JP2002318823A - 流体用構造格子の自動生成方法 - Google Patents

流体用構造格子の自動生成方法

Info

Publication number
JP2002318823A
JP2002318823A JP2001124287A JP2001124287A JP2002318823A JP 2002318823 A JP2002318823 A JP 2002318823A JP 2001124287 A JP2001124287 A JP 2001124287A JP 2001124287 A JP2001124287 A JP 2001124287A JP 2002318823 A JP2002318823 A JP 2002318823A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
virtual object
object model
grid
model
virtual
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2001124287A
Other languages
English (en)
Other versions
JP4716273B2 (ja
Inventor
Keiichiro Takato
圭一郎 高藤
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Honda Motor Co Ltd
Original Assignee
Honda Motor Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Honda Motor Co Ltd filed Critical Honda Motor Co Ltd
Priority to JP2001124287A priority Critical patent/JP4716273B2/ja
Publication of JP2002318823A publication Critical patent/JP2002318823A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4716273B2 publication Critical patent/JP4716273B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Abstract

(57)【要約】 【課題】複雑な形状の構造物およびその廻りの流れ場の
解析において、人手を介さず、自動で格子生成を行う。 【解決手段】形状モデル生成部11は、形状データから近
似曲線を生成して形状モデルを生成する。仮想物体モデ
ル生成部12は、計算空間格子を解析対象の流れ場に設定
し、仮想物体モデルを生成する。仮想物体モデル変形部
13は、生成された形状モデルおよび仮想物体モデルを受
け取り、形状モデルに合うように仮想物体モデルを変形
させる。仮想物体モデル変形制御部14は、仮想物体モデ
ルと形状モデルとの写像関係におけるヤコビアンが適当
か否かを判断する。ヤコビアンが不適当である場合、多
目的最適化判断部15は、計算格子を結合する仮想ばねの
ひずみエネルギーを算出し、該ひずみエネルギーおよび
ヤコビアンを多目的関数として最適化するように仮想物
体モデルを変形する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は流体の流れに関する
機械全般の流体の数値解析方法、およびそれに付随する
最適化に関する。より具体的には、設計者もしくは最適
化モジュールによって考案された複雑な形状に対して人
手を介さずに自動で計算格子を生成することにより、形
状を最適化し、計算時間を短縮し、計算精度を向上させ
る方法に関する。
【0002】
【従来の技術】流体解析を行うための計算格子作成法の
例として、本発明者らによる日本機械学会論文集(B
編)64巻627号3723頁に論じられているEMG法(Elast
ic Mesh Generation Method)がある。この方法では、
流れ場に置かれた構造物の境界が刻々と変動する場合の
解析において、計算格子を対象構造物より十分に柔らか
い網状のものとして設定しており、まず仮想物体モデル
を用いて計算格子を定義し、その仮想物体モデルを構造
物に沿わせて変形させて格子を生成している。具体的に
は格子点間を伸縮ばね要素のみで結合した計算格子を流
れ場に設定し、各格子点間の変位と反力の関係を有限要
素法の考え方に沿って解くことによって、構造物に沿わ
せて変形させた後の仮想物体モデルの各格子点の位置を
計算している。従って構造物の境界の変形に対して計算
格子は滑らかに追従することができ、境界が変形する度
に必要となる格子生成が非常に簡便に達成できる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかし、前述したEM
G法では、複雑な形状の構造物に対して仮想物体モデル
を設定した場合、構造物の形状を定義する点と仮想物体
モデルの計算格子の格子点とが対応していなければなら
ないため、構造物の形状を定義する点の数が変わると変
形前の仮想物体モデルから定義しなおす必要があった。
【0004】さらに、EMG法では仮想物体モデルを構
造物に沿わせて変形させると、後述する図1(e)に示す
ように計算格子に大きなひずみが発生する可能性があ
る。こうなると、解析精度が悪化したり、または計算格
子の逆写像を計算することができなくなり、後に続く解
析で使用することができない。
【0005】このような場合、従来では、仮想物体モデ
ルを定義しなおす作業や、計算格子のひずみを修正する
作業は人手で行わなければならず、解析の自動化の障害
となっていた。さらに、例えば流体と構造物の相互連成
問題を解く場合、計算格子は時間の経過に伴い刻々変動
する構造物の境界に追従するよう短時間で効率よく生成
される必要があるが、計算格子の形状がひずむとその度
に修正を行わなければならず、スムーズな解析を実行す
る上で障害となっていた。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明の方法は、一つま
たは複数の形状モデルを流れ場に配置した数値解析を行
うために、流れ場に直交空間計算格子を設定し、該直交
空間計算格子の一部を用いて仮想物体モデルを定義し、
該仮想物体モデルを形状モデルの境界上に合わせて変形
させて格子を生成する方法であって、仮想物体モデル
は、直交空間計算格子の格子点を前記形状モデルの境界
上を滑らせて、エネルギーおよびヤコビアンを多目的関
数として最適化するように変形される構成をとる。この
発明によると、計算格子を使用した仮想物体モデルを、
EMG法を利用して形状モデルに沿わせた後、形状モデ
ルの境界上に格子点を滑らせて、エネルギーが最小およ
びヤコビアンが1に漸近するように仮想物体モデルをさ
らに変形させるので、仮想物体モデルの計算格子のひず
みを解消するための変形を人手を介することなく自動で
行うことができる。
【0007】この発明の一つの形態では、形状モデルを
近似曲線によって定義する構成をとる。この形態による
と、解析対象となる構造物を定義する点列をスプライン
等の曲線で結んで形状モデルを定義するので、点列で示
される任意の形状に対して計算格子が生成できる。また
構造物を定義する点の数が変化しても仮想物体モデルを
定義しなおす必要がないので、任意の形状を簡便に定義
できる。
【0008】この発明の別の形態では、直交空間計算格
子の大きさを流れ場の状態と形状モデルの大きさとによ
って決定し、直交空間計算格子の格子間を仮想的なばね
で結合し、仮想物体モデルの境界上の仮想的なばねの剛
性値を高く設定し、その他の仮想的なばねではそれより
低く設定する構成をとる。この形態によると、形状モデ
ルの境界で直交性の高い格子を得ることができ、その結
果解析の精度が向上する。
【0009】この発明のさらに別の形態では、仮想物体
モデルを形状モデルの近似曲線に基づいて変形し、写像
関係のヤコビアン(ヤコビアンについては後述する)が
小さいか負の場合は、直交空間計算格子の仮想的なばね
のひずみエネルギーを計算し、形状モデルの近似曲線上
で仮想物体モデルの格子点を滑らせて仮想物体モデルを
変形し、変形後のひずみエネルギーを再度計算する構成
をとる。この形態によると、解析に不適当な計算格子が
生成されるのを避けることができる。
【0010】この発明のさらに別の形態では、仮想物体
モデルの変形は勾配法、遺伝的アルゴリズム、進化的ア
ルゴリズムのうちの一つもしくは複数を使用して実行さ
れる構成をとる。この形態によると、流体解析に必要な
高品位の計算格子を生成することができる。
【0011】さらにこの発明の別の形態では、仮想物体
モデルの変形はヤコビアンが1に漸近してひずみエネル
ギーが最小値に収束したと判断されるまで繰り返して行
われる。この形態によると、流体解析に必要な高品位な
計算格子を自動的に生成することができる。
【0012】
【発明の実施の形態】以下図面を参照して、本発明の実
施形態を説明する。本発明は、本発明に従って作成され
たプログラムを汎用コンピュータ上で走らせることによ
って実施されることもできる。
【0013】図1(a)は、本発明の格子生成方法を使用
した数値解析を実行するコンピュータの機能ブロックを
示す。形状データ入力部10は、設計者が人手で作成し
た、または最適化モジュール等により自動で作成された
解析対象となる構造物の形状データを外部記憶装置(図
示せず)から読み込む。形状データの例としては、流れ
場に置かれた翼形状が挙げられる。形状データは、図1
(b)に示すように構造物の外部形状を規定する点列で与
えられる。以下の説明では、解析対象の構造物は一つと
して扱われているが、複数の構造物が流れ場に置かれて
いる場合も、形状データを複数与えることで対応でき
る。また、形状データは三次元であってもよい。
【0014】形状モデル生成部11は、形状データ入力部
10からデータを受け取り、点列から近似曲線を生成して
図1(c)に示すような形状モデルを生成する。具体的に
は、形状モデル生成部11は、構造物の外形を規定する形
状データである点列に基づいて、近似曲線により形状モ
デルを定義する。一例として、本実施形態においては、
三次のB-Spline曲線で形状モデルを定義している。スプ
ライン位置関数の使用により、形状モデル境界上の任意
の点は、パラメータtの値により一意に決定される。な
お、本実施形態では点列を二次元として表しているが、
三次元であってもよく、その場合近似曲面を用いること
になる。また、B-Spline曲線以外の近似曲線を使用して
もよい。
【0015】このスプライン位置関数は、仮想物体モデ
ルの変形の際に使用される。例えば、最も単純な勾配法
では、スプライン上に仮想物体上の格子点がn点ある場
合には、(2n+1)回の仮変形を行い、そのデータを
基に本変形を行う。その後本変形を行ったデータを基
に、多目的最適化判断を行い格子の品位の判断を行う。
【0016】仮想物体モデル生成部12は、形状データ入
力部10から受け取ったデータに基づいて、まず、経験的
に得られる大きさの計算格子を解析対象の流れ場に設定
する。続いて、妥当な解析結果が得られるように経験値
から計算格子内での仮想物体モデルの位置を決定する。
さらに、計算格子の一部を使用して仮想物体モデルを設
定し、仮想物体モデルの物性を与える。これについては
後に図3を参照して説明する。この例では、計算格子
は、格子点間を伸縮ばね要素のみで結合した直交配列構
造になっている。
【0017】図2(a)は仮想物体モデル生成部12で実行
される仮想物体モデル生成のフローチャートである。形
状データは、仮想物体モデル生成部12に送られ、まず図
2(b)に示すような流れ場に設定する計算格子の大きさ
を決定するのに用いられる(21)。計算格子の大きさ
は、形状データの大きさおよび流れ場の状態等の計算条
件を考慮して経験的に決定される。計算格子の大きさ
は、原点において直交する座標軸ξ、ηと、それぞれの
座標軸における最大値IMAX、JMAXを設定して定義され
る。計算格子は、例えば図3に示すような二次元直交空
間上での格子であり、各格子点間は仮想的な伸縮ばねで
結合されている。
【0018】続いて、仮想物体モデル生成部12は、図2
(c)に示すように計算格子における仮想物体モデルの位
置を決定する(21)。図1の(d)は、計算格子に配置さ
れた仮想物体モデルの一例を示す。図1(d)中には一つ
の仮想物体モデルのみが示されているが、流れ場に配置
される構造物の数に応じて、仮想物体モデルは複数であ
っても良い。仮想物体モデルは、計算座標形に対応して
いるため、直交のような単純な形状が望ましい。
【0019】ここで、計算格子は仮想物体モデルだけに
設定されるのではなく、適切な計算結果を得るために必
要と予想される計算空間全体、つまり解析対象である形
状モデルを含んだ流れ場にも設定されることに注意する
べきである。これによって、流れ場と構造物とを区別す
ることなく、解析場全体の計算格子を一度に設定するこ
とができる。後述するように、流れ場の計算格子は仮想
物体モデルの変形に対して仮想物体モデルの境界と結び
ついて自動的に調整される。これは例えば流体と構造物
の相互連成問題を解く場合、大きな利点となる。なぜな
ら、流れ場の計算格子は、流れ場において刻々と変動す
る構造物の境界に追従するように短時間で効率よく生成
される必要があるからである。
【0020】形状データが三次元点列で定義されている
場合は、計算空間上の格子は三次元配列になり、各格子
点間は仮想的な伸縮ばねまたは体積ばね(以下、仮想ば
ねと呼ぶ)で結合される。
【0021】後述するように、多目的最適化判断部15で
仮想物体モデルが最適化されていないと判断された場合
は、仮想物体モデル生成部のステップ21に戻って(22)
計算格子の大きさおよび仮想物体モデルの位置の決定か
らやり直す場合もある。
【0022】次に、物体の位置が計算座標(ξ,η)上
で適当か否かを判断する(23)。図2のステップ22で示
したように、多目的最適化判断部15で格子生成に失敗し
た場合は、その失敗した位置を記憶して、それ以外の位
置で試みる。仮想物体モデルの位置が適当であればステ
ップ24に進む。適当でなければステップ21に戻り、適当
な位置が得られるまで仮想物体モデルの位置を変えて判
断を繰り返す。
【0023】続いて、仮想物体モデルに物性が与えられ
る(24)。物性は、計算格子点間を結合する仮想ばねの
ばね定数として与えられる。ばね定数は計算格子全体に
渡って一様としてもよいが、本実施形態においては、仮
想物体モデルの境界周辺の仮想ばねの剛性を他の仮想ば
ねよりも高い値に設定している。これにより、仮想物体
モデルの境界で計算格子の直交性を上げることができ、
解析の精度向上に貢献する。また、ばね係数を解析する
対象や計算条件に応じて適当な値に設定することによ
り、計算格子の形状をある程度制御することができる。
【0024】図1を参照して、仮想物体モデル変形部13
は、形状モデル生成部11および仮想物体モデル生成部12
でそれぞれ生成された形状モデルおよび仮想物体モデル
を受け取り、形状モデルに合うように仮想物体モデルを
変形させる。
【0025】まず仮想物体モデルを形成する格子点の数
で、形状モデルを形成する近似曲線を分割する。続いて
仮想物体モデルの格子点の、近似曲線の分割点上への写
像点を計算し、仮想物体モデルを形状モデル上に写像す
ることにより仮想物体モデルを変形する。形状モデルを
定義する点列と仮想物体モデルの格子点とを一対一で対
応させるのではなく、スプライン位置関数に基づいて仮
想物体モデルを写像するため、形状データを規定する点
列に制限はなく、また、たとえ形状データ入力部の規定
する点列の数が変わっても仮想物体モデルを定義し直す
必要はなくなる。
【0026】仮想物体モデル変形後の全計算格子点の変
位は、仮想物体モデルの格子点を形状モデル上に変位さ
せたときの、仮想ばねで結ばれた格子点の変位と反力の
関係を有限要素法の考え方に沿って解くことで得ること
ができる。以下これを図3を用いて説明する。
【0027】図3において、格子点は横軸にIMAX個、縦
軸にJMAX個ずつ配置されており、総数がn個あるとする
(つまり、IMAX x JMAX = n)。また各格子点には順に
番号1,2,…,nが与えられている。各格子点の変形後と変
形前のx、y方向の差をdx、dyと、格子点iにかかる力
のx成分をfi、y成分をgiと表すことにする。
【0028】ここで、一つの仮想ばねで連結されている
二つの格子点に着目し、格子点の番号をそれぞれi,jと
する。仮想ばねのばね定数をkij、仮想ばねのx軸とな
す角度をθijと表すと、x、y方向の力の釣り合いから、
格子点i,jに関して以下の関係が導かれる。ただし、c
≡cosθij、s≡sinθijと略記する。
【数1】 ここで、左辺のうち第一の括弧内を剛性マトリックス、
第二の括弧内を変位マトリックス、右辺を力マトリック
スという。剛性マトリックスはばね定数および角度が既
知であるので計算することができる。この力の釣り合い
関係を計算格子内の全ての格子点について適用し、それ
らを足し合わせることで、計算格子全体の力の釣り合い
をあらわすことができ、それは以下のようになる。ただ
し、計算格子全体の剛性マトリックスを[K]と表す。
【数2】
【0029】以下、簡単のために、変位dx1,dy1,dx2,dy
2,…,dxn,dynをdl1,dl2,…,dl2n、力f1,g1,f2,g2,…,
fn,gnをfl1,fl2,…,fl2nとそれぞれ置き換えると、以下
のようになる。
【数3】
【0030】図3において、変位させた格子点(すなわ
ち変形後の仮想物体モデル上の格子点)と元から固定さ
れている格子点が全部でm個あるとする。変位させた格
子点、および固定されている格子点は変位が既知、反力
が未知であるので、以下のようになる。
【数4】 ここで、「’」は式の固定点と自由点を並べ替えたもの
を示す。またK’1、K’2、K’3、K’4は部分マトリック
スであり、それぞれ2m行2m列、2m行(2n-2m)列、(2n-2
m)行2m列、(2n-2m)行(2n-2m)列のマトリックスである。
【0031】前述したように、m個の格子点の変位が既
知であるとすると、変位はx方向、y方向それぞれあるか
ら、変位マトリックスのうち上から2m個の要素が既知
である(つまり拘束されている)ことになる。拘束され
ている格子点をまとめてdl’ fix、拘束されていない格
子点の変位をdl’freeとし、それぞれに対応する力をf
l’cal、fl’0と表すと、数4は簡単に以下のように表
すことができる。
【数5】
【0032】数5を展開すると、以下の式が得られる。
ただしK’1、K’2を含む式は本発明の格子生成方法には
無関係なので省略する。
【数6】 dl’freeは拘束されていないのだから、格子点に力は働
かず、対応する力fl’0は{0}となる。数6をdl’free
について解くと、以下のようになる。
【数7】 上式より、仮想物体モデルの格子点の変位{dl’fix}を
与えると全格子点の変位が求められるので、変形後の全
格子点の位置を求めることができる。なお三次元格子の
場合は、直交する空間座標軸xyzに対して各格子点iの変
位をそれぞれdxi、dyi、dzi、格子点にかかる力をそれ
ぞれfi、gi、hiで表せば、上述したのと同様の手法で格
子点の位置を求めることができる。
【0033】再び図1を参照して、仮想物体モデル変形
制御部14は、まず変形された仮想物体モデルのヤコビア
ンを計算する。ここで、ヤコビアンについて説明する。
一般的に、計算座標(ξ,η)と物理座標(x,y)にお
ける関係は、次の式で表される。
【数8】
【0034】また逆に、以下の関係も成り立つ。
【数9】
【0035】従って、計算座標と物理座標の相互で物理
量が変換されるなら以下の式が成り立つ必要がある。
【数10】 ここで、J及び1/Jをヤコビアンと言い、J=xξyη-xηy
ξである。数値計算上ヤコビアンJが1に近いほど変換
の精度が高いとされ、極端に大きかったり小さかったり
すると変換の精度が落ちる。さらに、ヤコビアンJが負
になると、物理座標はいわゆる裏返った状態となり、座
標変換できない。従って、数値計算においてヤコビアン
は重要なパラメータである。
【0036】仮想物体モデルが変形されると、図1(e)
に示すように、計算格子の形状が大きくひずむことがあ
る。そこで、仮想物体モデル変形制御部14は、仮想物体
モデルと形状モデルとの写像関係において、先に計算し
たヤコビアンが適当か否かを判断する。ヤコビアンが1
に近ければ、計算格子のひずみが少なく解析に適切な計
算格子形状を持つ仮想物体モデルが得られたと判断され
る。ヤコビアンが負である場合、または正であっても1
に近くない場合は、得られた仮想物体モデルは解析に適
切でないと判断され、より適切な仮想物体モデルが得ら
れるように、仮想物体モデルは多目的最適化判断部15に
送られる。ある形状データについて初めて仮想物体モデ
ル変形制御部14に送られてきた仮想物体モデルのヤコビ
アンは、通常は適切でないと判断されるので、仮想物体
モデル変形部13で行われる初めの変形はデータ収集のた
めの仮変形であり、後の多目的最適化判断部15を通して
の変形が本変形と言うことができる。
【0037】多目的最適化判断部15は、仮想物体モデル
の格子点を形状モデルに沿わせて変形させるときの、計
算格子を結合する仮想ばねのひずみエネルギーを算出
し、最適化決定アルゴリズムによってひずみエネルギー
が最小になるように変形を行う。まず、仮想物体モデル
上の格子点を一個づつ順に形状モデルの近似曲線上をス
ライドさせ、そのときの計算格子全体のひずみエネルギ
ーを計算する。仮想物体モデル上のすべての格子点をそ
れぞれスライドさせたときのひずみエネルギーを計算し
て十分な変形データが揃うと、ひずみエネルギーを最小
化し、かつヤコビアンが1に漸近するように、勾配法を
使用して多目的最適化方法で格子点のスライド位置を求
める。多目的最適化方法とは、複数の目的関数(ここで
はひずみエネルギーとヤコビアン)をそのトレードオフ
を考慮して最適化することを指す。なお、最小値を求め
ることができるアルゴリズムであれば、勾配法の代わり
に、遺伝的アルゴリズム(Genetic Algorithm :GA)、
進化的アルゴリズム(Evolutional Strategy :ES)等の
一つもしくは複数の混合アルゴリズムを用いることがで
きる。
【0038】図4は、多目的最適化判断部15の動作のフ
ローチャートである。始めに、仮想物体モデル変形制御
部14から送られてきた仮想物体モデルを基にして、仮想
物体モデルの境界上の格子点の一つを、形状モデルの表
面を滑らせて移動させる(41)。具体的には、形状モデ
ルのB-Spline曲面上の点を、その点を表すパラメータt
を適当な値だけ増減させ、その形状モデル上に仮想物体
モデルを写像する。図5はその様子を模式的に示したも
のである。図5中、太線は形状モデルのB-Spline曲線、
塗りつぶした点が仮想物体モデルの格子点である。仮想
物体モデルの格子点AをB-Spline曲線上を滑らせるよう
にA’の位置にスライドさせる。変形後の全格子点の位
置は、仮想物体モデル上の格子点の変位ベクトル{dl’
fix}から数7によって計算される。
【0039】次に、計算格子の仮想ばねのひずみエネル
ギーを計算する(42)。仮想ばね一本あたりのひずみエ
ネルギーは次式で計算される。
【数11】 ただし、kは仮想ばねのばね係数、Δxは仮想ばねの収
縮長さである。図6は計算格子の一実施例の一部を示す
模式図である。図6中、61、62は仮想物体モデルの境界
上の格子点、63、64は仮想物体モデルの境界外の格子点
である。各格子点間を結ぶ6つの仮想ばねについてそれ
ぞれひずみエネルギーを計算する。すべての格子点につ
いて同様の計算を行い、その総和が修正した仮想物体モ
デルのひずみエネルギーとなる。
【0040】後に続くステップ44での最適化決定アルゴ
リズムを実行するために必要となる十分な変形データが
蓄積されるまで、格子点のスライドとひずみエネルギー
の計算とが繰り返される(43)。
【0041】必要なデータが揃うと、適切な最適化決定
アルゴリズム、例えば勾配法を使用して、修正後の仮想
物体モデルのひずみエネルギーが最小となる最適なパラ
メータtを求め、この値に従って仮想物体モデルの本変
形が行われる(44)。勾配法の代わりに、GAやES等
のうち一つもしくは複数のアルゴリズムを使用してもよ
い。
【0042】多目的最適化判断部15は前述したのと同様
にして本変形された仮想物体モデルのヤコビアンを判断
する。ヤコビアンが不適切なときは、多目的最適化判断
部15は図4に示したプロセスで仮想物体モデルを修正
し、仮想ばねのひずみエネルギーを最小化し、かつヤコ
ビアンが1に漸近するように計算を繰り返す。
【0043】多目的最適化判断部15は、計算格子の大き
さあるいは計算格子における仮想物体モデルの位置が不
適切であるため、最適化が実行できないと判断すること
もある。その場合は、図2のステップ22に戻り、仮想物
体モデルの生成から格子生成をやり直す。
【0044】こうしてエネルギーとヤコビアンを多目的
関数として最適化されると、多目的最適化判断部15は数
値解析に十分な品質の仮想物体モデルが得られたと判断
し、格子生成は終了する。図1(f)は仮想物体モデル修
正後の仮想物体モデルの一例を示しており、図1(e)と
比較すると、計算格子のひずみがなくなっていることが
分かる。
【0045】修正された仮想物体モデルは格子データ出
力部16に送られる。
【0046】以上、本明細書中では二次元での格子生成
方法を説明してきたが、形状モデル、スプライン位置関
数、剛性マトリックス等の必要なデータおよび数式を三
次元表現にすることで、本発明の方法により三次元の格
子生成も実行可能であることは明らかである。また、本
発明の方法は、本明細書中で例示した流れ場解析に限定
されず、構造格子を生成する任意の数値解析に対して適
用可能である。
【0047】
【発明の効果】本発明の格子生成方法により、一つまた
は複数の複雑な形状の構造物およびその廻りの流れ場の
解析において、人手を介さず、自動で格子生成を行うこ
とができる。また、格子形状を最適化することができ、
それに伴って工数や計算時間の削減、および解析精度の
向上が達成される。
【0048】さらに、流れ場と構造物の両方に一度に格
子を生成できるので、流体場と構造場等の同時連成解析
が可能になり、工数や計算時間の削減、解析精度の向上
が達成される。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a)は本発明の格子生成方法を利用した解析を
行う一実施形態の図。(b)は形状データの点列の一例を
示す図。 (c)は生成されたスプラインの一例を示す図。
(d)は物理空間上での格子の一実施例を示す模式図。(e)
はEMG法を使用して格子生成を行ったときの不適当
な計算格子の一例を示す図。(f) は本発明の格子生成方
法を使用して格子生成を行ったときの計算格子の一例を
示す図。
【図2】(a)は仮想物体モデルの生成を示すフローチャ
ート。(b)は計算格子の大きさの決定を示す図。(c)は仮
想物体モデルの位置の決定を示す図。
【図3】計算座標上での格子の一実施例を示す模式図。
【図4】仮想物体モデルの修正を示すフローチャート。
【図5】仮想物体モデルの修正を、形状モデル上に格子
点を滑らせて行う様子を示す模式図。
【図6】格子点間の仮想ばねによる結合の一例を示す模
式図。
【符号の説明】
10 形状データ入力部 11 形状モデル生成部 12 仮想物体モデル生成部 13 仮想物体モデル変形部 14 仮想物体モデル変形制御部 15 多目的最適化判断部 16 格子データ出力部

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】流れ場に置いた一つまたは複数の形状モデ
    ルの数値解析を行うために、解析対象の流れ場に直交空
    間計算格子を設定し、該直交空間計算格子の一部を用い
    て仮想物体モデルを定義し、該仮想物体モデルを前記形
    状モデルの境界上に合わせて変形させて格子を生成する
    方法であって、前記仮想物体モデルは前記直交空間計算
    格子の格子点を前記形状モデルの境界上を滑らせて、エ
    ネルギーおよびヤコビアンを多目的関数として最適化す
    るように変形される、格子生成方法。
  2. 【請求項2】前記形状モデルは近似曲線によって定義さ
    れる請求項1に記載の格子生成方法。
  3. 【請求項3】前記直交空間計算格子の大きさは流れ場の
    状態と形状モデルの大きさとによって決定され、前記直
    交空間計算格子は格子点間が仮想的なばねで結合されて
    おり、前記仮想物体モデルの格子点の周辺の前記仮想的
    なばねは剛性値を高く設定し、その他の前記仮想的なば
    ねではそれより低く設定する、請求項2に記載の格子生
    成方法。
  4. 【請求項4】前記仮想物体モデルが前記形状モデルの近
    似曲線に基づいて変形されるとき、前記仮想物体モデル
    と前記形状モデルとの写像関係のヤコビアンが小さいか
    または負の場合は、前記直交空間計算格子の仮想的なば
    ねのひずみエネルギーを計算し、前記近似曲線上で前記
    仮想物体モデルの格子点を滑らせて前記仮想物体モデル
    を変形させ、該変形後の前記ひずみエネルギーを再度計
    算する、請求項3に記載の格子生成方法。
  5. 【請求項5】前記仮想物体モデルの変形は、勾配法、遺
    伝的アルゴリズム、進化的アルゴリズムのうちの一つも
    しくは複数を使用し実行される、請求項4に記載の格子
    生成方法。
  6. 【請求項6】前記仮想物体モデルの変形は、前記ヤコビ
    アンが1に漸近して前記ひずみエネルギーが最小値に収
    束したと判断されるまで繰り返し行われる、請求項5に
    記載の格子生成方法。
JP2001124287A 2001-04-23 2001-04-23 流体用構造格子の自動生成方法 Expired - Fee Related JP4716273B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2001124287A JP4716273B2 (ja) 2001-04-23 2001-04-23 流体用構造格子の自動生成方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2001124287A JP4716273B2 (ja) 2001-04-23 2001-04-23 流体用構造格子の自動生成方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2002318823A true JP2002318823A (ja) 2002-10-31
JP4716273B2 JP4716273B2 (ja) 2011-07-06

Family

ID=18973700

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2001124287A Expired - Fee Related JP4716273B2 (ja) 2001-04-23 2001-04-23 流体用構造格子の自動生成方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP4716273B2 (ja)

Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR100593819B1 (ko) 2004-11-11 2006-06-28 한국건설기술연구원 불연속적인 유체 흐름의 1차원 수치해석 방법
US7439971B2 (en) 2005-05-20 2008-10-21 Hitachi, Ltd. Mesh generation method for numerical simulation
CN106096112A (zh) * 2016-06-06 2016-11-09 同济大学 液力变矩器流场计算方法
JP2019159952A (ja) * 2018-03-14 2019-09-19 富士通株式会社 分割領域生成プログラム、分割領域生成装置、および分割領域生成方法
KR20210028993A (ko) * 2019-09-05 2021-03-15 포항공과대학교 산학협력단 강화학습 기반의 익형 해석용 자동 격자 생성 방법

Citations (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS62249267A (ja) * 1986-04-23 1987-10-30 Hitachi Ltd 座標格子作成支援方法
JPH0979899A (ja) * 1995-09-18 1997-03-28 Fujitsu Ltd 数値流体解析結果の誤差見積方法、数値流体解析結果の誤差見積装置、数値流体解析方法、及び数値流体解析装置

Patent Citations (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS62249267A (ja) * 1986-04-23 1987-10-30 Hitachi Ltd 座標格子作成支援方法
JPH0979899A (ja) * 1995-09-18 1997-03-28 Fujitsu Ltd 数値流体解析結果の誤差見積方法、数値流体解析結果の誤差見積装置、数値流体解析方法、及び数値流体解析装置

Cited By (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR100593819B1 (ko) 2004-11-11 2006-06-28 한국건설기술연구원 불연속적인 유체 흐름의 1차원 수치해석 방법
US7439971B2 (en) 2005-05-20 2008-10-21 Hitachi, Ltd. Mesh generation method for numerical simulation
CN106096112A (zh) * 2016-06-06 2016-11-09 同济大学 液力变矩器流场计算方法
JP2019159952A (ja) * 2018-03-14 2019-09-19 富士通株式会社 分割領域生成プログラム、分割領域生成装置、および分割領域生成方法
JP7029056B2 (ja) 2018-03-14 2022-03-03 富士通株式会社 分割領域生成プログラム、分割領域生成装置、および分割領域生成方法
KR20210028993A (ko) * 2019-09-05 2021-03-15 포항공과대학교 산학협력단 강화학습 기반의 익형 해석용 자동 격자 생성 방법
KR102265380B1 (ko) * 2019-09-05 2021-06-14 포항공과대학교 산학협력단 강화학습 기반의 익형 해석용 자동 격자 생성 방법

Also Published As

Publication number Publication date
JP4716273B2 (ja) 2011-07-06

Similar Documents

Publication Publication Date Title
Nedelec et al. Collective Langevin dynamics of flexible cytoskeletal fibers
CN108763658A (zh) 基于等几何方法的组合薄壁结构固有频率设计方法
JP2010134863A (ja) 制御対象の制御入力決定手段
US20170140072A1 (en) Method and system for determining a configuration of a model having a collection of entities and satisfying a set of constraints
JP4716273B2 (ja) 流体用構造格子の自動生成方法
CN114048547A (zh) 一种基于自适应代理模型的车用空气弹簧工程优化设计方法
CN112380650A (zh) 工作装置结构件设计方法
CN111046494B (zh) 基于多组件结构形式的简化车身地板设计方法
JP2018106521A (ja) 解析装置、解析方法、及びコンピュータプログラム
CN114648232A (zh) 基于改进黑猩猩优化算法的云端化资源柔性作业调度方法
WO2020149178A1 (ja) ニューラルネットワークの縮約装置
JP3019017B2 (ja) 有限差分格子の自動最適化方式
CN111360825A (zh) 一种串联六自由度机械臂逆运动学解算方法及介质
CN106934453B (zh) 一种立方系材料母相与子相间位向关系的确定方法
Umesha et al. Optimal design of truss structures using parallel computing
CN108229054B (zh) 一种基于群论的对称张拉整体结构找形方法
CN110555267B (zh) 一种基于隐式b-样条的参数化水平集结构拓扑优化方法
Anagnostou et al. Optimized tooling design algorithm for sheet metal forming over reconfigurable compliant tooling
CN112800515A (zh) 一种基于联合迭代算法树状结构找形优化设计方法
CN108345729B (zh) 一种基于群论的对称索杆结构找形方法
Aung Optimization of panel stretch forming processes using CAE-technologies
CN117235902B (zh) 一种基于全参数化车身数学模型的截面优化方法
CN111125619A (zh) 一种确定沿曲线曲面应变的方法
CN117610381B (zh) 基于装配体有限元分析的机器人结构轻量化设计方法
CN113282995B (zh) 一种自修正的结构分散振动控制系统设计方法

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20071128

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20100720

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20100907

RD02 Notification of acceptance of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7422

Effective date: 20100907

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20101130

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20110117

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20110316

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20110322

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20140408

Year of fee payment: 3

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees