JP2002321940A - 陽極接合用結晶化ガラス - Google Patents
陽極接合用結晶化ガラスInfo
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Abstract
陽極接合温度を250℃以下である陽極接合用結晶化ガ
ラスを提供すること。 【解決手段】 β−石英またはβ−石英固溶体を主結晶
とする陽極接合用結晶化ガラスにおいて、モル%表示で
SiO2:60〜69%、Al2O3:12〜18%、L
i2O:3〜6%、Na2O:3〜6%、MgO:1〜6
%、ZnO:0〜4%、TiO2:1〜6%、ZrO2:
0〜3%を含有し、かつNa2O/Li2Oのモル比を
0.8〜1.3とした。
Description
材などとして使用され、シリコンと好適に陽極接合でき
る結晶化ガラスに関する。なお、本明細書中で使用する
単なる“%”表示は“モル%”を示すものとする。
加速度を計測する半導体センサが、自動車や計測機器の
分野において広く実用化されている。これらは、主にシ
リコンにかかる歪や、静電容量変化を検知するものであ
り、マイクロマシニング技術により、小形化、低コスト
化および高感度化が進められている。
を支持する台座や基板として、シリコンに近い熱膨張係
数を有するガラスが用いられている。このガラスは、接
着剤などを用いない陽極接合法によって、シリコンと接
合ができる特徴も兼ね備えており、接合界面での残留歪
が極力抑えられることから、センサ特性の向上に寄与し
てきた。
性陽イオンの動きやすい温度まで加熱し、シリコン側を
陽極とし、ガラス側を陰極にして直流電圧を印加して両
者を加熱接合する方法である。ガラス中の陽イオンが陰
極へ移動した結果、シリコンとの界面の非架橋酸素イオ
ンがシリコンと共有結合するため、強固な接合がなされ
るといわれている。
て、低膨張のアルミノケイ酸ガラスが発明され、特開平
4−83733号公報に開示されている。これらのガラ
スの熱膨張曲線はシリコンの熱膨張曲線に近似し、いず
れも陽極接合できるための易移動性陽イオンとしてナト
リウムを含有しているのが特徴である。
張を急激に高める成分であるため、含有量に制限があ
り、その結果陽極接合中に移動しうるナトリウムイオン
の量も制限される。陽極接合を効率よく行なうために
は、より多くのナトリウムイオンを移動させることが不
可欠であり、そのため高温、高電圧が必要とされる。具
体的には、400℃、800V前後で行われているのが
実情である。
により、センサが高集積化および複雑構造化に移行して
おり、シリコン、ガラスの積層、サンドイッチ構造の素
子も開発され、1個の部材で複数回の陽極接合が行われ
るようになってきた。また、基板上に回路やパターン等
を形成後、陽極接合する工程も増加してきた。
求とともに、センサ素子の接合時の熱的なダメージの防
止に陽極接合時の温度の低温化が求められてきた。特開
平5−9039号公報では、ガラス中に結晶を析出させ
る結晶化ガラスを用いることにより、低温化が図られて
きた。
た特開平5−9039号公報には、ガラス中にβ−石英
固溶体の結晶を析出させることで、陽極接合時の低温化
を図ったものの、シリコンの熱膨張係数が34×10-7
/℃であるのに対し、前記実施例に開示されている結晶
化ガラスの熱膨張係数は27×10-7〜31×10-7/
℃とシリコンのものよりも低いものしか得られていな
い。すなわち、この熱膨張差により陽極接合後に熱歪が
生じる恐れが高く、センサの感度および精度の向上を図
ることが難しいという課題があった。
ために、シリコンとの熱膨張係数差を最小限に抑え、陽
極接合温度が250℃以下である陽極接合用結晶化ガラ
スを提供することを目的とする。
は、β−石英またはβ−石英固溶体を主結晶とする結晶
化ガラスの陽極接合時の加熱温度を低温に維持しつつ熱
膨張係数をシリコンのものと近似させるために、SiO
2、Al2O3、Li2O、Na2O、MgO、ZnO、B2
O3、BaO、TiO2、P2O5、ZrO2等のβ−石英
またはβ−石英固溶体の生成や熱膨張係数に影響を与え
る成分の結晶化ガラス中の含有量を研究した結果、Li
2OおよびNa2Oの結晶化ガラス中の含有量および含有
比率を規定することによって、加熱温度を低温に維持し
つつ結晶化ガラスの熱膨張係数を調整できることを見出
した。
明は、β−石英またはβ−石英固溶体を主結晶とする陽
極接合用結晶化ガラスにおいて、モル%表示でNa
2O:3〜6%およびLi2O:3〜6%を含有し、かつ
Na2O/Li2Oのモル比が0.8〜1.3とした。
ラス中にβ−石英またはβ−石英固溶体を析出させて
も、Na2Oはガラス相に残存し、陽極接合時に易移動
性陽イオンとして作用する。すなわち、結晶化ガラスの
体積抵抗率を小さくし、250℃以下の温度でシリコン
と結晶化ガラスとの陽極接合を可能にする必須成分であ
る。また、熱膨張係数を増加させる成分でもあり、結晶
化前の母ガラスの粘性を低くし、溶融性を改善する成分
でもある。
合は、シリコンと結晶化ガラスとの陽極接合時の加熱温
度が250℃を超え好ましくない。一方、6%を超える
場合は、ガラス相と結晶相との熱膨張差が広がるため、
結晶化の際に割れやすくなるとともに、化学的耐久性が
悪化する傾向がある。
の必須成分である。このβ−石英固溶体が析出された結
晶化ガラスでは、Na2Oの含有により上昇された母ガ
ラスの熱膨張係数を低下させることができる。また、結
晶化前の母ガラスの粘性を低下させ、溶融性を改善する
成分でもある。
合は、母ガラスの溶融が困難となるとともに、結晶化す
るときの析出する結晶が少なくなり熱膨張係数の調整が
困難となる。一方、6%を超える場合は、ガラス相と結
晶相との熱膨張差が広がるため、結晶化の際に割れやす
くなるとともに、熱膨張係数の調整が困難となる。
それぞれの含有量を規定する他、Na2O/Li2Oのモ
ル比を規定することにより、結晶化ガラスの陽極接合時
の加熱温度を低温に抑えたまま、結晶化ガラスの熱膨張
係数を調整することができる。
場合は、ガラス中に析出する結晶相の熱膨張係数を小さ
くする影響が大きくなり、結果として結晶化ガラスとシ
リコンとの熱膨張係数の差が広がってしまい、陽極接合
後に熱歪が生じてしまう。一方、モル比が1.3より大
きい場合は、ガラス相に残存するNa2Oの熱膨張係数
を大きくする影響が大きくなり、結果として結晶化ガラ
スとシリコンとの熱膨張係数の差が広がってしまい、陽
極接合後に熱歪が生じ、センサの感度および精度の向上
が図れない。
項1記載の陽極接合用結晶化ガラスにおいて、30℃か
ら400℃における平均熱膨張係数が31×10-7〜3
7×10-7/℃であり、陽極接合温度を250℃以下と
した。
項1または2記載の陽極接合用結晶化ガラスにおいて、
モル%表示で、SiO2:60〜69%、Al2O3:1
2〜18%、Li2O:3〜6%、Na2O:3〜6%、
MgO:1〜6%、ZnO:0〜4%、TiO2:1〜
6%、ZrO2:0〜3%を含有するようにした。
組成の限定理由を以下に示す。SiO2は母ガラスを熱
処理したときに生じるβ−石英またはβ−石英固溶体を
構成する必須成分であり、また、ガラス骨格となるもの
である。その含有量が60%より少ないと、結晶の析出
が少なくなるとともに、化学的耐久性が悪化する傾向が
あり、69%を超えると母ガラスの粘性が増大し溶融性
が著しく悪化する。好ましくは62〜67%の範囲であ
る。
であるとともに、母ガラスの安定性と化学的耐久性を向
上させる成分である。その含有量が12%より少ない
と、結晶の析出が少なくなるとともに分相化傾向が大き
くなり、18%を超えてしまうと、母ガラスを均質に溶
融することが困難となる。好ましくは13〜16%の範
囲である。
とともに、母ガラスを安定にし、溶融性を向上させる成
分であり、熱膨張係数の微調整に有効な成分でもある。
その含有量が1%より少ないと、溶融性の向上および熱
膨張係数の微調整できるという効果がなく、6%を越え
ると、異種結晶が析出しやすくなるとともに体積抵抗率
が大きくなる。好ましくは2〜5%の範囲である。
有することにより、MgOと同様な効果を得られる成分
である。しかし、その含有量が4%を越えると、異種結
晶が析出しやすくなる。好ましくは3%までである。
り、微細で均一な結晶を析出させる役割を果たす。その
含有量が1%より少ないと、結晶核が少なくなり主結晶
が粗大化する。6%を越えても、これ以上の結晶核とし
ての効果は得られないとともに、母ガラスの失透化傾向
が強くなる。好ましくは1〜4%の範囲である。
含有することにより、TiO2と同様な効果を得られる
成分である。しかし、その含有量が3%を超えると、未
溶融物として母ガラスに残存する可能性が高くなる。好
ましくは2%までである。
たが、その他の任意成分として、B 2O3、P2O5、K2
O、CaO、SrO、BaO、Sb2O3、SO3、塩化
物、フッ化物等を適宜含有してもよい。
上のために効果のある成分であるが、主結晶の粒径を増
大させ、体積抵抗率を増大させる傾向があるので、含有
するとしてもそれぞれ3%以下が望ましい。
Oも母ガラスの溶融性向上のために含有することができ
るが、各成分が2%を超えると、結晶化ガラスの体積抵
抗率が大きくなり、陽極接合温度の低温化を阻害する。
は母ガラスの溶融の際の清澄剤として、少なくとも一種
の成分を1%まで含有してもよい。
コンを接合する台座において、請求項1ないし3のいず
れかに記載された結晶化ガラスを使用した。また、本発
明の請求項5に対応する発明は、シリコン基体からなる
圧力検出部と、この圧力検出部に接合された台座とを備
えた半導体センサにおいて、前記台座に請求項4記載の
台座を使用した。このように、上記した結晶化ガラスを
半導体センサに使用することにより、圧力検出部として
使用されるシリコンとの接合性および接合強度も良好な
ものが得られる。
化ガラスは、酸化物組成でSiO2:60〜69%、A
l2O3:12〜18%、Li2O:3〜6%、Na2O:
3〜6%、MgO:1〜6%、ZnO:0〜4%、Ti
O2:1〜6%、ZrO2:0〜3%を含有したものを母
ガラスとする。または、この組成の他にP2O5:0〜3
%やB 2O3:0〜3%を加えたものを母ガラスとする。
そして、この母ガラスを1550〜1650℃で加熱溶
融した後、型材等に流し込み成形、徐冷してガラスブロ
ックを作製する。その後、ガラスブロックを700〜9
00℃まで加熱し、1〜24時間保持して所定量の主結
晶(β−石英またはβ−石英固溶体)を析出、成長させ
冷却後、所定サイズに加工する。なお、結晶核を効率よ
く析出させるために、上記加熱の前に、1次熱処理とし
て650〜780℃で1〜5時間の熱処理工程を加えて
も構わない。また、清澄剤として、Sb2O3、SO3、
塩化物、フッ化物を少なくとも一種添加してもよい。
用結晶化ガラスは、易移動性陽イオンを多く含むので、
250℃以下の低温で陽極接合が可能となり、また、N
a2O/Li2Oのモル比が0.8〜1.3の範囲内にあ
るので、30〜400℃までの平均熱膨張係数が31×
10-7〜37×10-7/℃となり、シリコンの熱膨張曲
線に極めて近似している。したがって、本発明の結晶化
ガラスを使用することによって、陽極接合後の接合体の
熱的なダメージが極めて軽微に抑えられ、センサ特性の
向上を図ることができた。
iO2:64%、Al2O3:15%、Li2O:5.7
%、Na2O:5.2%、MgO:2%、ZnO:3
%、TiO2:2%、ZrO2:2%、P2O5:0.4
%、Sb2O3:0.6%を含有したものを母ガラスとす
る。この母ガラスは酸化物、水酸化物、炭酸塩、硝酸塩
等の原料を調合して得ている。そして、調合した原料を
1630℃の抵抗加熱式電気炉に投入し、10時間溶融
し、脱泡、均質化した後、型材に流し込み、所定温度で
徐冷し、ガラスブロックを作製した。次に、このガラス
ブロックを電気炉で800℃で3時間保持し、結晶を析
出させ、徐冷後結晶化ガラスブロックを形成した。この
結晶化ガラスは透明なものとなっていた。
により分析したところ回折パターンからβ−石英または
β−石英固溶体が主結晶として析出していた。また、β
−石英およびβ−石英固溶体の結晶粒径を走査型電子顕
微鏡により、観察したところ最大の結晶粒径のものでも
150nmを超えるものはなかった。
張を測定する試験片と陽極接合用に表面を鏡面研磨した
板材(φ100mm)を加工した。この試験片を用いて
示差熱膨張計により、熱膨張率を測定し30℃〜400
℃までの平均熱膨張係数を計算したところ、32×10
-7/℃であった。
ボンからなるヒーター3、4と電極3、5を兼ね備えた
装置内に、シリコンウェハー1と鏡面研磨した結晶化ガ
ラス板材2を配置し、真空中でヒーター3、4を通電加
熱し、所定温度まで昇温後、シリコン側をプラス、結晶
化ガラス側をマイナスにし800Vの直流電圧を10分
間印加することで行なった。なお、加熱温度を190
℃、220℃、250℃とし、接合サンプルの外観観察
の結果、それぞれの温度で90%、92%、95%接合
領域が形成され、剥れも生じることなく良好な接合が得
られた。この外観観察では、陽極接合後結晶化ガラス側
からの目視で接合部を見て接合領域を割り出した。
平均強度について、ダイシングにより小片にしたサンプ
ルの両側に治具を接着し引張強度試験機を用いて測定し
たところ、前記加熱温度190℃、220℃、250℃
のサンプルごとに8MPa、6MPa、6MPaの強度
を有していた。この測定に関しては、全てのサンプルで
結晶化ガラスとシリコンとの接合面の剥れたときの力を
測定できたものではなく、接合面よりも結晶化ガラスま
たはシリコン自体が破損する場合もあったので、接合温
度によって強度が強くなるまたは弱くなるという相関は
得られなかった。
iO2:61%、Al2O3:17%、Li2O:5.3
%、Na2O:4.3%、MgO:3%、ZnO:4
%、TiO2:5%、Sb2O3:0.4%となるよう
に、酸化物、水酸化物、炭酸塩、硝酸塩等の原料を調合
する。そして調合した原料を1600℃の抵抗加熱式電
気炉に投入し、11時間溶融し、実施例1と同様にガラ
スブロックを作製した。次に、このガラスブロックを電
気炉で730℃で2時間熱処理を行ない、ガラス中に結
晶核の生成を行ない、次いで、830℃で2時間熱処理
を行ない、ガラス中に結晶を析出させ、結晶化ガラスブ
ロックを形成した。この結晶化ガラスブロックも透明な
ものとなっていた。
により分析したところ回折パターンからβ−石英または
β−石英固溶体が主結晶として析出されていた。また、
β−石英およびβ−石英固溶体の結晶粒径を走査型電子
顕微鏡により、観察したところ最大の結晶粒径のもので
も100nmを超えるものはなかった。
℃までの平均熱膨張係数を示差熱膨張計により測定した
ところ、31×10-7/℃であった。また、実施例1と
同様に、シリコンと結晶化ガラス板材との接合試験を行
なったところ、190℃では91%、220℃では94
%、250℃では95%で、いずれの加熱温度でも接合
領域が90%以上形成され、良好な接合が得られた。
平均強度について、引張強度試験機を用いて測定したと
ころ、前記加熱温度190℃、220℃、250℃のサ
ンプルごとに6MPa、9MPa、8MPaの強度を有
していた。
ガラスはSiO2:66%、Al2O 3:15%、Li
2O:3.9%、Na2O:4.3%、MgO:4%、Z
nO:3%、TiO2:2%、ZrO2:1%、P2O5:
0.5%、Sb2O3:0.3%となるように、酸化物、
水酸化物、炭酸塩、硝酸塩等の原料を調合する。そして
調合した原料を1620℃の抵抗加熱式電気炉に投入
し、11時間溶融し、実施例1と同様にガラスブロック
を作製した。次に、このガラスブロックを電気炉で75
0℃で24時間熱処理を行ない、ガラス中に結晶を析出
させ、結晶化ガラスブロックを形成した。
により分析したところ回折パターンからβ−石英または
β−石英固溶体が主結晶として析出されていた。また、
β−石英およびβ−石英固溶体の結晶粒径を走査型電子
顕微鏡により、観察したところ最大の結晶粒径のもので
も130nmを超えるものはなかった。
℃までの平均熱膨張係数を示差熱膨張計により測定した
ところ、34×10-7/℃であった。また、実施例1と
同様に、シリコンと結晶化ガラス板材との接合試験を行
なったところ、190℃では90%、220℃では93
%、250℃では95%で、いずれの加熱温度でも接合
領域が90%以上形成され、良好な接合が得られた。
平均強度について、引張強度試験機を用いて測定したと
ころ、前記加熱温度190℃、220℃、250℃のサ
ンプルごとに7MPa、7MPa、11MPaの強度を
有していた。
ガラスはSiO2:62%、Al2O 3:17%、Li
2O:4.8%、Na2O:4.6%、MgO:5%、Z
nO:2%、TiO2:3%、ZrO2:1%、Sb
2O3:0.6%となるように、酸化物、水酸化物、炭酸
塩、硝酸塩等の原料を調合する。そして調合した原料を
1600℃の抵抗加熱式電気炉に投入し、10時間溶融
し、実施例1と同様にガラスブロックを作製した。次
に、このガラスブロックを電気炉で750℃で2時間熱
処理を行ない、ガラス中に結晶核の生成を行ない、次い
で、830℃で2時間熱処理を行ない、ガラス中に結晶
を析出させ、結晶化ガラスブロックを形成した。
により分析したところ回折パターンからβ−石英または
β−石英固溶体が主結晶として析出されていた。また、
β−石英およびβ−石英固溶体の結晶粒径を走査型電子
顕微鏡により、観察したところ最大の結晶粒径のもので
も160nmを超えるものはなかった。
℃までの平均熱膨張係数を示差熱膨張計により測定した
ところ、33×10-7/℃であった。また、実施例1と
同様に、シリコンと結晶化ガラス板材との接合試験を行
なったところ、190℃では91%、220℃では93
%、250℃では96%で、いずれの加熱温度でも接合
領域が90%以上形成され、良好な接合が得られた。
平均強度について、引張強度試験機を用いて測定したと
ころ、前記加熱温度190℃、220℃、250℃のサ
ンプルごとに8MPa、5MPa、7MPaの強度を有
していた。
ガラスはSiO2:68%、Al2O 3:13%、Li
2O:3.2%、Na2O:4.1%、MgO:4%、Z
nO:2%、TiO2:1%、ZrO2:2%、P2O5:
1%、B2O3:1%、Sb2O3:0.7%となるよう
に、酸化物、水酸化物、炭酸塩、硝酸塩等の原料を調合
する。そして調合した原料を1650℃の抵抗加熱式電
気炉に投入し、12時間溶融し、実施例1と同様にガラ
スブロックを作製した。次に、800℃で10時間熱処
理を行ない、ガラス中に結晶を析出させ、結晶化ガラス
ブロックを形成した。
により分析したところ回折パターンからβ−石英または
β−石英固溶体が主結晶として析出されていた。また、
β−石英およびβ−石英固溶体の結晶粒径を走査型電子
顕微鏡により、観察したところ最大の結晶粒径のもので
も120nmを超えるものはなかった。
℃までの平均熱膨張係数を示差熱膨張計により測定した
ところ、36×10-7/℃であった。また、実施例1と
同様に、シリコンと結晶化ガラス板材との接合試験を行
なったところ、190℃では85%、220℃では92
%、250℃では93%となり、190℃では接合領域
が90%を超えなかったが、強度的には7MPaと十分
なものが得られた。また、220℃では10MPa、2
50℃では12MPaの強度を有していた。
ガラスはSiO2:67%、Al2O 3:14%、Li
2O:3.7%、Na2O:3.8%、MgO:6%、Z
nO:1%、TiO2:2%、ZrO2:1%、P2O5:
0.7%、Sb2O3:0.8%となるように、酸化物、
水酸化物、炭酸塩、硝酸塩等の原料を調合する。そして
調合した原料を1620℃の抵抗加熱式電気炉に投入
し、12時間溶融し、実施例1と同様にガラスブロック
を作製した。次に、このガラスブロックを電気炉で75
0℃で2時間熱処理を行ない、ガラス中に結晶核の生成
を行ない、次いで、830℃で2時間熱処理を行ない、
ガラス中に結晶を析出させ、結晶化ガラスブロックを形
成した。
により分析したところ回折パターンからβ−石英または
β−石英固溶体が主結晶として析出されていた。また、
β−石英およびβ−石英固溶体の結晶粒径を走査型電子
顕微鏡により、観察したところ最大の結晶粒径のもので
も150nmを超えるものはなかった。
℃までの平均熱膨張係数を示差熱膨張計により測定した
ところ、34×10-7/℃であった。また、実施例1と
同様に、シリコンと結晶化ガラス板材との接合試験を行
なったところ、190℃では88%、220℃では92
%、250℃では94%となり、190℃では接合領域
が90%を超えなかったが、強度的には6MPaと十分
なものが得られた。また、220℃では8MPa、25
0℃では7MPaの強度を有していた。
気絶縁用セラミック材料試験方法」を用いて測定した結
果、250℃での体積抵抗率が1.1×106Ω・cm2
〜4.0×106Ω・cm2となり、陽極接合を行なうに
は十分に低い値であった。この250℃での体積抵抗率
が5.0×106Ω・cm2を超えてしまうと、ナトリウ
ムイオンが移動し辛くなり、良好に陽極接合ができなく
なる。
とし、印加時間を10分としたが、印加電圧を500V
としても印加時間を30分にするようにすれば、良好な
接合領域および接合強度が得られる。
にホウケイ酸ガラスを用いた例である。このガラスは平
均熱膨張係数が32×10-7/℃で接合するシリコンと
近く接合後の歪による不具合が生じるおそれはないが、
シリコンとの接合時の加熱温度を350℃まで上昇させ
なければ接合できなかった。
OおよびNa2Oを含む母ガラスを加熱処理して、結晶
を析出させた結晶化ガラスを用いた例である。これらの
ガラスは、シリコンとの接合時の加熱温度が190℃で
も、接合領域が90%、80%となっており、強度的に
は問題なかったが、平均熱膨張係数が27×10-7/
℃、38×10-7/℃とシリコンの平均熱膨張係数との
差が大きすぎるため、接合後に熱歪が生じた。
Na2OおよびLi2Oの含有割合がそれぞれ3〜6%で
あり、かつNa2O/Li2Oが0.8〜1.3の範囲内
であっても、ガラスの結晶化が不十分でガラス相中にL
i2Oが多く残存した場合には、ガラス相中に存在する
Na2Oとの混合アルカリ効果でナトリウムイオンの移
動が抑制され、体積膨張率が増大し、陽極接合の低温化
を達成することができなかった。
オンを多く含有しているため、250℃以下の温度で陽
極接合ができ、かつ熱膨張係数が31×10−7〜37
×10−7/℃とシリコンと近い値を示す。本発明の結
晶化ガラスは、シリコンと熱膨張係数が近いのみなら
ず、低温でシリコンと陽極接合できるため、冷却後のシ
リコン−結晶化ガラス接合体の熱歪みが極めて小さく、
優れたセンサ特性を有するシリコン−結晶化ガラス接合
体が得られる。さらに、陽極接合の歩留向上、タクト短
縮の効果も有する。また、センサ回路保護だけでなく、
比較的熱に弱い部材の使用範囲を広げる効果を有する。
したがって、本発明の結晶化ガラスは、シリコンと陽極
接合する結晶化ガラスとして好適である。
係を示すグラフである。
ナス電極兼陰極側ヒータ、4…陽極側ヒータ、5…プラ
ス電極
Claims (5)
- 【請求項1】 β−石英またはβ−石英固溶体を主結晶
とする結晶化ガラスにおいて、モル%表示でNa2O:
3〜6%およびLi2O:3〜6%を含有し、かつNa2
O/Li2Oのモル比が0.8〜1.3であることを特
徴とする陽極接合用結晶化ガラス。 - 【請求項2】 30℃から400℃における平均熱膨張
係数が31×10-7〜37×10-7/℃であり、陽極接
合温度が250℃以下であることを特徴とする請求項1
記載の陽極接合用結晶化ガラス。 - 【請求項3】 モル%表示で、SiO2:60〜69
%、Al2O3:12〜18%、Li2O:3〜6%、N
a2O:3〜6%、MgO:1〜6%、ZnO:0〜4
%、TiO2:1〜6%、ZrO2:0〜3%を含有する
ことを特徴とする請求項1または2記載の陽極接合用結
晶化ガラス。 - 【請求項4】 請求項1ないし3のいずれかに記載され
た結晶化ガラスからなることを特徴とするシリコン接合
用台座。 - 【請求項5】 シリコン基体からなる圧力検出部と、こ
の圧力検出部に接合された台座とを備えた半導体センサ
において、前記台座が請求項4記載の台座であることを
特徴とする半導体センサ。
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