JP4182652B2 - 蒸発燃料回収装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、蒸発燃料回収装置に関し、詳細には燃料タンク内の蒸発燃料を液化して回収することにより、キャニスタの吸着剤容量を低減可能な蒸発燃料回収装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
内燃機関の燃料タンク、特に自動車用機関の燃料タンクから燃料蒸気が大気に放散されることを防止するために、燃料タンクを密閉構造として燃料蒸気(燃料ベーパ)がタンク外に洩出することを防止した、いわゆる密閉燃料タンクが知られている。
【0003】
密閉燃料タンクでは、機関運転中に燃料噴射弁からの高温リターン燃料のタンクへの流入などによりタンク内の燃料油温度が上昇し、それに応じてタンク内の燃料蒸気圧が上昇するため、タンク内圧力が大気圧より高くなり、例えば給油時に給油口を開放すると、タンク内の燃料蒸気が給油口から大気に放出される問題が生じる。
【0004】
これを防止するため、給油開始前にタンク内の燃料蒸気を外部に排出して給油開始時にタンク内の圧力が大気圧近傍になるようにする操作を行うことにより、給油口からの燃料蒸気の大気への放散を防止する蒸発燃料放散抑制装置が知られている。密閉燃料タンクに関するものではないが、この種の蒸発燃料放散抑制装置の例としては、例えば特開平5−332204号公報に記載されたものがある。
【0005】
同公報の装置では、燃料タンクの給油管と、活性炭等の燃料蒸気吸着剤を収容するキャニスタとを接続する連通管を設け、この連通管に電磁開閉弁を配置するとともに、給油時を検知した時にこの電磁弁を開弁するようにしている。
すなわち、同公報の装置では運転者が給油口を覆うリッドを開放するスイッチを操作した時に連通管の電磁弁を開弁することにより、燃料タンク内の燃料蒸気を連通管を通してキャニスタに流し、タンク内の圧力を大気圧近傍まで低下させるようにしている。これにより、給油のために給油口キャップを外したときには常に燃料タンク内圧力は大気圧近傍となっているため、給油口からタンク内の燃料蒸気が大気に放出されることが防止される。
また、連通管からキャニスタに送られた燃料蒸気はキャニスタの吸着剤に吸着され、燃料蒸気を除去した清浄な空気のみが大気に放出される。このため、燃料タンクから連通管を通じてタンク外に排出された燃料蒸気も大気に放出されることが防止される。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、上記特開平5−332204号公報の装置では、燃料タンクから排出された燃料蒸気の全量がキャニスタに送られることになるため、問題が生じる場合がある。
例えば、密閉構造をとらない通常の開放式の燃料タンクの場合には、燃料タンクとキャニスタとは常時連通しており、燃料タンクで発生した燃料蒸気は常時キャニスタに送られて吸着剤に吸着される。しかし、密閉式燃料タンクでは通常時には燃料タンク内の燃料蒸気はタンク外部に排出されず、キャニスタに燃料蒸気が送られるのはタンク内圧が許容値以上に上昇した場合と給油時にタンク内圧を低下させる場合のみとなる。
【0007】
このため、密閉式燃料タンクでは必要とされるキャニスタの吸着剤容量は解放式の燃料タンクのキャニスタに較べて比較的小さくなる。
ところが、例えば給油時のタンク内圧力が高い場合(タンク内の燃料蒸気量が多い場合)等では、電磁開閉弁を開弁すると、多量の燃料蒸気がキャニスタに流入する場合がある。このような場合に、キャニスタの吸着材容量を小さく設定していると、キャニスタの吸着剤が流入する多量の燃料により飽和してしまい、それ以上の燃料蒸気を吸着できなくなる場合がある。
従って、密閉式燃料タンクでは、これらの場合を考慮して本来必要とされる以上にキャニスタの容量を大きく設定する必要が生じ、キャニスタの設置スペースが増大したり、装置コストが上昇する問題がある。
【0008】
本発明は上記問題に鑑み、キャニスタの容量を低減することを可能とする蒸発燃料回収装置を提供することを目的としている。
【0009】
【課題を解決するための手段】
内部に蒸発燃料吸着剤を収納するキャニスタと、密閉式燃料タンクと、該燃料タンクの内部液面上部空間を前記キャニスタに接続する連通路と、該連通路に配置され、該連通路を開閉する開閉弁と、を備え、燃料タンク内の燃料蒸気をタンク外に排出すべきときに、前記開閉弁を開弁し、タンク内液面上部空間の燃料蒸気を前記連通路を介してキャニスタに供給し前記吸着剤に吸着させる蒸発燃料回収装置において、前記連通路の前記開閉弁出口近傍に設けられた、連通路の他の部分より通路断面積の大きい容積部と、前記開閉弁をバイパスして前記容積部と燃料タンクとを接続するバイパス通路とを備え、前記キャニスタに燃料蒸気を供給する際に前記開閉弁の開閉を繰返すとともに、前記容積部内の圧力がタンク内圧より低い所定の圧力に維持されるように燃料タンク内圧に基づいて前記開閉弁の開閉における開弁時間を設定し、前記開閉弁開弁時に前記容積部に流入する燃料蒸気を前記容積部内で断熱膨張させ、それにより生成した液化燃料を前記バイパス通路を介して燃料タンクに返戻することを特徴とする蒸発燃料回収装置が提供される。
【0010】
すなわち、請求項1の発明では燃料タンクとキャニスタとを連通する連通路には通路断面積の大きい容積部が設けられており、タンク内からキャニスタに燃料蒸気を排出すべきときには、この容積部の圧力がタンク内圧より低い所定の圧力になるようにタンク内圧に応じて開閉弁の開閉操作が行われる。従って、この所定の圧力を、例えばタンク内圧との間に予め定めた圧力差を生じるように設定することにより、タンク内から排出された燃料蒸気を容積部で断熱膨張させることが可能となる。これにより、容積部で断熱膨張した燃料蒸気の温度が低下し、その一部が液化するようになる。
例えば、通常キャニスタに燃料蒸気を排出する際には、電磁開閉弁は全開に維持されるため、タンク内から一挙に多量の燃料蒸気が連通路に排出され連通路内の圧力、特に開閉弁出口近傍の圧力が上昇する。このため、電磁開閉弁出口近傍では燃料蒸気は十分に膨張することができず、開閉弁出口近傍での燃料蒸気温度の低下は少なくなる。この場合、燃料蒸気は連通路を流れる間に次第に膨張して最終的にはキャニスタ内圧力(ほぼ大気圧)に等しい圧力になる。しかし、この膨張は長い連通路を流れる間に生じるため、連通路壁面からの入熱を受け、蒸発燃料の温度低下は少なくなり、蒸発燃料の液化は極めて少なくなる。
【0011】
本発明では、開閉弁の開閉操作をタンク内圧に基づいて行うことにより、開閉弁出口近傍の容積部の圧力は常にタンク内圧と所定の差圧分だけ低い圧力に維持されるようになる。このため、燃料蒸気は容積部で十分に膨張するようになる。また、燃料蒸気の膨張は、その大部分が容積部内で生じるため、長い連通路を通過する間に徐々に膨張する場合に較べて膨張時の壁面からの入熱は少なくなり、容積部での蒸発燃料の温度低下は極めて大きくなる。従って、容積部では多量の蒸発燃料が液化して液状燃料を生成し滞留するようになる。
すなわち、本発明では燃料タンク内圧を低下させる際にタンクから排出される燃料蒸気のかなりの部分が液化するため、キャニスタに到達する燃料蒸気量が大幅に低減されるようになり、キャニスタの吸着剤容量を小さく設定することが可能となる。
【0012】
請求項2に記載の発明によれば、内部に蒸発燃料吸着剤を収納するキャニスタと、密閉式燃料タンクと、該燃料タンクの内部液面上部空間を前記キャニスタに接続する連通路と、該連通路に配置され、該連通路を開閉する開閉弁と、を備え、燃料タンク内の燃料蒸気をタンク外に排出すべきときに、前記開閉弁を開弁し、タンク内液面上部空間の燃料蒸気を前記連通路を介してキャニスタに供給し前記吸着剤に吸着させる蒸発燃料回収装置において、前記連通路の前記開閉弁入口側に連通路断面積を絞る絞り部と、該絞り部の両側の連通路を接続するバイパス通路と、該バイパス通路中の前記開閉弁側から燃料タンク側に向う流れのみを許容する逆止弁とを設け、前記キャニスタに燃料蒸気を供給する際に前記開閉弁の開閉を繰返して前記絞り部と開閉弁との間の連通路部分の圧力に脈動を生じさせるとともに、該脈動による圧力低下時に前記連通路部分に燃料蒸気の凝縮により生成された液体燃料を、前記脈動による圧力上昇時に前記バイパス通路の逆止弁を通して前記絞り部の燃料タンク側に返戻することを特徴とする蒸発燃料回収装置が提供される。
【0013】
すなわち、請求項2の発明では開閉弁より入口側の連通路には絞り部が設けられている。開閉弁と絞り部との間の連通路部分は開閉弁閉弁時で流れがない状態では燃料タンク内圧と同じ高い圧力になる。開閉弁が開弁すると絞りを通ってタンク内から燃料蒸気が流れ、開閉弁と連通路とを通ってキャニスタに流入する。この場合、絞り部が設けられているため燃料蒸気は絞り通過時に圧力が低下して、温度降下を生じその一部が液化し、上記連通路部分に滞留する。
開閉弁の開閉操作を繰返すと、開閉弁を通る燃料蒸気の流れの慣性により開閉弁と絞り部との間の連通路部分には圧力の脈動が生じ、開閉弁開弁時には上記連通路部分の圧力は低下し、開閉弁の閉弁時には上記連通路部分の圧力は上昇する。このため、開閉弁開弁時には絞りを通過して燃料蒸気が流れ、その一部が液化して上記連通路部分に滞留する。一方、開閉弁閉弁時には脈動により連通路部分の圧力はタンク内圧より高くなる。このため、バイパス通路の逆止弁が開弁し、連通路部分に滞留した液体燃料はバイパス通路と逆止弁とを通って燃料タンクに流入する。
これにより、本発明ではタンク内圧を低下させる際にキャニスタに流入する燃料蒸気の量を大幅に低減しキャニスタの吸着剤容量を小さく設定することが可能になるとともに、液化した燃料蒸気により生じる液体燃料を効率的に燃料タンクに戻すことが可能となる。
【0014】
請求項3に記載の発明によれば、請求項1または請求項2に記載の蒸発燃料回収装置であって、前記燃料タンク内圧が所定の圧力まで低下した場合に前記開閉弁を閉弁状態に維持して前記キャニスタに燃料蒸気を供給する操作を停止するとともに、前記キャニスタへの燃料蒸気供給操作開始時の燃料タンク内圧が高いほど、前記キャニスタへの燃料蒸気を供給操作を停止する前記所定の圧力を低く設定することを特徴とする蒸発燃料回収装置が提供される。
【0015】
すなわち、請求項3の発明では請求項1または請求項2の発明の操作を行いタンク内圧を低下させる際に、内圧低下操作を終了するタンク内圧を内圧低下操作を開始する前のタンク内圧が高いほど低くする。例えば、タンク内の燃料温度が高い場合には燃料の飽和蒸気圧も高くなりタンク内圧はそれに応じて高くなる。この状態では、タンク内の液面上部空間には多量の燃料蒸気が含まれているため、タンク内圧が高い状態でタンク内圧を低下させる操作を行うと多量の燃料蒸気がタンク内の空気とともに排出される。この結果、タンク内圧低下時のタンク内燃料蒸気圧と飽和蒸気圧との差が大きくなる。一旦低下したタンク内の燃料蒸気圧は燃料の蒸発により飽和蒸気圧に復帰するためタンク内圧もそれに応じて上昇するが、燃料蒸発によるタンク内圧の上昇幅は、飽和蒸気圧が高いほどど大きくなる。
【0016】
すなわち、飽和蒸気圧が高いほどタンク内圧低下操作開始時のタンク内圧は高くなるが、タンク内圧を低下させた後の内圧上昇幅も飽和蒸気圧が高いほど大きくなる。このため、飽和蒸気圧が高い場合には、一旦タンク内圧を低下させても給油操作を開始する前に再度内圧が上昇してしまい、給油時に給油口から燃料蒸気が大気に放出される場合がある。そこで、本発明では飽和蒸気圧が高いほど、すなわちタンク内圧低下操作開始時のタンク内圧が高いほど、低い圧力までタンク内圧を低下させてタンク内の燃料蒸気圧が飽和蒸気圧に復帰した場合でもタンク内圧力が大気圧より大幅に高くなることを防止する。
これにより、燃料油温度が高く燃料の飽和蒸気圧が高くなっている場合でも、給油時に給油口から燃料蒸気が大気に放散されることが防止される。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、添付図面を用いて本発明の実施形態について説明する。
図1は本発明を自動車用燃料タンクに適用した実施形態の概略構成を示す図である。図1において、100は内燃機関本体、1は内燃機関100の吸気通路、3は吸気通路1に配置されたエアクリーナを示す。吸気通路1には運転者のアクセルペダル(図示せず)の操作に応じた開度をとるスロットル弁6が設けられている。
図1に11で示すのは機関の燃料タンクである。タンク11内の燃料油はフュエルポンプ70により昇圧され、フィード配管71を介して機関100の各気筒の燃料噴射弁101に圧送される。
【0018】
燃料タンク11には、タンク内への給油のための給油管111が設けられている。図1に115で示すのは給油管111の給油口114を覆うリッドである。すなわち、本実施形態では、給油管111からタンク内に給油を行うためには、リッド115を開放して給油管の給油口114に設けられたキャップ113を外すことが必要となる。リッド115にはソレノイドアクチュエータ等の適宜な形式のアクチュエータからなり後述する電子制御ユニット(ECU)30からの駆動信号によりリッド115を開放するリッドオープナ115aが設けられている。
【0019】
タンク11の上部には、後述するキャニスタ10にタンク11内の燃料油液面上部空間を接続するブリーザー配管13が接続されている。
ブリーザー配管13とタンク11との接続部にはソレノイドバルブ等からなるベントバルブ131とそれぞれフロート弁からなるCOV(CUT OFF VALVE)132とROV(ROLL OVER VALVE)133とが設けられている。ベントバルブ131は、後述するように、ECU30からの駆動信号により開弁され、燃料タンク11内の燃料ペーパをブリーザー配管13を通してキャニスタ10に排出する機能を有している。
【0020】
本実施形態では、ベントバルブ131は常時閉弁されており、燃料タンク11は密閉状態に維持されている。これにより、燃料タンク11内の燃料の蒸発により生成した燃料ベーパは燃料タンク11内に封入された状態となり、外部には洩出しない。このため、燃料ベーパの大気への放散が完全に防止される。
しかし、燃料タンク11を密閉した結果、例えば機関運転中燃料噴射弁101からの高温のリターン燃料が燃料タンク11に流入するとタンク内燃料温度は上昇し、それに応じて燃料蒸気圧が高くなるため、タンク内圧は上昇する。本実施形態では、燃料タンク11にはタンク内液面上部空間の圧力を検出する圧力センサ120が設けられており、機関運転中にタンク内圧が許容値(例えば燃料タンクの設計圧力)を越えて上昇した場合にはベントバルブ131を開弁し、タンク内の燃料ベーパをブリーザ配管13を介してキャニスタ10に逃してタンク内圧を低下させるようにしている。
【0021】
タンク11に設けられたROV133は、給油時の液面上昇により閉弁し、ベントバルブ131と燃料タンク11との接続を遮断する。これにより、液面上昇によりブリーザ配管13から液状の燃料がキャニスタ10に侵入し、吸着剤が液体燃料で飽和してしまうことが防止される。また、ROV133は、車両転倒時等にベントバルブ131とタンク11との接続部を閉鎖し、ブリーザー配管13を介して大量の燃料油が外部に洩れることを防止する機能をも有している。
【0022】
COV132はROV133と並列に配置されており、ROV133より更に液面が上昇したときにベントバルブ131とタンク11との連通を遮断する。COV132は、給油時の液面上昇時にはROV133閉弁後も開弁してタンク11とベントバルブ131とを連通するが、ベントバルブ131開弁中に車両旋回による液面の動揺によりCOV132位置まで液面が到達したような場合、及び車両転倒時等には閉弁し、ベントバルブ131を通って燃料油がブリーザー配管13に侵入することを防止する機能を有する。
【0023】
図1に30で示すのは、機関の電子制御ユニット(ECU)である。ECU30は、ROM(リードオンリメモリ)、RAM(ランダムアクセスメモリ)、CPU(マイクロプロセッサ)及び入出力ポートを互いに双方向性バスで接続した公知の構成のマイクロコンピュータからなり、機関の燃料噴射制御等の基本制御を行う他、本実施例では後述する給油時にベントバルブ131を開弁して燃料タンク11内圧を低下させるとともに、ベントバルブから排出される燃料蒸気を液化して回収する操作を行う。
【0024】
上記制御のため、ECU30の出力ポートは図示しない駆動回路を介して機関100の燃料噴射弁101に接続され、燃料噴射弁からの燃料噴射量を制御している他、ベントバルブ131に接続され、ベントバルブ131の開閉制御を行う。本実施形態では、ベントバルブ131はECU30からの駆動パルス信号のオンとオフとに応じて開閉動作を繰返す。このため、ベントバルブ131を通る気体の流量は、駆動パルス信号のオン(ベントバルブ開)時間がパルス信号の1サイクル中に占める割合(デューティ比)に比例して増大する。従って、デューティ比は、パルス駆動の電磁開閉弁に代えて通常の制御弁を用いた場合の弁開度に相当する。従って、本明細書ではベントバルブ131の駆動パルス信号のデューティ比を便宜的にベントバルブの開度と称する場合がある。すなわち、この場合にはベントバルブ131の全開状態は駆動パルス信号のデューティ比が100パーセントの状態に対応し、全閉状態はデューティ比が0の状態に対応する。
【0025】
また、ECU30の出力ポートは、図示しない駆動回路を介して後述するパージ制御弁15のアクチュエータとCCV(CANISTER CLOSURE VALVE)17のアクチュエータとにそれぞれ接続され、これらの弁の作動を制御している他、図示しない駆動回路を介してリッドオープナ115aに接続され、リッド115の開放を行う。
【0026】
一方、ECU30の入力ポートには、機関の回転数、吸入空気量、機関冷却水温度、車両走行速度等を表す信号が、それぞれ図示しないセンサから入力されているとともに、運転者のスイッチ操作に応じて給油信号を出力するリッド開放スイッチ(給油スイッチ)140が接続されている他、図示しないAD変換器を介して圧力センサ120からタンク内圧に対応する信号が入力されている。
【0027】
図1に10で示すのは燃料タンク内の蒸発燃料を吸着するキャニスタである。キャニスタ10は、ブリーザー配管13によりベントバルブ131を介して燃料タンク11の燃料液面上部空間と、また、パージ配管14によりパージ制御弁15を介して吸気通路1と、また、大気連通管18により、CCV17とフィルタ19とを介して給油口114近傍の大気部分と、それぞれ接続されている。
パージ制御弁15はソレノイドアクチュエータなどの適宜な形式のアクチュエータを備え、ECU30からの信号により開弁し、キャニスタ10と吸気通路1とを連通してキャニスタ10のパージを行う。
【0028】
また、大気連通管18にはエアフィルター19と前述したCCV17とが設けられている。エアフィルタ19は後述するパージ実行時に大気連通管18からキャニスタ10内に流入する空気中の異物を除去するものである。CCV17は、ソレノイドアクチュエータなどの適宜な形式のアクチュエータを備え、ECU30からの制御信号に応じて大気連通管18とキャニスタ11との連通を遮断するものである。
【0029】
パージ制御弁15の閉弁中にベントバルブ131とCCV17とが開弁されると、燃料タンク11の液面上部空間からブリーザー配管13を介して燃料蒸気と空気との混合気がキャニスタ10内に流入する。キャニスタ内部には活性炭等の蒸発燃料吸着剤50が充填されている。燃料タンク11内の圧力が大気圧より高い場合には、燃料タンク11内の燃料蒸気を含む気体は、キャニスタ10内の吸着剤50を通過した後にCCV17と大気連通管18とを通り大気に放出されるようになる。これにより、大気連通管18からはキャニスタ内の吸着剤50で燃料蒸気を除去された後の空気のみが放出されるようになる。これにより、蒸発燃料が大気に放出されることを防止しつつ燃料タンク11の内圧を低下させることができる。
【0030】
また、機関運転中で吸気通路1に負圧が発生しているときにパージ制御弁15とCCV17とが開弁されると、キャニスタ10内にはパージ通路14を介して吸気通路1の負圧が作用し、キャニスタ内圧力は大気圧より低くなる。このため、パージ制御弁15が開弁すると、大気連通管18からフィルタ19により異物を除去された清浄な空気がキャニスタ10内に流入する。この空気は吸着剤50から吸着した蒸発燃料を離脱させ、蒸発燃料と空気との混合ガス(パージガス)となってパージ通路14から機関吸気通路1に流入し、機関燃焼室で燃焼する。これにより、吸着剤50が蒸発燃料で飽和することが防止される。
【0031】
本実施形態では、前述したようにベントバルブ131は通常は閉弁保持されており、タンク内圧が許容限度を越えて上昇した場合と、後述するように給油が行われるときにのみ開弁してタンク内の燃料ベーパをキャニスタ10に吸着させるようにされている。このため、常時キャニスタに燃料蒸気を供給する通常の開放式燃料タンクの場合に較べてキャニスタ10の容量は比較的小さく設定されている。
【0032】
次に、給油時の燃料タンク内圧力低下操作について説明する。
前述したように、本実施形態ではベントバルブ131は通常、閉弁状態に維持されており燃料タンク11は密閉されている。このため、機関運転中に燃料噴射弁101からの高温の戻り燃料がタンク内に流入するとタンク11内の燃料油温度が上昇し、燃料の蒸発によりタンク内圧が上昇する。この状態で給油のために給油口114のキャップ113をとると、給油口114からタンク内の燃料蒸気が大気に放出されるようになる。
【0033】
本実施形態では、上記給油時の燃料蒸気の大気放出を防止するために給油開始前にベントバルブ131を開弁してタンク11内の燃料蒸気をキャニスタ10に逃すことによりタンク11内圧を低下させる。これにより、給油開始のために給油口114のキャップ113を外したときには、タンク内圧は常に大気圧近傍まで低下しているため、給油時に給油口から蒸発燃料が大気に放出されることが防止される。
【0034】
ところが、前述したように給油時に燃料タンク内の燃料蒸気をキャニスタ10に排出すると、タンク内に多量の燃料蒸気がある場合にはキャニスタ10の吸着剤50が短時間で飽和してしまい吸着剤50に吸着されない燃料蒸気が大気連通管18から大気に放出される場合が生じる。これを防止するためには、キャニスタ10の吸着剤容量を増大することが必要となり、設置スペースの増大や装置コストの上昇を生じる問題がある。
【0035】
本実施形態では、ベントバルブ131からタンク内燃料蒸気を排出する際に、燃料蒸気の一部を液化して燃料タンクに戻すことにより、キャニスタ10に送られる燃料蒸気の量を低減することにより上記問題を解決している。
【0036】
図2は、本実施形態のベントバルブ131近傍の概略構造を説明する図である。
図2に示すように、ベントバルブ131は、弁体131aと、この弁体を駆動するソレノイド131bを備えている。ソレノイド131bが通電されていない状態では、弁体131aは、図示しないスプリングにより付勢され、燃料タンク11の液面上部空間に連通する入口通路132の開口部131aに設けられたバルブシート(図示せず)に当接し、入口通路132を閉鎖するようにされている。前述したように、ECU30からベントバルブ131のソレノイド131bに駆動パルス信号が送られると、パルス信号がオンの間ソレノイド131bが通電され、弁体131aはバルブシートから離れ、開口132aを開放する。これにより入口通路132を通って燃料タンク内から燃料蒸気がブリーザ配管13に流入する。
【0037】
本実施形態では、ベントバルブ131出口、すなわち弁体131aと入口通路132の開口部132aよりキャニスタ10側のブリーザ配管13とベントバルブ131との接続部には、ブリーザ配管13と入口通路132より通路断面積の大きい容積部(排気室)13aが設けられている。
また、排気室13aの低部には液化した燃料を滞留させる液化燃料貯留部13bが設けられている。また、貯留部13b底部は、バイパス通路13cにより入口通路132の開口部と弁体131aとをバイパスして入口通路132に接続されており、バイパス通路13bには排気室13aから入口通路132側に向う方向のバイパス通路中の流れのみを許容する一方向弁(逆止弁)13dが配置されている。
【0038】
本実施形態では、入口通路132から流入する燃料蒸気(実際には燃料蒸気と空気との混合気)を排気室13aで膨張させ、断熱膨張により生じる温度低下により燃料蒸気の一部を排気室13a内で液化し、液化燃料の形で貯留部13bに滞留させる。この結果、ブリーザ配管13を通ってキャニスタに流入する混合気中の燃料蒸気の量が大幅に低減される。これにより、タンク内圧低下操作時にキャニスタ10に流入する燃料蒸気量が少なくなりキャニスタ10の吸着剤容量を低減することが可能となる。
【0039】
従来、ベントバルブ131とブリーザ配管13との接続部には図2に示したような断面積が拡大する排気室13aは設けられておらず、ブリーザ配管13が直接ベントバルブ131に接続された構成となっている。
また、タンク内圧低下操作時には通常、ベントバルブ131は全開とされタンク内から多量の燃料蒸気がブリーザ配管13に一挙に流入するようにされている。このため、ベントバルブ131開弁時にはベントバルブ出口近傍のブリーザ配管13内圧力は上昇し、ベントバルブ出口とタンク内との差圧は極めて小さくなる。一方、キャニスタ10内はほぼ大気圧であるのでベントバルブを出た燃料蒸気は最終的にはキャニスタ10到達時までに大気圧近傍まで膨張することになる。しかし、
【0040】
この場合、ブリーザ配管13内に生じている圧力勾配は比較的緩やかなものになっているため、燃料蒸気はベントバルブ出口(ほぼ燃料タンク内圧)からキャニスタ(ほぼ大気圧)までブリーザ配管中を流れながら徐々に膨張することになる。この場合、燃料蒸気は流動中にブリーザ配管壁面から熱を受けつつ膨張することになるため、膨張による温度低下は少なくなり、キャニスタ10に最終的に到達したときには大気圧近傍まで膨張していても温度はほとんど低下しない。従って、従来のベントバルブとブリーザ配管の構成では燃料蒸気の膨張の際には温度低下による燃料蒸気の液化はほとんど生じず、ベントバルブ131から排出された燃料蒸気のほぼ全量がキャニスタ10に流入することになる。
【0041】
これに対して、本実施形態ではベントバルブ131出口には燃料蒸気を膨張させるための排気室13aが設けられている。また、ベントバルブ131の開閉は、燃料蒸気の膨張のほとんどが排気室13a内で集中的に生じるように制御される。すなわち、本実施形態においても、ベントバルブ131を全開にして一挙にタンク内の燃料蒸気を排気室に流入させると排気室13aの圧力が上昇してしまい燃料蒸気はブリーザ配管13を流れる間に緩やかに膨張するようになってしまう。そこで、本実施形態では一挙に排気室13aに大量の燃料蒸気が流入しないように、後述するベントバルブ131の弁体の開閉動作における開弁時間を制御して、排気室13a内の圧力が常にタンク内圧と所定の圧力差を維持することができるだけの量の燃料蒸気を排気室に流入させるようにしている。
【0042】
これにより、ベントバルブ131開弁時に入口通路132の開口と弁体131aとの間の空隙から排気室13aに流入した燃料蒸気は排気室内で急激に膨張するようになる。また、排気室13aの壁面面積はブリーザ通路13の壁面総面積に比較して微少であり、排気室13a壁面を通じての入熱はほとんど無視できる量であるため、排気室13a内での燃料蒸気の膨張はほほ断熱膨張に近くなる。このため、排気室13aで膨張した燃料蒸気温度は従来に較べて大きく低下し、燃料蒸気のうちかなりの量が排気室13a内で液化して排気室13aの液化燃料貯留部13bに滞留するようになる。
【0043】
なお、排気室13aで膨張し、液化燃料を回収した後の燃料蒸気は、その後ブリーザ配管13内を流れつつ更に膨張し、最終的にはキャニスタ10内の圧力になるが、この間ブリーザ配管13壁面からの入熱により温度が上昇するため、キャニスタ10流入時の燃料蒸気温度は従来とほぼ同程度になる。
貯留部13bに滞留した燃料は、給油終了後燃料タンク内圧が高い間は貯留部13bにとどまる。しかし、その後、例えば機関が停止され冷却により燃料タンク内圧が低下して貯留部13bの圧力より低くなると、バイパス通路13c上の一方向弁13bが圧力差により開弁し貯留部13bの液化燃料はバイパス通路13cと一方向弁13dとを通ってタンク内に戻るようになる。
【0044】
図3は、本実施形態の上記タンク内圧低下操作を説明するフローチャートである。本操作は、ECU30により行われる。
図3、ステップ301は、車両運転者によりリッド開放スイッチ140(図1)がオンにされたか否かの検出操作である。リッド開放スイッチ140がオンにされ、給油信号が出力されるとECU30は、リッドオープナー115aを作動させて給油口リッド115を開放することにより、給油口キャップ113を外して給油を行うことを可能とする。従って、リッド開放スイッチ140がオンにされた場合(給油信号を入力した場合)には、運転者に給油の意志があり、スイッチ140の操作に続いて給油が開始されることが予想される。
【0045】
このため、ステップ201でリッド開放スイッチ140がオンにされた場合には、給油開始時に給油口114からタンク内の燃料蒸気が大気に放出されることを防止するためにタンク内圧低下操作を行う。
すなわち、ステップ303では圧力センサ120から現在のタンク内圧力PTを読込み、ステップ305では読込んだ圧力PTに基づいてベントバルブ131の開弁時間T0を算出する。
【0046】
前述したように、本実施形態ではベントバルブ131はECU30からの駆動パルス信号のデューティ比により流量が制御されるが、図3の操作では、ベントバルブのデューティ比100%(全開)と0パーセント(全閉)とを交互に繰返すことによりタンク11内の燃料蒸気を排気室13aに放出する。すなわち、ステップ305で算出される開弁時間T0は、ベントバルブ131の駆動デューティ比を100パーセント(全開)に維持する時間を意味している。
【0047】
前述したように、本実施形態ではタンク内圧低下操作時には一挙にタンク内の燃料蒸気を排気室に排出することは避け、排気室13a圧力が、燃料蒸気が排気室内で十分に膨張することを可能とする比較的低い(大気圧に近い)値になるように、ベントバルブ131の開弁時間が定められる。この圧力は、例えばタンク内圧PTと排気室13aの圧力との差が一定に維持されるように、タンク内圧PTに応じて決定される。
【0048】
図4は、開弁時間T0とタンク内圧PTとの関係を示す図である。図4に示すように、開弁時間T0はタンク内圧力が高いほど長い時間に設定される。T0はタンクの容量、形状などにより変化するため、本実施形態では予め実際の燃料タンクを用いて圧力低下操作の実験を行い、各タンク内圧においてもっとも液化燃料を効率的に生成できる排気室圧力とその圧力を得るためのベントバルブ開弁時間とを求めてある。図4の関係は、この実験結果に基づいて求められる。
【0049】
ステップ305で開弁時間T0算出後、ステップ307では予め定めた時間TDが経過するのを待つ。TDは、タンク内圧の変動が減衰するのに要する時間である。すなわち、ステップ307ではタンク内の圧力変動が減衰して、タンク内圧力が一様にステップ307で計測した圧力になったと見なすことができる十分な時間である。
【0050】
ステップ307で所定時間TDが経過すると、次にステップ309から313ではベントバルブ131をデューティ比100パーセントで駆動し、ベントバルブをステップ305で算出した時間T0だけ全開に保持するとともに、時間T0経過後(ステップ311)再度全閉(デューティ比0)にする(ステップ313)。
ステップ309からステップ313の操作により、排気室13aの圧力が適切な値に維持される量だけの燃料蒸気が排気室13aに流入し、燃料蒸気は排気室13a内で十分に膨張し、温度低下により排気室内に液化燃料を生成する。
【0051】
また、ステップ315では再度燃料タンク内圧力PTを読込むとともに、ステップ317ではタンク内圧力が所定値P0より低下したか否かを判定する。
ステップ317の所定圧力P0は、給油口114のキャップ113を開放したときに給油口114から燃料蒸気が大気に放出されることのない圧力に設定されている。
ステップ317で、タンク内圧力が所定圧力P0より低下していた場合には、タンク内圧低下操作は終了する。この場合には、ECU30はステップ319でリッドオープナ115a(図1)を作動させて給油口リッド115を開放する。これにより、給油口114のキャップ113へのアクセスが可能となり、給油操作を行うことができる。
一方、ステップ317でタンク内圧力PTが所定圧力P0まで低下していない場合には、ステップ303から315の操作をPT<P0になるまで繰返す。
【0052】
これにより、タンク内圧は給油開始前に大気への燃料蒸気放出が生じない圧力まで低下するとともに、タンクから排出された燃料蒸気のかなりの部分は排気室で液化してキャニスタには到達しなくなる。このため、本実施形態では、大気への燃料蒸気放出を充分に防止しながら、キャニスタの吸着剤容量を小さく設定することが可能となっている。
【0053】
次に、図5を用いて本発明の別の実施形態について説明する。
図5は、蒸発燃料の液化回収専用のベントバルブ231を示している。図5のベントバルブ231は、給油時のタンク内圧低下操作専用のベントバルブとして用いられる。後述するように、液化回収用ベントバルブ231は構造上大量の燃料蒸気を流すことができないため、通常のベントバルブまたは図2のベントバルブ131と並列にブリーザ通路13に接続され、給油時のタンク内圧低下操作時に使用される。
【0054】
図5に示すように、液化回収用ベントバルブ231は、図2のベントバルブ131と同様に、入口通路232と入口通路232を開閉する弁体231a及び弁体を駆動するソレノイド231bを備えている。しかし、図3のベントバルブでは、弁体231aよりタンク側の入口通路に、入口通路を絞る絞り部233aが設けられている。また、絞り233aの下流側には膨張室233bが形成されており、逆流防止用の絞り部233cを介して、入口通路232内の排気室233dに接続されている。
また、本実施形態においても、絞り部233aと233cとをバイパスして排気室233dと絞り部233aのタンク側入口通路とを接続するバイパス通路23cと、液化燃料貯留部23bおよび、バイパス通路23c内のタンク方向に向う流れのみを許容する一方向弁23dが設けられている。
【0055】
本実施形態では、弁体231aを開放して絞り部233aと233cとを通してタンク内の燃料蒸気を流すことにより、膨張室233b内と排気室233dとで2段階に燃料蒸気を膨張させる。2つの絞り部233aと233cとを通して燃料蒸気を膨張させることにより、排気室233dと燃料タンク11内との間には大きな差圧が生じるため、排気室233d内では燃料蒸気は充分に膨張して温度が低下する。また、温度低下により凝縮した液化燃料は貯留部23bに滞留する。
本実施形態では、弁体231aを所定の間隔で開閉することにより、燃料蒸気流の慣性により排気室233d内に圧力脈動を生じさせる。この圧力脈動の大きさは、弁体231aの開閉ストロークと排気室233d部分の断面積との積に比例し、かつ弁体の開閉速度及び排気室233dの容積に反比例する大きさとなる。従って、これらのパラメータを適宜に設定することにより、例えば、脈動による排気室233dの圧力低下を充分に大きくして、排気室233dでの液化燃料生成量を増大することが可能である。
【0056】
このため、図5の液化回収用ベントバルブ231を用いることにより、液化する燃料蒸気の量を図2のベントバルブの場合より更に増大することが可能となる。また、液化した燃料は貯留部23bに滞留するが、液化燃料の滞留により排気室233dの空間容積は徐々に小さくなる。このとき、前述したように排気室の圧力脈動は排気室容積に反比例して大きくなるため、圧力脈動時の排気室233d内の圧力上昇も大きくなる。従って、ある程度貯留部23bに液化燃料が滞留すると、排気室233d内の圧力が燃料タンク11内圧より高くなる期間が生じるようになり、一方向弁23dが開弁する。これにより、貯留部23bに滞留した液化燃料はバイパス通路23cを通じて燃料タンク11内に回収される。
【0057】
なお、図5の液化回収用バイパスバルブ231を用いたタンク内圧低下操作は、図3のフローチャートに示した操作とほぼ同一であるので、ここでは詳細な説明は省略する。
【0058】
次に、タンク内圧低下操作を終了すべき圧力(図3ステップ317、P0)について説明する。前述の各実施形態では、ベントバルブ131、231による給油時タンク内圧低下操作をタンク内圧力がP0にまで低下したときに終了し、ベントバルブを閉弁している。
【0059】
本発明の範囲ではないが、実際にはベントバルブは給油が開始されると所定の開度で開弁され、給油中はタンク内圧を給油に適した圧力に維持する操作が行われる。
この場合、例えば、給油が開始されたか否かはベントバルブを閉じた状態でのタンク内圧の変化速度(上昇速度)に基づいて判定する。このため、給油開始前にタンク内圧を低下させるためにベントバルブを開弁した場合には、内圧低下後給油開始まではベントバルブは閉弁状態に保持される。すなわち、通常、図3の操作によりタンク内圧を低下させた場合には、内圧低下後、給油口114のキャップ113が開放され給油が開始されるまでの間は燃料タンク11は密閉状態に維持される。
ところが、内圧低下後のタンク11密閉状態においても燃料油は蒸発するため、タンク内圧は上昇する。このため、図3のタンク内圧低下操作を終了する時のタンク内圧は、その後のタンク密閉状態における内圧上昇を考慮して、給油口のキャップを開放したときに、タンク内圧の上昇により給油口からの燃料蒸気放出が生じない圧力に設定する必要がある。
【0060】
この、タンク内圧低下操作を終了する圧力P0は、操作を開始する前のタンク内圧が高いほど、すなわち燃料油の飽和蒸気圧(燃料油温度)が高いほど低い値に設定する必要がある。
【0061】
以下、この問題を図6(A)から(C)を用いて説明する。
図6(A)から(C)は、タンク内圧力(全圧)と、その中に占める燃料蒸気圧を示しており、図6(A)から(C)のIはタンク内圧低下操作開始時の圧力、IIは内圧低下操作終了時の圧力、IIIは内圧低下操作終了後タンクを密閉状態に維持した場合の最終到達圧力をそれぞれ示している。
なお、図6(A)から(C)の全圧及び蒸気圧は、説明を簡略化するために量的概念のみを示しており実際の圧力単位とは無関係である。また、同様に、各図における全圧と蒸気圧との割合も現実のものとは異なる値になっている。
【0062】
図6(A)は燃料の飽和蒸気圧(燃料温度)が比較的低い場合を示している。この場合、燃料油の飽和蒸気圧が30であるとする。今、内圧低下操作開始前のタンク内圧力が100であったとすると、この状態ではタンク内の燃料蒸気圧は飽和蒸気圧に等しくなっているので蒸気圧は30である(図6(A)I)。
今、この状態からタンク内圧低下操作を行い、全圧が70になったときに操作を終了したとする(P0=70)。このとき、タンク外には空気と燃料蒸気との混合気が排出されるため、操作終了時のタンク内燃料蒸気圧は全圧の低下と同じ割合で低下し、30×(70/100)=21になる(図6(A)II)。
【0063】
この状態でベントバルブを閉じ燃料タンクを密閉状態に維持したとすると、タンク内圧は燃料の蒸発により上昇し、最終的には燃料蒸気圧が飽和蒸気圧に到達するまで上昇することになる。この場合、終了時の蒸気圧が21であり、飽和蒸気圧が30であるため、近似的に全体の圧力上昇は30−21=9となり、充分な時間が経つとタンク内の全圧は70+9=79に上昇する。
【0064】
次に、燃料の飽和蒸気圧が図6(A)より高い場合について考える。例えば、燃料飽和蒸気圧が40であり、操作開始前のタンク内全圧もそれに応じて高くなっている場合(全圧=110)を考える(図6(B)I)。
この場合、タンク内圧低下操作を終了する圧力(P0)を図6(A)と同じ70にしたとすると、操作終了時の燃料蒸気圧は40×(70/110)≒25となる(図6(B)II)。また、この状態からタンクを密閉して燃料蒸気圧が飽和蒸気圧まで上昇すると、タンク内全圧は40−25=15だけ上昇し、最終的にはタンク内圧力は70+15=85に到達する(図6(B)III)。
【0065】
すなわち、燃料飽和蒸気圧が高い場合(図6(B))には、タンク内圧低下操作を終了する圧力を飽和蒸気圧が低い場合(図6(A))と同一にすると、操作終了後の圧力上昇が飽和蒸気圧が低い場合に較べて大きくなり、給油口のキャップを開放した場合に、タンク内の燃料蒸気が給油口から放出される場合が生じるのである。
これを防止するためには、操作開始前のタンク内圧(燃料飽和蒸気圧)が高いほど操作終了時の圧力を低くする必要が生じる。
【0066】
例えば図6(B)と同様に、タンク内圧が110で燃料飽和蒸気圧が40であった場合に、内圧低下操作終了時の圧力を図6(B)の場合より低く62に設定した場合、すなわちP0=62とした場合について考える(図6(C)I)。
この場合には、図6(A)、(B)と同様な計算により、操作終了時の燃料蒸気圧は約23となる(図6(C)II)。従って、タンク密閉後の圧力上昇は、40−23=17となり、密閉後のタンク内の到達圧力は、62+17=79となり、飽和蒸気圧が低い場合と同じ圧力を維持することが可能となる。
【0067】
すなわち、図3の操作終了時の圧力(P0)を、燃料飽和蒸気圧が高いほど低い値に設定することにより、飽和蒸気圧にかかわらず燃料タンク内圧を給油口開放時に燃料蒸気の放出を生じない圧力に維持することが可能となる。
操作開始前のタンク内蒸気圧はほぼ飽和蒸気圧になっているので、操作開始前のタンク内全圧は燃料飽和蒸気圧が高いほど高くなる。このため、操作開始前のタンク内圧力が高いほど操作終了時のタンク内圧力P0を低く設定することにより、給油時に給油口から燃料蒸気が大気に放出されることを防止することができる。
【0068】
図7は、タンク内圧低下操作開始時のタンク内圧力PTIと終了時の圧力P0(図3ステップ317)との関係の一例を示す図である。
本実施形態では、終了時圧力P0は開始時のタンク内圧力PTIが所定値PTI1より低い場合には一定の比較的高い値に設定され、PTIがPTI1を越えると、ほぼ直線的に低下するように設定されている。
【0069】
本実施形態では、図3の操作を行う際リッド開放スイッチがオンになったとき(ステップ301)に、圧力センサ120によりタンク内圧PTを読込み、操作開始前圧力PTIとして記憶するとともに、図7の関係から操作終了圧力P0を算出する。そして、ステップ317ではタンク内圧力が算出した操作終了圧力P0になったときにタンク内圧操作を終了し、ベントバルブを閉弁保持するようにしている。これにより、燃料の飽和蒸気圧にかかわらず給油時に燃料タンクからの燃料蒸気の大気放出を防止することが可能となる。
【0070】
【発明の効果】
各請求項に記載の発明によれば、給油時に燃料タンク内の燃料蒸気をキャニスタに排出することにより燃料タンク内圧を低下させ、給油口からの大気への燃料蒸気放散を防止する際に、キャニスタの吸着剤の燃料蒸気による飽和を生じることなくキャニスタの吸着剤容量を低減することが可能となる共通の効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を自動車用内燃機関の燃料タンクの蒸発燃料回収装置に適用した実施形態の概略構成を説明する図である。
【図2】図1の実施形態に用いるベントバルブの構成の一例を説明する図である。
【図3】図1の実施形態のタンク内圧低下操作の一実施形態を説明するフローチャートである。
【図4】図3の操作におけるベントバルブ開弁時間とタンク内圧との関係の一例を示す図である。
【図5】ベントバルブの他の実施形態の構成を説明する図である。
【図6】内圧低下操作開始前のタンク内圧力と操作終了後のタンク内圧上昇との関係を説明する図である。
【図7】タンク内圧操作開始時のタンク内圧に応じた操作終了時のタンク内圧の設定を説明する図である。
【符号の説明】
10…キャニスタ
11…燃料タンク
30…電子制御ユニット(ECU)
114…給油口
120…圧力センサ
131…ベントバルブ
Claims (3)
- 内部に蒸発燃料吸着剤を収納するキャニスタと、密閉式燃料タンクと、該燃料タンクの内部液面上部空間を前記キャニスタに接続する連通路と、該連通路に配置され、該連通路を開閉する開閉弁と、を備え、燃料タンク内の燃料蒸気をタンク外に排出すべきときに、前記開閉弁を開弁し、タンク内液面上部空間の燃料蒸気を前記連通路を介してキャニスタに供給し前記吸着剤に吸着させる蒸発燃料回収装置において、前記連通路の前記開閉弁出口近傍に設けられた、連通路の他の部分より通路断面積の大きい容積部と、前記開閉弁をバイパスして前記容積部と燃料タンクとを接続するバイパス通路とを備え、前記キャニスタに燃料蒸気を供給する際に前記開閉弁の開閉を繰返すとともに、前記容積部内の圧力がタンク内圧より低い所定の圧力に維持されるように燃料タンク内圧に基づいて前記開閉弁の開閉における開弁時間を設定し、前記開閉弁開弁時に前記容積部に流入する燃料蒸気を前記容積部内で断熱膨張させ、それにより生成した液化燃料を前記バイパス通路を介して燃料タンクに返戻することを特徴とする蒸発燃料回収装置。
- 内部に蒸発燃料吸着剤を収納するキャニスタと、密閉式燃料タンクと、該燃料タンクの内部液面上部空間を前記キャニスタに接続する連通路と、該連通路に配置され、該連通路を開閉する開閉弁と、を備え、燃料タンク内の燃料蒸気をタンク外に排出すべきときに、前記開閉弁を開弁し、タンク内液面上部空間の燃料蒸気を前記連通路を介してキャニスタに供給し前記吸着剤に吸着させる蒸発燃料回収装置において、前記連通路の前記開閉弁入口側に連通路断面積を絞る絞り部と、該絞り部の両側の連通路を接続するバイパス通路と、該バイパス通路中の前記開閉弁側から燃料タンク側に向う流れのみを許容する逆止弁とを設け、前記キャニスタに燃料蒸気を供給する際に前記開閉弁の開閉を繰返して前記絞り部と開閉弁との間の連通路部分の圧力に脈動を生じさせるとともに、該脈動による圧力低下時に前記連通路部分に燃料蒸気の凝縮により生成された液体燃料を、前記脈動による圧力上昇時に前記バイパス通路の逆止弁を通して前記絞り部の燃料タンク側に返戻することを特徴とする蒸発燃料回収装置。
- 請求項1または請求項2に記載の蒸発燃料回収装置であって、前記燃料タンク内圧が所定の圧力まで低下した場合に前記開閉弁を閉弁状態に維持して前記キャニスタに燃料蒸気を供給する操作を停止するとともに、前記キャニスタへの燃料蒸気供給操作開始時の燃料タンク内圧が高いほど、前記キャニスタへの燃料蒸気を供給操作を停止する前記所定の圧力を低く設定することを特徴とする蒸発燃料回収装置。
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