JP2002321648A - 車両の車体構造 - Google Patents

車両の車体構造

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JP2002321648A
JP2002321648A JP2001130396A JP2001130396A JP2002321648A JP 2002321648 A JP2002321648 A JP 2002321648A JP 2001130396 A JP2001130396 A JP 2001130396A JP 2001130396 A JP2001130396 A JP 2001130396A JP 2002321648 A JP2002321648 A JP 2002321648A
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stopper
drive shaft
vehicle
dashboard
engine
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Seiji Hayashi
誠次 林
Toshihiko Sato
俊彦 佐藤
Yuta Urushiyama
雄太 漆山
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Honda Motor Co Ltd
Original Assignee
Honda Motor Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 車体前部がオフセット衝突したときに、ダッ
シュボードの変形をより十分に抑制できること。 【解決手段】 車両10は、車体11の前部をダッシュ
ボード12にて前部のエンジンルーム13と後部の車室
14とに仕切り、エンジンルーム13内で車体フレーム
20にエンジン32を取付け、エンジン32にドライブ
シャフト35を介して前輪を連結した乗用車である。車
体フレーム20に、ドライブシャフト35が後方へ移動
したときに当るストッパ40を設ける。ストッパ40の
前端41をダッシュボード12よりも前に配置する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は車両の車体前部構造
の改良技術に関する。
【0002】
【従来の技術】自動車などの車両には、車体前部に搭載
したエンジンにて前輪を駆動する駆動方式のものがあ
る。このような方式の車両の前部構造を図14にて説明
する。
【0003】図14(a),(b)は従来の車両の概念
図(その1)である。(a)は従来の車両前部の右側面
構造を示し、車体101の前部をダッシュボード102
にて前部のエンジンルーム103と後部の車室104と
に仕切り、エンジンルーム103内にて車体フレーム1
10にサブフレーム110Aを介してエンジン121を
取付け、このエンジン121にトランスミッション12
2並びにドライブシャフト123を介して図示せぬ前輪
を連結した車両100を示す。114はフロントサイド
フレームである。
【0004】(b)は上記(a)に示す車体フレーム1
10の右前部又は左前部に衝突エネルギーが作用したと
き、いわゆるオフセット衝突("offset deformable bar
rier"とも言う。)したときの、車両100前部の右側
面構造を示す。衝突エネルギーによって車体フレーム1
10の前部が塑性変形することにより、エンジン12
1、トランスミッション122並びにドライブシャフト
123は後方へ移動する。このような後退によって
(a)に示すダッシュボード102も変形し得る。車室
104のスペースを常に確保するには、ダッシュボード
102の変形をできるだけ抑制できることが好ましい。
【0005】このためには、(a)に想像線で示すよう
に補強部材111を入れ、車体フレーム110の剛性を
高めることが考えられる。しかしながら、単に補強部材
111を設けるのでは、大掛かりな補強構造となり、車
体フレーム110の重量が増大する。しかも、単に補強
部材111を設けるのでは、衝突エネルギーに対して車
体フレーム110の剛性を高めることと、車体フレーム
110の塑性変形によって衝突エネルギーを十分に吸収
することとを、両立させることは難しい。
【0006】そこで、次の図15や図16のようにする
ことで、サイドシルの変形を抑制し、この結果、ダッシ
ュボード102の変形を抑制し得ることが知られてい
る。なお、上記図14に示した構成と同一部材について
は同一符号を付し、その説明を省略する。
【0007】図15は従来の車両の概念図(その2)で
あり、車両前部を下から見たものである。一般に車体フ
レーム110は、車体中央の両側で左右のセンタサイド
フレーム112,112を前後に延ばし、これらのセン
タサイドフレーム112,112の側方に左右のサイド
シル113,113を設け、これらのサイドシル11
3,113の前端から前方へサイドシル延長部(サイド
シルエクステンション)113a,113aを延した構
成である。この構造によれば、左右のサイドシル延長部
113a,113aをダッシュボード102よりも前方
へ延ばすことによって、ダッシュボード102やサイド
シル113,113の変形を抑制することができる。
【0008】すなわち、車体フレーム110の前部がオ
フセット衝突したときに、衝突エネルギーによって車体
フレーム110の前部が塑性変形することにより、エン
ジン121、ドライブシャフト123並びに一方の前輪
124は後方へ移動する。しかし、後方へ移動した前輪
124がサイドシル延長部113aの前端に当ったとき
に、サイドシル延長部113aは塑性変形して衝突エネ
ルギーを吸収するとともに、後方へ移動した前輪124
を受け止める。そして、ドライブシャフト123や前輪
124がサイドシル113やダッシュボード102に当
ることを防止する。このようなことから、サイドシル1
13の変形を抑制することができ、ダッシュボード10
2の変形をも抑制し得る。
【0009】図16(a),(b)は従来の車両の概念
図(その3)であり、車両100前部を右側方から見た
ものである。(a)のように一般の車両100は、車体
101前部の両側にフロントサイドフレーム114を前
後に延し、これら両側のフロントサイドフレーム114
のブラケット115に図示せぬフロントサスペンション
のロアアームやアッパアームを取付けた構造である。こ
の構造によれば、ダッシュボード102よりも前方にあ
るブラケット115によって、図示せぬサイドシルやダ
ッシュボード102の変形を抑制することができる。
【0010】すなわち、車体フレーム110の前部がオ
フセット衝突することで、エンジン121、ドライブシ
ャフト123並びに一方の前輪124が後方へ移動した
ときに、(b)のようにドライブシャフト123をブラ
ケット115で受け止める。ドライブシャフト123や
前輪124がサイドシルやダッシュボード102に当る
ことを防止することによって、サイドシルやダッシュボ
ード102の変形を抑制することができる。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】上記図15の構造は、
ダッシュボード102よりも前方へサイドシル延長部1
13a,113aを十分に延せる場合には、サイドシル
113,113やダッシュボード102の変形を抑制す
るのに有効な方法である。しかしながら、車種によって
は車体フレーム110の構造上、サイドシル延長部11
3a,113aを十分に延せないことがある。
【0012】一方、上記図16の構造は、フロントサス
ペンションのロアアームやアッパアームの取付構造によ
って、ブラケット115の構造・寸法・配置が変わる。
車種によっては車体フレーム110の構造上、サイドシ
ルやダッシュボード102からブラケット115までの
距離を十分にとれないことがある。このように、従来か
ら有る部材を単に利用するだけでは、常にダッシュボー
ド102の変形を十分に抑制できるとは言えず、更なる
改良の余地が残る。
【0013】そこで本発明の目的は、車体前部がオフセ
ット衝突したときに、ダッシュボードの変形をより十分
に抑制できる技術を提供することにある。
【0014】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に請求項1は、車体前部をダッシュボードにて前部のエ
ンジンルームと後部の車室とに仕切り、エンジンルーム
内で車体フレームにエンジンを取付け、このエンジンに
ドライブシャフトを介して前輪を連結した車両におい
て、車体フレームに、ドライブシャフトが後方へ移動し
たときに当るストッパを設け、このストッパの前端をダ
ッシュボードよりも前に配置したことを特徴とする。
【0015】車幅中心から左又は右へ偏った位置で前部
に衝突エネルギーが作用したとき、いわゆるオフセット
衝突のときに、車体フレームの前部が塑性変形すること
により、エンジンや左右一方のドライブシャフト並びに
前輪は後方へ移動する。しかし、後方へ移動したドライ
ブシャフトをストッパが受け止める。ストッパの前端が
ダッシュボードよりも前にあるので、後方へ移動したド
ライブシャフトがダッシュボードに当ることはない。し
かも、ドライブシャフトとともにエンジンの後方移動が
規制されるので、エンジン並びにエンジンを車体フレー
ムに取付ける部材が、ダッシュボードに影響を及ぼすこ
とはほとんどない。従って、ダッシュボードの変形をよ
り十分に抑制することができる。
【0016】請求項2は、ドライブシャフトがストッパ
に当った後は、車体フレームのうちストッパよりも前方
へ延びた部分が塑性変形するように、ストッパよりも前
方へ延びた部分の剛性を小さくしたことを特徴とする。
【0017】オフセット衝突時にドライブシャフトがス
トッパに当った後は、車体フレームのうちストッパより
も前方へ延びた部分だけが塑性変形して、衝突エネルギ
ーをより十分に吸収することができる。しかも、車体フ
レームのうちストッパよりも前方へ延びた部分は、剛性
が小さいので、正面衝突時における衝突エネルギーを吸
収する役割をも、十分に果たすことができる。
【0018】
【発明の実施の形態】本発明の実施の形態を添付図に基
づいて以下に説明する。なお、「前」、「後」、
「左」、「右」、「上」、「下」は運転者から見た方向
に従う。また、図面は符号の向きに見るものとする。
【0019】図1は本発明に係る車両前部の斜視図であ
り、車両10は、車体11の前部をダッシュボード12
にて前部のエンジンルーム13と後部の車室14とに仕
切り、エンジンルーム13内で車体フレーム20にエン
ジン32を取付け、このエンジン32にてトランスミッ
ション33を介して左右の前輪駆動用ドライブシャフト
35(この図では右のみ示す。以下同じ。)を連結する
ことで、エンジン32にて図示せぬ前輪を駆動する駆動
方式の、フロントエンジン・フロントドライブ車と称す
る乗用車である。なお、車両10はエンジン32にて図
示せぬ前輪並びに後輪を駆動する駆動方式の、4輪駆動
車と称するものであってもよい。
【0020】車体フレーム20は、車体中央の両側で前
後に延びた左右のセンタサイドフレーム21と、左右の
センタサイドフレーム21の前端部から前上方へ延びた
左右のフレーム延長部22と、左右のフレーム延長部2
2の前端部から前方へ延びた左右のフロントサイドフレ
ーム23,23と、左右のフロントサイドフレーム2
3,23の前端間に掛け渡したフロントバンパビーム2
4と、を一体に接合したモノコックボディである。
【0021】センタサイドフレーム21は車室14内で
フロアパネル25の下を前後に通る部材であり、フロア
サイドフレームとも呼ばれている。フレーム延長部22
は、センタサイドフレーム21の前端部とフロントサイ
ドフレーム23の後端部とを一体に繋ぐ部材である。な
お、フレーム延長部22を介在せせることなく、センタ
サイドフレーム21とフロントサイドフレーム23と
を、直接に接合するようにしてもよい。
【0022】センタサイドフレーム21の前下部とフロ
ントサイドフレーム23の前下部との間にサブフレーム
31を着脱可能に掛け渡し、このサブフレーム31にエ
ンジン32並びにエンジン32に一体的に組込まれたト
ランスミッション33を取付けることで、車体フレーム
20にエンジン32やトランスミッション33を取付け
ることができる。
【0023】なお、サブフレーム31の前部は、左右の
フロントサイドフレーム23,23の前下部間に掛け渡
したクロスメンバ26に取付ける。また、エンジン32
やトランスミッション33を、中間部材なしでセンタサ
イドフレーム21やフロントサイドフレーム23,23
に直接に取付けてもよい。
【0024】ドライブシャフト35は、フロントサイド
フレーム23とサブフレーム31との間から突き出る。
本発明は、車体フレーム20に、ドライブシャフト35
が後方へ移動したときに当る左右のストッパ40を設
け、これらのストッパ40の前端41をダッシュボード
12よりも前に配置したことを特徴とする。ストッパ4
0の詳細については後述する。図中、51,51はフロ
ントピラー、52,52はフロントダンパハウジング、
53,53はアッパメンバである。
【0025】図2は本発明に係る車両前部の要部斜視図
であり、フレーム延長部22の前端から前方のドライブ
シャフト35に向ってストッパ40を延したことを示
す。ストッパ40はフレーム延長部22とは別部材であ
り、フレーム延長部22にスポット溶接やMIG溶接な
どの溶接、リベット、ボルト等により結合する。
【0026】ストッパ40の前端41は、側面視略
「く」の字状(すなわち、横向きのVの字状)に窪んだ
凹状部である。以下、前端41のことを適宜「凹状部4
1」と言い換えて説明することにする。詳しくは、凹状
部41はストッパ40の高さ中央が最も窪んだ雌テーパ
状の凹溝である。このようにしてストッパ40に、ドラ
イブシャフト35を受け止める凹状部41を設ける。ス
トッパ40の剛性は、後方へ移動したドライブシャフト
35を十分に受け止めることができるように設定する。
【0027】車体フレーム20のうちストッパ40より
も前方へ延びた部分、すなわち凹状部41の底から車体
フレーム20の前端までの部分Paの剛性(少なくとも
フロントサイドフレーム23の剛性)については、セン
タサイドフレーム21、フレーム延長部22並びにスト
ッパ40の剛性よりも小さく設定してある。なお、本発
明において「剛性」とは、主に圧縮剛性(座屈剛性)の
ことである。但し、曲げ剛性やねじり剛性をも含むこと
は当然である。圧縮剛性とは、圧縮荷重(座屈荷重)に
対する変形抵抗のことである。車体フレーム20の前部
に衝突エネルギーが作用したとき、剛性が小さいフロン
トサイドフレーム23は他の部材21,22,40より
も先に塑性変形して衝突エネルギーを吸収することがで
きる。
【0028】図3は本発明に係る車両前部の右側面図で
あり、凹状部41の底からドライブシャフト35の中心
までの距離L1については、ダッシュボード12に対す
るドライブシャフト35の配置関係や、ドライブシャフ
ト35の後退によるダッシュボード12の変形度合いを
勘案して設定する。
【0029】図4は本発明に係る車両前部の底面図であ
り、エンジン32に左右のドライブシャフト35,35
を介して左右の前輪37,37を連結したことを示す。
さらにこの図は、左右のセンタサイドフレーム21,2
1から前方へ左右のフロントサイドフレーム23,23
を延し、左右のセンタサイドフレーム21,21の側方
にセンタサイドフレーム21,21に沿わせて左右のサ
イドシル56,56を延し、これらのサイドシル56,
56の前部をサイドアウトリガー57,57を介してセ
ンタサイドフレーム21,21に接合したことを示す。
サイドシル56,56の前端は前輪37,37に臨む。
【0030】左右のストッパ40,40の大きさや配置
については、(1)タイヤチェーンを装着した前輪37
が最大転舵角だけ転舵した場合に、ストッパ40,40
との間隙を十分に保つことができること、及び、(2)
トランスミッション33にドライブシャフト35を連結
するインボードジョイント(図示せず)との間隙を十分
に保つことができることを考慮して決定する。図中、5
8はクロスメンバ、61はステアリングギヤボックス、
62,62はステアリング用タイロッド、63,63は
フロントサスペンションである。
【0031】図5(a),(b)は本発明に係るドライ
ブシャフト、前輪並びにストッパの関係を示す模式図で
あり、(a)はトランスミッション33と右のドライブ
シャフト35と右の前輪37との関係を背面から見たも
のであり、(b)は(a)のb−b線断面構成を示す。
【0032】(a)は、トランスミッション33の出力
側にカップ状のインボードジョイント34を連結し、イ
ンボードジョイント34にドライブシャフト35の一端
をスイング可能に且つ動力伝達可能に連結し、ドライブ
シャフト35の他端にカップ状のアウトボードジョイン
ト36をスイング可能に且つ動力伝達可能に連結し、ア
ウトボードジョイント36に前輪37のアクスルハブ
(図示せず)を連結したことを示す。インボード・アウ
トボードジョイント34,36は等速ジョイントであ
る。なお、実際には、インボードジョイント34に対し
てドライブシャフト35の一端は、車幅方向へ多少スラ
イド可能に連結された構成である。しかし、次の説明の
理解を容易にするために、スライドする点については無
視して考えることにする。
【0033】ここで、ドライブシャフト35のスイング
起点を点P1とし、アウトボードジョイント36のスイ
ング起点を点P2とし、点P1から点P2までの距離を
R1とする。点P1から距離R2の点P3に想像線にて
示すストッパ40を配置する。点P2は、前輪37の最
大バンプ時に点P2uまで上がるとともに、前輪37の
最大リバウンド時に点P2dまで下がる。点P2uから
点P2dまでの高さはH1である。これに対して点P3
は、最大バンプ時に点P3uまで上がるとともに、最大
リバウンド時に点P3dまで下がる。点P3uから点P
3dまでの高さはH2である。高さH2は距離R1に対
する距離R2の比である(H2=R2/R1)。
【0034】(b)は、ストッパ40において、ドライ
ブシャフト35を受け止める凹状部41の高さH3を、
上記高さH2にドライブシャフト35の径を加えた分よ
りも大きく設定したことを示す。このため、ドライブシ
ャフト35が上下スイングしても凹状部41の高さH3
の範囲から外れることはない。従って、後方へ移動した
ドライブシャフト35を、ストッパ40で確実に受け止
めることができる。
【0035】図6(a)〜(c)は本発明に係る車両前
部の作用図(その1)である。(a)は、車幅中心から
左又は右へ偏った位置で前部に衝突エネルギーが作用し
たとき、いわゆるオフセット衝突した時点の車体フレー
ム20の前部を示す。(b)は、車体フレーム20の前
部、すなわちフロントサイドフレーム23が塑性変形し
て衝突エネルギーを吸収する途中を示す。エンジン32
や左右一方のドライブシャフト35並びに前輪(図示せ
ず)は後方へ移動する。
【0036】(c)は、車体フレーム20の前部、すな
わちフロントサイドフレーム23が更に塑性変形したこ
とを示す。エンジン32や左右一方のドライブシャフト
35は更に後方へ移動する。この結果、ドライブシャフ
ト35はストッパ40の凹状部41に当る。ドライブシ
ャフト35からストッパ40へ作用した衝突エネルギー
は、フレーム延長部22を介してセンタサイドフレーム
21に伝わる。このようにしてストッパ40は、後方へ
移動したドライブシャフト35を受け止めることができ
る。
【0037】ドライブシャフト35の後方移動が規制さ
れるので、ドライブシャフト35を連結したトランスミ
ッション33、並びに、トランスミッション33を一体
的に組込んだエンジン32の後方移動は規制される。こ
のため、エンジン32並びにトランスミッション33を
取付けたサブフレーム31の後方移動も規制される。車
体フレーム20に対するサブフレーム31の後部取付部
分31aの後方移動も規制されることになり、その後部
取付部分31aの近傍にあるダッシュボード12(図3
参照)には、ほとんど影響を及ぼさない。
【0038】以上の説明から明らかなように、ストッパ
40の凹状部(前端)41がダッシュボード12よりも
前にあるので、後方へ移動したドライブシャフト35が
ダッシュボード12に当ることはない。しかも上述のよ
うに、エンジン32、トランスミッション33並びにサ
ブフレーム31は後方移動が規制されるので、ダッシュ
ボード12には、ほとんど影響を及ぼさない。従って、
ダッシュボード12の変形を、より十分に抑制すること
ができる。
【0039】また上述のように、車体フレーム20のう
ちストッパ40よりも前方へ延びた部分Pa(図6
(a)参照)、すなわち、少なくともフロントサイドフ
レーム23の剛性を、ストッパ40の剛性よりも小さく
設定してある。このため、ドライブシャフト35がスト
ッパ40に当った後は、車体フレーム20のうちストッ
パ40よりも前方へ延びた部分Pa(フロントサイドフ
レーム23)が塑性変形して、衝突エネルギーをより十
分に吸収することができる。
【0040】このように、剛性を大きく設定したセンタ
サイドフレーム21、フレーム延長部22並びにストッ
パ40については、オフセット衝突時におけるダッシュ
ボード12の変形抑制のための、ストッパ部材としての
役割を果たさせるものであり、衝突エネルギーを吸収す
る役割を有しない。
【0041】一方、車体フレーム20のうちストッパ4
0よりも前方へ延びた部分Paやフロントサイドフレー
ム23については、剛性を小さく設定することによっ
て、車体フレーム20の正面衝突時における衝突エネル
ギーを吸収する役割を果たさせるものであり、ストッパ
部材としての役割を有しない。さらに、前方へ延びた部
分Paやフロントサイドフレーム23は、オフセット衝
突時における衝突エネルギーを吸収する役割を有する。
衝突エネルギーの吸収性能を高めることが容易であると
ともに、剛性を下げるために板厚を小さくするなどして
車体フレーム20の重量を低減することができる。
【0042】図7は本発明に係るセンタサイドフレーム
の衝突荷重作用特性図であり、横軸にオフセット衝突後
の経過時間(msec)を示し、縦軸にセンタサイドフレー
ムの前端部に作用する衝突荷重(kgf)を示す。なお、
Shはドライブシャフトがストッパに当った時点を示
す。破線にて示す曲線Wnは、車体フレームにストッパ
を設けていない場合のセンタサイドフレームの前端部に
作用する衝突荷重特性曲線である。実線にて示す曲線W
eは、車体フレームにストッパを設けた場合のセンタサ
イドフレームの前端部に作用する衝突荷重特性曲線であ
る。衝突荷重特性曲線Weに示すように、ストッパを設
けている場合には、設けない場合に比べて最大衝突荷重
は大きくなる。
【0043】図8は本発明に係るセンタサイドフレーム
の曲げモーメント特性図であり、横軸にオフセット衝突
後の経過時間(msec)を示し、縦軸にセンタサイドフレ
ームに生じる曲げモーメント(kgf・mm)を示す。な
お、Shはドライブシャフトがストッパに当った時点を
示す。破線にて示す曲線Mnは、車体フレームにストッ
パを設けていない場合のセンタサイドフレームに生じる
曲げモーメント特性曲線である。実線にて示す曲線Me
は、車体フレームにストッパを設けた場合のセンタサイ
ドフレームに生じる曲げモーメント特性曲線である。曲
げモーメント特性曲線Meに示すように、ストッパを設
けている場合には、設けない場合に比べて最大曲げモー
メントは大差ない。
【0044】上記図7及び図8から明らかなように、車
体フレームにストッパを設けた場合には、センタサイド
フレームの前端部に作用する衝突荷重に対して、より配
慮すればよいことが判る。
【0045】図9は本発明に係るダッシュボードの変形
特性図であり、横軸にオフセット衝突後の経過時間を示
し、縦軸にダッシュボードの変形量を示す。破線にて示
す曲線Snは、車体フレームにストッパを設けていない
場合のダッシュボードの変形量特性曲線である。ストッ
パを設けていないので、ドライブシャフトがダッシュボ
ードに当る。又は、エンジンやトランスミッションやサ
ブフレームの後方移動の影響を、ダッシュボードに及ぼ
す。この場合のダッシュボードの最大変形量はX2であ
り、大きい。
【0046】一方、実線にて示す曲線Seは、車体フレ
ームにストッパを設けた場合のダッシュボードの変形量
特性曲線である。ストッパを設けているので、ドライブ
シャフトがダッシュボードに当らない。しかも、エンジ
ンやトランスミッションやサブフレームの後方移動の影
響を、ダッシュボードにほとんど及ぼすことがない。ダ
ッシュボードの最大変形量はX1であり、上記変形量X
2に比べて極めて小さくなる。以上の結果、ストッパを
設けることは有効であることが判る。
【0047】図10は本発明に係る車両前部の作用図
(その2)であり、車両前部の右半分の底面図である。
この図は、凹状部41の底から想像線のドライブシャフ
ト35の中心までの距離がL1であり、ドライブシャフ
ト35の中心からサイドシル56の前端までの距離がL
2であることを示す。距離L2が一定であるとき、距離
L1が大きい場合には、衝突エネルギーによって後方へ
移動した前輪37がサイドシル56の前端に当った後
に、ドライブシャフト35がストッパ40の凹状部41
に当る。一方、距離L1を小さく設定した場合には、後
方へ移動したドライブシャフト35を凹状部41で受け
止めるので、後方へ移動した前輪37がサイドシル56
の前端に当らないか、又は当ってもサイドシル56を変
形させることはない。
【0048】車体前部の衝突エネルギーの吸収性能を勘
案しつつ、距離L1を適宜設定することにより、後方へ
移動した前輪37がサイドシル56の前端に当る衝突エ
ネルギーを軽減することができる。サイドシル56の前
端に作用する衝突エネルギーが小さければ、サイドシル
56周りの部材を補強して剛性を高める必要がなく、車
体重量が増大することもない。しかも、サイドシル56
近傍に配置された、ドア開口部の形状を維持させること
ができる。距離L1とサイドシル56に作用する衝突荷
重との関係を次の図11に示す。
【0049】図11は本発明に係るサイドシルの衝突荷
重作用特性図であり、横軸にストッパの凹状部の底から
ドライブシャフトの中心までの距離L1を示し、縦軸に
サイドシルに作用する衝突荷重を示す。この図によれ
ば、距離L1がL1aに達したときに、前輪がサイドシ
ルの前端に当ることで、サイドシルに衝突荷重が作用す
るとともに、距離L1の増大に伴って衝突荷重も増大す
ることが判る。詳しくは、L1<L1aであれば、先に
ドライブシャフトがストッパに当るので、前輪がサイド
シルの前端に当らないか、又は当ってもサイドシルを変
形させるような衝突荷重は作用しない。L1=L1aで
あれば、前輪がサイドシルの前端に当ると同時にドライ
ブシャフトがストッパに当る。しかし、サイドシルを変
形させるような衝突荷重は作用しない。L1>L1aで
あれば、前輪がサイドシルの前端に当った後にドライブ
シャフトがストッパの凹状部に当る。
【0050】次に、本発明に係る車両前部の変形例を図
12及び図13に基づき説明する。なお、上記図1〜図
11に示す実施例と同じ部材については同一符号を付
し、その説明を省略する。
【0051】図12(a),(b)は本発明に係る車両
前部の変形例図(その1)である。(a)は、フレーム
延長部22にストッパ40を一体に形成した第1変形例
を示す。(b)は、センタサイドフレーム21の前端部
にストッパ40を一体に形成した第2変形例を示す。
【0052】図13(a)〜(c)は本発明に係る車両
前部の変形例図(その2)である。(a)は、ドライブ
シャフト35が静止位置、すなわち高さ方向中立位置
(以下、「中立位置」と言う。)において、センタサイ
ドフレーム21の上面21aよりも高さh1だけ上方に
偏心した、第3変形例について示す。第3変形例におい
ては、ストッパ40の前部をドライブシャフト35に向
けて前上方へ延す。ストッパ40の凹状部41は、後方
へ移動したドライブシャフト35を確実に受け止めるた
めに、センタサイドフレーム21の上面21aよりも上
まで延びる。凹状部41の深さは、少なくともドライブ
シャフト35の半径よりも大きい。
【0053】(b)は、中立位置のドライブシャフト3
5がセンタサイドフレーム21の高さh2範囲内にある
第4変形例について示す。第4変形例においては、スト
ッパ40の前部をドライブシャフト35に向けて前方へ
延す。ストッパ40の凹状部41の大きさh2は、セン
タサイドフレーム21の高さ範囲内に収る。凹状部41
の深さは、少なくともドライブシャフト35の半径より
も大きい。
【0054】(c)は、中立位置のドライブシャフト3
5が、センタサイドフレーム21の下面21bよりも高
さh3だけ下方に偏心した、第5変形例について示す。
第5変形例においては、ストッパ40の前部をドライブ
シャフト35に向けて前下方へ延す。ストッパ40の凹
状部41は、後方へ移動したドライブシャフト35を確
実に受け止めるために、センタサイドフレーム21の下
面21bよりも下まで延びる。凹状部41の深さは、少
なくともドライブシャフト35の半径よりも大きい。
【0055】
【発明の効果】本発明は上記構成により次の効果を発揮
する。請求項1は、車体フレームに、ドライブシャフト
が後方へ移動したときに当るストッパを設けたので、オ
フセット衝突のときに後方へ移動したドライブシャフト
をストッパで受け止めることができる。しかも、ストッ
パの前端をダッシュボードよりも前に配置することによ
って、後方へ移動したドライブシャフトがダッシュボー
ドに当ることを防止できる。しかも、ドライブシャフト
とともにエンジンの後方移動が規制されるので、エンジ
ン並びにエンジンを車体フレームに取付ける部材が、ダ
ッシュボードに影響を及ぼすことはほとんどない。従っ
て、ダッシュボードの変形をより十分に抑制することが
できる。
【0056】請求項2は、ドライブシャフトがストッパ
に当った後は、車体フレームのうちストッパよりも前方
へ延びた部分が塑性変形するように、ストッパよりも前
方へ延びた部分の剛性を小さくしたので、オフセット衝
突時にドライブシャフトがストッパに当った後は、車体
フレームのうちストッパよりも前方へ延びた部分だけが
塑性変形して、衝突エネルギーをより十分に吸収するこ
とができる。しかも、車体フレームのうちストッパより
も前方へ延びた部分は、剛性が小さいので、正面衝突時
における衝突エネルギーを吸収する役割をも、十分に果
たすことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る車両前部の斜視図
【図2】本発明に係る車両前部の要部斜視図
【図3】本発明に係る車両前部の右側面図
【図4】本発明に係る車両前部の底面図
【図5】本発明に係るドライブシャフト、前輪並びにス
トッパの関係を示す模式図
【図6】本発明に係る車両前部の作用図(その1)
【図7】本発明に係るセンタサイドフレームの衝突荷重
作用特性図
【図8】本発明に係るセンタサイドフレームの曲げモー
メント特性図
【図9】本発明に係るダッシュボードの変形特性図
【図10】本発明に係る車両前部の作用図(その2)
【図11】本発明に係るサイドシルの衝突荷重作用特性
【図12】本発明に係る車両前部の変形例図(その1)
【図13】本発明に係る車両前部の変形例図(その2)
【図14】従来の車両の概念図(その1)
【図15】従来の車両の概念図(その2)
【図16】従来の車両の概念図(その3)
【符号の説明】
10…車両、11…車体、12…ダッシュボード、13
…エンジンルーム、14…車室、20…車体フレーム、
21…センタサイドフレーム、22…フレーム延長部、
23…フロントサイドフレーム、32…エンジン、35
…ドライブシャフト、37…前輪、40…ストッパ、4
1…ストッパの前端(凹状部)、Pa…車体フレームの
うちストッパよりも前方へ延びた部分。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 漆山 雄太 埼玉県和光市中央1丁目4番1号 株式会 社本田技術研究所内 Fターム(参考) 3D003 AA05 BB01 CA09 DA29

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 車体前部をダッシュボードにて前部のエ
    ンジンルームと後部の車室とに仕切り、エンジンルーム
    内で車体フレームにエンジンを取付け、このエンジンに
    ドライブシャフトを介して前輪を連結した車両におい
    て、前記車体フレームに、前記ドライブシャフトが後方
    へ移動したときに当るストッパを設け、このストッパの
    前端を前記ダッシュボードよりも前に配置したことを特
    徴とする車両の車体構造。
  2. 【請求項2】 前記ドライブシャフトが前記ストッパに
    当った後は、前記車体フレームのうち前記ストッパより
    も前方へ延びた部分が塑性変形するように、ストッパよ
    りも前方へ延びた部分の剛性を小さくしたことを特徴と
    する請求項1記載の車両の車体構造。
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