JP2002317864A - プラネタリギヤのピニオン軸組付構造 - Google Patents

プラネタリギヤのピニオン軸組付構造

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JP2002317864A
JP2002317864A JP2001122693A JP2001122693A JP2002317864A JP 2002317864 A JP2002317864 A JP 2002317864A JP 2001122693 A JP2001122693 A JP 2001122693A JP 2001122693 A JP2001122693 A JP 2001122693A JP 2002317864 A JP2002317864 A JP 2002317864A
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pinion
pinion shaft
shaft
insertion hole
washer
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JP2001122693A
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Kazuo Kanazawa
一男 金澤
Yorio Narumi
順夫 鳴海
Hiroshi Ishihara
弘志 石原
Soichi Yamada
壮一 山田
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Subaru Corp
Kikuchi Co Ltd
Original Assignee
Kikuchi Co Ltd
Fuji Heavy Industries Ltd
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Publication date
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    • F16ENGINEERING ELEMENTS AND UNITS; GENERAL MEASURES FOR PRODUCING AND MAINTAINING EFFECTIVE FUNCTIONING OF MACHINES OR INSTALLATIONS; THERMAL INSULATION IN GENERAL
    • F16HGEARING
    • F16H57/00General details of gearing
    • F16H57/08General details of gearing of gearings with members having orbital motion
    • F16H57/082Planet carriers

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  • General Details Of Gearings (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 簡単な構成でかつ組立作業性に優れると共
に、確実なピニオン軸の廻り止め及び位置決め機能が確
保できるプラネタリギヤのピニオン軸組付構造を提供す
る。 【解決手段】 キャリヤ30に形成された一対の支持部
31、32の一方に、フランジ部36bによって廻り止
めされた廻り止めワッシャ35を装着して突起部36d
を支持部の31軸挿通孔33内に臨ませ、ピニオン軸2
6の端部27に切り欠き形成された係合部29を突起部
36dに係合させて軸挿通孔33内に挿入嵌合する。軸
挿通孔33内に臨む突起部36dを備えた簡単な形状の
廻り止めワッシャ35及びピニオン軸26に切り欠き形
成された簡単な形状の係合部29によって、ピニオン軸
26の廻り止めが得られ、かつ簡単な組み立て作業で組
み立てられる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、例えば自動車の変
速機やセンターディファレンシャル装置等に用いられる
プラネタリギヤに関し、特にプラネタリギヤのピニオン
軸組付構造に関する。
【0002】
【従来の技術】プラネタリギヤは、例えば特開平5−1
41484号公報に開示され、かつ図8に示すように、
キャリヤ101にピニオン軸103が設けられ、このピ
ニオン軸103にサンギヤ(図示せず)と噛み合うピニ
オン104がニードルベアリング105を介在して回転
自在に軸支されている。このピニオン軸103は、キャ
リヤ101に穿設された軸挿通孔102に挿入され、キ
ャリヤ101及びピニオン軸103に穿設されたピン挿
入孔101a及び103aに掛け渡されるように挿入さ
れた回り止めピン106によって廻り止めされ、かつ軸
方向の移動が阻止されてキャリヤ101に組付支持され
ている。なお、107は、ピニオン104とキャリヤ1
01との間に介在してピニオン104のスラスト荷重を
受けるスラストワッシャである。
【0003】また、実開平5−89942号公報に開示
され、かつ図9に示すようにサンギヤ(図示せず)に噛
合するピニオン111をニードルベアリング112を介
して回転自在に軸支する中空状のピニオン軸113の両
端を、キャリヤ114に穿設された軸挿入孔114aに
挿通し、その端部を軸挿入孔114aにかしめ固定した
プラネタリギヤがある。
【0004】更に、特開平8−312620号公報に開
示され、かつ図10に示すように、ピニオン121がニ
ードルベアリング122を介して回転自在に軸支された
ピニオン軸123の両端を、キャリヤ124に穿設され
た軸挿入孔124aに挿通すると共に、キャリヤ124
の軸挿入孔124a内及びピニオン軸123に互いに対
応する止め輪溝125、126を設け、これら止め輪溝
125と126に跨って弾性変形可能な止め輪127を
装着してピニオン軸123をキャリヤ124に組み付け
たピニオン軸の組付構造がある。
【0005】このピニオン軸123の組付は、例えば、
予め全体が表面硬化処理が施されたピニオン軸123に
形成された止め輪溝126に止め輪127を装着し、止
め輪縮径治具130のテーパー状案内面130a及び内
径面130bを経由して、ピニオン軸123をキャリヤ
124の軸挿入孔124aへ向けて押し込むことによっ
て、止め輪126がテーパ状案内面130aにより縮径
されて軸挿入孔124a内に押し込まれ、軸孔124a
の止め輪溝125とピニオン軸123の止め輪溝126
が合致した位置に達すると、止め輪127が拡径し、ピ
ニオン軸123がキャリヤ124の所定位置に組み付け
られる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】上記特開平5−141
484号公報によると、キャリヤ101及びピニオン軸
103にピン挿入孔101a、103aを穿孔する必要
があり、かつ回り止めピン106をピン挿入孔101a
及び103aに挿入するために、回転方向及び軸方向の
孔位置合わせ作業及びピン挿入作業が厄介で多くの組立
工数を要する。
【0007】また、実開平5−89942号公報による
と、ピニオン軸113の中央部の外周面がニードルベア
リング112の転走面となることから、熱処理等による
表面硬化処理が要求される一方、ピニオン軸113の両
端部は表面硬化処理が施されるとかしめ加工が困難であ
るためこの部分を除外して表面硬化処理を施さなければ
ならず、そのための熱処理上の管理が厄介であり、かつ
キャリヤ114とピニオン軸113との位置決めに高精
度の技術と多くの工数を要する。
【0008】更に、特開平8−312620号公報によ
ると、止め輪縮径治具130等を使用することによっ
て、容易にピニオン軸123がキャリヤ124に位置決
め固定される。
【0009】しかし、ピニオン軸123は、キャリヤ1
24の軸挿入孔124a及びピニオン軸123に互いに
対応して形成された止め輪溝125、126に跨って装
着された止め輪127によって係止されることから、ピ
ニオン軸123が回転することが懸念され、別途軸廻り
止め機能を追加する必要があり、そのため構造の複雑化
及び組み付け作業の煩雑化のおそれがある。
【0010】従って、かかる点に鑑みなされた本発明の
目的は、簡単な構成でかつ組立作業性に優れると共に、
確実なピニオン軸の廻り止め及び位置決め機能が確保で
きるプラネタリギヤのピニオン軸組付構造を提供するこ
とにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成する請求
項1に記載のプラネタリギヤのピニオン軸組付構造の発
明は、ピニオン部材を軸支するピニオン軸の各端部を、
キャリヤに形成され一対の支持部に穿設された軸挿通孔
に嵌合して固定するプラネタリギヤのピニオン軸組付構
造において、上記一対の支持部は、互いに対向する各保
持面部及び該保持面部に穿設された軸挿通孔を有し、上
記一方の支持部に廻り止め手段によって廻り止めされて
保持され、かつ上記保持面部に張設されて上記軸挿通孔
に対応する貫通孔及び該貫通孔の周縁から延設されて上
記軸挿通孔内に臨む突起部が形成された板状の基部を有
する廻り止めワッシャと、上記ピニオン軸の一方の端部
に切り欠き形成され、上記軸挿通孔内に臨む突起部に係
合する係合部とを備え、上記軸挿通孔内に突起部を臨ま
せて上記廻り止めワッシャを支持部に装着すると共に、
上記突起部に係合部を係合させて上記一方の端部を軸挿
通孔内に挿入嵌合させたことを特徴とする。
【0012】請求項1の発明によると、貫通孔及び貫通
孔の周縁から延設され軸挿通孔内に臨む突起部を備えた
簡単な形状の廻り止めワッシャと、一方の端部に係合部
が切り欠き形成された簡単な形状のピニオン軸によって
形成され、かつ軸挿通孔内に突起部を臨ませて廻り止め
ワッシャを支持部に装着し、この突起部に係合部を係合
させてピニオン軸の一方の端部を軸挿通孔内に挿入嵌合
させる簡単な組み立て作業でピニオン軸の廻り止めが確
保でき、優れた組立作業性が期待できる。
【0013】請求項2に記載の発明は、請求項1のプラ
ネタリギヤのピニオン軸組付構造において、上記係合部
は、上記一方の端部の端面からピニオン軸の中心軸線と
平行に延在して上記突起部に係合する平面状の平面部
と、該平面部の端縁に連続形成されて上記基部と対向
し、かつ上記基部に当接する位置規制部とを有すること
を特徴とする。
【0014】請求項2の発明によると、突起部に係合す
る平面部と廻り止めワッシャに基部に当接する位置規制
部を有するように切り欠き形成された簡単な形状の係合
部によって、軸挿入孔内に臨む突起部が平面部に係合し
てピニオン軸の廻り止めがなされ、かつ基部に当接する
位置規制部によってピニオン軸の挿入量が規制されてピ
ニオン軸の軸方向の位置決めが容易に得られる。
【0015】請求項3に記載の発明は、請求項2のプラ
ネタリギヤのピニオン軸組付構造において、更に、上記
ピニオン部材の他方の端部の端面に当接してピニオン軸
の移動を規制する位置規制手段を有することを特徴とす
る。
【0016】請求項3の発明によると、ピニオン部材の
他方の端部の端面に当接する位置規制手段によってピニ
オン軸の抜け出しが防止されてピニオン軸が所期の位置
に確実に保持される。
【0017】請求項4に記載の発明は、請求項1のプラ
ネタリギヤのピニオン軸組付構造において、上記係合部
は、上記一方の端部ピニオン軸の中心軸線と平行に延在
する平面状の平面部、該平面部の端縁に連続形成されて
上記基部と対向し、かつ該基部に当接する位置規制部、
及び該位置規制部と対向して平面部の端縁に連続形成さ
れた先端係止部を有する略コ字状に切り欠き形成され、
上記突起部は、該突起部の弾性によって先端が上記先端
係止部に係合すると共に平面部に圧接したことを特徴と
する。
【0018】請求項4の発明によると、突起部の先端が
係合部の平面部に圧接してピニオン軸の廻り止めが得ら
れ、かつ突起部の先端が先端係止部に係合すると共に位
置規制部が基部に当接することによって、ピニオン軸の
軸方向の移動が阻止される。また、軸挿入孔内に臨む突
起部の弾性力に抗してピニオン軸の端部を軸挿入孔に挿
入し、先端係止部が廻り止めワッシャの突起部を乗り越
えることによって突起部が復元してその先端が先端係止
部に係合し、かつ突起部の先端が平面部に圧接して係合
することによって、ピニオン軸の廻り止め及び軸方向の
位置決めがなされ、組み付け作業の簡素化が確保でき
る。
【0019】請求項5に記載の発明は、請求項1〜4の
いずれかのプラネタリギヤのピニオン軸組付構造におい
て、上記廻り止め手段は、上記基部の端縁に折曲形成さ
れて支持部に係止するフランジ部であることを特徴とす
る。
【0020】請求項5の発明によると、廻り止め手段を
基部の端縁に折曲形成されて支持部に係止するフランジ
部によって形成され、廻り止めワッシャの形状の簡素化
が得られる。
【0021】請求項6に記載の発明は、請求項1〜5の
いずれかのプラネタリギヤのピニオン軸組付構造におい
て、更に、ピニオン軸が貫通する軸孔が穿設され、かつ
上記ピニオン部材の端面が当接可能な円板状のフリクシ
ョンワッシャが上記基部に張設されたことを特徴とす
る。
【0022】請求項6の発明によると、フリクションワ
ッシャを基部に張設することによって、ピニオン部材の
端部から入力される荷重を基部によって全面的に支持さ
れたフリクッションワッシャの全面によって有効的に受
け止めることができ、スラストワッシャ及び基部に作用
する面圧を抑制することができる。
【0023】
【発明の実施の形態】以下、本発明のプラネタリギヤの
ピニオン軸組付構造の実施の形態を、自動車のセンター
ディファレンシャル装置に用いられるプラネタリギヤを
例に図を参照して説明する。
【0024】(第1実施の形態)図1乃至図5によって
第1実施の形態を説明する。図1はセンターディファレ
ンシャル装置10の要部断面図であり、図2はその概要
を示すスケルトン図である。
【0025】センターディファレンシャル装置10は、
先端が中間部材11を介在して変速機(図示せず)の出
力軸1の外周にスプライン結合された中空のセンターデ
フ入力軸12と、このセンターデフ入力軸12の内部に
配置され先端が中間部材13を介してフロントドライブ
軸2にスプライン結合された中空のフロント出力軸14
と、フロント出力軸14の内部に先端が臨まされたリヤ
出力軸16を備え、これらセンターデフ入力軸12、フ
ロント出力軸14、リヤ出力軸16が同軸上で相対回転
自在に構成されている。
【0026】センターデフ入力軸12の基端には大径の
第1サンギヤ20が一体に形成され、この第1サンギヤ
20に小径の第1ピニオン21が噛合される一方、リヤ
出力軸16の中間位置に小径の第2サンギヤ23がスプ
ライン嵌合され、この第2サンギヤ23に大径の第2ピ
ニオン24が噛合されている。これら第1ピニオン21
及び第2ピニオン24は中空状のピニオン部材25に一
体形成され、他方の出力側となるキャリヤ30に固定さ
れたピニオン軸26に軸支されてプラネタリギヤを形成
している。
【0027】ピニオン軸26をキャリヤ30に組み付け
る組付構造は、図3に要部断面図を示しように、第1ピ
ニオン21及び第2ピニオン24が一体形成されたピニ
オン部材25を収容可能に対向する一対の支持部31、
32を有し、各支持部31及び32には各々同軸上にピ
ニオン軸26の両端部27、28を挿通して支持する軸
挿通孔33及び34が穿孔されている。
【0028】一方、ピニオン軸26は、支持部31、3
2に穿設された軸挿通孔33及び34に挿入されて嵌合
すると共に、ピニオン部材25を回転自在に直接軸支す
る外径を有するC/Cコンポジットからなる略円柱形状
であって、一方の軸挿通孔33に挿通される端部27に
は、その端面27aから軸挿通孔33に嵌合する嵌合長
及び後述するワッシャ本体36の厚さの合計長Lに略相
当する長さ範囲に亘ってピニオン軸26の中心軸線と平
行に延在する平面状の平面部29aが形成され、この平
面部29aの端縁に連続して中心軸線と略直交する方向
に延在し、かつ後述する廻り止めワッシャ35の基部3
6aと対向する位置規制部29bを有するように係合部
29が略L字状に切り欠き形成されている。
【0029】廻り止めワッシャ35は、図3に断面図、
図4に斜視図を各々示すように支持部31とピニオン部
材25との間に介在するワッシャ本体36とフリクッシ
ョンワッシャ37によって形成されている。ワッシャ本
体36は、支持部32に対向して支持部31に平面状に
形成された保持面部31aに沿って張設される平板状で
略矩形の基部36aと、基部36aの両側縁に沿って折
曲形成されて支持部31の両側面部31bに各々係合す
る廻り止め手段となる一対のフランジ部36bを有し、
ワッシャ本体36の基部36aには軸挿通孔33に対応
して貫通孔36cが開口し、更に、貫通孔36cの周縁
からピニオン軸26に形成された係合部29の位置規制
部29b及び平面部29aに沿って折り曲げ形成されて
軸挿通孔33内に臨むと共に先端が軸挿通孔33の内周
面に当接する略コ字状に折曲形成された突起部36dが
延設されている。
【0030】このワッシャ本体36は、図5に示すよう
に平板状の板材をプレス加工によって、突起部36dを
除いた形状の貫通孔36c、即ち略C字状に打ち抜きす
る。そして、破線で折り曲げ部を示すように両側に沿っ
てフランジ部36bを折曲し、かつ係止片36dを折曲
形成することによって容易に得られる。
【0031】一方、フリクションワッシャ37は、ピニ
オン軸26が挿通可能な軸孔37aが穿孔された円板状
で、ピニオン部材25の端面25aが摺接可能な摺接面
37bが形成されて、ワッシャ本体36の基部36aに
一方の面が全面に亘って接面して張設されている。
【0032】同様に、支持部32とピニオン部材25と
の間にもワッシャ38が配設されている。このワッシャ
38は、上記ワッシャ本体36から突起部36dを削除
した形状であり、他は廻り止めワッシャ35と実質同一
構造であり、同一符号を付することで説明を省略する。
【0033】また、支持部32にリング溝32aが形成
され、リング溝32aにスナップリング39を嵌合して
スナップリング39によってピニオン軸26の端部28
の端面28aを係止することによってピニオン軸26の
抜け出しを防止する位置決め手段が設けられている。
【0034】ピニオン軸26の組み付け作業は、予め図
3に示すように廻り止めワッシャ35のワッシャ本体3
5に折曲形成された両フランジ部36b間で支持部31
を挟むようにして支持部31に廻り止めワッシャ35を
装着し、同様に他方の支持部32にワッシャ38を装着
する。
【0035】次に、支持部31及び32に装着された廻
り止めワッシャ35とワッシャ38との間にピニオン部
材25を配置し、ピニオン軸26を端部27側から支持
部材32に穿設された軸挿入孔34に挿入し、ワッシャ
38の貫通孔36c、軸孔37a、ピニオン部材25の
軸挿入孔25cを貫通させて、更に、端部27に形成さ
れた係合部29の平面部29aを、軸挿通孔33内に差
し込まれた廻り止めワッシャ35の突起部36dに摺接
させながら図3に示すように位置規制部29bがワッシ
ャ本体36の基部36aに当接するまで挿入する。
【0036】位置規制部29bがワッシャ本体36に当
接してピニオン軸36の位置決めがなされた状態で、支
持部32に形成されたリング溝32aにスナップリング
39を係合して端部28の端面28aに当接させて係止
することによってピニオン軸26の抜け止めを防止す
る。
【0037】このように組み付けされたピニオン軸26
は、支持部31の軸挿入孔33に挿入された端部27に
形成された係合部29の平面部29aと軸挿通孔33の
内周面との間に、一対のフランジ部36bが支持部31
に係合して回転が阻止されたワッシャ本体36に折曲形
成された突起部36dが介在し、平面部29aに係合す
る突起部36dによってピニオン軸26の廻り止めが確
実に阻止される。また、支持部31に装着されたワッシ
ャ本体36の基部36aに位置規制部29bが当接し、
かつ他方の端部28の端面28aがリング溝32aに係
合するスナップリング39に当接係止されてピニオン軸
26の軸方向の移動が防止されてピニオン軸26が所期
の位置に保持される。
【0038】ピニオン軸26によって軸支されたピニオ
ン部材25に形成された第1ピニオン21及び第2ピニ
オン24に噛合する第1サンギヤ20と第2サンギヤ2
3は、所定の間隔を隔ててキャリヤ30の内部に配列さ
れる一方、キャリヤ30の内周にハブ40が固設されて
いる。ハブ40は第1サンギヤ20と第2サンギヤ23
の間隙からセンタデフ入力軸12の内部に延設されてフ
ロント出力軸14の外周にスプライン結合されている。
そして、ピニオン軸26を介してキャリヤ30に伝達さ
れた動力は、ハブ40、フロント出力軸14を介してフ
ロントドライブ軸2に伝動される。一方、第2サンギヤ
23を介してリヤ出力軸16に伝達された動力は、トラ
ンスファギヤ4、5を介してリヤドライブ軸6に伝動さ
れる。
【0039】また、キャリヤ30の後面には、リヤ出力
軸16にニードルベアリングを介して回転自在に支持さ
れた円筒状のクラッチハブ45が固設され、リヤ出力軸
26にはクラッチハブ45に対向するクラッチドラム4
6が固設され、クラッチハブ45とクラッチドラム46
との間にドライブプレート47、ドリブンプレート4
8、皿ばね49が配設されてイニシャルトルク発生部5
0が構成されている。イニシャルトルク発生部50は、
キャリヤ30とリヤ出力軸16の間のイニシャルトルク
を発生させるためのものであり、皿ばね49による押圧
力を適切に設定することによって、発生するイニシャル
トルクが設定される。
【0040】ここで、センターディファレンシャル装置
10は、第1サンギヤ20と第1ピニオン21、及び第
2サンギヤ23と第2ピニオン24の各噛み合いピッチ
半径を適切に設定することで、基準トルク配分が所望の
配分、例えば後輪偏重に設定することができる。
【0041】また、第1サンギヤ20とハブ40との
間、ハブ40と第2サンギヤ23との間及び、第2サン
ギヤ23とキャリヤ30との間には、各々第1、第2、
第3の摩擦部材として第1フリクションワッシャ41、
第2フリクションワッシャ42、第3フリクションワッ
シャ43が各々配設されており、これら各フリクション
ワッシャ41、42、43に発生する摩擦力、ピニオン
軸26とピニオン部材25の間に発生する摩擦力、ピニ
オン部材25の端面とフリクションワッシャ37との間
に発生する摩擦力によってセンターディファレンシャル
装置10自体に差動制限機構が構成される。
【0042】なお、例えば第1サンギヤ20と第1ピニ
オン21をはすば歯車で構成し、前進時に第1ピニオン
21が第1サンギヤ20を後方、即ちハブ40側に付勢
するスラスト荷重が発生するように設定すると共に、第
2サンギヤ23と第2ピニオン24をはすば歯車で構成
して、前進時第2ピニオン24が第2サンギヤ23を前
方、即ちハブ40側に付勢するスラスト荷重が発生する
ように構成されている。
【0043】そして、変速機の出力軸1から変速出力
は、センターデフ入力軸12を介してプラネタリギヤの
第1サンギヤ20に入力され、第1ピニオン21を介し
てピニオン部材25に伝動される。
【0044】ここで、前進時には、センターディファレ
ンシャル装置10は、各歯車諸元により、キャリヤ30
及び第2サンギヤ63に各々配分されて出力される。そ
してキャリヤ30からの動力は、ハブ40、フロント出
力軸14、フロントドライブ軸2、フロントディファレ
ンシャル装置3を介して前輪に伝動される。また、第2
サンギヤ23の動力は、リヤ出力軸16、トランスファ
ギヤ4、5、リヤドライブ軸6、プロペラ軸7、リヤデ
ィファレンシャル装置8を介して後輪に伝動される。
【0045】この時、イニシャルトルク発生部50の皿
ばね49によるドライブプレート47とドリブンプレー
ト48の押圧力により発生するイニシャルトルクがキャ
リヤ30とリヤ出力軸16との間に付与されている。前
後輪に差回転が発生すると、第1ピニオン21が第1サ
ンギヤ20を後方及び第2ピニオン24が第2サンギヤ
23を前方に付勢するスラスト荷重が回転差に応じて発
生し、第1フリクションワッシャ41及び第2フリクシ
ョンワッシャ41を介して入力側の第1サンギヤ20と
前輪側に伝動するキャリヤ30に設けられたハブ40
と、後輪側に伝動する第2サンギヤ23とハブ40との
間に摩擦力が付与されると共に、第1サンギヤ20と第
1ピニオン21及び第2サンギヤ23と第2ピニオン2
4の噛み合い点に作用する分離荷重と接線荷重との合成
力が第1ピニオン21、第2ピニオン24及びピニオン
軸26に作用してピニオン部材25とピニオン軸26と
の間に摩擦力を発生させ、これらの摩擦力によってピニ
オン部材25の回転に対して反対方向の摩擦トルク、即
ち差動制限トルクを発生させる。
【0046】一方、後退時において、前後輪に差回転が
発生すると、第2サンギヤ23のスラスト荷重は逆方向
に発生し、第3フリクションワッシャ43が第2サンギ
ヤ23によってキャリヤ30に押圧されて摩擦力が発生
すると共に、第1サンギヤ20と第1ピニオン21及び
第2サンギヤ23と第2ピニオン24の噛み合い点に作
用する分離荷重と接線荷重との合成力が第1ピニオン2
1、第2ピニオン24及びピニオン軸26に作用してピ
ニオン部材25とピニオン軸26との間に摩擦力を発生
させ、これらの摩擦力によってピニオン部材25の回転
に対して反対方向の摩擦トルク、即ち差動制限トルクを
発生させて走破性及び走行安定性を確保する。
【0047】また、このスラスト荷重の反力が、ピニオ
ン部材25にスラスト荷重としして作用し、ピニオン部
材25が廻り止めワッシャ35のフリクションワッシャ
37或いはワッシャ38のフリクッションワッシャ37
に押接して摩擦力が発生して差動制限トルクが発生す
る。このピニオン部材25によってフリクッションワッ
シャ37に入力されれる押圧荷重は、フリクションワッ
シャ37の支持部31、32側の全面がワッシャ本体3
6に接面することからフリクションワッシャ37及びワ
ッシャ本体36の広範囲に分散して作用し、その面圧を
抑制することができ、フリクッションワッシャ37の材
料選択の自由度が増大する。
【0048】従って、本実施の形態によると、一対のフ
ランジ部36bによって廻り止めされて支持部材31に
支持された廻り止めワッシャ35に形成された突出部3
6dを軸挿通孔33内に臨ませ、係合部29が形成され
たピニオン軸26の端部27を軸挿通孔33内に挿入す
ることによってピニオン軸36の廻り止めがなされ、か
つピニオン軸26に形成された係合部29の位置規制部
29bがワッシャ本体36に当接してピニオン軸26の
位置決めがなされ、かつ支持部32に形成されたリング
溝32aにスナップリング39を係合してピニオン軸2
6の抜け止めを防止する簡単な組立作業によって、ピニ
オン軸26が確実に廻り止め及び軸方向の位置決め固定
ができる。
【0049】また、廻り止めワッシャ35のワッシャ本
体36がプレス加工等によって容易にかつ、突起部36
bを貫通孔36c内に突出するように打ち抜いて折曲形
成することから、単一部品でかつ材料の歩留まりが良
く、材料の有効活用が得られる一方、ピニオン軸26の
端部に係合部29を切り欠き形成する簡単な構成である
こととと相俟って、構成の簡素化及び製造コストの抑制
が期待できる。
【0050】(第2実施の形態)図6及び図7によって
第2実施の形態を説明する。図6は本実施の形態の概要
を示す図3に示すA部に対応する要部断面図であり、図
7は廻り止めワッシャの斜視図である。図6及び図7に
おいて図1乃至図5と同一符号を付することで該部の説
明を省略し、異なる部分を主に説明する。
【0051】廻り止めワッシャ35は、ワッシャ本体3
6とフリクションワッシャ37によって形成されてい
る。第1実施の形態と同様にワッシャ本体36は、支持
部31の保持面部31aに張設される略矩形の基部36
aと、基部36aの両側縁に沿って折曲形成されて支持
部31の両側面部31bに係合するフランジ部36bを
有し、基部36aに開口する貫通孔36cの周縁から突
出する突起部36dが延設されている。突起部36d
は、貫通孔36cの周縁近傍に折曲部36eを有し、折
曲部36eから支持部31に穿設された軸挿通孔33内
に臨み、かつ平坦に形成された先端36fに移行するに
従って次第に軸挿通孔33の中心軸側に変移する平板状
に形成されている。
【0052】ピニオン軸26は、C/Cコンポジットに
よって略円柱状に形成され、ピニオン軸26の端部27
に形成される係合部29は、ピニオン軸26の中心軸線
と平行に延在する平面状の平面部29aと、平面部29
aの端面27aから遠方の端縁から中心軸線と直交する
方向に延在して基部36aに対向する位置規制部29b
と、位置規制部29bと対向するように平面部29aの
端面27a側の端縁に沿って突出する先端係止部29c
を有する略コ字状に切欠き形成され、先端係止部29c
の高さは折曲部36eより中心軸線側に設定されてい
る。即ち、第1実施の形態の係合部に先端係止部29c
を形成した形状に形成されている。
【0053】ピニオン軸26の組付けは、第1実施の形
態同様に、予め廻り止めワッシャ35のワッシャ本体3
6に折曲形成された両フランジ部36b間で支持部31
を挟むようにして支持部31に廻り止めワッシャ35を
装着し、同様に他方の支持部31にワッシャ38を装着
する。
【0054】次に、支持部31及び32に装着された廻
り止めワッシャ35とワッシャ38との間にピニオン部
材25を配置し、ピニオン軸26を端部27を先端とし
て支持部材32に穿設された軸挿入孔34から挿入し、
ワッシャ38の貫通孔36c、ピニオン部材25の軸挿
入孔25cを貫通させて、更に、端部27よって軸挿通
孔33内に突出する突起部36dを弾性変形させつつ端
部27を軸挿通孔33内に押し込む。ピニオン軸26が
押し込まれ、位置規制部29bがワッシャ本体36に当
接して差込が規制され一方、先端36fが先端係止部2
9cを乗り越えると、突起部36dの弾性力によって復
元して平坦状に形成された先端36fが図6に示すよう
に先端係止部29cに係止してピニオン軸26の抜け止
めを果たし、かつ先端36fによって平面部31aを押
圧してピニオン軸26の廻り止めされて、ピニオン軸2
6が所期の位置に保持される。
【0055】従って、本実施の形態によると、ピニオン
軸26の挿入によって、ピニオン軸26に形成された係
合部29にワッシャ本体36に形成された突起部36d
が係合してピニオン軸26の廻り止め及び所期の位置に
保持することから、第1実施の形態に加え、スナップリ
ング39によるピニオン軸26の抜け止めが不要にな
り、構造の簡素化と組み付け作業の簡素化が得られる。
【0056】なお、本発明は上記実施の形態に限定され
ることなく、発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変更可
能である。例えば、上記実施の形態では、C/Cコンポ
ジットからなるピニオン軸26にピニオン部材25を直
接軸支する場合を例に説明したが、金属製のピニオン軸
にニードルベアリング等を介してピニオン部材を軸支す
ることも可能であり、この場合金属製のピニオン軸に施
す表面硬化処理は、ピニオン軸の表面全範囲に均等に施
すことが可能であり、表面硬化処理の簡素化が得られ
る。また、センターディファレンシャル装置に用いられ
るプラネタリギヤに限らず、他のプラネタリギヤのピニ
オン軸組付構造に広く適用することができる。
【0057】
【発明の効果】本発明によると、貫通孔及び貫通孔の周
縁から延設され軸挿通孔内に臨む突起部を備えた簡単な
形状の廻り止めワッシャと、一端部に切り欠き形成され
た簡単な形状のピニオン軸によって形成された簡単な構
成で、かつ軸挿通孔内に突起部を臨ませて廻り止めワッ
シャを支持部に装着し、この突起部に係合部を係合させ
てピニオン軸の一方の端部を軸挿通孔内に挿入嵌合させ
る簡単な組み立て作業で突起部と係合部が係合してピニ
オン軸の廻り止めが確保でき、優れた組立作業性が期待
できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施の形態を説明するセンターデ
ィファレンシャル装置の要部断面図である。
【図2】同じく、センターディファレンシャル装置の概
要を示すスケルトン図である。
【図3】同じく、要部断面図である。
【図4】同じく、廻り止めワッシャの斜視図である。
【図5】同じく、廻り止めワッシャのワッシャ本体の製
造を説明する斜視図である。
【図6】本発明の第2実施の形態をの概要を示す要部断
面図である。
【図7】同じく、廻り止めワッシャの斜視図である。
【図8】従来のプラネタリギヤのピニオン軸組付構造の
説明図である。
【図9】従来のプラネタリギヤのピニオン軸組付構造の
説明図である。
【図10】従来のプラネタリギヤのピニオン軸組付構造
の説明図である。
【符号の説明】
10 センターディファレンシャル装置 11 中間部材 12 センターデフ入力軸 13 中間部材 14 フロント出力軸 16 リヤ出力軸 25 ピニオン部材 26 ピニオン軸 27 端部 27a 端面 29 係合部 29a 平面部 29b 位置規制部 29c 先端係止部 30 キャリヤ 31 支持部 31a 保持面部 31b 側面部 32 支持部 32a リング溝 33 軸挿通孔 34 軸挿通孔 35 廻り止めワッシャ 36 ワッシャ本体 36a 基部 36b フランジ部(廻り止め手段) 36c 貫通孔 36d 突起部 36e 折曲部 36f 先端 37 フリクションワッシャ 38 ワッシャ 39 スナップリング(位置決め手段)
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 鳴海 順夫 東京都昭島市松原町2丁目14番8号 菊池 プレス工業株式会社内 (72)発明者 石原 弘志 東京都昭島市松原町2丁目14番8号 菊池 プレス工業株式会社内 (72)発明者 山田 壮一 東京都昭島市松原町2丁目14番8号 菊池 プレス工業株式会社内 Fターム(参考) 3J027 FA18 FB04 HA05 HB01 HC10 HC12 3J063 AA01 AB12 AC12 BA01 CA03 CB04 CD61

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ピニオン部材を軸支するピニオン軸の各
    端部を、キャリヤに形成され一対の支持部に穿設された
    軸挿通孔に嵌合して固定するプラネタリギヤのピニオン
    軸組付構造において、 上記一対の支持部は、互いに対向する各保持面部及び該
    保持面部に穿設された軸挿通孔を有し、 上記一方の支持部に廻り止め手段によって廻り止めされ
    て保持され、かつ上記保持面部に張設されて上記軸挿通
    孔に対応する貫通孔及び該貫通孔の周縁から延設されて
    上記軸挿通孔内に臨む突起部が形成された板状の基部を
    有する廻り止めワッシャと、 上記ピニオン軸の一方の端部に切り欠き形成され、上記
    軸挿通孔内に臨む突起部に係合する係合部とを備え、 上記軸挿通孔内に突起部を臨ませて上記廻り止めワッシ
    ャを支持部に装着すると共に、上記突起部に係合部を係
    合させて上記一方の端部を軸挿通孔内に挿入嵌合させた
    ことを特徴とするプラネタリギヤのピニオン軸組付構
    造。
  2. 【請求項2】上記係合部は、 上記一方の端部の端面からピニオン軸の中心軸線と平行
    に延在して上記突起部に係合する平面状の平面部と、 該平面部の端縁に連続形成されて上記基部と対向し、か
    つ上記基部に当接する位置規制部とをすることを特徴と
    する請求項1に記載のプラネタリギヤのピニオン軸組付
    構造。
  3. 【請求項3】 更に、上記ピニオン部材の他方の端部の
    端面に当接してピニオン軸の移動を規制する位置規制手
    段を有することを特徴とする請求項2に記載のプラネタ
    リギヤのピニオン軸組付構造。
  4. 【請求項4】 上記係合部は、 上記一方の端部ピニオン軸の中心軸線と平行に延在する
    平面状の平面部、該平面部の端縁に連続形成されて上記
    基部と対向し、かつ該基部に当接する位置規制部、及び
    該位置規制部と対向して平面部の端縁に連続形成された
    先端係止部を有する略コ字状に切り欠き形成され、 上記突起部は、 該突起部の弾性によって先端が上記先端係止部に係合す
    ると共に平面部に圧接したことを特徴とする請求項1に
    記載のプラネタリギヤのピニオン軸組付構造。
  5. 【請求項5】 上記廻り止め手段は、 上記基部の端縁に折曲形成されて支持部に係止するフラ
    ンジ部であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか
    に記載のプラネタリギヤのピニオン軸組付構造。
  6. 【請求項6】 更に、ピニオン軸が貫通する軸孔が穿設
    され、かつ上記ピニオン部材の端面が当接可能な円板状
    のフリクションワッシャが上記基部に張設されたことを
    特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載のプラネタリ
    ギヤのピニオン軸組付構造。
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