JP2002326355A - インクジェットヘッド - Google Patents

インクジェットヘッド

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JP2002326355A
JP2002326355A JP2002058183A JP2002058183A JP2002326355A JP 2002326355 A JP2002326355 A JP 2002326355A JP 2002058183 A JP2002058183 A JP 2002058183A JP 2002058183 A JP2002058183 A JP 2002058183A JP 2002326355 A JP2002326355 A JP 2002326355A
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piezoelectric element
substrate
ink
electrodes
liquid chamber
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Application number
JP2002058183A
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English (en)
Inventor
Hideyuki Makita
秀行 牧田
Tsutomu Sasaki
勉 佐々木
Masayuki Iwase
政之 岩瀬
Michio Umezawa
道夫 梅沢
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Ricoh Co Ltd
Original Assignee
Ricoh Co Ltd
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  • Particle Formation And Scattering Control In Inkjet Printers (AREA)

Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】 多チャンネルインクジェットヘッドの製造工
程上の歩留りを向上すると共に、コストの削減を図る。 【解決手段】 絶縁性基板3上の駆動部圧電素子及び固
定部圧電素子の最上層26aの上面には内部電極27に
相当する電極を形成しないで不活性層とした。また、積
層型圧電素子の端面電極が基板上の個別引出電極に導通
処理材料で接続され、この導通材料がヤング率200k
gf/mm2以上の材料からなる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、インクジェットヘッド
に関し、特に積層型圧電素子を用いるインクジェットヘ
ッドに関する。
【0002】
【従来の技術】インクジェット記録方式は、ヘッドを記
録紙上に接触することなく記録することができると共
に、記録プロセスが非常に単純であることやカラー記録
にも適することなどから注目されている。従前、このイ
ンクジェット記録方式として種々の方式が提案されてい
るが、現在では、記録信号が入力されたときにのみイン
クを吐出する所謂ドロップオンデマンド(DOD)方式
が主流になっている。そして、DOD方式の中には、熱
エネルギーによってインク中に発生するバブルを利用す
る所謂サーマル方式(特公昭61−59913号等)と
圧電素子を用いるピエゾアクチュエータ方式(特公昭6
0−8953号公報等)がある。
【0003】後者のピエゾアクチュエータ方式として、
例えば特開平3−10846号公報に記載されているよ
うに、加圧液室を構成する壁面を変形可能な構造とし
て、この変形可能な壁面の外側に圧電素子を設け、この
圧電素子を用いて加圧液室の壁面を変形させてその内容
積を変化させることで、インクに圧力を与えて液滴化し
てノズルから飛翔させる方式がある。そして、このピエ
ゾアクチュエータ方式では、圧電素子前面のノズル領域
あるいは加圧液室のパルス的な圧力上昇が必要であり、
圧電素子に印加される電圧波形は数μsec〜数10μsec
の立ち上がり時間に設定され、インクの補給は圧電素子
の変位を元に戻すことによって行われる。
【0004】このようなピエゾアクチュエータ方式のイ
ンクジェットヘッドにあっては、圧電素子がインクに直
接接触せず、さらに、圧電素子の発熱も無視できるた
め、使用するインク種類の制約がないという利点がある
反面、多チャンネル化(ここで、「チャンネル」とは、
それぞれ1個の圧電素子、加圧液室及びノズルから構成
される部分をいう。)を図る場合に、圧電素子を高集積
密度で配列したり、高集積密度で配列した場合でも個々
の圧電素子の電極と外部との電気的接続等が難しいとい
う不利な点がある。
【0005】そこで、従来、例えば特開平3−7334
7号公報に記載されているように、基板上に電極用パタ
ーンを形成すると共に圧電素子を接合した後、圧電素子
及び基板の表面部にスリット加工を施して複数の圧電素
子を形成すると共に電極用パターンを複数の圧電素子に
対応して分割することで、高集積密度化を図り、しかも
個々の圧電素子への外部からの電気的接続を容易にした
インクジェットヘッドがある。ただし、このインクジェ
ットヘッドは圧電素子を加圧液室に直接臨ませてインク
が圧電素子に接触する方式のものである。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】ところで、上述した従
来のピエゾアクチュエータ方式のインクジェットヘッド
にあっては、圧電素子の高密度集積化や外部への電極の
取出しが容易になるものの、特に、圧電素子として積層
型圧電素子を用いて、この積層型圧電素子のd33方向
の変位を利用する(前記特開平3−73347号公報参
照)場合に、高集積化が進むに従って圧電素子のスリッ
ト幅及びピッチが小さくなって、各層の両面に設けられ
る内部電極を外部と電気的に接続することが困難になっ
たり、またスリット加工を施すときに基板と圧電素子と
の接合不良が発生したり、圧電素子が破損したりする。
【0007】本発明は、上記の点に鑑みてなされたもの
であり、インクジェットヘッドの製造工程での歩留りを
向上すると共に、コストの低減を図ることを目的とす
る。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記の課題を解決するた
め、請求項1のインクジェットヘッドは、基板上に複数
の積層型圧電素子を列状に配置し、各積層型圧電素子の
d33方向の変位で加圧液室を加圧してノズルからイン
クを噴射させるインクジェットヘッドにおいて、前記基
板上の積層型圧電素子の最上層が上面に電極を有しない
不活性層である構成としている。
【0009】請求項2のインクジェットヘッドは、基板
上に複数の積層型圧電素子を接合して列状に配置し、各
積層型圧電素子のd33方向の変位で加圧液室を加圧し
てノズルからインクを噴射させるインクジェットヘッド
において、前記積層型圧電素子は内部電極が交互に両端
面に取り出されて各端面に形成された個別端面電極に導
通接続され、更にこの個別端面電極が前記基板上に設け
られた個別引出電極に導通処理材料で接続され、この導
通処理材料がヤング率200kgf/mm2以上の材料
からなる。なお、「引出電極」とは積層型圧電素子の電
極を外部に引出すための電極の意味で、「端面電極」と
は積層型圧電素子の内部電極に接続される外部電極の意
味で用いる。
【0010】請求項3のインクジェットヘッドは、基板
上に複数の積層型圧電素子を接合して列状に配置し、各
積層型圧電素子のd33方向の変位で加圧液室を加圧し
てノズルからインクを噴射させるインクジェットヘッド
において、前記積層型圧電素子は内部電極が交互に両端
面に取り出されて各端面に形成された個別端面電極に導
通接続され、更にこの個別端面電極が前記基板上に設け
られた個別引出電極に導通処理材料で接続され、この導
通処理材料が前記個別端面電極の外面全面に付着されて
いる。
【0011】請求項4のインクジェットヘッドは、基板
上に複数の積層型圧電素子を接合して列状に配置し、各
積層型圧電素子のd33方向の変位で加圧液室を加圧し
てノズルからインクを噴射させるインクジェットヘッド
において、前記基板と前記積層型圧電素子を接合する接
合材料がヤング率200kgf/mm2以上の材料から
なる。
【0012】請求項6のインクジェットヘッドは、基板
上に複数の積層型圧電素子を接合して列状に配置し、各
積層型圧電素子のd33方向の変位で加圧液室を加圧し
てノズルからインクを噴射させるインクジェットヘッド
において、前記積層型圧電素子は内部電極が交互に両端
面に取り出されて、この取り出された内部電極が前記基
板上に設けられた個別引出電極に導通処理材料で接続さ
れている。
【0013】
【作用】請求項1のインクジェットヘッドは、基板上の
積層型圧電素子の最上層が上面に電極を有しない不活性
層である構成としているので、積層型圧電素子を基板に
接合した後その表面を加工することが可能になり、圧電
素子の部品公差を緩くすることができる。
【0014】請求項2のインクジェットヘッドは、積層
型圧電素子は内部電極が交互に両端面に取り出されて各
端面に形成された個別端面電極に導通接続され、更にこ
の個別端面電極が前記基板上に設けられた個別引出電極
にヤング率200kgf/mm2以上の導通処理材料で
接続されるので、基板と積層型圧電素子との接合が強く
なって、スリット加工を施すときの積層型圧電素子の破
損を少なくすることができる。
【0015】請求項3のインクジェットヘッドは、積層
型圧電素子は内部電極が交互に両端面に取り出されて各
端面に形成された個別端面電極に導通接続され、更にこ
の個別端面電極が基板上に設けられた個別引出電極に導
通処理材料で接続され、この導通処理材料が個別端面電
極の外面全面に付着されているので、積層型圧電素子と
基板との接合強度が向上して、スリット加工を施すとき
の積層型圧電素子の破損を少なくすることができる。
【0016】請求項4のインクジェットヘッドは、基板
と積層型圧電素子を接合するヤング率200kgf/m
m2以上の接合材料で接合しているので、積層型圧電素
子と基板との接合強度が向上して、スリット加工を施す
ときの積層型圧電素子の破損を少なくすることができ
る。
【0017】請求項5のインクジェットヘッドは、積層
型圧電素子は内部電極が交互に両端面に取り出されて、
この取り出された内部電極が基板上に設けられた個別引
出電極に導通処理材料で接続されているので、積層型圧
電素子の内部電極と個別引出電極との接続を容易に行う
ことができ、工数の削減を図れる。
【0018】
【実施例】以下、本発明の実施例を添付図面を参照して
説明する。図1は本発明の一実施例を示すインクジェッ
トヘッドの外観斜視図、図2は図1の分解斜視図、図3
は図1のA−A線に沿う断面図、図4は図1のB−B線
に沿う断面図、図5は図3の要部拡大断面図である。
【0019】このインクジェットヘッドは、アクチュエ
ータユニット1と、このアクチュエータユニット1上に
接合された液室ユニット2とからなる。アクチュエータ
ユニット1は、基板3上に複数の積層型圧電素子を列状
に配置(列設)してなる2列の圧電素子列4,4及びこ
れら2列の圧電素子列4,4の周囲を取り囲むフレーム
部材5を接合剤6によって接合している。圧電素子列4
は、インクを液滴化して飛翔させるための駆動パルスが
与えられる複数の圧電素子(これを「駆動部圧電素子」
という。)7,7…と、駆動部圧電素子7,7間に位置
し、駆動パルスが与えられずに単に液室ユニット固定部
材となる複数の圧電素子(これを「固定部圧電素子」と
いう。)8,8…とを交互に配置したバイピッチ構造と
している。
【0020】液室ユニット2は、ダイアフラム部11を
形成した振動板12上に、加圧液室、共通インク流路等
を形成する感光性樹脂フィルム(ドライフィルムレジス
ト)からなる液室流路形成部材13を接着し、この液室
流路形成部材13上に複数のノズル15を形成したノズ
ルプレート16を接着してなり、これら振動板12、液
室流路形成部材13及びノズルプレート16によって、
圧電素子列4の各駆動部圧電素子7,7…に対向するダ
イヤフラム部11を有するそれぞれ略独立した複数の加
圧液室17を形成し、かつノズル15,15…を圧電素
子列4の各駆動部圧電素子7,7…に対向して配列して
いる。そして、この液室ユニット2はその振動板12が
接着剤18によってアクチュエータユニット1上に高い
剛性で接合されている。
【0021】ここで、アクチュエータユニット1の基板
3は、厚さ0.5〜5mm程度で、しかも圧電素子に似た
材質のものからなり、圧電素子と共に例えばダイヤモン
ド砥石による切削が可能なものであることが好ましい。
【0022】この基板3上の圧電素子の列設方向と直交
する方向の両端部には各圧電素子列4,4の個々の駆動
部圧電素子7及び固定部圧電素子8の対向しない端面側
を接続するスリット溝21で分割された個別引出電極2
2,22…が形成されていると共に、各圧電素子列4,
4間で前記スリット溝21と直交する方向(圧電素子の
列設方向)に、このスリット溝21よりも深い共通溝2
3が形成され、この共通溝23には各圧電素子列4,4
の個々の駆動部圧電素子7及び固定部圧電素子8の対向
する端面側を接続する共通電極24が形成されている。
また、この基板3の端部に形成したインク供給孔3aに
はインク供給パイプ25が接続される。
【0023】ここで、駆動部圧電素子7と個別引出電極
22及び共通電極24との位置関係は、図5に示すよう
に僅かに隙間をあけている。これは、駆動部圧電素子7
がが各電極22,24上に載ると、電極22,24の厚
みや誤差が圧電素子7,8の接合品質、すなわち接合の
均一性や接合後の面平行精度に影響を与えることになっ
て好ましくないからである。ただし、駆動部圧電素子7
と個別引出電極22及び共通電極24とが僅かにオーバ
ラップする程度であれば悪影響は少ない。
【0024】圧電素子列4を構成している駆動部圧電素
子7及び固定部圧電素子8としては、10層以上の積層
型圧電素子を用いている。この積層型圧電素子は、例え
ば図3及び図5に示すように、厚さ20〜50μm/1
層のPZT(=Pb(Zr・Ti)O)26と、厚さ数μ
m/1層の銀・パラジューム(AgPd)からなる内部電
極27とを交互に積層したものである。そして、これら
の駆動部圧電素子7及び固定部圧電素子8の最上層26
aの上面には内部電極27に相当する電極を形成しない
で不活性層としている。なお、圧電素子として用いる材
料は上記に限られるものでなく、一般に圧電素子材料と
して用いられるBaTiO、PbTiO、(NaK)Nb
等の強誘電体などを用いることもできる。
【0025】そして、各圧電素子列4の駆動部圧電素子
7の多数の内部電極27,27を1層おきに交互に両端
面に取り出して、両端面に形成した例えばAgPdからな
る個別端面電極28,29に接続し、各圧電素子列4,
4の各駆動部圧電素子7の対向する端面側の個別端面電
極28,28…を基板3上の共通電極24にヤング率2
00kgf/mm2以上の導通処理材料31を介して接
続し、各圧電素子列4,4の各駆動部圧電素子7の対向
しない端面側の個別端面電極29,29…を基板3上の
個別引出電極22,22…に導通処理材料32を介して
接続している。各個別引出電極22,22…及び共通電
極24にはFPCケーブル33が接続されて、駆動電圧
を与えられることによって積層方向に電界が発生して、
駆動部圧電素子7には積層方向の伸びの変位(電界と同
方向のd33方向の変位)が生起される。なお、固定部
圧電素子8についても製造工程上駆動部圧電素子7と同
様に各電極が設けられているが、駆動パルスを印加しな
い構成(駆動部圧電素子7のみを選択的に駆動する構
成)になっている。
【0026】フレーム部材5は、図2に示すように、板
状部材に圧電素子列4,4に対応する透孔部5a,5b
を穿設することによって、圧電素子列4,4の各駆動部
圧電素子7,7…の列設方向と直交する方向の一方側に
固定部35,36を形成すると共に、2つの圧電素子列
4,4の他方側である中央部にも固定部37を形成し、
これらの固定部35〜37の圧電素子列4,4の各駆動
部圧電素子7,7…の列設方向の両端部に架橋部38,
38を形成したものである。なお、フレーム部材5の一
方の架橋部38には基板3のインク供給孔3aに対応す
るインク供給孔5cが形成されている。
【0027】次に、液室ユニット2の振動板12は、図
3に示すように下側液室流路形成部材13側は平坦面と
し、圧電素子列4側はそれぞれ厚みの異なるダイアフラ
ム領域12a、接合領域12b及び逃げ領域12cを形
成して、圧電素子列4の駆動部圧電素子7,7…に対応
してダイアフラム部11を形成したものである。この振
動板12はNi(ニッケル)の金属プレートからなり、
エレクトロフォーミング法によって製造している。な
お、振動板12にもインク供給孔12dを形成してい
る。
【0028】液室流路形成部材13は、振動板12上面
とノズルプレート16との間に位置して加圧液室17の
流路等を形成するものであり、その製造工程から下側液
室流路形成部材40及び上側液室流路形成部材41で構
成している。
【0029】下側液室流路形成部材40は、振動板12
上面に接着された感光性樹脂フィルムからなり、図2に
示すように上側液室流路形成部材41と相俟って圧電素
子列4の各駆動部圧電素子7,7…に対応して各々独立
した加圧液室17の流路を形成すると共に、各加圧液室
17へのインク供給路を兼ねた流体抵抗部42を形成す
る多数の内側隔壁部43と、加圧液室17,17…の周
囲に共通インク流路44を形成する外周隔壁部45とか
らなる。上側液室流路形成部材41は、下側液室流路形
成部材40と略同様の構成であるが、下側液室流路形成
部材40の流体抵抗部42に相当する部分がない点で異
なる。
【0030】ノズルプレート16にはインク滴を飛翔さ
せるための微細孔である多数のノズル15が形成されて
おり、このノズル15の径はインク滴出口側の直径で3
5μm以下に形成し、かつノズル15は加圧液室17の
中心近傍に対応する位置に設けている。このノズルプレ
ート16も振動板12と同様にNi(ニッケル)の金属
プレートからなり、エレクトロフォーミング法によって
製造している。
【0031】次に、このインクジェットヘッドの製造工
程について説明する。このインクジェットヘッドは、予
めアクチュエータユニット1と液室ユニット2とを別々
に組付けた後、両ユニット1,2を接着接合して製造し
ている。このような製造工程を採用することによって、
両ユニット1,2の良品同士を選んで組み付けることが
できて歩留りが向上すると共に、加工組付け工程で塵埃
が発生しやすいアクチュエータユニット1と、塵埃の付
着を完全に避けたい液室ユニット2とを別々の工程で組
付けることができるので、完成したインクジェットヘッ
ドの品質自体が向上する。以下、具体的に説明する。
【0032】先ず、アクチュエータユニット1の加工及
び組付け工程は、次のとおりである。すなわち、図2、
図5及び図6に示すように、セラミックス、高剛性の樹
脂等の電気絶縁性材料から形成した基板3に予めインク
供給孔3aを形成すると共に、圧電素子の列設方向(ノ
ズルの配列方向)に沿って中央部に共通溝23を形成す
る。この共通溝23は、後述する圧電素子プレート等の
切断加工時の切込み溝であるスリット溝21よりも深く
形成する。
【0033】そして、この基板3の両側部分に個別引出
電極22を形成するための導電性材料からなる個別引出
電極用パターン51,52を形成すると共に、共通溝2
3内及びその近傍並びに個別引出電極用パターン51,
52を迂回して基板3の両端部に臨むように導電性材料
からなる共通電極用パターン53を形成し、個別引出電
極用パターン51と共通電極用パターン53との間及び
個別引出電極用パターン52と共通電極用パターン53
との間を圧電素子接合領域54,55としている。
【0034】これらの各電極パターン51〜53は、例
えばNi、Au、Cu等の金属蒸着、又は同種金属の電
解、無電界メッキ、あるいはAgPd、AgPt、Auペー
スト等の厚膜導体ペーストの印刷等の方法によって形成
して基板3表面に密着させている。なお、共通電極は、
後述する圧電素子プレート及び個別引出電極用パターン
51,52の切断加工後に別途導電性ペースト等で形成
することもできるので、最低限必要な電極用パターンは
個別引出電極用パターンのみである。
【0035】そして、図7に示すように基板3上の前記
圧電素子接合領域54,55に積層型圧電素子をプレー
ト状に形成してなる圧電素子プレート56,56を接合
剤6(図3参照)を用いて接着接合する。この圧電素子
プレート56の基板3への接合に用いる接合剤6として
はヤング率200kgf/mm2以上のものがよく、こ
こでは加熱硬化タイプのエポキシ系接着剤を使用してい
る。接着剤の形態としては、1液タイプ、2液混合タイ
プ、フィルムタイプ等のいずれでも使用可能である。
【0036】そして、これらの圧電素子プレート56,
56の長辺部端面には予め前記個別端面電極(個別外部
電極)28,29を形成するための端面電極57,58
を形成しておき、基板3上への接着接合後、これらの2
枚の圧電素子プレート56,56の対向する側の端面電
極57,57を基板3上の共通電極用パターン53に導
通処理材料32にて電気的に接続すると共に、2枚の圧
電素子プレート56,56の対向しない端面電極58,
58を基板3上の各個別引出電極用パターン51,51
に導通処理材料31にて電気的に接続する。この導通処
理材料31,32としてはヤング率200kgf/mm
2以上のものを用いている。また、導通処理材料31,
32としては、例えば導電性接着剤、Au等のスパッタ
リング、Au等の蒸着、AgPd等のディッピングなどを
用いることができる。
【0037】次いで、ダイヤモンド砥石をセットしたダ
イサー等によって、2枚の圧電素子プレート56,56
及び基板3の表面部を、その端面電極57,58と直交
する方向に所定のピッチで切断するスリット加工を施し
て、駆動部圧電素子7及び固定部圧電素子8となる複数
の積層型圧電素子を分割形成する同時に、端面電極5
7,58を個々の駆動部圧電素子7(及び固定部圧電素
子8)に対応する個別端面電極28,29に分割する。
このとき、図5にも示すように基板3に所定の深さまで
切込んでスリット溝21を入れて切断することによっ
て、個々の駆動部圧電素子7(及び固定部圧電素子8)
を完全に独立させると共に、基板3上の個別引出電極用
パターン57,58を個々の駆動部圧電素子7(及び固
定部圧電素子8)にそれぞれ個別的に対応する個別引出
電極22,22…に分割する。このとき、分割形成され
た個別引出電極22,22…は、個々の駆動部圧電素子
7(及び固定部圧電素子8)の対向しない端面側の個別
端面電極29,29…と導電処理材料32を介して接続
されたままである。なお、切断ピッチは、例えば1ピッ
チ当たり100μm程度の幅の圧電素子7,8が形成さ
れるピッチとしている。
【0038】また、基板3上の共通電極用パターン53
はその一部が個々の駆動部圧電素子7(及び固定部圧電
素子8)に対応して分割されるが、基板3の共通溝23
にまでスリット溝21が達しないので、切断加工後も共
通電極用パターン53は共通溝23を通じて2列の圧電
素子列4,4の駆動部圧電素子7(及び固定部圧電素子
8)毎に対向する端面側のすべての個別端面電極28,
28…と導電処理材料31を介して接続されたままであ
る。これにより、簡単に2列の圧電素子列4,4の対向
する個別端面電極28,28…に接続された共通電極2
4を確保することができる。
【0039】このように、インクジェットヘッドの製造
方法において、絶縁性基板3上に、引出電極用パターン
51,52を形成すると共に、予め内部電極27を交互
に両端面に取り出して各端面に形成した端面電極57,
58に導通接続した積層型圧電素子56を接合し、引出
電極用パターン51,52と積層型圧電素子56の端面
電極57,58とを導通処理して接続した後、積層型圧
電素子56及び基板3の表面部に同時にスリット加工を
施して、複数の積層型圧電素子(駆動部圧電素子7及び
固定部圧電素子8)を形成すると共に、引出電極用パタ
ーン51,52及び端面電極57,58を複数の積層型
圧電素子にそれぞれ個別的に対応する個別引出電極22
及び個別端面電極28,29に分割することによって、
複数の積層型圧電素子の高密度集積化が図れ、内部電極
からの電極の取出しが容易になる上、積層型圧電素子と
基板が接合されて接合強度が高くなっているため、スリ
ット加工時の積層型圧電素子の破損が低減して、歩留り
が向上し、コストの削減を図ることができる。
【0040】そして、積層型圧電素子の端面電極と基板
上の引出電極とを導通させる導通処理材料31,32と
してヤング率200kgf/mm2以上のものを用いる
ことによって、積層型圧電素子と基板との振動を低減す
ることができて、スリット加工時の積層型圧電素子の破
損が一層少なくなる。また、基板3と駆動部圧電素子7
との接合剤6としてヤング率200kgf/mm2以上
のものを用いることによって、積層型圧電素子と基板と
の振動を低減することができ、スリット加工時の圧電素
子の破損を少なくすることができると共に、駆動部圧電
素子7の駆動時の変位効率の低下を防止してヘッドの特
性を向上できる。
【0041】このようにして、圧電素子プレート56,
56等のスリット加工が終了した基板3上にフレーム部
材5を接合剤6を用いて接着接合する。ここで、フレー
ム部材5接合後のフレーム部材5の上面と圧電素子列
4,4の上面とは、精度良く同一平面となっている必要
がある。これは、後述するようにこの部分に液室ユニッ
ト2の振動板12を接合するため、面精度が悪いと接着
されないダイアフラム部11が発生するからである。そ
こで、駆動部圧電素子7(固定部圧電素子7も同じであ
る。)の最上層26aの上面に電極を形成しないで不活
性層として表面加工を可能にし、圧電素子列4,4の高
さよりも僅かに高いフレーム部材5を接着接合した後、
表面の研削加工を行い、圧電素子列4,4の各圧電素子
7,8上面が僅かに削れて同一平面になるまで研削を行
うようにして、両部品の寸法精度及び接着工法の困難性
を解消している。
【0042】その後、基板3の個別引出電極22,22
及び共通電極24にFPCケーブル33を熱と加圧で接
合して、アクチュエータユニット1を完成する。なお、
FPCケーブル33は圧電素子列4,4の内の駆動部圧
電素子7,7…を選択的に駆動できるパターンを有し、
その接合部には予め半田メッキを施している。
【0043】そして、このようにして完成したアクチュ
エータユニット1上に、別途加工組付けを行った液室ユ
ニット2をその振動板12側(接合面)を下方にして、
位置合わせしながら接着接合する。最後に、基板3のイ
ンク供給孔3aにインク供給パイプ25を挿入して接着
剤を塗布硬化して固定する。
【0044】次に、以上のように構成したインクジェッ
トヘッドの作用について説明すると、記録信号に応じて
選択的に圧電素子列4,4の駆動部圧電素子7,7…に
20〜50Vの駆動パルス電圧を印加することによっ
て、パルス電圧が印加された駆動部圧電素子7が変位し
て振動板12の対応するダイアフラム部11をノズル1
5方向に変形させ、加圧液室17の容積(体積)変化に
よって加圧液室17内のインクを加圧し、インクがノズ
ルプレート16のノズル15から液滴となって噴射さ
れ、記録を行うことができる。
【0045】そして、インク滴の吐出に伴って加圧液室
17内のインク圧力が低下し、このときのインク流れの
慣性によって加圧液室17内には若干の負圧が発生す
る。この状態の下において、駆動部圧電素子7への電圧
の印加をオフ状態にすることによって、振動板12のダ
イアフラム部11が元の位置に戻って加圧液室17が元
の形状になるため、さらに負圧が発生する。
【0046】このとき、図示しないインクタンクに通じ
るインク供給パイプ25から入ったインクは、共通イン
ク流路44を通って流体抵抗部42から加圧液室17内
に充填される。そこで、ノズル15のインクメニスカス
面の振動が減衰して安定した後、次のインク滴吐出のた
めに駆動部圧電素子7にパルス電圧を印加する。
【0047】なお、上記実施例においては、駆動部圧電
素子7の両端面の個別端面電極28,29と共通電極2
4,個別引出電極22とを導通処理する導通処理材料3
1,32は個別端面電極28,29の外面の一部に付着
させているが、図8に示すように導通処理材料31,3
2を個別端面電極28,29の全面に付着させて導通処
理を行うことによって、駆動部圧電素子7となる前の圧
電素子プレート56に対するスリット加工前の圧電素子
プレート56と基板3との接合強度を飛躍的に向上させ
ることができ、スリット加工時の積層型圧電素子の破損
を一層低減することができる。
【0048】また、上記実施例においては、駆動部圧電
素子7の両端面に内部電極27を交互に接続した個別端
面電極28,29を形成しているが、両端面の略全面に
導通処理材料31,32を付着させて、両端面に引出し
た内部電極27と共通電極24,個別引出電極22とを
直接導通させるようにすることもでき、これによって工
数が削減されて、コストが低減する。
【0049】さらに、上記実施例では、ノズルの開口方
向を圧電素子の変位方向と同軸上にしたサイドシュータ
方式のインクジェットヘッドに適用した例で説明した
が、ノズルの開口方向を圧電素子の変位方向と直交する
方向にしたエッジシュータ方式のインクジェットヘッド
にも適用することができる。さらに上記実施例では駆動
部圧電素子と固定部圧電素子とを交互に配列したバイピ
ッチ構造としたが、すべての圧電素子を駆動部とするノ
ーマルピッチ構造にすることもでき、上記実施例の説明
中の固定部圧電素子8も駆動部圧電素子7となる。
【0050】
【発明の効果】以上説明したように、請求項1のインク
ジェットヘッドによれば、基板上の積層型圧電素子の最
上層が上面に電極を有しない不活性層である構成として
いるので、積層型圧電素子を基板に接合した後その表面
を加工することが可能になり、圧電素子の部品公差を緩
くすることができ、製造工程上の歩留りの向上を図れ、
コストを削減できる。
【0051】請求項2のインクジェットヘッドによれ
ば、積層型圧電素子は内部電極が交互に両端面に取り出
されて各端面に形成された個別端面電極に導通接続さ
れ、更にこの個別端面電極が前記基板上に設けられた個
別引出電極にヤング率200kgf/mm2以上の導通
処理材料で接続されるので、基板と積層型圧電素子との
接合が強くなって、スリット加工を施すときの積層型圧
電素子の破損を少なくすることができ、製造工程上の歩
留りの向上を図れ、コストを削減できる。
【0052】請求項3のインクジェットヘッドによれ
ば、積層型圧電素子は内部電極が交互に両端面に取り出
されて各端面に形成された個別端面電極に導通接続さ
れ、更にこの個別端面電極が基板上に設けられた個別引
出電極に導通処理材料で接続され、この導通処理材料が
個別端面電極の外面全面に付着されているので、積層型
圧電素子と基板との接合強度が向上して、スリット加工
を施すときの積層型圧電素子の破損を少なくすることが
でき、製造工程上の歩留りの向上を図れ、コストを削減
できる。
【0053】請求項4のインクジェットヘッドによれ
ば、基板と積層型圧電素子を接合するヤング率200k
gf/mm2以上の接合材料で接合しているので、積層
型圧電素子と基板との接合強度が向上して、スリット加
工を施すときの積層型圧電素子の破損を少なくすること
ができ、製造工程上の歩留りの向上を図れ、コストを削
減できる。
【0054】請求項5のインクジェットヘッドによれ
ば、積層型圧電素子は内部電極が交互に両端面に取り出
されて、この取り出された内部電極が基板上に設けられ
た個別引出電極に導通処理材料で接続されているので、
積層型圧電素子の内部電極と個別引出電極との接続を容
易に行うことができ、工数の削減を図れ、製造工程上の
歩留りの向上を図れ、コストを削減できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例を示すインクジェットヘッド
の外観斜視図
【図2】図1の分解斜視図
【図3】図1のA−A線に沿う断面図
【図4】図1のB−B線に沿う断面図
【図5】図3の要部拡大断面図
【図6】アクチュエータユニットの加工及び組立て工程
の説明に供する基板の斜視図
【図7】同工程の説明に供する基板に圧電素子プレート
を接合した状態の斜視図
【図8】他の実施例の説明に供する図5と同様な要部拡
大断面
【符号の説明】
1…アクチュエータユニット、2…液室ユニット、3…
基板、4…圧電素子列、5…フレーム部材、6…接着
剤、7…駆動部圧電素子、8…固定部圧電素子、11…
ダイアフラム部、12…振動板、13…液室流路形成部
材、15…ノズル、16…ノズルプレート、17…加圧
液室、21…スリット溝、22…個別引出電極、23…
共通溝、24…共通電極、27…内部電極、28,29
…個別端面電極、51,52…個別引出電極用パター
ン、53…共通電極用パターン、56…圧電素子プレー
ト、57,58…外部電極。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 岩瀬 政之 東京都大田区中馬込1丁目3番6号 株式 会社リコー内 (72)発明者 梅沢 道夫 東京都大田区中馬込1丁目3番6号 株式 会社リコー内 Fターム(参考) 2C057 AF93 AG47 AP14 AP22 AP26 AP27 BA03 BA14

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 基板上に複数の積層型圧電素子を列状に
    配置し、各積層型圧電素子のd33方向の変位で加圧液
    室を加圧してノズルからインクを噴射させるインクジェ
    ットヘッドにおいて、前記基板上の積層型圧電素子の最
    上層が上面に電極を有しない不活性層であることを特徴
    とするインクジェットヘッド。
  2. 【請求項2】 基板上に複数の積層型圧電素子を接合し
    て列状に配置し、各積層型圧電素子のd33方向の変位
    で加圧液室を加圧してノズルからインクを噴射させるイ
    ンクジェットヘッドにおいて、前記積層型圧電素子は内
    部電極が交互に両端面に取り出されて各端面に形成され
    た個別端面電極に導通接続され、更にこの個別端面電極
    が前記基板上に設けられた個別引出電極に導通処理材料
    で接続され、この導通処理材料がヤング率200kgf
    /mm2以上の材料からなることを特徴とするインクジ
    ェットヘッド。
  3. 【請求項3】 基板上に複数の積層型圧電素子を接合し
    て列状に配置し、各積層型圧電素子のd33方向の変位
    で加圧液室を加圧してノズルからインクを噴射させるイ
    ンクジェットヘッドにおいて、前記積層型圧電素子は内
    部電極が交互に両端面に取り出されて各端面に形成され
    た個別端面電極に導通接続され、更にこの個別端面電極
    が前記基板上に設けられた個別引出電極に導通処理材料
    で接続され、この導通処理材料が前記個別端面電極の外
    面全面に付着されていることを特徴とするインクジェッ
    トヘッド。
  4. 【請求項4】 基板上に複数の積層型圧電素子を接合し
    て列状に配置し、各積層型圧電素子のd33方向の変位
    で加圧液室を加圧してノズルからインクを噴射させるイ
    ンクジェットヘッドにおいて、前記基板と前記積層型圧
    電素子を接合する接合材料がヤング率200kgf/m
    m2以上の材料からなることを特徴とするインクジェッ
    トヘッド。
  5. 【請求項5】 基板上に複数の積層型圧電素子を接合し
    て列状に配置し、各積層型圧電素子のd33方向の変位
    で加圧液室を加圧してノズルからインクを噴射させるイ
    ンクジェットヘッドにおいて、前記積層型圧電素子は内
    部電極が交互に両端面に取り出されて、この取り出され
    た内部電極が前記基板上に設けられた個別引出電極に導
    通処理材料で接続されていることを特徴とするインクジ
    ェットヘッド。
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