JP2002323219A - 液化石油ガス気化装置 - Google Patents

液化石油ガス気化装置

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 従来の構成のものは、液化石油ガスの気化効
率が低いという課題を有している。 【解決手段】 制御器26の駆動電力を供給する熱発電
素子6の低温側6bを気化器3に高温側6aを熱源5に
密着させて配置し、気化器3には熱伝導手段8を設けた
構成として、気化器3の温度低下を抑止でき、熱源5の
燃焼熱によって液化石油ガスの気化が効率的に行える。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、液化石油ガス容器
内の液化石油ガスを気化させて外部に供給する液化石油
ガス気化装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来の液化石油ガス気化装置は、例えば
図4に示すような構成になっている。図4は、従来の液
化石油ガス気化装置の構成を示す設置図である。この液
化石油ガス気化装置は、プロパン等の液化石油ガスを蓄
える液化石油ガス容器101と、液化石油ガス容器10
1の外部に配置した気化器102と、気化器102に熱
発電素子103を介して接合した燃焼器104と、気化
器102と外部に設けているコンロ等のガス消費機器1
05とを接続する燃料管106と、燃料管106から分
岐して、気化した液化石油ガスを燃焼器104に供給す
る燃料供給管107と、燃料供給管107の途中に設け
ている開閉弁108と、燃焼器104に供給する液化石
油ガスに着火する着火器109と、前記開閉弁108と
着火器109の駆動を制御する制御器110と、制御器
110の電源である蓄電池111とを備えている。前記
熱発電素子103にはペルチェ素子の様に高温面103
aと低温面104aとの温度差によって発電するものを
使用しており、発生電力は充電器112を介して前記蓄
電池111を充電する。
【0003】前記制御器110は、前記気化器102に
設けている温度検知器113の検知温度情報を受けて、
開閉弁108と着火器109の駆動を制御している。
【0004】前記液化石油ガス容器101は、下部に液
相の液化石油ガスを気化器102に供給する液相取出管
114を、上部に気相の液化石油ガスをガス消費機器1
05に供給する気相取出管115を備えている。前記気
相取出管115には、ガス消費機器105に供給する液
化石油ガスの圧力を調整する圧力調節器116を、また
燃料管106にも同様の目的の圧力調節器117を設け
ている。また、気相取出管115と燃料管106を通っ
た液化石油ガスは、ガスの使用量を測定するガスメータ
118を通って、前記ガス消費機器105に供給され
る。また、燃料供給管107には前記と同様の圧力調節
器119を設けている。
【0005】以上の様な構成の従来の液化石油ガス気化
装置の動作について説明する。特に冬場等の気温の低い
状況で、気相取出管104から液化石油ガスをガス消費
機器105に供給した場合には、液化石油ガスの気化熱
によって液化石油ガス容器101の温度が低下するた
め、液化石油ガス容器101内の圧力が低下し、十分な
液化石油ガスの供給が困難になる。このような状況で
は、液相取出管114から取り出した液相の液化石油ガ
スを気化器102によって気化させて、ガス消費機器1
05に供給するのが一般的である。
【0006】気化器102を通過した液化石油ガスは燃
料管106を通ってガス消費設備105に供給される。
同時に燃料管106から分岐した燃料供給管107を通
って燃焼器104にも供給される。燃焼器104に供給
された液化石油ガスは着火器109によって着火され、
燃焼器104内で燃焼し発熱する。この燃焼の発熱は、
熱発電素子103を介して燃焼器104に接合されてい
る気化器102に伝達される。したがって、気化器10
2内で液化石油ガスの気化が促進される。このとき、制
御器110が温度検知器113の検知温度情報を受けて
開閉弁108と着火器109を制御して燃焼器104の
出力を制御しているため、気化器102は安全な温度に
保たれる。また、熱発電素子103は、高温面103a
と低温面103bとの間に生じる温度差により発電し、
制御器110の電源である蓄電池111に充電している
ため、電池の交換を不要としている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、前記従
来の構成のものは、液化石油ガスの気化効率が低いとい
う課題を有している。
【0008】すなわち、ガス消費設備105が液化石油
ガスを消費している状態では、気化器102に流入する
液相の液化石油ガスは、約10MPaから0.15MP
a程度に減圧される。このため、気化器102内では液
相の液化石油ガスは断熱膨張するものである。このた
め、気化器全体の温度が非常に低下することになる。こ
のため、気化器102が気化できる液化石油ガスの量も
減少して、気化効率が低くなるものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明は、液相の液化石
油ガスを気化させる気化器と、前記気化器に気化熱を供
給する熱源と、熱源の燃焼を制御する制御器と、前記制
御器の駆動電力を供給する熱発電素子とを構成要件とし
て備え、前記熱発電素子は低温側を前記気化器に高温側
を前記熱源に密着させて配置し、前記気化器には熱伝導
率の高い熱伝導手段を設けた構成の液化石油ガス気化装
置としている。
【0010】この構成とすることによって、気化器内が
断熱膨張した液化石油ガスによって充填され、気化器の
温度が低下したときは、熱伝導手段が周囲の空気の熱を
気化器側に熱伝導する。このため、気化器の温度低下が
緩和され、熱源の燃焼熱によって液化石油ガスを効率的
に気化できるものである。
【0011】また、気化器に接続しているガス消費機器
が液化石油ガスを使用していない状況では待機運転を実
行することができる。待機運転の状態では、気化器内に
液化石油ガスが供給されることはなく、気化器の温度
は、待機運転動作をしている熱源の燃焼熱による影響を
受けて熱源の温度に近い温度となっている。しかし、気
化器に設けている熱伝導手段が気化器の熱を周囲の空気
に熱伝導するため、気化器の温度は熱源の温度よりも低
くなる。このため、待機運転中であっても熱発電素子は
この温度差に応じた電力を発生し、この電力を制御器に
供給できる。従って、前記待機運転は安定して行えるも
のであり、いつでもガス使用機器のガスの使用状態に対
応できるものである。
【0012】
【発明の実施の形態】請求項1に記載した発明は、液相
の液化石油ガスを気化させる気化器と、前記気化器に気
化熱を供給する熱源と、熱源の燃焼を制御する制御器
と、前記制御器の駆動電力を供給する熱発電素子とを構
成要件として備え、前記熱発電素子は低温側を前記気化
器に高温側を前記熱源に密着させて配置し、前記気化器
には熱伝導率の高い熱伝導手段を設けた構成の液化石油
ガス気化装置としている。
【0013】この構成とすることによって、気化器内が
断熱膨張した液化石油ガスによって充填され、気化器の
温度が低下したときは、熱伝導手段が周囲の空気の熱を
気化器側に熱伝導する。このため、気化器の温度低下が
緩和され、熱源の燃焼熱によって液化石油ガスを効率的
に気化できるものである。
【0014】また、気化器に接続しているガス消費機器
が液化石油ガスを使用していない状況では待機運転を実
行することができる。待機運転の状態では、気化器内に
液化石油ガスが供給されることはなく、気化器の温度
は、待機運転動作をしている熱源の燃焼熱による影響を
受けて熱源の温度に近い温度となっている。しかし、気
化器に設けている熱伝導手段が気化器の熱を周囲の空気
に熱伝導するため、気化器の温度は熱源の温度よりも低
くなる。このため、待機運転中であっても熱発電素子は
この温度差に応じた電力を発生し、この電力を制御器に
供給できる。従って、前記待機運転は安定して行えるも
のであり、いつでもガス使用機器のガスの使用状態に対
応できるものである。
【0015】請求項2に記載した発明は、請求項1に記
載した構成に加え、熱伝導手段は気化器の表面に設けた
放熱フィンとした構成としている。熱伝導手段を気化器
の表面に設けた放熱フィンで構成したことにより、気化
器の表面からの放熱と吸熱とを効果的に行える。
【0016】請求項3に記載した発明は、請求項1に記
載した構成に加え、熱伝導手段は、気化器を収容するケ
ーシングの一部に気化器の一部を接合して構成したもの
としている。ケーシングを熱伝導手段として利用するよ
うにしているため、省スペース化が図れ、また外気に直
接放熱でき、また外気から直接吸熱できるため、十分な
発電量と十分な気化した液化石油ガスの供給ができる。
【0017】請求項4に記載した発明は、請求項1から
3のいずれか1項に記載した構成に加え、気化器は液相
の液化石油ガスに熱発電素子を介して接触する第一の気
化器と液相の液化石油ガスに熱発電素子を介さずに直接
接触する第二の気化器によって構成したものとしてい
る。第二の気化器から、熱抵抗の大きい熱発電素子を介
さずに液化石油ガスに気化熱が伝熱されるため、大量の
液化石油ガスを気化させることができるものである。
【0018】請求項5に記載した発明は、請求項4に記
載した構成に加え、第一の気化器と第二の気化器とを直
列に配置した構成としている。第一の気化器と第二の気
化器とを直列に配置したことによって、第一の気化器を
通過する液化石油ガスの量と第二の気化器を通過する液
化石油ガスの量は同一であり、液化石油ガスに対する伝
熱量の割合は常に一定となる。このため、熱発電素子の
発電量が安定するものである。
【0019】請求項6に記載した発明は、請求項5に記
載した構成に加え、第一の気化器を第二の気化器の上流
に配置した構成としている。このため、熱発電素子の温
度差を大きくとることができ、熱発電素子の発電量を増
大させることができるものである。
【0020】
【実施例】(実施例1)以下、本発明の第1の実施例に
ついて説明する。図1は本実施例の液化石油ガス気化装
置の構成を説明する説明図である。本実施例の液化石油
ガス気化装置は、プロパン等の液化石油ガスを蓄える液
化石油ガス容器2と、液化石油ガス容器2内の液相の液
化石油ガスを気化させる気化部とを備えている。前記気
化部は、本体ケーシング1中に配置している。
【0021】すなわち、液相の液化石油ガスを気化させ
る第一の気化器3及び第二の気化器4と、前記第一の気
化器3及び第二の気化器4に気化熱を供給する熱源5で
ある燃焼器と、熱源5の燃焼を制御する制御器26と、
前記制御器26の電源を充電する熱発電素子6によって
構成している。前記第一の気化器3と第二の気化器4と
は、直列に配置されており、第一の気化器3は第二の気
化器4の上流に位置している。また、第一の気化器3の
表面には、熱伝導率の高い熱伝導手段を設けている。本
実施例では前記熱伝導手段として、放熱フィン8を使用
している。
【0022】第一の気化器3と燃焼器5との間には熱発
電素子6を配置している。熱発電素子6はビスマスとテ
ルリウム等の複数の半導体によって構成したペルチェ素
子としており、高温面6aを熱源5側に、低温面6bを
気化器3側に接触させている。つまり熱発電素子6は、
ゼーベック効果によって高温面6aと低温面6bとの間
に発生する温度差に応じた熱起電力を発生するものであ
る。
【0023】また、第二の気化器4と熱源5との間に
は、ステンレス等の金属製の板で構成した熱伝導板7を
設けている。熱伝導板7は、一面が熱源5に、他面は第
二の気化器4に接触している。したがって熱源5の発熱
は、熱発電素子6および熱伝導板7を介して第一の気化
器3および第二の気化器4に伝達される。
【0024】また、本実施例の液化石油ガス気化装置
は、第一の気化器3および第二の気化器4に液化石油ガ
ス容器2の液相の液化石油ガスを供給するための液相管
9と、コンロ等のガス消費機器10に第一の気化器3お
よび第二の気化器4で気化した液化石油ガスを供給する
ためのガス供給管11を有している。液相管9は液化石
油ガス容器2の液相取り出し口12と第一の気化器3の
一次側とを連絡しており、途中には手動で経路の開閉を
行う元バルブ13と、第二の気化器4に埋設した感温筒
14によって第二の気化器14の温度を感知して経路の
開閉を行うサーモバルブ15と、第一の気化器3および
第二の気化器4内における気化圧力を一定に調整する気
化圧力調整弁16を設けている。本実施例では、サーモ
バルブ15は第二の気化器4が20℃以下になると閉止
する構成とし、気化圧力調整弁16の設定圧力は0.1
4MPaとしている。
【0025】また、液相管9にはサーモバルブ15をバ
イパスするバイパス管17を接続し、このバイパス管1
7の途中にバイパス管17を開閉するバイパスバルブ1
8を設けている。ガス供給管11は第二の気化器4の二
次側から外部に接続されており、途中には気化器3およ
び第二の気化器4内の圧力上昇を吸収するためのバッフ
ァータンク19と、気化器3および第二の気化器4内の
圧力低下を感知して経路を遮断する低圧遮断弁20が設
けられている。本実施例では、低圧遮断弁20は気化器
3および第二の気化器4の内圧が0.03MPa以下に
なると遮断する構成としている。21は第一の気化器3
および第二の気化器4によって気化させた液化石油ガス
を熱源5に供給する燃料供給管であり、バッファータン
ク19から熱源5にかけて連絡している。燃料供給管2
1の途中には燃焼器5への液化石油ガスの供給圧力を調
整するための圧力調整器22と、電気的に経路の開閉を
行う電磁弁23を設けている。
【0026】また、本実施例の液化石油ガス気化装置
は、燃焼器5に供給した液化石油ガスに着火する着火器
24と、第二の気化器4に埋設されたサーミスタ等の温
度センサー25と、この温度センサー25の温度情報を
受けて前記電磁弁23と前記着火器24の駆動を制御す
る制御器26と、制御器26を駆動するための蓄電池2
7を有している。前記熱発電素子6で発生した熱起電力
は、この蓄電池27に充電されるようにしている。28
は制御器26を起動させるためのスタートスイッチであ
る。
【0027】また、本実施例では、ガス供給管11から
ガス消費機器10に連通する経路に、供給圧を調整する
供給圧力調整器29と、経路の開閉を手動で行う供給経
路開閉バルブ30を設けている。また、液化石油タンク
2の気相取り出し口31から分岐して液化石油ガス気化
装置を介さずに直接ガス消費機器10に連通する経路に
も同様の目的の供給圧力調整器32と供給経路開閉バル
ブ33を設けている。また、これらの二つの経路を通っ
た液化石油ガスは、ガスの使用量を測定するガスメータ
34を通って、ガス消費機器10に供給される。
【0028】前記熱源5は図2に示す構成としている。
図2は、図1における燃焼器5を水平方向に断面した図
である。熱源5は、一端に前記燃料供給管21を接続し
ており、燃料供給管21から供給された気相の液化石油
ガスがノズル35から噴出する構成としている。ノズル
35から高速で噴出した液化石油ガスは、エゼクター部
36を通過するときに、エゼクター効果によって空気吸
引口37から空気を吸引する。この空気が液化石油ガス
と混合されるため、液化石油ガスは可燃性の混合ガスと
なる。可燃性の混合ガスは、燃焼用触媒38を収容して
いる燃焼室39内に噴出する。前記燃焼室39には、ガ
スの流れの下流側の端部に点火プラグ40を配置されて
いる。点火プラグ40は、図1に説明している着火器2
4による着火動作を受けて高電圧を発生し、電気火花を
発生するものである。この電気火花によって、可燃性の
混合ガスは一部が着火される。41は燃焼室39内で発
生した燃焼ガスを排出する排気口である。燃焼用触媒3
8は、本実施例では白金等の貴金属で構成している。ま
た、42,43は燃焼器5の空気吸引口37および排気
口41に接続されたフレームアレスターであり、燃焼器
5内で形成された炎が燃焼器5の外部に出るのを防止す
るための安全装置である。
【0029】以下、本実施例の動作について説明する。
ガス消費機器10を使用する際、常に液化石油ガス容器
2の気相取り出し口31から液化石油ガスをガス消費機
器10に供給し続けた場合には、気化熱が液化石油ガス
容器2内で奪われ、液化石油ガス容器2内の温度が低下
するものである。液化石油ガス容器2内の温度が低下す
ると、当然液化石油ガス容器2内の液化石油ガスは気化
しにくくなって、ガス消費機器10が十分に燃焼できな
い、あるいは動作できない状況になるものである。
【0030】本実施例では、液化石油ガス容器2の液相
取り出し口12に液相管9を接続しており、液相の液化
石油ガスを第一の気化器3および第二の気化器4に供給
している。第一の気化器3および第二の気化器4によっ
て気化させた液化石油ガスをガス供給管11からガス消
費機器10に供給するようにしている。
【0031】第一の気化器3及び第二の気化器4には、
熱源5の燃焼熱を供給している。第一の気化器3と第二
の気化器4とは、この燃焼熱によって液相管9から供給
されている液相の液化石油ガスの気化を促進するもので
ある。また第一の気化器3の表面には、熱伝導率の高い
熱伝導手段として使用している放熱フィン8を設けてい
る。
【0032】第一の気化器3に流入する液相の液化石油
ガスは、約10MPaから0.15MPa程度に減圧さ
れている。このため、第一の気化器3内では液相の液化
石油ガスは断熱膨張するものである。このため、第一の
気化器3の全体の温度が非常に低下することになる。こ
の点本実施例では、前記しているように、第一の気化器
3の表面には、熱伝導率の高い熱伝導手段として使用し
ている放熱フィン8を設けている。放熱フィン8は、第
一の気化器3の温度が周囲の空気の温度よりも非常に低
いため、周囲の空気が有している熱量を第一の気化器3
に熱伝導するように作用する。すなわち、吸熱器として
作用するものである。この結果、本実施例の第一の気化
器3は、温度低下量が少なくなって、熱源5の燃焼熱に
よって第一の気化器3を通過する液相の液化石油ガスを
効率よく気化できる熱源5の燃焼熱によって第一の気化
器3を通過する液相の液化石油ガスを効率よく気化でき
るものである。
【0033】またこのとき、制御器26は温度センサー
25の温度信号を受けて、熱源5への液化石油ガスの供
給を制御することにより熱源5の燃焼量を制御してい
る。
【0034】いま、元バルブ13を開いてスタートスイ
ッチ28を操作すると、制御器26が起動し、電磁弁2
3を開いて、着火器24を作動させる。着火器24が作
動すると、図2に示している点火プラグ40から電気火
花が発生する。一方、電磁弁23が開いているため、熱
源5には燃料供給管21から気相の液化石油ガスが圧力
調整器22により一定圧に調整されて供給される。つま
り、図2に示しているノズル35から噴出された液化石
油ガスがエゼクター部36を通過して、エゼクター効果
によって空気吸引口37から空気を吸引し、可燃性の混
合ガスとなって、燃焼用触媒38を収容している燃焼室
39に供給されるものである。この可燃性の混合ガスが
前記電気火花によって着火されて、燃焼用触媒38の下
流側に炎が形成される。この炎によって燃焼用触媒38
が加熱され、燃焼用触媒38の温度が上昇して触媒燃焼
可能温度である約200℃以上に達すると、燃焼器5は
触媒燃焼を開始するものである。触媒燃焼が開始される
と、可燃性の混合ガスは触媒燃焼によって全て消費され
るため、自然に炎は消えて、安全な無炎燃焼となる。
【0035】この触媒燃焼による発熱は、熱源5に接合
された第一の気化器3および第二の気化器4に伝達され
る。ところで、外気温度がサーモバルブ15の設定温度
20℃よりも低い条件において、液化石油ガス気化装置
を起動する場合、第二の気化器4の温度も20℃を下回
っているため、サーモバルブ15は閉止した状態となっ
ている。従って、第二の気化器4の二次側には液化石油
ガスは流れない。このため、第一の気化器3、第二の気
化器4およびバッファータンク19に残留している液化
石油ガスのみが燃料供給管21を通って、圧力調整器2
2によって圧力を調整されて熱源5に供給される。
【0036】このため、第一の気化器3や第二の気化器
4やバッファータンク19内に残留している液化石油ガ
スの量が熱源5に消費されて減少していた場合や、液化
石油ガスが最初から残留していない場合は、所望の燃料
供給圧力を確保できなくなって、所定の燃焼量が得られ
なくなる。したがってこのような場合は、供給圧力を確
保するためにバイパスバルブ18を数秒間手動で開く操
作を実行するものである。バイパスバルブ18を数秒間
開くことによって、バイパス管17を通って液相の液化
石油ガスが、第一の気化器3および第二の気化器4に供
給されるものである。つまり、バイパスバルブ18を開
くと直ちに供給圧力は回復し、所定の燃焼量が得られる
ため、熱源5は第一の気化器3および第二の気化器4に
燃焼熱を供給できるものである。こうして、第二の気化
器4の温度が20℃に達すると、サーモバルブ15が開
く。
【0037】ガス消費機器10が動作して液化石油ガス
の消費を開始すると、液化石油ガス容器2から液相取り
出し口12に接続している液相管9から供給される液相
の液化石油ガスは、サーモバルブ15を通って、気化圧
力調整弁16により設定した圧力(約0.14MPa)
に調整されて第一の気化器3および第二の気化器4に流
入する。流入した液相の液化石油ガスは、熱源5の触媒
燃焼による発熱を受熱し、瞬時に気化すると同時にスー
パーヒートされた気相の状態となって、ガス供給管11
からガス消費機器10に供給されるものである。
【0038】第二の気化器4の温度は温度センサー25
により検知され、制御器26により、一定の温度範囲に
制御される。すなわち、温度センサー25の温度信号が
設定温度(本実施例では60℃)に達すると、制御器2
6は電磁弁23を閉じ、設定温度を下回ると、電磁弁2
3を開くものである。
【0039】以上のようにして液化石油ガスが消費され
ている時は、第一の気化器3の表面に熱伝導手段として
設けている放熱フィン8の吸熱によって、第一の気化器
3の温度低下を抑止でき、熱源5の燃焼熱によって第一
の気化器3を通過する液相の液化石油ガスを効率よく気
化できるものである。
【0040】また、熱発電素子6の高温面6aには熱源
5が、低温面6bには第一の気化器3が接触しているた
め、液化石油ガスが消費されている時はこの両面には温
度差が生じている。このため、熱発電素子6はゼーベッ
ク効果によって熱起電力を発生している。従って、蓄電
池27は適宜充電されており、電池の交換の必要はな
い。
【0041】また、液化石油ガスが消費されていない場
合は、本実施例では待機運転を実行できる。すなわち、
前記と同様にして熱源5での触媒燃焼を行うものであ
る。このため、熱発電素子6の高温面6aの温度は、通
常運転時とほぼ同様の温度となっている。また熱発電素
子の低温面が接している第一の気化器3の温度は、第一
の気化器3を通過する液相の液化石油ガスがないため、
通常時の温度と比べるとかなり高温となっている。しか
し本実施例では、第一の気化器3の表面には、放熱フィ
ン8を設けている。この放熱フィン8は、気化器3の表
面から気化器3が有している熱量を放熱している。この
ため、常に、熱発電素子6内では高温面6aから低温面
6bにかけて熱流束が生じている。つまり、熱発電素子
6の高温面6aと低温面6bの間には常に温度差が生じ
ている。このため、待機運転の状態においても発電が可
能となり、蓄電池27の消耗が無くなるものである。
【0042】従って本実施例の構成としたときには、従
来のように、液化石油ガスの消費を開始する度に立ち上
げ操作を行うような煩わしさはなく、非常に使い勝手の
よい液化石油ガス気化装置を実現するものである。
【0043】また、本実施例では、定格を超えて液化石
油ガスを消費したり、熱源5の異常によって第二の気化
器4の温度が低下した場合(本実施例では20℃を下回
った場合)は、サーモバルブ15が閉止した後、低圧遮
断弁20が閉止し、ガス消費機器10側に液化石油ガス
が液相のままで流出するような危険を防止できる安全性
の高い装置を実現できるものである。
【0044】また、本実施例では、熱抵抗の大きい熱発
電素子6を介さずに熱抵抗の小さい金属性の熱伝導板7
を介して熱源5の熱を受熱する第二の気化器4を設けて
いる。従って、本実施例によれば、液化石油ガスの消費
量が多い場合でも第二の気化器4で気化熱を十分補うこ
とができ、大消費量にも対応できる液化石油ガス気化装
置を実現するものである。
【0045】また、本実施例によれば、第一の気化器3
と第二の気化器4とを直列に接続した構成をとってい
る。このため、第一の気化器3と第二の気化器4を通過
する液化石油ガスの通過量は常に同一となっている。例
えば第一の気化器3を図1に示しているように熱源5の
上方に配置し、第二の気化器4を熱源5の下方に配置し
てこの2つの気化器を並列に接続する構成を採ったとき
には、第一の気化器3を流れる液化石油ガスの量と第二
の気化器4を通過する液化石油ガスの量とは異なるもの
である。あるいは異なる瞬間が発生するものである。
【0046】この点本実施例の構成としたときには、第
一の気化器3と第二の気化器4を通過する液化石油ガス
の通過量は常に同一となっている。この結果、本実施例
では、第一の気化器3と第二の気化器4とが液相の液化
石油ガスに対して伝熱する熱量の割合は常に一定にな
る。従って本実施例の構成とした場合には、熱発電素子
6の発電量を安定させることができるものである。
【0047】また本実施例では、第一の気化器3を第二
の気化器4の上流に配置した構成をとっている。この結
果、上流に設けている第一の気化器3は、液相の液化石
油ガスを気化させるためのみに熱量が消費される。また
下流に設けた第二の気化器4の発熱は、第一の気化器を
液相のままで通過した少量の液相の液化石油ガスを気化
させるためと、気化した液化石油ガスを更にスーパーヒ
ートさせるために使用される。従って、上流に設けてい
る第一の気化器3の方が下流に設けた第二の気化器4よ
りも低温になる。
【0048】このため、第一の気化器3と接している熱
発電素子6は、熱発電素子6の低温側の温度が低くなる
ものであり、熱源5に接している高温側との温度差が大
きくなる。すなわち、発電量を高めることができるもの
である。
【0049】また、第一の気化器3に流れ込む液化石油
ガスの気化圧力は、気化圧力調整弁16によって0.1
4MPaに調整されている。この圧力は約−20℃の液
化石油ガスの蒸気圧である。また、液相取り出し口12
から取り出される液化石油ガスの圧力は約8MPaとな
っている。従って、液化石油ガスは1/100に急激に
減圧される。気化器3に流れ込む液化石油ガスはこの急
激な減圧によって断熱膨張するものである。このため、
第一の気化器3の温度は急激に低下する。つまり、上流
に設けた第一の気化器3の温度は約−20℃付近の温度
となる。
【0050】このとき本実施例では、気化器3に前記し
た放熱フィン8を設けている。従ってこの放熱フィン8
は、この場合は周囲の空気から大気熱を吸熱する。従っ
て本実施例の構成としたときには、気化器3の温度は常
温付近にまで上昇するものである。このため、気化器3
を通過する液相の液化石油ガスは効率的に気化されて、
気相の液化石油ガスとなる。すなわち、コンロ等のガス
消費機器10が使用されている状態では、放熱フィン8
による吸熱効果を併せて利用することができ、効率よく
気相の液化石油ガスを供給できるものである。
【0051】以上のように本実施例によれば、第一の気
化器3を第二の気化器4の上流に配置することにより、
熱発電素子6の発電能力を一層向上させることができる
と同時に、待機運転時の放熱用の放熱フィン8を液化石
油ガス消費時には吸熱用に利用することができるもので
ある。
【0052】(実施例2)続いて本発明の第2の実施例
について、図3を参照しながら説明する。図3は本実施
例の液化石油ガス気化装置を説明する説明図である。構
成部材1〜7、9〜34は実施例1と同じものである。
本実施例は、構成部材を収容する本体ケーシング1と前
記気化器3との接合部44を設けることによって、待機
運転時に気化器3から放熱させる構成をとっている。
【0053】本実施例の動作は、実施例1と同様であ
る。本実施例は上記の様に、特に、放熱手段を、構成部
材を収容する本体ケーシング1の一部に気化器3の一部
を接合させて構成したことにより、本体ケーシング1を
放熱フィンとして利用することができるため、新たに気
化器3に放熱フィンを設ける必要が無くなり、本体ケー
シング内の省スペース化が図れるものである。また、本
実施例は、気化器3の熱を本体ケーシングの外気に直接
放熱できるため、熱発電素子6の両端の温度差を大きく
とることができ、十分な発電量を確保することができる
ものである。
【0054】
【発明の効果】以上のように、請求項1から6に記載し
た各発明は、液化石油ガスの気化効率が高く、また、安
定した待機運転を実行できるため、いつでもガス使用機
器のガスの使用状態に対応できるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施例である液化石油ガス気化
装置の構成を示す説明図
【図2】同、燃焼器の構成を示す断面図
【図3】本発明の第2の実施例である液化石油ガス気化
装置の構成を示す説明図
【図4】従来の液化石油ガス気化装置の構成を示す説明
【符号の説明】
1 本体ケーシング 2 液化石油ガス容器 3 気化器 4 第二の気化器 5 燃焼器 6 熱発電素子 8 放熱フィン(熱伝導手段) 26 制御器
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 松本 俊成 大阪府門真市大字門真1006番地 松下電器 産業株式会社内 Fターム(参考) 3E072 AA04 AB05 CA03 DB01 GA30 3K068 AA02 AB23

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 液相の液化石油ガスを気化させる気化器
    と、前記気化器に気化熱を供給する熱源と、熱源の燃焼
    を制御する制御器と、前記制御器の駆動電力を供給する
    熱発電素子とを備え、前記熱発電素子は低温側を前記気
    化器に高温側を前記熱源に密着させて配置し、前記気化
    器には熱伝導率の高い熱伝導手段を設けた液化石油ガス
    気化装置。
  2. 【請求項2】 熱伝導手段は気化器の表面に設けた放熱
    フィンとした請求項1に記載した液化石油ガス気化装
    置。
  3. 【請求項3】 熱伝導手段は、気化器を収容するケーシ
    ングの一部に気化器の一部を接合して構成した請求項1
    に記載した液化石油ガス気化装置。
  4. 【請求項4】 気化器は液相の液化石油ガスに熱発電素
    子を介して接触する第一の気化器と液相の液化石油ガス
    に熱発電素子を介さずに直接接触する第二の気化器によ
    って構成した請求項1から3のいずれか1項に記載した
    液化石油ガス気化装置。
  5. 【請求項5】 第一の気化器と第二の気化器とを直列に
    配置した請求項4に記載した液化石油ガス気化装置。
  6. 【請求項6】 第一の気化器は第二の気化器の上流側に
    配置した請求項5に記載した液化石油ガス気化装置。
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KR101276129B1 (ko) * 2011-10-24 2013-06-18 대우조선해양 주식회사 Lng 화물창의 히팅시스템

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