこの車
輪用軸受の取付部材(図示せず)に設置される。
【0015】磁気エンコーダ20の外方部材2への嵌合
面20aと、磁気エンコーダ20の被検出面である弾性
部材22の着磁表面20bとの間の精度は、所定値内に
規制されている。換言すると、外方部材2の磁気エンコ
ーダ20が嵌合する嵌合面2bと、磁気エンコーダ20
の着磁表面20b間の精度が所定値内になるように規制
されている。上記磁気エンコーダ20の嵌合面20a
は、芯金21の内径面である。上記の精度の一つとし
て、嵌合面20a(直径φD)と着磁表面20b(直径
φEd)の同軸度が所定値内に規制されている。この所
定値は、例えば0.2mm以内とされる。
【0016】上記精度の他の一つとして、磁気エンコー
ダ20の被検出面である着磁表面20bの振れ(ラジア
ル振れ量)が所定値以内となるように規制してある。着
磁表面20bの振れが大きいと、エアギャップGが大き
く変動し、磁気特性に悪影響を与えるため、要求性能を
満足するには、このラジアル振れが、0.1mm以内、
好ましくは0.06mm以内に規制される。
【0017】また、この実施形態では、磁気エンコーダ
20が嵌合される部材である外方部材2の嵌合面2b
と、軸受の軸心との同軸度も所定値以内になるように規
制されている。これらの他に、磁気エンコーダ20の円
筒度、および偏肉についても、所定の範囲内に規制する
ことが好ましい。
【0018】この実施形態の車輪用軸受によると、軸受
組立状態において、磁気エンコーダ20の外方部材2へ
の嵌合面20a(直径φD)と、磁気エンコーダ20の
着磁表面20b(直径φEd)の同軸度が所定値内に規
制されているので、磁気エンコーダ20と磁気センサ2
5との間のエアギャップGの変動が所定値に制限され、
高い検出精度を確保することができる。また、磁気エン
コーダ20の着磁表面20bの振れ量(ラジアル振れ
量)が所定値以内となるように規制されているので、磁
気エンコーダ20と磁気センサ25との間のエアギャッ
プGの変動がさらに制限され、より高い検出精度を確保
することができる。さらに、磁気エンコーダ20が嵌合
される外方部材2の嵌合面2bと軸受の軸心との同軸度
が所定値内に規制されているため、より一層、エアギャ
ップの変動が制限される。
【0019】つぎに、試験結果と共に、ラジアル型の磁
気エンコーダおける各要因と磁気特性の関係を説明す
る。まず、ラジアル振れの影響について説明する。磁気
エンコーダ20の回転時のラジアル振れは、磁気エンコ
ーダ20と磁気センサ25のギャップGの距離変動の原
因となり、着磁強度のばらつきとして検出される。予め
着磁された磁気エンコーダ20を用いて、ラジアル振れ
量を変化させ、センサ出力振幅の変動を測定した。その
測定結果を図3に示す。試験は磁気エンコーダ20の単
品の状態で行った。磁気エンコーダ20は、精度上の要
件を除き、図1,図2に示したラジアル型のものを用い
た。その諸元は表1に示す。
【0020】
【表1】
【0021】磁気センサ25としては、MRセンサ(エ
アギャップ:1.2mm)と、ホールセンサ(エアギャ
ップ:0.5mmのものと1.2mmのもの)とを用い
た。図3には上記各センサを用いた場合の測定結果を示
す。この測定結果から、ラジアル振れに比例して、出力
振幅誤差が大きくなることがわかる。この傾向は、磁気
センサの種類によらずに生じる。よって、ラジアル型の
磁気エンコーダ20の場合、ラジアル振れを所定値内に
規定することにより、出力振幅誤差が所定値内に抑えら
れることがわかる。
【0022】図4は、エアギャップに対する磁束密度の
変化の関係を示す。図1,図2に示す回転速度検出装置
28について、複数個の精度向上品(No1〜No5)
と、現行品(精度向上処置を施していないもの)とにつ
き、エアギャップGを種々変えて、その磁束密度の検出
結果を測定した。精度向上品は、磁気エンコーダ20の
着磁表面20bの振れを所定値0.1mm内に規制した
たものである。エアギャップGは、磁気センサ25にお
ける磁気検出素子(図示せず)の表面からの距離であ
る。図4のグラフから、エアギャップGが大きくなるに
従い、検出される磁束密度が小さくなる傾向があること
がわかるが、精度向上品は、現行品に対して、どのエア
ギャップの場合においても検出される磁束密度が大きい
ことがわかる。
【0023】図5は、エアギャップに対するピッチ精度
の変化の関係を示す。図1,図2に示す回転速度検出装
置28について、上記磁束密度変化の試験例に用いた精
度向上品(No1〜No5)と、現行品(精度向上処置
を施していないもの)とにつき、エアギャップGを種々
変えて、その磁束密度の検出結果を測定した。エアギャ
ップGは、磁気センサ25における磁気検出素子(図示
せず)を覆うモールド表面からの距離である。図5のグ
ラフから、エアギャップGが大きくなるに従い、検出さ
れるピッチ相互差が大きくなる傾向があることがわかる
が、精度向上品は、現行品に対して、どのエアギャップ
の場合においても検出されるピッチ相互差が小さいこと
がわかる。
【0024】図6は、この発明の他の実施形態を示す。
この実施形態は、駆動輪の支持に用いる回転速度検出装
置付き車輪用軸受に適用した例であり、磁気エンコーダ
はアキシアル型としている。この実施形態において、上
記実施形態と対応する部分につては、説明上で特に区別
の必要な場合を除き、同一符号を付してある。この車輪
用軸受は、内方部材1および外方部材2と、これら内外
の部材1,2間に収容される複数の転動体3と、内外の
部材1,2間の端部環状空間を密封するシール装置5,
13とを備える。一端のシール装置5は、磁気エンコー
ダ付きとされている。内方部材1および外方部材2は、
転動体3の軌道面1a,2aを有しており、各軌道面1
a,2aは溝状に形成されている。
【0025】この車輪用軸受も、複列のアンギュラ玉軸
受とされている。内方部材1は、ハブ輪6と、このハブ
輪6の端部外径に嵌合した別の内輪1Cとで構成され
る。これらハブ輪6および内輪1Cに各転動体列の軌道
面1aが形成されている。
【0026】ハブ輪6には、等速自在継手7の一端(例
えば外輪)が連結され、ハブ輪6のフランジ部6aに車
輪(図示せず)がボルト8で取付けられる。等速自在継
手7は、その他端(例えば内輪)が駆動軸に連結され
る。外方部材2は、フランジ2bを有する軸受外輪から
なり、ナックル等からなるハウジング10に取付けられ
る。転動体3は各列毎に保持器4で保持されている。
【0027】図7は、シール装置5を拡大して示す。こ
のシール装置5は、内方部材1と外方部材2に各々取付
けられた第1および第2の環状のシール板11,12を
有し、これらシール板11,12は、各々内方部材1お
よび外方部材2に圧入状態に嵌合させることで取付けら
れている。この実施形態におけるシール装置5は、磁気
エンコーダ30を設けたこと、および第1のシール板1
1を取付けた内方部材1が回転側の部材であることを除
いて、上記実施形態のものと同じである。この実施形態
では、内方部材1に取付けられる第1のシール板11の
立板部11bの外方側の側面に、磁性体粉の混入された
弾性部材14が加硫接着されている。第1のシール板1
1は、強磁性体等の磁性体製のものとする。弾性部材1
4は、第1のシール板11と共に磁気エンコーダ30を
構成するものであり、周方向に交互に磁極N,S(図
8)が形成されて、いわゆるゴム磁石とされる。磁極
N,Sは、ピッチ円直径(PCD)において、所定のピ
ッチpとなるように形成されている。この磁気エンコー
ダ30の弾性部材14に対面して、図7のように磁気セ
ンサ25を配置することにより、回転速度検出装置28
Aが構成される。磁気センサ25は車体の上記ハウジン
グ10等に取付けられる。
【0028】この実施形態では、第1のシール板11の
内方部材1に対する嵌合面30aと弾性部材14の着磁
表面14aとの間の精度が所定値内となるように規制し
ている。上記精度として、具体的には、円筒部11aの
内周面からなる嵌合面30a(直径φD)と弾性部材1
4の着磁表面におけるピッチ円(直径φEp)との同軸
度が所定値内となるように規制している。その同軸度が
大きいと偏心により磁気特性が悪化してしまう。要求性
能を満足するためには、その同軸度を0.2mm以内、好
ましくは0.1mm以内とするのが良い。
【0029】また、この実施形態では、磁気エンコーダ
30の着磁表面14aの振れが所定値内となるように規
制されている。具体的には、磁気エンコーダ30の嵌合
面30aに対し、着磁表面14aのアキシャル振れが
0.08mm以内に規制されている。なお、上記の他に、
第1のシール板11の円筒部11aと立板部11bとの
直角度や、立板部11bの平坦度も所定値内に規制する
ことが好ましい。
【0030】この実施形態の回転速度検出装置付き車輪
用軸受によると、磁気エンコーダ30における第1のシ
ール板11の嵌合面30aと弾性部材14の着磁表面1
4aとの間の精度、特に同軸度が所定値内となるように
規制されているので、磁気エンコーダ30につき、ピッ
チ相互差等の磁気特性について、優れたものとなる。磁
気エンコーダ30が嵌合する内方部材1の外径は、研削
により同軸度や円筒度が厳しく管理されるので、この磁
気エンコーダ30の単品の精度を規制することにより、
磁気特性を所定値内に抑制することができる。また、磁
気エンコーダ30の着磁表面14aの振れが所定値内と
なるように規制されているため、磁気エンコーダ30と
磁気センサ25との間のエアギャップGの変動が所定値
に制限され、高い回転検出精度を確保することができ
る。
【0031】つぎに、図9,図10に示す試験結果と共
に、アキシアル型の磁気エンコーダおける各要因と磁気
特性の関係を説明する。この試験は、磁気エンコーダ3
0の単品の嵌合面30aに対する着磁表面14aの同軸
度(偏心量)と磁束密度、およびピッチ相互差の関係を
検証したものである。試験の結果、同軸度が崩れても検
出される磁束密度には殆ど影響がないが、ピッチ相互差
には影響することがわかった。
【0032】試験は、図7に示す回転速度検出装置付き
車輪用軸受における磁気エンコーダ30について、着磁
表面14aのピッチ円の偏心量を種々異ならせた場合
に、磁気センサ25で検出される磁束密度およびピッチ
相互差がどのようになるかを測定した。表2は、偏心量
に対する磁束密度の変化の測定結果を示し、図9はその
測定結果をグラフ化しものである。測定は、各偏心量の
場合におけるN極の最小値と、S極の最大値とにつき行
った。この試験結果(表2,図9)によると、偏心量が
大きくなっても,つまり同軸度が崩れても、磁束密度に
は殆ど影響がないことがわかる。
【0033】
【表2】
【0034】表3は、偏心量に対するピッチ精度の変化
の測定結果を示し、図10はその測定結果をグラフ化し
たものである。この試験結果(表3,図10)による
と、偏心量が大きくなるに従い、つまり同軸度が崩れる
に従い、ピッチ相互差に大きく影響することがわかる。
【0035】
【表3】
【0036】偏心によるピッチ精度の変化量は表4の関
係となる。表4は偏心量(μm)に対するピッチ精度変
化量(%)を、計算値と実測値とを比較して示してい
る。偏心量の計算値は、次のように求めた値である。 ピッチ精度変化量(%)=((x+Δ)−x)/x)×
100 ここで、x:測定点となる着磁表面14aのピッチ円直
径、 Δ:偏心量、 である。
【0037】
【表4】
【0038】
【発明の効果】この発明における第1の発明は、磁気エ
ンコーダ単体を組み込み、例えばラジアル型とした回転
速度検出装置付き車輪用軸受において、磁気エンコーダ
の嵌合面と着磁表面間の精度を所定値内に規制したた
め、磁気エンコーダの軸受への嵌合状態において、ピッ
チ誤差や磁束密度等の磁気特性の要求を満足することが
でき、高い回転検出精度が確保できる。この発明におけ
る第2の発明は、磁気エンコーダをアキシアル型とし、
シール装置に組み込まれた回転速度検出装置付き車輪用
軸受において、磁気エンコーダの嵌合面と着磁表面間の
精度を所定値内に規制したため、磁気エンコーダの軸受
への嵌合状態において、ピッチ誤差や磁束密度等の磁気
特性の要求を満足することができ、高い回転検出精度が
確保できる。これら第1および第2の発明において、上
記磁気エンコーダの嵌合面と着磁表面との同軸度を所定
値内に規制した場合は、ラジアル型については、エアギ
ャップの一定化による検出精度の向上が、アキシアル型
についてはピッチ誤差の抑制による検出精度の向上が得
られる。上記磁気エンコーダの着磁表面の振れを所定値
内に規制した場合は、回転検出精度のより一層の向上が
図れる。また、磁気エンコーダが嵌合される上記回転側
部材の嵌合面と上記軸受の軸心との同軸度を所定値内に
規制した場合は、さらに回転検出精度が向上する。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の一実施形態にかかる回転速度検出装
置付き車輪用軸受を設置した車輪支持装置の断面図であ
る。
【図2】同車輪用軸受の部分断面図である。
【図3】ラジアル振れと回転速度検出装置の出力振幅誤
差との関係の測定結果を示すグラフである。
【図4】回転速度検出装置におけるエアギャップに対す
る磁束密度変化の測定結果を示すグラフである。
【図5】回転速度検出装置におけるエアギャップに対す
るピッチ精度変化の測定結果を示すグラフである。
【図6】この発明の他の実施形態にかかる回転速度検出
装置付き車輪用軸受を設置した車輪支持装置の断面図で
ある。
【図7】同車輪用軸受の部分断面図である。
【図8】同車輪用軸受における磁気エンコーダの部分正
面図である。
【図9】磁気エンコーダの偏心量と磁束密度との関係の
測定結果を示すグラフである。
【図10】磁気エンコーダの偏心量とピッチ相互差との
関係の測定結果を示すグラフである。
【図11】従来例を示す部分断面図である。
【符号の説明】
1…内方部材 2…外方部材 3…転動体 5…シール装置 11…第1のシール板 12…第2のシール板 11a,12a…円筒部 11b,12b…立板部 14…弾性部材 16a…サイドリップ 16b…ラジアルリップ 20,30…磁気エンコーダ 20a,30a…嵌合面 20b,30b…着磁表面 25…磁気センサ G…エアギャップ
フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) F16C 33/60 F16C 33/60 Fターム(参考) 3J101 AA01 AA32 AA43 AA54 AA62 BA53 BA54 BA56 BA64 BA77 DA16 EA01 EA49 EA74 EA77 FA23 FA41 GA03

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 内方部材および外方部材と、これらの内
    外の部材間に収容される複数の転動体と、上記内外の部
    材のうち回転側部材の端部に同軸状に嵌合され、芯金に
    磁性体粉が混入された弾性部材が加硫接着されて、円周
    方向に交互に磁極が形成される環状の磁気エンコーダと
    からなる回転速度検出装置付き車輪用軸受において、 上記磁気エンコーダの上記回転側部材へ嵌合させる嵌合
    面と、この磁気エンコーダの着磁表面間の精度を所定値
    内に規制したことを特徴とする回転速度検出装置付き車
    輪用軸受。
  2. 【請求項2】 内方部材および外方部材と、これら内外
    の部材間に収容される複数の転動体と、上記内外の部材
    間の端部環状空間を密封するシール装置とからなる車輪
    用軸受であって、 上記シール装置は、上記内方部材と外方部材のうちの互
    いに異なる部材に取り付けられた第1および第2の環状
    のシール板を有し、両シール板は、各々円筒部と立板部
    とでなる断面L字状に形成されて互いに対向し、第1の
    シール板は上記内方部材および外方部材のうちの回転側
    の部材に嵌合され、立板部が軸受外方側に配されると共
    に、この立板部に磁性体粉が混入された弾性部材が加硫
    接着され、この弾性部材は周方向に交互に磁極が形成さ
    れて第1のシール板と共に磁気エンコーダを構成し、第
    2のシール板は上記立板部に摺接するサイドリップと円
    筒部に摺接するラジアルリップとを一体に有し、この第
    2のシール板の円筒部と上記第1のシール板の立板部の
    先端とを僅かな径方向隙間をもって対峙させた回転速度
    検出装置付き車輪用軸受において、 上記第1のシール板の上記回転側部材に嵌合させる円筒
    部の嵌合面と磁気エンコーダの着磁表面間の精度を所定
    値内に規制したことを特徴とする回転速度検出装置付き
    車輪用軸受。
  3. 【請求項3】 上記磁気エンコーダの嵌合面と着磁表面
    との同軸度を、所定値内に規制した請求項1または請求
    項2に記載の回転速度検出装置付き車輪用軸受。
  4. 【請求項4】 上記磁気エンコーダの着磁表面の振れを
    所定値内に規制した請求項1または請求項2に記載の回
    転速度検出装置付き車両用軸受。
  5. 【請求項5】 上記磁気エンコーダが嵌合される上記回
    転側部材の嵌合面と上記軸受の軸心との同軸度を所定値
    内に規制した請求項1ないし請求項4のいずれかに記載
    の回転速度検出装置付き車輪用軸受。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
DE102004018901B3 (de) * 2004-04-15 2005-07-28 Ab Skf Innenring einer Wälzlagerbaugruppe und Radlager mit der Wälzlagerbaugruppe
US7534046B2 (en) 2004-08-24 2009-05-19 Ntn Corporation Wheel support bearing assembly
KR101383269B1 (ko) * 2012-11-16 2014-04-08 주식회사 일진글로벌 엔코더 씰 어셈블리와 이를 이용한 차량용 휠 베어링

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