JP2002316935A - 血糖上昇抑制剤 - Google Patents

血糖上昇抑制剤

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JP2002316935A
JP2002316935A JP2001118469A JP2001118469A JP2002316935A JP 2002316935 A JP2002316935 A JP 2002316935A JP 2001118469 A JP2001118469 A JP 2001118469A JP 2001118469 A JP2001118469 A JP 2001118469A JP 2002316935 A JP2002316935 A JP 2002316935A
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blood glucose
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glucosidase
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JP2001118469A
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Genjiro Kusano
源次郎 草野
Makio Shibano
真喜雄 芝野
Kazuo Takeuchi
一男 竹内
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YAMADA YAKKEN KK
Spirulina Bio Lab Ltd
Original Assignee
YAMADA YAKKEN KK
Spirulina Bio Lab Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 血糖の濃度の上昇を抑えるのに有効で、しか
も人体に対して安全である血糖上昇抑制剤を提供する。 【解決手段】 オオボウシバナの抽出物からなる。抽出
物に含まれている1-deoxynojirimycin(DNJ)と2,5-
dihydroxymethyl3,4-dihydroxypyrrolidine(DMD
P)によりα−グルコシダーゼの活性を阻害することが
できる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、糖尿病や肥満症な
どを予防するための血糖上昇抑制剤に関するものであ
る。
【0002】
【従来の技術】国内における糖尿病患者は急激に増加す
る傾向にあり、1997年の厚生省の実態調査によれ
ば、その患者数は690万人であり、また、糖尿病と健
康との境界線にあたる予備群を含めると、その数は13
70万人にもなる。これらの患者は、血糖や血清インス
リンなどの濃度が特に食後において上昇して異常値を示
す。従って、これら血糖や血清インスリンなどの濃度が
上昇しないように抑制しコントロールする方法として、
炭水化物の消化吸収阻害が考えられており、実際に、α
−グルコシダーゼ阻害薬(α−グルコシダーゼ阻害薬、
α−GI)が血糖の濃度の上昇を抑える血糖上昇抑制剤
として用いられている。このようなα−GIは血糖上昇
抑制剤として用いられるほかに、膵臓B細胞の疲弊を防
止し、さらにはインスリン非依存型糖尿病(NIDD
M)の発症予防につながることが期待されているもので
ある。
【0003】そこで、糖尿病や肥満症などを予防する目
的で、日常的に摂取または飲食することにより血糖の濃
度の上昇を抑える血糖上昇抑制剤が望まれている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、血糖の濃度
の上昇を抑えるのに有効で、しかも人体に対して安全で
ある血糖上昇抑制剤を提供することを目的とするもので
ある。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明の請求項1に係る
血糖上昇抑制剤は、オオボウシバナの抽出物からなるこ
とを特徴とするものであり、抽出物に含まれている1-de
oxynojirimycin(1−デオキシノジリマイシンであっ
て、以下、DNJと略することがある)と2,5-dihydrox
ymethyl-3,4-dihydroxypyrrolidine(2,5−ジハイド
ロキシメチル−3,4−ジハイドロキシピロリジンであ
って、以下、DMDPと略することがある)によりα−
グルコシダーゼ(α−glucosidase)の活性を阻害する
ことができる。
【0006】また、本発明の請求項2に係る血糖上昇抑
制剤は、請求項1の構成に加えて、抽出物の水溶性塩基
性画分であるので、DNJとDMDPの濃度を高くする
ことができる。
【0007】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を説明
する。
【0008】本発明の血糖上昇抑制剤は、ツユクサ科
(Commelinaceae)の植物であるオオボウシバナ(C.com
munis var.hortensis)からの抽出物(抽出エキス)で
ある。この抽出物には主活性成分として下記の化学式で
示される1-deoxynojirimycin(DNJ)と2,5-dihydrox
ymethyl-3,4-dihydroxypyrrolidine(DMDP)の二つ
の化合物が含まれている。
【0009】
【化1】
【0010】そして、本発明の血糖上昇抑制剤はこれら
二つの化合物により二糖類の分解酵素であるα−グルコ
シダーゼの活性を阻害することができ、血糖の上昇を抑
えることができるものである。DNJとDMDPはそれ
ぞれ単独でα−グルコシダーゼの活性を阻害することは
知られているが、オオボウシバナからの抽出物はDNJ
とDMDPの両方を約1:1で同時に含むものであり、
従って、DNJとDMDPの相乗効果により高いα−グ
ルコシダーゼの活性阻害効果を得ることができるもので
ある。しかも、DNJとDMDPをそれぞれ別々の物質
から得た場合、これらを併用しようとすると混合する必
要があるが、本発明ではこのような混合の手間が必要な
いものである。
【0011】オオボウシバナの抽出物は、溶媒を用いて
オオボウシバナの植物体の全草(茎、葉、根などの各種
部位)を直接抽出する方法で得ることができる。抽出に
用いる溶媒としては水やアルコールを用いることがで
き、アルコールとしてはメタノール、エタノール、プロ
パノール、ブタノール等を用いることができる。また、
これらの溶媒を任意の比率で混合した混合溶媒を用いる
こともできる。上記の溶媒の中でも、水、エタノール、
または水とエタノールの混合溶媒を用いるのが好まし
く、水とエタノールの混合溶媒を用いる場合は、その混
合比率を通常、アルコール濃度で5〜95%、好ましく
は70%にするのが最適である。溶媒はオオボウシバナ
1gに対して3〜200ミリリットル、好ましくは5〜
30ミリリットル配合して抽出を行うようにする。
【0012】抽出に際しては、オオボウシバナを適当な
大きさ(10〜20mm)に細切に切断することが好ま
しい。抽出方法は、オオボウシバナの粉砕物と溶媒の混
合物を80〜90℃で3時間程度加熱し、この後、還流
法で抽出することが好ましいが、上記加熱後に静置によ
り抽出してもよい。次に、冷却後ろ過し、そのろ液を減
圧下で45℃以下の温度で完全に溶媒を留去し、乾燥エ
キスとして抽出物を得ることができる。
【0013】また、本発明の血糖上昇抑制剤はこの抽出
物を溶媒に溶解した状態のままで使用しても良いし、粗
画分として得られるものを使用しても良い。しかしなが
ら、上記のような抽出により得られる抽出物は上記の二
つの主活性成分の含量が少なく、血糖の上昇抑制に寄与
しない不純物も多い。そこで、上記の抽出により得られ
る抽出物から水溶性塩基性画分を分離精製して分画し、
この水溶性塩基性画分を本発明の血糖上昇抑制剤として
用いるのが好ましく、これにより、DNJとDMDPの
含有量(濃度)が高い血糖上昇抑制剤を調製することが
できる。水溶性塩基性画分を分画するにあたっては既知
の方法を採用することができ、例えば、陽イオン交換樹
脂を備えるクロマトグラフィーを用いておこなうことが
できる。
【0014】本発明の血糖上昇抑制剤は、従来から医薬
品に用いられている溶媒や賦形剤に混合して飲用剤、錠
剤、顆粒剤等の形態で供することができ、また、食品に
添加して供することもできる。
【0015】本発明の血糖上昇抑制剤は、糖尿病患者や
肥満症患者等に食前15〜30分前に摂取させるように
するのが好ましく、これにより、食後の血糖の上昇の抑
制効果を高めることができる。また、本発明の血糖上昇
抑制剤の一回当たりの摂取量は患者の症状や年齢等によ
り異なるが、上記の二つの主活性成分が合計で1〜40
mg摂取されるようにするのが好ましい。
【0016】ここで、オオボウシバナと他のツユクサ科
植物とのα−グルコシダーゼ阻害活性を比較する。ま
ず、ツユクサ科植物として、オオボウシバナ、イボクサ
(Aneilema Keisak)、ムラサキオモト(Rhoeo discolo
r)、ヤブミョウガ(Polliajaponica)、オオムラサキ
ツユクサ(Tradescantia virginiana)、シロフハカタ
カラクサ(T.viridis)、ノハカタカラクサ(トキワツ
ユクサ)(T.flumiensis)、ブライダルベル(Tripogan
dra multiflora)を用意した。
【0017】次に、図1に示す手順に従ってサンプルを
調製した。すなわち、乾燥させた上記のツユクサ科植物
の全草を適当な大きさに切断し、切断したツユクサ科植
物の全草50g(乾燥重量)を水2リットルに入れて加
熱して1時間の熱水抽出を行い、抽出液を濾過して得
た。次に、抽出液を弱酸性陽イオン交換樹脂(Amberlit
e CG-50)を固定相として用いたカラムクロマトグラフ
ィーで処理した。この時の抽出液の温度は室温、抽出液
の流速は40〜60ミリリットル/分でカラム中に流下
させた。次に、上記の弱酸性陽イオン交換樹脂を水で洗
浄した後に、弱酸性陽イオン交換樹脂に吸着した成分を
2.8%アンモニア水(1→10)で溶出し、この溶出
液を濃縮して粗塩基性画分を得た。次に、粗塩基性画分
を水に溶解してサンプルとした。
【0018】そして、上記の各ツユクサ科植物から得ら
れたサンプルのα−グルコシダーゼに対する阻害率をジ
ニトロサリチル酸(DNS)法により求めた。DNS法
は以下の[化2]に示すような反応を用いるものであ
る。
【0019】
【化2】
【0020】DNS法は図2に示すようにして行う。す
なわち、まず、25マイクロリットルのサンプルに濃
度50mMでpH7.0のリン酸緩衝液(phosphate bu
ffer)を200マイクロリットル加えて37℃で5分間
加温した。次に、サンプルを混入した緩衝溶液に基質溶
液(濃度100mMのショ糖水溶液)を175マイクロ
リットル加えて37℃で5分間加温した。次に、この
溶液に酵素溶液(100マイクロリットルのα−グルコ
シダーゼ溶液)を加えて37℃で30分間反応した。
(尚、α−グルコシダーゼ溶液は酵素標準品(Saccharo
myces sp.由来)を濃度10mMでpH7.0のリン酸
緩衝液で1mg/ミリリットルに溶解し、同緩衝液で約
40倍に希釈したものを用いた。)次に、α−グルコ
シダーゼ溶液を加えた溶液にDNS溶液を加えて100
℃で10分間反応した。(尚、DNS溶液は水1リット
ルに対して、3,5-dinitrosalicylic acid(DNS)を1%、
酒石酸カリウムを5%、NaOHを1%、フェノールを
0.2%、Na2SO3を0.05%の割合で溶解した溶
液を用いた。)そして、DNS溶液を加えた溶液を水
で3倍に希釈した後、540nmにおける3−アミノ−
5−ニトロサリチル酸の光学濃度を測定(ODsample)
し、以下の式で阻害率を算出した。 阻害率(%)=100-(ODsample-ODblank)/(ODcontrol-ODblan
k)×100 ODcontrolはの操作でサンプルの代わりにH2Oで反応
を行ったときの光学濃度、ODblankはの操作で酵素溶
液の代わりに緩衝液を加えて行ったときの光学濃度をそ
れぞれ示す。
【0021】上記の各ツユクサ科植物の阻害率を表1に
示す。
【0022】
【表1】
【0023】表1から明らかなように、オオボウシバナ
から得られる熱水抽出物の水溶性塩基性画分は他のツユ
クサ科植物から得られる熱水抽出物の水溶性塩基性画分
よりも阻害率が高く、従って、本発明ではツユクサ科植
物の中でもオオボウシバナを用いるのである。
【0024】また、オオボウシバナから得られる熱水抽
出物の水溶性塩基性画分の成分の同定を行った。まず、
図3に示す方法で成分1、2を得た。すなわち、乾燥さ
せたオオボウシバナの全草を適当な大きさに切断し、切
断したオオボウシバナの全草1.2kg(乾燥重量)を
水40リットルに入れて加熱して1時間の熱水抽出を行
い、抽出液を濾過して得た。次に、抽出液を弱酸性陽イ
オン交換樹脂(Amberlite CG-50)を固定相として用い
たカラムクロマトグラフィーで処理した。この時の抽出
液の温度は室温、抽出液の流速は40〜60ミリリット
ル/分でカラム中に流下させた。次に、上記の弱酸性陽
イオン交換樹脂に吸着した成分を2.8%アンモニア水
(1→10)で溶出し、この溶出液の溶媒を除去するこ
とによって粗塩基性画分を得た。次に、粗塩基性画分を
水に溶解し、この粗塩基性画分溶液をpH5.7に調製
した0.2Mギ酸アンモニウム緩衝液で緩衝化させた強
酸性陽イオン交換樹脂(DOWEX 50WX4)を固定相として
用いたカラムクロマトグラフィーで処理した。この時、
粗塩基性画分溶液の温度は室温、粗塩基性画分溶液の流
速は10ミリリットル/分でカラム中に流下させた。
【0025】次に、上記の強酸性陽イオン交換樹脂に吸
着した成分を0.28%アンモニア水(1→100)で
溶出し、溶出液の溶媒を除去することによって、0.2
8%アンモニア水溶出画分を得た。そして、上記の0.
28%アンモニア水溶出画分を高速液体クロマトグラフ
ィー(HPLC,Asahipak NH2P,80%
CH3CN)で処理して成分1と成分2を得た。この成
分1と成分2を核磁気共鳴分光法(1H−NMRspe
ctrum(D2O))で解析した。結果を図4、図5
に示す。
【0026】成分1は図4のような1H−NMRスペク
トルを示し、各シグナルは化学シフトの値、カップリン
グ定数、1H−1HCOSYスペクトル、1H−13CCO
SYスペクトルの解析結果を統合して、低磁場側から3
位と4位の水素(2H相当)、ヒドロキシメチル基の水
素(4H相当)、2位と5位の水素(2H相当)に帰属
することができた。
【0027】成分2は図5のような1H−NMRスペク
トルを示し、成分1と類似の解析結果を統合して、各シ
グナルを図に示したように帰属することができた。
【0028】成分1はDMDPであり、色のない粉体で
あった。また、次のような性質を示すものであった。 ニンヒドリン反応:positive(orange) SI−MS(質量スペクトル):m/z164(M+
1)であり、分子量が163で分子式がC613NO4
あることを意味する。 [α]D+74.0°(c=0.07,H2O)であり、
この値は天然由来のDMDP固有の値であって、合成D
MDPではないことを示している。
【0029】また、成分2はDNJであり、色のない粉
体であった。また、次のような性質を示すものであっ
た。 ニンヒドリン反応:positive(yellow) SI−MS(質量スペクトル):m/z164(M+
1)であり、分子量が163で分子式がC613NO4
あることを意味する。 [α]D−30.5°(c=0.10,H2O)であり、
この値は天然由来のDNJ固有の値であって、合成DN
Jではないことを示している。
【0030】また、オオボウシバナから得られる熱水抽
出物の水溶性塩基性画分中のDNJとDMDPの定量を
行った。まず、図6に示す方法でHPLC用サンプルを
得た。すなわち、恒量にしたオオボウシバナの粉末50
0mgを精秤し、50%CH 3CNを10ミリリットル
正確に加え、20分間超音波抽出した。次に、以下の分
析の前処理として、HPLCのカラムの保護のため、同
じ中身の樹脂に一度通して共稚物を取り除いた(Sep
pakNH2(Waters))。次に、ゴミなどによ
り配管等を詰まらせないために、ろ過(0.22μm)
を行った。このようにして高速液体クロマトグラフィー
用のサンプルを調製した。このサンプルを用いて高速液
体クロマトグラフィー/質量分析(LC/MS)を行っ
た。LC/MS条件は次の通りである。 カラム:Asahipak NH2P,4.6mmi.
d×250mm 移動相:75%CH3CN 流速:0.8ミリリットル/min カラム温度:25℃ 注入量:5マイクロリットル(カット注入) 検出:イオントラップ型質量分析計 イオン化:大気圧化学イオン化法(APCI) 極性:ポジティブ 噴霧器温度:180℃ 脱溶媒室温度:350℃ 第一細孔温度:120℃ 第二細孔温度:120℃ ニードル電圧:3.00kV ドリフト電圧:100V フォーカス電圧:30V 上記のLC/MS分析の結果を図7にグラフで示す。
尚、グラフ中のオオボウシバナ1は草津市内で栽培した
もの、オオボウシバナ2は大阪薬科大学の薬用植物園で
栽培したもの、オオボウシバナ3はオオボウシバナ1の
根部である。また、参考のためにツユクサ科植物のツユ
クサの結果も併記する。
【0031】図7から明らかなように、オオボシバナに
は約0.02〜0.06%のDMDPとDNJが含有さ
れている。
【0032】
【実施例】以下本発明を実施例によって具体的に説明す
る。
【0033】(実施例1)オオボウシバナを適当な大き
さに切断し、切断したオオボウシバナ15g(乾燥重
量)を水1リットルに入れて加熱して1時間の熱水抽出
を行い、濾過して抽出液を得た。次に、抽出残渣に1リ
ットルの水を加え、上記と同様の熱水抽出を行った。こ
の後、さらに抽出残渣に1リットルの水を加え、上記と
同様の熱水抽出を行った。そして、3回の熱水抽出で得
た抽出液を合わせて血糖上昇抑制剤を調製した。
【0034】(実施例2)図8に示す方法により血糖上
昇抑制剤を調製した。すなわち、オオボウシバナを適当
な大きさに切断し、切断したオオボウシバナ15g(乾
燥重量)を水1リットルに入れて加熱して1時間の熱水
抽出を行い、濾過して抽出液を得た。次に、抽出残渣に
1リットルの水を加え、上記と同様の熱水抽出を行っ
た。この後、さらに抽出残渣に1リットルの水を加え、
上記と同様の熱水抽出を行った。
【0035】次に、上記3回の熱水抽出で得た抽出液を
合わせ、弱酸性陽イオン交換樹脂(Amberlite CG-50)
を固定相として用いたカラムクロマトグラフィーに付し
た。この時の抽出液の温度は室温、抽出液の流速は40
〜60ミリリットル/分で、抽出液を3時間かけてカラ
ム中に流下させた。
【0036】次に、上記の弱酸性陽イオン交換樹脂に吸
着した成分を2.8%アンモニア水(1→10)で溶出
し、この溶出液の溶媒を除去することによって110m
gの粗塩基性画分を得た。次に、粗塩基性画分を水に溶
解し、この粗塩基性画分溶液をpH5.7の0.2Mギ
酸アンモニウム緩衝液で緩衝させた強酸性陽イオン交換
樹脂(DOWEX 50WX4)を固定相として用いたカラムクロ
マトグラフィーで処理した。この時、粗塩基性画分溶液
の温度は室温、粗塩基性画分溶液の流速は10ミリリッ
トル/分で、粗塩基性画分溶液を3時間かけてカラム中
に流下させた。
【0037】次に、上記の強酸性陽イオン交換樹脂に吸
着した成分を水と0.28%アンモニア水(1→10
0)と2.8%アンモニア水(1→10)で順次溶出
し、各溶出液の溶媒を除去することによって、70mg
の水溶出画分と、20mgの0.28%アンモニア水溶
出画分と、10mgの2.8%アンモニア水溶出画分を
得た。
【0038】そして、上記の0.28%アンモニア水溶
出画分を血糖上昇抑制剤とした。
【0039】(比較例1)アルガボースを血糖上昇抑制
剤とした。
【0040】(比較例2)ボグリボースを血糖上昇抑制
剤とした。
【0041】(阻害活性試験)実施例1と実施例2の粗
塩基性画分と最終の血糖上昇抑制剤及び比較例1、2に
ついて、α−グルコシダーゼの阻害活性試験を上記の同
様のDNS法に準じて行った(図2参照)。
【0042】α−グルコシダーゼの阻害活性試験の結果
をIC50値として表2に示す。
【0043】
【表2】
【0044】(血糖上昇抑制試験)実施例1、2の血糖
上昇抑制試験としてスクロース、マルトース負荷試験を
以下のようにして行った。
【0045】動物はddYマウス♂7週令(一群5匹)
を用いた。負荷糖としてはsucrose(スクロース)とmal
tose(マルトース)を用いた。
【0046】そして、一晩絶食したマウス(一群5匹)
の空腹時血中グルコース濃度を測定した後、マウスに負
荷糖を4g/kg強制経口投与すると共に、負荷糖を投
与したマウスのある一群に実施例1を200mg/kg
強制経口投与し、他の一群に実施例2を50mg/kg
強制経口投与した。また、比較のために、負荷糖を投与
したマウスのある一群にDNJを10mg/kg強制経
口投与し、他の一群にDMDPを10mg/kg強制経
口投与し、さらに他の一群にオオボウシバナの粉末を2
00mg/kg強制経口投与した。また、対照のため
に、負荷糖を投与したマウスのある一群に脱イオン水を
6.7mg/kg強制経口投与した。そして、実施例等
を投与した後、30分後に尾静脈から採血し、血中のグ
ルコース濃度を測定して血糖値とした。測定方法はキッ
トによるグルコースオキシターゼ法(ロート製薬)であ
る。スクロース負荷試験の結果を図9(a)に、マルト
ース負荷試験の結果を図9(b)にそれぞれ示す。尚、
図9(a)(b)において、blankは負荷糖や実施
例等を与えなかったもの、controlは脱イオン水
を与えたもの、normalは負荷糖のみを与えたもの
をそれぞれ示す。
【0047】本発明は材料の入手が容易で、自然環境保
全にも寄与する植物であること、及び図9(a)(b)
から明らかなように、実施例1、2はDNJ単独及びD
MDP単独の約100分の1に相当する量で、それらに
相当する血糖低下作用を示すものであり、従って、食品
材料等として使用するのに安全性が高く、使用量を適量
に制御し易いものである。
【0048】
【発明の効果】上記のように本発明の請求項1の発明
は、オオボウシバナの抽出物からなることを特徴とする
ものであり、抽出物に含まれている1-deoxynojirimycin
(DNJ)と2,5-dihydroxymethyl3,4-dihydroxypyrrol
idine(DMDP)によりα−グルコシダーゼの活性を
阻害することができ、血糖の濃度の上昇を抑えるのに有
効であり、しかも天然の植物から抽出することによっ
て、人体に対して安全なものである。
【0049】また、本発明の請求項2に係る発明は、抽
出物の水溶性塩基性画分であるので、DNJとDMDP
の濃度を高くすることができ、血糖の濃度の上昇を抑え
る効果を高くすることができるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】α−グルコシダーゼ阻害活性試験のサンプルの
調製方法を示す説明図である。
【図2】DNS法を示す説明図である。
【図3】オオボウシバナから得られる熱水抽出物の水溶
性塩基性画分の成分1、2の調製方法を示す説明図であ
る。
【図4】オオボウシバナから得られる熱水抽出物の水溶
性塩基性画分の成分1に関する核磁気共鳴分析の結果を
示すグラフである。
【図5】オオボウシバナから得られる熱水抽出物の水溶
性塩基性画分の成分2に関する核磁気共鳴分析の結果を
示すグラフである。
【図6】HPLC用サンプルの調製方法を示す説明図で
ある。
【図7】LC/MSによる定量分析の結果を示すグラフ
である。
【図8】実施例2の調製方法を示す説明図である。
【図9】(a)はスクロース負荷試験の結果を示すグラ
フ、(b)はマルトース負荷試験の結果を示すグラフで
ある。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 芝野 真喜雄 大阪府高槻市奈佐原4丁目20番1号 大阪 薬科大学内 (72)発明者 竹内 一男 大阪府東大阪市菱屋西4丁目1番19号 株 式会社ヤマダ薬研内 Fターム(参考) 4B018 LE05 MD61 ME01 ME03 MF01 4C088 AB71 AC01 BA09 BA10 CA14 NA14 ZA70 ZC35

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 オオボウシバナの抽出物からなることを
    特徴とする血糖上昇抑制剤。
  2. 【請求項2】 抽出物の水溶性塩基性画分であることを
    特徴とする請求項1に記載の血糖上昇抑制剤。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2007145751A (ja) * 2005-11-28 2007-06-14 Maruzen Pharmaceut Co Ltd 抗老化剤、スリミング剤、及び保湿剤、並びに皮膚化粧料
JP2008104399A (ja) * 2006-10-25 2008-05-08 Spirulina Biological Lab Ltd 糖尿病予防食品
JP2008151662A (ja) * 2006-12-18 2008-07-03 Spirulina Biological Lab Ltd イミノ糖類の定量方法
KR101122733B1 (ko) 2009-03-09 2012-03-23 주식회사 아주의대벤쳐메딕스 여드름 예방 및 개선용 화장료 조성물

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