JP2014024275A - 液体吐出ヘッド及び画像形成装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】振動板に支持基板を接合する構成の液体吐出ヘッドにおいて、組立てを容易にする。
【解決手段】液体吐出ヘッドは、ノズル板3と、複数の隔壁部19を有する液室基板11と、液室基板11上に積層される振動板12と、振動板上に積層形成される下電極13、圧電体膜14及び上電極15からなる圧電素子2と、圧電素子の上電極に接合される配線部材17と、振動板を支持する支持基板8とを備える。支持基板は、振動板上の隔壁部に対向する部分に形成される接合壁27を介して、振動板に接合される。接合壁は、振動板上に圧電素子と配線部材とを形成する工程で、隔壁部に対向する部分に、少なくとも圧電素子の各層及び配線部材と同じ層2a、17aを積層して形成し、配線部材の層厚を圧電素子の最大変位量よりも大きく設定する。
【選択図】図5

Description

本発明は、液滴を吐出する液体吐出ヘッド、及び、その液体吐出ヘッドを備えた画像形成装置に関するものである。
一般に、プリンタ、ファックス、複写機、プロッタ、或いはこれらの内の複数の機能を複合した画像形成装置としては、例えばインクの液滴を吐出する液体吐出ヘッドを備えているインクジェット記録装置がある。このインクジェット記録装置では、媒体を搬送しながらインク滴を用紙に付着させて画像形成を行う。ここでの媒体は「用紙」ともいうが材質を限定するものではなく、被記録媒体、記録媒体、転写材、記録紙なども同義で使用する。また、画像形成装置は、紙、糸、繊維、布帛、皮革、金属、プラスチック、ガラス、木材、セラミックス等の媒体に液体を吐出して画像形成を行う装置を意味する。そして、画像形成とは、文字や図形等の意味を持つ画像を媒体に対して付与することだけでなく、パターン等の意味を持たない画像を媒体に付与する(単に液滴を吐出する)ことをも意味する。また、インクとは、所謂インクに限るものではなく、吐出されるときに液体となるものであれば特に限定されるものではなく、例えばDNA試料、レジスト、パターン材料なども含まれる液体の総称として用いる。
インクジェット記録装置の液体吐出ヘッドでは、複数のノズルを有するノズル板と、各ノズルに連通する個別の液室の側面を形成するための複数の隔壁部を有する液室基板と、複数の液室の一面を形成する振動板とを積層して、複数の個別の液室を形成する構成が知られている。振動板の液室基板に積層された面とは反対側の面には、各個別の液室内の圧力を変化させるための圧力発生手段として、下電極、圧電体、及び、上電極を積層した圧電素子と、上電極を駆動回路の接続するための配線部材とが形成される。液室基板上に積層された振動板は、個別の液室の一面を形成しつつ、その反対面に形成された各個別の液室内の圧力を変化させるための圧電素子の変位に応じて振動し、液室を加圧して液室内のインクをノズルから吐出させる。
上記液体吐出ヘッドの工法としては、MEMS(Micro Electro Mechanical Systems)技術が取り入れられている。MEMS技術を用いることにより、例えば、シリコン基板上に液体吐出ヘッドを構成する液室、圧電素子、配線部材などの部品をエッジング、スパッタ、蒸着などの加工方法により微小領域に形成することができる。これらの部品をさらに小さく形成したり、それぞれの部品の配置に工夫を凝らしたりすることにより、ヘッドとして小型に作りこむことができる。その結果、1枚のシリコン基板(半導体基板)から多くの液体吐出ヘッドを作る(取り数を多くする)ことができ、小型化するほどにコストを下げることができる。
また、インクジェット記録装置の高速化、高画質化を図るべく、液体吐出ヘッドの高集積化が望まれている。高集積化のためには、複数の液室を高密度に配列するよう、各液室の並び方向の幅をそれぞれ小さく形成する。また、吐出効率を良好にするためには、並び方向の幅を小さく形成しつつ、各液室の幅をより広く取ることが重要である。しかし、液室の幅を広くすると、必然的に複数の液室の並び方向を区画する隔壁部の幅が小さくなり、液室の剛性が不足してクロストークが発生する。クロストークが発生すると、インク滴の飛翔速度にバラツキを与え、紙に付着するドット位置精度を大きく劣化させる。また、吐出するインクの体積にも影響を与え、画像濃度がばらつき、画像品質を劣化させてしまう。
クロストークを解消すべく、振動板の液室基板に積層された面とは反対側の面における液室基板の複数の隔壁部に対向する部分を、各圧電素子の運動を阻害しない形状の支持基板で支持する技術が知られている。
例えば、特許文献1には、上記反対側の面における液室基板の複数の隔壁部に対向する部分に接合され、各圧電素子の間を区画する複数の区画壁と、区画壁を介して振動板に対向する天板とを有する支持基板を備えた液体吐出ヘッドが記載されている。区画壁の高さは、天板が各圧電素子の運動を阻害しないように、各圧電素子よりも高く設けられる。
また、特許文献2には、上記反対側の面における液室基板の複数の隔壁部に対向する部分に壁を形成し、この壁を介して圧電素子の運動を阻害しない程度に圧電素子を覆う凹部を形成した支持基板を振動板に接合した液体吐出ヘッドが記載されている。この壁は、各個別の液室を駆動する圧電素子を形成する工程で、上記隔壁部に対向する部分に、圧電素子を形成する各層と同じ各層を積層して形成され、支持基板を振動板に接合する接合壁として機能する。
しかしながら、特許文献1の構成では、支持基板の区画壁を、圧電素子が積層された振動板の隔壁部に対向する位置に位置合わせして、組み立てて接合する。この際、接合部が液室側にはみ出さないように、区隔壁を幅の小さい隔壁部に位置合わせする必要があり、高い組立て精度が要求される。このため、コストアップ、歩留まり低下と言う問題が発生する。
また、特許文献2の構成では、MEMS技術により、液室を駆動するための圧電素子の各層を形成する工程で、振動板の隔壁部と対向する位置にも圧電素子の各層と同一の各層が形成されるようにパターニングを行い、形成された同一の各層を積層した接合壁を形成する。すなわち、接合壁の形成は、圧電素子の各層を形成する工程を利用すればよく、新たな接合壁形成工程を必要としない。また、MEMS技術を用いているので、幅の小さい液室の隔壁部に対しても高精度に接合壁を形成することができる。
上述のようにして形成された接合壁の高さは、圧電素子の高さと同じとなる。このため、圧電素子の運動を阻害しないよう、支持基板の接合壁との接合面側に各圧電素子を覆うための凹部を設ける。そして、凹部と凹部との間にある面を、接合壁に位置合わせして、組立て接合する。このような接合壁を設けた構成は、特許文献1の構成に較べると、組立てがし易い。しかし、組立ての際に支持基板が横にずれると、支持基板の凹部の側面や、凹部の間にある面に圧電素子が接触してしまう虞がある。このため、組立てのし易さとしては充分でなく、さらに組立てを容易にして、コストアップ、歩留まり低下を抑制することが望まれている。このような組立てのし易さの問題は、液体吐出ヘッドが高集積化、小型化されるほど顕著になる。
本発明は以上の問題点に鑑みなされたものであり、その目的は、圧電素子を積層する振動板に支持基板を接合する構成の液体吐出ヘッドにおいて、組立てを容易にできる液体吐出ヘッド、及び液滴吐出装置を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、請求項1の発明は、複数のノズルを有するノズル板と、前記ノズル板に接合され各ノズルに連通する個別の液室の側面を形成するための複数の隔壁部を有する液室基板と、前記複数の液室の一面を形成するよう前記液室基板上に積層される振動板と、前記個別の液室を駆動するために前記振動板の前記液室基板に積層される面とは反対側の面に積層形成される下電極、圧電体及び上電極からなる圧電素子と、前記圧電素子の上電極に接合される配線部材と、前記振動板を支持する支持基板とを備え、前記支持基板は、前記振動板の前記液室基板上に積層される面とは反対側の面における液室基板の複数の隔壁部に対向する部分に形成される接合壁を介して前記振動板に接合される液体吐出ヘッドにおいて、
前記接合壁は、前記振動板上に前記個別の液室を駆動する前記圧電素子と前記配線部材とを形成する工程で、前記隔壁部に対向する部分に、少なくとも前記圧電素子の各層及び前記配線部材と同じ層を積層して形成し、前記配線部材の層厚を前記圧電素子の最大変位量よりも大きく設定したことを特徴とするものである。
本発明においては、圧電素子の各層と配線部材とを形成する工程で、隔壁部に対向する部分に、圧電素子の各層及び配線部材と同じ層を積層して接合壁を形成することにより、接合壁の高さは、圧電素子の各層の層厚と配線部材の層厚とを合わせた高さとなる。また、配線部材の層厚は圧電素子の最大変位量よりも大きく設定されるので、接合壁の高さは、圧電素子の各層と圧電素子の最大変位量とを合わせた高さよりも高くなる。
一方、圧電素子の上電極に接合される配線部材は、上電極に対して電気的接続を得られればよく、一般的に、上電極の端部に小面積で積層され、圧電素子の広範囲の領域には配線部材が積層されない。このため、上記接合壁を介して振動板に支持基板に接合すると、圧電素子の広範囲の領域で、圧電素子と支持基板との間に圧電素子の運動を阻害しない程度の空間が形成できる。
この構成では、支持基板の接合面側に、特許文献2のような圧電素子の運動を阻害しないための凹部を形成する必要がなく、これに伴い、接合する際に凹部に対応した位置合わせの必要がない。よって、本発明の構成では、支持基板を接合壁を介して振動板に接合する際、従来に比較して組立てを容易にできる。
本発明によれば、圧電素子を積層する振動板に支持基板を接合する構成の液体吐出ヘッドにおいて、組立てを容易にできるという優れた効果がある。
本実施形態に係る液体吐出ヘッドの分解斜視図。 本実施形態に係る液体吐出ヘッドの斜視図。 本実施形態に係る液体吐出ヘッドの幅方向断面図。 図3の液体吐出ヘッドのA−A断面を示す並び方向断面図。 図3の液体吐出ヘッドのB−B断面を示す並び方向断面図。 配線部材に保護膜を設けた液体吐出ヘッドのB−B断面を示す並び方向断面図。 配線部材を補強配線部材として用いた液体吐出ヘッドの幅方向断面図。 上電極を設けない領域を有する構成の液体吐出ヘッドの幅方向断面図。 変形例に係る液体吐出ヘッドの幅方向断面図。 図9の液体吐出ヘッドの液室基板の上面図。 図9の液体吐出ヘッドの一例のC−C断面を示す並び方向断面図。 図9の液体吐出ヘッドの他例のC−C断面を示す並び方向断面図。 駆動回路をフリップチップボンディングする模式図。 ウェハレベルで接合後、個別にダイシングし液滴吐出チップ化する模式図。 本実施形態の液体吐出ヘッドを搭載したインクジェットプリンタの概略図。 特許文献1に記載の液体吐出ヘッドの並び方向の断面図。 特許文献2に記載の液体吐出ヘッドの並び方向の断面図。
以下、本発明の好適な実施の形態(以下「実施形態」という)について、図面を用いて詳細に説明する。
図1は本実施形態に係る液体吐出ヘッドの分解斜視図、図2は本実施形態に係る液体吐出ヘッドの斜視図である。
図1、2に示す液体吐出ヘッド50は、主に、ノズルカバー35、ノズル板3、アクチュエータ基板36、バッキングプレート37、ダンパプレート38、ノズルカバー35、及び、ハウジング39を含んで構成されている。ノズル板3は複数のノズル4を有している。アクチュエータ基板36は、後で詳細に説明する、ノズルにインクを供給する複数の個別液室と各個別液室を加圧する圧力形成手段としての圧電素子等が形成されている駆動素子基板1と、支持基板8とから構成される。バッキングプレート37と、アクチュエータ基板36と接合することにより、共通液室、個別液室及びインク供給路を形成する。ノズルカバー35は、ノズル板3に配置されたノズル4を露出開口して、液体吐出ヘッド50の周縁部を覆うように配置されている。ハウジング39には、複数個のインクタンクを保持するタンクホルダ(不図示)に固定されている。
また、液体吐出ヘッド50には、後述するインクジェット記録装置に配置されるコネクタと電気的に接続されて記録画像に応じた電気信号を伝達する電気パッドを具備するコネクタ基板(不図示)が設けられている。更に、アクチュエータ基板36上に設けられた圧電素子を駆動するための駆動回路(不図示)と、駆動回路に電気的に接続するパッド部とコネクタ基板とを電気的に接続するFPC40とが設けられている。記録画像に応じてインクジェット記録装置から伝達される電気信号が、コネクタ基板(不図示)とFPC40を介して圧電素子に供給される。そして、圧電素子によって変換された機械振動が振動板を介して個別液室内のインクを加圧し、ノズルから記録用紙に高精度にインクが吐出される。図1中に、この液体吐出ヘッドの並び方向と幅方向をしめす。
図3は本実施形態に係る液体吐出ヘッドの幅方向断面図である。この液体吐出ヘッド50におけるノズル板3には複数個のノズル4が形成されたノズル列を2列有している。
この液体吐出ヘッド50では、複数のノズル4を有するノズル板3と、各ノズル4に連通する個別の液室5の側壁面を形成する液室基板11と、複数の個別の液室5の一面を形成する振動板12とが積層されている。振動板12の液室基板11に積層される面とは反対側の面には、個別の液室内の圧力を変化させるための圧力発生手段としての圧電素子2、配線部材17が形成される。液室基板11と、振動板12と、各個別の液室内の圧力を変化させるための圧電素子2と、配線部材17とにより、液室を駆動する駆動素子基板1が構成される。駆動素子基板1の圧電素子2が形成された面側に、支持基板8が接合されている。さらに、支持基板8上には、バッキングプレート37、ダンパプレート38、ハウジング39が接合されている。このような積層構造で、インク流路を形成することで、各液室5への液体供給路を形成している。なお、図1では、液室基板11、振動板12、各個別の液室内の圧力を変化させるための圧電素子2、配線部材17により構成される駆動素子基板1と、支持基板8とをあわせて、アクチュエータ基板36として示している。
ノズル板3は、樹脂又は金属で構成され、複数のノズル4を有している。
液室基板11はガラスまたは薄い金属板の積層体、好ましくはシリコン基板で作られており、個別の液室5が形成される。液室基板11は複数の液室の並び方向を区画する隔壁部19を備えている(図5参照)。液室基板11のノズル板3が接合されている反対側の面には、液室5の一壁面を形成する振動板12が形成されて、複数の個別の液室5が形成される。振動板12はSiO、SiN、PS(ポリシリコン)、SiONなど比較的ヤング率が高い材料が使われ、液室基板11をエッチングして液室5を形成するときのエッチングストップ層として使われる。また、液室基板11には液室5に連通する流体抵抗6と、液体導入口71が液室5と同じくエッチングにより形成されている。
振動板12の液室基板11に積層された反対側の面には、各液室5内の圧力を変化させるために、下電極13、圧電体膜14、上電極15を順次積層した圧電素子2が形成される。圧電素子2周辺部位には、絶縁層16が積層されている。下電極13の材料としては、例えばTi、Pt、SRO(ストロンチウムルテニウムオキサイド)、または、その組み合わせが挙げられる。圧電体膜14の材料としては、例えば、チタン(Ti)、ジルコニア(Zr)等の金属を含むチタン酸ジルコン酸鉛(以下、PZTという)等の複合有機金属酸化物があげられる。上電極15はAuなどで形成される。絶縁層16はSiOまたはSiNなどで形成される。これらは、スパッタ等の工法で形成される。圧電素子2の各層は所望の形状にパターニングされ、駆動回路45を挟んで両側に配設される。
このような下電極13、圧電体膜14、上電極15を積層形成して圧電素子2を構成し、振動板12とあわせてユニモルフ構造となる。そして、圧電素子2に電圧を印加することにより振動板12が変位して、各液室5に対応する圧力発生手段として作用する。なお、圧電素子2を高密度に配列する液体吐出ヘッドでは、各圧電素子2を駆動するための一方の電極である下電極13が、1列に配列された複数の液室5を駆動する複数の圧電素子2の共通電極として設けられている。
上電極15の周囲部上にある絶縁層16の駆動回路45側の端部にはコンタクトホール47を形成し、配線部材17により形成される引出し配線を駆動回路45に接続する。配線部材17はAlまたはAl合金をスパッタして形成している。
駆動回路45は、図13に示すように配線部材17の端部に設けられたスタッドバンプ24と駆動回路45に設けられたアルミパッド25及び金メッキ26にフリップチップ接合される。これにより、各圧電素子2に電圧を印加できる。
振動板12には、液体導入口71に連通する液体導入路72が形成されている。
次に、本実施形態の特徴部である、駆動素子基板1への支持基板8の接合について説明する。まず、支持基板8を設ける理由、および、従来の支持基板の不具合について説明する。
近年、インクジェット記録装置の速度や画質を向上するために、液体吐出ヘッドの集積度をあげることが望まれている。一般的には、1列での集積度は従来と変わらないが多列に並べてトータルで集積度を上げる方法と、1列での集積度を上げる方法とがある。シリコン基板上の取り数を増加してコストダウンを図るには、1列での集積度を上げる方法が好ましい。
1列での集積度を上げる方法で高集積化を図るには、液室を高密度に配列するよう、液室、圧電素子等の並び方向のそれぞれの幅を小さく形成し、それに伴い、吐出効率を上げるよう液室の高さを小さく形成する。このため、駆動素子基板1は薄くなる。さらに、吐出効率を良くするため、液室の並び方向の幅を小さく形成しつつ、各液室5の幅をより広く取ることが重要である。しかし、液室5の幅を広くすると、必然的に複数の液室5の並び方向を区画する液室基板11の隔壁部19の幅が小さくなり、クロストークが発生する。クロストークが発生すると、インク滴の飛翔速度にバラツキを与え、紙に付着するドット位置精度を大きく劣化させる。また、吐出するインクの体積にも影響を与え、画像濃度がばらつき、画像品質を劣化させてしまう。
クロストークを解消すべく、駆動素子基板1の、振動板12の液室基板11に積層される反対側の面における液室基板11の複数の隔壁部19に対向する部分を、各圧電素子2の運動を阻害しない形状の支持基板8で支持する。しかし、支持基板8を、上記反対側の面の隔壁部19に対向する部分に組み付ける際、高精度な位置合わせが必要になる。例えば、600dpiの高集積ヘッドの場合、各液室のピッチは42.3[μm]であり、吐出特性を考えて、変位量を大きくするよう液室5の幅は広めの35[μm]とすると、隔壁部19の幅は7.3[μm]となる。この7.3[μm]の隔壁部19との対向部を、各液室5を駆動する圧電素子2の変位を妨げることがないように、支持基板8により支持する。
例えば、上記特許文献1の構成では、図16に示すように、支持基板41は、振動板12の液室基板11と反対側の面における複数の隔壁部19に対向する部分に接合される複数の区画壁41aと、区画壁41aを介して振動板12に対向する天板41bからなる。支持基板41の区画壁41aを3[μm]とすると、区画壁41aが幅7.3[μm]の隔壁部19から外れないように組み立てるには、±2[μm]程度の誤差しか許されない。
また、上記特許文献2の構成では、図17に示すように、振動板12の液室基板11と反対側の面における複数の隔壁部19に対向する部分に接合壁27を形成し、この接合壁27を介して、凹部42aを形成した支持基板42を振動板12に接合する。この接後壁27は、各個別の液室5を駆動する圧電素子2を振動板12の上記反対面上に形成する工程で、隔壁部19に対向する部分に、圧電素子2を形成する各層と同じ各層2aを積層して形成する。このようにして形成された接合壁27の高さは、圧電素子2の高さと同じとなる。このため、圧電素子2の運動を阻害しないよう、支持基板42の接合壁27との接合面側に各圧電素子2を覆うための凹部42aを設ける。そして、凹部42aと凹部42aとの間にある面42bを、接合壁27に位置合わせして、組立て接合する。このような構成では、組立ての際に支持基板42が横にずれると、支持基板42の凹部42aの側面や、凹部42aの間にある面42bに圧電素子2が接触してしまう虞がある。このため、組立てのし易さとしては充分でない。
本実施形態の液体吐出ヘッド50では、支持基板8を接合する接合壁27が、圧電素子2と支持基板8との間に圧電素子2の運動を阻害しない程度の空間Sを有する高さとなるよう形成し、この接合壁27を介して支持基板8を駆動素子基板1に接合する。
図5は、図3の本実施形態の液体吐出ヘッド50のB−B断面における並び方向断面図である。駆動素子基板1を構成する液室基板11には複数の個別の液室5の幅方向を区画する隔壁部19を有している。駆動素子基板1を構成するが振動板12の液室基板11と反対側の面における、少なくとも上記複数の隔壁部19に対向する部分に接合壁27を設ける。この接合壁27は、振動板12上に個別の液室を駆動する圧電素子2と配線部材17を形成する工程で、上記隔壁部19に対向する部分に、少なくとも、圧電素子2の各層(下電極13,圧電体膜14,上電極15)と同じ層2a(13a,14a,15a)、及び、配線部材17と同じ層17aを積層して形成したものである。さらに、配線部材17の層厚を圧電素子2の最大変位量よりも大きく設定する。
なお、本実施形態の液体吐出ヘッド50では、図5に示すように、下電極13を各液室5を駆動する圧電素子2の共通電極として設けている。このため、図5に示すように、各液室5を駆動する圧電素子2の下電極13は隔壁部19に対向する部分にも一体的に形成され、接合壁27の一部を構成している。
圧電素子2の各層(下電極13,圧電体膜14,上電極15)と配線部材17とを形成する工程で、少なくとも圧電素子2の各層(13,14,15)及び配線部材17と同じ層2a(13a,14a,15a)、17aを積層して接合壁27を形成することにより、接合壁27の高さは、圧電素子2の各層(13,14,15)の層厚と配線部材17の層厚とを合わせた高さとなる。また、配線部材17の層厚は圧電素子2の最大変位量よりも大きく設定されるので、接合壁27の高さは、圧電素子2の各層(13,14,15)と圧電素子2の最大変位量とを合わせた高さよりも高くなる。
一方、圧電素子2の上電極15に接合される配線部材17は、上電極15に対して電気的接続を得られればよく、後述するように、上電極15の端部に小面積で積層され、圧電素子2の広範囲の領域には配線部材17が積層されない(図3参照)。このため、接合壁27を介して振動板12に支持基板8に接合すると、圧電素子2の広範囲の領域で、圧電素子2と支持基板8との間に圧電素子2の運動を阻害しない程度の空間Sが形成できる。
また、図に示すように、接合壁27は、圧電素子2の各層と同じ層2a(13a,14a,15a)と、配線部材17と同じ層17aとの間に、圧電素子2の周縁部に設けられる絶縁層16と同じ層16aを形成したものでもよい。
このような構成では、特許文献2のように、支持基板42として圧電素子2の運動を阻害しないよう圧電素子2を覆う凹部42aを有する形状を用いる必要がなく、平板からなる支持基板8を用いればよい。よって、支持基板8を接合壁27に接合する際に凹部に対応した位置合わせの必要がない。すなわち、本実施形態の構成では、支持基板8を接合壁27に接合する際、従来に比較して、位置合わせの精度が要求されない。これらのため、高集積化をしつつ良好な吐出性能を得る液体吐出ヘッド50において、組立てが容易となり、コストアップ、歩留まり低下を抑制できる。
本実施形態では、圧電素子2の各層及び配線部材17はいずれも薄く構成されている。例えば、板厚0.2〜1.5[μm]の振動板12の上に、層厚0.1〜0.5[μm]の下電極13、層厚0.2〜2[μm]の圧電体膜14、層厚0.05〜0.3[μm]の上電極15を積層した圧電素子2が形成される。圧電素子2の周縁部に設けられる絶縁層16は0.2〜0.6[μm]である。また、配線部材17の層厚は3[μm]と高くしている。圧電素子2の変位を妨げない空間Sを確保するには、圧電素子2の変位量以上の隙間があればよい。圧電素子2の変位量は大きくても0.5[μm]程度であり、配線部材17の層厚を3[μm]と圧電素子2の最大変位量よりも十分大きく設定する。これにより、圧電素子2と支持基板8との間に圧電素子2がアクチュエータとして可動するための空間Sを十分確保できる。
接合壁27は、振動板12上に各液室を駆動する圧電素子2の各層(13,14,15)、及び配線部材17を形成する工程で、隔壁部19と対向する部分にも圧電素子2の各層(13,14,15)及び配線部材17と同じ層2a(13a,14a,15a),17aが形成されるようにフォトリソ、エッチング等でパターンニングを行うことで形成される。すなわち、接合壁27の形成は、圧電素子2の各層と配線部材17の層を形成する工程を利用すればよく、新たな接合壁形成工程を必要としない。また、MEMS技術を用いているので、幅の小さい液室5の隔壁部19に対向する部分に対しても高精度に接合壁27を形成することができる。
また、図3に示すように、駆動素子基板1は、液室基板11の液体導入口71に連通する液体導入路72を有している。この液体導入路72は、振動板12上に各液室を駆動する圧電素子2の各層(13,14,15)、絶縁層16、及び、配線部材17を形成する工程で、圧電素子2の各層、絶縁層16、及び、配線部材17と同じ各層2a(13a,14a,15a)、16a、17aを積層形成し、エッチングにてパターニングして液体導入路72の側面を形成している。このようにして形成された液体導入路72の側面部は接合壁27として機能し、その最上面を接合面31として支持基板8が接合される。この構成では、振動板12の上記隔壁部19に対応する部分に加えて、液体導入路72の側面部においても、接合壁27を介して支持基板8が接合される。よって、駆動素子基板1はより強固に支持基板8により支持されることになり、駆動素子基板1の剛性不足をより効果的に解消することができる。
支持基板8はガラス、シリコン基板、金属板などで構成され、駆動素子基板1の液体導入路72に連通する液体供給路9と、駆動回路45に接触しないように形成された貫通穴46を備えている。支持基板8の液体供給路9と、駆動素子基板1の液体導入路72の位置ずれに注意して、支持基板8を接合壁27の接合面31に接着する。支持基板8の接合面は凹凸がなく平らであり、接着する時に位置ずれを起こしても圧電素子2の変位を妨げることは無い。このため、組立ては容易になり、量産性に優れるものとなる。
支持基板8には共通液室43を形成するバッキングプレート37a,bが積層接着される。バッキングプレート37bには、ダンパフィルム38aを介して、共通液室43に対応する位置に空気室を形成する穴を有するダンパプレート38bが接合される。ダンパプレート38bには共通液室43に連通する液体供給口(図示なし)が形成されたハウジング39が接合されている。ノズル4から吐出されるインクは、タンク部(不図示)から液体供給口(図示なし)を介して共通液室43に流入する。共通液室43内のインクは、支持基板8に設けられた液体供給路9を通過し、それぞれの個別の液体導入路72、71及び流体抵抗6を経由してそれぞれの個別の液室5内に供給される。
以下、駆動素子基板1および支持基板8について、さらに詳細に説明する。
図3に示すように、駆動素子基板1では、振動板12上に形成された各液室5を駆動する圧電素子2の周縁部を覆う絶縁層16の一部にコンタクトホール47があけられ、コンタクトホール47を介して上電極15は引出し配線を形成する配線部材17と電気的に接続される。
図4は、図3の液体吐出ヘッドのA−A断面を示す並び方向断面図である。A−A断面は、液室5の端部より僅かに外れた位置であり、振動板12上には液室5を駆動するための圧電素子2の端部と、その周縁部を保護する絶縁層16とが形成されている。そして、絶縁層16の上面に形成されたコンタクトホール47を介して、上電極15に接続される配線部材17が形成されている。また、圧電素子2の各層と同じ層2a(13a,14a,15a)と、絶縁層16と同じ層16a、配線部材17と同じ層17aとを積層形成した接合壁27が、圧電素子2、絶縁層16、配線部材17と同じ工程で形成され、接合壁27の最上部となる接合面31に支持基板8が接合される。
また、図3で示すように、圧電素子2に積層される配線部材17は、A−A断面が最上部ではなく、A−A断面よりもさらに液室5より離れた位置で最上部となる。この位置で、配線部材17の最上部が接合面30として支持基板8に接合される。圧電素子2上に形成された配線部材17は、液室5に対応しない位置を接合面30として支持基板8に接合されるので、液室5を駆動する圧電素子2の変位を妨げるものではない。現実的には、液室5に対応する位置でも、端部の変位は非常に少ないので、接合面30の半分程度の面積が液室に対応しない位置とすれば問題はない。この構成では、面積増加はわずかなもので済み、1枚当りのウェハからのヘッド取り数に与える影響は少ないため、コストアップが抑制される。
図5は、図3の液体吐出ヘッドのB−B断面を示す並び方向断面図である。B−B断面は、液室5に対応する位置であり、液室基板11には各個別の液室5の幅方向を区画する隔壁部19が形成されている。また、各液室5に対応して、各液室を駆動するための圧電素子2と、その周縁部を保護する絶縁層16とが形成されている。隔壁部19と対向する位置には、圧電素子2の各層と同じ層2a(13a,14a,15a)と、絶縁層16と同じ層16aおよび配線部材17と同じ層17aを積層形成した接合壁27が、圧電素子2、絶縁層16、配線部材17と同じ工程で形成されている。この接合壁27の最上部となる接合面31に支持基板8が接合される。接合壁27は、圧電素子2、絶縁層16、配線部材17と同じ工程で、エッチングによりパターンニングされて形成される。このため、液室基板11の隔壁部19に対する位置精度は、別体を接着する場合に比べて格段に向上する。その結果、隔壁部19に対する支持基板8の位置精度も向上すし、高集積化が容易となる。なお、接合壁27の、少なくとも上電極15と同じ層15aと、配線部材17と同じ層17aは、圧電素子2とは電気的に切断されている。
また、上記構成の液体吐出ヘッド50において、配線部材17を覆う保護膜20を設けてもよい。図6は、配線部材上に保護膜層を形成した構成のB−B断面の並び方向断面図である。この場合、配線部材17上を覆う保護膜20を形成する工程で、接合壁27の配線部材17と同じ工程で形成された層17aを、保護膜20と同じ工程で形成された層20aで覆うように、エッチングによりパターンニングする。接合壁27の最上部に形成された、保護膜20と同じ工程で形成された層20aが支持基板8との接合面32となることで、支持基板8と接着しやすくすることができる。保護膜20の材質としては、SiO、Al(酸化アルミ)、またはその組み合わせで形成されている。また、液体導入路72の側壁面となる接合壁27の側面を保護膜20で覆う(図9参照)ことにより、接液性を向上させる効果を得ることができる。この場合、保護膜20の材質としては、SiOなどが好ましい。
また、上記構成の液体吐出ヘッド50において、配線部材17と同一工程で形成された層17aを補強配線部材として用いてもよい。図7は、図3に示す液体吐出ヘッドで、配線部材17と同一工程で形成された層17aを下電極13の補強配線部材として用いた構成の幅方向断面図である。図3の液体吐出ヘッド50では、下電極13は振動板12と同じように各液室5に跨って成膜されており、共通電極として設けられている。そのため、多数の圧電素子2を同時に駆動する場合、電圧降下が発生し圧電素子2に印加される電圧が変化し、振動板12の変位量にバラツキを生じてインクの吐出特性が劣化するという課題がある。図7では、液室を駆動する圧電素子2とは電気的に切断されている配線部材17と同一工程で形成された層17aを、コンタクトホール34から下電極13に接続し、下電極13の補強配線29とした。
この課題は外部から入力される電圧供給部から遠い位置に設けられた圧電素子2ほど印加される電圧は低くなりやすい。このため、列に並べられた圧電素子2は電圧供給部からの距離によってインクの吐出特性にバラツキが発生するため共通電極への補強が必要となる。本実施形態では、配線部材17を形成するプロセスと共通電極の補強配線を同じプロセスで行えるものであり、コストダウンと吐出特性向上に寄与できるものである。
図8は、図3に示す液体吐出ヘッドで液室駆動素子の配線部材が支持基板に接合された領域で上電極を有しない構成の幅方向断面図である。上記構成の液体吐出ヘッド50において、液室を駆動する圧電素子2に積層された配線部材17の、支持基板8との接合面30に対応する位置には、上電極15を形成しない。これは、圧電素子2は電圧を印加された時、支持基板8との接合面30に対応する位置は固定部であるので、変位しないようになっているほうが良いためである。
<変形例>
図9は、変形例に係るに液体吐出ヘッドの幅方向の断面図である。図10は、図9の液体吐出ヘッドの駆動素子基板1の上面図であり、支持基板8を接合する前の状態である。図10に示すように、この液体吐出ヘッドでは、圧電素子2は駆動回路45を挟んで両側に紙面に垂直方向に複数千鳥配列となるよう配設されている。図9は、図10に示す幅方向D−D断面を示しており、駆動回路45を挟んで左側に両側に液室5が、右側に隔壁部19に対応する接合壁27が形成される。
変形例では、配線部材17を覆う保護膜20を形成し、接合壁27の配線部材17と同じ工程で形成された層17aも、保護膜20と同じ工程で形成された層20aで覆う。そして、接合壁27は、保護膜20と同じ工程で形成された層20aを接合面32として支持基板8と接合される。
また、液室を駆動する圧電素子2は、上電極15からコンタクトホールを介して引出し配線を形成する配線部材17が保護膜20で覆われる。さらに、保護膜20の最上部33は、支持基板8に設けられた凹部48により支持基板8とは離間して設けられている。この場合、最上部33が液室5に対応する位置にあっても、圧電素子2の変位を妨げることは無い。
図11は、図9の液体吐出ヘッドの並び方向C−C断面の一例の要部拡大図である。上記圧電素子2上に設けられた配線部材17、保護膜20の大きさは圧電体膜14、上電極15、絶縁層16の大きさに比べてかなり小さく、凹部48を設けることで最上部33と支持基板8との間に、大きな余裕を作ることができる。このため、支持基板8の接合時の位置決め精度は緩くなり、容易に組み立てることができる。
また、配線部材17は液室5の並び方向だけではなく、幅方向にも小さく設定できるので、支持基板8に設けられている凹部48は圧電素子2の幅方向の長さ全体に必要ではなく、図9に示すように液室5の端部にある最上部33を逃げる凹部48であれば良い。よって、図11に示すように最上部33に相当する凹部48は圧電素子2ごとではなく、図12に示すように連通するようにしてもよい。この場合、支持基板8の位置決め精度にはさらに緩くなり、容易に組み立てることができる。
次に、本実施形態の駆動素子基板1と、支持基板8をウェハレベルで接合する場合について説明する。図14は、ウェハレベルで接合する模式図である。
シリコン基板上に複数の駆動素子基板1を形成した駆動素子ウェハ21と、同じくシリコン基板上に複数の支持基板8を形成した支持基板ウェハ22がそれぞれ対応する位置に位置決めされ、接合される。なお、駆動回路45のフリップチップ接合はウェハ接合の前工程でも後工程でも良いが、量産性、フリップチップの歩留まりを考慮すると好ましくは前工程で接合すると良い。
概略の全体プロセスとしては、以下のプロセスが好ましい。
1.シリコン基板に振動板形成
2.下電極、圧電体膜、上電極からなる圧電素子形成
3.絶縁層、コンタクトホール、配線部材の形成
4.駆動回路のフリップチップ接合
5.支持基板ウェハ22の接合
6.駆動素子基板の研摩(液室高さを所望の高さにするため)
7.液室、流体抵抗、液体導入口のエッチング
8.液滴吐出チップ23にダイシング
このような、ウェハレベルでの接合では、一方では位置が合っていても他方の場所では累積ピッチ誤差や温度による位置誤差等で位置合わせが困難になる場合がある。しかし、本実施形態の構成の液体吐出ヘッドでは、駆動素子基板1と支持基板8との位置決め精度に余裕がある。このため、ウェハレベルであっても端から端まで不具合無く接合できるようになった。
ウェハ接合する前工程でフリップチップ接合した方が歩留まりがよくなる理由は、フリップチップ接合は、常温でも可能であるが、信頼性を確保するためには加熱しながら、かつ超音波で接合することが好ましい。温度的には150℃、好ましくは200℃が必要である。特に、集積度が高くなるほどこのような条件は必要になってくる。
ウェハの接合に接着剤を使用する場合、フリップチップ接合の制約条件として接着剤が軟化しないフリップチップ接合温度で行う必要がある。一方接着剤の必要要件として、接合強度が実用強度になるまでの時間が短く、軟化温度が高いことと液体(インクなど)に侵されないことが必要であるが、全ての条件に合う接着剤を入手することは難しい。したがって、ウェハ接合する前であれば、接着剤の軟化等を気にする必要が無く、所望の温度でフリップチップ接合が可能になる。
駆動素子ウェハ単体に駆動回路45をフリップチップ接合できるので、加熱してのフリップチップ接合や超音波接合も可能となり、信頼性の高い接合が可能となる。特に、集積度が高くなれば必要な工程である。また、常温、低温での接合には金バンプを使用しているが、例えばコストの安いハンダバンプにすることも加熱しながらのフリップチップ接合であれば可能となる効果がある。
次に、上記液体吐出ヘッド50を搭載する画像形成装置としてのインクジェット記録装置について説明する。
図15は液体吐出ヘッドを搭載した液滴吐出装置としてのライン型インクジェットプリンタ概略図である。ベルト駆動ローラ64とベルト従動ローラ63に巻回された搬送ベルト65が図示しないモータにより駆動される。搬送ベルト65の内側には搬送ベルトのガイドとしてプラテン66が設置されている。給紙カセット67に堆積されている記録紙61は給紙ローラ60により分離されガイド板68に沿って給送される。
プラテン66に対向する位置に、搬送ベルト65に向かって噴射ができるようにインクジェットラインヘッドの各色(Bk、C、M、Y)それぞれ50Bk,50C,50M,50Yが配設されている。これらのインクジェットラインヘッドは通常いくつかの短いインクジェットヘッド、例えば、本実施形態の図2に示すインクジェットヘッドを精度良く並べて紙幅以上の長さに構成されている。
さらに、記録紙に前処理を施す前処理ユニット51を設けても良い。前処理ユニット51は、例えば、記録紙61上にインクを定着できる前処理液を塗布するユニットである。また、55は記録紙61に付着したインクを乾燥させる後処理ユニットである。剥し爪56は搬送ベルト65から記録紙61を剥すように設置され、一対の排紙ローラ57,58に記録紙61は送り込まれ、排紙カセット59に堆積される。このように、小型、高集積、低コストのヘッドをアレイ化して構成するため、低コスト、高画質の画像形成装置を提供することができる。
以上に説明したものは一例であり、本発明は、次の態様ごとに特有の効果を奏する。
(態様A)
複数のノズル4を有するノズル板3と、ノズル板を接合され各ノズルに連通する個別の液室5の側面を形成するための複数の隔壁部19を有する液室基板11と、複数の液室の一面を形成するよう液室基板11上に積層される振動板12と、個別の液室を駆動するために振動板の液室基板に積層される面とは反対側の面に積層形成される下電極13、圧電体膜14及び上電極15からなる圧電素子2と、圧電素子の上電極に接合される配線部材17と、振動板を支持する支持基板8とを備えた液体吐出ヘッドである。支持基板は、振動板の液室基板上に積層される面とは反対側の面における液室基板の複数の隔壁部に対向する部分に形成される接合壁27を介して、振動板に接合される。接合壁27は、振動板上に個別の液室を駆動する圧電素子と配線部材とを形成する工程で、隔壁部に対向する部分に、少なくとも圧電素子の各層及び配線部材と同じ層2a、17aを積層して形成し、配線部材の層厚を圧電素子の最大変位量よりも大きく設定する。
これによれば、上記実施形態について説明したように、圧電素子を積層する振動板に支持基板を接合する構成の液体吐出ヘッドにおいて、組立てを容易にできる。
(態様B)
(態様A)において、個別の液室を駆動する圧電素子に接合された配線部材が、圧電素子により駆動される液室を上面投影した領域より外側で支持基板に接合される。
これによれば、上記実施形態の図3について説明したように、圧電素子に積層された配線部材を支持基板に接合しても、液室を駆動するための圧電素子の変位を妨げることがない。よって、効率の良い液滴吐出とすることができる。
(態様C)
(態様B)において、配線部材が支持基板に接合される部分を下面投影した領域に、上電極または下電極を形成しない。これによれば、上記実施形態の図8について説明したように、接合される部分を下面投影した領域では、圧電素子2を変位しないようにすることができる。
(態様D)
(態様A)において、圧電素子に接合された配線部材に対応する位置の支持基板に、配線部材に接触しないように凹部を形成する。これによれば、上記変形例の図9について説明したように、さらに、支持基板の接合時の位置決め精度がゆるくなり、容易に組み立てることができる。
(態様E)
(態様A)、(態様B)、(態様C)または(態様D)のいずれかにおいて、接合壁の支持基板との接合部に保護膜20を形成する。これによれば、上記実施形態の図6について説明したように、接合壁と支持基板と接着しやすくすることができる。
(態様F)
(態様A)、(態様B)、(態様C)、(態様D)または(態様E)のいずれかにおいて、圧電素子の下電極を各液室の共通電極として形成し、配線部材を形成する工程で、共通電極部に配線部材と同じ層を積層形成して補強配線部材として用いる。これによれば、上記実施形態の図7について説明したように、配線部材を形成する工程と、共通電極の補強配線を形成する工程とを、同時に行え、コストダウンと吐出特性向上をおこなえる。
(態様G)
(態様A)、(態様B)、(態様C)、(態様D)、(態様E)または(態様F)のいずれかにおいて、配線部材で形成した引出し配線に、圧電素子を駆動する駆動回路をフリップチップ接合する。これによれば、上記実施形態について説明したように、信頼性の高い接合が可能となる。
(態様H)
(態様A)、(態様B)、(態様C)、(態様D)、(態様E)、(態様F)または(態様G)のいずれかにおいて、シリコン基板またはガラス基板からなる液室基板と、振動板と、圧電素子と、配線部材と、接合壁とからなる駆動素子基板を多数設けた駆動素子ウェハと、シリコン基板、またはガラス基板からなる支持基板を多数設けた支持ウェハとを、ウェハレベルで接合し、接合したウェハから個別の液体吐出ヘッドに切断した。これによれば、上記実施形態の図14について説明したように、2枚のシリコン基板またはガラス基板から多くの液体吐出ヘッドを作ることができ、コストを下げることができる。また、ウェハレベルでの接合では、接合時の位置合わせが特に困難になる場合があるが、本実施形態の構成の液体吐出ヘッドでは、駆動素子基板と支持基板との位置決め精度に余裕がある。このため、ウェハレベルであっても端から端まで不具合無く接合できる。
(態様I)
媒体を搬送しながら、液滴吐出手段により吐出した液滴を前記媒体に付着させて画像形成を行う画像形成装置において、前記液滴吐出手段として(態様A)乃至(態様H)の液体吐出ヘッドを採用する。これによれば、上記実施形態の図15について説明したように、高速化、高画質化が可能で、低コストの画像形成装置を得ることができる。
1 駆動素子基板
2 圧電素子
3 ノズル板
4 ノズル
5 液室
6 流体抵抗
8 支持基板
9 液体供給路
11 液室基板
12 振動板
13 下電極
14 圧電体膜
15 上電極
16 絶縁層
17 配線部材
19 隔壁部
20 保護膜
21 駆動素子ウェハ
22 支持基板ウェハ
23 液滴吐出チップ
24 スタッドバンプ
25 アルミパッド
26 金メッキ
27 接合壁
29 補強配線
30,31,32 接合面
33 最上部
34 コンタクトホール
35 ノズルカバー
36 アクチュエータ基板
37 バッキングプレート
38 ダンパフィルム
39 ハウジング
43 共通液室
45 駆動回路
46 貫通穴
47 コンタクトホール
50 液体吐出ヘッド
S 空間
特許3690098号公報 特開2004−082623号公報

Claims (9)

  1. 複数のノズルを有するノズル板と、前記ノズル板を接合され各ノズルに連通する個別の液室の側面を形成するための複数の隔壁部を有する液室基板と、前記複数の液室の一面を形成するよう前記液室基板上に積層される振動板と、前記個別の液室を駆動するために前記振動板の前記液室基板に積層される面とは反対側の面に積層形成される下電極、圧電体及び上電極からなる圧電素子と、前記圧電素子の上電極に接合される配線部材と、前記振動板を支持する支持基板とを備え、前記支持基板は、前記振動板の前記液室基板上に積層される面とは反対側の面における液室基板の複数の隔壁部に対向する部分に形成される接合壁を介して前記振動板に接合される液体吐出ヘッドにおいて、
    前記接合壁は、前記振動板上に前記個別の液室を駆動する前記圧電素子と前記配線部材とを形成する工程で、前記隔壁部に対向する部分に、少なくとも前記圧電素子の各層及び前記配線部材と同じ層を積層して形成し、前記配線部材の層厚を前記圧電素子の最大変位量よりも大きく設定したことを特徴とする液体吐出ヘッド。
  2. 請求項1の液体吐出ヘッドにおいて、前記個別の液室を駆動する前記圧電素子に接合された前記配線部材が、前記圧電素子により駆動される液室を上面投影した領域より外側で前記支持基板に接合されることを特徴とする液体吐出ヘッド。
  3. 請求項2の液体吐出ヘッドにおいて、前記配線部材が前記支持基板に接合される部分を下面投影した領域に、前記上電極または前記下電極を形成しないことを特徴とする液体吐出ヘッド。
  4. 請求項1の液体吐出ヘッドにおいて、前記個別の液室を駆動する前記圧電素子に接合された前記配線部材に対応する位置の前記支持基板に、前記配線部材に接触しないように凹部を形成したことを特徴とする液体吐出ヘッド。
  5. 請求項1、2、3または4の何れかの液体吐出ヘッドにおいて、前記接合壁の前記支持基板との接合部に保護層を形成したことを特徴とする液体吐出ヘッド。
  6. 請求項1、2、3、4または5の何れかの液体吐出ヘッドにおいて、前記圧電素子の下電極を各液室の共通電極として形成し、前記配線部材を形成する工程で、前記共通電極部に前記配線部材と同じ層を積層形成して補強配線部材として用いたことを特徴とする液体吐出ヘッド。
  7. 請求項1、2、3、4、5または6の何れかの液体吐出ヘッドにおいて、前記配線部材で形成した引出し配線に、前記圧電素子を駆動する駆動回路をフリップチップ接合したことを特徴とする液体吐出ヘッド。
  8. 請求項1、2、3、4、5、6または7の何れかの液体吐出ヘッドにおいて、シリコン基板またはガラス基板からなる前記液室基板と、前記振動板と、前記圧電素子と、前記配線部材と、前記接合壁とからなる駆動素子基板を多数設けた駆動素子ウェハと、シリコン基板、またはガラス基板からなる前記支持基板を多数設けた支持ウェハとを、ウェハレベルで接合し、接合したウェハから個別の液体吐出ヘッドに切断したことを特徴とする液体吐出ヘッド。
  9. 媒体を搬送しながら、液滴吐出手段により吐出した液滴を前記媒体に付着させて画像形成を行う画像形成装置において、前記液滴吐出手段として請求項1乃至請求項8の液体吐出ヘッドを採用したことを特徴とする画像形成装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2018020510A (ja) * 2016-08-04 2018-02-08 ローム株式会社 圧電素子利用装置およびその製造方法
US10513118B2 (en) 2016-04-22 2019-12-24 Ricoh Company, Ltd. Methods of producing electromechanical transducer, sensor, and actuator

Cited By (2)

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