JP2002327364A - 生分解性ヘッドレストカバー - Google Patents

生分解性ヘッドレストカバー

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JP2002327364A
JP2002327364A JP2001134775A JP2001134775A JP2002327364A JP 2002327364 A JP2002327364 A JP 2002327364A JP 2001134775 A JP2001134775 A JP 2001134775A JP 2001134775 A JP2001134775 A JP 2001134775A JP 2002327364 A JP2002327364 A JP 2002327364A
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nonwoven fabric
headrest cover
polylactic acid
fiber
biodegradable
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Shinji Yuasa
伸二 湯浅
Toshihiro Ogino
敏広 荻野
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Unitika Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 自然環境下において生分解性を有し、難燃剤
を付与することなく難燃性を有するヘッドレストカバー
を提供する。 【解決手段】 ポリ乳酸系重合体からなる長繊維不織布
で構成される生分解性ヘッドレストカバーであり長繊維
不織布の難燃性がJIS K 7201の測定において
酸素指数24以上を有する生分解性ヘッドレストカバ
ー。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、電車や航空機等の
座席の上部に人の頭の当たる部分に掛けて使用するヘッ
ドレストカバーに関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来から、電車や航空機等の座席等に脱
着可能なヘッドレストカバーが多量に使用されている。
また、ヘッドレストカバーとしては、合成樹脂製の不織
布からなるもの、織物からなるものが知られている。
【0003】不織布からなるヘッドレストカバーは、一
度使用すると、ゴミとして回収されて大量に焼却されて
いるため、その焼却によって発生する炭酸ガスが、地球
の温暖化に関与しているという問題がある。
【0004】また、織物からなるヘッドレストカバー
は、定期的に洗濯して繰り返して使用されている。これ
を洗濯するときに使用される洗濯液の量は多く、その廃
棄により公害問題につながるという問題がある。更に、
繰り返して使用され続けたヘッドレストカバーは、最終
的に使用できない状態となったとき、焼却によって処分
しているのが現状である。
【0005】また、電車や航空機等で使用される場合、
煙草等の火が誤って付いた際の安全性から、ヘッドレス
トカバーに難燃性が要されており、特に航空機において
は難燃規格があるほど重要視されており、不織布または
織物に難燃剤を付与したものをヘッドレストカバーとし
て用いている。しかし、付与されている難燃剤として
は、ハロゲン系等の難燃剤が多く使用されており、火災
時のガスによる二次災害の危険性がある。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、前記問題を
解決し、自然環境下において問題なく廃棄することが可
能で、ハロゲン系の難燃剤を付与することなく難燃性を
有するヘッドレストカバーを提供することを課題とす
る。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明らは、前記問題を
解決すべく鋭意検討の結果、自然界で分解されて、かつ
難燃化処理を特別に施さなくとも難燃性を具備した素材
を開発し、本発明に到達した。
【0008】すなわち、本発明は、ポリ乳酸系重合体か
らなる不織布により構成されることを特徴とする生分解
性ヘッドレストカバーを要旨とするものである。
【0009】
【発明の実施の形態】本発明のヘッドレストカバーは、
ポリ乳酸系重合体からなる不織布により構成される。
【0010】ポリ乳酸系重合体としては、熱可塑性の脂
肪族ポリエステルであって、ポリ(D−乳酸)、ポリ
(L−乳酸)、D−乳酸とL−乳酸との共重合体、D−
乳酸とヒドロキシカルボン酸との共重合体、L−乳酸と
ヒドロキシカルボン酸との共重合体、D−乳酸とL−乳
酸とヒドロキシカルボン酸との共重合体との群から選ば
れる重合体あるいはこれらのブレンド体が用いられる。
【0011】乳酸と共重合するヒドロキシカルボン酸と
しては、グリコール酸、ヒドロキシ酪酸、ヒドロキシ吉
草酸、ヒドロキシペンタン酸、ヒドロキシカプロン酸、
ヒドロキシヘプタン酸、ヒドロキシオクタン酸等が挙げ
られる。これらの中でも特に、ヒドロキシカプロン酸ま
たはグリコール酸を用いることが低コストの点から好ま
しい。
【0012】ポリ乳酸系重合体の融点は、100℃以上
であることが好ましく、さらに好ましくは、120℃以
上である。ポリ乳酸のホモポリマーであるポリ(L−乳
酸)やポリ(D−乳酸)の融点は約180℃であるが、
ポリ乳酸系重合体として前記コポリマーを用いる場合に
は、コポリマーの融点が100℃以上となるようにモノ
マー成分の共重合量比を決定することが好ましく、本発
明においては、光学純度が90%以上のポリ乳酸を用い
ることが好ましい。光学純度は、耐熱性や生分解性に影
響をする要因であり、光学純度が低くなるとともに結晶
化が低下し、融点降下が大きくなる傾向にある。
【0013】本発明に用いるポリ乳酸系重合体の数平均
分子量は、約20,000以上、好ましくは約40,00
0以上のものを用いることが、得られる繊維特性の点や
不織布製造時の製糸性の点で好ましい。
【0014】本発明における長繊維を構成するポリ乳酸
系重合体の結晶化度は、10〜40質量%の範囲にある
ことが好ましい。結晶化度が10質量%未満であると、
分子配向が十分でなく、結晶性が低すぎるため、繊維の
残留伸度が高くなる。その結果、得られる不織布は、寸
法安定性や機械的特性に劣る傾向となる。一方、結晶化
度が40質量%を超えると、得られる不織布の寸法安定
性、機械的特性および熱的安定性は優れるが、繊維の剛
性が高くなりすぎ、ヘッドレストカバーとして使用した
ときに、粗硬感を与えることとなる。
【0015】繊維を構成するポリ乳酸系重合体の結晶化
度は、ポリ乳酸系重合体に、例えばタルク、窒化ホウ
素、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、酸化チタン等
の結晶核剤を添加することや、繊維を溶融紡糸する際に
高速で引き取ること、固化した繊維を熱延伸すること、
また、得られた不織布に熱処理を施すこと等により達成
することができる。結晶核剤を添加すると繊維の結晶化
を促進させ、得られる不織布の機械的強度や耐熱性を向
上させることができ、しかも製造時の溶融紡出・冷却工
程での紡出糸状間の融着(いわゆるブロッキング)の発
生を防止することができる。結晶核剤の添加量は、0.
1〜3.0質量%、好ましくは0.5〜2.0質量%であ
る。
【0016】不織布を構成する繊維は、短繊維であって
も長繊維であってもよい。不織布の機械的強力および形
態安定性の点から、長繊維を用いることが好ましい。
【0017】本発明に用いる繊維の繊維形態としては、
単一のポリ乳酸系重合体からなる単相形態のものであっ
ても、異なる光学純度を有する2種のポリ乳酸系重合体
からなる複合形態のものであってもよい。複合形態とし
ては、芯鞘型複合断面、偏心芯鞘型複合断面、サイドバ
イサイド型複合断面、多葉型複合断面等が挙げられる。
【0018】2種のポリ乳酸系重合体を用いる場合は、
両者の光学純度差は2〜10%であることが好ましく、
繊維表面の少なくとも一部に低い光学純度を有するポリ
乳酸重合体を配していることが好ましい。光学純度が低
いポリ乳酸系重合体は、光学純度が高いポリ乳酸系重合
体と比較して融点が低い。したがって、このような融点
が低い重合体を繊維表面の少なくとも一部に存在させる
ことにより、熱処理の際に、光学純度の低い重合体のみ
を軟化または溶融させて、繊維同士を接着させるバイン
ダー成分として機能させ、一方、光学純度の高い重合体
は熱の影響を受けることなく、繊維の機械的強度を維持
させることができる。2種のポリ乳酸系重合体の光学純
度差が2%未満であると、両者の軟化点または融点の差
が小さいため、熱処理の際に光学純度の高い重合体まで
もが熱による影響を受けることとなり、2成分を用いる
効果が奏されない。
【0019】本発明に用いる繊維の単糸繊度は、1〜1
0デシテックスであることが好ましく、より好ましくは
2〜6デシテックスである。単糸繊度が1デシテックス
未満であると、目付によっては不織布の機械的強度が劣
り容易に破れやすくなる。一方、単糸繊度が10デシテ
ックスを超えると、風合いが硬くなるため、人が頭を動
かした際に擦れる音がしたり、肌に触れた場合、ざらざ
らとした粗硬感があり、リラックスできない。
【0020】本発明の生分解性ヘッドレストカバーの目
付は、20〜100g/mであることが好ましい。目
付が20g/m未満であると、機械的強度が劣り容易
に破れやすくなる。一方、目付が100g/mを超え
ると、風合いが硬くなるため、人が頭を動かした際に擦
れる音がしリラックスできない。
【0021】本発明の生分解性ヘッドレストカバーの難
燃性は、JIS K 7201の測定における酸素指数
が24以上である。酸素指数が24未満であると、ヘッ
ドレストカバーに着火した場合、それから更に燃え広が
り、場合によっては大事故の原因となる。本発明のヘッ
ドレストカバーを構成するポリ乳酸系重合体からなる不
織布が、難燃剤を付与するというような特別な難燃化処
理を施さなくとも燃え難い性質を持つ理由は定かではな
いが、ポリ乳酸の化学構造に起因すると考えられる。一
般に、燃えるのはC原子であるところから、化学構造に
おいてC原子の比率が大きい方がよく燃えると考えられ
ている。ポリ乳酸を構成する原子のO原子/C原子の比
率が高いことから、ポリ乳酸は燃え難いという性質を有
すると推察できる。したがって、ポリ乳酸系重合体から
なる不織布に、特別な難燃剤を付与しなくとも、目的と
する難燃性を具備することが可能となる。
【0022】本発明に用いる不織布の形態としては、熱
により接着した熱接着不織布、接着剤により接着した不
織布、ニードルパンチ法やスパンレース法により繊維同
士が機械的に交絡してなる不織布、また、上述したボン
ディング手段を併用してなる不織布のいずれであっても
よい。本発明においては、寸法安定性および高い機械的
強力を得ることができる点で、構成繊維同士が部分的に
熱接着されてなる不織布を用いることが好ましい。
【0023】部分的熱接着は、例えば、エンボス加工処
理または超音波融着処理によって不織布に点状の熱接着
部が形成されるものである。具体的には加熱されたエン
ボスロールと表面が平滑なフラットロールとの間、もし
くは一対のエンボスロールの間に長繊維ウエブを通し
て、エンボスロールの凸部が当接する部位の構成繊維を
熱により軟化または溶融させて点状の熱接着部を形成す
る方法、またはパターンロール上で超音波による高周波
を印加して、パターン部に当接する構成繊維に点状の接
着部を形成する。
【0024】点状の熱接着部の形状は、必ずしも円形で
ある必要はなく、楕円、四角、十字等のいずれでもよ
く、また、その個々の熱接着部は、0.1〜1.2mm
2の面積を有し、その密度、すなわち接着点密度が4〜
80点/cm2、好ましくは10〜60点/cm2である
のがよい。また、不織布の全表面積に対する全熱接着部
の面積の比、すなわち熱接着面積率は5〜50%、好ま
しくは10〜20%とするのがよい。この接着面積率が
5%未満であると、長繊維不織布の機械的特性および寸
法安定性が劣るものとなる。一方、接着面積率が50%
を超えると、長繊維不織布を構成する繊維の大半が熱融
着してしまい、ペーパーライクとなり、柔軟性に劣る傾
向となる。
【0025】次に、本発明の生分解性ヘッドレストカバ
ーの好ましい製造方法について説明する。
【0026】ヘッドレストカバーを構成する不織布は、
スパンボンド法によって効率よく製造することができ
る。すなわち、上述したポリ乳酸系重合体を加熱溶融し
て紡糸口金から吐出し、得られた紡出糸条を従来公知の
横型吹き付けや環状吹き付け等の冷却装置を用いて牽引
細化し、引き続き、排出された糸条群を開繊した後、メ
ッシュスクリーン等からなるコンベアの如き移動堆積装
置上に開繊堆積させて長繊維ウエブとする。次いで、こ
の移動堆積装置上に形成された長繊維ウエブを、エンボ
ス装置または超音波融着装置等の部分熱接着装置に通布
して部分的熱接着部を形成することによって長繊維不織
布を得る。
【0027】本発明において、上述の牽引細化する際の
牽引速度は、3000〜6000m/分とするのが好ま
しい。牽引速度が3000m/分未満であると、重合体
の配向結晶化が進行せず、得られる不織布の機械的強度
が向上しない。一方、牽引速度が6000m/分を超え
ると、製糸性が急激に悪化し、糸切れを生じ操業性に劣
る。なお、重合体には、上述した結晶核剤を添加するこ
とにより、溶融紡出に際して紡出糸条の冷却性が向上す
るため好ましい。
【0028】部分的熱接着処理の際のロール表面温度
は、長繊維を構成している重合体のうち低融点を有する
重合体の融点をTmとしたとき、Tm℃未満〜(Tm−
40)℃程度とする。
【0029】得られた不織布は、所望の大きさに裁断し
てヘッドレストカバーとして使用する。
【0030】
【実施例】以下、実施例により本発明を具体的に説明す
る。なお、本発明はこれらの実施例によって何ら限定さ
れるものではない。また、実施例における物性値は、以
下のようにして求めた。
【0031】酸素指数;JIS K 7021に準じ、
試験片の支持方法をB−1号で、酸素指数の決定は燃焼
長さが50mm以上燃え続けたときとし、点火器の熱源
は天然ガスとした。
【0032】実施例1 融点170℃のポリ乳酸系重合体をエクストルーダー型
溶融押し出し機を用いて、温度200℃で溶融し、繊維
断面が円形となる紡糸口金を用い、単孔吐出量1.64
g/分で溶融紡糸した。この紡出糸条を公知の冷却装置
を用いて冷却した後、口金の下方に設置されたエアーサ
ッカーを用いて、牽引速度が4200m/分で牽引細化
し公知の開繊装置にて開繊させ、開繊させた糸条を移動
するスクリーンコンベア上に堆積させた。この長繊維不
織ウエブをエンボスロールとフラットロールからなるエ
ンボス装置にて部分的に熱圧接し、単糸繊度3.2デシ
テックスの長繊維からなる目付40g/m2の生分解性
ヘッドレストカバー用の長繊維不織布を得た。熱圧接条
件は、熱圧着部となるエンボス部の面積が0.7m
2、熱圧着部の密度が20個/cm2、熱圧着面積率が
15%であるエンボスロールと表面が平滑なフラットロ
ールを用い、ロール温度を125℃に設定した。得られ
た長繊維不織布の酸素指数は30.7であった。
【0033】得られた長繊維不織布を裁断して本発明の
ヘッドレストカバーを得た。ポリ乳酸系重合体からなる
ヘッドレストカバーを土中に埋設したところ、埋設後2
年経過するまでは不織布の形態を保持し、3年〜5年経
過時点で崩壊していた。
【0034】比較例1 融点260℃、固有粘度0.7のポリエチレンテレフタ
レートをエクストルーダー型溶融押し出し機を用いて、
温度290℃で溶融し、繊維断面が円形となる紡糸口金
を用い、単孔吐出量1.64g/分で溶融紡糸した。こ
の紡出糸条を公知の冷却装置を用いて冷却した後、口金
の下方に設置されたエアーサッカーを用いて、牽引速度
が5000m/分で牽引細化し公知の開繊装置にて開繊
させ、開繊させた糸条を移動するスクリーンコンベア上
に堆積させた。この長繊維不織ウエブをエンボスロール
とフラットロールからなるエンボス装置にて部分的に熱
圧接し、単糸繊度3.2デシテックスの長繊維からなる
目付40g/m2の生分解性ヘッドレストカバー用の長
繊維不織布を得た。熱圧接条件は、熱圧着部となるエン
ボス部の面積が0.7mm2、熱圧着部の密度が20個
/cm2、熱圧着面積率が15%であるエンボスロール
と表面が平滑なフラットロールを用い、ロール温度を1
25℃に設定した。得られた長繊維不織布の酸素指数は
21.1であった。
【0035】得られた長繊維不織布を裁断して比較例の
ヘッドレストカバーを得た。得られたヘッドレストカバ
ーを土中に埋設したところ、埋設後5年経過しても不織
布の形態を保持していた。
【0036】
【発明の効果】本発明のヘッドレストカバーは、ポリ乳
酸系重合体からなる不織布により構成されているため、
自然界において微生物により二酸化炭素と水に分解され
るものである。したがって、電車や航空機等の座席等に
ヘッドレストカバーとして使用後、焼却することなく、
微生物の存在下で、完全に分解させることができるた
め、自然環境を汚染することがない。
【0037】また、本発明のヘッドレストカバーは、酸
素指数が24以上であるので、電車や航空機等の座席等
で使用しても火災発生時にそれ自体が燃え広がることも
なく、有毒なガスの発生もないので非常に安全性の高い
ものである。また、従来のハロゲン系難燃剤のように、
火災時のガスによる二次災害の危険性を伴うものではな
い。本発明のヘッドレストカバーにおける難燃性は、不
織布を構成しているポリ乳酸系重合体に起因するもので
あるため、特別な難燃化処理を施す必要がない。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ポリ乳酸系重合体からなる不織布により
    構成されることを特徴とする生分解性ヘッドレストカバ
    ー。
  2. 【請求項2】 不織布の難燃性がJIS K 7201
    の測定において酸素指数24以上であることを特徴とす
    る請求項1記載の生分解性ヘッドレストカバー。
JP2001134775A 2001-05-02 2001-05-02 生分解性ヘッドレストカバー Pending JP2002327364A (ja)

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