JP2002320495A - 発現調節配列 - Google Patents

発現調節配列

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JP2002320495A JP2002046910A JP2002046910A JP2002320495A JP 2002320495 A JP2002320495 A JP 2002320495A JP 2002046910 A JP2002046910 A JP 2002046910A JP 2002046910 A JP2002046910 A JP 2002046910A JP 2002320495 A JP2002320495 A JP 2002320495A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 制御された遺伝子の発現を、培地にセンスア
ミノ酸を添加することなどによりセンスアミノ酸の細胞
内濃度を上昇させることによって上昇させる、原核生物
の新規な人工調節システムを提供する。 【解決手段】 下流に連結された目的遺伝子の発現を、
或るアミノ酸の細胞内の濃度に依存して調節する発現調
節配列であって、該発現調節配列、該発現調節配列の上
流に連結されたプロモーター、及び、該発現調節配列の
下流に連結された目的遺伝子を含むDNA構造体を保持
する細菌において、前記プロモーターから開始される転
写の該発現調節配列内で停止する頻度が前記アミノ酸の
細胞内の濃度の上昇により低下し、それによって目的遺
伝子の発現が上昇することを特徴とする、発現調節配
列。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、微生物工業に関す
る。より詳しくは、微生物細胞内の遺伝子発現を調節す
るための新規なアプローチの開発に関する。
【0002】
【従来の技術】クローニングされた遺伝子の発現を、比
較的単純かつ安価な化学物質を用いて誘導することは、
細菌、特にエシェリヒア・コリの組換え体を利用する生
物工学的プロセスにとって、非常に興味深いことであ
る。天然のL−アミノ酸は、そのような誘導物質として
可能性のある有力な候補であると思われる。しかし、本
発明者らが知る限り、トリプトファナーゼ遺伝子の調節
領域が、トリプトファンを培地に添加することにより誘
導される自然界に存在する唯一のシステムである(Land
ick R., Turnbough C.L., Yanofsky C. "Transcription
attenuation"/ In:"Escherichia coli and Salmonell
a. Cellular and molecular biology" (Second Editio
n, F.C.Neidhardt - Editor in Chief), (1996), pp. 1
263-1286)。一方、細胞内のアミノ酸量が多くなると調
節される遺伝子の発現量を減少させるシステムがいくつ
か存在している(特に、trpオペロンリプレッサー−
オペレーター(Platt, T. "Regulation of gene expres
sion in the tryptophan operon of Escherichia coli"
/ In: "The Operon" (Miller, J.H., Reznikoff, W.S.-
Eds.), Cold Spring Harbor Laboratory (1978), pp.
263-302.)、アミノ酸オペロン転写減衰(Landick R.,
Turnbough C.L., Yanofsky C. "Transcriptionattenuat
ion"/ In: "Escherichia coli and Salmonella. Cellul
ar and molecular biology" (Second Edition, F.C.Nei
dhardt - Editor in Chief), (1996),pp. 1263-128
6))。
【0003】アミノ酸オペロンの転写減衰の分子メカニ
ズムは、オペロンの最初の構造遺伝子の上流にその遺伝
子が位置する「リーダー」ペプチドの翻訳に依存して、
いわゆる「アテニュエーター」領域における2通りのm
RNAの二次構造形成が起こり得ることに基づく。リー
ダーペプチド遺伝子のコード領域は、センスアミノ酸の
コドン(対応するオペロンのタンパク質産物により生合
成されるアミノ酸のコドン。trpオペロンにあっては
Trpコドン、hisオペロンにあってはHisコド
ン、thrオペロンにあってはThr及びIleコド
ン、等)に富んでいる。
【0004】このよく知られた転写制御の詳細を、エシ
ェリヒア・コリのtrp、his両オペロンを例として
図1に示す。図1に示されるように、2通りのmRNA
の二次構造形成が、それぞれ対応するDNA断片の転写
において形成される。すなわち、trp−リーダーにお
いては、ヘアピンt1:t2及びt3:t4、又はもう一方の形態
であるt2:t3が形成され得る。同様に、his−リーダ
ーにおいては、h1:h2、h3:h4及びh5:h6、又はh2:h3及び
h4:h5が形成され得る。ヘアピンt3:t4及びh5:h6は、典
型的なρ非依存性の転写ターミネータであるために、転
写の延長の間にそれらが形成されると、対応するオペロ
ンのアテニュエーター領域で転写が終結し、オペロンの
構造遺伝子の発現が妨げられる。
【0005】mRNAの二次構造の形成のプロセスは、
mRNA合成のプロセスとカプリングしており、trp
アテニュエーターの場合はリーダーペプチドが翻訳され
ていないときに、ヘアピンt1:t2、さらにt3:t4が段階的
に形成される(ヘアピンt1:t2が先に形成されるため、
もう一方のt2:t3は形成されない)。同様に、対応する
リーダーペプチドの翻訳が起こらないときのhisアテ
ニュエーターmRNAの合成の場合は、ヘアピンh1:h
2、h3:h4及びh5:h6が先に形成され、もう一方のh2:h3及
びh4:h5の形成は妨げられる。先に述べたように、ヘア
ピンt3:t4及びh5:h6の形成は、対応するアテニュエータ
ー領域での転写終結に至る。この状態は、反応液中に転
写因子を全く含まない純粋なRNAポリメラーゼを用い
た対応するDNAのインビトロ転写において、あるいは
一般的なアミノ酸飢餓におけるインビボ転写において、
生じ得る。
【0006】リーダーペプチドの翻訳においては、さら
に複雑な状態が、センスアミノ酸が過剰(より正確に
は、対応するアミノ酸を担ったtRNAが過剰)となったと
き、あるいは細菌細胞内のセンスアミノ酸が欠乏したと
き、インビボで起こり得る。アテニュエーターmRNA
の転写を開始したRNAポリメラーゼは、ヘアピン1:2
の直下に位置する領域内のポーズ(pause)部位で停止す
ることが示されている(恐らく、前記ヘアピンの形成は
必須であるが、ポーズ部位での停止にとって十分条件で
はない)(Chan, C.L., Wang, D., Landick, R. "Multi
ple interactionsstabilize a single paused transcri
ption intermediate in which hairpin to 3' end spac
ing distinguishes pause and termination pathway"/
J. Mol. Biol. 268 (1997) 54-68)。リーダーペプチド
のN末端部分を翻訳したリボゾームはRNAポリメラー
ゼを解放し、転写の延長が継続され、そしてmRNAの
もう一方のヘアピン2:3が形成され得る。それ以降の事
象はセンスアミノ酸を担ったtRNAの細胞内濃度に依
存する。なぜなら、その際に、リーダーペプチド遺伝子
の対応するコドンは、リボゾームにより翻訳される必要
があるからである。
【0007】センスアミノ酸飢餓の場合は、リボゾーム
はセンスコドンの位置で留まり、ヘアピン2:3を破壊し
ない。一方、RNAポリメラーゼはmRNAの下流の断
片を合成し、このmRNAは原則的にはターミネーター
ヘアピン(trpアテニュエーターではt3:t4、his
アテニュエーターではh5:h6)を形成し得るが、もう一
方のヘアピン(trpアテニュエーターではt2:t3、h
isアテニュエーターではh2:h3, h4:h5)の存在のた
め、ターミネーターヘアピンは折り曲げられず、続い
て、転写の延長、及びオペロンの構造遺伝子群のmRN
A合成が起こる。
【0008】センスアミノ酸が過剰な場合は、リーダー
ペプチドの翻訳は高い効率で起こるため、最初にヘアピ
ン1:2を破壊したリボゾームは、さらにヘアピン2:3も破
壊する。そして、リーダーペプチドの終止コドンの位置
に留まる。この場合は、最終的に、ターミネーターヘア
ピンが形成され、アテニュエーター領域で転写の終結が
起こる。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、制御
された遺伝子の発現を、センスアミノ酸の細胞内濃度を
上昇させることによって上昇させる、原核生物の新規な
人工調節システムを創製することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明らは、リーダーペ
プチドの転写の効率に依存したmRNAの2通りの二次
構造の形成に基づく、ネイティブの調節メカニズムを活
用することによって、細胞内のアミノ酸濃度に依存した
新規な人工的な調節システムの創製することに成功し
た。新規なシステムは、センスアミノ酸の細胞内濃度が
過剰の場合、ネイティブのアミノ酸オペロンのアテニュ
エーターのように遺伝子発現を減少させず、増加させ
る。それと同時に、センスアミノ酸の飢餓条件下では、
新規な発現調節配列の制御下では遺伝子発現のレベルは
減少する。よく知られた転写の制御であるアミノ酸オペ
ロンの転写減衰は、この新規なシステムの原型である
が、新規なシステムは原型とは異なり、センスアミノ酸
が過剰の場合、制御された遺伝子の発現レベルを減少さ
せず、増加させる。
【0011】本発明は、以下の発現調節配列並びにこれ
を用いる発現調節方法及び製造方法を提供する。
【0012】(1)下流に連結された目的遺伝子の発現
を、或るアミノ酸の細胞内の濃度に依存して調節する発
現調節配列であって、該発現調節配列、該発現調節配列
の上流に連結されたプロモーター、及び、該発現調節配
列の下流に連結された目的遺伝子を含むDNA構造体を
保持する細菌において、前記プロモーターから開始され
る転写の該発現調節配列内で停止する頻度が前記アミノ
酸の細胞内の濃度の上昇により低下し、それによって目
的遺伝子の発現が上昇することを特徴とする、発現調節
配列。
【0013】(2)前記アミノ酸を含むリーダーペプチ
ドをコードする領域及びρ非依存性ターミネーターを含
み、リーダーペプチドの翻訳が、前記アミノ酸の飢餓の
場合に途中において前記アミノ酸のコドンで停止したと
きに、該発現調節配列の転写産物においてρ非依存性タ
ーミネーターの対合構造の形成が生じることにより、前
記転写が該発現調節配列内で停止する頻度が上昇する
(1)記載の発現調節配列。
【0014】(3)隣接するセグメントと互いに対合構
造を形成し得る3以上の奇数個のセグメントを含み、該
発現調節配列の転写産物において、両端以外のセグメン
トは、その隣接する2つのセグメントのいずれか一方と
対合構造を形成したときには他方のセグメントと対合構
造を形成せず、上流の端の第1セグメントは、リーダー
ペプチドを翻訳するリボソームが相互作用する領域と少
なくとも部分的に重複し、リーダーペプチドの翻訳途中
においては、第1セグメントに隣接する第2セグメント
が第2セグメントに隣接する第3セグメントと対合構造
を形成し、下流の端のセグメントとその隣接するセグメ
ントとが形成する対合構造がρ非依存性ターミネーター
の対合構造である(2)記載の発現調節配列。
【0015】(4)第1セグメントが、リーダーペプチ
ド内の前記アミノ酸のコドンと重複する(3)記載の発
現調節配列。
【0016】(5)前記セグメントの数が5である
(3)又は(4)記載の発現調節配列。
【0017】(6)各々のセグメント又はその一部と、
隣接するセグメント又はその一部の配列は、逆方向反復
配列を構成する(3)〜(5)いずれか1項に記載の発
現調節配列。
【0018】(7)ρ非依存性ターミネーターが、エシ
ェリヒア属、サルモネラ属またはセラチア属の細菌で機
能し得るものである(2)〜(6)のいずれか一項に記
載の発現調節配列。
【0019】(8)ρ非依存性ターミネーターが、エシ
ェリヒア属細菌で機能し得るものである(7)記載の発
現調節配列。
【0020】(9)上流側から順に5つのセグメントa
n1〜an5を含み、セグメントan1及びan2、な
らびにリーダーペプチドの領域はエシェリヒア・コリの
トリプトファンオペロンのアテニュエーターの配列に由
来し、セグメントan4とan5はエシェリヒア・コリ
のヒスチジンオペロンのアテニュエーターの配列に由来
し、セグメントan3は前記トリプトファンオペロンの
アテニュエーターの配列及びヒスチジンオペロンのアテ
ニュエーターの配列の組み合わせに由来する(7)又は
(8)記載の発現調節配列。
【0021】(10)リーダーペプチドがトリプトファ
ンを2残基以上含むものに改変されている(9)記載の
発現調節配列。
【0022】(11)(1)〜(10)のいずれか一項
に記載の発現調節配列、該発現調節配列の上流に連結さ
れたプロモーター、及び、該発現調節配列の下流に連結
された目的遺伝子を含むDNA構造体を保持する細菌を
培地に培養するステップと、該発現調節配列による発現
の調節が依存するアミノ酸の細胞内の濃度を変化させ
て、前記目的遺伝子の発現を調節するステップを含む、
目的遺伝子の発現調節方法。
【0023】(12)目的物質を産生する能力を有する
細菌を培地中に培養し、該目的物質を生成させ、該目的
物質を採取することを含む、目的物質の製造法であっ
て、該細菌が、(1)〜(10)のいずれか一項に記載
の発現調節配列、該発現調節配列の上流に連結されたプ
ロモーター、及び、該発現調節配列の下流に連結された
前記目的物質の産生に関与する遺伝子を含むDNA構造
体を保持し、且つ、該発現調節配列による発現の調節が
依存するアミノ酸の細胞内の濃度が変化することによ
り、前記遺伝子の発現が調節されることを特徴とする製
造法。
【0024】(13)前記アミノ酸の細胞内の濃度が、
前記細菌による前記アミノ酸の合成または分解によって
変化する(12)記載の製造法。
【0025】
【発明の実施の形態】<1>発現調節配列 本発明の発現調節配列は、下流に連結された目的遺伝子
の発現を、或るアミノ酸(センスアミノ酸)の細胞内の
濃度に依存して調節する発現調節配列であって、該発現
調節配列、該発現調節配列の上流に連結されたプロモー
ター、及び、該発現調節配列の下流に連結された目的遺
伝子を含むDNA構造体を保持する細菌において、前記
プロモーターから開始される転写の該発現調節配列内で
停止する頻度が前記アミノ酸の細胞内の濃度の上昇によ
り低下し、それによって目的遺伝子の発現が上昇するこ
とを特徴とする。
【0026】センスアミノ酸は、本発明の発現調節配列
を用いる細菌において、そのアミノアシルtRNAが合成さ
れ、合成されたアミノアシルtRNAがタンパク質の翻訳に
使用され得るものであれば特に限定されない。好ましく
は、トリプトファン、ヒスチジン、フェニルアラニン、
スレオニン、ロイシン、イソロイシン又はバリンであ
る。
【0027】目的遺伝子としては、クロラムフェニコー
ルアセチルトランスフェラーゼ遺伝子(cat)、アミノ酸
オペロン、そのタンパク質産物がアミノ酸、ヌクレオシ
ド及びヌクレオチドの生合成に関与する遺伝子、ならび
に、外来タンパク質産物をコードする遺伝子が挙げられ
る。
【0028】プロモーターとしては、Ptacならびにそ
の他の調節的及び構成的の原核生物プロモーターが挙げ
られる。
【0029】DNA構造体を保持する細菌としては、エ
シェリヒア属、サルモネラ属及びセラチア属に属する細
菌が挙げられる。
【0030】本発明の発現調節配列、及び、DNA構造
体の構築、並びに、このDNA構造体を保持する細菌の
作製は、標準的な遺伝子組換え技術(例えば、Molecula
r Cloning, 2nd edition, Cold Spring Harbor Press
(1989)、特開平2−207791号公報等参照)により
行うことができる。
【0031】プロモーターから開始される転写の該発現
調節配列内で停止する頻度がセンスアミノ酸の細胞内の
濃度の上昇により低下し、それによって目的遺伝子の発
現が上昇することの確認も、標準的な遺伝子組換え技術
により行うことができる。センスアミノ酸の細胞内の濃
度は、細胞の内外のセンスアミノ酸の濃度の関係が知ら
れている細菌であれば、細胞内の濃度を直接に測定する
必要はなく、細胞外の濃度(例えば培地中の濃度)から
推定してもよい。プロモーターから開始される転写の該
発現調節配列内で停止する頻度も直接に測定する必要は
なく、目的遺伝子の発現の上昇を測定すればよい。目的
遺伝子の発現の上昇は、目的遺伝子の遺伝子産物の量
や、遺伝子産物が活性を有する場合にはその活性の測定
により測定できる。
【0032】前記プロモーターから開始される転写の該
発現調節配列内で停止する頻度が前記アミノ酸の細胞内
の濃度の上昇により低下し、それによって目的遺伝子の
発現が上昇することの一態様としては、センスアミノ酸
の細胞内の濃度が一定レベル以下にあるときには、前記
プロモーターから開始される転写は該発現調節配列内で
終結し、前記アミノ酸の細胞内の濃度が前記レベルより
も高いときには転写は延長され、それによって目的遺伝
子の発現が生じることが挙げられる。
【0033】本発明の発現調節配列は、好ましくは、セ
ンスアミノ酸を含むリーダーペプチドをコードする領域
及びρ非依存性ターミネーターを含み、リーダーペプチ
ドの翻訳が、センスアミノ酸の飢餓の場合に途中におい
てセンスアミノ酸のコドン(センスコドン)で停止した
ときに、該発現調節配列の転写産物においてρ非依存性
ターミネーターの対合構造の形成が生じることにより、
前記転写が該発現調節配列内で停止する頻度が上昇する
ものである。
【0034】リーダーペプチドの長さは、通常には、1
4〜32残基であり、リーダーペプチドはセンスアミノ
酸残基を、全アミノ酸残基の通常14〜57%、好まし
くは30〜45%含む。センスアミノ酸の割合が大きい
ほど、センスアミノ酸の細胞内の濃度による調節が厳密
になる。センスアミノ酸残基は連続している方が好まし
い。
【0035】ρ非依存性ターミネーターは、対合構造
(ヘアピン)を形成することのできる配列を有してお
り、その対合構造が形成されたときに転写を終結させる
ものである。ρ非依存性ターミネーターは、好ましく
は、エシェリヒア属、サルモネラ属又はセラチア属に属
する細菌で機能し得るものである。
【0036】リーダーペプチドの翻訳が途中においてセ
ンスコドンで停止したときに、該発現調節配列の転写産
物においてρ非依存性ターミネーターの対合構造の形成
を生じさせる手段としては、該発現調節配列が、隣接す
るセグメントと互いに対合構造を形成し得る3以上の奇
数個のセグメントを含むようにし、該発現調節配列の転
写産物において、両端以外のセグメントは、その隣接す
る2つのセグメントのいずれか一方と対合構造を形成し
たときには他方のセグメントと対合構造を形成せず、上
流の端の第1セグメントは、リーダーペプチドを翻訳す
るリボソームが相互作用する領域と少なくとも部分的に
重複し、リーダーペプチドの翻訳途中においては、第1
セグメントに隣接する第2セグメントが第2セグメント
に隣接する第3セグメントと対合構造を形成し、下流の
端のセグメントとその隣接するセグメントとが形成する
対合構造がρ非依存性ターミネーターの対合構造である
ようにすることが挙げられる。
【0037】この態様において、必要なことは、センス
アミノ酸のコドンでリボソームが停止することによっ
て、第1セグメントと第2セグメントとの間の対合構造
の形成がブロックされることにある。リボソームの大き
さのため、停止したセンスアミノ酸のコドンの上流約1
7bpから下流約13bpまでがリボソームによりカバ
ーされる。リボソームが相互作用する領域とは、このよ
うなリボソームによりカバーされる領域を意味する。リ
ーダーペプチドを翻訳するリボソームが相互作用する領
域と第1セグメントが少なくとも部分的に重複していれ
ば、センスアミノ酸のコドンでリボソームが停止するこ
とによって、第1セグメントと第2セグメントとの間の
対合構造の形成がブロックされるのに十分と考えられ
る。例えば、センスアミノ酸のコドンがリーダーペプチ
ドの終止コドンの直前にあり、センスアミノ酸のコドン
から第1セグメントの初めまでの距離が約13bp以内
であれば、第1セグメントと第2セグメントとの間の対
合構造の形成がブロックされ得る。
【0038】第1セグメントは、リーダーペプチド内の
センスアミノ酸のコドンと重複していることが好まし
い。
【0039】この態様においては、センスアミノ酸の飢
餓で第1セグメントがリボソームによってブロックされ
ると、第2と第3、第4と第5、・・・のセグメント間
の対合構造が形成され、最後の対合構造がターミネータ
ーとなって転写が停止する。一方、センスアミノ酸が十
分に供給され、リボソームが十分な速度で転写の進行を
追いかけるようにmRNA上をストップコドンまで進み、リ
ボソームにより第2セグメントまでブロックされると、
第3と第4、・・・のセグメント間の対合構造が形成さ
れ、ターミネーターの形成が阻止される。また、転写に
付随した翻訳が起こらないと、第1と第2、第3と第
4、・・・のセグメント間の対合構造が形成され、ター
ミネーターの形成が阻止される。
【0040】本発明の発現調節配列においては、リーダ
ーペプチドのC末端領域をコードする領域又はリーダー
ペプチドをコードする領域の下流(好ましくは第2セグ
メントから第3セグメントの領域)にRNAポリメラーゼ
のポーズ部位があることが好ましい。ポーズ部位が無い
場合には、転写に付随した翻訳が十分に起こらないとき
に、目的遺伝子の発現が十分に調節されないことがあ
る。
【0041】セグメントの数は例えば5である。
【0042】各セグメントの塩基配列は、隣接するセグ
メントと対合構造を形成できればよい。例えば、各々の
セグメント又はその一部と、隣接するセグメント又はそ
の一部の配列が、逆方向反復配列を構成するものであれ
ばよい。逆方向反復配列を構成する配列は連続していな
くてもよい。すなわち途中に対合しない部分があっても
よい。また、両端を除くセグメントにおいては、隣接す
るセグメントの一方との逆方向反復配列を構成する部分
と、隣接するセグメントの他方との逆方向反復配列を構
成する部分とが少なくとも部分的に重複していればよ
い。
【0043】本発明の発現調節配列の例としては、上流
側から順に5つのセグメントan1〜an5を含み、セ
グメントan1及びan2、ならびにリーダーペプチド
をコードする領域はエシェリヒア・コリのトリプトファ
ンオペロンのアテニュエーターの配列に由来し、セグメ
ントan4とan5はエシェリヒア・コリのヒスチジン
オペロンのアテニュエーターの配列に由来し、セグメン
トan3は前記トリプトファンオペロンのアテニュエー
ターの配列及びヒスチジンオペロンのアテニュエーター
の配列の組み合わせに由来するものが挙げられる。
【0044】ここで「由来する」とは、ネイティブな配
列と同じまたは類似する配列を有することを意味し、取
得手段を限定するものではない。すなわち、生物材料か
ら単離したものでも化学合成されたものでもよい。類似
する配列とは、ネイティブな配列と同等の対合構造を形
成でき、且つ、ネイティブな配列に、1以上の塩基の置
換、欠失又は挿入がされた配列である。
【0045】また、上記の発現調節配列の好ましい例に
おいては、リーダーペプチドは、トリプトファンを2残
基以上含むように改変されていることが好ましい。これ
らのトリプトファン残基は連続していることが好まし
い。
【0046】以下、上記の発現調節配列の好ましい例を
参照して本発明を説明する。以下、説明の便宜のため
に、この発現調節配列を人工アンチ−アテニュエーター
と呼ぶ。
【0047】人工アンチ−アテニュエーターの生物学的
特性の概略を、図1に示す。図1に示されるように、セ
ンスアミノ酸が欠乏し、リーダーペプチドの対応するコ
ドンの位置でリボゾームが停止した場合は、アンチ−ア
テニュエーターのヘアピンan2:an3が維持され、典型的
なρ非依存性転写ターミネータの一部であるヘアピンan
4:an5が形成される。一方、センスアミノ酸が過剰の場
合、リーダーペプチドの効率的な転写がアンチ−アテニ
ュエーターのヘアピンan2:an3の破壊を招き、別のヘア
ピンan3:an4が形成され、ターミネーターヘアピンであ
るan4:an5が形成されないため、遠位(下流)の遺伝子
群の転写前の終結が妨げられる。
【0048】人工アンチ−アテニュエーターの構造は、
エシェリヒア・コリのよく知られたtrpオペロン及び
hisオペロンの2つのネイティブアテニュエーターに
基づいて設計されている。構造遺伝子部分に2つの調節
Trpコドンを有するネイティブのtrpオペロンのリ
ーダーペプチド遺伝子(trpL)が、人工アンチ−アテニ
ュエーターのリーダーペプチドとして用いられている。
一方、mRNAの2通りの二次構造の形成プロセスは、
対応するネイティブhisアテニュエーターの領域と同
様に、人工アンチ−アテニュエーターの3’−非翻訳領
域で起こる。
【0049】基本とする2つの天然アテニュエーター
(trp及びhis)のコード部分、及び3’−非翻訳
領域の塩基配列を、人工アンチ−アテニュエーターの対
応する領域の配列と共に、図2に示す。図2に示される
ように、ネイティブのtrpアテニュエーター及び人工
アンチ−アテニュエーターの「+85」(番号はリーダ
ーペプチドのコード部分のATGのAを+1として記
す)までの構造は一致する。従って、細胞内のTrpが
過剰の場合のヘアピンan2:an3の破壊だけでなく、+6
6〜+67の位置でのRNAポリメラーゼの一時停止
(ポーズ)、及び、Trp飢餓の場合の、リーダーペプ
チドを翻訳するリボゾームによるヘアピンan1:an2の破
壊を伴う転写の延長も、ネイティブtrpアテニュエー
ターの場合と同様に人工アンチ−アテニュエーターの調
節領域で起こる。一方、人工アンチ−アテニュエーター
の遠位部分は、第二の原型として用いたhisアテニュ
エーターの対応する領域とは少し異なる。
【0050】最小の改変は、ターミネーターヘアピンan
4:an5の形成が可能な領域で行われている。それにもか
かわらず、ネイティブのhisアテニュエーターと同様
に、人工アンチ−アテニュエーターにおいて別のヘアピ
ンan3:an4の形成が可能であり(この領域の二次構造は
ネイティブのhisアテニュエーターのh4:h5と相同性
がある)、このヘアピンの形成は人工アンチ−アテニュ
エーターにおける転写の終結を妨げる。ネイティブのh
isアテニュエーターと比較すると、人工アンチ−アテ
ニュエーター中には、ヘアピンh3:h4を形成するDNA
断片は存在せず、それにより生物学的特性の変化がもた
らされる。すなわち、ρ非依存性転写ターミネーターの
形成は、センスアミノ酸の細胞内濃度の上昇の場合では
なく、飢餓の場合に起こる。
【0051】以下、人工アンチ−アテニュエーターの特
性を確認した結果を示す。
【0052】人工アンチ−アテニュエーターは、図3及
び4に概略を示したように、標準的な遺伝子組換え技術
(ネイティブtrpアテニュエーター断片のPCRによる増
幅、オリゴヌクレオチドの化学合成等を含む)を用いて
合成した。なお、2種類の異なるタイプの人工アンチ−
アテニュエーターを取得した。第一のタイプ(アンチ−
アテニュエーターI)では、trpLのネイティブのリ
ボゾーム結合部位(RBS)をリーダーペプチドの転写開
始のために用いた。第二のタイプ(人工アンチ−アテニ
ュエーターII)では、より効率のよいT7ファージの遺
伝子10のRBSを、リーダーペプチド遺伝子の5’−領域
に挿入した。それぞれの人工アンチ−アテニュエーター
は、ベクタープラスミドの高効率プロモーターPtacの下
流、かつ、cat遺伝子自体のRBSを含むcat遺伝子の上流
にクローン化された。クロラムフェニコールアセチルト
ランスフェラーゼをコードするcat遺伝子は、リポータ
ーとして用いられ、その発現レベルから、細胞内のセン
スアミノ酸(Trp)濃度に依存する調節因子の機能の
効率に関する情報が得られる。
【0053】さらに、同じベクターを用いて、対照とな
るいくつかの組換えプラスミドを構築した。第一のプラ
スミドは、ネイティブのtrpオペロン−trpLのア
テニュエーターを保持する。第二のプラスミドは、潜在
的な転写ターミネータである、ターミネータヘアピンan
4:an5を形成するアンチ−アテニュエーターの3’末端
DNA断片を保持する。第三のプラスミドは、より長い
アンチ−アテニュエーターの3’末端DNA断片を保持
する。このDNA断片は、mRNA合成において潜在的な別
のヘアピンan3:an4が先に形成されるために、ターミネ
ータヘアピンan4:an5の形成をもたらさない。
【0054】文献によれば、エシェリヒア・コリtrp
オペロンのネイティブtrpLは、他のアミノ酸オペロ
ンのアテニュエーターと異なり、いくらか弱いアテニュ
エーターである(「培地中のTrpの有無は、通常にはtrp
アテニュエーターのリードスルーに影響しない。リード
スルーにおける10倍の変化は、変異型細菌における極
端なTrp飢餓においてか、または、Trp含有培地からTrp
非含有培地に移したときに一時的に生じるだけである」
[Landick R., Turnbough C.L., Yanofsky C. "Transcri
ption attenuation"/ In: "Escherichia coli and Salm
onella. Cellular and molecular biology" (Second Ed
ition, F. C. Neidhardt - Editor in Chief), (1996),
p. 1263-1286])。これはおそらくリーダーペプチドの
構造遺伝子部分にセンスアミノ酸のコドンが二つ連続し
てあるだけのためと考えられる。人工アンチ−アテニュ
エーターとtrpLのリーダーペプチドのコード部分は
同一であるから、新規システムの調節特性の試験には、
特別なモデル系を用いる必要がある。リポーターである
CATの酵素活性の測定は、被検対照の組換えプラスミド
を保持し、必要に応じてTrp飢餓状態の後にTrpを
添加した培地で生育させたtrp-細胞で行った。結果
を表1に示す。
【0055】
【表1】 表1 被検調節要素を含む組換えプラスミドを保持する株のCAT活性の測定 ──────────────────────────────────── CAT活性測定条件 プラスミド名 計画された特性 ──────────── Trp飢餓 Trp過剰 ──────────────────────────────────── pML-Ptac-an4:an5-cat "ターミネーター" 3 ± 1 3 ± 1 pML-Ptac-an3:an4(an4:an5)-cat "アンチ-ターミネーター" 60 ± 6 58 ± 6 pML-Ptac-trpL-cat ネイティフ゛trpL 17 ± 3 9 ± 3 pML-Ptac-anti_att-I-cat "アンチ-アテニュエーター-I" 22 ± 3 30 ± 3 pML-Ptac-anti_att-II-cat "アンチ-アテニュエーター-II" 18 ± 3 51 ± 5 ────────────────────────────────────
【0056】表1から明らかなように、CAT活性のレベ
ルは、trpLのコード部分を含まないプラスミドを保
持する細胞へのTrpの添加に依存しない。さらに、m
RNAの2通りの二次構造形成のプロセスに依存して得
られるCAT活性レベルの理論的な差異は、「ターミネー
タ」及び「アンチターミネータ」ヘアピンをコードする
対照プラスミドで得られた結果に基づいて評価すること
ができる。アンチターミネータ構造が形成された場合、
人工アンチ−アテニュエーターの3’部分におけるρ非
依存性転写終結に比べて、20倍高い転写が起こり得
る。
【0057】予想されたように、測定されたCAT活性レ
ベルは、ネイティブtrpアテニュエーターを含むプラ
スミドを用いた場合に高く、Trp飢餓の場合は、プラ
スミド保持細菌へTrpを添加した後よりも、レベルは
上昇した。具体的にはCAT活性は17ユニットであり、最
大レベル(60ユニット)には及ばなかった。これは、第
一には、細菌の生育中のTrp飢餓によっては、trp
Lのリードスルー転写の最大効率は保証されないことに
よる。第二に、cat遺伝子自体のRBSの直ぐ上流に位置す
るcat遺伝子の5’非翻訳領域は、ネイティブtrpLを用
いた場合と他の被検構築物を用いた場合では異なり、従
って、CATの転写開始の効率が異なるからである。
【0058】目的の結果は、人工アンチ−アテニュエー
ターを含むプラスミドで得られた。表1からわかるよう
に、どちらのプラスミドを保持する菌株においても、プ
ラスミド保持細菌にTrpを添加した後は、CAT活性の
上昇が見られた。さらに、ファージT7遺伝子10の高効率
RBSをリーダーペプチドの翻訳開始のために用いた場
合、CAT蓄積のレベルは理論的最大値に匹敵した(60ユ
ニットに対して51ユニット)。後者は、かなり強力なプ
ロモーターPtac(trpオペロンのネイティブプロモー
ターよりも強い)からの人工アンチ−アテニュエーター
の転写の場合、mRNAの2通りの二次構造形成の分子
機構の実現に必要な転写と翻訳の完全な共役(典型的に
は原核細胞アミノ酸オペロンにおけるネイティブアテニ
ュエーション転写)には、リーダーペプチドのRBSの改
良が必要であるという事実によって説明される。
【0059】上記で得られた結果に基づいて、以下の結
論が得られる。 1.2通りのmRNAの二次構造形成のプロセスは、転
写の調節に利用することができる。人工「his様」末
端構造を利用することによって、発現レベルは20倍異
なる。
【0060】2.得られた人工「アンチ−アテニュエー
ター」システムは機能的に活性である。 2.1. ネイティブtrpリーダーペプチドのコード部分
は、細胞内のTrp濃度に依存して、mRNAの二次構造の
折り畳みのプロセスを促進する。 2.2. Trp過剰における最良の「アクチベータ」効果
は、最適化したリーダーペプチドの翻訳開始(trpLのネ
イティブRBSの代わりにT7ファージのS10 RBSを用いる)
と組み合わせて、転写にPtacプロモーターを用いた場合
に見られる。
【0061】3.開発されたシステムは、より効率的に
誘導可能な調節要素を構築する基礎として用いられるも
のであると考えられる。このシステムは、アンチ−アテ
ニュエーター領域のリーダーペプチド部分の構造遺伝子
部分にあるセンスアミノ酸(Trp)のコドンの数を増
加させ、培地に過剰量のTrpを添加することによっ
て、より効率的に誘導され得る。
【0062】<2>目的遺伝子の発現調節方法 本発明の発現調節方法は、本発明の発現調節配列、該発
現調節配列の上流に連結されたプロモーター、及び、該
発現調節配列の下流に連結された目的遺伝子を含むDN
A構造体を保持する細菌を培地に培養するステップと、
該発現調節配列による発現の調節が依存するアミノ酸
(センスアミノ酸)の細胞内の濃度を変化させて、前記
目的遺伝子の発現を調節するステップを含む、目的遺伝
子の発現調節方法である。
【0063】DNA構造体及びそれを保持する細菌は、
発現調節配列に関して説明した通りでよい。
【0064】培養の条件は、細菌が生存できる条件であ
れば特に制限されず、細菌に合わせて適宜選択される。
【0065】センスアミノ酸の細胞内の濃度を変化させ
る方法としては、細菌を培養する培地中のセンスアミノ
酸濃度を変化させる方法、細胞内におけるセンスアミノ
酸の合成量又は分解量を変化させる方法などが挙げられ
る。目的遺伝子の発現の変化は、遺伝子産物の量や、遺
伝子産物が活性を有する場合にはその活性レベルの測定
により測定できる。
【0066】<3>目的物質の製造法 本発明の製造法は、さらに、目的物質を産生する能力を
有する細菌を培地中に培養し、該目的物質を生成させ、
該目的物質を採取することを含む、目的物質の製造法で
あって、該細菌が、本発明の発現調節配列、該発現調節
配列の上流に連結されたプロモーター、及び、該発現調
節配列の下流に連結された前記目的物質の産生に関与す
る遺伝子を含むDNA構造体を保持し、且つ、該発現調
節配列による発現の調節が依存するアミノ酸(センスア
ミノ酸)の細胞内の濃度が変化することにより、前記遺
伝子の発現が調節されることを特徴とする製造法であ
る。
【0067】目的物質としては、CATその他の原核生物
酵素、外来タンパク質産物、アミノ酸、ヌクレオシド及
びヌクレオチド、ビタミン、ならびにその他の生物活性
物質が挙げられる。
【0068】目的物質を産生する能力を有する細菌とし
ては、エシェリヒア属、サルモネラ属及びセラチア属に
属する細菌が挙げられる。
【0069】培養の条件は、目的物質を産生する能力を
有する細菌が目的物質を産生できる条件であれば特に制
限されず、細菌に合わせて適宜選択される。
【0070】通常には、好気的条件下で10〜15時間
実施し、培養温度は28〜37℃に、培養中pHは6.
6〜7.4に制御する。尚、pH調整には無機又は有機
の酸性又はアルカリ性物質、更にアンモニアガス等を使
用することができる。
【0071】培地は、炭素源、窒素源、無機イオン及び
必要に応じその他の有機成分を含有する通常の培地でよ
い。
【0072】炭素源としては、グルコース、ラクトー
ス、ガラクトース、フラクトース、シュークロースもし
くはでんぷんの加水分解物などの糖類、グリセロールも
しくはソルビトールなどのアルコール類、またはフマー
ル酸、クエン酸もしくはコハク酸等の有機酸類を用いる
ことができる。
【0073】窒素源としては、硫酸アンモニウム、塩化
アンモニウムもしくはリン酸アンモニウム等の無機アン
モニウム塩、大豆加水分解物などの有機窒素、アンモニ
アガス、またはアンモニア水等を用いることができる。
【0074】有機微量栄養源としては、ビタミンB1
どの要求物質または酵母エキス等を適量含有させること
が望ましい。これらの他に、必要に応じて、リン酸カリ
ウム、硫酸マグネシウム、鉄イオン、マンガンイオン等
が少量添加される。
【0075】菌体や培養液などの培養物からの目的物質
の採取は、通常には、イオン交換樹脂法、沈澱法その他
の公知の方法を組み合わせることにより実施できる。
【0076】DNA構造体は、目的遺伝子として、目的
物質の産生に関与する遺伝子を用いることの他は、発現
調節配列に関して説明した通りでよい。目的物質の産生
に関与する遺伝子としては、目的物質の生合成遺伝子、
目的物質の生合成に使われる中間体等の関連物質及びエ
ネルギーの産生遺伝子、それらの調節遺伝子等が挙げら
れ、具体的には、L−トリプトファン生合成遺伝子、L
−セリン生合成遺伝子(特には、L−トリプトファン生
合成に用いる)、putAB遺伝子、H+-ATPase遺伝子が挙げ
られる。
【0077】特に、L−トリプトファンの生産菌におい
て、センスアミノ酸をL−トリプトファンとして、か
つ、目的遺伝子をL−セリン生合成系の遺伝子として当
該遺伝子を本発明の発現調節配列の下流に連結する場合
には、L−トリプトファンの細胞内蓄積量が増加に向か
うときにL−セリン生合成系の遺伝子の発現が上昇する
ことになる。L−トリプトファンの細胞内蓄積量が増加
に向かうときとは、L−トリプトファンの生合成の基質
の一つであるL−セリンが不足に向かうときでもあるの
で、L−セリンが不足に向かうときに限ってL−セリン
生合成系の遺伝子の発現を上昇させることができる。一
方、L−トリプトファンの生産菌において、L−セリン
生合成系の遺伝子を常時高発現にすることはできない。
高濃度のL−セリンは細胞の生育にとって有害であるた
めである。従って、L−トリプトファンの生産菌におい
てL−セリン生合成系の遺伝子の発現を上昇させたい場
合に、本発明の発現調節配列は非常に有効であることが
理解できる。
【0078】上記DNA構造体を保持し、目的物質を産
生する能力を有する細菌は、目的物質を産生する能力を
有する細菌に、上記DNA構造体を保持させてもよい
し、上記DNA構造体を保持する細菌に、目的物質を産
生する能力を付与してもよい。上記DNA構造体を保持
させることは、標準的な遺伝子組換え技術により行うこ
とができる。また、目的物質を産生する能力の付与は、
公知の方法により行うことができる。例えば、目的物質
がCATの場合には、クロラムフェニコールアセチルトラ
ンスフェラーゼをコードするDNAを導入する方法が挙
げられる。
【0079】センスアミノ酸の細胞内の濃度を変化させ
る方法としては、細菌を培養する培地中のセンスアミノ
酸濃度を変化させる方法、細胞内におけるセンスアミノ
酸の合成量又は分解量を変化させる方法などが挙げられ
る。細胞内におけるセンスアミノ酸の合成量又は分解量
を変化させる方法は、目的物質の製造を、目的物質製造
の中間体等の製造と連携させることができる点で好まし
い。目的遺伝子の発現の変化は、遺伝子産物の量や、遺
伝子産物が活性を有する場合にはその活性レベルの測定
により測定できる。
【0080】
【実施例】以下、本発明を実施例によりさらに具体的に
説明する。
【0081】
【実施例1】 ネイティブアテニュエーター、人工アン
チアテニュエーター及びそれらの断片を保持する組換え
プラスミドの構築 1. ベクタープラスミドpML-Ptac-ter_thrL-catの構築 ColE1様レプリコン、選択マーカーとしてのApR遺伝子、
tacプロモーター (Pt ac)(Russel D.R., Bennett G.,
Gene 20 (1982) 231)、E. coliのthrオペロンのリーダ
ーペプチドの合成ρ非依存性転写ターミネーター(ter_
thrL)、及び、Ptacの下流のcat遺伝子の構造遺伝子部
分を保持するプラスミドベクターpML-Pta c-ter_thrL-ca
tを以下の様にして構築した。その後の実験では、Ptac
から転写される遺伝子catをレポーターとして用いた。
【0082】1.1. pML-pp-vectorの構築 pML-pp-vectorの構築のための前駆体として二つのプラ
スミドを用いた。第1のプラスミドは、プラスミドpML2
4(Trukhan et al., Biotechnologiya (in Russian) 4,
No. 3 (1988) 325-334)であった。第2のプラスミド
は、市販(MBI "Fermentas", Lithuania)のベクターpUC5
7(GenBank/EMBL アクセッション番号Y14837)であった。
標準的な遺伝子操作技術 (Sambrook et al., "Molecula
r cloning.Laboratory manual".(1989) Second Editio
n, Cold Spring Harbor LaboratoryPress)に基づいて行
ったpML-pp-vectorの構築のスキームを図4に示す。
【0083】1.2. プラスミドpML-pp-vectorへの化学的
に合成したter_thrLの挿入 E. coliのthrオペロンリーダーペプチドの合成ρ非依存
性転写ターミネーターを、下記の二つの化学合成オリゴ
ヌクレオチドをアニーリングさせることにより構築し
た。
【0084】I - 5'-ctagaaagcttaacacagaaaaaagcccgca
cctgacagtgcgggctttttttttcgaccactgcagga-3'(配列番
号4) II - 5'-gatccctgcagtggtcgaaaaaaaaagcccgcactgtcaggt
gcgggcttttttctgtgttaagcttta-3'(配列番号5)
【0085】化学合成オリゴヌクレオチドのアニーリン
グにより、XbaI及びBamHI処理により得られるような一
本鎖の付着末端を有する二本鎖DNAフラグメントが構築
される。
【0086】このフラグメントをT4ポリヌクレオチドキ
ナーゼで常法によりリン酸化し、XbaI及びBamHIで切断
したプラスミドpML-pp-vectorにクローニングした。制
限酵素分析及び挿入フラグメントのDNA配列決定により
目的プラスミドの構造を確認した。
【0087】1.3. Ptacの分子クローニング ハイブリッドプロモーターPtacの分子クローニングのた
めにPCRによるDNA増幅を行った。下記の二つのオリゴヌ
クレオチドを化学的に合成した。
【0088】III - 5'-gcttaggtaccctccccatccccctgttg
aca-3'(配列番号6) IV - 5'-ctgtttctagatcctgtgtgaaattgttatccgca-3'(配
列番号7)
【0089】また、Ptacプロモーターを保持する市販の
プラスミドpDR540(Pharmacia, Sweden)をPCRの鋳型とし
て用いた。
【0090】これらのオリゴヌクレオチドは、図6に示
すようにプロモーターの上流(III)及び下流(IV)の配列
を有する。さらに、これらのオリゴヌクレオチドは、分
子クローニングの便宜のために、制限酵素(KpnI及びXb
aI)により認識される配列を有する(図6)。
【0091】増幅したDNA断片をKpnI及びXbaIで処理し
た後、同じ制限酵素で切断した、上記1.2で得たベクタ
ープラスミドにクローニングした。選択された組換えプ
ラスミドをpML-Ptac→ter_thrL→catと名付けた。
【0092】2. ネイティブ及び人工の転写転写調節要
素を有するプラスミドの構築上記のプラスミドpML-Ptac
→ter_thrL→catを、全ての目的のプラスミドの作成の
ためにベクターとして使用した。さらに、下記の一群の
オリゴヌクレオチドを化学的に合成した。
【0093】olig1: 5'-cagagctctagaagttcacgtaaaaagg
gtatcgac-3'(配列番号8) olig2: 5'-gtatcgcatatgaaagcaattttcgtactgaaagg-3'
(配列番号9) olig3: 5'-gtctgagatctagtatctgattgctttacgcatggtg-3'
(配列番号10) olig4: 5'-atcataggatcctaattttgttcaaaaaaaagcccgctca
tt-3'(配列番号11) olig5: 5'-cgactgtctagaacggtacagaaagcccccggcagat-3'
(配列番号12) cat3': 5'-agctcaccgtctttcattgccatacgg-3'(配列番号
13) cr5': 5'- acatgcggtaccgatcccgcgaaattaatacg-3'(配
列番号14)
【0094】これらのオリゴヌクレオチドは、下記のPC
RによるDNA増幅のためのプライマーとして使用した。下
記の他の群のオリゴヌクレオチドを、新規な人工アンチ
アテニュエーターの3'末端部分の再構築の工程(下記参
照)に直接使用した。
【0095】olig6: 5'-cagagctctagaagatctgcccgactgc
gtacaacggtacagaaagcccccggcagatcacctgc-3'(配列番号
15) olig7: 5'-cgggggcttttttattgcgcggttgataacgggatccagc
gta-3'(配列番号16) olig8: 5'-tacgctggatcccgttatcaaccgcgcaataaaaaagccc
ccggcaggtgatctgccgggggctt-3'(配列番号17) olig9: 5'-tctgtaccgttgtacgcagtcgggcagatcttctagagct
ctg-3'(配列番号18)
【0096】2.1. プラスミドpML-Ptac-an3:an4(an4:an
5)-catの構築 このプラスミドは、pML-Ptac→ter_thrL→catを基に、
プロモーターとcat遺伝子の構造部分との間のter_thrL
の代わりに、化学的に合成したオリゴヌクレオチド(ol
ig6, olig7, olig8及びolig9)から作成された二本鎖DN
Aフラグメントの挿入によって構築した(図7)。この
ために、先ず650 ngのolig7及び650 ngのolig9をT4ポリ
ヌクレオチドキナーゼ("MBI Fermentas", Lithuania)に
より推奨のプロトコルに従ってリン酸化し、30μlの"Y+
/Tango"緩衝液("MBI Fermentas", Lithuania)中の430 n
gのolig6及び650 ngのリン酸化olig9と、430 ngのolig8
及び650 ngのリン酸化olig7の二つの混合物を100℃に5
分間加熱し、次いで75℃で5分間アニールさせた。次い
で、5ユニットのT4 DNAリガーゼ("MBI Fermentas", Lit
huania)及び0.5μM ATPを加え、22℃で4時間インキュ
ベートし、4℃で一晩インキュベートした。混合物を68
℃で10分間加熱し、ゲル電気泳動に付した。Low-Meltin
g-Point Agarose法により、明確なDNAバンドが単離
された。得られた二本鎖DNA断片(長さ108 bp)を、Xba
I("MBI Fermentas", Lithuania)で、製造者の推奨する
ように処理した。360 ngのこのフラグメントを、E. col
i(dam-)株から調製され、XbaIで切断した50 ngのベクタ
ーpML-Ptac→ter_thrL→catに連結した。全ての場合に
おいて、ベクタープラスミドpML-Ptac→ter_thrL→cat
及びそれに基づいて得られた組換えプラスミドを制限酵
素XbaIにより切断しなければならないときには、これら
のプラスミド中のXbaI制限部位は、DamによるDNA修飾の
標的であるGATC配列と重複するため、プラスミドDNA
は、E. coli (dam-)株から調製しなくてはならない。E.
coli (dam+)株から精製されたプラスミドDNAはXbaIで
切断できない。連結は、3ユニットのT4 DNAリガーゼで
4℃において一晩行った。得られた混合物をBamHI("MBI
Fermentas", Lithuania)で標準プロトコルに従って処
理した。最終工程で、このDNA混合物を60μlのT4 DNAリ
ガーゼ緩衝液中に希釈し、5ユニットのT4 DNAリガーゼ
で一晩4℃において処理した。得られた混合物でHB101
株を形質転換し、所望の構築物に関してコロニーをスク
リーニングした。この様にしてプラスミドpML-Ptac-an
3:an4(an4:an5)-catを得た。その構造は、制限分析及び
Sangerの標準的な方法によるDNA配列決定により確認し
た。得られたプラスミドは、翻訳されたときにアンチタ
ーミネーターヘアピンan3:an4を形成するDNAフラグメン
トを有すると考えられる(ターミネーターヘアピンan4:
an5は、an3:an4が先に合成されるので形成されない)。
【0097】2.2.プラスミドpML-Ptac-an4:an5-catの構
築 上記のプラスミドpML-Ptac-an3:an4(an4:an5)-catは、
次の組換えDNAの構築のための前駆体とした。このプラ
スミドを、新規調節領域の最終(an4:an5)ヘアピンをコ
ードするフラグメントのPCRによるDNA増幅のテンプレー
トとした。このPCRのために、olig5及びcat3'をプライ
マーとして用いた(図7)。Olig5は、ヘアピンan4:an5
をコードする先にクローニングされたフラグメントの部
分の最初に相当し、さらに、5'末端の近くにXbaIによる
認識されるヌクレオチドを有していた(図7)。後cat
3'は、cat遺伝子のコード部分の断片(catのATG開始コ
ドンのAを+1としたとき、+219〜+245位)に相当する
(図7)。PCRにより得られた二本鎖DNAを、XbaIで処理
し、同制限酵素で切断したベクタープラスミドpML-Ptac
→ter_thrL→catと連結した。次いで、BamHIで処理し、
生成物をT4 DNAリガーゼで再環状化した。この様にし
て、pML-Ptac-an4:an5-catと名付けた目的のプラスミド
が得られた。
【0098】2.3. プラスミドpML-Ptac-trpL-catの構築 Ptacプロモーターの転写調節下にE. coli trpオペロン
リーダーペプチドのネイティブな遺伝子(trpL遺伝子)
を保持するプラスミドの構築のために、全ゲノム配列が
決定されているE. coli MG1655株由来の染色体DNAをPCR
のテンプレートとして用いた。オリゴヌクレオチドolig
1及びolig4は、trpL遺伝子の5'-及び3'-末端部分に相当
しており(図8)、DNA増幅のプライマーとして使用さ
れた。図8から明らかなように、これらのプライマーは
さらに、次の操作の便宜のために、隣接する(olig1及
びolig4においてそれぞれ)XbaI及びBamHI認識部位を有
する。長さ175 bpの二本鎖DNA断片をXbaI及びBamHIで処
理し、同制限酵素で切断したベクタープラスミドpML-P
tac→ter_thrL→catにクローニングした。ベクタープラ
スミドにおいて、ter_thrLの代わりにネイティブのtrpL
遺伝子を有する、得られたプラスミドをpML-Ptac-trpL-
catと名付けた。
【0099】2.4.プラスミドpML-Ptac-anti_att-I-cat
の構築 上記のプラスミドpML-Ptac-trpL-catを、次の組換えDNA
の作成のためのPCRにおいてテンプレートとして使用し
た。この操作においては、上述のオリゴヌクレオチドol
ig1及びolig3をプライマーとして使用した。Olig3はネ
イティブなtrpL遺伝子の中央部分に相当し、さらに、そ
の5'末端にBglII認識部位を有する(図8)。PCRによる
DNA増幅後、得られた長さ133 bpの二本鎖フラグメント
をXbaIで処理し、同制限酵素で切断したプラスミドpML-
Ptac-an3:an4(an4:an5)-catと連結した。次いで、生成
物をBglIIで加水分解し、T4 DNAリガーゼで再環状化し
た。Ptacプロモーターとcat遺伝子の構造部分との間に
人工アンチアテニュエーターを有する得られたプラスミ
ドをpML-Ptac-anti_att-I-catと名付けた。
【0100】2.5. プラスミドpML-Ptac-anti_att-II-ca
tの構築 E. coli trpオペロンのネイティブなリーダーペプチド
のコード部分の上流にファージT7遺伝子10の高効率リボ
ゾーム結合部位(RBS)を有する人工アンチアテニュエー
ターを有する組換えプラスミドの構築を以下の様に行っ
た。先ず、二本鎖DNAフラグメントを、olig2及びolig3
をプライマーとし、プラスミドpML-Ptac-trpL-catのDNA
を鋳型として用いるPCRにより得た(図8)。これによ
り、NdeIの制限部位が、リーダーペプチドのATG開始コ
ドンの上流に再構築された(ATGコドンのヌクレオチド
は、NdeIにより認識される配列CATATGの一部である)。
得られたDNAフラグメントをNdeIで切断し、NdeIで処理
した市販のベクタープラスミドpET-22b(+) ("Novagen",
USA)と連結した。プラスミドpET-22b(+)は、XbaIとNde
Iの制限部位の間にT7 遺伝子10のRBSを有する。この連
結産物を、構築の次の工程においてPCRの鋳型として用
いた。新規オリゴヌクレオチドcr5'(図9)及び上記ol
ig3をこのPCRのプライマーとして用いた。得られた長さ
210 bpの二本鎖DNAフラグメントを、XbaI及びBglIIで処
理し、pML-Ptac-anti_att-I-catの構築において確立さ
れたプロトコルに従ってプラスミドpML-Ptac-an3:an4(a
n4:an5)-catにクローニングした。この様にして、pML-P
tac-anti_att-II-catと名付けた、trpリーダーペプチド
遺伝子の5'-非翻訳領域にファージT7遺伝子10のRBSを有
する人工アンチアテニュエーターを有する新規プラスミ
ドが得られた。人工転写調節要素を有する全てのプラス
ミドの構造は、制限分析及び標準のSangarの方法による
配列決定により確認した。
【0101】
【実施例2】 ネイティブtrpL、人工アンチアテニュエ
ーター及びそれらの断片を含む組換えプラスミドを保持
する株におけるCatタンパク質の蓄積量の検出 前記(実施例1参照)のプラスミドpML-Ptac-an4:an5-c
at、pML-Ptac-an3:an4(an4:an5)-cat、pML-Ptac-trpL-c
at、pML-Ptac-anti_att-I-cat及びpML-Ptac-anti_att-I
I-catを、E. coli TG1株(supE, hsd, thi, D(lac-proA
B), F'[traD36,proAB+, lacIQ, lacZΔM15])及びE. co
li B7248株(trpB-:Tn10, StrR)に、アンピシリン(10
0μg/ml)を添加した培地でのプラスミド保持細胞の選
択を含む標準的な実験プロトコール(Sambrook et al.,
"Molecular cloning. Laboratory manual".(1989) Sec
ond Edition, Cold Spring Harbor Laboratory Press)
に従って導入した。得られた細胞培養物を、液体培地を
入れた試験管で、十分に通気して37℃にて培養した。
培地は、TG1に由来するプラスミド保持株については、
アンピシリンを添加したL培地を、E. coli B7248を基
に構築された株については、アンピシリン(100μg/m
l)、チアミン(5μg/ml)及びトリプトファン(10μg/
ml)を添加した最少M9培地を用いた。B7248由来一晩培
養物を同じ培地で50倍に希釈し、培養を600 nmの光学
密度が1(OD600=1)になるまで続けた。各培養物を二
つに分け、その一方にトリプトファン(200μg/ml)を
加えた。培養を1時間続けた後、菌体を遠心分離により
回収し、生理的食塩水で洗浄し、初期容量の10分の1の
容量のリン酸カリウム緩衝液に再懸濁した。細胞を超音
波処理し、4℃で破片を遠心分離により回収した。上清
のタンパク質濃度を、Bio-RadクマシーR250試薬を用い
て製造者のプロトコールに従って測定した。クロラムフ
ェニコールアセチルトランスフェラーゼ活性は、従来の
方法(Schottel JL, Sninsky JJ, Cohen SN "Effects o
f alterations in the translation control region on
bacterial gene expression: use of cat gene constr
ucts transcribed from the lac promoter as a model
system." Gene, 28 (1984) 177-193)により測定した。
これらの実験において、5,5'-ジチオ-ビス(2-ニトロ安
息香酸)すなわちエルマン試薬(Sigma)を特異的試薬とし
て用いた。得られた結果を上記の表1に示す。
【0102】SDS-PAGE(0.1%SDS-12.5%PAAG電気泳動)
を、E. coli TG1由来プラスミド保持株において蓄積さ
れたCATを可視化するために行った。各株を上記のよう
にして培養した。各培養物を二つに分けた。培養物にIP
TG(最終濃度で0.4 mMまで)を加え、2時間培養した。
菌体を回収し、SDSサンプルローディングバッファー(6
0 mM Tris-HCl pH6.8/2.3% SDS/10% グリセロール/5%
β-メルカプトエタノール)に再懸濁し、15分間沸騰さ
せた。得られた懸濁液の10〜20μlをサンプルとして、P
AAGにロードし、電気泳動をLaemmliにより記載された方
法(Laemmli V.K.// "Cleavage of structural protein
s during the assembly of the head of bacteriophage
T4". Nature 227 (1970) 680-685)に従って行った。
ゲルを分離されたタンパク質を検出するためにクマシー
ブルーで染色した。得られたゲルのパターンを図3に示
す。
【0103】
【発明の効果】本発明によれば、制御された遺伝子の発
現を、センスアミノ酸の細胞内濃度を上昇させることに
よって上昇させる発現調節配列が提供される。本発明の
発現調節方法によれば、センスアミノ酸の細胞内の濃度
を上昇させることにより、目的遺伝子の発現を上昇する
ことができる。本発明の製造方法によれば、センスアミ
ノ酸の細胞内の濃度を上昇させることにより目的物質の
製造量を上昇させることができ、これにより目的物質の
製造を効率よく行うことができる。
【0104】
【配列表】 SEQUENCE LISTING <110> 味の素株式会社(Ajinomoto Co., Ltd.) <120> 発現調節配列 <130> P-7776F <150> RU 2001104817 <151> 2001-02-22 <160> 18 <210> 1 <211> 118 <212> DNA <213> Eshcerichia coli <400> 1 atgaaagcaa ttttcgtact gaaaggttgg tggcgcactt cctgaaacgg gcagtgtatt 60 caccatgcgt aaagcaatca gatacccagc ccgcctaatg agcgggcttt tttttgaa 118 <210> 2 <211> 153 <212> DNA <213> Escherichia coli <400> 2 atgacacgcg ttcaatttaa acaccaccat catcaccatc atcctgacta gtctttcagg 60 cgatgtgtgc tggaagacat tcagatcttc cagtggtgca tgaacgcatg agaaagcccc 120 cggaagatca ccttccgggg gcttttttat tgc 153 <210> 3 <211> 169 <212> DNA <213> Artificial sequence <220> <223> anti-attenuator <400> 3 atgaaagcaa ttttcgtact gaaaggttgg tggcgcactt cctgaaacgg gcagtgtatt 60 caccatgcgt aaagcaatca gatactagat ctgcccgact gcgtacaacg gtacagaaag 120 cccccggcag atcacctgcc gggggctttt ttattggcgg ttgataacg 169 <210> 4 <211> 69 <212> DNA <213> Eshcerichia coli <400> 4 ctagaaagct taacacagaa aaaagcccgc acctgacagt gcgggctttt tttttcgacc 60 actgcagga 69 <210> 5 <211> 69 <212> DNA <213> Eshcerichia coli <400> 5 gatccctgca gtggtcgaaa aaaaaagccc gcactgtcag gtgcgggctt ttttctgtgt 60 taagcttta 69 <210> 6 <211> 32 <212> DNA <213> Artificial sequence <220> <223> primer <400> 6 gcttaggtac cctccccatc cccctgttga ca 32 <210> 7 <211> 35 <212> DNA <213> Artificial sequence <220> <223> primer <400> 7 ctgtttctag atcctgtgtg aaattgttat ccgca 35 <210> 8 <211> 36 <212> DNA <213> Artificial sequence <220> <223> primer <400> 8 cagagctcta gaagttcacg taaaaagggt atcgac 36 <210> 9 <211> 35 <212> DNA <213> Artificial sequence <220> <223> primer <400> 9 gtatcgcata tgaaagcaat tttcgtactg aaagg 35 <210> 10 <211> 37 <212> DNA <213> Artificial sequence <220> <223> primer <400> 10 gtctgagatc tagtatctga ttgctttacg catggtg 37 <210> 11 <211> 42 <212> DNA <213> Artificial sequence <220> <223> primer <400> 11 atcataggat cctaattttg ttcaaaaaaa agcccgctca tt 42 <210> 12 <211> 47 <212> DNA <213> Artificial sequence <220> <223> primer <400> 12 cgactgtcta gaacggtaca gaaagccccc ggcagat 47 <210> 13 <211> 27 <212> DNA <213> Artificial sequence <220> <223> primer <400> 13 agctcaccgt ctttcattgc catacgg 27 <210> 14 <211> 32 <212> DNA <213> Artificial sequence <220> <223> primer <400> 14 acatgcggta ccgatcccgc gaaattaata cg 32 <210> 15 <211> 65 <212> DNA <213> Artificial sequence <220> <223> anti-attenuator fragment <400> 15 cagagctcta gaagatctgc ccgactgcgt acaacggtac agaaagcccc cggcagatca 60 cctgc 65 <210> 16 <211> 43 <212> DNA <213> Artificial sequence <220> <223> anti-attenuator fragment <400> 16 cgggggcttt tttattgcgc ggttgataac gggatccagc gta 43 <210> 17 <211> 65 <212> DNA <213> Artificial sequence <220> <223> anti-attenuator fragment <400> 17 tacgctggat cccgttatca accgcgcaat aaaaaagccc ccggcaggtg atctgccggg 60 ggctt 65 <210> 18 <211> 43 <212> DNA <213> Artificial sequence <220> <223> anti-attenuator fragment <400> 18 tctgtaccgt tgtacgcagt cgggcagatc ttctagagct ctg 43
【図面の簡単な説明】
【図1】 ネイティブアテニュエーター及び本発明の発
現調節配列(人工アンチ−アテニュエーター)の構造及
び機能の説明図である。
【図2】 ネイティブアテニュエーター及び人工アンチ
−アテニュエーターの詳細な構造を示す。A及びBは、
それぞれ、リーダーペプチド中のセンスコドンで停止し
ている(A)及びストップコドンで終結している(B)
リボゾームによりブロックされているmRNAの部分の推定
「下流」境界を示す。Cは、E. coli RNAポリメラーゼ
によるDNA転写のポーズ部位を示す。
【図3】 人工アンチ−アテニュエーターの構築の概略
的スキームを示す。○中に×の印は、ネイティブ配列と
比較したときのヌクレオチドの変化箇所を示す。BI: Ba
mHI, Bg: BglII, NI: NdeI, XI; XbaI, XI*; XbaI(dam
-)。
【図4】 図3に示す構築に用いるプライマーolig1〜o
lig9の配置、及び、図3に示す構築に用いるクローニン
グ用ベクターVの構造を示す。
【図5】 実施例1におけるプラスミドの構築のスキー
ムを示す。
【図6】 プラスミドpDR540由来のPtacプロモーターの
構造を示す。網掛けされた部分は、PCRのための上流(II
I)及び下流(IV)のプライマーの配列を示す。
【図7】 化学的に合成されたan3:an4(an4:an5)断片の
構造及びその断片のクローニングベクターへの挿入の方
法を示す。
【図8】 E. coliのtrpオペロンのネイティブなアテニ
ュエータ領域の構造を示す。太文字の斜体はリーダーペ
プチドを示す。
【図9】 バクテリオファージT7の遺伝子10(gene 10)
のRBSとtrpオペロンのリーダー領域との融合体を含む中
間構築物の構造を示す。太文字の斜体はリーダーペプチ
ドを示す。
フロントページの続き (72)発明者 ジメンコフ ダニラ ヴャジモヴィッチ ロシア連邦、113545、モスクワ、1、ドロ ズニィ プロエズド、1 アジノモト−ジ ェネティカ リサーチ インスティチュー ト内 Fターム(参考) 4B024 AA03 AA20 BA07 BA10 CA04 DA06 EA04 FA02 FA07 GA07 GA11 GA19 HA03 4B050 CC03 DD02 LL10 4B065 AA01Y AA26X AB01 AC14 BA02 BB12 CA29

Claims (13)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下流に連結された目的遺伝子の発現を、
    或るアミノ酸の細胞内の濃度に依存して調節する発現調
    節配列であって、該発現調節配列、該発現調節配列の上
    流に連結されたプロモーター、及び、該発現調節配列の
    下流に連結された目的遺伝子を含むDNA構造体を保持
    する細菌において、前記プロモーターから開始される転
    写の該発現調節配列内で停止する頻度が前記アミノ酸の
    細胞内の濃度の上昇により低下し、それによって目的遺
    伝子の発現が上昇することを特徴とする、発現調節配
    列。
  2. 【請求項2】 前記アミノ酸を含むリーダーペプチドを
    コードする領域及びρ非依存性ターミネーターを含み、
    リーダーペプチドの翻訳が、前記アミノ酸の飢餓の場合
    に途中において前記アミノ酸のコドンで停止したとき
    に、該発現調節配列の転写産物においてρ非依存性ター
    ミネーターの対合構造の形成が生じることにより、前記
    転写が該発現調節配列内で停止する頻度が上昇する請求
    項1記載の発現調節配列。
  3. 【請求項3】 隣接するセグメントと互いに対合構造を
    形成し得る3以上の奇数個のセグメントを含み、該発現
    調節配列の転写産物において、両端以外のセグメント
    は、その隣接する2つのセグメントのいずれか一方と対
    合構造を形成したときには他方のセグメントと対合構造
    を形成せず、上流の端の第1セグメントは、リーダーペ
    プチドを翻訳するリボソームが相互作用する領域と少な
    くとも部分的に重複し、リーダーペプチドの翻訳途中に
    おいては、第1セグメントに隣接する第2セグメントが
    第2セグメントに隣接する第3セグメントと対合構造を
    形成し、下流の端のセグメントとその隣接するセグメン
    トとが形成する対合構造がρ非依存性ターミネーターの
    対合構造である請求項2記載の発現調節配列。
  4. 【請求項4】 第1セグメントが、リーダーペプチド内
    の前記アミノ酸のコドンと重複する請求項3記載の発現
    調節配列。
  5. 【請求項5】 前記セグメントの数が5である請求項3
    又は4記載の発現調節配列。
  6. 【請求項6】 各々のセグメント又はその一部と、隣接
    するセグメント又はその一部の配列は、逆方向反復配列
    を構成する請求項3〜5のいずれか1項に記載の発現調
    節配列。
  7. 【請求項7】 ρ非依存性ターミネーターが、エシェリ
    ヒア属、サルモネラ属又はセラチア属の細菌で機能し得
    るものである請求項2〜6のいずれか一項に記載の発現
    調節配列。
  8. 【請求項8】 ρ非依存性ターミネーターが、エシェリ
    ヒア属細菌で機能し得るものである請求項7記載の発現
    調節配列。
  9. 【請求項9】 上流側から順に5つのセグメントan1
    〜an5を含み、セグメントan1及びan2、ならび
    にリーダーペプチドの領域はエシェリヒア・コリのトリ
    プトファンオペロンのアテニュエーターの配列に由来
    し、セグメントan4とan5はエシェリヒア・コリの
    ヒスチジンオペロンのアテニュエーターの配列に由来
    し、セグメントan3は前記トリプトファンオペロンの
    アテニュエーターの配列及びヒスチジンオペロンのアテ
    ニュエーターの配列の組み合わせに由来する請求項7又
    は8記載の発現調節配列。
  10. 【請求項10】 リーダーペプチドがトリプトファンを
    2残基以上含むものに改変されている請求項9記載の発
    現調節配列。
  11. 【請求項11】 請求項1〜10のいずれか一項に記載
    の発現調節配列、該発現調節配列の上流に連結されたプ
    ロモーター、及び、該発現調節配列の下流に連結された
    目的遺伝子を含むDNA構造体を保持する細菌を培地に
    培養するステップと、該発現調節配列による発現の調節
    が依存するアミノ酸の細胞内の濃度を変化させて、前記
    目的遺伝子の発現を調節するステップを含む、目的遺伝
    子の発現調節方法。
  12. 【請求項12】 目的物質を産生する能力を有する細菌
    を培地中に培養し、該目的物質を生成させ、該目的物質
    を採取することを含む、目的物質の製造法であって、該
    細菌が、請求項1〜10のいずれか一項に記載の発現調
    節配列、該発現調節配列の上流に連結されたプロモータ
    ー、及び、該発現調節配列の下流に連結された前記目的
    物質の産生に関与する遺伝子を含むDNA構造体を保持
    し、且つ、該発現調節配列による発現の調節が依存する
    アミノ酸の細胞内の濃度が変化することにより、前記遺
    伝子の発現が調節されることを特徴とする製造法。
  13. 【請求項13】 前記アミノ酸の細胞内の濃度が、前記
    細菌による前記アミノ酸の合成または分解によって変化
    する請求項12記載の製造法。
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