JP2002331306A - 鋼板の搬送転回制御装置 - Google Patents

鋼板の搬送転回制御装置

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 厚板圧延の生産能率を向上させる、鋼板の搬
送転回制御装置を提供する。 【解決手段】 厚板圧延機の前面に位置する搬送テーブ
ル及び転回テーブル上で、鋼板の搬送転回を制御する装
置において、(1)鋼板の位置を、鋼板位置情報として検
出し、(2)鋼板の寸法、重量等に係る鋼板情報に基づい
て、搬送テーブル及び転回テーブルの速度を演算し、
(3)鋼板位置情報に基づいて、搬送テーブルロール及び
転回テーブルロールの速度を出力して、鋼板の搬送転回
を制御する。鋼板位置情報は、転回テーブルの入側で検
出する。そして、鋼板位置情報に基づいて、鋼板が転回
テーブル付近に到達したと判断した時、前記搬送テーブ
ルロール及び転回テーブルロールの速度を出力する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、例えば、厚板圧延
機による鋼板の圧延において、鋼板を搬送転回する装置
に関するものであり、特に、厚板圧延機の前面に位置す
る搬送テーブル及び転回テーブルを制御して、鋼板を搬
送転回する装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】厚板圧延機により厚板を圧延する場合、
板幅出し圧延をするため、圧延開始前及び/又は中間パ
スにおいて、鋼板を90°転回する必要がある。この鋼
板の転回は、通常、図1に示す転回テーブルを用いて行
なう。図1に示すように、転回テーブル3は、転回テー
ブルロール1と転回テーブルロール2から構成されてい
る。転回テーブルロール1は、操作側Wの直径が、駆動
側Dの直径より大きいロールである。転回テーブルロー
ル2は、駆動側Dの直径が、操作側Wの直径より大きい
ロールである。
【0003】転回テーブル3は、この2種の転回テーブ
ルロールを交互に並べたロール群からなり、この両転回
テーブルロール1、2を、同一方向に、例えば、矢印方
向に異なる速度で回転することにより、鋼板4を矢印方
向に転回させることができる。この転回テーブルローラ
による転回作業を自動化する方法として、特開昭61−
273214号公報には、転回テーブルの減速、停止転
回角により、転回テーブルの速度を制御する方法が開示
されている。また、特開昭61−152311号公報に
は、昇降可能な転回テーブル上に、互いに直交させてロ
ーラ群を配置し、該直交する一方のローラ群を昇降する
ようにした転回装置が開示されている。
【0004】しかしながら、これら従来の転回方法及び
装置においては、鋼板を転回テーブル上に搬送した後、
鋼板が転回テーブル上で停止したことを確認してから、
鋼板の転回動作を行なっている。このような停止後転回
する動作においては、鋼板を厚板圧延機に供するまで
に、所要の時間及びエネルギーを要することは明らかで
あり、このことが、厚板圧延機の生産能率を阻害する要
因となっている。
【0005】近年、消費エネルギーの低減や、生産能率
の向上が求められている厚板圧延において、圧延を完了
するまでに要する時間を短縮することは大きな技術課題
であり、なかでも、鋼板の転回動作に要する時間を短縮
する制御技術の開発が求められている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記要請に
鑑み、厚板圧延の生産能率を向上させる、鋼板の搬送転
回制御方法及び装置を提供することを課題(目的)とす
る。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者は、鋼板の転回
動作に要する時間を短縮する手法、手段について鋭意検
討した。その結果、鋼板の搬送と同時に転回動作を行な
えば、鋼板を、転回前に停止する動作を省くことがで
き、消費エネルギーの低減や、生産能率の向上を図るこ
とができるとの発想に至った。
【0008】本発明は、上記発想に基づきなされたもの
で、その要旨とするところは、以下のとおりである。 (1) 厚板圧延機の前面に位置する搬送テーブル及び
転回テーブル上で、鋼板の搬送転回を制御する装置にお
いて、(1)鋼板の位置を、鋼板位置情報として検出する
鋼板位置検出手段、(2)鋼板の寸法、重量等に係る鋼板
情報に基づいて、搬送テーブルロール及び転回テーブル
ロールの速度を演算するテーブルロール速度演算手段、
(3)鋼板位置情報に基づいて、搬送テーブル及び転回テ
ーブルの速度を出力して、鋼板の搬送転回を制御する搬
送転回制御手段、を備えることを特徴とする鋼板の搬送
転回制御装置。
【0009】(2) 前記鋼板位置検出手段が、転回テ
ーブルの入側に設けられていることを特徴とする前記
(1)記載の鋼板の搬送転回制御装置。 (3) 前記搬送転回制御手段は、前記鋼板位置情報に
基づいて、鋼板が転回テーブル付近に到達したと判断し
た時、前記搬送テーブルロール及び転回テーブルロール
の速度を出力することを特徴とする前記(1)又は
(2)記載の鋼板の搬送転回制御装置。
【0010】
【発明の実施の形態】まず、図2に基づいて、本発明に
係る厚板圧延の全体構成を説明する。図に示すように、
加熱炉5から抽出された鋼板は、搬送テーブル9a及び
搬送速度制御テーブル7上にて、鋼板搬送方向dに搬送
され、必要に応じて、転回テーブル3にて転回された
後、圧延機8に供されて圧延され、圧延終了後は、搬送
テーブル9bで冷却床へ搬送され冷却される。そして、
搬送テーブル9aには、搬送速度制御テーブル7の入側
近くに、搬送されてくる鋼板の先端位置を検出する鋼板
位置検出器6が配置されている。
【0011】ここで、図3に、本発明の制御システムの
構成例を示す。図に示すように、上位計算機100、速
度演算用計算機101、及び、速度制御用計算機102
が、この順序で接続されている。上位計算機100は、
圧延前の鋼板の寸法、重量、該鋼板を停止する目標位置
までの距離等に係る情報(以下「鋼板情報」ということ
がある。)を、速度演算用計算機101に入力する。
【0012】速度演算用計算機101は、上位計算機1
00から入力される鋼板情報に基づいて、鋼板転回後の
停止位置が適正で、かつ、転回角度が90°により近く
なるよう、搬送速度制御テーブル7のロールの速度、高
速側の転回テーブルロール1の速度、及び、低速側の転
回テーブルロール2の速度を予め演算しておく。そし
て、速度演算用計算機101には、鋼板位置検出器6で
検出された鋼板位置情報Sが入力され、該鋼板位置情報
に基づいて、鋼板が転回テーブル近傍に到達したと判断
された時点で、速度演算用計算機101が、速度制御用
計算機102に、搬送速度制御テーブル7のロールの速
度、高速側転回テーブルロール1の速度、及び、低速側
転回テーブルロール2の速度を制御することを指令する
信号、Zr、Zu、及び、Zlを出力し、これらロール
の速度の制御、即ち、鋼板の搬送回転制御を行なう。こ
の搬送回転制御の一態様を図4に示す。
【0013】この図を参照して、前記搬送速度制御テー
ブル7と転回テーブル3の速度の決定方法を説明する。
先ず、搬送速度制御テーブル7で搬送されて転回テーブ
ル3の入側にきた鋼板が転回テーブル3の所定位置で回
転を終了して停止するように、搬送速度制御テーブル7
の出側における鋼板の速度、即ち、搬送速度制御テーブ
ル7の出側ロール速度Vroを求める。
【0014】次に、これを基準として、搬送速度制御テ
ーブル7全長の各テーブルロールの速度を決定する。こ
れは、搬送速度制御テーブル7の入側に搬送テーブル9
aより搬送されてきた鋼板の搬送速度Vx(通常は鋼板
の寸法、重量に関係なく一定であるが、搬送速度が変化
する場合には速度計でその速度を測定する。)から前記
搬送速度制御テーブル7の出側での鋼板速度がVroに順
次減速されるように、テーブルロールの経時的速度Vy
を決定する(この搬送速度制御テーブル7の経時的速度
Vyは、テーブルの入側で最も高速で、鋼板が出側に搬
送されて行くに従って、低速となる。)。
【0015】さらに、転回テーブル3の入側に鋼板が位
置する時のテーブル速度を、前記搬送速度制御テーブル
7の出側での速度Vroとして、この速度Vroを持った鋼
板が、転回テーブル3上の予め設定した位置で停止する
ように、転回テーブル3の入側から停止位置まで搬送さ
れる鋼板の経時的速度Vrを推定する。そして、この推
定した鋼板の経時的速度Vrから、高速側ロール1の経
時的速度Vu、及び、低速側ロール2の経時的速度Vl
を決定する。
【0016】具体的には、搬送速度制御テーブル7の出
側、つまり、転回テーブル3の入側に鋼板が位置する時
の鋼板速度Vroは、下式(1)により決定される。 Vro=R×(Q+W)×(Xc+L)/(D+W) … (1) 但し、R、Q、D:調整係数、W:鋼板重量、L:鋼板
長、Xc:転回テーブル3の入側から停止位置までの距
離。
【0017】また、高速側ロール1の経時的速度Vuは
下式(2)、低速側ロール2の経時的速度Vlは下式
(3)で決定する。 Vu=Vr+K … (2) Vl=Vr−K … (3) 但し、Kは定数であり、設備条件等により異なるため、
実機試験によりその最適値を求める。
【0018】このようにして、本発明は、鋼板が転回テ
ーブル3の所定位置に搬送されるまでの間に、搬送しつ
つ転回させるものである。以下に、実施例について説明
するが、実施例で採用した条件は一例であり、本発明は
実施例で採用した条件に限定されるものではない。
【0019】
【実施例】(実施例1)図2に示す構成の圧延設備を用
いて本発明を実施した。搬送速度制御テーブル7の機長
は20m、転回テーブル3の機長は10mである。転回
テーブル3内での鋼板の停止位置は、転回テーブル入側
から5mのところ(転回テーブル3の中央部)に定め
た。
【0020】幅1600mm、長さ3500mm、重量
11tonの鋼板Aを、搬送テーブル9aでは、410
m/minで搬送し、搬送速度制御テーブル7では、該
速度(入側速度)410m/minを、出側(転回テー
ブル3の入側)で、250m/min(Vro)となるよ
うに順次減速し、転回テーブル3へ搬送した。転回テー
ブル3においては、入側の高速側ロール速度Vuを、2
50(1+0.2)=300m/minとし、該速度
が、中央部(入側から5mの位置)で0m/minとな
るように順次減速し、同時に、入側の低速側ロール速度
Vlを、250(1−0.2)=200m/minと
し、該速度が、中央部(入側から5mの位置)で0m/
minとなるように順次減速し、鋼板Aを搬送しつつ転
回して、転回テーブル3の中央部に停止せしめた。
【0021】この結果、鋼板Aの圧延において、アイド
ルタイムを、従来の16秒から11秒に短縮することが
できた。 (実施例2)実施例1で用いた圧延設備を用いて、幅1
800mm、長さ5000mm、重量6tonの鋼板B
を搬送した。転回テーブル3内での鋼板の停止位置は、
実施例1と同じく、転回テーブル入側から5mのところ
(転回テーブル3の中央部)に定めた。
【0022】鋼板Bを、搬送テーブル9aでは、410
m/minで搬送し、搬送速度制御テーブル7では、該
速度(入側速度)410m/minを、出側(転回テー
ブル3の入側)で、275m/min(Vro)となるよ
うに順次減速し、転回テーブル3へ搬送した。転回テー
ブル3においては、入側の高速側ロール速度Vuを、2
75(1+0.2)=330m/minとし、該速度
が、中央部(入側から5mの位置)で0m/minとな
るように順次減速し、同時に、入側の低速側ロール速度
Vlを、275(1−0.2)=220m/minと
し、該速度が、中央部(入側から5mの位置)で0m/
minとなるように順次減速し、鋼板Bを搬送しつつ転
回して、転回テーブル3の中央部に停止せしめた。
【0023】この結果、鋼板Bの圧延において、アイド
ルタイムを、従来の18秒から13秒に短縮することが
できた。
【0024】
【発明の効果】本発明によれば、従来、鋼板を転回テー
ブル上に搬送後、停止したことを確認した後に行なって
いた転回動作を、鋼板の搬送と同時に行ない、鋼板の圧
延終了から次の鋼板の圧延開始までのアイドル時間を短
縮することができるので、厚板圧延ラインの生産能率
を、数ton/hr向上させることができる。
【0025】このように、本発明は、厚板の生産能率の
向上に寄与するところが大きいものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】転回テーブルの態様を示す図である。(a)は
側面図で、(b)は平面図である。
【図2】本発明に係る厚板圧延の全体構成を示す図であ
る。
【図3】本発明の制御システムの構成例を示す図であ
る。
【図4】搬送転回制御の一態様(搬送速度制御テーブル
及び転回テーブルのロール速度パターン)を示す図であ
る。
【符号の説明】
1、2…転回テーブルロール 3…転回テーブル 4…鋼板 5…加熱炉 6…鋼板位置検出器 7…搬送速度制御テーブル 8…圧延機 9a、9b…搬送テーブル 100…上位計算機 101…速度演算用計算機 102…速度制御用計算機 d…鋼板搬送方向 D…駆動側 W…操作側 S…鋼板位置情報 Zr…搬送テーブルロールの速度を制御することを指令
する信号 Zu…高速側ロールの速度を制御することを指令する信
号 Zl…低速側ロールの速度を制御することを指令する信
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 小川 健一 大分県大分市大字西ノ洲1番地 新日本製 鐵株式会社大分製鐵所内

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 厚板圧延機の前面に位置する搬送テーブ
    ル及び転回テーブル上で、鋼板の搬送転回を制御する装
    置において、 (1)鋼板の位置を、鋼板位置情報として検出する鋼板位
    置検出手段、 (2)鋼板の寸法、重量等に係る鋼板情報に基づいて、搬
    送テーブルロール及び転回テーブルロールの速度を演算
    するテーブルロール速度演算手段、 (3)鋼板位置情報に基づいて、搬送テーブルロール及び
    転回テーブルロールの速度を出力して、鋼板の搬送転回
    を制御する搬送転回制御手段、を備えることを特徴とす
    る鋼板の搬送転回制御装置。
  2. 【請求項2】 前記鋼板位置検出手段が、転回テーブル
    の入側に設けられていることを特徴とする請求項1記載
    の鋼板の搬送転回制御装置。
  3. 【請求項3】 前記搬送転回制御手段は、鋼板位置情報
    に基づき、鋼板が転回テーブル付近に到達したと判断し
    た時、搬送テーブルロール及び転回テーブルロールの速
    度を出力することを特徴とする請求項1又は2記載の鋼
    板の搬送転回制御装置。
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