JP2023155980A - 織物および熱防護衣料 - Google Patents

織物および熱防護衣料 Download PDF

Info

Publication number
JP2023155980A
JP2023155980A JP2022065523A JP2022065523A JP2023155980A JP 2023155980 A JP2023155980 A JP 2023155980A JP 2022065523 A JP2022065523 A JP 2022065523A JP 2022065523 A JP2022065523 A JP 2022065523A JP 2023155980 A JP2023155980 A JP 2023155980A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
yarn
weft
warp
fabric
elongation
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2022065523A
Other languages
English (en)
Inventor
篤男 田村
Tokuo Tamura
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Teijin Ltd
Original Assignee
Teijin Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Teijin Ltd filed Critical Teijin Ltd
Priority to JP2022065523A priority Critical patent/JP2023155980A/ja
Publication of JP2023155980A publication Critical patent/JP2023155980A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Professional, Industrial, Or Sporting Protective Garments (AREA)
  • Yarns And Mechanical Finishing Of Yarns Or Ropes (AREA)
  • Woven Fabrics (AREA)

Abstract

【課題】難燃性および引張強さに優れる織物、および該織物を用いてなる熱防護衣料を提供する。【解決手段】破断強力および破断伸度が互いに異なる2種類以上の糸が、経糸および緯糸に配されてなる織物において、地糸の伸度と補強糸の伸度とを近づけることにより、織物の引張強さを地糸の引張強さと補強糸の引張強さとの総和に近づける。【選択図】図1

Description

本発明は、難燃性および引張強さに優れる織物、および該織物を用いてなる熱防護衣料に関する。
従来、メタ型全芳香族ポリアミド繊維を含む布帛は難燃性に優れるため、作業服や消防服など熱防護衣料として用いられている。また、メタ型全芳香族ポリアミド繊維とパラ型全芳香族ポリアミド繊維との混紡糸を用いた布帛は、引張強さが大きいだけでなく、ISO 15025 Procedure Aに代表される耐炎性試験において穴あきを防止することができることが知られている。また、メタ型全芳香族ポリアミド繊維、パラ型全芳香族ポリアミド繊維、およびポリベンゾオキサゾール繊維からなる混紡糸を用いた布帛は熱暴露後も布帛の柔軟性が保たれることが知られている。また、パラ型全芳香族ポリアミド長繊維とポリベンゾオキサゾール長繊維とを含む牽切加工糸を用いた布帛は優れた引裂強さを持つことが知られている(例えば、特許文献1、2)。
特開2007-92209号公報 特開2018-145545号公報
本発明者は、上記牽切加工糸を補強糸として用い、メタ型全芳香族ポリアミド繊維を含む糸を地糸(地組織を構成する糸)として用いた織物の場合、織物の引張強さが用いられた糸の引張強さの総和に及ばないという課題を発見した。そして、その原因について鋭意検討した結果、パラ型全芳香族ポリアミド繊維またはポリベンゾオキサゾール繊維のような高強力繊維は極めて低伸度であり、一方、メタ型全芳香族ポリアミド繊維を含む糸は比較的高伸度であるため、両者を含む織物の引張強さを測定すると、低伸度の補強糸が先に降伏点を迎えてしまうためであるということを見出した。
地糸は難燃性、遮熱性の発現において必須であり、織物中の地糸の総引張強さが補強糸の総引張強さに対しある程度寄与する場合、織物において両者の引張強さを有効に発現させることが重要である。
本願発明は、かかる新たな課題の発見をもとになされたものであり、その目的は、難燃性だけでなく引張強さにも優れた織物、および該織物を用いてなる繊維製品を提供することにある。
本発明者は上記の課題を達成するため鋭意検討した結果、本発明を完成するに至った。
かくして、本発明によれば「破断強力および破断伸度が互いに異なる2種類以上の糸が、経糸および緯糸に配されてなる織物であって、以下の要件(1)~(3)を全て満足することを特徴とする織物。」が提供される。
(1)織物の経糸および緯糸それぞれにおいて、各糸の破断強力と構成本数比との積が、経糸および緯糸ともに全ての糸の総和G対比0.2倍以上である。
(2)織物の経糸および緯糸それぞれにおいて、最も破断伸度が大きい糸の破断伸度をE1、最も破断伸度が小さい糸の破断伸度をE2とするとき、経糸および緯糸ともに(E1-E2)/E1の値が0.2以下である。
(3)織物の経糸および緯糸それぞれにおいて、本数密度をD(本/2.54cm)、織物の引張強さをT(N/5cm)とするとき、経糸および緯糸ともに(T-(G×D×5)/(2.54×100))/Tの値が、-0.1~0.1の範囲内である。
その際、織物の経糸および緯糸において、最も破断強力が大きい糸が撚糸されていることが好ましい。また、織物の経糸および緯糸において、最も破断強力が大きい糸が、長繊維からなる糸、または長繊維を牽切加工した糸であることが好ましい。また、織物の経糸および緯糸において、最も破断強力が大きい糸が、パラ型全芳香族ポリアミド繊維またはポリベンゾオキサゾール繊維を含み、かつ最も破断強力が小さい糸がメタ型全芳香族ポリアミド繊維を含むことが好ましい。
また、本発明によれば、前記の織物を含む熱防護衣料が提供される。
本発明によれば、難燃性だけでなく引張強さにも優れた布帛、および該織物を用いてなる繊維製品が得られる。
実施例1、比較例1で用いた織物組織図である。 実施例2、比較例2で用いた織物組織図である。
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。本発明の織物は、破断強力および破断伸度が互いに異なる2種類以上(好ましくは2~5種類、特に好ましくは2種類)の糸が、経糸および緯糸に配されてなる織物である。
ここで本発明では、織物の経糸および緯糸それぞれにおいて、最も破断強力が大きい糸を補強糸と称し、最も破断強力が小さい糸を地糸と称する。
まず、本発明の織物では、織物の経糸および緯糸それぞれにおいて、各糸の破断強力と構成本数比との積が、経糸および緯糸ともに全ての糸の総和G対比0.2以上であることが重要である。例えば、補強糸の破断強力をS1(cN)、地糸の破断強力をS2(cN)とし、それぞれの構成本数比をR1、R2としたとき(ただし、R1+R2=1である。)、(S1×R1)/Gの値が0.2以上であり、かつ(S2×R2)/Gの値が0.2以上である。ただし、総和G=(S1×R1)+(S2×R2)である。
なお、各糸の破断強力とは、同種の糸の破断強力を表し、構成本数比は同種の糸同士の構成本数比を表す。また、「全ての糸の総和G」とは、経糸(または緯糸)に配されている「各糸の破断強力と構成本数比との積」の経方向(または緯方向)の総和である。
また、織物の経糸および緯糸それぞれにおいて、最も破断伸度が大きい糸の破断伸度をE1、最も破断伸度が小さい糸の破断伸度をE2とするとき、経糸および緯糸ともに(E1-E2)/E1の値が0.2以下であることが重要である。この値が0.2よりも大きいと伸度差が大きいため、織物の引張強さが地糸の引張強さと補強糸の引張強さの総和に近づかないおそれがある。
また、織物の経糸および緯糸それぞれにおいて、本数密度をD(本/2.54cm)、織物の引張強さをT(N/5cm)とするとき、経糸および緯糸ともに(T-(G×D×5)/(2.54×100))/Tの値が、-0.1~0.1の範囲内であることが重要である。
本発明の織物において、織物の経糸および/または緯糸を構成する糸(地糸または補強糸)の形態は特に限定されず、マルチフィラメントと称される長繊維(長繊維からなる単繊維の集合体)またはその牽切加工糸でもよいし、紡績糸(多数の短繊維の集合体)でもよい。
本発明の織物において、地糸は、メタ型全芳香族ポリアミド繊維を含む紡績糸が好ましく、メタ型全芳香族ポリアミド繊維とパラ型全芳香族ポリアミド繊維とを含む紡績糸がより好ましく、メタ型全芳香族ポリアミド繊維とパラ型全芳香族ポリアミド繊維とポリベンゾオキサゾール繊維とを含む紡績糸が特に好ましい。
ここで、メタ型全芳香族ポリアミド繊維とは、その繰返し単位の85モル%以上がm-フェニレンイソフタルアミドであるポリマーからなる繊維である。かかるメタ型全芳香族ポリアミドは、15モル%未満の範囲内で第3成分を含んだ共重合体であってもよい。
このようなメタ型全芳香族ポリアミドは、従来から公知の界面重合法により製造することができ、そのポリマーの重合度としては、0.5g/100mlの濃度のN-メチル-2-ピロリドン溶液で測定した固有粘度(I.V.)が1.3~1.9dl/gの範囲のものが好ましく用いられる。
上記メタ型全芳香族ポリアミドにはアルキルベンゼンスルホン酸オニウム塩が含有されていてもよい。アルキルベンゼンスルホン酸オニウム塩としては、ヘキシルベンゼンスルホン酸テトラブチルフォスフォニウム塩、ヘキシルベンゼンスルホン酸トリブチルベンジルフォスフォニウム塩、ドデシルベンゼンスルホン酸テトラフェニルフォスフォニウム塩、ドデシルベンゼンスルホン酸トリブチルテトラデシルフォスフォニウム塩、ドデシルベンゼンスルホン酸テトラブチルフォスフォニウム塩、ドデシルベンゼンスルホン酸トリブチルベンジルアンモニウム塩等の化合物が好ましく例示される。なかでもドデシルベンゼンスルホン酸テトラブチルフォスフォニウム塩、又はドデシルベンゼンスルホン酸トリブチルベンジルアンモニウム塩は、入手しやすく、熱的安定性も良好なうえ、N-メチル-2-ピロリドンに対する溶解度も高いため特に好ましく例示される。
上記アルキルベンゼンスルホン酸オニウム塩の含有割合は、十分な染色性の改良効果を得るために、ポリ-m-フェニレンイソフタルアミドに対して2.5モル%以上、好ましくは3.0~7.0モル%の範囲にあるものが好ましい。
また、ポリ-m-フェニレンイソフタルアミドとアルキルベンゼンスルホン酸オニウム塩を混合する方法としては、溶媒中にポリ-m-フェニレンイソフタルアミドを混合、溶解し、それにアルキルベンゼンスルホン酸オニウム塩を溶媒に溶解する方法などが用いられそのいずれを用いてもよい。このようにして得られたドープは、従来から公知の方法により繊維に形成される。
メタ型全芳香族ポリアミド繊維に用いるポリマーは、染着性や耐変褪色性を向上させる等目的で、下記の式(1)で示される反復構造単位を含む芳香族ポリアミド骨格中に、反復構造の主たる構成単位とは異なる芳香族ジアミン成分、または芳香族ジカルボン酸ハライド成分を、第3成分として芳香族ポリアミドの反復構造単位の全量に対し1~10mol%となるように共重合させることも可能である。
-(NH-Ar1-NH-CO-Ar1-CO)- ・・・式(1)
ここで、Ar1はメタ配位または平行軸方向以外に結合基を有する2価の芳香族基である。
また、第3成分として共重合させることも可能であり、式(2)、(3)に示した芳香族ジアミンの具体例としては、例えば、p-フェニレンジアミン、クロロフェニレンジアミン、メチルフェニレンジアミン、アセチルフェニレンジアミン、アミノアニシジン、ベンジジン、ビス(アミノフェニル)エーテル、ビス(アミノフェニル)スルホン、ジアミノベンズアニリド、ジアミノアゾベンゼン等が挙げられる。式(4)、(5)に示すような芳香族ジカルボン酸ジクロライドの具体例としては、例えば、テレフタル酸クロライド、1,4-ナフタレンジカルボン酸クロライド、2,6-ナフタレンジカルボン酸クロライド、4,4’-ビフェニルジカルボン酸クロライド、5-クロルイソフタル酸クロライド、5-メトキシイソフタル酸クロライド、ビス(クロロカルボニルフェニル)エーテルなどが挙げられる。
N-Ar2-NH ・・・式(2)
N-Ar2-Y-Ar2-NH ・・・式(3)
XOC-Ar3-COX ・・・式(4)
XOC-Ar3-Y-Ar3-COX ・・・式(5)
ここで、Ar2はAr1とは異なる2価の芳香族基、Ar3はAr1とは異なる2価の芳香族基、Yは酸素原子、硫黄原子、アルキレン基からなる群から選ばれる少なくとも1種の原子または官能基であり、Xはハロゲン原子を表す。
また、メタ型全芳香族ポリアミド繊維の結晶化度は、染料の吸尽性がよく、より少ない染料でまたは染色条件が弱くても狙いの色に調整し易いという点で、5~35%であることが好ましい。さらには、染料の表面偏在が起こり難く耐変褪色性も高い点および実用上必要な寸法安定性も確保できる点で15~25%であることがより好ましい。
また、メタ型全芳香族ポリアミド繊維の残存溶媒量は、メタ型全芳香族ポリアミド繊維の優れた難燃性能を損なわない点で、0.1質量%以下(より好ましくは0.001~0.1質量%)であることが好ましい。
かかるメタ型全芳香族ポリアミド繊維として、優れた耐光堅牢度を得る上で国際公開公報第2013/061901号パンフレットに記載されているような原着メタ型全芳香族ポリアミド繊維が好ましい。
すなわち、本発明に用いられる顔料としては、アゾ系、フタロシアニン系、ペリノン系、ペリレン系、アンスラキノン系等の有機顔料、あるいは、カーボンブラック、群青、ベンガラ、酸化チタン、酸化鉄等の無機顔料が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
また、メタ型全芳香族ポリアミドと顔料との混合方法は、アミド系溶媒中に顔料を均一分散したアミド系溶媒スラリーを作製し、当該アミド系溶媒スラリーをメタ型全芳香族ポリアミドがアミド系溶媒に溶解した溶液に添加する方法、あるいは顔料粉末を直接、メタ型全芳香族ポリアミドがアミド系溶媒に溶解した溶液に添加する方法等が挙げられるが、特に限定されるものではない。
顔料配合量としては、メタ型全芳香族ポリアミドに対して10.0質量%以下、好ましくは5.0質量%以下である。10.0質量%より多く添加した場合には、得られる繊維の物性が低下するおそれがある。
前記のようなメタ型全芳香族ポリアミド繊維は以下の方法により製造することができ、特に後述する方法により、結晶化度や残存溶媒量を上記範囲とすることができる。
メタ型全芳香族ポリアミドポリマーの重合方法としては、特に限定する必要はなく、例えば特公昭35-14399号公報、米国特許第3360595号公報、特公昭47-10863号公報などに記載された溶液重合法、界面重合法を用いてもよい。
紡糸溶液としては、とくに限定する必要はないが、上記溶液重合や界面重合などで得られた、芳香族コポリアミドポリマーを含むアミド系溶媒溶液を用いてもよいし、上記重合溶液から該ポリマーを単離し、これをアミド系溶媒に溶解したものを用いてもよい。
ここで用いられるアミド系溶媒としては、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、N-メチル-2-ピロリドン、ジメチルスルホキシドなどを例示することができるが、とくにN,N-ジメチルアセトアミドが好ましい。
上記の通り得られた共重合芳香族ポリアミドポリマー溶液は、さらにアルカリ金属塩又はアルカリ土類金属塩を含むことにより安定化され、より高濃度、低温での使用が可能となり好ましい。好ましくはアルカリ金属塩およびアルカリ土類金属塩がポリマー溶液の全質量に対して1質量%以下、より好ましくは0.1質量%以下である。その際、前記のような難燃剤を含ませることが好ましい。
紡糸・凝固工程においては、上記で得られた紡糸液(メタ型全芳香族ポリアミド重合体溶液または原着メタ型全芳香族ポリアミド重合体溶液)を凝固液中に紡出して凝固させる。
紡糸装置としては特に限定されるものではなく、従来公知の湿式紡糸装置を使用することができる。また、安定して湿式紡糸できるものであれば、紡糸口金の紡糸孔数、配列状態、孔形状等は特に制限する必要はなく、例えば、孔数が1000~30000個、紡糸孔径が0.05~0.2mmのスフ用の多ホール紡糸口金等を用いてもよい。
また、紡糸口金から紡出する際の紡糸液(メタ型全芳香族ポリアミド重合体溶液)の温度は、20~90℃の範囲が適当である。
繊維を得るために用いる凝固浴としては、実質的に無機塩を含まない、アミド系溶媒、好ましくはNMPの濃度が45~60質量%の水溶液を、浴液の温度10~50℃の範囲で用いる。アミド系溶媒(好ましくはNMP)の濃度が45質量%未満ではスキンが厚い構造となってしまい、洗浄工程における洗浄効率が低下し、繊維の残存溶媒量を低減させることが困難となるおそれがある。一方、アミド系溶媒(好ましくはNMP)の濃度が60質量%を超える場合には、繊維内部に至るまで均一な凝固を行うことができず、このためやはり、繊維の残存溶媒量を低減させることが困難となる。なお、凝固浴中への繊維の浸漬時間は、0.1~30秒の範囲が適当である。
引続き、アミド系溶媒、好ましくはNMPの濃度が45~60質量%の水溶液であり、浴液の温度を10~50℃の範囲とした可塑延伸浴中にて、3~4倍の延伸倍率で延伸を行う。延伸後、10~30℃のNMPの濃度が20~40質量%の水溶液、続いて50~70℃の温水浴を通して十分に洗浄を行う。
洗浄後の繊維は、温度270~290℃にて乾熱処理を施し、上記の結晶化度および残存溶媒量の範囲を満たすメタ型全芳香族アラミド繊維を得ることができる。
前記メタ型全芳香族アラミド繊維において、繊維は、長繊維(マルチフィラメント)でもよいし短繊維でもよい。特に、他の繊維と混紡する上で繊維長25~200mmの短繊維が好ましい。また、単繊維繊度としては1~5dtexの範囲が好ましい。
さらに、パラ型全芳香族ポリアミド繊維としては、パラフェニレンテレフタラミド繊維またはコパラフェニレン・3、4’オキシジフェニレンテレフタルアミド繊維がより好ましい。かかるパラ型全芳香族ポリアミド繊維も光に対する耐久性維持のため、顔料を添加することは好ましく用いられる。
さらに、熱暴露後の織物の強力維持のため、ポリベンゾオキサゾール繊維を地糸に混紡または交撚することがより好ましい。特に、難燃性および遮熱性の点で、地糸が、上記メタ型全芳香族ポリアミド繊維を50~95質量%、上記パラ型全芳香族ポリアミド繊維を5~50質量%、ポリベンゾオキサゾール繊維を5~30質量%含むことが好ましい。その際、これらの繊維の合計が100質量%であることが好ましい。
メタ型全芳香族ポリアミド繊維のみではISO 15025 Procedure Aに規定される耐炎性試験において穴あきが発生するおそれがある。またパラ型全芳香族ポリアミド繊維のみでは着炎するおそれがある。ポリベンゾオキサゾール繊維は光による強力劣化から保護する必要があり、地糸質量対比30質量%を超えないことが望ましい。
本発明の織物において、補強糸は、優れた難燃性(耐熱性)と引張強力を有することが必要である。例としてパラ型全芳香族ポリアミド繊維、ポリベンゾオキサゾール繊維をあげることができる。繊維形態としては繊維の持つ力学特性を充分発揮できる長繊維、もしくは牽切加工糸が好ましい。なお、牽切加工糸とは、特開2007-92209号公報や特開2011-26725号公報に記載されているような、長繊維を牽切して得られた加工糸であり、適度な伸度と強度を有している。
本発明の織物は耐熱性、難燃性、引張強さを発現する必要があり、組織として補強糸の物性を有効に発現させるため、平織よりも熱暴露面への露出を避けられる、2/1綾以上の枚数の組織が好ましく用いられる。
また、経糸および緯糸の糸配列としては、地糸:補強糸が(2~12):(1~3)であることが好ましく、(3~10):1が特に好ましい。
本発明の織物においては、織物の引張強さを地糸の引張強さと補強糸の引張強さの総和に近づけることが重要である。そのため、地糸の伸度と補強糸の伸度とを近づけることが重要である。どちらかの糸の伸度が低い場合、引張った際に先に伸度の低い糸が降伏点を迎えてしまい好ましくない。
例えば、地糸に紡績糸を用い、補強糸に上記パラ型全芳香族ポリアミド繊維またはポリベンゾオキサゾール繊維からなる長繊維を用いた場合、一般に補強糸の方が低伸度である。そこで、補強糸を加撚(好ましくは2~20T/2.54cm、特に好ましくは3~15T/2.54cm)することで補強糸に伸度を与えることが好ましい。
上記のような織物はたとえばレピア織機などを使用して製造することが可能であり、染色加工、難燃加工、抗菌防臭加工、制菌加工、紫外線遮蔽加工、撥水加工、撥油加工、吸水加工などを施してもよい。
本発明の織物は、前記の構成を有するので、難燃性、遮熱性、および引張強さに優れる。
また、本発明の繊維製品は、前記の織物を用いてなる、防護服、消防防火服、消防執務服、救助服、作業服、法被、警察制服、自衛隊衣服、軍服、レーシングスーツおよびベストからなる群より選択されるいずれかの繊維製品である。
かかる繊維製品は前記の布帛を用いているので、難燃性、遮熱性だけでなく、引張強力にも優れる。
以下、実施例をあげて本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらによって何ら限定されるものではない。なお、実施例中の各物性は下記の方法により測定したものである。
(糸の破断強力および破断伸度)
JIS L 1095に基づき、つかみ間隔200mm、伸長速度200/minにてそれぞれの種類の糸の破断強力および破断伸度を測定した。
(繊度)
JIS L 1013に基づき測定した。
(番手)
JIS L 1095に基づき測定した。
(織物目付け)
JIS L 1096に基づき測定した。
(織物の引張強さ)
織物の経方向と緯方向それぞれについて、JIS L 1096に基づき試験片幅5cmで測定した。
以下の素材を用いた。
(メタ型全芳香族ポリアミド原着短繊維)
・帝人株式会社社製、「コーネックス」(登録商標)、平均単繊維繊度2.2dtex、繊維長51mm(以下原着メタアラミド)
(パラ型全芳香族ポリアミド原着短繊維)
・帝人株式会社製、「TWARON」(登録商標)、平均単繊維繊度1.7dtex、繊維長51mm(以下原着パラアラミド)
(ポリベンゾオキサゾール短繊維)
・東洋紡株式会社製「ZYLON](登録商標)、平均単繊維繊度1.7dtex、繊維長44mm(以下PBO)
(パラ型全芳香族ポリアミド長繊維)
・帝人株式会社社製、「テクノーラ」(登録商標)、平均繊度440dtex、繊維本数267(以下パラアラミド長繊維)
(ポリベンゾオキサゾール牽切加工糸)
・東洋紡株式会社製「ZYLON](登録商標)、平均繊度197.5dtex(以下PBO牽切加工糸)
(地糸用紡績糸)
原着メタアラミド40質量%、原着パラアラミド45質量%、PBO15質量%をリング紡績により常法に従い英式綿番手30番の単糸を得た。次いで、表1に示す上撚数で双糸撚糸を行い、双糸の引張強さと伸度を測定した。
(補強糸)
パラアラミド長繊維およびPBO牽切加工糸を用いた。その後、表1に示す撚数で単糸撚糸を行い、無撚と撚糸後の引張強さと伸度を測定した。
(製織)
表1に示す地糸、補強糸を用い、組織図に示した組織で、表1の経緯密度の織物を製織し、常法にて精練し、ヒートセットを行った。
[実施例1~2、比較例1~2]
得られた織物、実施例1、2、比較例1、2において引張強さを評価するとともに、それぞれの織物から糸を抜きだし、地糸と補強糸の引張強さと伸度を測定し、地糸と補強糸の伸度差を比較した。表1に評価結果を示す。実施例に示すように地糸と補強糸との伸度差を小さくすることにより、織物の引張強さが比較例に比べ極めて高くなる。
本発明によれば、難燃性および引張強さに優れる織物および熱防護衣料が提供され、その工業的価値は極めて大である。

Claims (5)

  1. 破断強力および破断伸度が互いに異なる2種類以上の糸が、経糸および緯糸に配されてなる織物であって、以下の要件(1)~(3)を全て満足することを特徴とする織物。
    (1)織物の経糸および緯糸それぞれにおいて、各糸の破断強力と構成本数比との積が、経糸および緯糸ともに全ての糸の総和G対比0.2倍以上である。
    (2)織物の経糸および緯糸それぞれにおいて、最も破断伸度が大きい糸の破断伸度をE1、最も破断伸度が小さい糸の破断伸度をE2とするとき、経糸および緯糸ともに(E1-E2)/E1の値が0.2以下である。
    (3)織物の経糸および緯糸それぞれにおいて、本数密度をD(本/2.54cm)、織物の引張強さをT(N/5cm)とするとき、経糸および緯糸ともに(T-(G×D×5)/(2.54×100))/Tの値が、-0.1~0.1の範囲内である。
  2. 織物の経糸および緯糸において、最も破断強力が大きい糸が撚糸されている、請求項1に記載の織物。
  3. 織物の経糸および緯糸において、最も破断強力が大きい糸が、長繊維からなる糸、または長繊維を牽切加工した糸である、請求項1に記載の織物。
  4. 織物の経糸および緯糸において、最も破断強力が大きい糸が、パラ型全芳香族ポリアミド繊維またはポリベンゾオキサゾール繊維を含み、かつ最も破断強力が小さい糸がメタ型全芳香族ポリアミド繊維を含む、請求項1に記載の織物。
  5. 請求項1~4のいずれかに記載の織物を含む熱防護衣料。
JP2022065523A 2022-04-12 2022-04-12 織物および熱防護衣料 Pending JP2023155980A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2022065523A JP2023155980A (ja) 2022-04-12 2022-04-12 織物および熱防護衣料

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2022065523A JP2023155980A (ja) 2022-04-12 2022-04-12 織物および熱防護衣料

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2023155980A true JP2023155980A (ja) 2023-10-24

Family

ID=88421416

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2022065523A Pending JP2023155980A (ja) 2022-04-12 2022-04-12 織物および熱防護衣料

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2023155980A (ja)

Similar Documents

Publication Publication Date Title
RU2671648C2 (ru) Ткань и волоконный продукт
US11078608B2 (en) Fabric, method for manufacturing same, and fiber product
CN104630958B (zh) 包含芳香族聚酰胺和聚芳砜的共混聚合物纤维的阻燃纱线制得的织物和及制备方法
JP6162463B2 (ja) 紡績糸および布帛および衣料
JP2018145545A (ja) 織物および繊維製品
JP6975531B2 (ja) 布帛および繊維製品
JP2002302837A (ja) 染色性の改良された全芳香族ポリアミド繊維構造物
JP6832742B2 (ja) 繊維製品
JP6162462B2 (ja) 紡績糸および布帛および衣料
JP2020026596A (ja) 布帛および防護製品
JP2023155980A (ja) 織物および熱防護衣料
JP2018188753A (ja) 布帛および繊維製品
JP6196062B2 (ja) 布帛および衣料
JP6199603B2 (ja) 布帛および衣料
JP2023023305A (ja) 難燃性布帛および繊維製品
JP2022003177A (ja) 染色布帛および繊維製品
JP7444653B2 (ja) 耐熱布帛および繊維製品
JP6449616B2 (ja) 布帛および繊維製品および布帛の処理方法
JP2019090120A (ja) 布帛および熱防護衣料
JP2023056160A (ja) 布帛および繊維製品
JP2021181646A (ja) 布帛および繊維製品
JP6811632B2 (ja) 繊維製品
JP2019014994A (ja) 布帛および繊維製品
JP2023044052A (ja) 織編物および熱防護衣料
JP6857470B2 (ja) ミシン糸および繊維製品