JP2002329606A - フェライト焼結体およびその製造方法とフェライト成形用顆粒 - Google Patents

フェライト焼結体およびその製造方法とフェライト成形用顆粒

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JP2002329606A JP2001131471A JP2001131471A JP2002329606A JP 2002329606 A JP2002329606 A JP 2002329606A JP 2001131471 A JP2001131471 A JP 2001131471A JP 2001131471 A JP2001131471 A JP 2001131471A JP 2002329606 A JP2002329606 A JP 2002329606A
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浩 原田
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 本発明は特に吸水率が小さく、磁心損失が低
減されたフェライト焼結体とその製造方法およびフェラ
イト成形用顆粒を提供することを課題とする。 【解決手段】 本発明はフェライト原料粉末と、エチレ
ン変性量が4〜10モル%、平均重合度が500〜17
00、平均鹸化度が92〜97モル%のエチレン変性ポ
リビニルアルコールとを混合し造粒してなるフェライト
成形用顆粒の型成形体を焼成してなるフェライト焼結体
であり、吸水率が0.2質量%以下であることを特徴と
するフェライト焼結体、その製造方法及びフェライト成
形用顆粒を提供する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、フェライト成形用
顆粒、このフェライト成形用顆粒を成形、焼成するフェ
ライト焼結体の製造方法及びこの製造方法により得られ
るフェライト焼結体に関わり、特に高い密度と機械的強
度を有するフェライト成形体が得られるフェライト成形
用顆粒、磁心損失が低減されたフェライト焼結体の製造
方法およびフェライト焼結体に関する。
【0002】
【従来の技術】フェライトは、電子部品をはじめとして
種々の分野において幅広く用いられている。このフェラ
イトは、フェライト原料となる粉末をバインダーととも
に造粒してフェライト成形用顆粒とし、このフェライト
成形用顆粒を成形して、フェライト成形体とし、このフ
ェライト成形体を焼成することにより得られる。
【0003】従来、フェライト成形体を製造する方法と
しては、種々の方法が採用されているが、中でも乾式の
加圧成形法が一般的に広く行われている。たとえば、フ
ェライト原料粉末とバインダーと水とによりフェライト
スラリーを調整し、これをスプレードライヤー(噴霧造
粒機)で噴霧乾燥してフェライト成形用顆粒を造粒す
る。またはフェライト原料粉末とバインダー溶液とを攪
拌混合し、乾燥とオシレーティング押し出しを繰り返し
てフェライト成形用顆粒を造粒する。
【0004】このようにして得られたフェライト成形用
顆粒を加圧成形することにより、フェライト成形体が製
造される。そして、このフェライト成形体を焼成するこ
とによりフェライト焼結体が得られる。
【0005】なお、オシレーティング押し出しとは、た
とえば数mm程度の粒径に造粒された粒子を網上で押し
潰して細かくした粒子を落下させる作業を、編み目を順
次細かくした数段の工程で行うことにより、所定の粒径
以下の粒子を得る方法である。
【0006】このようなフェライト成形用顆粒(以下、
「フェライト顆粒」ともいう)は、フェライト成形体を
製造するために以下のような性質が要求されている。 (1)流動性が適度な範囲内にあり、所定分量のフェラ
イト顆粒を均一に金型に流し込む際の充填性が良好であ
る。 (2)金型成形する際に低圧(代表的には29〜147
MPa)で均一につぶれること(以下、「低圧つぶれ
性」という) (3)金型等にフェライト顆粒中の微粒子等の成分が付
着しないこと(以下、「耐スティッキング性」とい
う)。 (4)貯蔵時や運搬時あるいは金型への充填時に転動や
相互衝突によってフェライト顆粒が崩壊しないこと(以
下、「耐崩壊性」という)。 (5)適度な嵩密度を有しており、金型への充填時や成
形時に金型外にフェライト顆粒が流出しないこと(以
下、「金型への充填性」という)。
【0007】これらの要求を満足させるために種々のフ
ェライト顆粒の造粒方法が提案されている。たとえば特
開平5−159918号公報には分散剤を用いてスラリ
ーを調整して、これを造粒することでフェライト顆粒を
得る方法が開示されている。また、特公平3−3166
0号公報には、バインダー成分の偏析を抑制して造粒す
ることでフェライト顆粒を得る方法が開示されている。
【0008】また、特開2000−272970号公報
には、炭素数4以下のα−オレフィンまたはビニルエー
テルを含有するビニルアルコール系重合体をバインダー
成分として用いる方法が開示されている。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、これら
の技術は、以下のような欠点を有している。 (1)これらの技術はフェライトスラリーの改善にかか
わるものであり、対象となる造粒方法はスプレードライ
ヤー(噴霧造粒機)を用いた噴霧乾燥による造粒に制限
されており、汎用性が低い。 (2)フェライト顆粒の流動性および低圧つぶれ性はあ
る程度改善されるが十分ではなく、またこれらのフェラ
イト顆粒を用いて成形されたフェライト成形体は寸法精
度も十分なものでなく、また比較的複雑な形状の成形に
は適用できない。 (3)貯蔵時や輸送時にあるいは金型への充填時にフェ
ライト顆粒が崩壊してしまう場合もある。 (4)金型成形する際に金型へのフェライト微粒子が張
り付いてスティッキングを生じてしまい、連続的にフェ
ライト成形体を成形することができない場合もある。 (5)フェライト成形体の機械的強度が低く、欠けや折
れ等の破損が発生しやすい。 (6)フェライト焼結体の電磁気特性、特に磁心損失に
ついて満足しうる効果が得られない。
【0010】したがって、本発明は、前記問題点に鑑
み、特に吸水率が小さく、磁心損失が低減されたフェラ
イト焼結体とその製造方法を提供することを目的とす
る。
【0011】また、本発明は、フェライト成形用顆粒の
造粒方法によらず、高い密度と機械的強度を有するフェ
ライト成形体を成形することが可能であるとともに、流
動性、低圧つぶれ性、耐スティッキング性、耐崩壊性及
び金型への充填性に優れたフェライト成形用顆粒を提供
することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明者は、このような
実情を鑑み鋭意検討した結果、フェライト顆粒造粒の際
に用いるバインダー成分として、エチレン変性量が4〜
10モル%、平均重合度500〜1700、平均鹸化度
92〜97モル%のエチレン変性ポリビニルアルコール
を用いることにより、前記課題を解決できることを見出
して、本発明を創作するに至った。
【0013】すなわち、請求項1のフェライト焼結体
は、フェライト原料粉末と、エチレン変性量が4〜10
モル%、平均重合度が500〜1700、平均鹸化度が
92〜97モル%のエチレン変性ポリビニルアルコール
とを混合し造粒してなるフェライト成形用顆粒の型成形
体を焼成してなるフェライト焼結体であり、吸水率が
0.2質量%以下であることを特徴とする。
【0014】本発明はこのようにフェライト焼結体内部
の顆粒欠陥を少なくすることで吸水率を0.2質量%以
下とすることが可能となった。このようにフェライト焼
結体内部の粒界欠陥を少なくすることで、フェライト焼
結体の磁心損失を低減することを可能とした。ここで、
「型成形体」とは、フェライト成形用顆粒を金型等の型
に充填、加圧して得られるフェライト成形体のことを示
す。
【0015】請求項2のフェライト焼結体の製造方法
は、フェライト原料粉末と、エチレン変性量が4〜10
モル%、平均重合度が500〜1700、平均鹸化度が
92〜97モル%のエチレン変性ポリビニルアルコール
とを混合してフェライト成形用顆粒を造粒し、該顆粒を
金型により成形しフェライト成形体とし、このフェライ
ト成形体を焼成して、吸水率が0.2質量%以下のフェ
ライト焼結体を得ることを特徴とする。
【0016】前記の製造方法により得られるフェライト
焼結体は、吸水率が0.2質量%以下であり、顆粒粒界
による欠陥が少なく、フェライト焼結体の密度が高いた
めに、磁心損失が小さい。
【0017】請求項3のフェライト成形用顆粒は、請求
項1または請求項2記載のフェライト成形用顆粒におい
て、前記エチレン変性ポリビニルアルコールの添加量
が、フェライト原料粉末100質量部に対して0.4〜
2質量部であることを特徴とする。
【0018】本発明はこのように構成したので、良好な
低圧つぶれ性を有するフェライト顆粒を確実に造粒する
ことが可能となる。
【0019】請求項4のフェライト成形用顆粒は、請求
項1ないし請求項3のいずれか一項に記載のフェライト
成形用顆粒において、分子量が1000〜6000のポ
リエチレングリコールが、前記フェライト粉末100質
量部に対して0.1〜0.5質量部添加されていること
を特徴とする。
【0020】本発明はこのように構成したので、フェラ
イト顆粒の低圧つぶれ性と圧力伝達性、流動性及び金型
への充填性を改善し、顆粒粒界を低減することが可能と
なる。なお、ポリエチレングリコールは主として可塑剤
として作用する。
【0021】請求項5のフェライト成形用顆粒は、請求
項1ないし請求項4のいずれか一項に記載のフェライト
成形用顆粒において、平均粒子径が1μm以下の水分散
性ワックスが、前記フェライト粉末100質量部に対し
て0.1〜1.0質量部添加されていることを特徴とす
る。
【0022】本発明はこのように構成したので、良好な
低圧つぶれ性を有するフェライト顆粒を得ることが可能
となる。また、このフェライト顆粒より得られるフェラ
イト成形体を金型から抜き出す際のスプリングバック
(成形体膨張)を小さくすることが可能となる。なお、
水分散性ワックスは主として滑剤として作用する。
【0023】請求項6のフェライト焼結体は、請求項1
または請求項2記載のフェライト焼結体が、Mn−Zn
系フェライトまたはMn−Mg−Zn系フェライトから
なり、偏向ヨーク用フェライトであることを特徴とす
る。請求項7のフェライト焼結体は、請求項1または請
求項2記載のフェライト焼結体がMn−Zn系フェライ
トからなり、トランス用フェライトであることを特徴と
する。
【0024】ここで「Mn−Mg−Zn系フェライト焼
結体」とはFe23,MnO,MgO,ZnOを主成分
とするフェライト焼結体のことを示し、「Mn−Zn系
フェライト焼結体」とはFe23,MnO,ZnOを主
成分とするフェライト焼結体のことを示す。
【0025】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を説明
する。本発明のフェライト焼結体の製造方法における特
徴は、得られるフェライト焼結体の吸水率を0.2質量
%以下とすることである。本発明者の研究によれば、フ
ェライト焼結体の吸水率が、フェライト焼結体の磁心損
失の大きさの指標となることが明らかとなった。
【0026】吸水率と磁心損失との関係は、フェライト
焼結体内部の顆粒粒界を介在して考えると理解しやす
い。顆粒粒界とは、フェライト焼結体内部においてフェ
ライト顆粒同士の接触面に発生する隙間のことである。
フェライト焼結体内部でフェライト顆粒同士が充分に密
着していれば、顆粒粒界は小さくなり、フェライト顆粒
同士の密着性が悪いと顆粒粒界は大きくなる。顆粒粒界
が大きいと、そこに水分が浸入するために、吸水率が大
きくなる。このことはフェライト焼結体内に空隙による
欠陥が多いことを表し、よって磁心損失が大きくなる。
逆に、顆粒粒界が小さければ、水分が顆粒粒界に浸入し
難くなるため吸水率は小さくなる。このことはフェライ
ト焼結体内に空隙による欠陥が少ないことを表し、よっ
て磁心損失が低下する。
【0027】ここで、磁心損失とは磁心に時間的に変化
する磁界を印加したときに、磁心に吸収され熱となる電
力を示す量であり、本明細書においては特に断らない限
り単位体積あたりの磁心損失Pcv(core los
s volume density)を用いる。
【0028】本発明のフェライト焼結体の製造方法で
は、フェライト焼結体の吸水率を0.2質量%以下にす
ることにより、磁心損失の小さい良好な特性を有するフ
ェライト焼結体を得ることが可能となる。磁心損失を低
減するという面から見た場合、フェライト焼結体の吸水
率は小さければ小さいほど好ましく、吸水率が0.1質
量%以下であれば、より一層好適である。
【0029】本発明のフェライト成形用顆粒は、フェラ
イト原料粉末およびバインダー成分から主として構成さ
れる。本発明におけるフェライト原料粉末としては、最
終的に焼成されるフェライト焼結体の用途に応じて適宜
選択され、特に限定されるものではないが、たとえば、
偏向ヨーク用フェライト焼結体は、Fe23,MnO,
MgO,ZnOを主成分とする。また、トランス用フェ
ライト焼結体では、Fe23,MnO,ZnOを主成分
とする。さらに必要に応じて、副成分もしくは不可避的
不純物としてNi,Cu,Co,W,Bi,Si,B,
Zr等の金属酸化物が含まれていても良い。
【0030】また、これらのフェライト原料粉末の粒径
についても、最終製品であるフェライト焼結体の原料と
して従来使用されてきた範囲であることができ、一般に
は0.5〜5ミクロン、好ましくは0.7〜3ミクロン
の範囲である。フェライト原料粉末の平均粒径をこのよ
うな好ましい範囲にするためには、従来公知の方法、た
とえばボールミル、攪拌ミル、アトライター等によりフ
ェライト原料を粉砕することによって達成でき、またこ
の際に湿式粉砕方式、乾式粉砕方式のいずれの粉砕法で
粉砕しても良い。
【0031】また、本発明のフェライト顆粒は、バイン
ダー成分として特定のポリビニルアルコールの鹸化物を
含むが、一般にバインダー成分は、一次粒子の結合剤、
すなわちフェライト原料粉末同士の結合剤として機能
し、フェライト顆粒の低圧つぶれ性、耐崩壊性およびフ
ェライト成形体の機械的強度に影響を及ぼす。
【0032】すなわち、本発明におけるポリビニルアル
コールはエチレン変性ポリビニルアルコールであり、平
均重合度が500〜1700、平均鹸化度が92〜97
モル%であることが好ましい。平均重合度が500以上
の場合、フェライト顆粒の低圧つぶれ性を良好に維持し
つつ、耐崩壊性及び耐スティッキング性を実用上充分な
程度に保つことができる。平均重合度が1700以下で
あれば、フェライト顆粒の耐崩壊性を良好に維持しつ
つ、フェライト顆粒を柔らかくできるため実用上充分な
低圧つぶれ性を得ることができる。
【0033】また、平均鹸化度のより好ましい範囲は9
3〜96モル%であり、平均鹸化度が高いほど、耐崩壊
性は良好であるが、造粒したフェライト顆粒が硬くなる
傾向が見られる。また、平均鹸化度が92モル%以上の
エチレン変性ポリビニルアルコールは実用上充分な水溶
性を有している。また、平均鹸化度が97モル%以下で
あれば得られるフェライト顆粒の柔らかさは実用上許容
できる程度となる。また、平均鹸化度が93〜96モル
%であれば、フェライト顆粒としての柔らかさとフェラ
イト成形体となったときの強度とのバランスがより優れ
たフェライト顆粒が得られる。
【0034】また、エチレン変性ポリビニルアルコール
のエチレン変性量は20モル%以下であれば実用上許容
できる程度の水溶性を有するが、より好ましくは4〜1
0モル%である。エチレン変性量が4〜10モル%であ
れば、エチレン変性ポリビニルアルコールを含むバイン
ダー溶液の安定性が優れており、このバインダー溶液が
フェライト原料粉末を被覆する皮膜となった際に強度が
優れている。
【0035】本発明においてバインダー成分として用い
るエチレン変性ポリビニルアルコールの添加量は、フェ
ライト原料粉末100質量部に対して0.4〜2質量部
が好ましく、特に0.6〜1.5質量部の範囲が好まし
い。エチレン変性ポリビニルアルコールの添加量が0.
4質量部以上であれば、フェライト粒子を確実に造粒す
ることができる。また、2質量部以下であれば、フェラ
イト顆粒が硬くなりすぎることはなく、良好な低圧つぶ
れ性を維持できるので、フェライト成形体を成形した際
に、顆粒粒界が少なく成形不良の発生を防ぐことができ
る。また、同様に容量欠陥を低減することができる。ま
た、添加量が0.6質量部以上であれば、フェライト顆
粒表面において微小な穴、隙間の発生を抑制し、密度の
高いフェライト顆粒を造粒することが可能となる。ま
た、添加量が1.5質量部以下であれば、フェライト顆
粒の柔らかさと機械的強度とのバランスに優れたフェラ
イト顆粒を造粒することが可能となる。ここで、顆粒粒
界とはフェライト成形体内部においてフェライト顆粒同
士の接触面に発生する隙間のことである。フェライト成
形体内部でフェライト顆粒同士が充分に密着していれ
ば、顆粒粒界は小さくなり、フェライト顆粒同士の密着
性が悪いと顆粒粒界は大きくなる。
【0036】本発明において可塑剤として用いるポリエ
チレングリコールは、フェライト成形用顆粒において、
低圧つぶれ性と圧力伝達性を改善し、顆粒粒界を低減す
るものである。ポリエチレングリコールの分子量は10
00〜6000が好ましく、より好ましくは2000〜
4000である。分子量が1000以上であれば、実用
上充分な低圧つぶれ性を維持したまま、吸湿性を抑える
ことが可能であるために、フェライト顆粒の流動性が良
好であり金型への充填性に優れ、均一に充填が可能であ
る。また、分子量が6000以下であれば、添加により
低圧つぶれ性が改善し、かつフェライト成形体の機械的
強度が低下することによるクラックの発生を抑制するこ
とができる。ポリエチレングリコールの分子量が200
0〜4000であれば、低い吸湿性と低圧つぶれ性をよ
り高いレベルで両立することが可能である。
【0037】本発明において滑剤として用いる水分散性
ワックスは、フェライト成形用顆粒において、フェライ
ト成形用顆粒および成形用金型との摩擦を低減し、低圧
つぶれ性およびスプリングバック(成形体膨張)に影響
を及ぼすものである。水分散性ワックスの好ましい平均
粒径は1μm以下であり、好ましい添加量はフェライト
原料粉末100質量部に対して0.1〜1.0質量部で
ある。水分散性ワックスの添加量が0.1質量部以上で
あれば、実用上許容できる程度の摩擦低減効果が得られ
る。また、添加量が1質量部以下であれば、フェライト
焼結体を焼成する際に、水分散性ワックスの蒸発による
微細な空隙の発生を抑制することができる。また、水分
散性ワックスの平均粒子径が1μm以下であれば、水分
散性ワックスの粒子とフェライト原料粉末との大きさが
ほぼ同程度であるので、水分散性ワックス粒子とフェラ
イト原料粉末とを均一に混合することが可能となる。さ
らに、水分散性ワックスの平均粒子径が1μm以下であ
れば、フェライト成形体を焼成する際に、水分散性ワッ
クスの蒸発痕が空隙としてフェライト焼結体中に残留す
ることを抑制できる。
【0038】水分散性ワックスとしては、マイクロクリ
スタリンワックス、パラフィンワックス、ポリエチレン
ワックス、酸化ポリエチレンワックス、グリコール変性
酸化ポリエチレン等を用いることができるが、特にマイ
クロクリスタリンワックスが好ましい。このマイクロク
リスタリンワックスとは、炭素数30〜60のイソパラ
フィンやシクロパラフィンを主体とした分子量500〜
800程度の微結晶パラフィンのことである。前記の水
分散性ワックスは単独で用いても良いし、2種以上の混
合物として用いても良い。ここで「スプリングバック
(成形体膨張)」とは、金型よりフェライト成形体を抜
き出す際に、フェライト成形体が体積膨張して、金型寸
法よりも大きくなる現象を言う。
【0039】本発明においては、フェライト顆粒の粒径
を、平均粒径30〜400μm、好ましくは、50〜2
00μm、より好ましくは70〜150μmの球形とす
ることが好ましい。
【0040】フェライト顆粒の平均粒径が30μm以上
であれば、流動性および金型への充填性が優れており、
成形体の寸法および質量のばらつきを小さく抑えること
が可能となる。また、金型への微粉付着(スティッキン
グ)を抑制することが可能となる。また、平均粒径が4
00μm以下であれば、このフェライト顆粒からフェラ
イト成形体を成形した際に顆粒粒界が少なく、成形不良
の発生率を低く抑えることが可能となる。さらに、フェ
ライト成形体の寸法および質量のばらつきを小さくする
ことが可能となる。フェライト顆粒の粒径を50〜20
0μm、より好ましくは70〜150μmとすること
で、前記の効果がより一層高まる。
【0041】本発明において、フェライト顆粒を造粒す
る際に、所望に応じて本発明の目的・効果が損なわれな
い範囲で公知の各種添加剤を添加することができる。こ
のような添加剤の例として、ポリカルボン酸塩、縮合ナ
フタレンスルホン酸等の分散剤、グリセリン、グリコー
ル類、トリオール類等の可塑剤、ステアリン酸(塩)等
の滑剤、ポリエーテル系、ウレタン変性ポリエーテル
系、ポリアクリル酸系、変性アクリル酸系有機高分子等
の有機系高分子凝集剤、硫酸アルミニウム、塩化アルミ
ニウム、硝酸アルミニウム等の無機系凝集剤等が挙げら
れる。
【0042】なお、本発明によるフェライト成形用顆粒
は「フェライト成形体用の金型に充填するのに十分な流
動性を維持する範囲」すなわち、フェライト顆粒を金型
に充填する際にフェライト顆粒が充填手段に付着したり
凝集したりせず、均一に金型に充填できる範囲の流動性
を有している。
【0043】また、フェライト顆粒の流動性は、フェラ
イト顆粒の造粒方法、したがってフェライト顆粒の形状
により異なり一概には特定できないが、流動性の基準と
なる尺度として、本発明においてはJIS Z2502
に規定されている漏斗よりフェライト顆粒50gを流下
させる時間(秒/50g)を用いて表す。本発明におけ
る良好な流動性とは、フェライト顆粒を噴霧乾燥により
造粒した場合には18〜24秒/50gの範囲であり、
またオシレーティング押し出しで造粒した場合には20
〜34秒/50gの範囲である。本発明によるフェライ
ト成形用顆粒は、これらの範囲を満足する良好な流動性
を有する。
【0044】本発明のフェライト焼結体の製造方法は、
前記した本発明のフェライト顆粒を成形後焼成してフェ
ライト焼結体を製造する。
【0045】
【実施例】以下、本発明を実施例および比較例に基づい
てさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に
よって何ら限定されるものではない。
【0046】〔造粒材料の調整〕表1に実施例及び比較
例でフェライト焼結体を製造するために用いたフェライ
ト原料粉末の添加量、水の添加量、バインダー成分の添
加量並びにその他の諸元、可塑剤の添加量並びにその他
の諸元及び滑剤の添加量を示した。
【0047】
【表1】
【0048】〔造粒1(実施例1〜6、比較例1〜
3)〕実施例1〜6については、表1に示した原料番号
1〜6の原料を用い、比較例1〜3については、原料番
号9〜11の原料を用いた。なお、表1に示してはいな
いが、実施例1〜6、比較例1〜3で用いたフェライト
原料粉末は、Mn−Mg−Zn系のフェライトである。
【0049】また、これらの実施例及び比較例について
は、表1に示したフェライト原料粉末、水、バインダー
成分、可塑剤及び滑剤の他に、分散剤としてポリカルボ
ン酸アンモニウム塩を0.25質量部添加している。
【0050】これらのフェライト原料粉末、水、バイン
ダー成分、可塑剤、滑剤及び分散剤を湿式混合してフェ
ライトスラリーを調整した。このフェライトスラリーを
スプレードライヤー(噴霧造粒機)にて噴霧乾燥し、平
均粒径125ミクロン、含有水分0.2質量%の球形の
フェライト顆粒を得た。このとき、直径100mmのデ
ィスク式アトマイザを用いて、アトマイザの回転速度は
6000rpmで造粒を行った。
【0051】〔造粒2(実施例7〜8、比較例4〜
5)〕実施例7〜8については、表1に示した原料番号
7〜8の原料を用い、比較例4〜5については、原料番
号12〜13の原料を用いた。なお、表1に示してはい
ないが、これらの実施例及び比較例で用いたフェライト
原料粉末は、Mn−Mg−Zn系のフェライトである。
【0052】これらのフェライト原料粉末、バインダー
成分、可塑剤及び滑剤を混合し攪拌造粒機TMミキサー
(三井鉱山社製)で混合攪拌造粒を行い、造粒粉を調整
した。
【0053】この造粒粉をベルト式乾燥機で乾燥処理
し、オシレーティング造粒解砕機(日本精機社製)で押
し出し造粒を行い、シフターにて整粒し、平均粒径20
0ミクロン、含有水分1.0質量%のフェライト顆粒を
得た。
【0054】〔造粒3(実施例9〜14、比較例6〜
8)〕実施例9〜14については、表1に示した原料番
号1〜6の原料を用い、比較例6〜8については、原料
番号9〜11の原料を用いた。なお、表1に示してはい
ないが、これらの実施例及び比較例で用いたフェライト
原料粉末は、Mn−Zn系のフェライトである。
【0055】また、これらの実施例及び比較例について
は、表1に示したフェライト原料粉末、水、バインダー
成分、可塑剤及び滑剤の他に、分散剤としてポリカルボ
ン酸アンモニウム塩を0.25質量部添加している。
【0056】これらのフェライト原料粉末、水、バイン
ダー成分、可塑剤、滑剤及び分散剤を湿式混合してフェ
ライトスラリーを調整した。このフェライトスラリーを
スプレードライヤー(噴霧造粒機)にて噴霧乾燥し、平
均粒径100ミクロン、含有水分0.2質量%の球形の
フェライト顆粒を得た。このとき、直径100mmのデ
ィスク式アトマイザを用いて、アトマイザの回転速度は
6500rpmで造粒を行った。
【0057】〔造粒4(実施例15〜16、比較例9〜
10)〕実施例15〜16については、表1に示した原
料番号7〜8の原料を用い、比較例9〜10について
は、原料番号12〜13の原料を用いた。なお、表1に
示してはいないが、これらの実施例及び比較例で用いた
フェライト原料粉末は、Mn−Zn系のフェライトであ
る。
【0058】これらのフェライト原料粉末、バインダー
成分、可塑剤及び滑剤を混合し攪拌造粒機TMミキサー
(三井鉱山社製)で混合攪拌造粒を行い、造粒粉を調整
した。
【0059】この造粒粉をベルト式乾燥機で乾燥処理
し、オシレーティング造粒解砕機(日本精機社製)で押
し出し造粒を行い、シフターにて整粒し、平均粒径20
0ミクロン、含有水分1.0質量%のフェライト顆粒を
得た。
【0060】〔流動度の測定〕得られたフェライト顆粒
の流動度をJIS Z2502に規定されている漏斗よ
り、フェライト顆粒50gを流下させる時間(秒/50
g)を測定することで評価した。実施例1〜8、比較例
1〜5の測定結果を表2に示す。同様に実施例9〜1
6、比較例6〜10の測定結果を表3に示す。
【0061】フェライト顆粒の流動度は、全実施例及び
比較例8を除いた全比較例において、前記の良好な範囲
(噴霧乾燥:18〜24秒/50g、オシレーティング
押し出し:20〜34秒/50g)を満たしていた。
【0062】〔フェライト顆粒の成形〕ついで、得られ
たフェライト顆粒をそれぞれ98MPaの圧力で乾式加
圧成形し、長さ55mm、幅12mm、高さ5mmの直
方体状のブロック状フェライト成形体を得た。このブロ
ック状フェライト成形体の抗折強度を加重試験機(アイ
コーエンジニアリング社製)を用いてJIS R160
1に規定されている方法に従い測定した。実施例1〜
8、比較例1〜5の測定結果を表2に示す。同様に実施
例9〜16、比較例6〜10の結果を表3に示す。
【0063】抗折強度は、フェライト成形体の機械的強
度の尺度であり、この値が高いほど、フェライト成形体
の機械的強度が高いことを示している。実施例1〜16
で得られたフェライト成形体の抗折強度は1.5〜1.
9MPaの範囲に分布しており、比較例1〜10よりも
明らかに良好であった。
【0064】〔成形圧力と成形体密度との関係〕次に、
得られたフェライト顆粒1.5gを直径6mmの金型に
充填し、成形圧力49MPa〜294MPaの間で変化
させ、乾式加圧成形することにより、直径6mm、長さ
16〜19mmの円柱状のフェライト成形体を作製し、
このサンプルについて、成形圧力と成形体密度との関係
を求めた。成形圧力98MPaでの成形体密度の結果を
表2及び表3に示す。
【0065】表2,3より、実施例1〜16で得られた
フェライト成形体は比較例1〜10より得られたフェラ
イト成形体よりも明らかに成形体密度が高い。これは、
実施例より得られたフェライト成形体は、フェライト顆
粒同士の密着性が高く、顆粒粒界が小さいため成形体密
度が高くなっていると思われる。
【0066】また、実施例1、実施例7、比較例1、比
較例4の成形圧力と成形体密度との関係を図1に、実施
例9、実施例15、比較例6、比較例9の成形圧力と成
形体密度との関係を図2に示す。
【0067】図1によれば、実施例1,実施例7は全区
間で、比較例1、比較例4よりも高い成形体密度を示し
た。また、実施例、比較例の区別なく、成形圧力が10
0MPa付近までは、成形圧力の増加とともに比較的急
峻にフェライト成形体密度が増加する。成形圧力が10
0MPaを超えると、成形圧力の増加に対するフェライ
ト成形体密度の増加は緩やかになる。また、4本のグラ
フはほぼ平行に推移していることから、フェライト成形
体密度は成形圧力を増加させたとしても逆転することは
ないことが推測される。
【0068】図2によれば、実施例9、実施例15は全
区間で、比較例6、比較例9よりも高い成形体密度を示
した。
【0069】〔側面の写真〕また、実施例1、比較例1
より得られたフェライト顆粒1.5gを直径6mmの金
型に充填し、成形圧力147MPaで成形し、直径6m
m長さ16〜19mmの円柱状フェライト成形体を作製
した。続いて、成形したフェライト成形体側面のフェラ
イト顆粒のつぶれ状態を走査型電子顕微鏡(SEM)で
観察した結果を図3に示す。図3(a)、(b)、
(c)は実施例1の条件で造粒したフェライト顆粒を成
形したフェライト成形体の上部、中間部、下部の各側面
を示す。また、図3(d)、(e)、(f)は、比較例
1の条件で造粒したフェライト顆粒を成形したフェライ
ト成形体の上部、中間部、下部の各側面を示す。
【0070】同様に、実施例9、比較例6の成形圧力1
47MPaで造粒したフェライト成形体のフェライト顆
粒のつぶれ状態をSEMで観察した結果を図4に示す。
図4(g)、(h)、(i)は実施例9の条件で造粒し
たフェライト顆粒を成形したフェライト成形体の上部、
中間部、下部の各側面を示す。また図4(j)、
(k)、(l)は、比較例6の条件で造粒したフェライ
ト顆粒を成形したフェライト成形体の上部、中間部、下
部の各側面を示す。
【0071】ここで、「上部」、「中間部」、「下部」
とは、金型の押圧手段からの相対的な距離を示してお
り、「上部」とは、円柱状フェライト成形体の押圧手段
近傍の側面を示し、「下部」とは、押圧手段から最も離
れた円柱状フェライト成形体の底面近傍の側面を示し、
「中間部」とは、上部と下部の中間付近の側面を示す。
【0072】図3(a),(b),(c)及び図4
(g)、(h)、(i)より、実施例1及び実施例9に
おいては、いずれの観察箇所においてもフェライト顆粒
の顆粒粒界が小さいことが確認できる。それに対し比較
例1及び比較例6では図3(d),(e),(f)及び
図4(j)、(k)、(l)より判るように、フェライ
ト顆粒の顆粒粒界が大きく、観察箇所によりその大きさ
が異なっていることが分かる。これは、比較例1及び比
較例6では、フェライト顆粒の低圧つぶれ性が実施例1
及び実施例9よりも劣っていることを示しているととも
に、フェライト顆粒の圧力伝達性が悪く、金型の押圧手
段により加えられた成形圧力が、下部にまで均一に伝達
しなかったことを示している。
【0073】〔成形体の焼結1〕さらに、実施例1〜
8、比較例1〜5で得られたフェライト顆粒をそれぞれ
98MPa近傍の圧力で調整しながら乾式加圧成形し、
外形21mm、内計12mm、厚さ7mmのリング状フ
ェライト成形体を成形した。次いでこれらを1300℃
の温度において2時間焼成し、リング状コアを製作し
た。
【0074】〔磁心損失の測定1〕次に、これらのリン
グ状コアの磁心損失Pcvを、64kHz、50mT、
100℃の条件下で、B−Hアナライザー(岩崎通信社
製 SY−8216)により測定した。得られた磁心損
失Pcvを表2に示す。
【0075】〔成形体の焼結2〕さらに、実施例9〜1
6、比較例6〜10で得られたフェライト顆粒をそれぞ
れ98MPa近傍の圧力で調整しながら乾式加圧成形
し、外形31mm、内計19mm、厚さ8mmのリング
状フェライト成形体を成形した。これらを酸素分圧を制
御した雰囲気中で1300℃にて5時間焼成し、リング
状コアを作製した。
【0076】〔磁心損失の測定2〕次に、これらのリン
グ状コアの磁心損失Pcvを、100kHz、200m
T、75℃の条件下で、B−Hアナライザー(岩崎通信
社製 SY−8216)により測定した。得られた磁心
損失Pcvを表3に示す。
【0077】
【表2】
【0078】
【表3】
【0079】〔吸水率の測定〕また、これらのリング状
コアの吸水率を、JIS C2141に準じた方法で測
定した。すなわち、試験片となるリング状コアを105
〜120℃で乾燥後、デシケーター中で室温に戻し、乾
燥質量W1を測定し、その後、リング状コアを水中に沈
め、煮沸して冷却した後、表面の水分をガーゼにより拭
き取って飽水試験片を得てその質量W2を測定し、吸水
率(%)を次式から求めた。 吸水率=100×(W2−W1)/W1 得られた吸水率を表2および表3に示す。
【0080】〔吸水率と磁心損失Pcvとの関係につい
て〕図5に表2(実施例1〜8、比較例1〜5)の吸水
率と磁心損失Pcvとの関係を散布図として示す。吸水
率が0.2%以下であれば、この例の組成のフェライト
(Mn−Mg−Zn系フェライト)において、80kW
/m3以下の低い磁心損失Pcvのコアが得られること
がわかる。さらに70kW/m3以下のより低い磁心損
失Pcvのコアを得るためには、吸水率が0.1質量%
以下にすればよいことがわかる。
【0081】同様に図6に表3(実施例9〜16、比較
例6〜10)の吸水率と磁心損失Pcvとの関係を散布
図として示す。吸水率が0.2質量%以下であれば、こ
の例の組成のフェライト(Mn−Zn系フェライト)に
おいて、310kW/m3以下の低い磁心損失Pcvの
コアが得られることがわかる。さらに、290kW/m
3以下のより低い磁心損失Pcvのコアを得るために
は、吸水率が0.1質量%以下であることが好ましい。
【0082】〔まとめ〕表2〜3、図1〜6の結果か
ら、バインダー成分としてエチレン変性ポリビニルアル
コールを加えてフェライト顆粒を得、そのフェライト顆
粒によりフェライト成形体を成形することにより、顆粒
粒界が少ない高密度で、かつ機械的強度の高いフェライ
ト成形体が得られる。したがって、成形時に発生しやす
い欠け、ヒビ等の成形不良を大幅に低減できる。また、
このフェライト成形体を焼成することにより、緻密で空
隙の少ない、すなわち吸水率が少ないフェライト焼結体
が得られる。そのため、フェライト焼結体内の欠陥の減
少により、磁心損失Pcvが大幅に改善されたフェライ
ト焼結体が得られた。
【0083】
【発明の効果】本発明のフェライト焼結体の製造方法に
よれば、吸水率が0.2質量%以下のフェライト焼結体
を得ることが可能となる。このような低い吸水率を有す
るフェライト焼結体は、顆粒粒界の低減により磁心損失
を低く抑えることが可能となる。
【0084】また、本発明によれば、フェライト原料粉
末とバインダー成分として添加され、エチレン変性量が
4〜10モル%、平均重合度が500〜1700、平均
鹸化度が92〜97モル%のエチレン変性ポリビニルア
ルコールとを混合してフェライト成形用顆粒を造粒する
ことで、造粒方法によらず、流動性、低圧つぶれ性、耐
スティッキング性、耐崩壊性及び金型への充填性に優れ
たフェライト成形用顆粒を提供することが可能となる。
【0085】また、このフェライト成形用顆粒を成形し
たフェライト成形体は高い密度と機械的強度を有する。
【図面の簡単な説明】
【図1】 フェライト成形体の成形体密度と成形圧力と
の関係を示すグラフである。
【図2】 フェライト成形体の成形体密度と成形圧力と
の関係を示すグラフである。
【図3】 円柱状フェライト焼結体の側面部における走
査型電子顕微鏡写真である。
【図4】 円柱状フェライト焼結体の側面部における走
査型電子顕微鏡写真である。
【図5】 吸水率と磁心損失Pcvとの関係を示す散布
図である。
【図6】 吸水率と磁心損失Pcvとの関係を示す散布
図である。

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 フェライト原料粉末と、エチレン変性量
    が4〜10モル%、平均重合度が500〜1700、平
    均鹸化度が92〜97モル%のエチレン変性ポリビニル
    アルコールとを混合し造粒してなるフェライト成形用顆
    粒の型成形体を焼成してなるフェライト焼結体であり、
    吸水率が0.2質量%以下であることを特徴とするフェ
    ライト焼結体。
  2. 【請求項2】 フェライト原料粉末と、エチレン変性量
    が4〜10モル%、平均重合度が500〜1700、平
    均鹸化度が92〜97モル%のエチレン変性ポリビニル
    アルコールとを混合してフェライト成形用顆粒を造粒
    し、該顆粒を金型により成形しフェライト成形体とし、
    このフェライト成形体を焼成して、吸水率が0.2質量
    %以下のフェライト焼結体を得ることを特徴とするフェ
    ライト焼結体の製造方法。
  3. 【請求項3】 請求項1または請求項2記載のフェライ
    ト成形用顆粒において、前記エチレン変性ポリビニルア
    ルコールの添加量が、前記フェライト原料粉末100質
    量部に対して0.4〜2質量部であることを特徴とする
    フェライト成形用顆粒。
  4. 【請求項4】請求項1ないし請求項3のいずれか一項に
    記載のフェライト成形用顆粒において、分子量が100
    0〜6000のポリエチレングリコールが前記フェライ
    ト原料粉末100質量部に対して0.1〜0.5質量部
    添加されていることを特徴とするフェライト成形用顆
    粒。
  5. 【請求項5】 請求項1ないし請求項4記載のいずれか
    一項に記載のフェライト成形用顆粒において、平均粒子
    径が1μm以下の水分散性ワックスが前記フェライト原
    料粉末100質量部に対して0.1〜1.0質量部添加
    されていることを特徴とするフェライト成形用顆粒。
  6. 【請求項6】 請求項1または請求項2記載のフェライ
    ト焼結体が、Mn−Zn系フェライトまたはMn−Mg
    −Zn系フェライトからなり、偏向ヨーク用フェライト
    であることを特徴とするフェライト焼結体。
  7. 【請求項7】 請求項1または請求項2記載のフェライ
    ト焼結体がMn−Zn系フェライトからなり、トランス
    用フェライトであることを特徴とするフェライト焼結
    体。
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