JP2002317096A - 長靴用熱可塑性エラストマー組成物及びそれを用いた長靴 - Google Patents
長靴用熱可塑性エラストマー組成物及びそれを用いた長靴Info
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Abstract
よび成形加工性に優れ、かつゴワゴワした履き心地が解
消された非塩素系の長靴用熱可塑性エラストマー組成物
及び長靴の提供。 【解決手段】 (a)芳香族ビニル化合物を主体とする
重合体ブロックAの少なくとも2個と、共役ジエン化合
物を主体とする重合体ブロックBの少なくとも1個とか
らなるブロック共重合体及び/又はそれを水素添加して
得られる水添ブロック共重合体100重量部、(b)非
芳香族系ゴム用軟化剤成分5〜250重量部、(c)M
FRが700〜900g/10分のポリプロピレン系樹
脂成分5〜50重量部、(d)水添石油樹脂5〜50重
量部、及び(e)芳香族ビニル系樹脂5〜100重量部
を含有する長靴用熱可塑性エラストマー組成物及びそれ
からなる長靴。
Description
ラストマー組成物に関し、特に、成形性、風合い、強度
に優れた長靴用熱可塑性エラストマー組成物及びそれを
用いた長靴に関する。
硫工程を必要とする合成ゴム、又は加硫工程を必要とし
ない軟質ポリ塩化ビニル(PVC)が、射出成形加工
性、耐傷付性、風合い(履き心地)などに優れ、多用さ
れてきた。しかし、昨今の環境問題等に対処するため、
市場から熱可塑性エラストマー(TPE)素材の要求が
増えてきている。
ーとしては、スチレン系熱可塑性エラストマー(SB
C)、オレフィン系熱可塑性エラストマー(TPO)、
ウレタン系熱可塑性エラストマー(TPU)、ポリエス
テル系熱可塑性エラストマー(TPEE)、ポリアミド
系熱可塑性エラストマー(TPAE)、1,2−ポリブ
タジエン系熱可塑性エラストマーなどの熱可塑性エラス
トマーが挙げられる。
ストマー(SBC)は、特に、柔軟性に富み、機械的強
度等に優れているが、その分子内に共役ジエンとして二
重結合を有しているため、耐熱性、耐候性および耐油性
に問題がある。また、該スチレン系熱可塑性エラストマ
ー中のスチレンと共役ジエンのブロック共重合体の分子
内二重結合を水素添加したエラストマー組成物は、耐熱
老化性(熱安定性)および耐候性を向上させたエラスト
マーとして、広く多用されているが、ショアA硬さで4
0以上であるため、軟化剤の添加量を増量することによ
って軟化させており、かかる場合には、成形品表面にベ
タツキが発生したり、加熱応力下において軟化剤のブリ
ードアウトを生じ、更にゴワゴワした風合いとなり、長
靴用エラストマー組成物としては適していなかった。
底部の射出ランナーから熱可塑性エラストマー組成物を
モールドに導入すると、一般に、長靴の前面の甲部から
胴部への屈曲部においてモールド内の樹脂速度は遅くな
り、得られた長靴製品における部位によっては、硬さと
柔軟性のバランスが悪くなるという問題があった。
目的は、上記の欠点を改善し、ゴム弾性に富み、耐熱
性、耐候性、耐油性および成形加工性に優れた長靴用熱
可塑性エラストマー組成物、及びそれを用いたゴワゴワ
した履き心地が解消された長靴を提供することにある。
的を達成すべく鋭意研究を重ねた結果、スチレン系熱可
塑性エラストマーに特定量の高流動性ポリプロピレン系
樹脂、芳香族ビニル系樹脂、水添石油樹脂を配合するこ
とにより、ゴム弾性に富み、耐熱性、耐油性および成形
加工性に優れた長靴用熱可塑性エラストマー組成物が得
られ、それを用いることによりゴワゴワした履き心地が
解消された長靴が得られることを見出し、本発明を完成
した。
芳香族ビニル化合物を主体とする重合体ブロックAの少
なくとも2個と、共役ジエン化合物を主体とする重合体
ブロックBの少なくとも1個とからなるブロック共重合
体及び/又はそれを水素添加して得られる水添ブロック
共重合体100重量部、(b)非芳香族系ゴム用軟化剤
5〜250重量部、(c)メルトフローレートが700
〜900g/10分であるポリプロピレン系樹脂5〜5
0重量部、(d)水添石油樹脂5〜50重量部、及び
(e)芳香族ビニル系樹脂5〜100重量部を含有する
ことを特徴とする長靴用熱可塑性エラストマー組成物で
ある。
充填剤1〜100重量部を更に添加してなることを特徴
とする第1の発明に記載の長靴用熱可塑性エラストマー
組成物である。
の発明に記載の長靴用熱可塑性エラストマー組成物を成
形してなる長靴である。
て以下に詳細に説明する。
構成成分 (1)スチレン系ブロック共重合体及び/又はその水添
ブロック共重合体成分(a) 本発明の熱可塑性エラストマー組成物で用いるスチレン
系ブロック共重合体成分(a)は、芳香族ビニル化合物
を主体とする重合体ブロックAの少なくとも2個と、共
役ジエン化合物を主体とする重合体ブロックBの少なく
とも1個とからなるブロック共重合体又はこれらを水素
添加して得られるもの、あるいはこれらの混合物であ
る。例えば、A−B−A、B−A−B−A、A−B−A
−B−A等の構造を有する芳香族ビニル化合物−共役ジ
エン化合物ブロック共重合体又はこれらの水素添加され
たもの等を挙げることができる。
(水添)ブロック共重合体とは、ブロック共重合体、及
び/又は、水添ブロック共重合体を意味する。)は、芳
香族ビニル化合物を5〜60重量%、好ましくは、20
〜50重量%含む。
ロックAは、好ましくは、芳香族ビニル化合物のみから
なるか、または芳香族ビニル化合物50重量%以上、好
ましくは70重量%以上と(水素添加された)共役ジエ
ン化合物(以下、(水素添加された)共役ジエン化合物
とは、共役ジエン化合物、及び/又は、水素添加された
共役ジエン化合物を意味する。)との共重合体ブロック
である。
体とする重合体ブロックBは、好ましくは、(水素添加
された)共役ジエン化合物のみからなるか、または(水
素添加された)共役ジエン化合物50重量%以上、好ま
しくは70重量%以上と芳香族ビニル化合物との共重合
体ブロックである。
しくは5,000〜1,500,000、より好ましく
は、10,000〜550,000、更に好ましくは5
0,000〜150,000の範囲であり、分子量分布
は10以下である。ブロック共重合体の分子構造は、直
鎖状、分岐状、放射状あるいはこれらの任意の組合せの
いずれであってもよい。
とする重合体ブロックA、共役ジエン化合物を主体とす
る重合体ブロックBにおいて、分子鎖中の共役ジエン化
合物又は芳香族ビニル化合物由来の単位の分布がランダ
ム、テーパード(分子鎖に沿ってモノマー成分が増加又
は減少するもの)、一部ブロック状又はこれらの任意の
組合せでなっていてもよい。芳香族ビニル化合物を主体
とする重合体ブロックA又は共役ジエン化合物を主体と
する重合体ブロックBがそれぞれ2個以上ある場合に
は、各重合体ブロックはそれぞれが同一構造であっても
異なる構造であってもよい。
化合物としては、例えば、スチレン、α−メチルスチレ
ン、ビニルトルエン、p−第3ブチルスチレン等のうち
から1種又は2種以上を選択でき、なかでもスチレンが
好ましい。また共役ジエン化合物としては、例えば、ブ
タジエン、イソプレン、1,3−ペンタジエン、2,3
−ジメチル−1,3−ブタジエン等のうちから1種又は
2種以上が選ばれ、なかでもブタジエン、イソプレン及
びこれらの組合せが好ましい。
スチレン−ブタジエン−スチレン共重合体(SBS)、
スチレン−イソプレン−スチレン共重合体(SIS)、
等が挙げられる。
重合体の水素添加物であり、芳香族ビニル化合物を主体
とする重合体ブロックAの少なくとも2個と、共役ジエ
ン化合物を主体とする重合体ブロックBの少なくとも1
個とからなるブロック共重合体の水素添加物である。
共役ジエン化合物を主体とする重合体ブロックBにおい
て、そのミクロ構造は、任意であり、水素添加率は任意
であるが、好ましくは50%以上、より好ましくは55
%以上、更に好ましくは60%以上である。例えば、ポ
リブタジエンブロックにおいては、1,2−ミクロ構造
が好ましくは20〜50重量%、特に好ましくは25〜
45重量%である。また、1,2−結合を選択的に水素
添加した物であっても良い。ポリイソプレンブロックに
おいてはイソプレンの好ましくは70〜100重量%が
1,4−ミクロ構造を有し、かつイソプレンに由来する
脂肪族二重結合の少なくとも90%が水素添加されたも
のが好ましい。
を使用する場合には、好ましくは上記水添物を用途に合
わせて適宜使用することが出来る。
スチレン−エチレン・ブテン−スチレン共重合体(SE
BS)、スチレン−エチレン・プロピレン−スチレン共
重合体(SEPS)、スチレン−エチレン・エチレン・
プロピレン−スチレン共重合体(SEEPS)、スチレ
ン−ブタジエン・ブチレン−スチレン共重合体(部分水
添スチレン−ブタジエン−スチレン共重合体、SBB
S)等を挙げることができる。
ク共重合体の製造方法としては数多くの方法が提案され
ているが、代表的な方法としては、例えば特公昭40−
23798号公報に記載された方法により、リチウム触
媒又はチーグラー型触媒を用い、不活性媒体中でブロッ
ク重合させて得ることができ、水添ブロック共重合体
は、上記ブロック共重合体を公知の方法で水素添加して
得ることができる。
用軟化剤成分(b)は、得られた長靴の柔軟性をコント
ロールし、履き心地を良くすることに寄与する。成分
(b)としては、非芳香族系の鉱物油または液状もしく
は低分子量の合成軟化剤を挙げることができる。ゴム用
として用いられる鉱物油軟化剤は、芳香族環、ナフテン
環およびパラフィン鎖の三者の組み合わさった混合物で
あって、パラフィン鎖炭素数が全炭素数の50%以上を
占めるものはパラフィン系、ナフテン環炭素数が30〜
40%のものはナフテン系、芳香族炭素数が30%以上
のものは芳香族系と呼ばれて区別されている。
油系ゴム用軟化剤は、区分でパラフィン系およびナフテ
ン系のものである。芳香族系の軟化剤は、その使用によ
り成分(a)が可溶となり、得られる組成物の物性の向
上が図れないので好ましくない。本発明の成分(b)と
しては、パラフィン系のものが好ましく、更にパラフィ
ン系の中でも芳香族環成分の少ないものが特に適してい
る。また、液状もしくは低分子量の合成軟化剤として
は、ポリブテン、水素添加ポリブテン、低分子量ポリイ
ソブチレン等が挙げられる。
は、37.8℃における動的粘度が20〜50000c
St、100℃における動的粘度が5〜1500cS
t、流動点が−10〜−15℃、引火点(COC)が1
70〜300℃を示すのが好ましい。さらに、重量平均
分子量が100〜2,000のものが好ましい。
重量部に対して、5〜250重量部、好ましくは50〜
150重量部である。配合量が5重量部未満であると柔
軟性のコントロールが難しく、また、成形性が悪くな
る。250重量部を超えると、得られる長靴から軟化剤
がブリードアウトしやすく、強度低下やベタツキが生じ
る。
系樹脂成分(e)は、得られる組成物の流動性を向上さ
せ、成形性を改良すると共に、硬度及び収縮率の調整に
効果を有するものである。該成分としては、例えば、ア
イソタクチックポリプロピレンやプロピレンと他のα−
オレフィン、例えば、エチレン、1−ブテン、1−ヘキ
セン、4−メチル−1−ペンテン、1−オクテンなどと
のランダム、ブロック共重合体を挙げることができる。
(MFR、ASTM D−1238、L条件、230
℃)は、700〜900g/10分であり、好ましくは
750〜850g/10分である。MFRが700g/
10分未満では、得られるエラストマー組成物による長
靴の成形が困難となり、900g/10分を超えると、
得られるエラストマー組成物の物性が悪化する。
重量部に対して、5〜50重量部であり、好ましくは1
0〜40重量部である。配合量が5重量部未満である
と、成形性が悪くなり、50重量部を超えると、得られ
る長靴の履き心地が悪くなり、成形時に脱靴時の歪みが
残る。
分(d)は、長靴にバランスのよい柔軟性とグリップ性
(滑り止め性)を付与する機能、すなわち、柔軟性があ
り、脱靴時の歪みを抑える機能を果たす。本発明におい
て用いることのできる水添石油樹脂としては、水素化石
油樹脂であって、例えば水素化脂肪族系石油樹脂、水素
化芳香族系石油樹脂、水素化共重合系石油樹脂及び水素
化脂環族系石油樹脂、及び水素化テルペン系樹脂等が挙
げられる。
油化学工業の各種工程で得られる樹脂状物、又は、それ
らの工程、特にナフサの分解工程にて得られる不飽和炭
化水素を原料として共重合して得られる樹脂のことをい
う。例えば、C5留分を主原料とする脂肪族系石油樹
脂、C9留分を主原料とする芳香族系石油樹脂、シクロ
ペンタジエン系化合物を主原料とする脂環族系石油樹
脂、それらの共重合系石油樹脂が挙げられる。上記水素
化石油樹脂は、公知の方法によって水素化することによ
り得られる。
中でもシクロペンタジエン系化合物とスチレン等の芳香
族ビニル系化合物とを共重合した石油樹脂を水素添加し
たものが好ましい。
重量部に対して、5〜50重量部、好ましくは5〜30
重量部の量である。5重量部未満であると長靴製品の風
合いが悪化する。50重量部を超えると、長靴製品の表
面性、特に表面にベタツキが生じる。
樹脂成分(e)は、得られる長靴の風合いの向上を発現
させる機能を果たす。用いることのできる芳香族ビニル
系樹脂としては、例えば、ポリスチレン、ゴム変性ポリ
スチレン(耐衝撃性ポリスチレン)、スチレン−α−メ
チルスチレン共重合体、スチレン−パラメチルスチレン
共重合体、スチレン−アクリル酸ゴム−アクリロニトリ
ル共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体などが
挙げられ、これらのうちから1種類又は2種類以上を選
択できる。ゴム変性ポリスチレンのゴム成分は2〜15
重量%含有するものである。これらの中でもポリスチレ
ンが好ましい。また、ポリスチレンのメルトフローレー
トは、0.5〜60g/10分(200℃、荷重5.0
kgで測定)のものが好ましく、さらに、重量平均分子
量103〜107のものが好ましい。
重量部に対して、5〜100重量部であり、好ましくは
10〜80重量部、更に好ましくは15〜50重量部で
ある。配合量が5重量部未満であると、成形性向上のた
めポリプロピレン系樹脂を増量する必要があり、得られ
る長靴はゴワゴワした履き心地となる。100重量部を
超えると、得られるエラストマ−組成物の硬度が高くな
りすぎて柔軟性が失われ、ゴム的感触の長靴が得られな
い。
に応じて、無機充填剤成分(f)を配合することができ
る。成分(f)は、エラストマー組成物から得られる長
靴製品の圧縮永久歪みなど一部の物性を改良する効果の
ほかに、ベタツキの抑制、増量による経済上の利点を有
する。成分(f)としては、炭酸カルシウム、タルク、
シリカ、珪藻土、硫酸バリウム、炭酸マグネシウム、水
酸化マグネシウム、マイカ、クレー、酸化チタン、カー
ボンブラック、ガラス繊維、中空ガラスバルーン、炭素
繊維、チタン酸カルシウム繊維、天然けい酸、合成けい
酸(ホワイトカーボン)等が挙げられる。これらの中で
は、炭酸カルシウム、タルクが特に好ましい。
成分(a)100重量部に対して、1〜100重量部が
好ましく、より好ましくは、10〜40重量部である。
配合量が、100重量部を超えると、得られる長靴の耐
傷付性、機械的強度の低下が著しく、かつ、硬度が高く
なって柔軟性が失われ、ゴム的な感触の製品が得られな
くなる。
に、さらに必要に応じて、各種のブロッキング防止剤、
シール性改良剤、熱安定剤、酸化防止剤、光安定剤、紫
外線吸収剤、滑剤、結晶核剤、着色剤等を含有すること
も可能である。ここで、酸化防止剤としては、例えば、
2,6−ジ−tert−p−ブチル−p−クレゾール、
2,6−ジ−tert−ブチルフェノール、2,4−ジ
メチル−6−tert−ブチルフェノール、4,4−ジ
ヒドロキシジフェニル、トリス(2−メチル−4−ヒド
ロキシ−5−tert−ブチルフェニル)ブタン等のフ
ェノール系酸化防止剤、ホスファイト系酸化防止剤、チ
オエーテル系酸化防止剤等が挙げられる。このうちフェ
ノール系酸化防止剤、ホスファイト系酸化防止剤が特に
好ましい。酸化防止剤は、上記の成分(a)〜(e)の
合計100重量部に対して、0〜3.0重量部が好まし
く、特に好ましくは0.1〜1.0重量部である。
製造 本発明の熱可塑性エラストマー組成物は、上記成分
(a)〜(e)、又は必要に応じて成分(f)等を加え
て、各成分を同時にあるいは任意の順に加えて溶融混練
することにより製造することができる。
公知の方法を使用し得る。例えば、単軸押出機、二軸押
出機、ロール、バンバリーミキサー又は各種のニーダー
等を使用し得る。例えば、適度なL/Dの二軸押出機、
バンバリーミキサー、加圧ニーダー等を用いることによ
り、上記操作を連続して行うこともできる。ここで、溶
融混練の温度は、好ましくは160〜220℃である。
いて、長靴を成形する。本発明の長靴用熱可塑性エラス
トマー組成物は、長靴の甲部、胴部、底部等の靴の全て
の部分の材料として用いることができる。
が、一般に、靴下状の裏布材をラストモールドに吊り込
み、ラストモールド、ボトムモールド、サイドモールド
を嵌合し、本発明の長靴用熱可塑性エラストマー組成物
を長靴成形空隙内に射出して胴部、甲部、靴底部を一体
成形した長靴を製造することができる。なお、靴底部を
他の樹脂で成形することもできる。また、靴下状裏布材
としては、織布、編布、人工皮革、合成皮革などを使用
することができる。
を用いて射出成形して得られた長靴は、ゴワゴワした履
き心地が解消され、実履きしたときの風合い(履き心
地)に優れ、また長期使用に耐える強度を有する。
的に説明するが、本発明は、実施例のみに限定されるも
のではない。なお、用いた試験方法及び試料は以下の通
りである。
FR):ASTM D−1238に準拠して230℃、
2.16kg荷重で測定した。 (2)硬度(HDA):JIS K 6252に準拠
し、試験片は6.3mm厚プレスシートを用いた。 (3)引張強さ:JIS K 6251に準拠し、試験
片は1mm厚プレスシートを、3号ダンベル型試験片に
打抜いて使用した。引張速度は500mm/分とした。 (4)100%伸び応力:JIS K 6251に準拠
し、試験片は1mm厚プレスシートを、3号ダンベル型
試験片に打抜いて使用した。引張速度は500mm/分
とした。 (5)破断伸び:JIS K 6251に準拠し、試験
片は1mm厚プレスシートを、3号ダンベル型試験片に
打抜いて使用した。引張速度は500mm/分とした。
長靴を成形し、下記の基準で判断した。 ○:ヒケ、バリがなく良好に成形できた。 △:成形は可能であったがフローマーク、ウエルドライ
ンが見られた。 ×:成形型の流動末端まで樹脂が流れきらず、成形が不
可能であった。
形による成形時に、長靴の離型時の状況を下記の基準で
判断した。 ○:脱靴時の歪みがなく離型できる。 △:脱靴時に若干の歪みが生じる。 ×:脱靴時に歪みが生じ、変形がひどい。
を手で触って下記の基準で判断した。 ○:長靴表面にベタツキを感じない。 △:長靴表面に若干ベタツキがある。 ×:長靴表面にベタツキがあり、汚れもつく。
形した長靴を5人の造園業の女性作業者に2ヶ月(実動
8時間/日)実履きしてもらい、モニター試験を行い、
下記の基準で判断した。 ○:違和感を感じなく履ける人が4人以上。 △:違和感を感じなく履ける人が3人。 ×:違和感を感じなく履ける人が2人以下。
長靴について下記の基準で外観評価の判断をした。 ○:変形摩耗など殆どなく実用に耐えた。 △:若干の変形は認められた。 ×:変形摩耗があり、実用性に欠ける。
033(SEPS、クラレ株式会社製)、スチレン含有
量30重量%、イソプレン含有量70重量%、数平均分
子量100,000、重量平均分子量130,000、
分子量分布1.3、水素添加率90%以上 (2)非芳香族系ゴム用軟化剤成分(b):ダイアナプ
ロセスオイル PW−90(出光興産株式会社製) (3)ポリプロピレン系樹脂成分(c):PA189V
(ホモポリプロピレン、ダイリン産業社製)、MFR8
00g/10分 (4)水添石油樹脂成分(d):P−140(水添C5
系石油樹脂、出光石油化学株式会社製) (5)ポリスチレン系樹脂成分(e):G32(ポリス
チレンホモポリマー、東洋スチレン株式会社製) (6)炭酸カルシウム成分(f):NS400(三共精
粉株式会社製) (7)エチレン−プロピレン共重合体(EPR):EP
912P(JSR株式会社製) (8)線状低密度ポリエチレン(LLDPE):EG8
400(メタロセン系線状低密度ポリエチレン、ダウケ
ミカル社製)
二軸押出機に投入して、混練温度180℃、スクリュー
回転数350rpmで溶融混練をして、ペレット化し
た。次に、得られたペレットを射出成形して試験片を作
成し、夫々の試験に供した。さらに、靴下状の裏布材を
ラストモールドに吊り込み、ラストモールド、ボトムモ
ールド、サイドモールドを嵌合し、該ペレットを用い長
靴成形型空隙内に射出して胴部、甲部、靴底部を一体成
形した長靴を作成し、各評価を行った。評価結果を表1
及び表2に示す。
1〜3は、本発明の熱可塑性エラストマー組成物であ
る。任意成分である成分(f)の有無にかかわらず、い
ずれの熱可塑性エラストマー組成物も良好な性状を示し
た。また、成分(a)のセプトン4033の一部、又は
全部をタフテックP JT−90(旭化成社製 スチレ
ン−ブタジエン・ブチレン−スチレン共重合体、SBB
S、スチレン含有量:30重量%、重量平均分子量(M
w):110,000、数平均分子量(Mn):99,
000、分子量分布:1.11)に置換しても同様に良
好な結果が得られた。
(e)を用いない場合の例であり、得られた長靴の風合
いが好ましくなく、成形時の歪み残がある。比較例2
は、成分(e)を用いない場合の例であり、(e)成分
がないと、ベタツキによる離型性が悪くなる。比較例3
及び7は、(d)成分が多すぎる場合の例であり、ベタ
ツキが悪くなる。比較例4は、(d)成分を配合しない
場合の例であり、(d)成分がないと脱靴時の歪みがあ
る。比較例5は、(e)成分の配合量が多すぎる場合の
例であり、(e)成分が多いと脱靴時の歪み及び風合い
が悪化する。比較例6は、(d)成分と(e)成分の配
合量が本発明の範囲外の例であり、(d)成分と(e)
成分の配合量が多すぎるとベタツキが多く、また、風合
いが悪い。さらに比較例8及び9は、(e)成分のポリ
スチレン代わりにポリエチレン系樹脂のEPR、LLD
PEを用いた例であり、EPR、LLDPEを用いると
長期使用性が悪かった。
成物は、スチレン系熱可塑性エラストマー組成物に特定
量の高流動性ポリプロピレン系樹脂、芳香族ビニル系樹
脂、水添石油樹脂を配合したものであるから、低硬度で
あり、ゴム弾性に富み、耐熱性、耐候性、耐油性および
成形加工性に優れた長靴用熱可塑性エラストマーであ
る。また、該長靴用熱可塑性エラストマー組成物から得
られた長靴は、ゴワゴワした履き心地が解消され、風合
い、強度に優れた長靴である。
Claims (3)
- 【請求項1】 (a)芳香族ビニル化合物を主体とする
重合体ブロックAの少なくとも2個と、共役ジエン化合
物を主体とする重合体ブロックBの少なくとも1個とか
らなるブロック共重合体及び/又はそれを水素添加して
得られる水添ブロック共重合体100重量部、(b)非
芳香族系ゴム用軟化剤5〜250重量部、(c)メルト
フローレートが700〜900g/10分であるポリプ
ロピレン系樹脂5〜50重量部、(d)水添石油樹脂5
〜50重量部、及び(e)芳香族ビニル系樹脂5〜10
0重量部を含有することを特徴とする長靴用熱可塑性エ
ラストマー組成物。 - 【請求項2】 (f)無機充填剤1〜100重量部を更
に添加してなることを特徴とする請求項1に記載の長靴
用熱可塑性エラストマー組成物。 - 【請求項3】 請求項1又は2に記載の長靴用熱可塑性
エラストマー組成物を成形してなる長靴。
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