JP2002317697A - エンジンの排熱回収装置 - Google Patents
エンジンの排熱回収装置Info
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Abstract
ること。 【解決手段】 エンジン2の冷却部6Aおよびエンジン
2の排気を利用した排気熱交換器9に熱媒体を循環させ
る循環経路12を設ける。循環経路12の出力側は貯湯
タンクなどに設けられる出力熱交換器に接続される。ポ
ンプ10で導入された熱媒体は排気熱交換器9、オイル
熱交換器5,ウォータジャケット(冷却部)6Aを順に
循環して出力される。排気熱交換器9に導入される熱媒
体は、流量などを調整して、排気中の水蒸気がその露点
以下になるよう低温に設定される。熱媒体は排気が有し
ている熱および排気の凝縮熱を回収した後、冷却部6A
に導かれて更に温度上昇する。こうして、エンジンの排
熱は効率よく回収される。
Description
収装置に関し、特に、コジェネレーション装置等の動力
源に用いられるエンジンの排熱回収装置に関する。
必要性が高まり、エネルギの有効利用を図る観点で、コ
ジェネレーション装置のように、運転に伴って発生する
熱を回収利用することに注目が集まっている。この種の
コジェネレーション装置では、動力源に用いられている
エンジン本体の高温部よりも、排気温度の方が高温であ
ることから、その排熱を回収する際、熱の回収媒体(一
般にはエンジン冷却水)をエンジン冷却部に導入して熱
を回収し、その後、排気熱交換器に回収媒体を導入して
さらに熱の回収を行なっている(特許第2691372
号、特開平8−4586号参照)。
媒体(以下、「熱媒体」という)および排気の温度変化
を示す図であり、縦軸は温度、横軸は熱媒体および排気
の流れの方向を示す。熱媒体の温度変化は線Lmで示
し、排気熱交換器内での排気の温度変化は線Lgaおよ
びLgb(並流形式の場合を線Lga、向流形式の場合
を線Lgb)で示す。向流形式の場合の排気の方向は点
線矢印で示す。
ンジンから熱を回収してその温度がp´からq´まで上
昇する。続いてこの熱媒体は排気熱交換器を通過して排
気から熱を回収し、その温度がr´まで上昇する。一
方、排気は熱媒体に熱を奪われてその温度がg´からr
´近傍まで低下する。このように、熱媒体の循環経路の
上流にエンジン冷却部を配し、下流に排気熱交換器を配
した場合、熱媒体は排気熱交換器においてエンジンの本
体より温度が高い排気と熱交換されるため、熱回収前後
の温度差Δtは大きい(ただし、並流形式の場合よりも
向流形式の方が温度差Δtは少し大きくなる)。
れれば、回収熱量は、排熱回収装置の入口および出口に
おける熱媒体のそれぞれの温度の差Δtと流量との積に
比例する。したがって、流量が小さい場合は図5のよう
に大きい温度差(回収温度)Δtになるが、熱媒体の流
量が大きい場合は、次のように温度差Δtは小さくな
る。
ときの熱媒体の温度変化を示す図であり、排気熱交換器
入口での熱媒体の温度が排気の露点Wより低い場合の熱
媒体の温度変化は線Lm1、同じく排気の露点Wより高
い場合の熱媒体の温度変化は線Lm2で示す。また、排
気の温度はそれぞれ線Lg1,Lg2で示す。なお、説
明を簡単にするために排気の方向は並流形式についての
み記述する。
に導入された熱媒体はエンジンから熱を回収してその温
度がc”まで上昇する。続いてこの熱媒体は排気熱交換
器を通過するときにその温度が2段階で上昇する。ま
ず、排気は熱媒体に熱を奪われてその温度がgから急激
に下降する。一方、熱媒体は排気から熱を回収し、排気
が露点Wにまで温度低下したときに熱媒体の温度はb”
まで上昇している。その後、排気が露点Wに達すると排
気組成(排気中の水蒸気)が凝縮して凝縮熱を発生する
ので、その熱を回収してさらに熱媒体の温度はf”まで
上昇する。最終的に温度差Δt1を生じさせる熱が回収
される。
ンジンに導入された熱媒体はエンジンから熱を回収して
温度がq”まで上昇する。続いてこの熱媒体は排気熱交
換器を通過するときに温度がr”まで上昇する。このと
きの熱回収によって温度差Δt2が生じる。
に、従来の排熱回収装置において比較的大流量の熱媒体
で熱回収する場合、小流量の熱媒体で熱回収する場合と
比較すると、回収温度差が小さい。導入される熱媒体の
温度が露点Wより低い場合は排気組成の凝縮熱による温
度上昇をある程度期待できる。しかし、排気熱交換器の
入口に至るまでにエンジンの冷却部から熱回収している
熱媒体の温度はすでに上昇している。したがって、導入
される熱媒体の温度は露点Wより十分に低いとはいえな
いため、排気が露点Wに達するのに時間がかかりすぎ、
結果的に凝縮熱を十分効率的に回収できていない。排気
の温度を早期に露点W以下に低下できれば、より多くの
凝縮熱を回収することができると考えられるが、従来、
この課題は解決されていない。
たものであり、その目的は、排気熱交換器で発生する排
気組成の凝縮熱を有効に利用することができるエンジン
の排熱回収装置を提供することにある。
却部およびエンジン排気を熱源とする排気熱交換器にウ
ォータポンプで熱媒体を循環させて熱回収し、該熱媒体
から熱出力を得るように構成したエンジンの排熱回収装
置において、前記エンジン用のエンジンオイルと前記熱
媒体との熱交換を行うオイル熱交換器を設け、前記熱媒
体を、前記排気熱交換器に供給して排気中の水蒸気が露
点以下になるよう熱交換により受熱させた後、前記オイ
ル熱交換器に供給し、その後、前記エンジンの冷却部に
供給して熱交換により受熱させる熱媒体循環経路を設定
した点に第1の特徴がある。
る熱交換で、運転時間中、排気中の水蒸気が露点以下に
維持されるように、前記熱媒体の温度および/または流
量を設定した点に第2の特徴がある。
る熱交換で、運転時間中の予定割合以上の時間、排気中
の水蒸気が露点以下になるように、前記熱媒体の温度お
よび/または流量を設定した点に第3の特徴がある。
た熱媒体を出力熱交換器へ供給することにより、熱出力
を取り出すよう構成した点に第4の特徴があり、前記ウ
ォータポンプが、前記排気熱交換器の入口側に配置され
た点に第5の特徴がある。
に導入される熱媒体により排気の水蒸気を露点以下に温
度低下させる。したがって、熱媒体は排気が有している
熱および排気の凝縮熱を回収した後、循環経路の下流に
配されたエンジン冷却部に導かれてさらに温度上昇す
る。こうして、十分に熱回収した熱媒体が出力熱交換器
に循環させられる。
れ以外の熱交換手段に供給される経路が設定されるの
で、排気からは十分に温度が低い状態の熱媒体で熱回収
される。すなわち、排気の凝縮による潜熱を熱媒体で最
大限回収することができる。
のあいだじゅう、排気の水蒸気が露点以下に維持され、
第4の特徴によれば、排気回収運転のうちに、水蒸気が
排気熱交換器内で露点以下になるようにした運転時間が
予定割合以上含まれる。
度が低い場所にウォータポンプを配置することにより、
熱媒体はエンジンから熱回収する前にポンプ内を通過
し、高温の熱媒体とポンプの構成部品との接触が避けら
れるので、ウォータポンプのシール部材等が劣化しにく
くなる。
実施形態を詳細に説明する。図1はコジェネレーション
装置に含まれる排熱回収装置の構成を示すブロック図で
ある。排熱回収装置1はエンジン発電機のエンジン部か
ら排熱を回収するよう構成される。排熱回収装置1には
エンジン2およびエンジン2に機械的に連結された発電
機3が設けられている。発電機3はエンジン回転数に応
じた交流を発生する。エンジン2には潤滑オイルを溜め
るオイルパン4が設けられる。オイルパン4にはオイル
クーラ(オイル熱交換器)5が接続されており、オイル
熱交換器5はオイルパン4内のオイルと熱媒体(冷却
水)との熱交換を行う。エンジン2のシリンダヘッド6
にはエアフィルタ7から空気が取入れられる。エンジン
2からの排気は排気マニホルド8および排気熱交換器9
を通って外部へ排出される。
るための熱媒体の循環経路12が設定されている。熱媒
体を循環させるためのウォータポンプ10が熱媒体の循
環経路12の入口側に設けられる。このように熱媒体の
温度が低い場所に配置することにより高温の熱媒体との
接触が避けられるので、ウォータポンプ10のシール部
材等が劣化しにくくなり、ウォータポンプ10の長寿命
化が図られる。ウォータポンプ10で給送された熱媒体
は、まず排気熱交換器9に給送され、続いて、オイルパ
ン4内のオイル熱交換器5、エンジン2、シリンダヘッ
ド6、サーモカバー16を順に経て、後述の熱負荷へ循
環する。サーモカバー16はサーモスタットを内蔵して
いて、予め設定した温度以下では閉弁して熱媒体を循環
させないようにすることができる。
ってエンジン2で発生した熱が回収されて熱負荷へ供給
される。すなわち、熱媒体は、その温度が低いうちに排
気熱交換器9に給送されてエンジン2からの排気と熱交
換して効率的に熱を得る。続いて熱媒体はオイル熱交換
器5に導入され、エンジン2から回収されたオイルと熱
交換してオイルを冷却するとともにそれから熱を得る。
排気熱交換器9およびオイル熱交換器5を順に通過する
ことによって、熱を得て温度上昇した熱媒体は、さらに
エンジン2のシリンダ壁やシリンダヘッド6に設けられ
た管路つまりウォータジャケット6Aからなる冷却部お
よびシリンダヘッド6を通って熱回収し、その温度がさ
らに上昇させられる。
に連系させたコジェネレーション装置の構成を示すブロ
ック図である。電力変換装置13は発電機3から出力さ
れた交流電力を商用電力系統と同じ品質(電圧、周波
数、ノイズ等に関して)の交流に変換し、商用電力系統
の位相と同期をとって連系させる機能を有する。具体的
には、発電機3から出力された交流を直流に変換するコ
ンバータ、およびコンバータで変換された直流を商用電
力系統の周波数、電圧に合致した交流に変換するインバ
ータ、ならびにノイズフィルタおよび連系スイッチ等の
機能を有している。系統連系用電力変換装置の一例は特
公平4−10302号公報に開示されている。電力変換
装置13で変換された発電機3の出力交流は商用電力系
統14と連系して電気負荷15に接続されている。
2の熱は、エンジン2の冷却部や排気熱交換器9等の熱
交換部(集合的に符号11で示す)で回収される。熱交
換部11で熱回収した熱媒体つまり冷却水は管路18を
通って貯湯タンク17に熱量を運搬する。貯湯タンク1
7には管路18に接続された出力熱交換器(以下、「第
1熱交換器」という)20が設けられ、図示しない水供
給源から貯湯タンク17に供給された水はこの第1熱交
換器20から熱を得て温水になる。貯湯タンク17に蓄
えられた温水は、第1熱負荷としての給湯器21に供給
されて利用される。
ブ(図示せず)が設けられ、貯湯タンク17内の水量が
基準値以下になったときに、このバルブが開かれて給水
される。ポンプ10はエンジン2の運転に連動して起動
する一方、エンジン2が停止すると、その時点から予定
時間(タイマによって設定される)経過後に停止するよ
うにするのがよい。
22が設けられる。第2熱交換器22に接続された管路
23にはセントラルヒーティングシステムや床暖房シス
テム等、第2熱負荷としての暖房装置24が接続されて
おり、貯湯タンク17内の温水を給湯器21に供給する
温水経路とは独立した第2の温水経路を構成している。
この第2の温水経路によって、貯湯タンク17から2次
的に効率よく熱を回収することができる。
も上方の位置に配置したのは、第1熱交換器20から熱
量を得た温度の高い水は、対流により第1熱交換器20
よりも上方に移動しているためである。第1熱交換器2
0よりも第2熱交換器22を上方に配置することによ
り、対流して上方に移動した高温の温水から多くの熱量
を取出すことができる。
5と三方弁26とが設けられている。追い焚きボイラ2
5には第2の温水経路内で温水を循環させるためのポン
プ27が設けられている。三方弁26はバイパス28側
または暖房装置24側に温水を循環させるための切り替
え手段である。この三方弁26を制御することによっ
て、次のような経路を形成できる。三方弁26を暖房装
置24側に切り替えると、貯湯タンク17から出た温水
が追い焚きボイラ25および暖房装置24を経て貯湯タ
ンク17に戻る温水経路が形成される。一方、三方弁2
6をバイパス28側に切り替えると、貯湯タンク17か
ら出た温水が、追い焚きボイラ25を通過した後、暖房
装置24を経由せず、バイパス28を経て貯湯タンク1
7に戻る温水経路が形成される。
媒体温度検出手段としての温度センサTS1が設けら
れ、温度センサTS1で検知された温水の温度情報T1
はコントローラ29に供給される。温度センサTS1は
貯湯タンク17内の、第1熱交換器20の上端近傍から
第2熱交換器22の下端近傍までの適当な高さに設置さ
れることができるが、最も好ましくは、第1熱交換器2
0と第2熱交換器22との中間位置に設置されるのがよ
い。貯湯タンク17内では、対流により最下端付近では
温度が低くなり、最上端近傍では温度が高くなる温度勾
配を生じる傾向があるため、上記位置に温度センサTS
1を設けて貯湯タンク17内の平均的な温度を検出でき
るようにしたものである。
てエンジン2の始動および停止の制御を行う。すなわ
ち、温度情報T1は、貯湯タンク17の温水を直接的に
利用している給湯器21や、第2熱交換器22を介して
間接的に温水を利用している暖房装置24等の熱需要を
代表しているので、コントローラ29は、この温度情報
T1が基準温度Tref-1 以下であれば熱需要が大きいと
判断してエンジン2を駆動し、熱量を発生させる。ま
た、温度情報T1が基準温度Tref-1 以上になれば、貯
湯タンク17内には十分な熱量が蓄えられたと判断して
エンジン2を停止させる。
(つまり給湯器21や暖房装置24の種類や大きさ)、
熱交換部11の熱出力、および貯湯タンク17の容量等
に基づいて決定される。基準温度Tref-1 はエンジン2
の安定運転のため、つまり頻繁な起動・停止を回避する
ためのヒステリシスを有している。
て駆動する場合、発電機3が一定の発電電力を出力する
ように運転してもよいし、電力負荷15の大きさに応じ
た発電電力を出力するように、電力負荷追随型で運転し
てもよい。一定発電出力型においては、駆動源であるエ
ンジン2は、その回転数がほぼ一定となる定格運転にす
ることができるので、燃料消費量が少なくかつ排気ガス
の状態も良好な、高い効率の運転が可能である。ここ
で、大きい電力需要が生じて発電機3による発電電力に
不足が生じた場合は、商用電源14からの電力で不足分
をまかなうことができる。
り熱需要の大きさや、発電機3の運転方法つまり一定発
電出力型であるか電力負荷追随型であるかによって大き
く左右される。例えば、温水消費量が少ない場合は、温
度センサTS1で検出された水温に基づいて発電機3を
運転すれば水温は80°C程度に維持できる。しかし、
給湯器21および暖房装置24の双方で熱需要が発生し
た場合のように温水が急激に大量に使用された場合や、
システムの立上げ時には、貯湯タンク17内の温水の温
度は低下し、給水される水の温度程度にしかならないこ
とがある。
の回収熱のみでは基準温度に維持できないときに、追い
焚きボイラ25が有効に機能する。温水コントローラ3
0は、追い焚きボイラ25と三方弁26に追い焚き指令
Bと切替え指令Cを供給する。温水コントローラ30に
は前記基準温度Tref-1 よりも低い下方基準温度Tref-
L が設定されており、貯湯タンク17内の水温T1がこ
の下方基準温度Tref-L を下回った場合に追い焚き指令
Bおよび切替え指令Cをともにオンにする。追い焚き指
令Bがオンのときは追い焚きボイラ25が駆動され、切
替え指令Cがオンのときは三方弁26はバイパス28側
に切り替えられる。これにより、追い焚きボイラ25で
加熱された温水が管路23を循環し、この温度が高めら
れた温水は第2熱交換器22を通じて貯湯タンク17内
の水の温度を上昇させる。
ref-L を超えたならば追い焚き指令Bおよび切替え指令
Cはともにオフにし、追い焚きボイラ25を稼働させ
ず、三方弁26を暖房装置24側に切り替えて暖房需要
に応えられるよう制御する。下方基準温度Tref-L も基
準温度Tref-1 と同様ヒステリシスを有する。
ことによって温水は暖房装置24に循環しなくなる。し
かし、給湯器21からの給湯需要が風呂や台所用の給湯
であれば、たいていの場合長時間連続して給湯されるこ
とは少ない。また、熱負荷が暖房装置24の場合、一旦
室内の温度が上昇した後は、熱需要の変化が比較的緩慢
であるため、室温が低くなり過ぎるということは少な
く、実用上の問題は発生しにくい。
て、三方弁26を暖房装置24側に切り替えたまま、追
い焚きボイラ25を駆動させることができる。これによ
り、暖房装置24に十分な温度の温水をすみやかに供給
することができる。暖房装置24の熱需要の増大は、例
えば、暖房装置24の暖房設定温度に応じて判断するこ
とができる。なお、三方弁26による切り替えにより、
すべての温水の流れを変えるのに限らず、三方弁26の
開度を可変とし、管路23の温水の少なくとも一部を第
2熱交換器22に戻すようにしてもよい。
成の露点W以下になるようにすれば、より効率的に凝縮
熱を回収できる。図3は、排気熱交換器9の入口ないし
シリンダヘッド6間での熱媒体の温度を示す図である。
熱媒体の温度変化は線Lm0で示し、排気の温度は線L
g0で示す。排気熱交換器9は、熱媒体および排気の流
れが互いに対向する向流形式に構成されているので、排
気と熱媒体の流れの方向は互いに逆方向で示している。
の入口で温度gであった排気が、排気熱交換器9の熱媒
体の入口つまり排気の出口では、排気の露点W以下の温
度g´に低下している。したがって、排気熱交換器9に
導入された熱媒体は直ちに排気の凝縮熱を回収して短時
間で温度aから温度a´まで急激に温度上昇する。熱媒
体が急激に温度上昇するときの勾配(線分aa´の勾
配)は、排気熱交換器9へ導入される熱媒体の流量や温
度(温度a)に左右され、流量が大きいほど、また導入
される熱媒体の温度が低いほど急である。
に導入されて最初にこの排気熱交換装置に導入されるの
で、熱媒体の温度が低いうちに排気熱交換器9で排気と
熱交換される。したがって、勾配aa’を急にするのに
好適である。
前記勾配aa´のように急激ではないが、緩やかな勾配
a´cに沿って熱媒体は徐々に加温される。温度cまで
温度上昇した熱媒体は、続いてオイルクーラ5で熱回収
して温度上昇し、さらにエンジン2の冷却部で熱回収し
て最終的に温度fで排熱回収装置から排出される。結果
的に、排気熱交換器9に導入されてエンジン2の冷却部
から排出されるまでの間に温度差Δt3を得ている。
での熱媒体の温度は、一例として、排気熱交換器9の入
口で75°C、オイルパン4の入口で78°C、同出口
では78.5°C、ウォータジャケット6A出口では8
5°Cであった。通常運転時において、エンジンオイル
の温度は、一例として90°C程度に維持する必要があ
るが、この熱媒体の温度の例から見られるように、排気
熱交換器9で熱交換した後、熱媒体をオイルクーラ5に
導入した場合でも、十分にエンジンオイルの冷却効果が
維持されている。
から熱回収するためには、排気熱交換器9から排出され
る排気の温度が常に露点W以下になるように熱媒体の流
量および/または温度を設定するのが好ましい。まず、
排気熱交換器9へ導入される熱媒体の温度(入口温度)
が固定ならば、熱媒体の流量が大きいときは排気からの
回収熱量が大きく、流量が小さいときは排気からの回収
熱量が小さい。したがって、熱負荷側の要求温度が決定
されたならば、その要求温度に対応する熱媒体の温度に
基づいて、排気の温度を露点W以下に維持できるような
目標流量を予め実験等によって設定する。設定された目
標流量は、ウォータポンプ10の回転数制御により得る
ことができる。
量を設定すると、熱負荷側の要求温度が高い場合、その
要求を満足する熱媒体の温度が得られないことがある。
この場合は熱媒体の流量を低減させて入口温度を高く
し、凝縮熱の利用程度を小さくする。但し、この場合で
も、できるだけ効率よく熱回収するため、機器運転時間
のうちに、排気が露点W以下になるような熱媒体の流量
によって運転する時間がなるべく多く含まれていること
が好ましい。
口温度を制御して排気を露点W以下にすることができ
る。まず、排気を露点W以下にするための入口温度の基
準温度Tw を設定する。そして、入口温度がこの基準温
度Tw を超えて、熱回収の効率が低下するようになれば
エンジン2を停止させる。エンジン2を停止させて、入
口温度が基準温度Tw 以下になれば、再びエンジン2の
運転を始める。この制御により、熱媒体の入口温度は基
準温度Tw に維持され、高い効率で熱回収を行うことが
できる。入口温度制御のための温度センサは排気熱交換
器9の入口に配置するのが望ましいが、熱媒体の循環経
路上において、ウォータポンプ10の上流直近や、シリ
ンダヘッド6の前後に設けることもできる。
は、上述の温度情報T1の基準温度Tref-1 の設定によ
っても行うことができる。すなわち、熱媒体の入口温度
と温度情報T1との関係を予め調査しておき、この関係
に従って基準温度TW に対応する基準温度Tref-1 を設
定する。こうして設定した基準温度Tref-1 に従ってエ
ンジン2の運転および停止を行うことにより、排気を露
点W以下にすることができる。
の基準温度TW を設定すると、熱負荷側の要求温度が高
い場合、その要求を満足する熱媒体の温度が得られない
ことがある。この場合は、熱媒体の基準温度TW を高め
に設定しておく。基準温度TW は、排気が露点W以下に
ならない時間を含みつつ、運転時間全体にわたって熱回
収効率を大きく損なうことなく熱負荷側の要求を満たす
ことができるよう予め実験等に基づいて設定する。前記
基準温度Tref-1 のヒステリシスを調節することによ
り、エンジン2の運転および停止のタイミングを制御す
ることによっても同様の作用を行わせることができる。
の貯湯タンク17内の温水温度を熱負荷の要求に対応さ
せて所望の温度に維持させるのが望ましい。上述のよう
に、温度センサTS1からの温度情報T1が基準温度T
ref-1 より高いときにエンジン2を停止させるようにし
ている場合は、このエンジン2の運転状況を勘案して熱
媒体の流量を決定すればよい。すなわち、基準温度Tre
f-1 に従ってエンジン2の運転・停止が制御されている
ときは、この運転・停止の状況からエンジン2の排熱を
経験的に割り出し、この排熱との関連で基準温度Tw を
超えないように熱媒体Wの流量を決定する。こうしてお
けば、流量を固定した状態で、エンジン2の断続運転に
対応して熱媒体の温度を基準温度Tw に維持することが
でき、排気温度を露点W以下にすることができる。
点W以下にする場合も、流量を基準にして排気の温度を
露点W以下にする場合と同様、機器運転時間中に排気の
温度が露点W以下になる運転時間をなるべく多く含むよ
う熱媒体の温度を設定することが好ましい。
一方を固定して他方を制御するのに限らず、双方を可変
として制御してもよい。要は、熱負荷側の要求を満足さ
せつつ排気熱交換器9に導入される排気から効率的に熱
を回収できるよう排気熱交換器9に導入される熱媒体の
保有熱量を制御すればよい。
媒体の流量や温度を検出してこれらを基準値に制御する
のに代えて、排気の温度を直接検出し、この排気の温度
を基準値に収斂するように熱媒体の温度や流量を制御し
てもよい。この場合、排気温度センサは排気熱交換器9
の内部およびその上下流直近(排気出口近傍が好まし
い)に設置するとよい。
交換器9への導入温度を、排気熱交換器内で排気が露点
W以下になるように設定することにより、排気の凝縮熱
によって熱媒体の熱回収効率を高めることができる。最
終的に、熱媒体が回収した熱による熱媒体の温度上昇分
(温度差Δt3)は、図5に示した従来装置よりも大き
い。エンジン冷却部よりも先に排気熱交換器に熱媒体を
通すことによって、特に、排気熱交換器9へ導入される
熱媒体の温度が排気の露点Wより低い場合に効果が大き
い。
流形式に構成されているが、並流形式でも同様に作用す
る。図4は、並流形式の排気熱交換器9の入口ないしシ
リンダヘッド6間での熱媒体の温度を示す図である。排
気熱交換器入口での熱媒体の温度が排気の露点Wより低
い場合の熱媒体の温度変化は線Lm1、排気の温度はそ
れぞれ線Lg1で示す。
た温度aの熱媒体は温度gの排気から熱回収して徐々に
排気の温度を低下させる。排気の温度が露点Wまで低下
した時点(熱媒体は温度bに上昇している)で、排気組
成が凝縮して凝縮熱を発生するので、熱媒体は急勾配b
cで温度上昇する。最終的に温度差Δt3´が得られて
いる。この勾配は、向流形式と同様、排気熱交換器9へ
導入される熱媒体の流量や温度(温度a)によって決定
され、流量が大きいほど、また導入される熱媒体の温度
が低いほど急である。熱交換器の形式としては並流形
式、向流形式の他、直交流形式と呼ばれるものやこれら
の変形についても成立しうる。
5を用いてオイルパン4内のオイルからも熱回収するよ
うにした。これは、極寒地のように熱媒体が容易に温度
上昇しない場合に有効であり、オイルの温度を下げる効
果もあるが、使用環境等によっては必ずしもオイル熱交
換器5を設けることはない。
1〜請求項5の発明によれば、エンジンで発生した熱を
効率よく回収することができる。特に、熱媒体が、その
温度の最も低い状態で排気熱交換器へ導入されるので、
排気からの潜熱の回収をより最大にすることができる。
この熱回収の高効率化により、ランニングコストの低減
を図ることができる。
収した熱をエンジンオイルに伝達することができるの
で、エンジンオイルをいち早く温度上昇させて定常運転
状態に移行できるので、エンジンオイルのフリクション
ロスを低減することができる。
水蒸気を露点以下にして凝縮熱を利用するために、熱媒
体の温度および/または流量を制御する運転を部分的に
含むことができるので、熱回収の効率を高めながら熱媒
体の温度を高くすることができる。
を循環させるウォータポンプの寿命を長くすることがで
きる。
部構成を示すブロック図である。
むコジェネレーション装置の構成を示すブロック図であ
る。
る。
排気の温度変化を示す図である。
である。
化を示す図である。
4…オイルパン、 5…オイル熱交換器、 9…排気熱
交換器、 10…熱媒体用ポンプ、 11…熱交換部、
12…循環経路、 13…電力変換装置、 14…商
用電力系統、 15…電気負荷、 17…貯湯タンク、
20…第1熱交換器
Claims (5)
- 【請求項1】 エンジンの冷却部およびエンジン排気を
熱源とする排気熱交換器にウォータポンプで熱媒体を循
環させて熱回収し、該熱媒体から熱出力を得るように構
成したエンジンの排熱回収装置において、 前記エンジン用のエンジンオイルと前記熱媒体との熱交
換を行うオイル熱交換器を設け、 前記熱媒体を、前記排気熱交換器に供給して排気中の水
蒸気が露点以下になるよう熱交換により受熱させた後、
前記オイル熱交換器に供給し、その後、前記エンジンの
冷却部に供給して熱交換により受熱させる熱媒体循環経
路を設定したことを特徴とするエンジンの排熱回収装
置。 - 【請求項2】 前記排気熱交換器における熱交換で、運
転時間中、排気中の水蒸気が露点以下に維持されるよう
に、前記熱媒体の温度および/または流量を設定したこ
とを特徴とする請求項1記載のエンジンの排熱回収装
置。 - 【請求項3】 前記排気熱交換器における熱交換で、運
転時間中の予定割合以上の時間、排気中の水蒸気が露点
以下になるように、前記熱媒体の温度および/または流
量を設定したことを特徴とする請求項1記載のエンジン
の排熱回収装置。 - 【請求項4】 前記熱媒体循環経路を経た熱媒体を出力
熱交換器へ供給することにより、熱出力を取り出すよう
構成したことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記
載のエンジンの排熱回収装置。 - 【請求項5】 前記ウォータポンプが、前記排気熱交換
器の入口側に配置されたことを特徴とする請求項1〜4
のいずれかに記載のエンジンの排熱回収装置。
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