JP2002327371A - 風合が改良されたメタ系全芳香族ポリアミド繊維構造物及びその製造方法 - Google Patents

風合が改良されたメタ系全芳香族ポリアミド繊維構造物及びその製造方法

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JP2002327371A
JP2002327371A JP2001129218A JP2001129218A JP2002327371A JP 2002327371 A JP2002327371 A JP 2002327371A JP 2001129218 A JP2001129218 A JP 2001129218A JP 2001129218 A JP2001129218 A JP 2001129218A JP 2002327371 A JP2002327371 A JP 2002327371A
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Saoaya Kuroda
幸乙綾 黒田
Yasunori Tatsuoka
康則 立岡
Shigeru Takahashi
茂 高橋
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Teijin Ltd
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Teijin Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 染色加工で硬化されたメタ系全芳香族ポリア
ミド繊維の風合を改良する方法及びその方法で製造され
た繊維構造物を提供する。 【解決手段】 メタ系全芳香族ポリアミド繊維は、アル
キルベンゼンスルホン酸オニウム塩及び芳香族縮合型ノ
ンハロゲン化リン酸エステル系の難燃剤を含み、メタ系
全芳香族ポリアミド繊維をカチオン染料等で染色した
後、或いは、染色時及び染色した後に、ソルビタン等の
多価アルコール型非イオン界面活性剤を含む処理液で還
元洗浄等の処理をする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、風合が改良された
メタ系全芳香族ポリアミド繊維構造物及びその製造方法
に関する。特に、染色加工によって風合が硬化してしま
ったメタ系全芳香族ポリアミド繊維構造物について、風
合が改良された繊維構造物及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】全芳香族ポリアミド(以下、アラミドと
略記する。)繊維には、コーネックス、ノーメックスに
代表されるメタ系アラミド繊維と、テクノーラ、ケブラ
ー、トワロンに代表されるパラ系アラミド繊維とがあ
る。
【0003】これらのアラミド繊維は、ナイロン6、ナ
イロン66等の従来から広く使用されている脂肪族ポリ
アミド繊維に比較して、剛直な分子構造と高い結晶性の
ために、耐熱性、耐炎性(難燃性)等の熱的性質、及
び、耐薬品性、強力な耐放射線性、電気特性等の安全性
に優れた性質を有している。従って、アラミド繊維は、
耐炎性や難燃性等の耐熱性を必要とする、防護服等の衣
料用、バグフィルター等の産業資材用及びカーテン等の
インテリア用等に広く使用されている。
【0004】しかしながら、アラミド繊維は分子鎖が剛
直且つ高結晶性であるため、後加工染色し難いという欠
点がある。このような欠点を解消すべく、従来からアラ
ミド繊維の染色法については数多く提案されているが(T
extile Research Journal Vol.56, p.254〜p.261,
1998、特公昭44−11168、特公昭52−4393
0)、これまで満足な結果は得られていない。従来に提
案された方法は、いずれも溶媒染色、キャリヤー染色、
極性溶媒による前処理後染色等であって、加工工程が複
雑であったり、作業環境が悪条件であったり、また近年
のエコロジー思想に相反したり、更には該処理により繊
維オリゴマーが析出する等の問題があった。
【0005】このような背景から、従来からアラミド繊
維のノンキャリヤー染色が要求されていた。例えば、特
開平8−81827号公報の易染性メタ型芳香族ポリア
ミド繊維では、ポリメタフェニレンイソフタルアミドを
主成分とするメタ型芳香族ポリアミド繊維に、アルキル
ベンゼンスルホン酸オニウム塩を添加することにより、
著しく染色性を向上させて、ノンキャリヤー染色を可能
にさせる。しかし、この方法では、良好な染色性が得ら
れるものの、難燃性が充分でなくなるという問題があっ
た。
【0006】また、特開2000−328364号公報
の易染性メタ型芳香族ポリアミド繊維では、メタ型芳香
族ポリアミドからなる繊維中にアルキルベンゼンスルホ
ン酸オニウム塩及び難燃性を向上させる縮合型ハロゲン
化リン酸エステルを含ませることによって、染色時の難
燃剤溶出抑制技術が提案されている。しかし、生産性、
特に長期生産性の点で充分ではなかった。
【0007】さらに、易染性メタ系アラミド繊維に、芳
香族縮合型ノンハロゲンリン酸エステルを難燃剤として
含ませた場合には、良好な染色性と難燃性とを兼備する
ことが可能であるが、染色加工時に若干量溶出する難燃
剤によって風合を損ねるという問題点があった。メタ系
アラミド繊維は、染色性や難燃性が良好なものが得られ
ても、染色加工により風合が硬化してしまい、ユニホー
ムや消防服などの衣料用途への展開が難しかった。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、この
ような従来技術の有する問題点を解消するために、アラ
ミド繊維、特にメタ系アラミド繊維を染色加工の際、多
価アルコール型非イオン界面活性剤を含む処理液で処理
することにより、アラミド繊維の優れた難燃性や防炎性
等の機能特性を損なわず、染色性良く仕上げ、染料吸尽
性を良く、染料利用率を高く染色することを可能とし、
更に、染色によって硬化した繊維の風合を改良して、風
合が良好である、メタ系アラミド繊維構造物及びその製
造方法を提供することである。
【0009】
【課題を解決するための手段】(1)染色されたメタ系
全芳香族ポリアミド繊維を多価アルコール型非イオン界
面活性剤を含む液で処理することを特徴とする、風合が
改良されたメタ系全芳香族ポリアミド繊維構造物の製造
方法。
【0010】(2)前記多価アルコール型非イオン界面
活性剤を含む液の多価アルコール型非イオン界面活性剤
の、濃度は1g/l以上、若しくは、使用量は1%ow
f以上である、(1)に記載の製造方法。
【0011】(3)前記多価アルコール型非イオン界面
活性剤は、グリセリン、ペンタエリスリット(ペンタエ
ルスリトール)、ソルビット、ソルビタン及びジエタノ
ールアミンのいずれか1つであることからなる、(1)
又は(2)に記載の製造方法。
【0012】(4)前記メタ系全芳香族ポリアミド繊維
の、前記多価アルコール型非イオン界面活性剤を含む液
による処理は、染色後の洗浄と同浴で行う(1)〜
(3)に記載の製造方法。
【0013】(5)前記染色後の洗浄が、還元洗浄であ
る(4)に記載の製造方法。
【0014】(6)前記染色後の洗浄が、浸漬攪拌処理
又は浸漬連続拡布処理である(4)又は(5)に記載の
製造方法。
【0015】(7)前記メタ系全芳香族ポリアミド繊維
の染色を、前記多価アルコール型非イオン界面活性剤の
共存下で行う、(1)〜(6)に記載の製造方法。
【0016】(8)前記メタ系全芳香族ポリアミド繊維
が、アルキルベンゼンスルホン酸オニウム塩を含むメタ
系全芳香族ポリアミド繊維である(1)〜(7)に記載
の製造方法。
【0017】(9)前記アルキルベンゼンスルホン酸オ
ニウム塩のオニウム塩が、テトラブチルホスホニウム塩
である(8)に記載の製造方法。
【0018】(10)前記メタ系全芳香族ポリアミド繊
維が、難燃剤を含むメタ系全芳香族ポリアミド繊維であ
る(8)又は(9)に記載の製造方法。
【0019】(11)前記難燃剤は、芳香族縮合型ノン
ハロゲン化リン酸エステル系の難燃剤である(10)に
記載の製造方法。
【0020】(12)前記メタ系全芳香族ポリアミド繊
維が、紫外線吸収剤を含むメタ系全芳香族ポリアミド繊
維である(1)〜(11)に記載の製造方法。
【0021】(13)染色され、多価アルコール型非イ
オン界面活性剤を含む液で処理されたメタ系全芳香族ポ
リアミド繊維構造物において、該繊維構造物の風合をJ
ISL1096−C法に準拠した方法によって曲げ反発
性(BS/BR)を評価した際、繊維構造物のループ硬さ
[BS:cN]及びループ反発率(BR:%)が、染色直後
に対して、処理後のループ硬さが5%以上柔軟化され、
かつ、ループ反発率が5%以上回復されていることを特
徴とする風合が改良されたメタ系全芳香族ポリアミド繊
維構造物。
【0022】
【発明の実施の形態】メタ系アラミドとは、主骨格を構
成する芳香環がアミド結合によりメタ型に結合されてい
るものである。本発明に用いるメタ系アラミドは、ポリ
マーの全繰返し単位の85モル%以上が、メタフェニレ
ンイソフタルアミド単位であるものを対象とし、特にポ
リメタフェニレンイソフタルアミドホモポリマーが好ま
しい。
【0023】ポリマーの全繰返し単位の15モル%以
下、好ましくは5モル%以下で共重合し得る第3成分と
しては、ジアミン成分として、例えばパラフェニレンジ
アミン、3,4'-ジアミノジフェニルエーテル、4,4'-ジア
ミノジフェニルエーテル、パラキシリレンジアミン、ビ
フェニレンジアミン、3,3'-ジクロルベンジジン、3,3'-
ジメチルベンジジン、3,4'-ジアミノジフェニルメタ
ン、4,4'-ジアミノジフェニルメタン、1,5-ナフタレン
ジアミン等の芳香族ジアミン等が、酸成分として、例え
ばテレフタル酸、ナフタレン-2,6-ジカルボン酸、ナフ
タレン-2,7-ジカルボン酸等の芳香族ジカルボン酸等が
ある。また、これらの芳香族ジアミン及び芳香族ジカル
ボン酸は、その芳香族環の水素原子の一部がハロゲン原
子やメチル基等のアルキル基によって置換されていても
よい。
【0024】ポリマーの全末端の20%以上が、アニリ
ン等の一価のアミン又は一価のカルボン酸成分で封鎖さ
れている場合には、メタ系アラミドを、特に高温下に長
時間保持しても、繊維の強力低下が小さくなるので好ま
しい。
【0025】このようなメタ系芳香族ポリアミドは、芳
香族ジアミンと芳香族ジカルボン酸ジハライドとを、例
えば従来公知の界面重合させる方法により製造すること
ができる。ポリマーの重合度としては、N−メチル−2
−ピロリドンを溶媒として30℃で測定した固有粘度
(IV)が0.8〜3.0、特に1.0〜2.0の範囲
にあるものが好ましい。
【0026】メタ系芳香族ポリアミドを、カチオン染料
で容易に染色できるようにするためには、アルキルベン
ゼンスルホン酸オニウム塩を含有させることが好まし
い。アルキルベンゼンスルホン酸オニウム塩のアルキル
基は、直鎖でも分枝を有していても良いが、その炭素数
は6〜18、特に8〜16の範囲が好ましい。アルキル
ベンゼンスルホン酸オニウム塩のオニウム塩としては、
特に第4級ホスホニウム塩又は第4級アンモニウム塩
が、良好な染色性が得られる点で好ましい。なかでも、
テトラブチルホスホニウム塩又はベンジルトリメチルア
ンモニウム塩は、入手性及び熱安定性が良好なので好ま
しい。
【0027】好ましく用いられるアルキルベンゼンスル
ホン酸オニウム塩としては、例えば、ヘキシルベンゼン
スルホン酸テトラブチルホスホニウム塩、ヘキシルベン
ゼンスルホン酸トリブチルベンジルホスホニウム塩、ド
デシルベンゼンスルホン酸テトラフェニルホスホニウム
塩、ドデシルベンゼンスルホン酸トリブチルテトラデシ
ルホスホニウム塩、ドデシルベンゼンスルホン酸テトラ
ブチルホスホニウム塩、ドデシルベンゼンスルホン酸ト
リブチルベンジルアンモニウム塩、オクチルベンゼンス
ルホン酸テトラブチルアンモニウム塩、ドデシルベンゼ
ンスルホン酸ジメチルジベンジルアンモニウム塩等があ
る。特に、ドデシルベンゼンスルホン酸テトラブチルホ
スホニウム塩及びドデシルベンゼンスルホン酸トリブチ
ルベンジルアンモニウム塩は、優れた染色性が得られる
うえに、染色物の堅牢性が良好であり、しかも、N−メ
チル−2−ピロリドンに対する溶解度も高いので好まし
い。
【0028】メタ系芳香族ポリアミド繊維中のアルキル
ベンゼンスルホン酸オニウム塩の含有量は、染色による
染着度をどの程度にするかによって変わるが、濃色に染
色できるようにするためには、全繰返し単位を基準とし
てメタ系芳香族ポリアミド繊維の繰返し単位に対して、
2.5モル%以上、好ましくは2.5モル%以上10.
0モル%以下、特に好ましくは3.0モル%以上7.0
モル%以下の範囲である。
【0029】メタ系芳香族ポリアミド繊維には、機能特
性を保持するために難燃剤や紫外線吸収剤が含まれてい
ても良い。特に、容易に染色するためにアルキルベンゼ
ンスルホン酸オニウム塩を含有する場合は、オニウム塩
の含有によって難燃性や耐光性が不十分となる傾向があ
るので、難燃剤や紫外線吸収剤をメタ系芳香族ポリアミ
ド繊維に含有させることは、難燃性や耐光性を増強させ
る点で、むしろ好ましいことである。
【0030】メタ系芳香族ポリアミド繊維に含ませる難
燃剤の好ましい具体例としては、化1で示される芳香族
縮合型ノンハロゲン化リン酸エステル系難燃剤を挙げる
ことができる。
【0031】
【化1】
【0032】メタ系芳香族ポリアミド繊維に含ませる紫
外線吸収剤としては、化2に例示された、2−[2−ヒ
ドロキシ−3,5−ビス(α、α−ジメチルベンジル)
フェニル]−2H−ベンゾトリアゾール等がある。
【0033】
【化2】
【0034】本発明の目的及び効果を損なわない範囲内
で、安定剤、酸化防止剤、難燃剤、帯電防止剤、蛍光増
白剤、触媒、着色剤、無機微粒子等を、ポリマーに添加
してもよい。
【0035】本発明は、メタ系アラミド繊維のみの繊維
構造物に限らず、メタ系アラミド繊維と他の繊維の混
綿、混紡、混編織物等にも実施することができる。本発
明の風合改良方法は、特に従来加工方法と比較すると、
環境、作業性、染色性、難燃性(防炎性)、風合、布帛
特性等、全ての面で高レベルである。ここで、繊維構造
物とは、織物、不織布、編物、レース、組物、フェル
ト、糸、綿等の繊維で構成されるすべての物をいう。
【0036】アラミド繊維に混合する繊維素材は、特に
限定はしないが、アラミド繊維の難燃性を生かす上で
は、難燃レーヨン、難燃加工綿、難燃ポリエステル、難
燃ビニロン、ノボラック等の難燃素材が好ましい。特に
難燃素材として、難燃レーヨン等のセルロース系を混合
すると、アラミド単独よりも高吸湿性となるので、快適
性の面でより好ましい。
【0037】本発明は、縫製品等の最終繊維製品加工に
も適用することができる。また、本発明で風合が改良さ
れたアラミド繊維を、他の繊維素材と、原綿で混紡して
もよいし、紡績糸やフィラメント形状のものと交織又は
交編してもよい。
【0038】本発明の染色方法において用いられる染料
は、例えば、カチオン染料、分散染料等が好ましく、特
に、カチオン染料が好ましい。カチオン染料とは、水に
可溶性で、塩基性を示す基を有する水溶性染料をいい、
アクリル繊維、天然繊維又はカチオン可染型ポリエステ
ル繊維等の染色に多く用いられている。カチオン染料と
しては、例えば、ジ及びトリアクリルメタン系、キノン
イミン(アジン、オキサジン、チアジン)系、キサンテ
ン系、メチン系(ポリメチン、アザメチン)、複素環ア
ゾ系(チアゾールアゾ、トリアゾールアゾ、ベンゾチア
ゾールアゾ)、アントラキノン系等がある。また、最近
では塩基性基を封鎖することにより水分散型にしたカチ
オン染料もあるが、この染料も用いることができる。
【0039】染色温度は、110℃以上150℃以下が
好ましく、120℃以上がより好ましい。染色温度が1
10℃以下であると、染色が不充分になる場合がある。
一方、染色温度が高いほど染着性は高まるものの、染料
の分解や、アラミド繊維と他の素材を複合している場合
には複合素材の劣化等の問題も発生し始めるので、高く
ても140℃であることが好ましい。
【0040】染色後の洗浄時、或いは、染色時及び染色
後の洗浄時に、多価アルコール型非イオン界面活性剤を
含む液で、繊維に本発明の処理をすることにより、繊維
の著しい風合い改良を得ることが可能である。特に、染
色後の洗浄時に、多価アルコール型非イオン界面活性剤
を含む液にて繊維を処理することの方が、染色時にも処
理することよりも、より風合が良好なものが得られ、好
ましい。
【0041】多価アルコール型非イオン界面活性剤と
は、水によく溶け、1分子中に複数の水酸基を有する有
機化合物(多価アルコール)に、脂肪酸等の疎水基を結
合させたものである。特に、例えば、グリセリン、ペン
タエリスリット(ペンタエルスリトール)、ソルビッ
ト、ソルビタン及びジエタノールアミン等の、2価乃至
6価のアルコール型非イオン界面活性剤が、好ましい。
さらに好ましくは、ソルビタンが有用である。
【0042】メタ系アラミド繊維を、多価アルコール型
非イオン界面活性剤が含まれた染色液による染色処理、
又は多価アルコール型非イオン界面活性剤が含まれた洗
浄液で染色後の洗浄処理をすることにより、染色可能な
メタ系アラミド繊維構造物に風合の柔軟化等の改良をす
ることが可能となる。特に、多価アルコール型非イオン
界面活性剤が含まれた洗浄液で、メタ系アラミド繊維を
染色後に洗浄処理する方が、風合の改良された全芳香族
ポリアミド繊維構造物の提供及びその製造方法として、
より好ましい。
【0043】非イオン界面活性剤を含む処理液による処
理は、特に限定されないが、浸漬攪拌処理、浸漬連続拡
布処理又は染色同浴処理等が好ましい。浸漬攪拌処理と
は、開放系又は密閉系での設備における処理をいい、主
にバッチ処理をさす。一方、浸漬連続拡布処理とは、開
放系又は密閉系での設備における連続拡布処理である。
また、染色同浴処理とは、染色後の洗浄時だけではな
く、染色時にも処理することであって、一般的に密閉
系、高圧下で処理が行われ、温度処理条件によっては常
圧下における密閉系での処理も行われる。また、これら
の方法によらず、非イオン界面活性剤を含む処理液に、
単に漬けるという処理によっても本発明の効果は得られ
る。
【0044】多価アルコール型非イオン界面活性剤を含
む処理液の多価アルコール型非イオン界面活性剤の濃度
は、1g/l、若しくは、使用量は1%owf(%ow
f;繊維に対する重量%)以上であればよいが、経済性
等を考慮すると、1g/l若しくは1%owf以上、1
0g/l以下が好ましい。さらに好ましくは、2g/l
若しくは2%owf以上、6g/l以下である。
【0045】染色されたメタ系アラミド繊維を洗浄する
方法としては、還元洗浄、ソーピング等が好ましい。特
に好ましくは、還元洗浄である。還元洗浄は、50℃以
上100℃以下で、20分間以上30分間以下での処理
が操業的に高効率で好ましく推奨する。特に、80℃で
20分間程度の還元洗浄の処理は、好ましい。
【0046】染色可能なメタ系全芳香族ポリアミド繊維
構造物を、多価アルコール型非イオン界面活性剤を含む
処理液で、洗浄等の処理をすることによって、繊維表面
に固着した不純物、特に単繊維間の拘束力及び/又は編
物や織物の交点部である交編織部の拘束力、を高める効
果を有する不純物、例えば難燃剤等に由来する不純物等
が除去され、メタ系全芳香族ポリアミド繊維構造物の風
合が改良されると考えられる。
【0047】
【実施例】以下、実施例により本発明を更に詳細に説明
するが、本発明はこれらによって限定されるものではな
い。実施例で行った被染色物の評価は、以下の方法に従
って行った。
【0048】染色性の評価は、マクベス(株)製のカラ
ー測色装置「マクベスカラーアイ(Macbeth COLOR-EY
E、商標名)モデルCE−3100」を用いて行った。
布帛全体の染色性としては、見掛けの色の濃さK/S及
び明度指数L*で表現した。K/Sは、染色された試料
の最大吸収波長における反射率(R)から、下記に示す
クーベルカムンク(Kubelka-Munk)の式により求めた。 K/S=(1−R)2/2R K/Sの値が大きい程、色は濃いことを示す。
【0049】また、明度指数L*は、JIS Z 87
01(2度視野XYZ系による色の表示方法)又はJI
S Z 8728(10度視野XYZ系による色の表示
方法)に規定する三刺激値のYを用いて、次式より求め
た。 L*=116(Y/Yn1/3−16 Y/Yn>0.008856 Y;XYZにおける三刺激値の値 Yn;完全拡散反射面の標準の光によるYの値 但し、Y/Ynが0.008856以下の場合は、次式
によった。 L*=903.29(Y/Yn) Y/Yn≦0.008856 明度指数L*は、数値が小さい程、濃染化されているこ
とを示す。
【0050】風合い評価としては、JIS L1096
−C法に準拠して、曲げ反発性(BS/BR)を評価し
た。風合改良処理のされていない染色後のものに比べ
て、ループ硬さ[BS;cN]が5%以上柔軟化され、ま
たループ反発率(BR;%)が5%以上回復化されてい
るかを評価した。
【0051】触感による風合い改良効果については、以
下の基準に従って評価した。 ○;風合い良化 △;風合いやや良化 ×;風合い硬化
【0052】防炎性(難燃性)の指標である限界酸素指
数(LOI)の評価は、JIS LK7201測定法に
準拠して、LOI値を求めた。
【0053】[実施例1]固有粘度(IV)が1.35
dl/gのポリ−m−フェニレンイソフタルアミド30
gを、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)110g
に溶解し、さらに3.6gのドデシルベンゼンスルフォ
ン酸トリブチルベンジルアンモニウム塩を混合溶解し、
減圧脱泡して紡糸ドープとした。固有粘度(IV)は、
N−メチル−2−ピロリドンを溶媒として0℃で測定し
た。
【0054】このドープを85℃に加温し、口径0.0
7ミリ、孔数200の紡糸口金から凝固浴に湿式紡糸し
た。凝固浴の組成は、塩化カルシウムが40重量%、N
MPが5重量%、残りの水は55重量%であった。凝固
浴の温度は、85℃であった。この糸条ポリマーを、凝
固浴中に約10cm走行させ、6.2m/分の速度で引
き出した。引き出した糸条ポリマーを、水洗し、95℃
の温水で3.5倍に延伸して、120℃のロールで乾燥
した後、280℃の熱板上で1.0倍延伸して、400
de/200フィラメント(44テックス/200フィ
ラメント)の延伸糸を得た。全延伸倍率は3.5倍であ
った。この延伸糸から得た短繊維から、紡績糸を作り、
この紡績糸を用い、常法に従って、経42本/インチ
(16本/cm)、緯46本/インチ(18本/cm)
で製織し、平織物を得た。
【0055】得られた平織物を、スコアロール400
(オレイルエーテル型非イオン界面活性剤、花王製、商
標名)1g/l、80℃で20分間精練した。水洗及び
乾燥後、190℃で1分間、プレ・セットした。次い
で、下記染浴で、常温から2℃/分の速度で昇温し、1
35℃で60分間染色処理した。 ・染料C.I. Basic Blue 54(Kayacryl Blue GSL-ED(日本化薬製、商標名)) 4%owf ・硝酸Na 25g/l ・酢酸 0.5ml/l 浴比1:30
【0056】次に、染色された試料を、多価アルコール
型非イオン界面活性剤であって、ソルビタンである、エ
スクードFR(商標名)を含む下記洗浄浴で、80℃×
20分間、還元洗浄した。 ・NaOH 1g/l ・ハイドロサルファイト 1g/l ・アミラジンD 1g/l (非イオン界面活性剤(ノニオン系)、第一工業製薬製、商標名) ・エスクードFR 3g/l(9%owf) (多価アルコール型非イオン界面活性剤、ソルビタン、商標名) 試料を還元洗浄後、充分水洗して乾燥し、ファイナル・
セット(180℃×1分間)をした。
【0057】[実施例2]実施例1において、多価アル
コール型非イオン界面活性剤(エスクードFR)の還元
洗浄時の併用量を5g/l(15%owf)とした以外
は、実施例1と同様に処理し評価した。
【0058】[実施例3]実施例1において、多価アル
コール型非イオン界面活性剤(エスクードFR)を染色
時の染色液中に3g/l(9%owf)併用し、次いで
通常条件で実施例1と同様に還元洗浄した以外は、実施
例1と同様に処理し評価した。
【0059】[実施例4]実施例1において、多価アル
コール型非イオン界面活性剤(エスクードFR)を染色
時の染色液中に5g/l(15%owf)併用し、次い
で通常条件で実施例1と同様に還元洗浄した以外は、実
施例1と同様に処理し評価した。
【0060】[比較例1]実施例1において、多価アル
コール型非イオン界面活性剤(エスクードFR)を使わ
なかった以外は、実施例1と同様に処理し評価した。
【0061】[比較例2]実施例1において、還元洗浄
時に、多価アルコール型非イオン界面活性剤(エスクー
ドFR)を使わずに、これに代えて、ポリエチレングリ
コール型(エチレンオキサイド系)非イオン界面活性剤
(スコアロール、花王製)を用いた。それ以外は、実施
例1と同様に処理し評価した。結果を、表1に示す。
【0062】
【表1】
【0063】表1が示すように、染色されたメタ系全芳
香族ポリアミド繊維構造物に本発明の方法を実施するこ
とにより、染色性や難燃性は比較例と変わらず、ループ
硬さ(BS)は5%以上柔軟化され、かつ、ループ反発
率(BR)は5%以上回復され、触感も良好であること
がわかる。
【0064】
【発明の効果】本発明は、アラミド繊維を染色加工する
際、染色後の洗浄時、或いは、染色時及び染色後の洗浄
時に、メタ系全芳香族ポリアミド繊維を多価アルコール
型非イオン界面活性剤を含む液で処理することにより、
難燃性(防炎性)等のアラミド繊維の優れた機能特性を
損なわず、染色性良く仕上げることは勿論のこと、染料
吸尽性が良く、染料利用率が高く染色することを可能と
し、処理環境や作業性についても従来法より良く、更に
は、染色によって硬化した繊維の風合を改良して、風合
が良好なアラミド繊維、特にメタ系アラミド繊維構造物
及びその処理方法を提供することが可能である。
【0065】また、本発明は、メタ系全芳香族ポリアミ
ド繊維にアルキルベンゼンスルホン酸オニウム塩を含む
ことにより、染色性良く仕上げることが可能である。
【0066】さらに、本発明は、メタ系全芳香族ポリア
ミド繊維に難燃剤を含むことにより、難燃性を増強させ
ることが可能である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) D06P 5/04 D06P 5/04 // D06M 101:36 D06M 101:36 (72)発明者 高橋 茂 大阪府茨木市耳原3丁目4番1号 帝人株 式会社大阪研究センター内 Fターム(参考) 4H028 AA35 AA42 AB01 BA06 4H057 AA02 BA03 CA12 CB13 CB18 CC02 CC03 DA01 DA22 4L033 AA08 AB03 AB05 AB06 AB07 AC02 AC15 BA12 4L048 AA25 AA48 AA49 AA50 AA56 CA01 CA02 CA03 CA12 DA03 DA24

Claims (13)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 染色されたメタ系全芳香族ポリアミド繊
    維を多価アルコール型非イオン界面活性剤を含む液で処
    理することを特徴とする、風合が改良されたメタ系全芳
    香族ポリアミド繊維構造物の製造方法。
  2. 【請求項2】 前記多価アルコール型非イオン界面活性
    剤を含む液の多価アルコール型非イオン界面活性剤の、
    濃度は1g/l以上、若しくは、使用量は1%owf以
    上である、請求項1に記載の風合が改良されたメタ系全
    芳香族ポリアミド繊維構造物の製造方法。
  3. 【請求項3】 前記多価アルコール型非イオン界面活性
    剤は、グリセリン、ペンタエリスリット(ペンタエルス
    リトール)、ソルビット、ソルビタン及びジエタノール
    アミンのいずれか1つであることからなる、請求項1又
    は2に記載の風合が改良されたメタ系全芳香族ポリアミ
    ド繊維構造物の製造方法。
  4. 【請求項4】 前記メタ系全芳香族ポリアミド繊維の、
    前記多価アルコール型非イオン界面活性剤を含む液によ
    る処理は、染色後の洗浄と同浴で行う請求項1〜3のい
    ずれか1項に記載の風合が改良されたメタ系全芳香族ポ
    リアミド繊維構造物の製造方法。
  5. 【請求項5】 前記染色後の洗浄が、還元洗浄である請
    求項4に記載の風合の改良されたメタ系全芳香族ポリア
    ミド繊維構造物の製造方法。
  6. 【請求項6】 前記染色後の洗浄が、浸漬攪拌処理又は
    浸漬連続拡布処理である請求項4又は5に記載の風合の
    改良されたメタ系全芳香族ポリアミド繊維構造物の製造
    方法。
  7. 【請求項7】 前記メタ系全芳香族ポリアミド繊維の染
    色を、前記多価アルコール型非イオン界面活性剤の共存
    下で行う請求項1〜6のいずれか1項に記載の風合が改
    良されたメタ系全芳香族ポリアミド繊維構造物の製造方
    法。
  8. 【請求項8】 前記メタ系全芳香族ポリアミド繊維が、
    アルキルベンゼンスルホン酸オニウム塩を含むメタ系全
    芳香族ポリアミド繊維である請求項1〜7のいずれか1
    項に記載の風合が改良されたメタ系全芳香族ポリアミド
    繊維構造物の製造方法。
  9. 【請求項9】 前記アルキルベンゼンスルホン酸オニウ
    ム塩のオニウム塩が、テトラブチルホスホニウム塩であ
    る請求項8に記載の風合が改良されたメタ系全芳香族ポ
    リアミド繊維構造物の製造方法。
  10. 【請求項10】 前記メタ系全芳香族ポリアミド繊維
    が、難燃剤を含むメタ系全芳香族ポリアミド繊維である
    請求項8又は9のいずれか1項に記載の風合が改良され
    たメタ系全芳香族ポリアミド繊維構造物の製造方法。
  11. 【請求項11】 前記難燃剤は、芳香族縮合型ノンハロ
    ゲン化リン酸エステル系の難燃剤である請求項10に記
    載の風合が改良されたメタ系全芳香族ポリアミド繊維構
    造物の製造方法。
  12. 【請求項12】 前記メタ系全芳香族ポリアミド繊維
    が、紫外線吸収剤を含むメタ系全芳香族ポリアミド繊維
    である請求項1〜11のいずれか1項に記載の風合が改
    良されたメタ系全芳香族ポリアミド繊維構造物の製造方
    法。
  13. 【請求項13】 染色され、多価アルコール型非イオン
    界面活性剤を含む液で処理されたメタ系全芳香族ポリア
    ミド繊維構造物において、該繊維構造物の風合をJIS
    L1096−C法に準拠した方法によって曲げ反発性
    (BS/BR)を評価した際、繊維構造物のループ硬さ
    [BS:cN]及びループ反発率(BR:%)が、染色直後
    に対して、処理後のループ硬さが5%以上柔軟化され、
    かつ、ループ反発率が5%以上回復されていることを特
    徴とする風合が改良されたメタ系全芳香族ポリアミド繊
    維構造物。
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