JP2002337287A - 積層ポリエステルフィルム - Google Patents

積層ポリエステルフィルム

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JP2002337287A JP2002073714A JP2002073714A JP2002337287A JP 2002337287 A JP2002337287 A JP 2002337287A JP 2002073714 A JP2002073714 A JP 2002073714A JP 2002073714 A JP2002073714 A JP 2002073714A JP 2002337287 A JP2002337287 A JP 2002337287A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 従来両立し得なかった各種被覆物との接着性
を満足し得る積層ポリエステルフィルムを提供する。 【解決手段】 ポリエステルフィルムの少なくとも片面
に、ガラス転移点の異なる2種類のポリエステル樹脂か
らなる積層膜が形成され、該2種類のポリエステルが、
ガラス転移点が60〜100℃であるポリエステル樹脂
(A)と、ガラス転移点が0〜60℃であるポリエステ
ル樹脂(B)からなり、該ポリエステル樹脂(B)が、
酸成分としてイソフタル酸65〜95モル%、および/
または、ジオール成分としてジエチレングリコール50
〜95モル%を少なくとも含有するポリエステル樹脂で
あることを特徴とする積層ポリエステルフィルム。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、積層ポリエステル
フィルムの改良に関し、詳しくは、各種被覆物との接着
性に優れた積層ポリエステルフィルムに関するものであ
る。
【0002】
【従来の技術】二軸配向ポリエステルフィルムは、寸法
安定性、機械的特性、耐熱性、透明性、電気的特性およ
び耐薬品性などに優れた性質を有することから、磁気記
録材料、包装材料、電気絶縁材料、各種写真材料および
グラフィックアーツ材料などの多くの用途の基材フィル
ムとして広く使用されている。
【0003】一般に、二軸配向ポリエステルフィルムは
表面が高度に結晶配向しているため、各種塗料やインキ
との接着性に乏しいという欠点を有している。このた
め、従来から、ポリエステルフィルム表面に種々の方法
で接着性を与えるための検討がなされてきた。
【0004】従来、ポリエステルフィルム表面に接着性
を付与する方法として、基材フィルムであるポリエステ
ルフィルムに各種の易接着処理、例えば、表面のコロナ
放電処理、紫外線照射処理またはプラズマ処理などを行
なう表面活性化法、酸、アルカリまたはアミン水溶液な
どの薬剤による表面エッチング法、あるいは、フィルム
表面に接着性を有するアクリル樹脂、ポリエステル樹
脂、ウレタン樹脂またはポリオレフィン樹脂などの各種
樹脂をプライマー層として設ける方法などが検討されて
きている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記の
ようなポリエステルフィルムには、紫外線硬化型インキ
のように硬化収縮を伴うインキやポリビニルアルコール
などの水溶性、親水性樹脂との接着性の両立といった点
において不十分な場合が多いという問題があった。
【0006】本発明の課題は、このような欠点を改良
し、従来両立し得なかった各種被覆物との接着性を満足
し得る積層ポリエステルフィルムを提供することにあ
る。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
に、本発明の積層ポリエステルフィルムは、ポリエステ
ルフィルムの少なくとも片面に、ガラス転移点の異なる
2種類のポリエステル樹脂からなる積層膜が形成され、
該2種類のポリエステルが、ガラス転移点が60〜10
0℃であるポリエステル樹脂(A)と、ガラス転移点が
0〜60℃であるポリエステル樹脂(B)からなり、該
ポリエステル樹脂(B)が、酸成分としてイソフタル酸
65〜95モル%、および/または、ジオール成分とし
てジエチレングリコール50〜95モル%を少なくとも
含有するポリエステル樹脂であることを特徴とするもの
からなる。
【0008】
【発明の実施の形態】以下に、本発明について、望まし
い実施の形態とともに詳細に説明する。本発明におい
て、ポリエステルとは、エステル結合を主鎖の主要な結
合鎖とする高分子の総称であって、好ましいポリエステ
ルとしては、エチレンテレフタレート、プロピレンテレ
フタレート、エチレン−2,6−ナフタレート、ブチレ
ンテレフタレート、プロピレン−2,6−ナフタレー
ト、エチレン−α,β−ビス(2−クロロフェノキシ)
エタン−4,4’−ジカルボキシレート、エチレン−
α,β−ビス(フェノキシ)エタン−4,4’−ジカル
ボキシレートなどから選ばれた少なくとも1種の構成成
分を主要構成成分とするものを用いることができる。こ
れら構成成分は1種のみ用いても、2種以上併用しても
よいが、中でも、品質、経済性などを総合的に判断する
とエチレンテレフタレートを主要構成成分とするポリエ
ステルを用いることが好ましい。また、これらポリエス
テルには、更に他のジカルボン酸成分やジオール成分が
一部、好ましくは20モル%以下共重合されていてもよ
い。
【0009】更に、このポリエステル中には、各種添加
剤、例えば、酸化防止剤、耐熱安定剤、耐候安定剤、紫
外線吸収剤、有機の易滑剤、顔料、染料、有機または無
機の微粒子、充填剤、帯電防止剤および核剤などがその
特性を悪化させない程度に添加されていてもよい。
【0010】上述したポリエステルの極限粘度(25℃
のo−クロロフェノール中で測定)は、0.4〜1.2
dl/gが好ましく、より好ましくは0.5〜0.8d
l/gの範囲にあるものが本発明を実施する上で好適で
ある。
【0011】上記ポリエステルを使用したポリエステル
フィルムは、その少なくとも片面に積層膜が設けられた
状態においては、二軸配向されたものであることが好ま
しい。二軸配向ポリエステルフィルムとは、一般に、未
延伸状態のポリエステルシートまたはフィルムが長手方
向および幅方向に各々2.5〜5倍程度延伸され、その
後、熱処理が施されて、結晶配向が完了したものであ
り、広角X線回折で二軸配向のパターンを示すものをい
う。
【0012】ポリエステルフィルムの厚みは、特に限定
されるものではなく、本発明の積層フィルムが使用され
る用途に応じて適宜選択されるが、機械的強度、ハンド
リング性などの点から、通常は好ましくは1〜500μ
m、より好ましくは5〜300μm、最も好ましくは3
0〜210μmである。また、得られたフィルムを各種
の方法で貼り合わせて用いることもできる。
【0013】また、基材フィルムとして白色ポリエステ
ルフィルムを好適に用いることもできる。この白色ポリ
エステルフィルムは、白色に着色されたポリエステルフ
ィルムであれば特に限定されるものではないが、白色度
は65〜150%が好ましく、より好ましくは80〜1
20%であり、また光学濃度は100μm換算で、0.
5〜5が好ましく、より好ましくは1〜3である。例え
ば、光学濃度が小さい基材フィルムを使用した場合は隠
蔽性が劣り、白色度が小さい場合は肉眼で見た場合白さ
が減少しやすい。
【0014】このような白色度と光学濃度を得る方法
は、特に限定されないが、通常は無機粒子あるいはポリ
エステルと非相溶の樹脂の添加により得ることができ
る。添加する量は特に限定されないが、無機粒子の場
合、好ましくは5〜35重量%、より好ましくは8〜2
5重量%である。一方、非相溶性の樹脂を添加する場合
は、好ましくは3〜35体積%、より好ましくは6〜2
5体積%である。
【0015】該無機粒子は特に限定されないが、好まし
くは平均粒径0.1〜4μm、より好ましくは0.3〜
1.5μmの無機粒子などをその代表的なものとして用
いることができる。具体的には、硫酸バリウム、炭酸カ
ルシウム、硫酸カルシウム、酸化チタン、シリカ、アル
ミナ、チタン酸バリウム、タルク、クレーなどあるいは
これらの混合物を使用でき、これらの無機粒子は他の無
機化合物、例えば、リン酸カルシウム、酸化チタン、雲
母、ジルコニア、酸化タングステン、フッ化リチウム、
フッ化カルシウムなどと併用されてもよい。
【0016】上述のポリエステルと非相溶の樹脂として
は、特に限定されないが、例えば、ポリエチレンテレフ
タレートやポリエチレン−2,6−ナフタレートと混合
する場合についていえば、アクリル樹脂、ポリエチレ
ン、ポリプロピレン、変性オレフィン樹脂、ポリブチレ
ンテレフタレート系樹脂、フェノキシ樹脂およびポリフ
ェニレンオキシドなどを用いることができ、当然、上述
した無機粒子と併用してもよい。例えば、特に、ポリエ
ステルに無機粒子やポリエステルと非相溶の樹脂を混合
して2軸延伸し、内部に空洞を有する、比重が0.5〜
1.3の白色ポリエステルフィルムは、基材フィルム自
体が軽量化できる、受像シート用途で用いた場合、印刷
特性が向上するなどの長所がある。
【0017】また、この白色ポリエステルフィルムは、
他の色に着色されたフィルムあるいは透明なフィルムを
積層させた2層以上の積層体にし、これを基材フィルム
として使用してもよい。
【0018】本発明において、積層膜とは、基材シート
となるポリエステルフィルムの表面に積層構造的に形成
されて存在する膜状のものをいう。該積層膜自体は、単
一層であっても複数層からなるものであってもよい。
【0019】本発明における積層膜には、ガラス転移点
(以後、Tgと略称する)の異なる2種類のポリエステ
ル樹脂を用いるが、2種類のポリエステル樹脂でTgが
異なり、かつ、ポリエステル樹脂(A)のTgが60〜
100℃であり、ポリエステル樹脂(B)のTgが0〜
60℃であることを満足し、該ポリエステル樹脂(A)
のTgは好ましくは70〜90℃であり、該ポリエステ
ル樹脂(B)のTgは好ましくは10〜45℃である。
さらに、該ポリエステル樹脂(B)は、酸成分としてイ
ソフタル酸65〜95モル%、および/または、ジオー
ル成分としてジエチレングリコール50〜95モル%を
少なくとも含有し、Tgを上記の範囲とすることによ
り、従来両立し得なかった各種被覆物との優れた接着性
が得られることが可能となる。該イソフタル酸のさらに
好ましい範囲としては70〜95モル%、該ジエチレン
グリコールのさらに好ましい範囲としては60〜90モ
ル%である。
【0020】さらに詳細には、本発明の積層膜で用いら
れるポリエステル樹脂(B)において、ジカルボン酸成
分としてイソフタル酸を全ジカルボン酸成分中65〜9
5モル%、および、ジオール成分としてジエチレングリ
コールを全ジオール成分中50〜95モル%を同時に満
たすことが、より好ましい。しかしながら、例えばイソ
フタル酸が全ジカルボン酸成分中65〜95モル%を満
たすときには、ジエチレングリコールの好ましい範囲は
40〜95モル%、さらに好ましい範囲は50〜95モ
ル%であり、一方、ジエチレングリコールが全ジオール
成分中50〜95モル%を満たすときには、イソフタル
酸の好ましい範囲は45〜95モル%、さらに好ましい
範囲は50〜90モル%である。イソフタル酸成分量が
少なすぎると、特に紫外線硬化型インキのように硬化収
縮を伴うインキとの接着性が低下する場合があり、一
方、ジエチレングリコール成分量が少なすぎると、特に
紫外線硬化型インキのように硬化収縮を伴うインキやポ
リビニルアルコールなどの親水性樹脂との接着性が低下
する場合がある。
【0021】本発明における積層膜を形成するガラス転
移点の異なる2種類のポリエステル樹脂(A)および
(B)には、スルホン酸金属塩基含有ジカルボン酸成分
が含有され、その含有量は下記の関係を満たすことが好
ましい。 Sa>Sb≧5モル% (Sa:ポリエステル樹脂(A)における全ジカルボン
酸成分中のスルホン酸金属塩基含有ジカルボン酸成分量
(モル%)、Sb:ポリエステル樹脂(B)における全
ジカルボン酸成分中のスルホン酸金属塩基含有ジカルボ
ン酸成分量(モル%))
【0022】ここで、Sbは、好ましくは、7モル%以
上、より好ましくは、7〜9モル%である。Saまたは
Sbが5モル%未満になると、特にポリビニルアルコー
ルなどの親水性樹脂との接着性が低下する。Sa>Sb
≧5モル%の関係を満たすことにより、相反する効果で
ある各種被覆物との接着性と耐ブロッキング性を両立さ
せることができたと考えられる。
【0023】ポリエステル樹脂(A)とポリエステル樹
脂(B)は任意の比率で混合して用いることができる
が、ポリエステル樹脂(A)/ポリエステル樹脂(B)
が、固形分重量比で、10/90〜90/10であるこ
とが接着性の両立の点で好ましく、より好ましくは30
/70〜80/20、さらに好ましくは40/60〜7
0/30である。ポリエステル樹脂(A)が少なすぎる
と耐ブロッキング性が低下したり、ポリエステル樹脂
(B)が少なすぎると特に紫外線硬化型インキのように
硬化収縮を伴うインキとの接着性が低下したりする場合
がある。
【0024】本発明の積層膜は、前記したTgの異なる
2種類のポリエステル樹脂を主たる構成成分としてなる
ものであり、本発明において主成分とは、上記2種類が
積層膜中において70重量%以上を占めることをいい、
好ましくは80重量%以上、より好ましくは90重量%
以上である。
【0025】本発明に係る積層膜の構成成分であるポリ
エステル樹脂(A)および(B)は、主鎖あるいは側鎖
にエステル結合を有するものであり、このようなポリエ
ステル樹脂は、ジカルボン酸とジオールから重縮合して
得ることができるものである。
【0026】該ポリエステル樹脂を構成するカルボン酸
成分としては、芳香族、脂肪族、脂環族のジカルボン酸
や3価以上の多価カルボン酸が使用できる。芳香族ジカ
ルボン酸としては、テレフタル酸、イソフタル酸、オル
ソフタル酸、フタル酸、2,5−ジメチルテレフタル
酸、1,4−ナフタレンジカルボン酸、ビフェニルジカ
ルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、1,2−
ビスフェノキシエタン−p,p’−ジカルボン酸、フェ
ニルインダンジカルボン酸などを用いることができる。
脂肪族及び脂環族のジカルボン酸としては、コハク酸、
アジピン酸、セバシン酸、ドデカンジオン酸、ダイマー
酸、1,3−シクロペンタンジカルボン酸、1,2−シ
クロヘキサンジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジ
カルボン酸など及びそれらのエステル形成性誘導体を用
いることができる。
【0027】また、ポリエステル樹脂を水系樹脂とした
塗液として用いる場合、ポリエステル樹脂の接着性を向
上させるため、あるいはポリエステル樹脂の水溶性化を
容易にするため、スルホン酸塩基を含む化合物や、カル
ボン酸塩基を含む化合物を共重合することが好ましい。
【0028】スルホン酸塩基を含む化合物としては、例
えばスルホテレフタル酸、5−スルホイソフタル酸、4
−スルホイソフタル酸、4−スルホナフタレン−2,7
−ジカルボン酸、スルホ−p−キシリレングリコール、
2−スルホ−1,4−ビス(ヒドロキシエトキシ)ベン
ゼン等あるいはこれらのアルカリ金属塩、アルカリ土類
金属塩、アンモニウム塩を用いることができるが、これ
に限定されるものではない。
【0029】カルボン酸塩基を含む化合物としては、例
えばトリメリット酸、無水トリメリット酸、ピロメリッ
ト酸、無水ピロメリット酸、4−メチルシクロヘキセン
−1,2,3−トリカルボン酸、トリメシン酸、1,
2,3,4−ブタンテトラカルボン酸、1,2,3,4
−ペンタンテトラカルボン酸、3,3’,4,4’−ベ
ンゾフェノンテトラカルボン酸、5−(2,5−ジオキ
ソテトラヒドロフルフリル)−3−メチル−3−シクロ
ヘキセン−1,2−ジカルボン酸、5−(2,5−ジオ
キソテトラヒドロフルフリル)−3−シクロヘキセン−
1,2−ジカルボン酸、シクロペンタンテトラカルボン
酸、2,3,6,7−ナフタレンテトラカルボン酸、
1,2,5,6−ナフタレンテトラカルボン酸、エチレ
ングリコールビストリメリテート、2,2’,3,3’
−ジフェニルテトラカルボン酸、チオフェン−2,3,
4,5−テトラカルボン酸、エチレンテトラカルボン酸
等あるいはこれらのアルカリ金属塩、アルカリ土類金属
塩、アンモニウム塩を用いることができるが、これに限
定されるものではない。
【0030】該ポリエステル樹脂のジオール成分として
は、エチレングリコール、ジエチレングリコール、ポリ
エチレングリコール、プロピレングリコール、ポリプロ
ピレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,3
−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−
ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,7
−ヘプタンジオール、1,8−オクタンジオール、1,
9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール、2,
4−ジメチル−2−エチルヘキサン−1,3−ジオー
ル、ネオペンチルグリコール、2−エチル−2−ブチル
−1,3−プロパンジオール、2−エチル−2−イソブ
チル−1,3−プロパンジオール、3−メチル−1,5
−ペンタンジオール、2,2,4−トリメチル−1,6
−ヘキサンジオール、1,2−シクロヘキサンジメタノ
ール、1,3−シクロヘキサンジメタノール、1,4−
シクロヘキサンジメタノール、2,2,4,4−テトラ
メチル−1,3−シクロブタンジオール、4,4’−チ
オジフェノール、ビスフェノールA、4,4’−メチレ
ンジフェノール、4,4’−(2−ノルボルニリデン)
ジフェノール、4,4’−ジヒドロキシビフェノール、
o−,m−,及びp−ジヒドロキシベンゼン、4,4’
−イソプロピリデンフェノール、4,4’−イソプロピ
リデンビンジオール、シクロペンタン−1,2−ジオー
ル、シクロヘキサン−1,2−ジオール、シクロヘキサ
ン−1,4−ジオール、ビスフェノールAなどを用いる
ことができる。
【0031】本発明に用いられるポリエステル樹脂
(A)および(B)としては、変性ポリエステル共重合
体、例えばアクリル、ウレタン、エポキシ等で変性した
ブロック共重合体、グラフト共重合体等を用いることも
可能である。また、本発明の効果を損なわない範囲内
で、他の樹脂、例えば本発明に用いられる上述したポリ
エステル樹脂以外のポリエステル樹脂、アクリル樹脂、
ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、尿素樹
脂、フェノール樹脂などが配合されていてもよい。更
に、本発明の効果が損なわれない範囲内で各種の添加
剤、例えば架橋剤、酸化防止剤、耐熱安定剤、耐候安定
剤、紫外線吸収剤、有機の易滑剤、顔料、染料、充填
剤、帯電防止剤、核剤などが配合されていてもよい。
【0032】本発明に係る積層膜に用いられるポリエス
テル樹脂は、公知の製造法によって製造することができ
る。例えば、酸成分とジオール成分とを直接エステル化
反応させるか、エステル交換反応させる第一段階とこの
第一段階の反応生成物を重縮合反応させる第二段階とに
よって製造する方法等により製造することができる。こ
の際、反応触媒(例えば、アルカリ金属、アルカリ土類
金属、マンガン、コバルト、亜鉛、アンチモン、ゲルマ
ニウム、チタン化合物など)を用いることが一般的であ
る。
【0033】積層膜の厚みは、0.01〜5μmの範囲
が好ましく、より好ましくは0.02〜2μm、最も好
ましくは0.05μm〜0.5μmである。積層膜の厚
みが薄すぎると接着性不良となったり、厚すぎると易滑
性や耐ブロッキング性が低下したり場合がある。
【0034】本発明の積層膜中に有機または無機の粒子
を添加すると、易滑性や耐ブロッキング性が向上する。
該有機粒子としては、架橋ポリスチレン、架橋アクリル
樹脂、メラミン樹脂、ベンゾグアナミン樹脂など、該無
機粒子としては、シリカ、コロイダルシリカ、アルミ
ナ、アルミナゾル、カオリン、タルク、マイカ、炭酸カ
ルシウムなどを用いることができる。これらの粒子は平
均粒径0.01〜5μmが好ましく、より好ましくは
0.04〜3μm、さらに好ましくは0.08〜1μm
である。また、1/2<r/d≦4(r:粒子の平均粒
径、d:積層膜の平均厚み)を満足する粒子を選択する
ことで、効果的に易滑性や耐ブロッキング性を付与でき
る。さらに好ましい範囲は1≦r/d≦4である。該粒
子の積層膜中の樹脂に対する混合比は、固形分比で0.
05〜5重量%であり、より好ましくは0.1〜3重量
%である。該粒子の粒子径が大きすぎたり該粒子の混合
比が多すぎると積層膜の耐削れ性などが低下したりす
る。
【0035】本発明の積層ポリエステルフィルムを製造
するに際して、積層膜を設けるのに好ましい方法として
は、ポリエステルフィルムの製造工程中に塗布し、基材
フィルムと共に延伸する方法が最も好適である。例え
ば、溶融押し出しされた結晶配向前のポリエステルフィ
ルムを長手方向に2.5〜5倍程度延伸し、一軸延伸さ
れたフィルムに連続的に塗液を塗布する。塗布されたフ
ィルムは段階的に加熱されたゾーンを通過しつつ乾燥さ
れ、幅方向に2.5〜5倍程度延伸される。更に、連続
的に150〜250℃の加熱ゾーンに導かれ結晶配向を
完了させる方法(インラインコート法)によって得るこ
とができる。この場合に用いる塗布液は環境汚染や防爆
性の点で水系のものが好ましい。
【0036】基材フィルム上への塗布の方法は各種の塗
布方法、例えばリバースコート法、グラビアコート法、
ロッドコート法、バーコート法、ダイコート法、スプレ
ーコート法などを用いることができる。
【0037】次に、本発明の積層ポリエステルフィルム
の製造方法について、ポリエチレンテレフタレート、
(以下、「PET」と略称する)を基材フィルムとした
例について説明するが、これに限定されるものではな
い。
【0038】本発明の上述した各種塗料やインキとの接
着性に優れると同時に、高温高湿下での接着性にも優れ
た積層ポリエステルフィルムは、ポリエステルフィルム
の少なくとも片面に、上記した特定のTgを有し、か
つ、Tgの異なる2種類のポリエステル樹脂を主たる構
成成分とする積層膜を設けることによって製造すること
ができる。
【0039】より具体的には、例えば、極限粘度0.5
〜0.8dl/gのPETペレットを真空乾燥した後、
押し出し機に供給し、260〜300℃で溶融し、T字
型口金よりシート状に押し出し、静電印加キャスト法を
用いて表面温度10〜60℃の鏡面キャスティングドラ
ムに巻き付けて、冷却固化せしめて未延伸PETフィル
ムを作成した。この未延伸フィルムを70〜120℃に
加熱されたロール間で縦方向(フィルムの進行方向)に
2.5〜5倍延伸する。このフィルムの少なくとも片面
にコロナ放電処理を施し、本発明の積層膜形成塗液を塗
布した。この塗布されたフィルムをクリップで把持して
70〜150℃に加熱された熱風ゾーンに導き、乾燥し
た後、幅方向に2.5〜5倍延伸し、引き続き160〜
250℃の熱処理ゾーンに導き、1〜30秒間の熱処理
を行い、結晶配向を完了させた。この熱処理工程中で必
要に応じて幅方向あるいは長手方向に3〜12%の弛緩
処理を施してもよい。二軸延伸は、縦、横逐次延伸ある
いは同時二軸延伸のいずれでもよく、また縦、横延伸
後、縦、横いずれかの方向に再延伸してもよい。この場
合に用いられる塗液は環境汚染や防爆性の点で水系が好
ましい。
【0040】なお、上記例において、積層膜が設けられ
る基材フィルムにもポリエステル樹脂あるいはこれらの
反応生成物から選ばれる少なくとも1種を含有させるこ
とができる。この場合は、積層膜と基材フィルムとの接
着性が向上する、積層ポリエステルフィルムの易滑性が
向上するなどの効果がある。ポリエステル樹脂あるいは
これらの反応生成物を含有させる場合には、1種であれ
複数種であれ、その添加量の合計が5ppm以上20重
量%未満であるのが、接着性、易滑性の点で好ましい。
もちろん、ポリエステル樹脂あるいはこれらの反応生成
物は、基材フィルム上に設ける積層膜形成組成物(本発
明の積層ポリエステルフィルムの再生ペレットなどを含
む)であってもよい。さらに詳細には、基材フィルム中
に含有され得るポリエステル樹脂あるいはこれらの反応
生成物は、再生材料として、上記の積層ポリエステルフ
ィルム、あるいは、積層ポリエステルフィルムから生じ
る屑フィルムを粉砕した粉砕物を溶融押出してペレット
として得ることができる。該再生材料は、前述のポリエ
ステルフィルムを構成するポリエステルと混合して用い
ることができる。本発明の積層ポリエステルフィルム
は、再生材料として使用されるペレットの割合が50重
量%以下であることが好ましく、さらには40重量%以
下が好ましい。該再生材料の含有量が多すぎると、積層
ポリエステルフィルムが着色する場合がある。以後、再
生材料を基材フィルムに含有する本発明の積層ポリエス
テルフィルムを、再生積層ポリエステルフィルムとい
う。
【0041】〔特性の測定方法および効果の評価方法〕
本発明における特性の測定方法及び効果の評価方法は次
の通りである。 (1)ガラス転移点(Tg) ロボットDSC(示差走査熱量計)RDC220(セイ
コー電子工業(株)製)にSSC5200ディスクステ
ーション(セイコー電子工業(株)製)を接続して測定
した。試料10mgをアルミニウムパンに調整後、DS
C装置にセットし(リファレンス:試料を入れていない
同タイプのアルミニウムパン)、300℃の温度で5分
間加熱した後、液体窒素中を用いて急冷処理をする。こ
の試料を10℃/分で昇温し、そのDSCチャートから
ガラス転移点(Tg)を検知する。
【0042】(2)積層膜の厚み 透過型電子顕微鏡HU−12型((株)日立製作所製)
を用い、積層膜を設けた積層ポリエステルフィルムの断
面を観察した写真から求めた。厚みは測定視野内の30
個の平均値とした。
【0043】(3)粒子の平均粒径 積層ポリエステルフィルムの積層膜の表面を、走査型電
子顕微鏡S−2100A形((株)日立製作所製)を用
いて、拡大倍率10000倍で観察したときの、粒子5
0個の粒子径の平均を平均粒径とした。
【0044】(4)接着性−1 紫外線硬化型インキとしてベストキュア161墨(T&
K東華(株)製)を用い、ロールコート法で積層膜上に
約1.5μm厚みに塗布した。その後、照射強度80W
/cmの紫外線ランプを用い、照射距離(ランプとイン
キ面の距離)12cmで5秒間照射した。23℃、65
%RHにて1日間調湿後、インキ硬化膜に1mm2のク
ロスカットを100個入れ、ニチバン(株)製セロハン
テープをその上に貼り付け、ゴムローラーを用いて押し
付けた(荷重20Nで3往復)後90度方向に剥離し
た。接着性は、インキ硬化膜の残存した個数により評価
(◎:100、○:80〜99、△:50〜79、×:
0〜49)した。このとき、「◎」、「○」を接着性良
好とした。
【0045】(5)接着性−2 積層膜上にポリビニルアルコール樹脂(日本合成化学工
業(株)製ゴーセノールGH−23)の10%水溶液を
用いて、乾燥後の塗布厚みが約7μmとなるようにグラ
ビアコーターで塗布し、120℃で乾燥した。23℃、
65%RHにて1日間調湿後、ポリビニルアルコール樹
脂層上に、1mm2 のクロスカットを100個入れ、セ
ロハンテープを張り付けてゴムローラーを用いて押しつ
けた(荷重20Nで3往復)後90度方向に剥離した。
接着性は、ポリビニルアルコール樹脂層の残存した個数
により評価した(○:80〜100、△:50〜79、
×:0〜49)。このとき「○」を接着性良好とした。
【0046】(6)耐ブロッキング性 積層膜同士を重ね合わせ、荷重(500g/(3×4)
cm2)下、40℃、90%RHで24時間調湿し、荷
重を加えた箇所の剥離状態を以下の基準(◎:容易に剥
離し重ね合わせた跡が残らない。○:容易に剥離するが
重ね合わせた跡が一部に残る。△:剥離できるが重ね合
わせた跡が残る。×:剥離するときフィルムが劈開す
る。)で評価した。このとき、「×」以外を合格とし
た。
【0047】(7)接着性−3 再生積層ポリエステルフィルムを60℃、80%RHで
1日間調湿後、積層膜に1mm2 のクロスカットを10
0個入れ、ニチバン(株)製セロハンテープをその上に
貼り付け、ゴムローラーを用いて押し付けた(荷重20
Nで3往復)後、90度方向に剥離した。接着性は、積
層膜の残存した個数により評価した(○:80〜10
0、△:50〜79、×:0〜49)。このとき「○」
を接着性良好とした。
【0048】(8)異物 100mm×100mmサイズの再生積層ポリエステル
フィルムについて、偏光装置を用いたときに白く見えた
異物を実体顕微鏡で観察し、100μm以上の大きさの
異物をカウントした。ここでは、1000cm2 あたり
に換算した異物の個数を以下の基準で評価し、「○」、
「△」を良好レベルとした。 ○:異物数15個以下、△:異物数16〜25個、×:
異物数26個以上
【0049】(9)着色度 積層ポリエステルフィルムをブランクフィルムとし、再
生積層ポリエステルフィルムを、同じ基材厚みで比較し
て着色の程度を以下の3段階評価し、「○」、「△」を
良好レベルとした。 ○:ブランクフィルムとほとんど変わらない。△:若干
の着色がある。×:着色が著しい。
【0050】
【実施例】次に、実施例に基づいて本発明を説明する
が、必ずしもこれに限定されるものではない。 実施例1 平均粒径0.4μmのコロイダルシリカを0.015重
量%、および平均粒径1.5μmのコロイダルシリカを
0.005重量%含有するPET(ポリエチレンテレフ
タレート)ペレット(極限粘度0.63dl/g)を充
分に真空乾燥した後、押出機に供給し285℃で溶融
し、T字型口金よりシート状に押し出し、静電印加キャ
スト法を用いて表面温度25℃の鏡面キャスティングド
ラムに巻き付けて冷却固化せしめた。この未延伸フィル
ムを85℃に加熱して長手方向に3.3倍延伸し、一軸
延伸フィルムとした。このフィルムに空気中でコロナ放
電処理を施し、25℃の積層膜形成塗液を塗布した。塗
布された一軸延伸フィルムをクリップで把持しながらテ
ンターの予熱ゾーンに導き、90℃で乾燥後、引き続き
連続的に100℃の加熱ゾーンで幅方向に3.3倍延伸
し、更に225℃の加熱ゾーンで熱処理を施し、結晶配
向の完了した積層ポリエステルフィルムを得た。このと
き、基材PETフィルム厚みが50μm、積層膜の厚み
が0.08μmであった。用いた積層膜形成塗液は、A
1/B1=50/50(固形分重量比)であり、結果を
表1に示す。
【0051】実施例2 実施例1の積層膜形成塗液で、A1/B1=30/70
(固形分重量比)とした以外は、実施例1と同様にして
積層PETフィルムを得た。結果を表1に示す。
【0052】実施例3 実施例1の積層膜形成塗液で、A1/B1=70/30
(固形分重量比)とした以外は、実施例1と同様にして
積層PETフィルムを得た。結果を表1に示す。
【0053】実施例4 実施例1の積層膜形成塗液で、A1/B2=50/50
(固形分重量比)とした以外は、実施例1と同様にして
積層PETフィルムを得た。結果を表1に示す。
【0054】実施例5 実施例1の積層膜形成塗液で、A2/B2=50/50
(固形分重量比)とした以外は、実施例1と同様にして
積層PETフィルムを得た。結果を表1に示す。
【0055】実施例6 平均粒径0.2μmの二酸化チタンを14重量%、およ
び平均粒径1μmのシリカを0.5重量%含有するPE
Tペレット(極限粘度0.63dl/g)を充分に真空
乾燥した後、押出機に供給し285℃で溶融し、T字型
口金よりシート状に押し出し、静電印加キャスト法を用
いて表面温度25℃の鏡面キャスティングドラムに巻き
付けて冷却固化せしめた。この未延伸フィルムを85℃
に加熱して長手方向に3.3倍延伸し、一軸延伸フィル
ムとした。このフィルムに空気中でコロナ放電処理を施
し、その処理面に実施例1と同様の積層膜形成塗液を塗
布した。塗布された一軸延伸フィルムをクリップで把持
しながらテンターの予熱ゾーンに導き、95℃で乾燥
後、引き続き連続的に110℃の加熱ゾーンで幅方向に
3.3倍延伸し、更に210℃の加熱ゾーンで熱処理を
施し、結晶配向の完了した積層膜を設けた白色積層PE
Tフィルムを得た。このとき、基材白色PETフィルム
の厚みが50μm、光学濃度が1.5、白色度が85
%、積層膜の厚みが0.08μmであった。用いた積層
膜形成塗液は、A1/B1=50/50(固形分重量
比)であり、結果を表1に示す。
【0056】実施例7 実施例1の積層膜形成塗液で、A3/B5=50/50
(固形分重量比)とした以外は、実施例1と同様にして
積層PETフィルムを得た。結果を表1に示す。
【0057】実施例8 実施例1の積層膜形成塗液で、A3/B6=50/50
(固形分重量比)とした以外は、実施例1と同様にして
積層PETフィルムを得た。結果を表1に示す。
【0058】比較例1 実施例1の積層膜形成塗液で、A1/B3=50/50
(固形分重量比)とした以外は、実施例1と同様にして
積層PETフィルムを得た。結果を表1に示す。
【0059】比較例2 実施例1の積層膜形成塗液で、A1/B4=50/50
(固形分重量比)とした以外は、実施例1と同様にして
積層PETフィルムを得た。結果を表1に示す。
【0060】比較例3 実施例1の積層膜形成塗液で、B1/B2=50/50
(固形分重量比)とした以外は、実施例1と同様にして
積層PETフィルムを得た。結果を表1に示す。
【0061】比較例4 実施例1の積層膜形成塗液で、A1のみ使用とした以外
は、実施例1と同様にして積層PETフィルムを得た。
結果を表1に示す。
【0062】比較例5 実施例1の積層膜形成塗液で、B1のみ使用とした以外
は、実施例1と同様にして積層PETフィルムを得た。
結果を表1に示す。
【0063】上記各実施例、比較例において、積層膜形
成等のために用いた樹脂は以下の通りである。 A1:テレフタル酸(88モル%)、5−ナトリウムス
ルホイソフタル酸(12モル%)、エチレングリコール
(95モル%)、ジエチレングリコール(5モル%)か
ら構成されるポリエステル樹脂(Tg80℃)の水分散
体。 A2:テレフタル酸99モル%、5−ナトリウムスルホ
イソフタル酸1モル%、エチレングリコール70モル
%、ネオペンチルグリコール30モル%から構成される
ポリエステル樹脂(Tg66℃)の水分散体。 A3:テレフタル酸(85モル%)、5−ナトリウムス
ルホイソフタル酸(15モル%)、エチレングリコール
(97モル%)、ジエチレングリコール(3モル%)か
ら構成されるポリエステル樹脂(Tg78℃)の水分散
体。 B1:イソフタル酸(93モル%)、5−ナトリウムス
ルホイソフタル酸(7モル%)、エチレングリコール
(10モル%)、ジエチレングリコール(90モル%)
から構成されるポリエステル樹脂(Tg18℃)の水分
散体。 B2:イソフタル酸(91モル%)、5−ナトリウムス
ルホイソフタル酸(9モル%)、エチレングリコール
(5モル%)、ジエチレングリコール(80モル%)、
シクロヘキサンジメタノール(15モル%)から構成さ
れるポリエステル樹脂(Tg38℃)の水分散体。 B3:テレフタル酸(25モル%)、イソフタル酸(6
5モル%)、トリメリット酸(10モル%)、エチレン
グリコール(50モル%)、ネオペンチルグリコール
(50モル%)から構成されるポリエステル樹脂(Tg
35℃)の水分散体。 B4:テレフタル酸(85モル%)、5−ナトリウムス
ルホイソフタル酸(15モル%)、エチレングリコール
(75モル%)、ジエチレングリコール(20モル
%)、ポリエチレングリコール(分子量1000)(5
モル%)から構成されるポリエステル樹脂(Tg45
℃)の水分散体。 B5:イソフタル酸(91モル%)、5−ナトリウムス
ルホイソフタル酸(9モル%)、エチレングリコール
(5モル%)、ジエチレングリコール(40モル%)、
シクロヘキサンジメタノール(55モル%)から構成さ
れるポリエステル樹脂(Tg45℃)の水分散体。 B6:テレフタル酸(45モル%)、イソフタル酸(4
5モル%)、5−ナトリウムスルホイソフタル酸(10
モル%)、エチレングリコール(3モル%)、ジエチレ
ングリコール(80モル%)、シクロヘキサンジメタノ
ール(17モル%)から構成されるポリエステル樹脂
(Tg47℃)の水分散体。
【0064】
【表1】
【0065】実施例9 実施例1の積層膜形成塗液に、コロイダルシリカ(粒子
径0.3μm)を0.3重量%添加した以外は、実施例
1と同様にして積層PETフィルムを得た。結果を表2
に示す。
【0066】実施例10 実施例1の積層膜形成塗液に、コロイダルシリカ(粒子
径0.08μm)を3重量%添加した以外は、実施例1
と同様にして積層PETフィルムを得た。結果を表2に
示す。
【0067】
【表2】
【0068】実施例11 実施例1で得られた積層ポリエステルフィルムを粉砕し
て押出機に供給し、約280℃で溶融しペレット化し
た。得られたペレットとPETを重量比で20/80で
混合し、実施例1と同様に溶融製膜して厚み50μmの
再生積層ポリエステルフィルムを得た。ここで用いた積
層膜形成塗液は、A1/B1=80/20(固形分重量
比)で構成される水分散液で、積層膜の厚みは0.08
μmであった。結果を表3に示す。
【0069】
【表3】
【0070】
【発明の効果】本発明の積層ポリエステルフィルムによ
れば、特定のTgを有し、かつ、Tgの異なる2種類の
ポリエステル樹脂を主たる構成成分とする積層膜を設け
ることにより、紫外線硬化型インキのように硬化収縮を
伴うインキやポリビニルアルコールなどの水溶性、親水
性樹脂といった従来両立し得なかった各種被覆物との接
着性に優れた効果を発現することができる。
フロントページの続き (72)発明者 三村 尚 滋賀県大津市園山1丁目1番1号 東レ株 式会社滋賀事業場内 Fターム(参考) 4F100 AA20 AK41A AK41B AK41C AK41D AK41E AK42 BA03 BA05 BA06 BA07 BA10A BA10B BA10C BA10D BA10E BA16 BA26 DE01A DE01B DE01C DE01D DE01E GB15 GB41 JA05B JA05C JA05D JA05E JL11 YY00A YY00B YY00C YY00D YY00E

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ポリエステルフィルムの少なくとも片面
    に、ガラス転移点の異なる2種類のポリエステル樹脂か
    らなる積層膜が形成され、該2種類のポリエステルが、
    ガラス転移点が60〜100℃であるポリエステル樹脂
    (A)と、ガラス転移点が0〜60℃であるポリエステ
    ル樹脂(B)からなり、該ポリエステル樹脂(B)が、
    酸成分としてイソフタル酸65〜95モル%、および/
    または、ジオール成分としてジエチレングリコール50
    〜95モル%を少なくとも含有するポリエステル樹脂で
    あることを特徴とする積層ポリエステルフィルム。
  2. 【請求項2】 前記積層膜において、1/2<r/d≦
    4(r:粒子の平均粒径、d:積層膜の平均厚み)を満
    足する粒子が、ガラス転移点の異なる2種類のポリエス
    テル樹脂の合計に対し、固形分比で0.05〜5重量%
    含まれてなることを特徴とする請求項1に記載の積層ポ
    リエステルフィルム。
  3. 【請求項3】 ポリエステル樹脂(A)および(B)に
    おける酸成分中のスルホン酸金属塩基含有ジカルボン酸
    成分が以下の関係を満たすことを特徴とする請求項1ま
    たは2に記載の積層ポリエステルフィルム。 Sa>Sb≧5モル% (Sa:ポリエステル樹脂(A)における全ジカルボン
    酸成分中のスルホン酸金属塩基含有ジカルボン酸成分量
    (モル%)、Sb:ポリエステル樹脂(B)における全
    ジカルボン酸成分中のスルホン酸金属塩基含有ジカルボ
    ン酸成分量(モル%))
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