JP2002328224A - 偏光子保護フィルム - Google Patents

偏光子保護フィルム

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JP2002328224A
JP2002328224A JP2001134927A JP2001134927A JP2002328224A JP 2002328224 A JP2002328224 A JP 2002328224A JP 2001134927 A JP2001134927 A JP 2001134927A JP 2001134927 A JP2001134927 A JP 2001134927A JP 2002328224 A JP2002328224 A JP 2002328224A
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film
polarizer
protective film
thermoplastic resin
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JP2001134927A
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Inventor
Masaaki Nakamura
正明 中村
Minoru Shimokawa
稔 下川
Hiroshi Awaji
弘 淡路
Katsuyuki Tanaka
克之 田中
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Kanegafuchi Chemical Industry Co Ltd
Original Assignee
Kanegafuchi Chemical Industry Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 水分透過率(透湿度)の小さい保護フィルム
を偏光子フィルムに安定的に積層する。 【解決手段】 偏光子フィルムの片面あるいは両面に積
層して使用される、70℃・90%RHにおける透湿度
が500g/(m2・24hr)以下の偏光子保護フィ
ルムであり、偏光子フィルムとの対向面の純水との接触
角が50度未満である、偏光子保護フィルム。偏光子フ
ィルムとの対向面は、アルカリ処理面、コロナ処理面、
UVオゾン処理面が好ましく、また、光学特性は、位相
差値が0から20nm、光線透過率が85%以上、ヘー
ズが2%以下が好ましい。また、樹脂組成は、好ましく
は、(A)側鎖に置換または非置換イミド基を有する熱
可塑性樹脂、および(B)側鎖に置換または非置換フェ
ニル基及びニトリル基を有する熱可塑性樹脂を含有す
る。前記(A)の熱可塑性樹脂は、好ましくは、オレフ
ィン成分と側鎖に置換または非置換イミド基を有する成
分からなる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は偏光子保護フィルム
およびこれを用いた偏光板に関する。
【0002】
【従来の技術】直線偏光板は、透過する光のうちで特定
の振動方向をもつ直線偏光のみを透過させ、その他の直
線偏光を遮蔽する機能を有する材料であり、例えば液晶
表示装置を構成する部品の一つとして広く使用されてい
る。このような直線偏光板としては、偏光子フィルムと
保護フィルムとが積層された構成をもつものが一般的に
使用されている。
【0003】前記偏光子フィルムとは、特定の振動方向
をもつ直線偏光のみを透過する機能を有するフィルムで
あり、例えばポリビニルアルコール(以下PVAとい
う)フィルム等を延伸し、ヨウ素や二色性染料などで染
色したフィルムが一般に使用されている。
【0004】前記保護フィルムとは、偏光子フィルムを
保持して偏光板全体に実用的な強度を付与するなどの機
能を担うものであり、例えばトリアセチルセルロース
(以下TACという)フィルムなどが一般に使用されて
いる。なお、この保護フィルムのことを業界では支持体
あるいは支持体フィルムと称することもある。
【0005】偏光子フィルムは、吸湿によって偏光性能
が低下しやすいきらいがあるため、従来のTACフィル
ムよりも水分透過率(透湿度)の小さいフィルム素材を
保護フィルムとして用いることにより、貼合後の外部か
らの吸湿を抑制して偏光子フィルムの性能低下を少なく
しようとする試みがなされている。
【0006】また、偏光板は、偏光板通過後の光が高精
度の直線偏光であることが要求されるため、保護フィル
ムが不要な位相差を生じることは好ましくない。TAC
フィルムも基本的には位相差が小さいものが使われてい
るものの、外部応力の作用によって位相差の変化を生じ
るきらいがあるため、従来のTACフィルムよりも光弾
性係数の小さいフィルム素材を保護フィルムとして用い
ることにより、貼合後の応力負荷による位相差変化を抑
制して偏光板の性能低下を少なくしようとする提案がな
されている。
【0007】一例を挙げると、特開平7−77608号
公報では、80℃、90%RHの透湿度が200g/m
2・24hr・100μ以下で、かつ光弾性係数が1×
10- 11cm2/dyne以下である保護フィルムを用い
て、偏光板の耐湿熱性を向上させることが開示されてい
る。
【0008】一方、これらの偏光子フィルムと保護フィ
ルムとは接着剤層を介して貼合され、保護フィルムは偏
光子フィルムの片面または両面に積層された形態で使用
される。接着剤層を構成する接着剤としては、水溶性の
PVA系接着剤等が使用されるのが一般的である。工業
的な積層方法としては、偏光子フィルムおよび保護フィ
ルムをロール搬送し、貼合工程において両フィルム間に
接着剤を塗布して加圧密着により貼合した後、所定の乾
燥工程を経て一体化した偏光板をえる方法が一般に用い
られている。
【0009】前記態様においては、偏光子フィルムと保
護フィルムとの接着強度が充分に高いことが必要であ
り、保護フィルムに対しては接着剤の濡れ性が良好であ
ること、接着剤との接着強度が高いこと等が要求され
る。例えば、前記TACフィルムにおいても、そのまま
使用すると接着剤の濡れ性が充分でない、貼合後の接着
強度が充分に得られない等の理由から、予め接着しよう
とする面をアルカリ液に浸漬してケン化処理をしてから
用いられているのが実状である。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】しかし、従来から提案
されている水分透過率(透湿度)の小さいフィルム素材
や光弾性係数の小さい素材をそのまま単純に保護フィル
ムとして用いようとしても、偏光子フィルムとの接着力
が充分にえられず、保護フィルムとしての機能発現が不
充分となりやすかった。
【0011】そこで本発明者は、従来技術の欠点を改良
し、保護フィルムとしての要求性能を損なわずに接着力
を付与できる技術について、鋭意検討した。
【0012】
【課題を解決するための手段】その結果、特定の高分子
フィルムの表面の純水との接触角が50度未満とするこ
とにより、偏光子フィルムとの接着性を改善し、かつ耐
久性に優れた偏光板がえられることを見出し、本発明に
至った。
【0013】すなわち、本発明は、偏光子フィルムの片
面あるいは両面に積層して使用される70℃・90%R
Hにおける透湿度が500g/(m2・24hr)以下
の偏光子保護フィルムであり、偏光子フィルムとの対向
面の純水との接触角が50度未満である偏光子保護フィ
ルムを提供する。
【0014】ここで、偏光子フィルムとの対向面は、好
ましくは、アルカリ処理面である。
【0015】また、偏光子フィルムとの対向面は、好ま
しくは、コロナ処理面である。
【0016】また、偏光子フィルムとの対向面は、好ま
しくは、UVオゾン処理面である。
【0017】また、本発明の偏光子保護フィルムの光学
特性は、好ましくは、位相差値が0から20nm、光線
透過率が85%以上、ヘーズが2%以下である。
【0018】また、本発明の偏光子保護フィルムは、好
ましくは、(A)側鎖に置換または非置換イミド基を有
する熱可塑性樹脂、および(B)側鎖に置換または非置
換フェニル基及びニトリル基を有する熱可塑性樹脂を含
有する樹脂組成物からなる。
【0019】前記(A)の熱可塑性樹脂は、好ましく
は、オレフィン成分と側鎖に置換または非置換イミド基
を有する成分からなる。
【0020】本発明のさらに他の側面によれば、偏光子
フィルムの少なくとも片面に、前記本発明の偏光子保護
フィルムが積層してなる偏光板が提供される。
【0021】
【発明の実施の形態】偏光板内部への水分侵入を抑制す
るという観点から、本発明の偏光子保護フィルムの70
℃・90%RHにおける透湿度は500g/(m2・2
4hr)以下であることが好ましい。より好ましくは4
50g/(m2・24hr)以下、更に好ましくは40
0g/(m2・24hr)以下である。また一方で、偏
光子保護フィルムの接着には、水系の接着剤が用いられ
る場合が多く、透湿度が低すぎると水系接着剤の乾燥が
遅延するおそれがある。従って、透湿度は50g/(m
2・24hr)以上が好ましく、より好ましくは100
g/(m2・24hr)以上、更に好ましくは200g
/(m2・24hr)以上である。
【0022】また、本発明の偏光子保護フィルムを用い
てえられる偏光板の偏光性能を十分に確保できるという
観点から、前記高分子フィルムの位相差値は20nm以
下が好ましく、10nm以下であることがより好まし
い。
【0023】本発明の偏光子保護フィルムを用いてえら
れる偏光板の透過光量を十分に確保できるという観点か
ら、前記高分子フィルムの光線透過率は85%以上であ
ることが好ましく、ヘーズは2%以下であることが好ま
しい。
【0024】光線透過率は100%が理想的であるが、
現実的には95%あるいは95%を多少下回っても偏光
子保護フィルムとして大きな問題とはならない。しかし
ながら85%を下回ると偏光板の性能低下を招くおそれ
がある。従って光線透過率は85%以上が好ましく、よ
り好ましくは87%以上、特に89%以上が好ましい。
【0025】また、ヘーズは0%が理想的であるが、現
実的には、0.1%あるいは0.1%を多少上回っても
偏光子保護フィルムとして大きな問題とはならない。し
かしながら、2%を越えると偏光が乱れるおそれがあ
る。従ってヘーズは2%以下が好ましく、より好ましく
は1.5%以下、特に1%以下が好ましい。
【0026】上記の透湿度を満足するフィルムは、フィ
ルムの樹脂組成だけで決まるものではなく、フィルム厚
みも影響するが、樹脂組成としてはポリカーボネート樹
脂、ポリアリレート樹脂、ポリスルホン樹脂、ポリエー
テルスルホン樹脂、ノルボルネン樹脂、ポリスチレン樹
脂、ポリアクリレート樹脂、ポリメタクリレート樹脂、
ポリエステル樹脂、あるいは(A)側鎖に置換または非
置換イミド基を有する熱可塑性樹脂や、(B)側鎖に置
換または非置換フェニル基及びニトリル基を有する熱可
塑性樹脂を例示することができ、これらを単独または混
合して用いることができる。
【0027】より好ましくはノルボルネン系樹脂、
(A)側鎖に置換または非置換イミド基を有する熱可塑
性樹脂、(B)側鎖に置換または非置換フェニル基及び
ニトリル基を有する熱可塑性樹脂が挙げられ、以下に詳
述する樹脂組成物は、透湿度の他に、上記した位相差値
や光線透過率、ヘーズの特性に優れた高分子フィルムを
得やすいために特に好ましい。
【0028】前記した特に好ましい高分子フィルムは、
(A)側鎖に置換または非置換イミド基を有する熱可塑
性樹脂、および(B)側鎖に置換または非置換フェニル
基及びニトリル基を有する熱可塑性樹脂を含有する樹脂
組成物からえることができる。
【0029】前記熱可塑性樹脂(A)は、側鎖に置換ま
たは非置換イミド基を有する熱可塑性樹脂である。側鎖
に置換または非置換イミド基を有することによって光学
特性や耐熱性などの点で好ましい特性バランスを発現で
きる。前記熱可塑性樹脂(A)は、少なくとも1種のオ
レフィン(アルケン)から誘導される繰り返し単位と少
なくとも1種の置換あるいは非置換マレイミド構造を有
する繰り返し単位とを含有するオレフィン−マレイミド
共重合体(二元もしくはそれ以上の多元共重合体)であ
ることが好ましい。さらには、前記オレフィン−マレイ
ミド共重合体は、下記式(1)
【0030】
【化1】 (式中、R1、R2およびR3は、それぞれ独立に、水素
または炭素数1〜8のアルキル基を示す。)で表される
繰り返し単位と、下記式(2)
【0031】
【化2】 (式中、Rは、水素、炭素数1〜18のアルキル基、ま
たは炭素数3〜12のシクロアルキル基を示し、好まし
くは、炭素数1〜18のアルキル基、または炭素数3〜
12のシクロアルキル基を示す。)で表される繰り返し
単位を含有することが好ましい。
【0032】式(1)の繰り返し単位(以下、オレフィ
ン単位という)に対応するオレフィンは、下記式
(3):
【0033】
【化3】 (式中、R1、R2およびR3は、それぞれ独立に、水素
または炭素数1〜8のアルキル基を示す。)で表され
る。
【0034】前記オレフィンの具体例としては、イソブ
テン、2−メチル−1−ブテン、2−メチル−1−ペン
テン、2−メチル−1−ヘキセン、2−メチル−1−ヘ
プテン、1−イソオクテン、2−メチル−1−オクテ
ン、2−エチル−1−ペンテン、2−エチル−2−ブテ
ン、2−メチル−2−ペンテン、2−メチル−2−ヘキ
セン他が挙げられる。これらのオレフィンは、単独で、
あるいは2種以上組合せて用いることができる。
【0035】前記式(2)の繰り返し単位(以下、マレ
イミド単位という)に対応するマレイミド化合物は、下
記式(4):
【0036】
【化4】 (式中、Rは、水素、炭素数1〜18のアルキル基、ま
たは炭素数3〜12のシクロアルキル基を示し、好まし
くは、炭素数1〜18のアルキル基、または炭素数3〜
12のシクロアルキル基を示す。)で表される。
【0037】前記マレイミド化合物の具体例としては、
マレイミド、並びにN−メチルマレイミド、N−エチル
マレイミド、N−n−プロピルマレイミド、N−i−プ
ロピルマレイミド、N−n−ブチルマレイミド、N−i
−ブチルマレイミド、N−s−ブチルマレイミド、N−
t−ブチルマレイミド、N−n−ペンチルマレイミド、
N−n−ヘキシルマレイミド、N−n−ヘプチルマレイ
ミド、N−n−オクチルマレイミド、N−ラウリルマレ
イミド、N−ステアリルマレイミド、N−シクロプロピ
ルマレイミド、N−シクロブチルマレイミド、N−シク
ロペンチルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミ
ド、N−シクロヘプチルマレイミド、N−シクロオクチ
ルマレイミド等のN−置換マレイミド他が挙げられる。
これらのマレイミド化合物は、単独で、または2種以上
を組み合わせて用いることができる。マレイミド化合物
としては、N−置換マレイミド(式(4)において、R
が水素以外の基)が特に好ましい。
【0038】前記熱可塑性樹脂(A)は、上記オレフィ
ンとマレイミド化合物とを既知の重合方法により重合さ
せることにより製造することができる。この重合には、
グラフト重合も含まれる。あるいは、熱可塑性樹脂
(A)は、上記オレフィンと無水マレイン酸とを常法に
従って重合させて前駆重合体とした後、これにアミン化
合物を反応させて前駆重合体の無水マレイン酸部位をイ
ミド化させることによっても製造することができる。そ
の場合に使用するアミン化合物としては、前記式(2)
のマレイミド単位におけるイミド部位に対応するアミン
を用いることができ、具体的には、R−NH2(ただ
し、Rは、式(2)に同じ。)で表されるアミン化合
物、例えばメチルアミン、エチルアミン、n−プロピル
アミン、i−プロピルアミン、n−ブチルアミン、s−
ブチルアミン、t−ブチルアミン、シクロヘキシルアミ
ン等のアルキルアミンやアンモニアの他、ジメチル尿
素、ジエチル尿素等を好ましく例示することができる。
この場合にも、前記オレフィン単位とマレイミド単位を
有する共重合体が得られる。
【0039】前記熱可塑性樹脂(A)は、前記オレフィ
ン単位とマレイミド単位以外の成分として、他の共重合
性単量体を共重合成分として含有することができる。他
の共重合性単量体を光学的特性を損なわない程度に含有
させることにより、熱可塑性樹脂(A)の耐熱性を向上
させたり、機械的強度を増大させたりすることができ
る。前記共重合性単量体の具体例としては、アクリル酸
メチルやアクリル酸ブチルのようなアクリル酸エステル
単量体、メタクリル酸メチルやメタクリル酸シクロヘキ
シルのようなメタクリル酸エステル単量体、酢酸ビニル
等のビニルエステル単量体、メチルビニルエーテルのよ
うなビニルエーテル単量体等のビニル単量体、並びに無
水マレイン酸のような不飽和二重結合を有する酸無水物
等が挙げられる。これらの共重合性単量体は、単独ある
いは2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0040】前記熱可塑性樹脂(A)は、ランダム共重
合体、ブロック共重合体、グラフト共重合体、交互共重
合体のいずれであってもよいが、少なくとも一部が交互
共重合体構造であることは好ましい。前記熱可塑性樹脂
(A)は、式(1)におけるR1が水素であり、R2およ
びR3がそれぞれメチル基であるオレフィン単位すなわ
ちイソブチレン単位と、式(2)におけるRがメチル
基、エチル基、イソプロピル基およびシクロヘキシル基
から選ばれたアルキル基である1種以上のマレイミド単
位とを含有する共重合体であることが好ましく、さらに
は、イソブチレン単位と、N−メチルマレイミド単位と
を含有する共重合体であることが好ましい。
【0041】前記熱可塑性樹脂(A)におけるマレイミ
ド単位の含有量としては、30モル%以上80モル%未
満であることが好ましく、より好ましくは、40モル%
以上60モル%以下である。マレイミド単位の含有量が
この範囲を逸脱すると、得られる位相差フィルムの耐熱
性や機械的強度が損なわれるおそれがある。
【0042】また、マレイミド単位とオレフィン単位と
の合計量としては、熱可塑性樹脂(A)の70モル%以
上であることが好ましい。
【0043】前記熱可塑性樹脂(A)の分子量は、1×
104以上5×105以下の重量平均分子量であることが
好ましい。
【0044】前記熱可塑性樹脂(A)のガラス転移温度
は、好ましくは80℃以上、より好ましくは100℃以
上、さらに好ましくは130℃以上であることが好まし
い。
【0045】前記オレフィン−マレイミド共重合体は、
既述のようにそれ自体既知の方法で製造することがで
き、例えば特開平5−59193号公報、特開平5−1
95801号公報、特開平6−136058号公報およ
び特開平9−328523号公報に記載されているよう
に、オレフィンとマレイミド化合物とを直接共重合させ
たり、その一方の重合体に他方をグラフト共重合した
り、あるいは前述した前駆重合体に対してアミン化合物
を反応させてイミド結合を導入することによって製造す
ることができる。前記熱可塑性樹脂(B)としては、ア
クリロニトリル・スチレン系の共重合体を好ましく用い
ることができる。特に好ましくは、熱可塑性樹脂(B)
は、下記式(5)で示される不飽和ニトリル単位と下記
式(6)で示されるスチレン系単位を含む。
【0046】
【化5】 (式中、R4およびR5は、それぞれ独立に、水素または
炭素数1〜8のアルキル基を示す。)
【0047】
【化6】 (式中、R6およびR7は、それぞれ独立に、水素または
炭素数1〜8のアルキル基を示し、R8は、水素、炭素
数1〜8のアルキル基、ハロゲン、水酸基、アルコキシ
基またはニトロ基を示す。) 上記の好ましい熱可塑性樹脂(B)を構成する不飽和ニ
トリル化合物の好ましい例としては、アクリロニトリル
やメタクリロニトリルのようなα−置換不飽和ニトリル
化合物、フマロニトリルのようなα,β−二置換オレフ
ィン性不飽和結合を有するニトリル化合物などが挙げら
れる。
【0048】上記の好ましい熱可塑性樹脂(B)を構成
するスチレン系化合物の好ましい例としては、スチレ
ン、ビニルトルエン、メトキシスチレンまたはクロロス
チレン等の非置換または置換スチレン系化合物や、α−
メチルスチレン等のα−置換スチレン系化合物などが挙
げられる。
【0049】前記アクリロニトリル・スチレン系の共重
合体は、必要に応じて第三成分を含有していてもかまわ
ない。たとえば、フィルムの可撓性を向上させるために
ブチルアクリレート等のアクリル系単量体やエチレン、
プロピレン等のオレフィン系単量体などを一種または二
種以上を共重合させることができる。耐熱性を向上させ
るために、フェニルマレイミド等のN置換マレイミドな
どを共重合成分として用いることができる。
【0050】前記熱可塑性樹脂(B)は、これら単量体
を直接共重合することにより得ることができるが、スチ
レン系または不飽和ニトリル系重合体に、該当する単量
体をグラフト共重合させてもかまわない。また、ゴム弾
性を有するアクリル系重合体にスチレン系単量体や不飽
和ニトリル系単量体をグラフト重合させる事により好ま
しい共重合体を得ることができる。特に好ましい単量体
は、不飽和ニトリル成分がアクリロニトリルであり、ス
チレン系単量体がスチレンである。これら共重合体はA
S樹脂やAAS樹脂として知られている。
【0051】前記熱可塑性樹脂(B)は、1×104
いし5×105の重量平均分子量を有することが好まし
い。
【0052】前記熱可塑性樹脂(B)において、好まし
い共重合体中の不飽和ニトリル系成分の含有量としては
20〜60重量%が望ましく、より好ましくは20〜5
0重量%である。また、スチレン系成分の含有量として
は、40〜80重量%が好ましく、より好ましくは50
〜80重量%である。特に、前者が20〜30重量%
で、後者が70〜80重量%の場合は更に好ましい結果
を与える。スチレン系やニトリル系の成分がこの範囲を
超えると、本発明のフィルム中の分子の配向による位相
差が大きくなり、本発明の目的を達成できなくなるおそ
れがある。さらには、熱可塑性樹脂(A)との相溶性が
乏しくなり、得られるフィルムのヘーズが大きくなる傾
向となる。
【0053】第3成分は、これを添加する場合は、熱可
塑性樹脂(B)中の含有率は5モル%以上、30モル%
以下であることが好ましい。ニトリル系やスチレン系の
特に好ましい成分は用いる熱可塑性樹脂(A)及び
(B)により異なる。
【0054】熱可塑性樹脂(A)が主としてイソブチレ
ン及びN−メチルマレイミドからなる共重合体であり、
熱可塑性樹脂(B)が主としてアクリロニトリル及びス
チレンからなる共重合体である場合は、アクリロニトリ
ル及びスチレンの含有量を、好ましくは20〜50重量
%、より好ましくは25〜40重量%とし、また、スチ
レンの含有量を、好ましくは50〜80重量%、より好
ましくは60〜75重量%、とする事により、驚くべき
事に、広い組成範囲で良好な相溶性を示し、フィルムと
した場合、全光線透過率85%以上かつヘイズが2%以
下のフィルムを得ることができる。特に、アクリロニト
リルの含有量を26〜29重量%とし、また、スチレン
の含有量を71〜74重量%とする事により、熱可塑性
樹脂(B)は該熱可塑性樹脂(A)と0〜80重量%の
組成範囲で良好な相溶性を示し、驚くべき事に、全光線
透過率90%以上かつヘイズ1%以下と極めて透明なフ
ィルムを得ることができる。
【0055】分子の配向による位相差の小さいフィルム
を得るには、該熱可塑性樹脂(A)と熱可塑性樹脂
(B)との組成比が重要である。好ましい組成比は、一
般的には、該熱可塑性樹脂(A)の含有量は50〜80
重量%、より好ましくは、55〜75重量%、更に好ま
しくは55〜70重量%であり、該熱可塑性樹脂(B)
の含有量は20〜50重量%、より好ましくは、25〜
45重量%、更に好ましくは30〜45重量%である。
熱可塑性樹脂(A)と熱可塑性樹脂(B)は前者50〜
80重量%に対して、後者20〜50重量%の割合で配
合することが好ましく、前者55〜65重量%に対し
て、後者35〜45重量%の割合が特に好ましい。
【0056】本発明に用いられる高分子フィルムは、必
要に応じて、可塑剤、熱安定剤、紫外線吸収剤やフィラ
ー等の公知の添加剤やその他の化合物を本発明の効果を
損なわない範囲で含有することができる。
【0057】本発明に用いられるフィルムは、熱可塑性
樹脂(A)、熱可塑性樹脂(B)および必要に応じて用
いられる前記添加剤やその他の化合物とからなる樹脂組
成物を用いて、例えば、溶融押出し法、インフレーショ
ン法、溶液流延法等の公知の方法でフィルム化すること
によってえることができる。なかでも、フィルムの厚み
ムラが小さいフィルムを比較的容易にえることができる
という観点からは溶液流延法によることが好ましい場合
がある。
【0058】溶液流延法によりフィルム化する場合、前
記樹脂組成物を溶剤に溶解したのち、支持体上に流延し
た後、乾燥してフィルムとする。好ましい支持体として
は、ステンレス鋼のエンドレスベルトや、ポリイミドフ
ィルムや二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム
等のようなフィルムを用いることができる。
【0059】必要に応じて、予備乾燥したフィルムを支
持体から剥離し、さらに乾燥することもできる。フィル
ムの乾燥は、一般には、フロート法や、テンターあるい
はロール搬送法が利用できる。フロート法の場合、フィ
ルム自体が複雑な応力を受け、光学的特性の不均一が生
じやすい。また、テンター法の場合、フィルム両端を支
えているピンあるいはクリップの距離により、溶剤乾燥
に伴うフィルムの幅収縮と自重を支えるための張力を均
衡させる必要があり、複雑な幅の拡縮制御を行う必要が
ある。一方、ロール搬送法の場合、安定なフィルム搬送
のためのテンションは原則的にフィルムの流れ方向(M
D方向)にかかるため、応力の方向を一定にしやすい特
徴を有する。従って、フィルムの乾燥は、ロール搬送法
によることが最も好ましい。
【0060】前記溶剤としては、前記樹脂組成物の良溶
媒であれば特に制限はなく、周知の種々の溶剤から選択
して用いることができる。塩化メチレンやトリクロロエ
タン等のハロゲン化炭化水素系溶剤は樹脂材料を溶解し
やすく、また沸点も低いため好適な溶剤の一つである。
また、ジメチルホルムアミドやジメチルアセトアミド等
の極性の高い非ハロゲン系の溶剤も用いることができ
る。さらに、トルエン、キシレンやアニソール等の芳香
族系や、ジオキサン、ジオキソラン、テトラヒドロフラ
ンやピラン等の環状エーテル系、メチルエチルケトン等
のケトン系の溶剤も使用可能である。これら溶剤は相互
に混合して用いることもでき、また、アルコール等の非
溶剤を混合して、溶剤の蒸発速度を制御することも、表
面性の優れたフィルムを得るためには好ましい方法であ
る。
【0061】前記高分子フィルムは、例えば強度をより
高くするなどの目的に応じて、前述した方法で得られた
フィルムを公知の延伸方法によって一軸または多軸延伸
して配向処理を行うことが好ましい場合がある。フィル
ム面内の強度の異方性をできるだけ小さくしたままで強
度を高めたいという観点で延伸処理を行う場合、二軸ま
たは多軸延伸を行うことが好ましい場合がある。
【0062】またフィルム化の際に、必要に応じて可塑
剤、熱安定剤、紫外線安定剤等の添加剤を加えることが
できる。
【0063】前記可塑剤の具体例としては、フタル酸ジ
メチル、フタル酸ジエチル、フタル酸ジ−n−ブチル、
フタル酸ジ−n−オクチル、フタル酸ジ−n−エチルヘ
キシル、フタル酸ジイソオクチル、フタル酸ジ−n−オ
クチル、フタル酸ジ−n−デシル、フタル酸ジイソデシ
ル、フタル酸ジ−n−ドデシル、フタル酸ジイソトリデ
シル、フタル酸ジシクロヘキシル、フタル酸ブチルベン
ジル、フタル酸ジ−2−エチルヘキシル、イソフタル酸
ジ−2−エチルヘキシルなどのフタル酸系可塑剤、アジ
ピン酸ジ−n−デシル、アジピン酸ジイソデシル、アジ
ピン酸ジ−2−エチルヘキシル、アゼライン酸ジ−2−
エチルヘキシル、セバシン酸ジブチル、セバシン酸ジ−
2−エチルヘキシルなどの脂肪族二塩基酸系可塑剤、リ
ン酸トリブチル、リン酸トリ−2−エチルヘキシル、リ
ン酸−2−エチルヘキシル、リン酸トリクレジールなど
のリン酸エステル系可塑剤、エポキシ化大豆油、エポキ
シ化トール油脂肪酸−2−エチルヘキシルなどのエポキ
シ系可塑剤、ステアリン酸ブチル、オレイン酸ブチル、
塩素化パラフィン、塩素化脂肪酸メチルなどの脂肪酸エ
ステル系可塑剤、ポリエチレングリコールジメチルエー
テル、ポリエチレングリコール安息香酸エステル、エス
テル基を含有する高分子化合物(アジピン酸、セバシン
酸、フタル酸等の2塩基酸と1,2−プロピレングリコ
ール、1,3−プロピレングリコール等の重縮合物)な
どの高分子系可塑剤等が挙げられる。これら可塑剤の中
でも、芳香族基を含まない可塑剤、例えばアジピン酸ジ
−n−デシル、アジピン酸ジイソデシル、アジピン酸ジ
−2−エチルヘキシル、アゼライン酸ジ−2−エチルヘ
キシル、セバシン酸ジブチル、セバシン酸ジ−2−エチ
ルヘキシル、リン酸トリブチル、リン酸トリ−2−エチ
ルヘキシル、リン酸−2−エチルヘキシル、リン酸トリ
クレジル、エポキシ化大豆油、エポキシ化トール油脂肪
酸−2−エチルヘキシル、ステアリン酸ブチル、オレイ
ン酸ブチル、塩素化パラフィン、塩素化脂肪酸メチル、
ポリエチレングリコールジメチルエーテル、あるいはエ
ステル基を含有する高分子化合物(アジピン酸、セバシ
ン酸等の二塩基酸と1,2−プロピレングリコール、
1,3−プロピレングリコール等の重縮合物)等の可塑
剤が好ましい。
【0064】前記可塑剤は、可視領域短波長側に吸収を
持たないため、位相差の波長依存性に悪影響を与えない
ため、特に好ましい添加剤である。前記可塑剤は、高分
子フィルム100重量部に対して通常2〜20重量部添
加される。20重量部を超えると、連続的にロールフィ
ルムを延伸する際の位相差値の安定性が損なわれる傾向
となる。
【0065】本発明の偏光子保護フィルムは、偏光子フ
ィルムとの対向面の純水との接触角が50度未満である
ことが好ましい。接触角が大きい場合には、偏光子フィ
ルムとの十分な接着力が得られず、良好な光学特性や低
透湿度であっても偏光子保護フィルムとしては課題を有
するフィルムとなる。接触角は、40度未満がより好ま
しく、30度未満が更に好ましい。特に好ましくは、2
5度未満である。本発明者らが知り得る限り、接触角は
低いほど接着性が良くなり好ましいが、現実的には3度
以上である。
【0066】フィルムの接触角が大きい場合に、表面処
理を行って接触角を小さくしても良い。このような表面
処理としては、アルカリ処理、コロナ処理、プラズマ処
理、プライマー処理、UVオゾン処理、マット処理など
がある。これらの中で、アルカリ処理は、比較的短時間
の処理が可能で、処理効果も高いので好ましい。従っ
て、本発明の偏光子保護フィルムは、偏光子フィルムと
の対向面がアルカリ処理面であることが好ましい。ま
た、コロナ処理、UVオゾン処理は、常温の空気中で乾
式の処理が可能である点で好ましい。従って、本発明の
偏光子保護フィルムは、偏光子フィルムとの対向面が、
コロナ処理面あるいはUVオゾン処理面であることがが
好ましい。
【0067】フィルムに対するアルカリ処理の方法とし
て、水酸化ナトリウムや水酸化カリウムを水または水/
アルコール混合溶液に溶解してアルカリ溶液とし、この
溶液にフィルムを浸漬した後、水洗、乾燥する方法が一
般的であるが、この方法を本発明の偏光子保護フィルム
にも用いることができる。
【0068】前記アルカリ溶液の濃度は、特に制限はな
いが、処理速度面を考慮すると、1〜10Nとすること
が好ましい。
【0069】アルカリ溶液の温度も、処理速度に影響す
るが、20〜95℃が好ましく、より好ましくは30〜
95℃である。
【0070】アルカリ溶液に浸漬する時間は、濃度・温
度および所望の処理度合に応じて適宜選択すればよい
が、通常30秒〜20分とすることができる。浸漬時間
をより短縮したい場合は、アルカリ溶液中に、メタノー
ル、エタノール等のアルコール類やトリエタノールアミ
ンなどを共存させることが好ましい。
【0071】また、アルカリ成分として有機アルカリと
して知られている、水酸化テトラメチルアンモニウムな
どのテトラアルキルアンモニウム水酸化物、水酸化2−
ヒドロキシエチルトリメチルアンモニウムなどのヒドロ
キシアルキルトリアルキルアンモニウム水酸化物など有
機性アンモニウム水酸化物も、好適なアルカリとして用
いることができる。これら有機アルカリは水溶液、また
は、水とメチルアルコールなどとの混合溶液として用い
られ、必要に応じポリエチレングリコールなどの非イオ
ン系界面活性剤を併用することも可能である。
【0072】フィルムに対するコロナ処理の方法として
は、相対する電極の間に処理しようとするフィルムを置
き、電極間に高周波電圧を印加してコロナ放電を行わせ
ることによりフィルム表面をコロナ処理する方法が一般
的であるが、この方法を本発明の偏光子保護フィルムに
も用いることができる。
【0073】コロナ処理の条件は、フィルムの材質およ
び所望の処理度合に応じて適宜選択すればよいが、フィ
ルムの単位被処理面積あたりの放電量を通常0.5〜4
0kJ/m2以上とすることができる。
【0074】フィルムに対するUVオゾン処理の方法と
しては、処理しようとするフィルムの共存下に、185
nmおよび254nmの波長のUV光を放射できる高圧
水銀ランプ等を用いて、オゾンの発生および励起を行う
ことによりフィルム表面をオゾン処理する方法が一般的
であるが、この方法を本発明の偏光子保護フィルムにも
用いることができる。
【0075】UVオゾン処理の条件は、フィルムの材質
および所望の処理度合に応じて適宜選択すればよいが、
フィルムの単位被処理面積あたりのUV光出力量を通常
0.5〜50kJ/m2以上とすることができる。
【0076】本発明の偏光子保護フィルムは、通常、公
知のヨウ素系あるいは染料系の偏光子フィルムと接着剤
を介して積層貼合して使用することができる。前記接着
剤としては、ポリビニルアルコール系の化合物を主成分
とする水系接着剤を好適に用いることができる。
【0077】
【実施例】以下、本発明を実施例にて具体的に説明する
が、本発明はこれらの実施例に限定されるものではな
い。
【0078】尚、各特性値は以下のようにして測定し
た。
【0079】<高分子フィルムの水分透過率(透湿度)
>JIS Z0208記載の方法に準じて測定した。
【0080】<位相差>顕微偏光分光光度計(オーク製
作所(株)TFM−120AFT)を用い、測定波長5
15nmで測定した。
【0081】<光線透過率>JIS K7105−19
81の5.5記載の方法に準じて測定した。
【0082】<ヘイズ>JIS K7105−1981
の6.4記載の方法に準じて測定した。
【0083】<耐屈曲性>耐揉疲労測定装置(東洋精機
製作所製MIT−D)を用いて試験片に繰返し屈曲歪み
を与え、試験片が破断するまでの回数を測定した。
【0084】実施例1 イソブテンとN−メチルマレイミドから成る交互共重合
体(N−メチルマレイミド含量50モル%、ガラス転移
温度157℃)60重量部と、アクリロニトリル及びス
チレンの含量がそれぞれ28重量%、72重量%である
スチレン−アクリロニトリル共重合体40重量部とを溶
融混練してえた樹脂組成物を、Tダイ押出機(シリンダ
ー径40mm、L/D24)を用いて溶融押出フィルム
化し、厚さ約170μmの原反フィルムを得た。この原
反フィルムの位相差値は0nm、光線透過率は92%、
ヘイズは0.3%、耐屈曲性は6であった。
【0085】この原反フィルムを、延伸試験装置(東洋
精機製作所、X4HD−HT)を用いて延伸速度10c
m/分、延伸倍率1.8倍、延伸温度140℃の条件で
自由端縦一軸で延伸し、次いで同様の延伸条件で先の延
伸方向とは直交する方向に自由端一軸延伸を行って厚さ
50μmの延伸フィルムを得た。この延伸フィルム(高
分子フィルム−1)の位相差値は2nm、光線透過率は
92%、ヘイズは0.4%であり、40℃・90%RH
の透湿度は85g/(m2・24hr)、70℃・90
%RHの透湿度は365g/(m2・24hr)であっ
た。
【0086】この高分子フィルム−1を、85±5℃に
保った水酸化ナトリウムの水/メタノール混合溶液
(水:メタノール重量比70:30、水酸化ナトリウム
濃度40重量%)に30分間浸漬した後、充分に水洗し
て、アルカリ処理した保護フィルムをえた。該フィルム
表面の純水との接触角は20°であった。
【0087】PVAフィルムを延伸しヨウ素で染色した
偏光子フィルムの両面それぞれに、該保護フィルムをP
VA系接着剤の水溶液(ポバール117、12重量%)
を介して積層し、圧延ロールで密着させた後、70℃で
5分間乾燥して偏光板をえた。
【0088】えられた偏光板において、偏光子フィルム
と保護フィルムとは強固に接着しており、剥離を試みて
もフィルムが破断し、剥離できなかった。
【0089】また、えられた偏光板を60℃、90%R
Hの環境下に500時間放置した後の偏光板の状態を観
察した結果、色変化や色抜けがなく、フィルムの浮きや
剥がれもみられなかった。
【0090】実施例2 実施例1で用いた高分子フィルム−1を、放電電極1
4.6kJ/m2の放電量でコロナ処理して、コロナ処
理した保護フィルムをえた。該フィルム表面の純水との
接触角は27°であった。
【0091】PVAフィルムを延伸しヨウ素で染色した
偏光子フィルムの両面それぞれに、該保護フィルムをP
VA系接着剤の水溶液(ポバール117、12重量%)
を介して積層し、圧延ロールで密着させた後、70℃で
5分間乾燥して偏光板をえた。
【0092】えられた偏光板において、偏光子フィルム
と保護フィルムとは強固に接着しており、剥離を試みて
もフィルムが破断し、剥離できなかった。
【0093】また、えられた偏光板を60℃、90%R
Hの環境下に500時間放置した後の偏光板の状態を観
察した結果、色変化や色抜けがなく、フィルムの浮きや
剥がれもみられなかった。
【0094】実施例3 バッチ式UVオゾン処理装置(アイグラフィックス
(株)製、高圧水銀ランプ出力75W)を用いて、実施
例1で用いた高分子フィルム−1を、2分間UVオゾン
処理(単位面積当たりランプ出力:14.6kJ/
2)して、UVオゾン処理した保護フィルムをえた。
該フィルム表面の純水との接触角は23°であった。
【0095】PVAフィルムを延伸しヨウ素で染色した
偏光子フィルムの両面それぞれに、該保護フィルムをP
VA系接着剤の水溶液(ポバール117、12重量%)
を介して積層し、圧延ロールで密着させた後、70℃で
5分間乾燥して偏光板をえた。
【0096】えられた偏光板において、偏光子フィルム
と保護フィルムとは強固に接着しており、剥離を試みて
もフィルムが破断し、剥離できなかった。
【0097】また、えられた偏光板を60℃、90%R
Hの環境下に500時間放置した後の偏光板の状態を観
察した結果、色変化や色抜けがなく、フィルムの浮きや
剥がれもみられなかった。
【0098】比較例1 実施例1で用いた高分子フィルム−1を60±5℃に保
った水酸化ナトリウムの水溶液(水酸化ナトリウム濃度
10重量%)に2分間浸漬した後、充分に水洗して、ケ
ン化処理した高分子フィルム−2をえた。該フィルムの
表面の純水との接触角は58度であった。
【0099】PVAフィルムを延伸しヨウ素で染色した
偏光子フィルムの両面それぞれに、高分子フィルム−2
をPVA系接着剤の水溶液(ポバール117、12重量
%)を介して積層し、圧延ロールで密着させた後、70
℃で10分間乾燥して偏光子フィルムと高分子フィルム
との積層体をえた。
【0100】この積層体は、高分子フィルムと偏光子フ
ィルムとの間の接着が不充分であり、フィルム相互が横
ずれを生じる状態であった。
【0101】えられた積層体を60℃、90%RHの環
境下に500時間放置した後の偏光板の状態を観察した
結果、色変化や色抜けがひどいことに加えて、フィルム
の浮きや剥がれが激しく積層体の初期形状を保っていな
かった。
【0102】比較例2 厚さ80μm、70℃・90%RHにおける透湿度が1
700g/(m2・24hr)であるセルローストリア
セテートフィルムを、60±5℃に保った水酸化ナトリ
ウムの水溶液(水酸化ナトリウム濃度10重量%)に2
分間浸漬した後、充分に水洗して、ケン化処理したセル
ローストリアセテートフィルム(TACケン化フィル
ム)をえた。該TACケン化フィルムの表面の純水との
接触角は19度であった。
【0103】PVAフィルムを延伸しヨウ素で染色した
偏光子フィルムの両面それぞれに、TACケン化フィル
ムをPVA系接着剤の水溶液(ポバール117、12重
量%)を介して積層し、圧延ロールで密着させた後、7
0℃で10分間乾燥して偏光子フィルムとTACケン化
フィルムとを積層した偏光板をえた。
【0104】えられた偏光板において、偏光子フィルム
とTACケン化フィルムとは強固に接着しており、剥離
を試みてもフィルムが破断し、剥離できなかった。
【0105】えられた偏光板を60℃、90%RHの環
境下に500時間放置した後の偏光板の状態を観察した
結果、色変化や色抜けが著しく、偏光板の初期性能を保
っていなかった。
【0106】
【発明の効果】本発明の保護フィルムは、アルカリ処理
された面を偏光子フィルムに向け、接着剤好ましくは水
系接着剤を介して偏光子フィルムと貼合し、所定の乾燥
を経て偏光子フィルムとの一体化をなしうる。
【0107】本発明の偏光子保護フィルムは、透湿度が
小さい特長を保持しながら、優れた偏光子フィルムとの
接着加工性・接着強度を発現することができる。
【0108】本発明のフィルムは、接着剤と接する面の
水との接触角が50度未満であることにより、水系接着
剤の濡れ性を良好にすることができる。
【0109】本発明の偏光子保護フィルムを用いること
により、耐久性、具体的には耐湿熱性に優れた偏光板を
生産性良く製造することができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 2H049 BA02 BA27 BB19 BB39 BB43 BC01 BC03 BC14 BC22

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 偏光子フィルムの片面あるいは両面に積
    層して使用される、70℃・90%RHにおける透湿度
    が500g/(m2・24hr)以下の偏光子保護フィ
    ルムであり、偏光子フィルムとの対向面の純水との接触
    角が50度未満である、偏光子保護フィルム。
  2. 【請求項2】 偏光子フィルムとの対向面が、アルカリ
    処理面である、請求項1に記載の偏光子保護フィルム。
  3. 【請求項3】 偏光子フィルムとの対向面が、コロナ処
    理面である、請求項1に記載の偏光子保護フィルム。
  4. 【請求項4】 偏光子フィルムとの対向面が、UVオゾ
    ン処理面である、請求項1に記載の偏光子保護フィル
    ム。
  5. 【請求項5】 位相差値が0から20nm、光線透過率
    が85%以上、ヘーズが2%以下である、請求項1また
    は2に記載の偏光子保護フィルム。
  6. 【請求項6】 (A)側鎖に置換または非置換イミド基
    を有する熱可塑性樹脂、および(B)側鎖に置換または
    非置換フェニル基及びニトリル基を有する熱可塑性樹脂
    を含有する樹脂組成物からなる、請求項1〜3のいずれ
    かに記載の偏光子保護フィルム。
  7. 【請求項7】 (A)の熱可塑性樹脂が、オレフィン成
    分と側鎖に置換または非置換イミド基を有する成分から
    なる、請求項4に記載の偏光子保護フィルム。
  8. 【請求項8】 偏光子フィルムの少なくとも片面に、請
    求項1〜5に記載の偏光子保護フィルムが積層されてな
    る、偏光板。
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