JP2002332922A - キャニスタパージシステム - Google Patents

キャニスタパージシステム

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JP2002332922A JP2001135393A JP2001135393A JP2002332922A JP 2002332922 A JP2002332922 A JP 2002332922A JP 2001135393 A JP2001135393 A JP 2001135393A JP 2001135393 A JP2001135393 A JP 2001135393A JP 2002332922 A JP2002332922 A JP 2002332922A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 少ないヒータ電力で効率的にキャニスタのパ
ージを行う。 【解決手段】 内燃機関100の燃料タンク11からの
蒸発燃料をブリーザ配管13を介してキャニスタ10に
導入し、キャニスタ内の吸着剤50a、50bに吸着さ
せる。機関運転中、パージ制御弁15を開弁するととも
にCCV17を開弁してキャニスタ内に大気を導入し、
吸着剤から蒸発燃料をパージする。吸着剤を加熱するヒ
ータ20a、20bと、パージガス中の蒸発燃料濃度を
検出する吸気酸素濃度センサ33を設け、蒸発燃料濃度
が所定の上限値と下限値との間にあるときに電子制御ユ
ニット(ECU)30によりヒータに通電し吸着剤の加
熱を行う。キャニスタのCCVから大気が流入する部分
の吸着剤50bを加熱するヒータ20bでは、上記下限
値をブリーザ配管から蒸発燃料が流入する部分の吸着剤
50aのヒータ20aの下限値より高く設定する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、内燃機関の燃料タ
ンクからの蒸発燃料を一旦キャニスタに吸着した後に機
関吸気通路に供給するキャニスタパージシステムに関す
る。
【0002】
【従来の技術】内燃機関の燃料タンク内の蒸発燃料の大
気放出を防止するために、タンク内の蒸発燃料を活性炭
などの吸着剤を収納したキャニスタに導いて一旦吸着剤
に吸着させるキャニスタパージシステムが一般に知られ
ている。このようなキャニスタパージシステムでは、キ
ャニスタ内の吸着剤が吸着した蒸発燃料で飽和すること
を防止するために、キャニスタと機関吸気通路とをパー
ジ通路で接続し、機関運転中に大気をキャニスタを通し
て吸気通路に吸入することにより、吸着剤に吸着された
蒸発燃料を吸気とともに機関に吸入させて燃焼するよう
にしている。すなわち、キャニスタを大気と機関吸気通
路とに同時に連通させることにより吸気通路の負圧によ
り大気がキャニスタ内の吸着剤を通過してパージ通路か
ら吸気通路に吸引される。空気がキャニスタ内の吸着剤
を通過する際に吸着剤に吸着された蒸発燃料が吸着剤か
ら脱離し、パージ通路からは空気と蒸発燃料との混合気
(パージガス)が吸気通路内に流入する。吸気通路に流
入した蒸発燃料は機関吸気とともに機関の燃焼室に吸入
されるため、キャニスタからの蒸発燃料は燃焼室内で燃
焼する。これにより、燃料タンクからの蒸発燃料は大気
に放出されることなく機関燃焼室で燃焼する。
【0003】上記のように、キャニスタパージシステム
では吸着剤は蒸発燃料の吸着と脱離を繰返して蒸発燃料
の大気放出を防止している。しかし、蒸発燃料の脱離
(パージ)が効率的に行われないと吸着剤には次第に吸
着された蒸発燃料が蓄積してしまい吸着できる蒸発燃料
の量が低下する問題がある。この問題を解決するため
に、例えばキャニスタに吸着剤を加熱するヒータを設
け、パージ中に吸着剤温度を上昇させることにより吸着
剤からの蒸発燃料の脱離を促進する技術が知られてい
る。
【0004】この種のキャニスタパージシステムの例と
しては、例えば特開昭63−150459号公報に記載
されたものがある。同公報のキャニスタパージシステム
は、キャニスタ内の吸着剤を加熱する電気ヒータを設け
るとともに、キャニスタと機関吸気通路とを接続するパ
ージ通路に、パージガス中の炭化水素濃度(すなわち蒸
発燃料濃度)を検出するHC検出計を配置し、HC検出
計で検出した蒸発燃料濃度に基づいて電気ヒータの作動
を制御している。
【0005】すなわち、上記公報のキャニスタパージシ
ステムでは、機関燃料タンクへの給油後電気ヒータをオ
フにしたままキャニスタのパージを行い、HC検出計で
検出したパージガス中の蒸発燃料濃度が所定値以下にな
ったときから予め定めた時間だけ電気ヒータをオンにし
て吸着剤を加熱するようにしている。機関燃料タンクへ
の給油時には蒸発燃料が多量に発生してキャニスタの吸
着剤には多量の蒸発燃料が吸着される。この状態で吸着
剤を加熱すると吸着剤から蒸発燃料が一挙に脱離して機
関吸気通路には大量の蒸発燃料が流入するようになり、
機関の空燃比に影響が生じる場合がある。
【0006】上記公報の装置は、これを防止するため
に、機関給油後の吸着剤の蒸発燃料吸着量が多い状態で
は吸着剤を加熱せずに低温でパージを行い、HC検出計
で検出したパージガスの蒸発燃料濃度が所定値以下にな
ったときに吸着剤に吸着された蒸発燃料量が所定値以下
になったと判断して吸着剤の加熱を開始する。これによ
り、蒸発燃料の吸着量が多い間は比較的低温でパージが
行われるため吸着剤からは比較的緩やかに蒸発燃料が脱
離し、一挙に多量の蒸発燃料が吸気通路に流入すること
が防止される。また、蒸発燃料の吸着量が低下した後は
吸着剤を加熱しつつパージが行われるが、吸着剤の蒸発
燃料吸着量が比較的少ないため一挙に多量の蒸発燃料が
吸気通路に流入することはなく、加熱により吸着剤に吸
着された蒸発燃料が完全に脱離され、吸着剤の吸着能力
が完全に回復するようになる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】ところが、上記特開昭
63−150459号公報のキャニスタパージシステム
では、単にHC検出計で検出したパージガスの蒸発燃料
濃度が所定値以下か否かに応じてヒータのオンオフを行
っている。このため、吸着剤からの蒸発燃料の脱離が完
全に行われない問題が生じる場合がある。
【0008】キャニスタの吸着剤の蒸発燃料吸着量は、
吸着剤全体に一様に分布しているわけではなく、吸着剤
内には蒸発燃料吸着量の偏りが生じている。すなわち、
キャニスタには燃料タンク内の蒸発燃料をキャニスタ内
に導入するベーパーポートと、パージ中に大気をキャニ
スタ内に導入する大気ポートとが設けられている。蒸発
燃料吸着時にはベーパーポートから蒸発燃料と空気との
混合気がキャニスタ内に供給され、吸着剤で蒸発燃料を
吸着された残りの清浄な空気のみがキャニスタから大気
に放出される。すなわち、ベーパーポート付近の吸着剤
は蒸発燃料濃度の高い混合気が通過するため、比較的多
量の蒸発燃料を吸着するが、大気ポート付近の吸着剤に
は、上流側の吸着剤で蒸発燃料がある程度除去された蒸
発燃料濃度の低い混合気しか通過しないため、蒸発燃料
の吸着量は比較的少なくなる。このため、吸着剤のベー
パーポート付近の部分の蒸発燃料の吸着量は大気ポート
付近の部分の蒸発燃料吸着量よりかなり多くなってい
る。
【0009】このため、特開昭63−150459号公
報のキャニスタパージシステムのようにパージガスの蒸
発燃料濃度がある濃度以下になったときに一律にヒータ
加熱を行う場合には、例えばベーパーポート近傍の吸着
剤の蒸発燃料吸着量に基づいてヒータ加熱を開始する蒸
発燃料濃度を設定すると、実際には大気ポート近傍では
吸着剤の吸着量は少ないため、大気ポート近傍では吸着
剤から完全に蒸発燃料が脱離した後もヒータ加熱が続け
られることとなり無駄な加熱エネルギーが消費されるこ
とになる。更に、吸着剤からの蒸発燃料脱離時には燃料
の気化熱に相当する熱量が吸着剤から奪われるため加熱
時にも吸着剤自体の温度上昇は少ないが、脱離完了後も
加熱を続けると吸着剤自体の温度が上昇してしまう。吸
着剤の吸着能力は温度が高いほど低下するため、この状
態で蒸発燃料の吸着が開始されると大気ポート付近では
蒸発燃料の吸着能力が低くなり蒸発燃料が吸着剤に吸着
されずに大気に放出されてしまう場合がある。
【0010】一方、逆に大気ポート近傍の吸着剤の蒸発
燃料吸着量を基準にしてヒータ加熱を開始するパージガ
ス中の蒸発燃料濃度を設定すると、ベーパーポート近傍
の吸着剤の蒸発燃料吸着量が多い状態でヒータ加熱が開
始されることになる。本来蒸発燃料吸着量が多い状態で
はヒータ加熱を行わないでも吸着剤からの蒸発燃料の脱
離が生じやすいため、この場合も無駄な加熱エネルギー
が消費される問題が生じる。
【0011】本発明は上記に鑑み、吸着剤のヒータ加熱
を行う際に、吸着剤の吸着性能の低下や加熱エネルギー
の無駄な消費を招くことなく、効率的に吸着剤からの蒸
発燃料の脱離を行うことが可能なキャニスタパージシス
テムを提供することを目的としている。
【0012】
【課題を解決するための手段】請求項1に記載の発明に
よれば、内部に吸着剤を収容するハウジングと、それぞ
れ前記ハウジングに設けられ、ハウジング内部を内燃機
関の吸気通路に連通するパージポートと、ハウジング内
部を内燃機関の燃料タンク内の液面上部空間に連通する
ベーパーポートと、ハウジング内部を大気に連通する大
気ポートとを備え、燃料タンク内の蒸発燃料を前記ベー
パーポートを介してハウジング内に導入して前記吸着剤
に吸着させ、内燃機関運転中に前記大気ポートからハウ
ジング内に大気を導入して前記吸着剤に吸着された蒸発
燃料を吸着剤から脱離させるとともに脱離した蒸発燃料
を前記パージポートから内燃機関の吸気通路に供給する
キャニスタパージシステムであって、前記吸着剤の前記
ベーパーポート近傍の部分を加熱する第1のヒータと、
前記吸着剤の前記大気ポート近傍の部分を加熱する、前
記第1のヒータとは独立して作動可能な第2のヒータ
と、前記パージポートから前記吸気通路に供給される蒸
発燃料量を検出する蒸発燃料検出手段と、前記蒸発燃料
検出手段により検出した蒸発燃料量が所定の上限値以上
のとき、及び所定の下限値以下のときにそれぞれ前記第
1と第2のヒータによる吸着剤加熱を停止するヒータ制
御手段を備え、前記第2のヒータの前記上限値と下限値
との少なくとも一方は、前記第1のヒータより大きい値
に設定された、キャニスタパージシステムが提供され
る。
【0013】すなわち、請求項1の発明ではキャニスタ
の加熱はキャニスタからパージされる蒸発燃料量が上限
値より大きい場合と下限値より小さい場合には行わな
い。検出した蒸発燃料量が大きい場合は吸着剤の吸着量
が多いため加熱を行わなくとも吸着剤からは蒸発燃料が
脱離する。また、検出した蒸発燃料量が小さい場合に
は、吸着剤の吸着量は低下しており、加熱を続けると加
熱エネルギーの無駄な消費を招くとともに吸着剤の温度
が上昇して吸着能力が低下するおそれがある。このた
め、検出した蒸発燃料量が上限値より大きい場合と下限
値より小さい場合に吸着剤の加熱を停止することによ
り、加熱エネルギーの無駄な消費と吸着剤の吸着性能の
低下が防止される。特に、本発明では吸着剤のベーパー
ポート近傍と大気ポート近傍とをそれぞれ加熱する第1
と第2のヒータが設けられている。更に、上記上限値ま
たは下限値の少なくとも一方は第1と第2のヒータとで
異なる値に設定されており、第2のヒータの上限値は第
1のヒータの上限値より大きく、又は/及び、第2のヒ
ータの下限値は第1のヒータの下限値より大きい値に、
それぞれ設定されている。第2のヒータの上限値を第1
のヒータの上限値より大きく設定すると、例えば、ベー
パーポート近傍の吸着剤では吸着量が多くヒータ加熱を
行う必要がないが、大気ポート近傍の吸着剤では吸着量
が少なくなってヒータ加熱が必要になっているような場
合に、第2のヒータを用いて大気ポート近傍の吸着剤の
みを加熱することが可能となる。また、第2のヒータの
下限値を第1のヒータの下限値より大きく設定すると蒸
発燃料の吸着量が少ない大気ポート近傍の吸着剤ではベ
ーパーポート近傍の吸着剤より早く加熱が停止されるよ
うになり、大気ポート近傍の吸着剤から蒸発燃料が脱離
した後も加熱が継続されることによる大気ポート近傍の
吸着剤の吸着性能の低下と無駄な加熱エネルギーの消費
とが防止されるようになる。
【0014】請求項2に記載の発明によれば、内部に吸
着剤を収容するハウジングと、それぞれ前記ハウジング
に設けられ、ハウジング内部を内燃機関の吸気通路に連
通するパージポートと、ハウジング内部を内燃機関の燃
料タンク内の液面上部空間に連通するベーパーポート
と、ハウジング内部を大気に連通する大気ポートとを備
え、燃料タンク内の蒸発燃料を前記ベーパーポートを介
してハウジング内に導入して前記吸着剤に吸着させ、内
燃機関運転中に前記大気ポートからハウジング内に大気
を導入して前記吸着剤に吸着された蒸発燃料を吸着剤か
ら脱離させるとともに脱離した蒸発燃料を前記パージポ
ートから内燃機関の吸気通路に供給するキャニスタパー
ジシステムであって、前記吸着剤の前記ベーパーポート
近傍の部分を加熱する第1のヒータと、前記吸着剤の前
記大気ポート近傍の部分を加熱する、第2のヒータとを
備え、前記吸着剤の前記第1のヒータと第2のヒータと
により加熱される部分のうち少なくとも一方の部分の単
位体積あたりの蒸発燃料吸着容量を、前記吸着剤の他の
部分の蒸発燃料吸着容量より大きく設定した、キャニス
タパージシステムが提供される。
【0015】すなわち、請求項2の発明ではベーパーポ
ート近傍と大気ポート近傍との吸着剤をそれぞれ加熱す
るヒータが設けられるとともに、このヒータにより加熱
される吸着剤部分の少なくとも一方は単位体積あたりの
蒸発燃料吸着容量(以下、「吸着能力」という)を吸着
剤の他の部分より大きくしている。ベーパーポート近傍
の吸着剤部分にはタンクからの蒸発燃料が供給されるた
め、この部分の蒸発燃料吸着量は最も多くなる。このた
め、ベーパーポート近傍の吸着剤部分の吸着能力を他の
部分より大きく設定するとともに、この部分を加熱する
ヒータを設けることにより、蒸発燃料の吸着、脱離が効
率的に行われる。
【0016】また、タンクからの蒸発燃料を吸着中に大
気ポート近傍の吸着剤が蒸発燃料で飽和すると、蒸発燃
料が大気に直接放出されてしまうおそれがある。このた
め、大気ポート近傍の吸着剤の吸着能力を大きく設定す
ることにより、蒸発燃料吸着中に大気ポート近傍の吸着
剤が蒸発燃料で飽和することが防止され、大気への蒸発
燃料放出が防止される。また、この部分を加熱するヒー
タを設けることにより、パージ実行中に大気ポート近傍
の吸着剤から蒸発燃料を完全に脱離させることができる
ため、この部分の吸着剤の吸着能力を常に高く維持する
ことが可能となる。
【0017】上記のように、ベーパーポート近傍と大気
ポート近傍の吸着剤部分はキャニスタの性能上最も重要
な部分であるが、これらの重要な部分の少なくとも一方
を吸着能力の高い吸着剤で構成し、これらの部分のみを
加熱するヒータを設けたことにより、全体としての吸着
剤の体積を低減することが可能になるとともに、ヒータ
により加熱する吸着剤部分の熱容量を低下させることが
できる。このため、ヒータによる加熱エネルギーが減少
するとともに、効率的に吸着剤からの蒸発燃料の脱離を
行うことが可能となる。
【0018】
【発明の実施の形態】以下、添付図面を用いて本発明の
実施形態について説明する。図1は本発明を自動車用エ
バポパージシステムに適用した実施例の概略構成を示す
図である。図1において、100は内燃機関本体、1は
内燃機関100の吸気通路、3は吸気通路1に配置され
たエアクリーナを示す。吸気通路1には運転者のアクセ
ルペダル(図示せず)の操作に応じた開度をとるスロッ
トル弁6が設けられている。
【0019】図1に11で示すのは機関の燃料タンクで
ある。タンク11内の燃料油はフュエルポンプ70によ
り昇圧され、フィード配管71を介して機関100の各
気筒の燃料噴射弁101に圧送される。燃料タンク11
には、タンク内への給油のための給油管111が設けら
れている。また、タンク11の上部には、後述するキャ
ニスタ10にタンク11内の燃料油液面上部空間を接続
するブリーザー配管13が接続されている。
【0020】ブリーザー配管13とタンク11との接続
部にはベントバルブ131とそれぞれフロート弁からな
るCOV(CUT OFF VALVE)132とRO
V(ROLL OVER VALVE)133とが設け
られている。ベントバルブ131は、燃料タンク11内
圧力がブリーザー配管13内圧力よりわずかに高くなる
と開弁し、ブリーザー配管13を通してタンク11内の
蒸発燃料を含む空気をキャニスタに流すようにされてい
る。
【0021】また、ROV133は、給油時の液面上昇
により閉弁し、ベントバルブ131と燃料タンク11と
の接続を遮断する。また、ROV133は、車両転倒時
等にベントバルブ131とタンク11との接続部を閉鎖
し、ブリーザー配管13を介して大量の燃料油が外部に
洩れることを防止する機能を有している。
【0022】COV132はROV133と並列に配置
されており、ROV133より更に液面が上昇したとき
にベントバルブ131とタンク11との連通を遮断す
る。COV132は、給油時の液面上昇時にはROV1
33閉弁後も開弁してタンク11とベントバルブ131
とを連通するが、車両旋回による液面の動揺によりCO
V132位置まで液面が到達したような場合、及び車両
転倒時等には閉弁し、ベントバルブ131を通って燃料
油がブリーザー配管13に侵入することを防止する機能
を有する。
【0023】図1に30で示すのは、機関の電子制御ユ
ニット(ECU)である。ECU30は、ROM(リー
ドオンリメモリ)、RAM(ランダムアクセスメモ
リ)、CPU(マイクロプロセッサ)及び入出力ポート
を互いに双方向性バスで接続した公知の構成のマイクロ
コンピュータからなり、機関の燃料噴射制御等の基本制
御を行う他、本実施例では後述する吸着剤加熱のための
ヒータ制御を行う。
【0024】上記制御のため、ECU30の出力ポート
は図示しない駆動回路を介して機関100の燃料噴射弁
101に接続され、燃料噴射弁からの燃料噴射量を制御
している他、後述するパージ制御弁15のアクチュエー
タ、CCV(CANISTER CLOSURE VA
LVE)17のアクチュエータにそれぞれ接続され、こ
れらの弁の作動を制御している。また、ECU30の入
力ポートには、機関の回転数、吸入空気量、機関冷却水
温度等を表す信号が、それぞれ図示しないセンサから入
力されている他、機関吸気通路1に設けられた吸気酸素
濃度センサ33から吸気中の酸素濃度に対応する信号が
入力されている。ECU30は、吸気酸素濃度センサ3
3出力に基づいて、吸気中に含まれる蒸発燃料量(蒸発
燃料濃度)を算出する。
【0025】図1に10で示すのは燃料タンク内の蒸発
燃料を吸着するキャニスタである。キャニスタ10はブ
リーザー配管13により燃料タンク11の燃料液面上部
空間と、また、パージ配管14により吸気通路1の吸気
酸素濃度センサ33上流側部分と、それぞれ接続されて
いる。図1に15で示すのは、パージ通路14を開閉す
るパージ制御弁15である。パージ制御弁15はソレノ
イドアクチュエータなどの適宜な形式のアクチュエータ
を備え、ECU30からの信号により開弁し、キャニス
タ10と吸気通路1とを連通してキャニスタ10のパー
ジを行う。
【0026】次に、本実施形態のキャニスタ10の構造
について説明する。図2は本実施形態のキャニスタ10
の構造を模式的に示す断面図である。キャニスタ10は
ハウジング10aと、該ハウジング内に充填された活性
炭などの蒸発燃料吸着剤50(以下の説明では、吸着剤
50a、50bを総称して吸着剤50と称する場合があ
る)とを備えている。ハウジング10a内には、ハウジ
ング上部から延びる隔壁10bが設けられており、ハウ
ジング10a内を主室10cと副室10dとに分割して
いる。吸着剤50はそれぞれ主室10cと副室10d内
に設けられたフィルタ材料、多孔板等の通気性材料から
なる2枚の保持板51a、51bの間に充填されてい
る。隔壁10bの下端、及び主室10c、副室10d内
の下側の保持板51b下部には空間10eが形成されて
いる。
【0027】主室10c内の吸着剤50a、及び副室1
0d内の吸着剤50bにはそれぞれヒータ20a(第1
のヒータ)、20b(第2のヒータ)が埋込まれてい
る。ヒータ20a、20bについては後述する。ハウジ
ング10aの主室10c部分には、ベーパーポート13
aとパージポート14aとが設けられており、主室10
c内の上側保持板51a上部空間10fは、ベーパーポ
ート13aを介してブリーザー配管13に、またパージ
ポート14aを介してパージ配管14に、それぞれ接続
されている。また、ハウジング10aの副室10d部分
には、大気ポート18aが設けられており、副室10d
内の上側保持板51aの上部空間10gは、大気ポート
18aを介して大気連通管18に接続されている。大気
連通管18の他端は、タンク11の給油口近傍に開口し
ている。
【0028】また、大気連通管18にはエアフィルター
19と前述したCCV17とが設けられている。エアフ
ィルタ19は後述するパージ実行時に大気連通管18か
らキャニスタ10内に流入する空気中の異物を除去する
ものである。CCV17は、ソレノイドアクチュエータ
などの適宜な形式のアクチュエータを備え、ECU30
からの制御信号に応じて大気連通管18とキャニスタ1
1との連通を遮断するものである。
【0029】次に、本実施例におけるキャニスタ10の
機能について説明する。キャニスタ10と吸気通路1と
を接続するパージ通路14上のパージ制御弁15の閉弁
中に燃料タンク11内圧力が上昇してベントバルブ13
1の開弁圧力に到達すると、ベントバルブ131が開弁
する。これにより、燃料タンク11の液面上部空間から
ブリーザー配管13を介して燃料蒸気と空気との混合気
がキャニスタ10の主室10c内に流入し、主室内の吸
着剤50aを通過して下部空間10eから更に副室10
d内の吸着剤50bを通過した後に大気連通管18から
大気に放出されるようになる。これにより、大気連通管
18からは主室10c内と副室10d内の吸着剤50
a、50bで燃料蒸気を除去された後の空気のみが放出
されるようになる。これにより、蒸発燃料の大気放出が
防止される。
【0030】また、機関運転中にパージ制御弁15が開
弁されると、キャニスタ10内にはパージ通路14を介
して吸気通路1のスロットル弁6下流側の負圧が作用
し、キャニスタ内圧力は大気圧より低くなる。このた
め、パージ制御弁15が開弁すると、大気連通管18か
らフィルタ19により異物を除去された清浄な空気がキ
ャニスタ10内に流入する。この空気は副室10dと主
室10cの吸着剤50b、50aから吸着した蒸発燃料
を離脱させ、蒸発燃料と空気との混合ガス(パージガ
ス)となってパージ通路14から機関吸気通路1に流入
し、機関燃焼室で燃焼する。これにより、吸着剤50が
蒸発燃料で飽和することが防止される。
【0031】なお、ある種の希薄燃焼機関のようにスロ
ットル弁6をほぼ全開状態にして運転する機関では、吸
気通路1のスロットル弁6下流側の負圧は極めて小さく
なるため吸気通路の負圧でパージガスを吸気通路内に吸
入することが困難な場合がある。このような機関の場合
には、例えばパージ配管14にエアポンプを設け、キャ
ニスタ内のパージガスを吸気通路1に圧送することによ
りパージを行う。また、パージ配管14にエアポンプを
設ける代りに大気連通管18にエアポンプを設け、空気
をキャニスタ内に圧送して吸着剤50のパージを行い、
パージガスを吸気通路1に排出するようにしてもよい。
【0032】上述のように、キャニスタ10内の吸着剤
50は蒸発燃料の吸着とパージによる脱離とを繰返すこ
とにより、蒸発燃料の大気放出を防止している。しか
し、パージによる蒸発燃料の脱離が不十分になると吸着
剤50には次第に吸着された蒸発燃料が蓄積し、吸着剤
50の吸着能力が低下する。特に、蒸発燃料の高沸点成
分は吸着剤50から脱離しにくいため吸着剤50に蓄積
されやすい。
【0033】本実施形態では、パージ実行時に吸着剤5
0に吸着された蒸発燃料を完全に脱離させて吸着剤50
の吸着能力を回復させるためにヒータ20a、20bが
設けられている。本実施形態では、ヒータ20a、20
bは板状の電気ヒータとされ、図2(A)、(B)に示
すように、それぞれキャニスタ主室10c内の吸着剤5
0aと副室10d内の吸着剤50bのほぼ長さ方向全体
にわたって埋込まれている。ヒータ20a、20bはそ
れぞれECU30からの制御信号により作動する図示し
ないリレーを介して車両の電源に接続され、互いに独立
して作動可能とされている。すなわち、本実施形態では
ベーパーポート13a近傍に位置するキャニスタ10の
主室10c内の吸着剤50aと、大気ポート18a近傍
に位置するキャニスタ10の副室10d内の吸着剤50
bとは、互いに独立して加熱することが可能となってい
る。
【0034】次に、本実施形態のキャニスタのヒータ2
0a、20bの制御について説明する。本実施形態で
は、パージ実行中に機関100の吸気通路1に設けた吸
気酸素濃度センサ33出力に基づいて吸着剤50の蒸発
燃料吸着量を推定し、この蒸発燃料吸着量に応じて第1
と第2のヒータ20a、20bのオン、オフを行う。具
体的には、本実施形態では、吸気酸素濃度センサ33と
して、センサ電極上で吸気中の蒸発燃料などの可燃物を
酸化(燃焼)し、燃焼後の吸気中の酸素濃度を検出する
形式のものが用いられている。このため、吸気酸素濃度
センサ33で検出した酸素濃度は吸気中の蒸発燃料量
(濃度)が大きいほど低下する。すなわち、吸気酸素濃
度センサ33で検出した酸素濃度は吸気中の蒸発燃料濃
度を表すことになる。
【0035】一方、機関100の燃料噴射制御では通常
吸気通路1に設けたエアフローメータ(図示せず)また
は吸気圧力センサ(図示せず)と機関回転数とに基づい
て機関の吸気流量が算出される。このため、吸気酸素濃
度センサ33で検出した酸素濃度と吸気流量とから、パ
ージ中に吸気通路に流入する蒸発燃料量(流量)を算出
することが可能となる。
【0036】一方、パージ配管14から吸気通路1に供
給されるパージガスの流量は機関運転状態(吸気通路負
圧)とパージ制御弁15開度により定まる。このため、
蒸発燃料流量とパージガス流量とに基づいてパージガス
中の蒸発燃料濃度を算出することができる。例えばEC
U30は一定時間毎に吸気酸素濃度センサ33で検出し
た吸気酸素濃度と機関吸気流量とに基づいて吸気中の蒸
発燃料量(流量)を算出し、更に機関運転状態とパージ
制御弁15開度とに基づいてパージガス流量を算出す
る。そして、ECU30は更に、算出した蒸発燃料量と
パージガス流量とに基づいてパージガス中の蒸発燃料濃
度を算出し、この蒸発燃料濃度に基づいてヒータ20
a、20bのオン、オフ制御を行う。
【0037】本実施形態では、基本的にはパージガス中
の蒸発燃料濃度が所定の上限値以上である場合、及び所
定の下限値以下である場合にはヒータでの吸着剤加熱は
行わない。パージガス中の蒸発燃料濃度は吸着剤の吸着
した蒸発燃料量と相関があり、吸着剤の蒸発燃料吸着量
が大きいほどパージガス中の蒸発燃料濃度は高くなる。
このため、蒸発燃料濃度が高い場合は吸着剤の蒸発燃料
吸着量が大きいことを意味している。吸着剤の蒸発燃料
吸着量が多い場合には、吸着剤からの蒸発燃料脱離速度
も大きく、吸着剤を加熱して蒸発の脱離を促進する必要
はない。
【0038】一方、蒸発燃料濃度が低い場合には吸着剤
から蒸発燃料の大部分が脱離しており、吸着剤の蒸発燃
料吸着量は低くなっている。このため、吸着剤の吸着能
力は既に回復しており、これ以上吸着剤を加熱して蒸発
燃料の脱離を促進する必要はない。また、吸着量が小さ
い状態で吸着剤を加熱すると吸着剤自体の温度が上昇
し、蒸発燃料の吸着を再開したときの吸着能力が低下し
てしまう。そこで、本実施形態では吸着剤の蒸発燃料吸
着量が所定の上限値より小さく、かつ所定の下限値より
大きい場合にのみヒータに通電して吸着剤の加熱を行う
ようにしている。
【0039】ところが、上述のように蒸発燃料濃度に基
づいてヒータの作動を制御する場合には問題が生じる。
すなわち、蒸発燃料濃度に基づいて推定される吸着剤の
蒸発燃料吸着量は吸着剤全体を平均した場合の吸着量で
ある。これに対して、吸着剤内の蒸発燃料吸着は一様で
はなく、吸着剤内では吸着量の偏りが生じている。例え
ば、蒸発燃料吸着時には、図2の例ではキャニスタ10
の主室10cにはブリーザー配管13が接続されてお
り、タンク11からの蒸発燃料は主室10cに流入す
る。このため、蒸発燃料吸着時には蒸発燃料はまず主室
10c内の吸着剤50aに吸着され、吸着剤50aに吸
着されなかった蒸発燃料のみが副室10dに流入して副
室10d内の吸着剤50bに吸着される。すなわち、蒸
発燃料吸着量はベーパーが流入する主室側の吸着剤50
aが大きく副室側の吸着剤50bの吸着量は小さくなっ
ている。
【0040】また、パージ実行時には空気は大気ポート
13aからまず副室10d内に流入し、副室10d内の
吸着剤50bから蒸発燃料を脱離させた後主室10cの
吸着剤50aに流入する。すなわち、主室10cに流入
する空気は蒸発燃料を含んでおり、この蒸発燃料の一部
は主室内の吸着剤50aの吸着能力に余裕がある場合に
は再度吸着剤50aに吸着される。従って、パージ実行
時には吸着剤からの脱離はまず大気ポート18a側の吸
着剤50bから始り、その後パージポート14a側の吸
着剤50bで開始されるようになる。
【0041】すなわち、大気ポート18a側(副室10
d)の吸着剤50bでは、ベーパーポート13a側(主
室10c)の吸着剤50aに較べてもともと吸着量が少
ない状態で、しかも主室10cの吸着剤50aより早く
蒸発燃料の脱離が開始されるため、蒸発燃料の脱離が完
了するのも主室10cの吸着剤50aより早くなる。従
って、吸着剤の加熱の停止を同一のタイミングで行うと
問題が生じることになる。すなわち、副室側の蒸発燃料
脱離完了にあわせて吸着剤の加熱を停止すると主室側で
は未だ蒸発燃料の脱離が完了していない状態で加熱が停
止されてしまい、例えば蒸発燃料の高沸点成分が吸着剤
に蓄積される問題が生じ、一方、主室側の蒸発燃料脱離
完了にあわせて吸着剤の加熱を停止すると副室側では蒸
発燃料の脱離が完了した後も吸着剤の加熱が継続される
ことになり、無駄に加熱エネルギーが消費されるのみな
らず、吸着剤の温度が上昇して吸着再開時の吸着性能が
低下する問題が生じるのである。
【0042】本実施形態では、この問題を解決するため
に主室10c側の吸着剤50a加熱する第1のヒータ2
0aと副室10d側の吸着剤50bを加熱する第2のヒ
ータ20bとを設け、これらのヒータのオン、オフを個
別に制御するとともに、ヒータの加熱を停止する蒸発燃
料濃度の下限値を第1のヒータと第2のヒータとで異な
る値に設定し、第2のヒータにおける下限値を第1のヒ
ータにおける下限値より大きく(高く)設定している。
両方の吸着剤を加熱してパージを行うと、パージガス中
の蒸発燃料濃度は、吸着剤全体の蒸発燃料吸着量の減少
に応じて低下するが、副室10d側の吸着剤50bの蒸
発燃料の脱離が完了した状態でも、主室10c側の吸着
剤50aにはまだ多量の蒸発燃料が吸着されているた
め、パージガス中の蒸発燃料濃度は比較的高い値にな
る。
【0043】本実施形態では、副室10d側の吸着剤5
0bでの蒸発燃料の脱離が完了したときに対応する比較
的高い蒸発燃料濃度を第2のヒータの通電下限値として
いる。第2のヒータの通電を停止後、第1のヒータの通
電を継続すると、パージガス中の蒸発燃料濃度は、主室
10c側の吸着剤50aからの蒸発燃料の脱離に応じて
低下し、吸着剤50aからの蒸発燃料脱離が完了した状
態では比較的低い値になる。本実施形態では、この、吸
着剤50aからの蒸発燃料の脱離が完了した状態に対応
する比較的低い蒸発燃料濃度を第1のヒータの通電下限
値としている。
【0044】これにより、それぞれの吸着剤で適切な加
熱が行われるため、無駄な加熱エネルギーの消費と吸着
剤の吸着性能の低下とを防止しつつ、効率的に吸着剤か
らの蒸発燃料の脱離(パージ)が行われるようになる。
【0045】図3は、上述した本実施形態のヒータ制御
操作を説明するフローチャートである。本操作はECU
30により一定時間毎に実行されるルーチンにより行わ
れる。図3の操作では、まずステップ301で現在の吸
気酸素濃度センサ33から吸気酸素濃度を読込み、ステ
ップ303では、読込んだ吸気酸素濃度と現在の機関吸
入空気量、吸気通路負圧及びパージ制御弁開度とに基づ
いてパージガスの蒸発燃料濃度FGPGが算出される。
【0046】そして、ステップ305では蒸発燃料濃度
が所定の上限値GPGH以上か否かを判断し、FGPG
≧GPGHである場合にはステップ307、309でそ
れぞれ第1のヒータ20aと第2のヒータ20bとをオ
フにして今回の本操作の実行を終了する。ステップ30
5における上限値GPGHは、吸着剤全体としてある程
度吸着量が減少して加熱しない状態での吸着剤からの蒸
発燃料の脱離速度が低下を始めた状態に対応する蒸発燃
料濃度である。すなわち、蒸発燃料濃度がGPG以上で
ある場合には吸着剤を加熱しなくとも充分に蒸発燃料の
脱離速度が大きいため、第1と第2のヒータによる加熱
は行わない。GPGHの値はキャニスタのサイズ、吸着
剤の種類などにより異なるため、詳細には実際のキャニ
スタを用いた実験により設定することが好ましい。
【0047】ステップ305でFGPG<GPGHであ
った場合、には次にステップ311に進み、蒸発燃料濃
度FGPGが第1の下限値GPGL1以下か否かを判定
する。ここで、GPGL1は主室10c側の吸着剤50
aと副室10d側の吸着剤50bとの両方からの蒸発燃
料脱離が完了した状態に対応する蒸発燃料濃度であり、
詳細には実験により設定される。ステップ311でFG
PG≦GPGL1であった場合には両方の吸着剤とも蒸
発燃料の脱離は完了しており、ヒータ加熱の必要はない
ため、この場合もステップ307、309で第1と第2
のヒータの通電を停止して今回の操作の実行を終了す
る。
【0048】ステップ311で、FGPG>GPGL1
であった場合には、次にステップ313で第1のヒータ
20aをオン(通電)して、次にステップ315で蒸発
燃料濃度FGPGが第2の下限値GPGL2以下か否か
を判定する。GPGL2は副室10d側の吸着剤50b
では蒸発燃料の脱離が完了しているが、主室10c側の
吸着剤50aではまだ蒸発燃料の脱離が完了していない
状態での最も高い蒸発燃料濃度である。ステップ315
でFGPG≦GPGL2であった場合にはステップ30
9が実行され、第2のヒータ20bのみがオフ(通電停
止)され、FGPG>GPGL2であった場合にはステ
ップ317で第2のヒータ20bがオン(通電)され
る。
【0049】第1の下限値GPGL1と第2の下限値G
PGL2はそれぞれ、第1のヒータ20aの通電下限値
と第2のヒータ20bの通電下限値とに相当し、GPG
H>GPGL2>GPGL1の関係にある。すなわち、
第2のヒータにより吸着剤50bの加熱を行う蒸発燃料
濃度下限値GPGL2は、第1のヒータにより吸着剤5
0aの加熱を行う蒸発燃料濃度下限値GPGL1より大
きな値に設定されている。なお、GPGH、GPGL
1、GPGL2の値は、詳細には実際のキャニスタを用
いた実験により設定することが好ましい。
【0050】上述のように、本実施形態では吸気通路1
の負圧をキャニスタ内に導入することにより吸着剤のパ
ージを行う場合を例にとって説明したが、前述したよう
にパージ配管14にエアポンプを配置してキャニスタ1
0内のパージガスを吸気通路1に供給する場合、或は大
気連通路18にエアポンプを配置して空気をキャニスタ
10内に供給してパージを行う場合も同様な制御が可能
であることは言うまでもない。なお、本実施形態ではヒ
ータ通電を行う蒸発燃料濃度上限値GPGHは第1と第
2のヒータとで同じ値を使用しているが、上限値につい
ても第1と第2のヒータで異なる値に設定するようにし
ても良い。
【0051】また、本実施形態では、第1のヒータと第
2のヒータとで下限値を変えた場合を説明しているが、
下限値は第1と第2のヒータとで共通の値に設定し、上
限値のみを第2のヒータが第1のヒータより大きくなる
ように設定してもよい。このように、第2のヒータの上
限値を第1のヒータの上限値より大きくすることによ
り、第2のヒータでは第1のヒータより早く加熱が開始
されるようになり、ベーパーポート近傍部分の吸着量が
多くヒータ加熱の必要がない場合でも、第2のヒータに
より大気ポート部分の加熱を行うことができ、大気ポー
ト部分の蒸発燃料の脱離を効率的に行うことができる。
【0052】次に、図4を用いてキャニスタ10の図2
とは異なる構成の実施形態について説明する。図4は、
本実施形態のキャニスタ10の、図2と同様な断面模式
図である。図2のキャニスタでは、ヒータ20a、20
bは主室10cの吸着剤50aと副室10dの吸着剤5
0bとのほぼ全長にわたって設けられており、吸着剤5
0a、50bの全体を加熱するようにされていた。これ
に対して、図4のキャニスタ10では、ヒータ20a、
20bはそれぞれ吸着剤50aのベーパーポート13a
近傍部分のみと吸着剤50bの大気ポート18a近傍部
分のみを加熱する小型のものが使用されている。また、
これらのヒータにより加熱される吸着剤50c、50d
は、他の部分の吸着剤50a、50bとは異なるものが
使用されている。
【0053】すなわち、実際には、本実施形態では、主
室10cと副室10d内はそれぞれ保持板51a、51
bの間にそれぞれ多孔板などからなるもう一つの保持板
51c、51dが設けられており、主室10cと副室1
0dをそれぞれ2つの区画に分割している。そして、主
室10cのベーパーポート13a側の区画(すなわち、
保持板51aと51cとにより形成される区画)と、副
室10dの大気ポート18a側区画(すなわち保持板5
1aと51dとにより形成される区画)には、他の区画
(保持板51cと51b、及び51dと51bとにより
形成される区画)に収納された吸着剤50a、50bよ
り単位体積当りの蒸発燃料吸着容量(吸着能力)が大き
い吸着剤50c、50dが収納されている。図4に示す
ように、吸着剤50cは50aより容積が小さく、また
吸着剤50dは50bより容積が小さい。また、大気ポ
ート18aに最も近い吸着剤50dはベーパーポート1
3aに最も近い吸着剤50cより容積が小さく設定され
ている。
【0054】本実施形態では、ヒータ20aは吸着剤5
0cの長さのほぼ全体にわたって埋込まれており、吸着
剤50cのみを加熱する。また、ヒータ20bは吸着剤
50dの長さのほぼ全体にわたって埋込まれており、吸
着剤50dのみを加熱する。吸着能力が比較的低い吸着
剤50a、50bは容積が比較的大きいが、吸着剤50
c、50dとは保持板51c、51dで分離されている
ため、ヒータ20a、20bの熱は吸着剤50a、50
bに直接にはほとんど伝達しない。このため、ヒータ2
0a、20bが加熱すべき部分の熱容量は(ヒータ自身
の熱容量も含めて)図2のものより小さくなっており、
比較的小さいヒータ電力で吸着剤50c、50dをより
高温に昇温することが可能となっている。
【0055】本実施形態でベーパーポート13aと大気
ポート18aとに近い部分の吸着剤50c、50dに他
の部分の吸着剤50a、50bに較べて吸着能力の高い
吸着剤を使用しているのは以下の理由による。すなわ
ち、吸着剤50cはベーパーポート13aに最も近いた
め、ブリーザー配管13から供給される蒸発燃料を最も
多く吸着する部分である。このため、この部分の吸着剤
の吸着能力を大きくして、この部分に集中して蒸発燃料
を吸着させることにより、キャニスタ全体を小型化する
ことが可能となる。また、吸着能力の高い吸着剤は蒸発
燃料を吸着する細孔の径が小さく、特に高沸点成分が脱
離しにくい問題があるが、吸着剤50cのみを加熱する
ヒータ20aを設けることにより、小型のヒータで吸着
剤50cの温度を高温にすることができる。このため、
吸着能力の高い吸着剤50cと小型のヒータ20aとを
用いることにより、キャニスタの小型化とヒータ消費電
力の低減とをはかることができる。
【0056】一方、副室10dの吸着剤50dは、大気
ポート13aに最も近いため、この部分で吸着剤の飽和
が生じると蒸発燃料が直接大気に放出される可能性があ
る。このため、吸着剤50dの吸着能力を大きく設定す
ることにより蒸発燃料の大気放出を完全に防止すること
が可能となる。また、同様に吸着剤50dは小型のヒー
タ20bにより加熱されるため、少ない電力で吸着剤5
0dから完全に蒸発燃料を脱離させることが可能とな
る。
【0057】本実施形態では、ヒータ20a、20bで
発生する熱は大部分が吸着剤50cと50dとの加熱に
消費され、吸着剤50a、50bにはほとんど伝わらな
い。このため、吸着剤50a、50bからの蒸発燃料の
脱離が不十分になる可能性があるが、実際にはベーパー
ポート13a近傍の吸着剤50cの吸着能力を大きく設
定したことにより、吸着剤50a、50bの蒸発燃料吸
着量は図2の場合に比してかなり少なくなる。このた
め、吸着剤50a、50bが蒸発燃料で飽和することは
ない。
【0058】また、ヒータ20aと20bとが独立して
作動できる場合には、例えばパージ実行中に大気ポート
18a側のヒータ20bをオンにして吸着剤50dを高
温に加熱する事により、吸着剤50dにより加熱された
高温の空気を吸着剤50bと50aに供給することがで
き、吸着剤50a、50bからの蒸発燃料の脱離を促進
することができる。
【0059】なお、図4ではベーパーポート近傍と大気
ポート近傍の吸着剤の両方の吸着能力を他の部分より大
きく設定しているが、ベーパーポート近傍部分のみ、あ
るいは大気ポート近傍部分のみの吸着剤の吸着能力を他
の部分より大きく設定するようにすることも可能であ
る。また、図4の吸着剤とヒータの構成においても、図
3に示したと同じヒータ制御を行えば、少ない加熱エネ
ルギーで効率的に吸着剤から蒸発燃料を脱離させること
が可能となる。
【0060】
【発明の効果】各請求項に記載の発明によれば、吸着剤
のヒータ加熱により吸着剤から蒸発燃料を脱離させる際
に、吸着剤の吸着性能の低下を招くことなく、ヒータの
加熱エネルギーを低減し効率的に吸着剤からの蒸発燃料
の脱離を行うことが可能となる共通の効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を自動車用内燃機関に適用した実施形態
の概略構成を示す図である。
【図2】図1のキャニスタの構成の一実施形態を模式的
に示す断面図である。
【図3】図2のキャニスタのヒータ制御操作の一実施形
態を説明するフローチャートである。
【図4】図2のキャニスタのヒータ制御操作の別の実施
形態を説明するフローチャートである。
【符号の説明】
1…吸気通路 10…キャニスタ 11…燃料タンク 15…パージ制御弁 17…CCV 20a、20b…ヒータ 30…電子制御ユニット(ECU) 100…内燃機関本体
フロントページの続き (72)発明者 木村 政弘 愛知県豊田市トヨタ町1番地 トヨタ自動 車株式会社内 Fターム(参考) 3G044 BA01 BA20 EA36 EA37 FA27 GA13 GA20 GA22 GA24 GA29

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 内部に吸着剤を収容するハウジングと、
    それぞれ前記ハウジングに設けられ、ハウジング内部を
    内燃機関の吸気通路に連通するパージポートと、ハウジ
    ング内部を内燃機関の燃料タンク内の液面上部空間に連
    通するベーパーポートと、ハウジング内部を大気に連通
    する大気ポートとを備え、燃料タンク内の蒸発燃料を前
    記ベーパーポートを介してハウジング内に導入して前記
    吸着剤に吸着させ、内燃機関運転中に前記大気ポートか
    らハウジング内に大気を導入して前記吸着剤に吸着され
    た蒸発燃料を吸着剤から脱離させるとともに脱離した蒸
    発燃料を前記パージポートから内燃機関の吸気通路に供
    給するキャニスタパージシステムであって、 前記吸着剤の前記ベーパーポート近傍の部分を加熱する
    第1のヒータと、前記吸着剤の前記大気ポート近傍の部
    分を加熱する、前記第1のヒータとは独立して作動可能
    な第2のヒータと、前記パージポートから前記吸気通路
    に供給される蒸発燃料量を検出する蒸発燃料検出手段
    と、 前記蒸発燃料検出手段により検出した蒸発燃料量が所定
    の上限値以上のとき、及び所定の下限値以下のときにそ
    れぞれ前記第1と第2のヒータによる吸着剤加熱を停止
    するヒータ制御手段を備え、 前記第2のヒータの前記上限値と下限値との少なくとも
    一方は、前記第1のヒータより大きい値に設定された、
    キャニスタパージシステム。
  2. 【請求項2】 内部に吸着剤を収容するハウジングと、
    それぞれ前記ハウジングに設けられ、ハウジング内部を
    内燃機関の吸気通路に連通するパージポートと、ハウジ
    ング内部を内燃機関の燃料タンク内の液面上部空間に連
    通するベーパーポートと、ハウジング内部を大気に連通
    する大気ポートとを備え、燃料タンク内の蒸発燃料を前
    記ベーパーポートを介してハウジング内に導入して前記
    吸着剤に吸着させ、内燃機関運転中に前記大気ポートか
    らハウジング内に大気を導入して前記吸着剤に吸着され
    た蒸発燃料を吸着剤から脱離させるとともに脱離した蒸
    発燃料を前記パージポートから内燃機関の吸気通路に供
    給するキャニスタパージシステムであって、 前記吸着剤の前記ベーパーポート近傍の部分を加熱する
    第1のヒータと、前記吸着剤の前記大気ポート近傍の部
    分を加熱する、第2のヒータとを備え、 前記吸着剤の前記第1のヒータと第2のヒータとにより
    加熱される部分のうち少なくとも一方の部分の単位体積
    あたりの蒸発燃料吸着容量を、前記吸着剤の他の部分の
    蒸発燃料吸着容量より高く設定した、キャニスタパージ
    システム。
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