JP2002340692A - 温度センサ - Google Patents

温度センサ

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JP2002340692A
JP2002340692A JP2002000489A JP2002000489A JP2002340692A JP 2002340692 A JP2002340692 A JP 2002340692A JP 2002000489 A JP2002000489 A JP 2002000489A JP 2002000489 A JP2002000489 A JP 2002000489A JP 2002340692 A JP2002340692 A JP 2002340692A
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temperature sensor
electrode
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    • G01K7/16Measuring temperature based on the use of electric or magnetic elements directly sensitive to heat ; Power supply therefor, e.g. using thermoelectric elements using resistive elements
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    • GPHYSICS
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 円盤状のサーミスタ素子を金属カバーに収納
してなる温度センサにおいて、サーミスタ素子と金属カ
バーとの接触による信号変動を抑制する。 【解決手段】 筒状の金属カバー10の一端側には円盤
状のサーミスタ素子20が収納され、このサーミスタ素
子20からはサーミスタ信号取り出し用の電極線31、
32が、金属カバー10の他端側へ引き出されており、
金属カバー10とサーミスタ素子20との間には、当該
間の電気絶縁性を確保するための絶縁部材としての碍子
管50が介在している。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、筒状の金属カバー
内に円盤状のサーミスタ素子を収納してなる温度センサ
に関する。
【0002】
【従来の技術】この種の温度センサの一般的な構造を図
14及び図15に示す。図14は、全体構成を示す断面
図、図15は、図14中のA部を、矢印B方向から視た
ときの拡大断面図である。
【0003】信号取り出し用のシースピン40には、有
底筒状の金属カバー10が被せられており、この金属カ
バー10の底部側には、直径が厚さよりも大なる円盤状
のサーミスタ素子(ディスクタイプのサーミスタ素子)
20が収納されている。通常、サーミスタ素子20は、
その両円形面21が金属カバー10の軸方向に沿うよう
に配置されている。
【0004】サーミスタ素子20には、サーミスタ信号
取り出し用の一対の電極線31、32が埋設されてい
る。各々の電極線31、32は、互いに金属カバー10
の軸方向に略平行に間隔を開けて配置され、金属カバー
10の開口部側へ向かってサーミスタ素子20から引き
出されている。
【0005】一方、金属カバー10の開口部側において
は、シースピン40の一対の信号線41、42が、互い
に金属カバー10の軸方向に略平行に間隔を開けて配置
されている。そして、引き出された一対の電極線31、
32は、それぞれシースピン40の一対の信号線41、
42の一端側に溶接により接続されている。さらに、シ
ースピン40の信号線41、42の他端側は、それぞれ
外部と接続するためのリード線60に接続されている。
【0006】この温度センサは、サーミスタ素子20が
収納された金属カバー10の部分(感温部)を測定環境
下にさらした状態で、シースピン40の外側に配設され
た取付部材80を介して、被測定部材(図示せず)に取
り付けられる。そして、サーミスタ素子20を介した一
対の電極線31、32間の抵抗値変化に基づく電気信号
がサーミスタ信号として、シースピン40の芯線41、
42、リード線60を介して外部へ出力されるようにな
っている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】ところで、上記のよう
に、サーミスタ素子20を金属カバー10内に収納する
場合、温度検出における応答性を向上させるために、金
属カバー10とサーミスタ素子20との間隔を極力狭く
する(例えば0.数mm)必要がある。この場合、ディ
スクタイプのサーミスタ素子20においては、形状的に
円周側面22の局所が、大幅に金属カバー10に近づく
配置となる。
【0008】そのため、センサに外部振動等の外力が加
わると、サーミスタ素子20と金属カバー10とが接触
しやすい。このような接触が起こると、サーミスタ素子
20と金属カバー10との間が導通することにより、サ
ーミスタ素子20からの信号に変動が発生するため、好
ましくない。
【0009】そこで、本発明は上記問題に鑑み、円盤状
のサーミスタ素子を金属カバーに収納してなる温度セン
サにおいて、サーミスタ素子と金属カバーとの接触によ
る信号変動を抑制することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、請求項1に記載の発明では、筒状の金属カバー(1
0)と、この金属カバーの一端側に収納された円盤状の
サーミスタ素子(20)と、このサーミスタ素子から金
属カバーの他端側へ引き出されたサーミスタ信号取り出
し用の電極線(31、32)とを備える温度センサにお
いて、金属カバーとサーミスタ素子との間に、当該間の
電気絶縁性を確保するための絶縁部材(50、51)を
介在させたことを特徴としている。
【0011】それによれば、金属カバーとサーミスタ素
子との間に、当該間の電気絶縁性を確保するための絶縁
部材が介在設定されているため、サーミスタ素子と金属
カバーとの接触は、絶縁部材を介したものとなる。よっ
て、本発明によれば、サーミスタ素子と金属カバーとの
接触による導通を防止することができ、信号変動を抑制
することができる。
【0012】ここで、絶縁部材としては、金属カバー
(10)内にてサーミスタ素子(20)を収納する碍子
管(50)を採用したり(請求項2の発明)、サーミス
タ素子(20)の円周側面のうち少なくとも金属カバー
(10)の内面と最短距離にある部位に形成された電気
絶縁性の皮膜(51)を採用したり(請求項3の発明)
することができる。
【0013】絶縁部材として上記皮膜(51)を採用す
る場合、その皮膜を、サーミスタ素子(20)の円周側
面の全周に形成すれば、より確実に、サーミスタ素子と
金属カバーとの接触による導通を抑制することができ、
好ましい。また、そのような皮膜(51)としては、電
気絶縁性のセラミックよりなるものを採用することがで
きる。
【0014】また、サーミスタ信号取り出し用の電極線
は、通常、サーミスタ素子に埋設成形され高温(例えば
1300℃〜1600℃程度)で焼成(焼きばめ)され
ることにより、サーミスタ素子に接続されている。ここ
において、電極線は、従来は白金材が用いられている
が、本発明者の検討によれば、上記焼成により白金材の
結晶粒が粗大化し、外部振動によってその粗大化した結
晶の粒界でズレが誘発されるため、電極線の強度が低下
する恐れがあることがわかった。
【0015】電極線の強度が低下すると、外部振動等に
よりサーミスタ素子が大きく変位しやすくなる。そこ
で、本発明者は、電極線として用いる白金材を、高温に
晒しても結晶粒が粗大化しないような構造とし、電極線
の強度を高めることにより、外部振動によるサーミスタ
素子の変位を抑制すれば、結果的に、サーミスタ素子と
金属カバーとの接触を抑制できると考えた。
【0016】請求項6〜請求項14に記載の発明は、そ
のような考えに基づいて、より強度の高い電極線材料を
見出すべく鋭意検討を行った結果、なされたものであ
る。
【0017】すなわち、請求項6に記載の発明では、筒
状の金属カバー(10)と、この金属カバーの一端側に
収納された円盤状のサーミスタ素子(20)と、このサ
ーミスタ素子から金属カバーの他端側へ引き出されたサ
ーミスタ信号取り出し用の電極線(31、32)とを備
える温度センサにおいて、電極線を、白金又は白金合金
を主成分とする分散強化材からなるものとしたことを特
徴としている。
【0018】それによれば、電極線において、高温に晒
しても結晶粒の粗大化が抑制されるため、従来に比べて
電極線の強度を高めることができ、外部振動によるサー
ミスタ素子の変位を抑制することができる。よって、本
発明によっても、サーミスタ素子と金属カバーとの接触
による信号変動を抑制することができる。
【0019】ここで、分散強化材は、線径方向における
結晶の粒径が線径よりも小さいものであること(請求項
7の発明)が好ましく、より望ましくは、分散強化材の
結晶粒径が線径の1/2以下であること(請求項8の発
明)が好ましい。
【0020】また、請求項9に記載の発明のように、分
散強化材は、白金又は白金合金を100として金属酸化
物が0.02重量%以上添加されたものであることが好
ましい。これは、金属酸化物が白金や白金合金の粒子の
粗大化を抑制する機能を有するのであるが、該金属酸化
物が0.02重量%より小であると、白金や白金合金の
粒子の粗大化を十分に抑制することができないためであ
る。
【0021】さらに、金属酸化物は、白金又は白金合金
を100として2重量%以下添加されていること(請求
項10の発明)が好ましい。これは、金属酸化物が2重
量%より大であると、電極線の線引き加工性が著しく悪
化及び電極線自体の抵抗が大きくなってしまい、サーミ
スタ素子の抵抗変化を十分検出することが困難になるた
めである。
【0022】ここで、上記金属酸化物としては、ジルコ
ニア、イットリア、アルミナ、チタニアから選択された
少なくとも一種を用いること(請求項11の発明)がで
き、上記白金合金としては、白金に対して、ロジウム、
金、タングステン、パラジウムから選択された少なくと
も一種が含有されたものを用いること(請求項12の発
明)ができる。
【0023】また、請求項13に記載の発明では、筒状
の金属カバー(10)と、この金属カバーの一端側に収
納された円盤状のサーミスタ素子(20)と、このサー
ミスタ素子から金属カバーの他端側へ引き出されたサー
ミスタ信号取り出し用の電極線(31、32)とを備え
る温度センサにおいて、電極線を、白金とイリジウムと
の合金線材からなるものとしたことを特徴としている。
【0024】本発明のような電極線材料を用いることに
よっても、電極線自体を振動に対して強固なものにで
き、外部振動によるサーミスタ素子の変位を抑制するこ
とができるため、サーミスタ素子と金属カバーとの接触
による導通を抑制することができる。
【0025】ここで、この白金とイリジウムとの合金線
材は、その合金組成として、線引き、減径、切断等の加
工性を考慮すれば、イリジウムが1〜60重量%添加さ
れ、残部白金であるものを用いること(請求項14の発
明)が好ましい。
【0026】また、上記図14及び図15に示した様
に、従来の温度センサでは、円盤状のサーミスタ素子2
0から引き出された一対の電極線31、32を、一対の
信号線42、42に接続する構成において、一対の電極
線31、32の両方を、一対の信号線41、42に対し
て同一方向から重ね合わせ、この重なり部K1、K2を
溶接している。
【0027】このような電極線と信号線との接続構成で
は、外部振動等の外力が、片方の重なり部分で電極線と
信号線とが離れる方向に加わると、他方の重なり部分で
も両線が同様に離れる方向に加わるため、接合信頼性が
低い。そのため、上記両線の溶接部が強度的に弱くな
り、外部振動等によりサーミスタ素子が大きく変位しや
すい。
【0028】請求項15に記載の発明は、円盤状のサー
ミスタ素子を金属カバーに収納してなる温度センサにお
いて、一対の電極線と一対の信号線との接続構成に工夫
を施したものである。
【0029】すなわち、請求項15に記載の発明におい
ては、一対の電極線(31、32)と一対の信号線(4
1、42)とが、金属カバー(10)の軸方向からみた
とき、各電極線を結ぶ対角線(T1)と各信号線を結ぶ
対角線(T2)とが交差するように重なり合って接合さ
れていることを特徴としている。
【0030】それによれば、電極線および信号線を上記
両対角線が交差するように重なり合って接合しているか
ら、振動等の外力が、片方の重なり部分(K1)で電極
線(31)と信号線(41)とが離れる方向に加わって
も、他方の重なり部分(K2)では両線(32、42)
は互いに引っつき合うように作用し、接合信頼性が確保
される。
【0031】そのため、本発明によれば、一対の電極線
と一対の信号線との溶接部を、従来に比べて外力に対し
て強度的に強くすることができ、外部振動等によるサー
ミスタ素子の変位を抑制することができる。よって、本
発明によっても、サーミスタ素子と金属カバーとの接触
による信号変動を抑制することができる。
【0032】また、上記した請求項1〜請求項15の温
度センサにおいては、請求項16に記載の発明のよう
に、電極線(31、32)がサーミスタ素子(20)の
円周側面に接合されているものであってもよい。この場
合、電極線が金属カバーに最も近接した配置となるた
め、電極線の金属カバーへの電流の漏れを防止するため
に、電極線と金属カバー(10)とが隙間を介して非接
触の状態にあることが好ましい。
【0033】また、請求項17に記載の発明では、筒状
の金属カバー(10)と、この金属カバーの一端側に収
納されその両円形面が前記金属カバーの軸方向に沿うよ
うに配置された円盤状のサーミスタ素子(20)と、互
いに金属カバーの軸方向に略平行に間隔を開けて配置さ
れた状態でサーミスタ素子に埋設され、サーミスタ素子
から金属カバーの他端側へ引き出されたサーミスタ信号
取り出し用の一対の電極線(31、32)とを備える温
度センサにおいて、サーミスタ素子の1つの円形面にお
ける金属カバーの軸と直交する直径方向に位置する両エ
ッジ部のうち、一方の電極線側のエッジ部(21a)と
当該一方の電極線との距離をa1とし、他方の電極線側
のエッジ部(21b)と当該他方の電極線との距離をa
2とし、一対の電極線間の距離をcとしたとき、サーミ
スタ素子の両円形面に対して、距離a1と距離a2との
和(a1+a2)が距離cよりも大きくなるような寸法
関係が満足されていることを特徴としている。
【0034】本発明のような温度センサにおいては、サ
ーミスタ素子のうち両円形面におけるエッジ部が、最も
金属カバーに近く接触しやすい部位である。ここで、本
発明によれば、上記した(a1+a2)>cの関係を満
足させることにより、各エッジ部と各電極線との間の電
気抵抗を、両電極線間の電気抵抗よりも大きくすること
ができる。
【0035】そのため、もし、上記エッジ部にてサーミ
スタ素子と金属カバーとが接触したとしても、各電極線
からエッジ部を介して金属カバーへ電流が流れるのを抑
制し、一対の電極線間の方にて電流が流れやすくでき
る。従って、本発明によれば、サーミスタ素子と金属カ
バーとの接触による金属カバーへの電流の漏れを極力抑
えることができるため、信号変動を抑制することができ
る。
【0036】また、請求項18に記載の発明では、筒状
の金属カバー(10)と、この金属カバーの一端側に収
納された円盤状のサーミスタ素子(20)と、このサー
ミスタ素子から金属カバーの他端側へ引き出されたサー
ミスタ信号取り出し用の電極線(31、32)とを備え
る温度センサにおいて、サーミスタ素子の円周側面を、
凸面形状または凹面形状としたことを特徴としている。
【0037】それによれば、もし、サーミスタ素子の円
周側面が金属カバーに接触しても、その接触部の面積を
小さくすることができるため、サーミスタ素子と金属カ
バーとの接触による信号変動を抑制することができる。
【0038】また、上記各手段におけるサーミスタ素子
(20)は、その直径Wと厚さtとの比W/tが1より
も大きく1.5以下となっているものであることが好ま
しい。上記比W/tがこの範囲にあるとき、サーミスタ
素子は、限られた空間の中で効率よく素子体積を大きく
できるものになり、応答性向上等のためには好ましい。
【0039】なお、上記各手段の括弧内の符号は、後述
する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示す一
例である。
【0040】
【発明の実施の形態】以下、本発明を図に示す実施形態
について説明する。なお、以下に示す各実施形態におい
て、上記図14、図15と同一の部分、および各実施形
態相互にて同一の部分には、図中、同一符号を付してあ
る。
【0041】(第1実施形態)図1は、本発明の第1実
施形態に係る温度センサS1の全体構成を示す図であ
り、図2は、図1中のC部を矢印D方向から視たときの
拡大断面図である。本センサS1は、例えば自動車の排
気系統に取り付けられ、排気温センサとして使用可能で
ある。
【0042】10は、ステンレス等の耐熱性に優れた金
属よりなる金属カバーであり、本例では、一端側に底部
を有し、他端側に開口部を有する有底円筒状をなしてい
る。金属カバー10の一端側(底部側)の内部には、2
個の円形面21及び円周側面22を有し、その直径が厚
さよりも大なる円盤状のサーミスタ素子20が収納され
ている。
【0043】サーミスタ素子20は、その両円形面21
が金属カバーの軸方向に沿うように配置されている。本
例では、サーミスタ素子20は、高温(例えば1000
℃以上)での使用に耐えうるものであり、Cr−Mnを
主成分とする半導体材料(サーミスタ材料)等よりなる
焼結成形体である。
【0044】このサーミスタ素子20には、サーミスタ
信号(抵抗(R)−温度(T)特性を用いた出力信号)
を取り出すための白金等よりなる一対の電極線31、3
2が、接続されている。
【0045】各電極線31、32は、互いに金属カバー
10の軸方向に略平行に間隔を開けて配置された状態で
サーミスタ素子20に埋設成形され、高温(例えば13
00℃〜1600℃程度)で焼成(焼きばめ)されるこ
とにより、サーミスタ素子20に接続されている。そし
て、各電極線31、32は、サーミスタ素子20から金
属カバー10の他端側(開口部側)へ引き出されてい
る。
【0046】また、金属カバー10の他端側(開口部
側)には、電極線31、32からのサーミスタ信号を外
部に取り出すための配線部材としてのシースピン40
が、その一端側を金属カバー10の開口部から挿入する
ことにより、配置されている。
【0047】このシースピン40は、ステンレス等の金
属よりなる一対の芯線(本発明でいう一対の信号線)4
1、42を、ステンレス等の金属よりなる外筒43内に
収納し、芯線41、42と外筒43との間にマグネシア
等の絶縁粉末を充填してなるものである。
【0048】ここで、シースピン40と金属カバー10
とは、金属カバー10の他端側をシースピン40の外筒
43に対して、かしめを行い、そのかしめ部を全周溶接
することにより、接合固定されている。これにより、金
属カバー10の内部は外部環境にさらされないようにな
っている。
【0049】そして、シースピン40の一端側(金属カ
バー10への挿入端側)では、外筒43から一対の芯線
41、42が突出しており、突出した一対の芯線41、
42は、金属カバー10の他端側にて互いに金属カバー
10の軸方向に略平行に間隔を開けて配置されている。
【0050】さらに、一対の芯線41、42の突出先端
側と一対の電極線31、32の引き出し側とは、抵抗溶
接やレーザ溶接等により接合され、電気的に接続されて
いる。本例では、両線31、32、41、42は、一対
の電極線31、32の両方を、各芯線41、42に対し
て同一方向から重ね合わせ、この重なり部K1、K2
(図2参照)を溶接している。
【0051】ここにおいて、本実施形態では、金属カバ
ー10の内部にて、金属カバー10とサーミスタ素子2
0との間に、当該間の電気絶縁性を確保するための絶縁
部材としての碍子管50を介在させた構成としている。
この碍子管50は、アルミナ等の電気絶縁性セラミック
等よりなり、サーミスタ素子20を収納する円筒状のも
のである。
【0052】この碍子管50は、シースピン40と一体
化されたサーミスタ素子20を金属カバー10へ組み付
けるときに、予め金属カバー10内へ挿入配置させてお
くか、サーミスタ素子20を収納した状態で金属カバー
10内へ挿入する等により、組み付け可能である。
【0053】また、シースピン40の他端側には、一対
の芯線41、42が突出しており、各芯線41、42
は、それぞれ外部と接続するためのリード線60に電気
的に接続されている。このリード線60は図示しない外
部回路と電気的に接続されるもので、このリード線60
を介して、温度センサS1と上記外部回路とが、信号の
やり取りが可能なように連絡される。
【0054】各リード線60とシースピン40の各芯線
41、42とは、接続端子62を介して電気的に接続さ
れている。例えば、各芯線41、42と接続端子62と
は溶接により接合され、各リード線60と接続端子62
とは、接続端子62のかしめにより接合される。
【0055】また、シースピン40のうち金属カバー1
0への挿入部以外の部位は、ステンレス等の金属よりな
る段付円筒状の保護チューブ70の内部に収納され、こ
の保護チューブ70に被覆されている。ここで、保護チ
ューブ70は、シースピン40の外筒43と、かしめや
溶接等により接合されている。
【0056】また、リード線60とシースピン40の芯
線41、42との接合部は、ステンレス等の金属チュー
ブ64にて被覆保護されている。この金属チューブ64
は、リード線60側においては、リード線60の周囲に
設けられたゴム等よりなるブッシュ66を介して、リー
ド線60に、かしめ固定されると共に、シースピン40
側においては、保護チューブ70に挿入され、かしめや
溶接により固定されている。
【0057】さらに、保護チューブ70の外側には、取
付部材80が嵌合されている。本例では、この取付部材
80は、外周面にネジ部81およびナット部82を有す
るものであり、被測定部材(自動車の排気管等)に形成
された取付穴にネジ結合されるものである。取付部材8
0は、保護チューブ70回りに回転可能となっている。
【0058】この温度センサS1は、例えば、次のよう
にして組み付けることができる。なお、各部の接続や取
付は、各部に応じて上記したかしめ、溶接等を用いて行
うことができる。
【0059】シースピン40の外周に、保護チューブ7
0及び取付部材80を取り付けるとともに、シースピン
40とリード線60とを、接続端子62を介して接続
し、当該接続部の外側にブッシュ66とともに金属チュ
ーブ64を取り付ける。一方、サーミスタ素子20と一
体化した電極線31、32を、シースピン40の芯線4
1、42と接続する。
【0060】そして、サーミスタ素子20の周囲に碍子
管50を組み付けるとともに、サーミスタ素子20及び
碍子管50を、金属カバー10の内部へ挿入し、金属カ
バー10とシースピン40とを接合する。こうして、図
1に示す温度センサS1が出来上がる。
【0061】なお、温度センサS1は、例えば、上記し
た自動車の排気管の取付穴(図示せず)に金属カバー1
0側を先端にして挿入され、保護チューブ70のテーパ
部71と当該取付穴とが当たって位置決めが行われると
ともに、取付部材80を介して当該取付穴へネジ結合さ
れることにより、上記排気管に脱着可能に取り付けられ
る。
【0062】そして、上記排気管内に突出する金属カバ
ー10に測定流体(排気ガス等)が当たると、その測定
流体の温度に応じた信号が、サーミスタ素子20を介し
た一対の電極線31、32間の抵抗値変化に基づく電気
信号として発生する。この電気信号は、サーミスタ信号
として、シースピン40の芯線41、42、リード線6
0を介して外部へ出力されるようになっている。
【0063】ところで、本実施形態によれば、金属カバ
ー10とサーミスタ素子20との間に、当該間の電気絶
縁性を確保するための絶縁部材としての碍子管50が介
在設定されているため、外部振動等によるサーミスタ素
子20と金属カバー10との接触は、碍子管50を介し
たものとなる。そのため、サーミスタ素子20と金属カ
バー10との接触による導通を防止することができ、信
号変動を抑制することができる。
【0064】また、本実施形態において、金属カバー1
0とサーミスタ素子20との間に介在させる絶縁部材と
しては、上記碍子管50以外にも、サーミスタ素子20
の円周側面22のうち少なくとも金属カバー10の内面
と最短距離にある部位に形成された電気絶縁性の皮膜5
1を採用しても良い。その皮膜51を採用した場合を図
3に示す。
【0065】図3(a)では、サーミスタ素子20の円
周側面22のうち金属カバー10の内面と最短距離にあ
る部位にのみ皮膜51を形成している。この皮膜51が
形成されたサーミスタ素子20の部位は、金属カバー1
0と接触する可能性がある部位であり、それによって
も、サーミスタ素子20と金属カバー10との接触によ
る導通を防止することができ、信号変動を抑制すること
ができる。
【0066】また、図3(b)に示す様に、皮膜51
を、サーミスタ素子20の円周側面22の全周に形成す
れば、より確実に、サーミスタ素子20と金属カバー1
0との接触による導通を抑制することができ、好まし
い。
【0067】このような皮膜51としては、電気絶縁性
のセラミックよりなるものを採用することができる。例
えば、アルミナやイットリア等を溶液化したものをサー
ミスタ素子20に塗布し、焼成することで皮膜51を形
成することができる。皮膜51の膜厚としては、電気絶
縁性を確保するために、例えば1μm以上とする。
【0068】(第2実施形態)本発明の第2実施形態に
ついて、主として上記第1実施形態と相違するところに
ついて述べる。図4は、本実施形態に係る温度センサS
1の要部を上記図2に対応した視点にて示す図である。
図4に示す例では、第1実施形態に述べた絶縁部材5
0、51を設けていない。
【0069】本実施形態は、電極線31、32の強度を
高め、外部振動によるサーミスタ素子20の変位を抑制
することにより、サーミスタ素子20と金属カバー10
との接触を抑制するものである。そのために、本実施形
態では、上記電極線31、32の材料に工夫を施してい
る。
【0070】すなわち、本実施形態においては、各電極
線31、32として、高温に晒されても結晶安定性のあ
る白金又は白金合金を主成分とする分散強化材を用いて
いる。そのため、高周波振動が加わっても粒界破断に至
ることがなく、通常の白金線に比べて電極線31、32
の強度を高めることができる。
【0071】その結果、上記第1実施形態にて示した絶
縁部材50、51が無い場合でも、外部振動によるサー
ミスタ素子20の変位を抑制することができ、サーミス
タ素子20と金属カバー10との接触による信号変動を
抑制することができる。なお、本実施形態においても、
上記絶縁部材を設ければ、より効果的であることは明ら
かである。
【0072】ここで、図5に上記分散強化材の高温下
(900℃×100時間)での結晶構造を示す。図5
は、顕微鏡像を模式化した図であり、(a)に通常用い
られている一般白金(比較例)からなる電極線31、3
2、(b)に本実施形態の上記分散強化材からなる電極
線(分散強化白金と図示)31、32を表してある。
【0073】一般白金では、高温雰囲気下において白金
結晶粒が粗大化し、線径方向における白金結晶粒の粒径
は、最大、線径と同等レベルになる。そして、高周波域
の強振動が線径と同等レベルの結晶粒の粒界でズレを誘
発すると、電極線31、32の強度が低下し、最悪、断
線に至ってしまう。
【0074】しかし、上記分散強化材では線径方向にお
ける白金結晶粒の粒径が線径よりも小さく、上記粒界ズ
レが誘発されても電極線31、32の強度低下を極力小
さくすることができる。なお、望ましくは、上記白金結
晶粒の粒径が線径の1/2以下であることが好ましい。
【0075】ここで、白金や白金合金の粒子の粗大化を
十分抑制するためには、上記分散強化材は、白金又は白
金合金を100として金属酸化物が0.02重量%以上
添加されたものであることが好ましいさらに、電極線3
1、32自体の抵抗の過大化を防止し、サーミスタ素子
20の抵抗変化を十分検出するためには、該金属酸化物
は、白金又は白金合金を100として2重量%以下添加
されたものであることが好ましい。ここで、該金属酸化
物としては、例えば、ジルコニア、イットリア、アルミ
ナ、チタニア等から選択された少なくとも一種を用いる
ことができる。
【0076】また、上記白金合金としては、例えば、白
金に対して、ロジウム、金、タングステン、パラジウム
等から選択された少なくとも一種が含有されたものを用
いることができる。このような白金合金とすることによ
り、電極線31、32自体の強度を向上させることがで
きる。
【0077】また、本実施形態においては、電極線3
1、32は、上記分散強化材以外にも、白金とイリジウ
ムとの合金線材からなるものとしてもよい。それによっ
ても、電極線31、32の線材自体を振動に対して強固
なものでき、外部振動等によるサーミスタ素子20の変
位を抑制することができるため、サーミスタ素子20と
金属カバー10との接触による導通を抑制することがで
きる。
【0078】ここで、該白金とイリジウムとの合金線材
は、その合金組成として、線引き、減径、切断等の線材
加工性を考慮すれば、イリジウムが1〜60重量%添加
され、残部白金である白金合金を用いることが好まし
い。
【0079】(第3実施形態)ところで、上記図1〜図
4に示す温度センサS1では、円盤状のサーミスタ素子
20から引き出された一対の電極線31、32を、一対
の芯線(信号線)42、42に接続する構成において、
一対の電極線31、32の両方を、一対の芯線41、4
2に対して同一方向から重ね合わせ、この重なり部K
1、K2を溶接している。
【0080】図6は、上記図1においてE−E線に沿っ
た重なり部K1、K2の断面を模式的に示す図(ただ
し、碍子管50は省略)である。この場合、振動等の外
力が、例えば片方の重なり部K1にて両線31、41が
離れる方向に加わると、他方の重なり部K2にても両線
32、42が同様に離れる方向に加わる。そのため、接
合信頼性が低く、上記両線の溶接部が強度的に弱くな
り、外部振動等によりサーミスタ素子20が大きく変位
しやすい。
【0081】それに対して、本発明の第3実施形態にお
ける電極線31、32と芯線41、42との接続構成を
図7に示す。図7中、(a)は上記図2に対応した視点
にて示す図であり、(b)は(a)中のF−F拡大断面
図である。本実施形態は、一対の電極線31、32と一
対の芯線(信号線)41、42との接続構成に工夫を施
したものである。
【0082】すなわち、一対の電極線31、32と一対
の芯線41、42とが、金属カバー10の軸方向からみ
たとき、各電極線31、32を結ぶ対角線T1と各芯線
41、42を結ぶ対角線T2とが交差するように重なり
合って接合されている。なお、接合された両線31、3
2、41、42の長さLは、例えば数mmである。以
下、この接続構成を「たすきがけ接続」という。
【0083】この場合、振動等の外力が、例えば片方の
重なり部K1にて両線31、32が離れる方向に加わっ
ても、他方の重なり部K2では両線32、42が互いに
引っつき合うように作用し、接合信頼性が確保される。
【0084】そのため、本実施形態によれば、一対の電
極線31、32と一対の芯線(一対の信号線)41、4
2との溶接部を、従来に比べて強度的に強くすることが
できる。そのため、外部振動等によるサーミスタ素子2
0の変位を抑制することができ、サーミスタ素子20と
金属カバー10との接触による信号変動を抑制すること
ができる。
【0085】なお、本実施形態においても、上記した絶
縁部材50、51を設けても良い。さらに、一対の電極
線31、32として、上記した白金又は白金合金を主成
分とする分散強化材、または、白金とイリジウムとの合
金線材を採用しても良い。それにより、より効果的であ
ることは明らかである。
【0086】(第4実施形態)本発明の第4実施形態に
係る温度センサの要部を図8に示し、上記実施形態と相
違するところについて述べる。図8は、上記図4中のG
−G線に沿った断面に相当する断面にて、本実施形態を
示すものである。この断面は、金属カバー10の軸と直
交し且つサーミスタ素子20の直径部分を含む断面であ
る。
【0087】図8においては、外部振動等によってサー
ミスタ素子20が偏芯し、サーミスタ素子20のうち一
方の円形面21における両エッジ部21a、21bが、
金属カバー10に接触した状態を示す。筒状の金属カバ
ー10内にて、その両円形面21が金属カバー10の軸
方向に沿うように配置された円盤状のサーミスタ素子2
0においては、両円形面21におけるエッジ部21a、
21b、21c、21dが、最も金属カバー10に近く
接触しやすい部位である。
【0088】ここで、図8に示す様に、サーミスタ素子
20の1つの円形面(図8では右側の円形面)21にお
ける金属カバー10の軸と直交する直径方向に位置する
両エッジ部のうち、一方の電極線31側のエッジ部21
aと一方の電極線31との距離をa1とし、他方の電極
線32側のエッジ部31bと他方の電極線32との距離
をa2とし、一対の電極線31、32間の距離をcとす
る。
【0089】このとき、本実施形態では、サーミスタ素
子20の両円形面21のそれぞれにおいて、距離a1と
距離a2との和が距離cよりも大きくなるような寸法関
係((a1+a2)>c)が満足されている。つまり、
図8中の左側の円形面21のエッジ部21c、21dに
おいても、上記寸法関係を同様に満足している。
【0090】図8に示す様に、サーミスタ素子20が偏
芯し、両エッジ部21a、21bにて金属カバー10に
接触した場合、一対の電極線31、32と金属カバー1
0との間に回路が形成される。また、上述したように、
サーミスタ素子20を介した一対の電極線31、32間
の抵抗値変化が、サーミスタ信号となる。
【0091】そのため、もし、各エッジ部21a、21
bと各電極線31、32との間の電気抵抗が、両電極線
31、32間の電気抵抗よりも小さいと、電極線31、
32から金属カバー10の方へ電流が流れやすくなる。
つまり、金属カバー10への漏れ電流が発生しやすくな
る。
【0092】ここにおいて、上記寸法関係((a1+a
2)>c)を設定することにより、各エッジ部21a、
21bと各電極線31、32との間の電気抵抗((a1
+a2)間の電気抵抗)を、両電極線31、32間の電
気抵抗(c間の電気抵抗)よりも大きくすることができ
る。
【0093】そのため、もし、上記エッジ部21a、2
1bにてサーミスタ素子20と金属カバー10とが接触
したとしても、各電極線31、32から金属カバー10
へ電流が流れるのを抑制し、一対の電極線31、32間
の方にて電流が流れやすくできる。
【0094】つまり、本実施形態によれば、サーミスタ
素子20と金属カバー10との接触による金属カバー1
0への電流の漏れを極力抑えることができるため、信号
変動を抑制することができる。なお、望ましくは、距離
a1と距離a2との和(a1+a2)が距離cの1.5
倍以上であることが好ましい。
【0095】また、本実施形態においても、上記した絶
縁部材50、51の設置、一対の電極線31、32に対
する上記分散強化材や合金線材の採用、「たすきがけ接
続」を採用しても良い。それにより、より効果的である
ことは明らかである。
【0096】(第5実施形態)本発明の第5実施形態に
係る温度センサの要部を図9に示し、上記実施形態と相
違するところについて述べる。図9は、上記図4中のG
−G線に沿った断面に相当する断面にて、本実施形態を
示すものである。この断面は、金属カバー10の軸と直
交し且つサーミスタ素子20の直径部分を含む断面であ
る。
【0097】図9に示す様に、サーミスタ素子20の円
周側面22を、凸面形状(図9(a))または凹面形状
(図9(b))としている。それによれば、もし、サー
ミスタ素子20の円周側面22が金属カバーに接触して
も、その接触部の面積を小さくすることができるため、
サーミスタ素子20と金属カバー10との接触による信
号変動を抑制することができる。
【0098】なお、本実施形態においても、上記した絶
縁部材50、51の設置、一対の電極線31、32に対
する上記分散強化材や合金線材の採用、「たすきがけ接
続」、上記寸法関係((a1+a2)>c)を採用して
も良い。それにより、より効果的であることは明らかで
ある。
【0099】(第6実施形態)本発明の第6実施形態で
は、上記各実施形態における円盤状のサーミスタ素子2
0において、その直径Wと厚さtとの比W/tが1より
も大きく1.5以下となっているものを提供する。
【0100】1<W/t≦1.5とする根拠について述
べる。図10(a)に示すように、金属カバー10内に
おいて円盤状のサーミスタ素子20の直径Wと厚さtと
を、図中の一点鎖線に示すように変えていった。なお、
図10において(b)は(a)のJ−J断面図、(d)
は(c)のM−M断面図である。
【0101】ここで、図10(a)、(b)は、内径が
φ2.4mmのストレートな形状を持つノーマルタイプ
の金属カバー10を用いた場合を示し、図10(c)、
(d)は、サーミスタ素子20を収納する部分を絞って
細くし、細くなった部分の内径がφ1.65mmである
高応答タイプの金属カバー10を用いた場合を示す。両
タイプとも、金属カバー10とサーミスタ素子20との
隙間は少なくとも0.1mmは確保するようにする。
【0102】具体的に、図10(a)、(b)の場合で
は、サーミスタ素子20の半径W/2および厚さtの値
(W/2、t)を、(0.5、1.96)、(0.5
5、1.91)、(0.6、1.84)、(0.65、
1.77)、(0.7、1.7)、(0.75、1.6
1)、(0.8、1.51)、(0.85、1.4)、
(0.9、1.26)、(0.95、1.11)、
(1、0.92)、(1.05、0.66)と変えてい
った。
【0103】一方、図10(c)、(d)の場合では、
上記値(W/2、t)を、(0.5、1.12)、
(0.55、1.02)、(0.6、0.9)、(0.
65、0.75)、(0.7、0.54)、(0.7
5、0.38)と変えていった。なお、値(W/2、
t)の単位はmmである。
【0104】このように値(W/2、t)を変えてい
き、そのときの上記比(直径W/厚さt)、サーミスタ
素子20の直径×厚さに相当する空間断面積(単位:m
2)、サーミスタ素子20の体積である素子体積(単
位:mm3)を求めた。その結果を図11に示す。図1
1において、(a)は図10(a)、(b)の場合であ
り、(b)は図10(c)、(d)の場合である。
【0105】図11(a)、(b)では、横軸に半径W
/2(mm)をとり、縦軸は上記比(直径W/厚さ
t)、空間断面積(単位:mm2)、素子体積(単位:
mm3)の各値を共通して示す目盛軸としている。ま
た、比(直径W/厚さt)は白三角プロット、空間断面
積は白菱プロット、素子体積は白四角プロットで示して
ある。
【0106】サーミスタ素子20と金属カバー10との
空間(距離)を極力少なくし、熱交換を良くし、応答性
を向上させるためには、サーミスタ素子20は、少ない
空間断面積で大きな素子体積を得る形状であることが好
ましい。
【0107】このような観点に加えて、サーミスタ素子
20が直径が厚さよりも大なる円盤状であるという点を
考慮して、図11に示す結果をながめると、素子体積が
ほぼ最大になるような比(直径W/厚さt)の範囲とし
ては、1よりも大きく1.5以下とすることができる。
【0108】そして、比(直径W/厚さt)がこの範囲
にあるとき、サーミスタ素子20は、金属カバー10内
の限られた空間の中で効率よく素子体積を大きくできる
ものになり、応答性向上等のために好ましいものとする
ことができる。
【0109】(他の実施形態)なお、上記各実施形態で
は、一対の電極線31、32がサーミスタ素子20に埋
設されていた。ここで、特に、第1〜第3および第5実
施形態においては、図12に示す様に、電極線31、3
2がサーミスタ素子20の円周側面22に接合されてい
るものであってもよい。なお、図12において、(a)
はサーミスタ素子20の円形面21を見た図、(b)は
(a)のH−H断面図である。
【0110】この場合、電極線31、32とサーミスタ
素子20とは、サーメット等を用いた接続方法にて接合
することができる。また、電極線31、32が金属カバ
ー10に最も近接した配置となるため、電極線31、3
2の金属カバー10への電流の漏れを防止するために、
電極線31、32と金属カバー10とが隙間を介して非
接触の状態にあることが好ましい。
【0111】なお、本発明でいう円盤状のサーミスタ素
子20とは、盤面が円形に近いものであれば良く、図1
3(a)、(b)に示すような楕円型のものや、図13
(c)、(d)に示すような俵型のものも含むものであ
る。なお、図13において、(b)は(a)のN−N断
面図、(d)は(c)のP−P断面図である。
【0112】これら楕円型のサーミスタ素子20や俵型
のサーミスタ素子20のものは、サーミスタ素子20と
金属カバー10との空間(距離)を少なくし、熱交換を
良くし、応答性を向上させる形状としては好適である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態に係る温度センサの全体
構成を示す概略断面図である。
【図2】図1中のC部のD矢視拡大断面図である。
【図3】第1実施形態における絶縁部材として皮膜を採
用した例を示す図である。
【図4】本発明の第2実施形態に係る温度センサの要部
を示す図である。
【図5】高温下での白金の結晶構造を示す図である。
【図6】図1中の電極線と芯線との重なり部におけるE
−E概略断面図である。
【図7】本発明の第3実施形態に係る電極線と芯線との
接続構成を示す図である。
【図8】本発明の第4実施形態に係る温度センサの要部
を示す図である。
【図9】本発明の第5実施形態に係る温度センサの要部
を示す図である。
【図10】金属カバー内において円盤状のサーミスタ素
子の直径と厚さとを変えていった様子を示す図である。
【図11】サーミスタ素子における好適な直径/厚さの
比を調べた結果を示す図である。
【図12】本発明の他の実施形態を示す図である。
【図13】本発明のもう一つの他の実施形態を示す図で
ある。
【図14】従来の温度センサの一般的な全体構成を示す
断面図である。
【図15】図14中のA部のB矢視拡大断面図である。
【符号の説明】
10…金属カバー、20…サーミスタ素子、21a、2
1b…サーミスタ素子の一方の円形面におけるエッジ
部、31、32…電極線、41、42…シースピンの芯
線、50…碍子管、51…皮膜、T1…一対の電極線を
結ぶ対角線、T2…一対の芯線を結ぶ対角線。

Claims (19)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 筒状の金属カバー(10)と、 この金属カバーの一端側に収納され直径が厚さよりも大
    なる円盤状のサーミスタ素子(20)と、 このサーミスタ素子から前記金属カバーの他端側へ引き
    出されたサーミスタ信号取り出し用の電極線(31、3
    2)とを備える温度センサにおいて、 前記金属カバーと前記サーミスタ素子との間には、当該
    間の電気絶縁性を確保するための絶縁部材(50、5
    1)が介在設定されていることを特徴とする温度セン
    サ。
  2. 【請求項2】 前記絶縁部材は、前記金属カバー(1
    0)内にて前記サーミスタ素子(20)を収納する碍子
    管(50)であることを特徴とする請求項1に記載の温
    度センサ。
  3. 【請求項3】 前記絶縁部材は、前記サーミスタ素子
    (20)の円周側面のうち少なくとも前記金属カバー
    (10)の内面と最短距離にある部位に形成された電気
    絶縁性の皮膜(51)であることを特徴とする請求項1
    に記載の温度センサ。
  4. 【請求項4】 前記皮膜(51)は、前記サーミスタ素
    子(20)の円周側面の全周に形成されていることを特
    徴とする請求項3に記載の温度センサ。
  5. 【請求項5】 前記皮膜(51)は、電気絶縁性のセラ
    ミックよりなるものであることを特徴とする請求項3ま
    たは4に記載の温度センサ。
  6. 【請求項6】 筒状の金属カバー(10)と、 この金属カバーの一端側に収納され直径が厚さよりも大
    なる円盤状のサーミスタ素子(20)と、 このサーミスタ素子から前記金属カバーの他端側へ引き
    出されたサーミスタ信号取り出し用の電極線(31、3
    2)とを備える温度センサにおいて、 前記電極線は、白金又は白金合金を主成分とする分散強
    化材からなることを特徴とする温度センサ。
  7. 【請求項7】 前記分散強化材は、線径方向における結
    晶の粒径が線径よりも小さいものであることを特徴とす
    る請求項6に記載の温度センサ。
  8. 【請求項8】 前記分散強化材の結晶粒径が線径の1/
    2以下であることを特徴とする請求項7に記載の温度セ
    ンサ。
  9. 【請求項9】 前記分散強化材は、白金又は白金合金を
    100として金属酸化物が0.02重量%以上添加され
    たものであることを特徴とする請求項6ないし8のいず
    れか1つに記載の温度センサ。
  10. 【請求項10】 前記金属酸化物は、白金又は白金合金
    を100として2重量%以下添加されていることを特徴
    とする請求項9に記載の温度センサ。
  11. 【請求項11】 前記金属酸化物は、ジルコニア、イッ
    トリア、アルミナ、チタニアから選択された少なくとも
    一種であることを特徴とする請求項9または10に記載
    の温度センサ。
  12. 【請求項12】 前記白金合金は、白金に対して、ロジ
    ウム、金、タングステン、パラジウムから選択された少
    なくとも一種が含有されたものであることを特徴とする
    請求項6ないし11のいずれか1つに記載の温度セン
    サ。
  13. 【請求項13】 筒状の金属カバー(10)と、 この金属カバーの一端側に収納され直径が厚さよりも大
    なる円盤状のサーミスタ素子(20)と、 このサーミスタ素子から前記金属カバーの他端側へ引き
    出されたサーミスタ信号取り出し用の電極線(31、3
    2)とを備える温度センサにおいて、 前記電極線は、白金とイリジウムとの合金線材からなる
    ことを特徴とする温度センサ。
  14. 【請求項14】 前記白金とイリジウムとの合金線材
    は、イリジウムが1〜60重量%添加され、残部白金で
    あることを特徴とする請求項13に記載の温度センサ。
  15. 【請求項15】 筒状の金属カバー(10)と、 この金属カバーの一端側に収納され直径が厚さよりも大
    なる円盤状のサーミスタ素子(20)と、 このサーミスタ素子から前記金属カバーの他端側へ向か
    って引き出されるとともに、互いに前記金属カバーの軸
    方向に略平行に間隔を開けて配置されたサーミスタ信号
    取り出し用の一対の電極線(31、32)と、 前記金属カバーの他端側にて互いに前記金属カバーの軸
    方向に略平行に間隔を開けて配置され、前記一対の電極
    線の各々と接続された一対の信号線(41、42)とを
    備える温度センサにおいて、 前記一対の電極線と前記一対の信号線とは、前記金属カ
    バーの軸方向からみたとき、前記各電極線を結ぶ対角線
    (T1)と前記各信号線を結ぶ対角線(T2)とが交差
    するように重なり合って接合されていることを特徴とす
    る温度センサ。
  16. 【請求項16】 前記電極線(31、32)は、前記サ
    ーミスタ素子(20)の円周側面に接合されているもの
    であり、 前記電極線と前記金属カバー(10)とは隙間を介して
    非接触の状態にあることを特徴とする請求項1ないし1
    5のいずれか1つに記載の温度センサ。
  17. 【請求項17】 筒状の金属カバー(10)と、 この金属カバーの一端側に収納され直径が厚さよりも大
    なる円盤状をなし、その両円形面が前記金属カバーの軸
    方向に沿うように配置されているサーミスタ素子(2
    0)と、 互いに前記金属カバーの軸方向に略平行に間隔を開けて
    配置された状態で前記サーミスタ素子に埋設され、前記
    サーミスタ素子から前記金属カバーの他端側へ引き出さ
    れたサーミスタ信号取り出し用の一対の電極線(31、
    32)とを備える温度センサにおいて、 前記サーミスタ素子の1つの円形面における前記金属カ
    バーの軸と直交する直径方向に位置する両エッジ部のう
    ち、一方の前記電極線側のエッジ部(21a)と当該一
    方の前記電極線との距離をa1とし、他方の前記電極線
    側のエッジ部(21b)と当該他方の前記電極線との距
    離をa2とし、前記一対の電極線間の距離をcとしたと
    き、 前記サーミスタ素子の両円形面に対して、前記距離a1
    と前記距離a2との和(a1+a2)が前記距離cより
    も大きくなるような寸法関係が満足されていることを特
    徴とする温度センサ。
  18. 【請求項18】 筒状の金属カバー(10)と、 この金属カバーの一端側に収納され直径が厚さよりも大
    なる円盤状のサーミスタ素子(20)と、 このサーミスタ素子から前記金属カバーの他端側へ引き
    出されたサーミスタ信号取り出し用の電極線(31、3
    2)とを備える温度センサにおいて、 前記サーミスタ素子の円周側面は、凸面形状または凹面
    形状となっていることを特徴とする温度センサ。
  19. 【請求項19】 前記サーミスタ素子(20)は、その
    直径Wと厚さtとの比W/tが1よりも大きく1.5以
    下となっているものであることを特徴とする請求項1な
    いし18のいずれか一つに記載の温度センサ。
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