JP2002339847A - 内燃機関用点火装置 - Google Patents

内燃機関用点火装置

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JP2002339847A
JP2002339847A JP2001148706A JP2001148706A JP2002339847A JP 2002339847 A JP2002339847 A JP 2002339847A JP 2001148706 A JP2001148706 A JP 2001148706A JP 2001148706 A JP2001148706 A JP 2001148706A JP 2002339847 A JP2002339847 A JP 2002339847A
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ignition
signal
internal combustion
combustion engine
circuit
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JP2001148706A
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Kenji Kimura
賢司 木邨
Masafumi Shimizu
雅史 清水
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Mahle Electric Drive Systems Co Ltd
Original Assignee
Kokusan Denki Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】逆転防止機能を備えた内燃機関用点火装置にお
いて、点火位置の進角幅が狭くなるのを防止する。 【解決手段】点火電源として用いるエキサイタコイルW
exが一方の半波の誘起電圧Ve1を発生しているときに導
通して点火信号Si を点火回路2から側路するトランジ
スタTR1 を設け、機関の正転時にトランジスタTR1
がオフ状態にあるときにパルサコイルWp が始動時の点
火位置を定めるパルスP2 を発生するようにしておく。
回転速度が設定速度未満のときにトランジスタTR1 の
導通を許可し、回転速度が設定速度以上になったときに
トランジスタTR1 の導通を禁止するオンオフ許否回路
10を設けることにより、最大進角位置を定めるパルス
P1の発生位置を従来よりも進角した位置とすることが
できるようにした。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、パルサコイルが発
生するパルスから得た機関の回転情報に基づいて内燃機
関の点火位置を制御する内燃機関用点火装置に関するも
のである。
【0002】
【従来の技術】2サイクル内燃機関の場合も、4サイク
ル内燃機関の場合も、機関を始動する際に、クランク軸
に与える駆動力が不足し、ピストンが上死点を越えるこ
とができない状態で点火プラグに火花が発生すると、燃
焼室内の燃料の燃焼によりピストンが強い力で押し戻さ
れ、クランク軸が逆転しようとする。この現象はケッチ
ンと呼ばれている。この現象は、キックスタートやロー
プスタートにより機関を始動させる場合に特に起りやす
い。人力により機関を始動する際にケッチンが生じる
と、運転者に強い衝撃を与えるおそれがあるため好まし
くない。特に2サイクル機関の場合には、ケッチンが生
じるだけでなく、機関が逆転したままで始動してしまう
恐れもある。そのため、機関の始動時にクランク軸に十
分な駆動力があたえられない恐れがある場合には、クラ
ンク軸が逆転している状態では点火動作を行わせないよ
うにする機能(逆転防止機能)を点火装置に設けておく
必要がある。
【0003】また内燃機関においては、機関の中速領域
から高速領域にかけての性能を向上させるために、機関
の点火位置を上死点位置に対して進角させる必要があ
る。
【0004】なお本明細書において機関の「回転角度位
置」、「点火位置」及び「上死点位置」等という場合の
「位置」はすべてクランク軸の回転角度位置を意味す
る。即ち、点火位置は、機関の気筒に取り付けられた点
火プラグで火花が発生するときのクランク軸の回転角度
位置を意味し、上死点位置は機関のピストンが上死点に
達するときのクランク軸の回転角度位置を意味する。
【0005】逆転防止機能を有する従来の内燃機関用点
火装置としては、例えば実開昭61−184872号に
示されたものがある。図3は逆転防止機能を有する従来
の点火装置の構成を示したもので、同図において1は内
燃機関により駆動される磁石発電機である。磁石発電機
は、カップ状のフライホイールFの内周に永久磁石を取
り付けて構成した磁石回転子1aと、磁石回転子の磁極
に対向する磁極部を有する電機子鉄心に電機子コイルを
巻回してなる固定子1bとを備えたもので、固定子に設
けられた一つまたは一部の電機子コイルが点火装置を駆
動するエキサイタコイルWexとして用いられる。エキサ
イタコイルWexは機関の回転に同期して図示の実線矢印
方向の一方の半波の誘起電圧Ve1と図示の破線矢印方向
の他方の半波の誘起電圧Ve2とを発生する。
【0006】フライホイールFの外周には円弧状の突起
からなるリラクタ(誘導子)1cが設けられて該フライ
ホイールにより誘導子形のロータが構成され、このロー
タと、リラクタ1cを検出してパルスを発生する信号発
電子1dとにより機関の回転情報を得るためのパルスを
発生する信号発生装置が構成されている。
【0007】信号発電子1dは、リラクタ1cに対向す
る磁極部を先端に有する鉄心と該鉄心に巻回されたパル
サコイルWp と、該鉄心に磁気結合された永久磁石とを
有する周知のもので、リラクタ1cが該信号発電子の鉄
心の磁極部との対向を開始する際、及び該対向を終了す
る際にそれぞれ鉄心中で生じる磁束の増加及び減少によ
り、パルサコイルWp に極性が異なる第1のパルスP1
及び第2のパルスP2を誘起させる。
【0008】この例では、パルサコイルWp が、図4
(D)に示すように、内燃機関の上死点位置TDCより
も進角した第1の回転角度位置θ1 で正極性の第1のパ
ルスP1 を発生し、第1の回転角度位置θ1 よりも遅角
した上死点位置付近の第2の回転角度位置θ2 で負極性
の第2のパルスP2 を発生する。図4(D)に示した例
では、第2のパルスP2 を上死点位置TDCで発生させ
ている。
【0009】なお本明細書では、パルサコイルが発生す
る各パルスがしきい値レベル(回路により認識し得る)
Vteに達する位置を各パルスの発生位置としている。
【0010】第2の回転角度位置θ2 は、機関の始動時
の点火位置として適した位置に設定される。また第1の
回転角度位置θ1 は機関の点火位置の最大進角位置に等
しく設定される。即ち、第1のパルスP1 が発生する第
1の回転角度位置と第2のパルスP2 が発生する第2の
回転角度位置との角度差が点火位置の進角幅αとなり、
リラクタ1cの極弧角が進角幅αに等しく設定される。
【0011】図3において2は点火信号が与えられた時
にエキサイタコイルWexの誘起電圧を電源電圧として点
火用の高電圧を発生する点火回路である。図示の点火回
路は、コンデンサ放電式の回路で、この回路は、点火コ
イルIGと、点火コイルIGの一次側に設けられてエキ
サイタコイルWexの一方の半波の誘起電圧Ve1で点火コ
ンデンサ充電用ダイオードD1 を通して一方の極性に充
電される点火用コンデンサC1 と、点火信号Si が与え
られたときに導通して点火用コンデンサC1 の電荷を点
火コイルIGの一次コイルを通して放電させるように設
けられた放電用サイリスタTh1とを基本的な構成要素と
している。
【0012】図3に示した例では、点火コイルの一次コ
イルW1 の一次コイルW1 及び二次コイルW2 の一端が
接地されていて、一次コイルW1 の他端に点火用コンデ
ンサC1 の一端が接続され、点火用コンデンサC1 の他
端と接地間に放電用サイリスタTh1がそのカソードを接
地側に向けて接続されている。点火用コンデンサC1の
他端はまたアノードをエキサイタコイルWex側に向けた
点火コンデンサ充電用ダイオードD1 を通してエキサイ
タコイルの一端に接続され、点火コイルの一次コイルの
両端にはダイオードD2 がそのカソードを接地側に向け
て接続されている。またサイリスタTh1のゲートカソー
ド間には抵抗R1 が接続されている。
【0013】点火コイルの二次コイルW2 の非接地側の
端子は、図示しない機関の気筒に取り付けられた点火プ
ラグPLの非接地側端子に接続されている。
【0014】エキサイタコイルWexの一端と接地間及び
他端と接地間にはそれぞれ電流帰還用のダイオードD3
及びD4 が接続されている。
【0015】図示の点火回路2においては、エキサイタ
コイルWexの一方の半サイクルの誘起電圧で、ダイオー
ドD1 と、ダイオードD2 及び一次コイルW1 と、ダイ
オードD4 とを通して点火用コンデンサC1 が図示の極
性に充電される。このコンデンサC1 の両端の電圧は、
サイリスタTh1のアノードカソード間に順方向に印加さ
れるため、サイリスタTh1はそのゲートに信号が与えら
れたときに直ちに導通し得る状態にある。
【0016】後記する点火制御回路からサイリスタTh1
のゲートに点火信号Si が与えられると、サイリスタT
h1が導通するため、点火用コンデンサC1 に蓄積された
電荷がサイリスタTh1と点火コイルの一次コイルW1 と
を通して放電し、この放電により点火コイルの二次コイ
ルW2 に点火用の高電圧が誘起する。この高電圧は機関
の気筒に取り付けられた点火プラグPLに印加されるた
め、該点火プラグに火花放電が生じ、機関が点火され
る。
【0017】3は、パルサコイルWp が発生する第1の
パルスP1 と第2のパルスP2 とが入力された点火制御
回路である。点火制御回路3は、第1のパルスP1 と第
2のパルスP2 とから得た機関の回転情報に基づいて決
定した点火位置で点火回路2のサイリスタTh1に点火信
号Si を与える回路で、点火制御回路に設ける演算手段
を動作させるために必要な電圧を電源回路4から得るこ
とが困難な機関の始動時には、パルサコイルが第2のパ
ルスP2 を発生した時に点火回路2に点火信号Si を与
え、内燃機関の始動後は第1のパルスP1 が発生する第
1の回転角度位置と第2のパルスP2 が発生する第2の
回転角度位置との間に定めた点火位置で点火回路2に点
火信号Si を与える。
【0018】4は、バッテリを用いずに点火装置を動作
させる(点火装置をバッテリレスの構成とする)ため
に、エキサイタコイルを電源として点火装置の各部に直
流電源電圧を与える電源回路で、この電源回路は、エキ
サイタコイルWexの他端に電源コンデンサ充電用ダイオ
ードD5 を通して一端が接続されるとともに他端が接地
されてエキサイタコイルWexの他方の半波の誘起電圧で
充電される電源コンデンサC2 と、エキサイタコイルの
他端と接地間にカソードを接地側に向けて接続されて、
導通した際に電源コンデンサC2 の充電電流を該コンデ
ンサから側路する電圧調整用サイリスタTh2と、電源コ
ンデンサC2 の端子電圧が設定値に達したときにサイリ
スタTh2をトリガして導通させるサイリスタトリガ回路
4aとを備えている。
【0019】サイリスタトリガ回路4aは、コンデンサ
C2 の両端に接続された抵抗R2 とR3 との直列回路か
らなる分圧回路と、この分圧回路の分圧点とサイリスタ
Th2のゲートとの間にアノードをサイリスタTh2側に向
けて接続されたツェナーダイオードZDとからなってい
て、コンデンサC2 の端子電圧が設定値に達したときに
ツェナーダイオードが導通してサイリスタTh2にトリガ
信号を与える。
【0020】この電源回路においては、エキサイタコイ
ルWexが他方の半波の電圧を誘起したときにダイオード
D5 とダイオードD3 とを通して電源コンデンサC2 に
充電電流が流れ、該電源コンデンサが図示の極性に充電
される。このコンデンサC2の端子電圧が設定値Vdcに
達すると、サイリスタTh2が導通して電源コンデンサC
2 の充電電流を該コンデンサから側路するため、エキサ
イタコイルの波高値が設定値を超えている状態では、電
源コンデンサC2 の両端に設定値Vdcに保たれた直流電
圧Eが得られる。
【0021】また5は逆転防止回路で、この逆転防止回
路は、オン状態にあるときに点火制御回路3から点火回
路2に与えられる点火信号Si を点火回路2から側路す
るように設けられた信号側路用スイッチ5aと、エキサ
イタコイルWexが一方の半波の誘起電圧を発生している
とき及びエキサイタコイルWexの他方の半波の誘起電圧
がしきい値Vte未満のときに信号側路用スイッチ5aを
オン状態にし、エキサイタコイルの他方の半波の誘起電
圧がしきい値Vte以上になっているときに信号側路用ス
イッチ5aをオフ状態に保つように、エキサイタコイル
Wexの誘起電圧に応じて信号側路用スイッチ5aを制御
するスイッチ制御回路5bとを備えている。
【0022】図示の信号側路用スイッチ5aは、サイリ
スタTh1のゲートにコレクタが接続され、エミッタが接
地されたNPNトランジスタTR1 からなっている。ま
たスイッチ制御回路5bは、電源回路4の正極側の出力
端子とトランジスタTR1 のベースとの間に接続された
抵抗R4 と、トランジスタTR1 のベースエミッタ間に
接続された抵抗R5 と、トランジスタTR1 のベースと
エキサイタコイルWexの一端との間にアノードをエキサ
イタコイル側に向けて接続されたダイオードD6 とから
なっている。
【0023】そして図示の点火装置においては、内燃機
関の正転時にエキサイタコイルWexが他方の半波の誘起
電圧Ve2を発生しているときに第1及び第2のパルスP
1 及びP2 が発生し、内燃機関の逆転時にはエキサイタ
コイルが一方の半波の誘起電圧Ve1を発生しているとき
に第1及び第2のパルスP1 及びP2 が発生するよう
に、パルサコイルWp が設けられている。
【0024】図4は磁石発電機1の磁石回転子が8極の
磁石界磁を有する場合の、機関の正回転時の各部の電圧
波形を示したもので、図4(A)はエキサイタコイルの
誘起電圧波形を示し、図4(B)及び(C)は信号側路
用スイッチを構成するトランジスタTR1 のベースエミ
ッタ間電圧VBEを示している。また図4(D)はパルサ
コイルが発生するパルスの波形を示し、図4(E)は機
関の始動時の点火用コンデンサの端子電圧の波形を示し
ている。
【0025】図4(A)において波形aは機関の始動時
の回転速度No におけるエキサイタコイルの誘起電圧波
形を示し、波形bは機関の中速領域において点火位置の
進角が開始されるときの回転速度N1 (>No )におけ
るエキサイタコイルの誘起電圧波形を示している。また
図4(B)及び(C)はそれぞれ、エキサイタコイルの
誘起電圧の波形が図4(A)のa及びbであるときのト
ランジスタTR1 のベースエミッタ間電圧を示してい
る。
【0026】また図5は機関の逆転時の各部の電圧波形
を示したもので、同図(A)はエキサイタコイルの誘起
電圧波形を示し、同図(B)及び(C)はそれぞれトラ
ンジスタTR1 のベースエミッタ間電圧VBE及びパルサ
コイルが発生するパルスの波形を示している。
【0027】図3に示した点火装置においては、エキサ
イタコイルWexの出力電圧の一方の半波により点火回路
2のコンデンサC1 が充電され、他方の半波により電源
回路のコンデンサC2 が充電される。機関の始動時に
は、エキサイタコイルWexの他方の半波の出力電圧が電
源回路4の出力電圧の設定値Vdcに達することができな
いため、サイリスタTh2は導通しない。このときエキサ
イタコイルの誘起電圧波形は図4(A)の波形aのよう
にほぼ正弦波状を呈する。
【0028】機関の回転速度が上昇し、エキサイタコイ
ルWexの他方の半波の出力電圧の波高値が設定値Vdcを
超えると、サイリスタTh2が導通してエキサイタコイル
WexがサイリスタTh2とダイオードD3 とを通して短絡
されるため、エキサイタコイルWexの両端の電圧は、サ
イリスタTh2のアノードカソード間電圧とダイオードD
3 のアノードカソード間電圧との和の電圧まで低下す
る。またこのように、サイリスタTh2が導通するように
なると、該サイリスタTh2を通して流れる短絡電流によ
り、磁石発電機に大きな電機子反作用が生じるため、エ
キサイタコイルWexの一方の半波の出力電圧Velの位相
が遅れるようになる。したがって、エキサイタコイルW
exの他方の半波の出力電圧が電源回路4の出力電圧の設
定値Vdcを超えようになる回転速度、例えば進角開始回
転速度N1 におけるエキサイタコイルの出力電圧波形
は、図4(A)のbのように、低速時の波形aよりも位
相が遅れ、かつその他方の半波が設定値Vdcに達したと
ころで一定電圧まで急激に低下する波形となる。
【0029】また図3に示した回路においては、エキサ
イタコイルの他方の半波の出力電圧Ve2がしきい値Vte
以上になると、エキサイタコイルWexから電源回路4内
とダイオードD3 とを通してしきい値以上の電流が流れ
るため、該ダイオードD3 のカソードの対アース電位が
ほぼ−0.6[V](ダイオードの順方向電圧降下)ま
で低下し、トランジスタTR1 のベース・エミッタ間電
圧VBEが接地電位まで低下する。電圧Ve2が高く、ダイ
オードD3 を通して流れる電流が大きいときには、ダイ
オードD3 の順方向電圧降下がダイオードD6 の順方向
電圧降下を超えるので、トランジスタTR1 のベース電
位が接地電位以下になる。
【0030】したがって、機関の始動時の回転速度No
におけるトランジスタTR1 のベース・エミッタ間電圧
VBEは図4(B)のように変化し、機関の回転速度が進
角開始回転速度N1 まで上昇したときのトランジスタT
R1 のベース・エミッタ間電圧VBEは、図4(C)のよ
うに変化する。トランジスタTR1 は、ベース・エミッ
タ間電圧VBEが高レベルになっている区間オン状態にな
り、VBEが低レベルになっている区間オフ状態になる。
【0031】トランジスタTR1 がオフ状態にあるとき
には、トランジスタTR1 が点火回路2に与えられる信
号を側路することはなく、逆転防止回路5は、点火制御
回路3から点火回路2に点火信号Si が与えられるのを
許容する。そのため、点火動作は支障なく行われる。
【0032】これに対し、トランジスタTR1 がオン状
態にあるときには、点火制御回路3から点火回路2に与
えられる信号がすべてトランジスタTR1 を通して該点
火回路から側路されるため、仮に点火制御回路3が点火
信号Si を発生したとしても、その点火信号により点火
動作が行われることはない。
【0033】図4に示した例では、機関の回転速度がN
o であるとき(始動時)に図4(B)に示したように、
θa からθb の区間逆転防止回路のトランジスタTR1
がオン状態になり、θbからθcの区間トランジスタT
R1 がオフ状態になる。また進角開始回転速度N1 にお
いては、図4(C)に示したように、θa ´からθb´
の区間逆転防止回路のトランジスタTR1 がオン状態に
なり、θb´からθc´の区間トランジスタTR1 がオ
フ状態になる。
【0034】図示の点火装置においては、前述のよう
に、機関の正転時にエキサイタコイルWexがしきい値V
te以上の他方の半波の電圧を誘起している区間でパルサ
コイルWp が第1及び第2のパルスP1 及びP2 を発生
するように、パルサコイルが設けられているため、機関
の正転時には、点火制御回路3が発生した点火信号が逆
転防止回路5のトランジスタTR1 を通して側路される
ことなく、点火回路2に与えられる。機関の始動時に
は、パルサコイルWp が第2のパルス信号P2 を発生し
たときに点火制御回路3から点火回路2に点火信号Si
が与えられるため、第2のパルス信号P2 の発生位置で
点火動作が行われ、機関が始動する。以後、機関の正転
時には点火動作が支障なく行われ、機関の運転が支障な
く行われる。
【0035】これに対し、機関の始動時にクランク軸に
与える駆動力が不足して、ピストンが上死点を越えるこ
とができないために押し戻されてクランク軸が逆転した
ときには、図5(A)に示すようにエキサイタコイルの
誘起電圧波形が反転するため、エキサイタコイルが一方
の半波の誘起電圧を発生しているときにパルサコイルW
p が第1及び第2のパルスP1 及びP2 を発生する状態
になる。この状態では、第2のパルスP2 が発生したと
きに点火制御回路3が点火回路2に点火信号Si を与え
ても、該点火信号は逆転防止回路のトランジスタTR1
のコレクタエミッタ間を通して点火回路2から側路され
るため、点火回路2は点火動作を行うことができない。
したがって、機関が逆転することはなく、ケッチンが生
じることもない。
【0036】
【発明が解決しようとする課題】ところで、内燃機関に
おいては、その中速領域から高速領域にかけての性能を
向上させるために回転速度に応じて点火位置を進角させ
ている。例えばある内燃機関では、図6に示すように、
機関の中速領域(この例では1000〜2000[r/
min])で回転速度Nの上昇に伴って点火位置を上死
点前0度の位置から40度の位置まで進角させている。
図6においてBTDCは機関の上死点(TDC)を基準
にして進角側に図った角度であることを意味している。
【0037】図3に示した点火装置で上記のような進角
特性を得る場合には、機関の中速領域において点火位置
を第2のパルスP2 の発生位置から第1のパルスの発生
位置まで進角させるように、各回転速度における点火位
置を点火制御回路3により演算し、演算した点火位置が
検出されたときに点火制御回路3から点火回路2に点火
信号Si を与える。回転速度は通常第1のパルスP1 と
第2のパルスP2 との発生間隔から演算され、点火位置
は例えばマイクロコンピュータのROMに記憶された点
火位置演算用マップを用いて演算される。
【0038】図3に示した点火装置においては、サイリ
スタTh1の転流を確実に行わせるために、機関の正転時
に第2のパルスP2 が発生する位置(始動時の点火位
置)θ2 を、エキサイタコイルの一方の半波の誘起電圧
の立上り位置よりもある程度進角した位置に設定してお
く必要があり、進角幅を広げるために、第2の回転角度
位置θ2 をエキサイタコイルの一方の半波の誘起電圧の
立上りに近い位置に設定することはできない。
【0039】また図3に示したような逆転防止回路5を
設ける場合には、図5に示すように、機関の逆転時にト
ランジスタTR1 (信号側路用スイッチ)がオン状態に
なっている期間にパルサコイルWp が第2のパルスP2
を発生するように、該第2のパルスP2 の発生位置を設
定する必要があり、そのためには、逆転時の第2のパル
スP2 の発生位置を図5(B)に示すθo の位置(しき
い値を超えていたエキサイタコイルの他方の半波の誘起
電圧がしきい値Vte未満になる時の回転角度位置)より
も遅れた位置に設定する必要がある。即ち、機関の逆転
を防止するという観点から見た場合、機関の正転時の第
1のパルスP1 の発生位置(最大進角位置)は、図4
(D)に破線で示したように、しきい値Vteを超えてい
たエキサイタコイルの他方の半波の誘起電圧がしきい値
未満になる時の回転角度位置θb の位置まで進めること
ができる。このように、第1のパルスP1 の発生位置を
θoの位置に設定した場合、点火位置の進角幅はα´と
なる。
【0040】ところが、このように機関の正転時に最大
進角位置を定める第1のパルスP1をθb の位置で発生
させた場合には、トランジスタTR1 がオン状態にある
期間に第1のパルスP1 が発生することになるため、最
大進角位置付近で点火制御回路から点火信号Si を発生
させても該点火信号を点火回路2に与えることはできな
い。したがって、機関の正転時における第1のパルスP
1 の発生位置は、図4(D)に実線で示したように、進
角が開始される回転速度N1 においてトランジスタTR
1 がオフ状態になる位置θb ´よりも僅かに遅れた位置
に設定する必要がある。
【0041】そのため、得られる進角幅は図4(E)に
示すαとなり、逆転防止動作を行わせるために必要な条
件から導き出される理論的な進角幅の最大値α´よりも
α´−αだけ狭くなってしまう。図4に示したように、
磁石回転子の磁石界磁が8極に構成されている場合、進
角不可範囲(α´−α)は5〜6゜となる。
【0042】このように、逆転防止回路を備えた従来の
点火装置では、点火位置の進角幅が制限されるため、磁
石発電機の極数が多い場合に、進角幅が不足して、機関
が要求する進角特性を得ることができなくなるという問
題があった。
【0043】本発明の目的は、逆転防止機能を持たせつ
つ、進角幅を従来よりも広げることができるようにした
内燃機関用点火装置を提供することにある。
【0044】
【課題を解決するための手段】本発明が対象とする内燃
機関用点火装置は、内燃機関により駆動される磁石発電
機内に設けられたエキサイタコイルと、内燃機関の上死
点よりも進角した第1の回転角度位置で第1のパルスを
発生し、前記第1の回転角度位置よりも遅角した上死点
付近の第2の回転角度位置で第2のパルスを発生するパ
ルサコイルと、点火信号が与えられた時にエキサイタコ
イルの誘起電圧を電源電圧として点火用の高電圧を発生
する点火回路と、第1のパルス及び第2のパルスを入力
として内燃機関の始動時には第2のパルスが発生した時
に点火回路に点火信号を与え、内燃機関の始動後は第1
の回転角度位置と第2の回転角度位置との間に定めた点
火位置で点火回路に点火信号を与える点火位置制御回路
と、オン状態にあるときに点火信号を点火回路から側路
するように設けられた信号側路用スイッチと、エキサイ
タコイルが一方の半波の誘起電圧を発生しているとき及
びエキサイタコイルの他方の半波の誘起電圧がしきい値
未満のときに信号側路用スイッチをオン状態にし、エキ
サイタコイルの他方の半波の誘起電圧がしきい値以上に
なっているときに信号側路用スイッチをオフ状態に保つ
ようにエキサイタコイルの誘起電圧に応じて信号側路用
スイッチを制御するスイッチ制御回路とを備えたもの
で、上記パルサコイルは、内燃機関の正転時に信号側路
用スイッチがオフ状態にあるときに第1及び第2のパル
スが発生し、内燃機関の逆転時には信号側路用スイッチ
がオン状態にあるときに第1及び第2のパルスが発生す
るように設けられている。
【0045】本発明においては、内燃機関の回転速度が
設定速度未満のときにスイッチ制御回路が信号側路用ス
イッチをオン状態にするのを許可し、回転速度が設定速
度以上のときにスイッチ制御回路が信号側路用スイッチ
をオン状態にするのを禁止するように内燃機関の回転速
度に応じて信号側路用スイッチのオンオフの許否を決定
するオンオフ許否回路を設けた。
【0046】上記のようにオンオフ許否回路を設ける
と、機関の回転速度が設定速度未満の低速領域では、機
関の逆転時に点火制御回路が点火信号を発生したとき
に、信号側路用スイッチがオン状態になって、該点火信
号を点火回路から側路するため、機関の逆転を防止する
ことができる。また機関の回転速度が設定速度以上にな
ったときには、信号側路用スイッチがオフ状態に保たれ
るため、機関の正転時の第1のパルスの発生位置を、機
関の逆転時にしきい値を超えていたエキサイタコイルの
他方の半波の誘起電圧がしきい値未満になる時の回転角
度位置付近まで進角した位置に設定しても、正転時に最
大進角位置付近で発生する点火信号が側路されることは
ない。したがって、機関の正転時の第1のパルスの発生
位置(最大進角位置)を逆転防止回路の動作に支障を来
さない範囲のぎりぎりの位置まで進角させて、点火位置
の進角幅を広くとることができ、磁石発電機の極数が多
い場合でも、従来の点火装置よりも広い進角幅を得るこ
とができる。
【0047】本発明の好ましい態様では、上記点火回路
として、点火コイルの一次側に設けられてエキサイタコ
イルの一方の半波の誘起電圧で一方の極性に充電される
点火用コンデンサと、点火信号が与えられたときに導通
して点火用コンデンサに蓄積された電荷を点火コイルの
一次コイルを通して放電させる放電用サイリスタとを備
えたコンデンサ放電形の回路が用いられる。
【0048】またバッテリを用いなくても点火動作を行
わせるようにするため、エキサイタコイルの他端に電源
コンデンサ充電用ダイオードを通して一端が接続される
とともに他端が接地されて前記エキサイタコイルの他方
の半波の誘起電圧で充電される電源コンデンサと前記エ
キサイタコイルの他端と接地間にカソードを接地側に向
けて接続されて前記電源コンデンサの端子電圧が設定値
に達したときに導通して前記電源コンデンサの充電電流
を該電源コンデンサから側路する電圧調整用サイリスタ
とを備えた電源回路が設けられる。
【0049】また機関の逆転を防止するため、放電用サ
イリスタのゲートにコレクタが接続されるとともにエミ
ッタが接地されたNPN形トランジスタからなる信号側
路用スイッチと、電源コンデンサの両端の電圧で電流制
限素子を通してトランジスタにベース電流を与えるベー
ス電流供給回路とトランジスタのベースとエキサイタコ
イルの一端との間にアノードをトランジスタのベース側
に向けて接続されたベース電圧制御用ダイオードとを有
して、電圧調整用サイリスタがオフ状態にあるときにト
ランジスタをオン状態にし、電圧調整用サイリスタがオ
ン状態にあるときにトランジスタをオフ状態にする信号
側路用スイッチ制御回路とが設けられる。
【0050】この場合、オンオフ許否回路は、信号側路
用スイッチを構成するトランジスタのベースと接地間に
接続されたオンオフ許否用スイッチと、内燃機関の回転
速度が設定速度未満のときには信号側路用スイッチ制御
回路が信号側路用スイッチをオン状態にするのを許可す
るためにオンオフ許否用スイッチをオフ状態に保持し、
回転速度が設定速度未満のときには信号側路用スイッチ
制御回路が信号側路用スイッチをオン状態にするのを禁
止するためにオンオフ許否用スイッチをオン状態に保持
するように回転速度に応じてオンオフ許否用スイッチを
制御するオンオフ許否用スイッチ制御手段とを備えた構
成とする。
【0051】
【発明の実施の形態】図1は本発明に係わる内燃機関用
点火装置の構成例を示したもので、同図において図3に
示した従来の点火装置の各部と同等の部分にはそれぞれ
同一の符号を付してある。
【0052】図1において、1は磁石発電機、2はコン
デンサ放電式の点火回路、4は電源回路、5は逆転防止
回路で、これらの回路は図3に示した点火装置に設けら
れていたものと同様に構成されている。
【0053】点火制御回路3は、マイクロコンピュータ
3Aと、第1及び第2のパルスP1及びP2 をそれぞれ
マイクロコンピュータが認識し得る波形の信号Vp1及び
Vp2に変換する波形整形回路3Bと、信号出力回路3C
とを備えていて、第1及び第2のパルスP1 及びP2 を
それぞれ波形整形回路3Bを通すことにより変換して得
た信号Vp1及びVp2がマイクロコンピュータ3Aの入力
ポートA1 及びA2 に入力されている。ここで、信号V
p1は第1のパルスP1 がしきい値に達した時に高レベル
から低レベルに立ち下がる信号であり、信号Vp2は、第
2のパルスP2がしきい値に達した時に高レベルから低
レベルに立ち下がる信号である。マイクロコンピュータ
3Aは信号Vp1のレベルの立下がりを検出したときに第
1のパルスP1 が発生したことを認識し、信号Vp2の立
下がりを検出したときに第2のパルスP2 が発生したこ
とを認識する。
【0054】またマイクロコンピュータ3Aの出力ポー
トB1 には、エミッタが電源回路4の被接地側の出力端
子(正極側出力端子)に接続されたPNPトランジスタ
TR3 のベースが抵抗R10を通して接続され、該トラン
ジスタのエミッタベース間には抵抗R11が、またエミッ
タとマイクロコンピュータのポートB1 との間には抵抗
R12がそれぞれ接続されている。マイクロコンピュータ
のポートB1 にはまたダイオードD10のアノードが接続
され、該ダイオードD10のカソードは抵抗R13を通して
マイクロコンピュータ3AのポートA2 に接続されてい
る。
【0055】トランジスタTR3 のコレクタは抵抗R14
と、カソードを点火回路側に向けたダイオードD11とを
通して点火回路2のサイリスタTh1のゲート(点火回路
の点火信号入力端子)に接続されている。この例では、
トランジスタTR3 と、抵抗R10ないしR14と、ダイオ
ードD10及びD11とにより、信号出力回路3Cが構成さ
れている。
【0056】マイクロコンピュータ3Aは、第1のパル
スP1 と第2のパルスP2 との発生間隔から機関の回転
速度を演算し、演算した回転速度に対して機関の点火位
置を演算する。点火位置は、例えば第1のパルスP1 の
発生位置から点火位置まで機関が回転するのに要する時
間(点火位置計測時間)の形で演算される。このような
形で点火位置が演算される場合、マイクロコンピュータ
3Aは第1のパルスP1 が発生したときに点火位置計測
時間をタイマにセットしてその計測を開始し、タイマが
点火位置計測時間の計測を完了した時にポートB1 の電
位を高レベルから低レベルに低下させる。これによりト
ランジスタTR3 を導通させ、電源回路4からトランジ
スタTR3 と抵抗R14とダイオードD11とを通してサイ
リスタTh1に点火信号Si を与える。
【0057】また点火制御回路3は、機関の始動時に第
2のパルスP2 が発生して、信号Vp2が高レベルから低
レベルに立ち下がった時にトランジスタTR3 をオン状
態にして点火回路2に点火信号Si を与える。したがっ
て、機関の始動時には、パルサコイルWp が第2のパル
スP2 を発生したときに点火動作が行われる。
【0058】逆転防止回路5の構成及び動作は、図3に
示した従来例と同様であり、内燃機関の正転時には信号
側路用スイッチ5aがオフ状態にあるときに第1及び第
2のパルスP1 及びP2 が発生し、内燃機関の逆転時に
は信号側路用スイッチ5aがオン状態にあるときに第1
及び第2のパルスP1 及びP2 が発生するようにパルサ
コイルWp が設けられている。
【0059】本発明においては、内燃機関の回転速度が
設定速度未満のときにスイッチ制御回路5bが信号側路
用スイッチ5aをオン状態にするのを許可し、回転速度
が設定速度以上のときにスイッチ制御回路5bが信号側
路用スイッチ5aをオン状態にするのを禁止するように
内燃機関の回転速度に応じて信号側路用スイッチ5aの
オンオフの許否を決定するオンオフ許否回路10が設け
られている。
【0060】図示のオンオフ許否回路10は、信号側路
用スイッチを構成するトランジスタTR1 のベースと接
地間に接続されたオンオフ許否用スイッチ10aと、内
燃機関の回転速度が設定速度未満のときには信号側路用
スイッチ制御回路5bが信号側路用スイッチをオン状態
にするのを許可するためにオンオフ許否用スイッチ10
aをオフ状態に保持し、回転速度が設定速度以上のとき
には信号側路用スイッチ制御回路5bが信号側路用スイ
ッチをオン状態にするのを禁止するためにオンオフ許否
用スイッチ10aをオン状態に保持するように、回転速
度に応じてオンオフ許否用スイッチ10aを制御するオ
ンオフ許否用スイッチ制御手段とにより構成される。
【0061】図示の例では、エミッタが接地され、コレ
クタがトランジスタTR1 のベースに接続されたNPN
トランジスタTR2 によりオンオフ許否用スイッチ10
aが構成され、このトランジスタTR2 のベースは抵抗
R15を通してマイクロコンピュータ3Aの出力ポートB
2 に接続されている。またトランジスタTR2 のベース
接地間に抵抗R16が接続され、抵抗R15のポートB1 側
の端子と接地間に抵抗R17が接続されている。そして、
マイクロコンピュータ3Aに所定のプログラムを実行さ
せることにより、回転速度が設定速度未満の時にトラン
ジスタTR2 をオフ状態に保ち、回転速度が設定速度以
上のときにトランジスタTR2 をオン状態に保つよう
に、回転速度に応じてトランジスタTR2 へのベース電
流の供給を制御するトランジスタ制御手段を実現し、こ
のトランジスタ制御手段と、抵抗R15ないしR17とによ
り、オンオフ許否用スイッチ制御手段を構成している。
【0062】上記トランジスタ制御手段を実現するため
にマイクロコンピュータに実行させるプログラムの要部
の構成を示すフローチャートを図2に示した。
【0063】図2はパルサコイルWp が第1のパルスP
2 を発生する毎に実行される割込みルーチンを示したも
ので、この割込みルーチンでは、先ずステップ1におい
て、今回のパルスP2 の発生時刻と、前回のパルスP1
の発生時刻との時間差、または今回のパルスP2 の発生
時刻と、前回のパルスP2 の発生時刻との時間差から機
関の回転速度Nを演算する。次いでステップ2において
演算された回転速度Nが設定速度Ns よりも低いか否か
を判定し、その結果、回転速度Nが設定速度Ns よりも
低いと判定されたときには、ステップ3に移行してトラ
ンジスタTR2をオフ状態にした後(ポートB2 の電位
を低レベルにしてトランジスタTR2 へのベース電流の
供給を停止した後)、メインルーチンに戻る。またステ
ップ2において回転速度Nが設定速度以上になっている
と判定されたときには、ステップ4に移行してトランジ
スタTR2 をオン状態にした後(ポートB2 の電位を高
レベルにしてトランジスタTR2 にベース電流を与えた
後)メインルーチンに戻る。メインルーチンでは、回転
速度Nに対する点火位置の演算等を行わせる。また第1
のパルスが発生したときに実行される割込みルーチンに
より、演算された点火位置計測時間をタイマにセット
し、該タイマが点火位置計測時間の計測を完了した時に
ポートB1 の電位を低下させて点火信号を発生させる。
【0064】上記設定速度Ns は、機関の逆転を防止す
るために点火を阻止する必要がある回転速度の下限値以
上の高過ぎない速度、例えば、進角が開始される回転速
度に等しく設定しておく。
【0065】上記のように、オンオフ許否回路10を設
けると、機関の回転速度Nが設定速度Ns 未満の低速領
域では、機関の逆転時に点火制御回路3が点火信号Si
を発生したときに、信号側路用スイッチ5aがオン状態
になって、点火信号Si を点火回路2から側路するた
め、機関の逆転を防止することができる。
【0066】また機関の回転速度Nが設定速度Ns 以上
になったときには、信号側路用スイッチ5aがオフ状態
に保たれるため、機関の正転時の第1のパルスの発生位
置を、機関の逆転時にしきい値を超えていたエキサイタ
コイルの他方の半波の誘起電圧がしきい値未満になる時
の回転角度位置θb (図4及び図5参照)付近まで進角
した位置に設定しても、正転時に最大進角位置付近で発
生する点火信号が側路されることはない。したがって、
機関の正転時の第1のパルスの発生位置(最大進角位
置)を逆転防止回路の動作に支障を来さない範囲のぎり
ぎりの位置まで進角させて、点火位置の進角幅を図4に
示すα´まで広げることができ、磁石発電機の極数が多
い場合でも、従来の点火装置よりも広い進角幅を得るこ
とができる。
【0067】上記のように構成すると、機関の回転速度
が設定速度を超える領域では、逆転防止回路が働かない
が、機関の始動時及び低速時に逆転防止回路が働くよう
にしておけば、機関が逆転することはないため、実用上
なんら問題がない。
【0068】上記の説明では、機関の1気筒分の点火装
置の構成について説明したが、本発明は、一般にn気筒
(nは1以上の整数)内燃機関用の点火装置に適用する
ことができる。2気筒以上の多気筒内燃機関を点火する
点火装置においては、各気筒毎に点火回路を設けるとと
もに、各気筒用の点火回路に各気筒の点火位置で点火信
号を与えるように点火制御回路が構成される。多気筒内
燃機関用の点火装置においては、特定の部品を複数の気
筒に共用することはあるが、各気筒毎に設けられる点火
装置の構成は単気筒の場合と同様であるので、各気筒の
点火装置に本発明を適用することにより、本発明を実施
することができる。
【0069】なお図1に示した点火回路においては、点
火用コンデンサC1 が点火コイルの一次コイルに対して
直列に接続されていて、点火用コンデンサの充電電流の
一部が点火コイルの一次コイルを通して流れるようにな
っているが、図1においてコンデンサC1 とサイリスタ
Th1との位置を入れ替えて、コンデンサC1 を点火コイ
ルの一次コイルに対して並列に設けることにより、点火
コイルの一次コイルを通すことなくコンデンサC1 を充
電するように構成することもできる。
【0070】上記の例では、マイクロコンピュータを用
いて点火制御回路を構成したが、アナログ回路からなる
点火制御回路を用いる場合にも本発明を適用することが
できるのはもちろんである。
【0071】図1に示した例では、電源回路4のサイリ
スタTh2がオン状態になるときのエキサイタコイルの他
方の半サイクルの誘起電圧レベル(電源回路の出力電圧
の設定値)が、信号側路用スイッチ(トランジスタTR
1 )をオン状態にするタイミングを定めるしきい値Vte
となっているが、本発明は、上記のように電源回路に設
けられているサイリスタのオンオフを利用して信号側路
用スイッチをオンオフ制御する場合に限定されるもので
はない。例えば、エキサイタコイルが他方の半波の誘起
電圧を発生したことを検知したときにオン状態になるス
イッチをトランジスタTR1 のベースエミッタ間に接続
して、エキサイタコイルが他方の半波の誘起電圧を発生
したときにこのスイッチをオン状態にすることにより信
号側路用スイッチをオフ状態にするようにしてもよい。
【0072】
【発明の効果】以上のように、本発明によれば、内燃機
関の回転速度が設定速度未満のときに信号側路用スイッ
チがオン状態にするのを許可し、回転速度が設定速度以
上のときに信号側路用スイッチがオン状態にするのを禁
止するように内燃機関の回転速度に応じて信号側路用ス
イッチのオンオフの許否を決定するオンオフ許否回路を
設けることにより、機関の回転速度が設定速度未満の低
速領域でのみ逆転防止機能を持たせ、機関の回転速度が
設定速度以上になる領域では、逆転防止機能が働かない
ようにしたので、最大進角位置を定める第1のパルスの
発生位置を、逆転防止機能に支障を来さない範囲のぎり
ぎりの位置まで進角させて、点火位置の進角幅広げるこ
とができる利点がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係わる内燃機関用点火装置の構成例を
示した回路図である。
【図2】図1の点火制御回路のマイクロコンピュータに
実行させるプログラムのうち、パルサコイルがパルスを
発生する毎に実行される割込みルーチンの構成例を示し
たフローチャートである。
【図3】従来の点火装置の構成を示した回路図である。
【図4】内燃機関が正転しているときに図1及び図3の
点火装置の各部に現れる電圧の波形を示した波形図であ
る。
【図5】内燃機関が逆転しているときに図1及び図3の
点火装置の各部に現れる電圧の波形を示した波形図であ
る。
【図6】内燃機関が要求する点火特性の一例を示した線
図である。
【符号の説明】
1…磁石発電機、2…点火回路、3…点火制御回路、4
…電源回路、5…逆転防止回路、5a…信号側路用スイ
ッチ、10…オンオフ許否回路、IG…点火コイル、C
1 …点火用コンデンサ、C2 …電源コンデンサ、Th1…
放電用サイリスタ、TR1 ,TR2 …トランジスタ、T
h2…電圧調整用サイリスタ,Wex…エキサイタコイル、
Wp …パルサコイル。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 3G019 AB01 AC01 BA01 BA02 DB07 HA07 3G022 CA01 DA01 DA02 GA05

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 内燃機関により駆動される磁石発電機内
    に設けられたエキサイタコイルと、内燃機関の上死点よ
    りも進角した第1の回転角度位置で第1のパルスを発生
    し、前記第1の回転角度位置よりも遅角した前記上死点
    付近の第2の回転角度位置で第2のパルスを発生するパ
    ルサコイルと、点火信号が与えられた時に前記エキサイ
    タコイルの誘起電圧を電源電圧として点火用の高電圧を
    発生する点火回路と、前記第1のパルス及び第2のパル
    スを入力として前記内燃機関の始動時には前記第2のパ
    ルスが発生した時に前記点火回路に点火信号を与え、前
    記内燃機関の始動後は前記第1の回転角度位置と第2の
    回転角度位置との間に定めた点火位置で前記点火回路に
    点火信号を与える点火位置制御回路と、オン状態にある
    ときに前記点火信号を前記点火回路から側路するように
    設けられた信号側路用スイッチと、前記エキサイタコイ
    ルが一方の半波の誘起電圧を発生しているとき及び前記
    エキサイタコイルの他方の半波の誘起電圧がしきい値未
    満のときに前記信号側路用スイッチをオン状態にし、前
    記エキサイタコイルの他方の半波の誘起電圧がしきい値
    以上になっているときに前記信号側路用スイッチをオフ
    状態に保つように前記エキサイタコイルの誘起電圧に応
    じて前記信号側路用スイッチを制御するスイッチ制御回
    路とを備え、前記内燃機関の正転時には前記信号側路用
    スイッチがオフ状態にあるときに前記第1及び第2のパ
    ルスが発生し、前記内燃機関の逆転時には前記信号側路
    用スイッチがオン状態にあるときに前記第1及び第2の
    パルスが発生するように前記パルサコイルが設けられて
    いる内燃機関用点火装置において、 前記内燃機関の回転速度が設定速度未満のときには前記
    スイッチ制御回路が前記信号側路用スイッチをオン状態
    にするのを許可し、前記回転速度が前記設定速度以上の
    ときに前記スイッチ制御回路が前記信号側路用スイッチ
    をオン状態にするのを禁止するように前記内燃機関の回
    転速度に応じて前記信号側路用スイッチのオンオフの許
    否を決定するオンオフ許否回路を具備したことを特徴と
    する内燃機関用点火装置。
  2. 【請求項2】 内燃機関により駆動される磁石発電機内
    に設けられたエキサイタコイルと、 内燃機関の上死点よりも進角した第1の回転角度位置で
    第1のパルスを発生し、前記第1の回転角度位置よりも
    遅角した前記上死点付近の第2の回転角度位置で第2の
    パルスを発生するパルサコイルと、 点火コイルの一次側に設けられて前記エキサイタコイル
    の一方の半波の誘起電圧で一方の極性に充電される点火
    用コンデンサと、点火信号が与えられたときに導通して
    前記点火用コンデンサに蓄積された電荷を点火コイルの
    一次コイルを通して放電させる放電用サイリスタとを備
    えたコンデンサ放電形の点火回路と、 前記エキサイタコイルの他端に電源コンデンサ充電用ダ
    イオードを通して一端が接続されるとともに他端が接地
    されて前記エキサイタコイルの他方の半波の誘起電圧で
    充電される電源コンデンサと前記エキサイタコイルの他
    端と接地間にカソードを接地側に向けて接続されて前記
    電源コンデンサの端子電圧が設定値に達したときに導通
    して前記電源コンデンサの充電電流を該電源コンデンサ
    から側路する電圧調整用サイリスタとを備えた電源回路
    と、 前記第1のパルス及び第2のパルスを入力として前記内
    燃機関の始動時には前記第2のパルスが発生した時に前
    記点火回路に点火信号を与え、前記内燃機関の始動後は
    前記第1の回転角度位置と第2の回転角度位置との間に
    定めた点火位置で前記点火回路に点火信号を与える点火
    制御回路と、 前記放電用サイリスタのゲートにコレクタが接続される
    とともにエミッタが接地されたNPN形トランジスタか
    らなる信号側路用スイッチと、前記電源コンデンサの両
    端の電圧で電流制限素子を通して前記トランジスタにベ
    ース電流を与えるベース電流供給回路と前記トランジス
    タのベースと前記エキサイタコイルの一端との間にアノ
    ードを前記トランジスタのベース側に向けて接続された
    ベース電圧制御用ダイオードとを有して前記電圧調整用
    サイリスタがオフ状態にあるときに前記トランジスタを
    オン状態にし、前記電圧調整用サイリスタがオン状態に
    あるときに前記トランジスタをオフ状態にする信号側路
    用スイッチ制御回路とを備え、 前記内燃機関の正転時には前記信号側路用スイッチがオ
    フ状態にあるときに前記第1及び第2のパルスが発生
    し、前記内燃機関の逆転時には前記信号側路用スイッチ
    がオン状態にあるときに前記第1及び第2のパルスが発
    生するように前記パルサコイルが設けられている内燃機
    関用点火装置において、 前記信号側路用スイッチを構成するトランジスタのベー
    スと接地間に接続されたオンオフ許否用スイッチと、前
    記内燃機関の回転速度が設定速度未満のときには前記信
    号側路用スイッチ制御回路が前記信号側路用スイッチを
    オン状態にするのを許可するために前記オンオフ許否用
    スイッチをオフ状態に保持し、前記回転速度が設定速度
    以上のときには前記信号側路用スイッチ制御回路が前記
    信号側路用スイッチをオン状態にするのを禁止するため
    に前記オンオフ許否用スイッチをオン状態に保持するよ
    うに、回転速度に応じて前記オンオフ許否用スイッチを
    制御するオンオフ許否用スイッチ制御手段とからなるオ
    ンオフ許否回路を具備したことを特徴とする内燃機関用
    点火装置。
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